JPH09256868A - 消音装置 - Google Patents

消音装置

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Publication number
JPH09256868A
JPH09256868A JP8064642A JP6464296A JPH09256868A JP H09256868 A JPH09256868 A JP H09256868A JP 8064642 A JP8064642 A JP 8064642A JP 6464296 A JP6464296 A JP 6464296A JP H09256868 A JPH09256868 A JP H09256868A
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JP
Japan
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resonator
diaphragm
vibration
noise
internal space
Prior art date
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Application number
JP8064642A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinichi Maruyama
新一 丸山
Akihiko Hasegawa
昭彦 長谷川
Tomoyuki Matsuzawa
智之 松澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Publication of JPH09256868A publication Critical patent/JPH09256868A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】大幅な重量増加を招くことなく、スペース効率
もよく、そのうえ効率よく騒音を低減することのできる
消音装置を提供する。 【解決手段】構造物が振動することによって放射される
騒音を低減させる消音装置であって、箱体5の内部空間
を振動板6及びその周囲の低剛性部材7を介して仕切っ
た共鳴器3と、この共鳴器3の振動板6に前記構造物の
振動を直接的に伝達する連結ロッド8とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は構造物の振動面から
放射される騒音を低減する消音装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の消音装置として、特開平7−17
5485号公報に開示されたようなものがある。
【0003】これは図35にも示すように、2枚の平行
なプレート109aと109bとを複数の筒部111に
よって互いに貫通接続する一方、各プレート109a、
109bには互いに同一位置に複数の円孔110を設
け、これらにより上下のプレート109a、109b間
に共鳴器103を形成している。そして共鳴器103の
共振周波数は消音を目的とする騒音の周波数よりも低く
設定される。
【0004】この消音装置のプレート109aに騒音が
入射すると、筒部111を通過する騒音は入射波と同位
相の透過波となり、一方共鳴器103を通過する騒音は
共鳴器103の共振周波数よりも低い周波数では入射波
と同位相の透過波となるが、共振周波数よりも高い周波
数では、入射波と逆位相の透過波となる。
【0005】このため、共鳴器103の共振周波数より
も高い周波数帯域では、筒部111と共鳴器103とを
通過した透過波が、互いに逆位相となって打ち消し合
い、これよりこの周波数帯域の騒音を低減するようにな
っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながらこのよう
な消音装置では、例えばエンジンのオイパンから放射さ
れる騒音のように、閉じていない広い音場に放射される
騒音については、消音装置の周辺から直接的に漏れ出る
騒音も多く、消音効率が低かった。
【0007】これを避けるには、騒音の放射されるほと
んどの振動面を埋め尽くすように消音装置を設置しなけ
ればならず、多数の消音装置ないしは大型の消音装置が
必要となり、重量増加に加えてスペース効率が悪く、ま
たスペース的にゆとりのないときには、取付けが不可能
になってしまう。
【0008】本発明はこのような問題を解決するために
提案されたもので、大幅な重量増加を招くことなく、ス
ペース効率もよく、そのうえ効率よく騒音を低減するこ
とのできる消音装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、構造物が
振動することによって放射される騒音を低減させる消音
装置であって、箱体の内部空間を振動板及びその周囲の
低剛性部材を介して仕切った共鳴器と、この共鳴器の振
動板に前記構造物の振動を直接的に伝達する連結機構と
を備える。
【0010】第2の発明は、第1の発明において、前記
構造物の振動と同位相で振動板が共鳴器の内部空間を加
振するように構成した。
【0011】第3の発明は、第1の発明において、前記
構造物の振動と逆位相で振動板が共鳴器の内部空間を加
振するように構成した。
【0012】第4の発明は、第1〜第3の発明におい
て、前記共鳴器と、共鳴器の箱体及び低剛性部材からな
る振動系と、の各共振により、共鳴器内部空間の容積変
動を調整するようにした。
【0013】第5の発明は、第1の発明において、前記
共鳴器として2つの共鳴器を備え、一方の共鳴器の振動
板は構造物の振動と同位相で内部空間を加振し、他方の
共鳴器の振動板は構造物の振動と逆位相で内部空間を加
振するように構成する。
【0014】第6の発明は、第1の発明において、前記
共鳴器として共通の振動板により箱体の内部空間を仕切
られた2つの共鳴器を備え、この振動板は構造物の振動
に応じて一方の内部空間と他方の内部空間とをそれぞれ
異なった位相で加振するように構成する。
【0015】第7の発明は、構造物が振動することによ
って放射される騒音を低減させる消音装置であって、箱
体の内部空間を互いに対向する一対の振動板及びその周
囲の低剛性部材を介して仕切った共鳴器と、これら対向
する振動板の間を互いに連結する減衰機構及び弾性体
と、前記一方の振動板に前記構造物の振動を直接的に伝
達する連結機構とを備える。
【0016】第8の発明は、構造物が振動することによ
って放射される騒音を低減させる消音装置であって、箱
体の内部空間を一対の並列な振動板及びその周囲の低剛
性部材を介して仕切った共鳴器と、一方の振動板に前記
構造物の振動を直接的に伝達する連結機構と、他方の振
動板に構造物の振動を間接的に伝達する減衰機構及び弾
性体とを備える。
【0017】第9の発明は、構造物が振動することによ
って放射される騒音を低減させる消音装置であって、箱
体の内部空間を一対の並列な振動板及びその周囲の低剛
性部材を介して仕切った第1の共鳴器と、一方の振動板
に前記構造物の振動を直接的に伝達する連結機構と、他
方の振動板に構造物の振動を間接的に伝達する第1の減
衰機構及び弾性体と、前記構造物の振動が直接的に伝達
される振動板と対向する第3の振動板及び低剛性部材に
より仕切られた第2の共鳴器と、これら対向する振動板
を互いに連結する第2の減衰機構及び弾性体とを備え
る。
【0018】第10の発明は、第1〜第9の発明におい
て、エンジン本体の少なくとも一部を所定の間隙をもっ
て覆うエンジンカバーを備え、このエンジンカバーとエ
ンジン本体との間において前記連結機構がエンジン騒音
発生振動体の振動を前記振動板に伝達するように共鳴器
を配置する。
【0019】第11の発明は、第10の発明において、
前記共鳴器の周囲に位置してエンジンカバーと少なくと
も騒音発生振動体との間に吸音材を配置する。
【0020】第12の発明は、第10または第11の発
明において、前記共鳴器の内部空間と連通路を介して接
続する容積部を備える。
【0021】
【作用】第1の発明では、構造物の振動を連結機構を介
して共鳴器の振動板に直接的に伝達し、この振動エネル
ギにより振動板を加振する。これにより共鳴器の内部空
間は非常に効率よく加振される。この加振によって生じ
る共鳴器からの放射音は、共鳴器の共振周波数を境にし
て位相が反転し、したがって構造物の振動による騒音と
異なる位相となる周波数帯域において、この騒音を効果
的に低減することができる。
【0022】第2の発明では、構造物の振動位相と同位
相で共鳴器の内部空間が加振されるので、共鳴器の共振
周波数以上の帯域での共鳴器からの放射音が騒音と逆位
相となり、この帯域を対象として騒音を低減することが
できる。
【0023】第3の発明では、構造物の振動と逆位相で
共鳴器の内部空間を加振するので、共鳴器の共振周波数
以下の帯域での共鳴器からの放射音が騒音と逆位相とな
り、この帯域を対象として騒音を低減することができ
る。
【0024】第4の発明は、共鳴器の共振周波数と、箱
体及び低剛性部材からなる振動系との共振周波数との関
係により、これら共振周波数のうち、いずれか低いもの
よりも低い周波数帯域と、高いものよりも高い周波数帯
域での共鳴器からの放射音を騒音と逆位相として、両方
の周波数帯域で騒音低減を行うことができる。
【0025】第5の発明では、一方の共鳴器の振動板は
構造物の振動と同位相で内部空間を加振し、他方の共鳴
器の振動板は構造物の振動と逆位相で内部空間を加振す
るので、2つの共鳴器のもつ共振周波数を境に、それら
の間の周波数帯域において、共鳴器からの放射音を騒音
と逆位相にして、騒音を大幅に低減することが可能とな
る。また、いずれか低い共振周波数よりも低い周波数帯
域と、いずれか高い共振周波数よりも高い周波数帯域に
おいて、それぞれ、共鳴器内部空間の容積変動率を小さ
くし、騒音の悪化代を抑制することもできる。
【0026】第6の発明では、第5の発明と同じよう
に、2つの共鳴器の共振周波数の間の帯域において、騒
音を低減する一方、この場合には、共鳴器の振動板が共
通となり、構造の小型化、軽量化などが図れ、またコス
トダウンも可能となる。
【0027】第7の発明では、構造物の振動を連結機構
を介して共鳴器の一方の振動板に直接的に伝達し、この
振動エネルギにより振動板を加振する。これにより共鳴
器の内部空間は非常に効率よく加振される。また、この
振動板の振動は減衰機構、弾性体を介して他方の振動板
を加振する。
【0028】この加振によって生じる共鳴器からの放射
音は、共鳴器の共振周波数を境にして位相が反転し、し
たがって構造物の振動による騒音と異なる位相となる周
波数帯域において、この騒音を低減するが、逆位相の放
射音が放出されるときには、他方の振動板が内部空間の
容積変化を増幅するように作用し、このため騒音の低減
効果が増大する。
【0029】また、同位相の放射音が放出されるとき
は、同じく他方の振動板が内部空間の容積変動を減少さ
せるように作用し、騒音の悪化代を減じることができ
る。
【0030】第8の発明でも、第7の発明と同じよう
に、共鳴器からの放射音は、共鳴器の共振周波数を境に
して位相が反転し、構造物の振動による騒音と異なる位
相となる周波数帯域において、この騒音を低減するが、
逆位相の放射音が放出されるときには、他方の振動板が
内部空間の容積変化を増幅するように作用し、このため
騒音の低減効果が増大する。
【0031】また、同位相の放射音が放出されるとき
は、同じく他方の振動板が内部空間の容積変動を減少さ
せるように作用し、騒音の悪化代を減じることができ
る。
【0032】第9の発明では、2つの共鳴器の共振周波
数を境にして、これらの間の周波数帯域において、各共
鳴器からの放射音が騒音と逆位相となり、かつ、第1、
第2の減衰機構と弾性体の働きにより、逆位相での共鳴
器の内部空間の容積変化を大きくするため、それだけ騒
音の低減効果が増大する。
【0033】また、いずれか低い共振周波数よりも低い
周波数帯域と、いずれか高い共振周波数よりも高い周波
数帯域において、それぞれ、共鳴器内部空間の容積変動
率を小さくし、騒音の悪化代を抑制することもできる。
【0034】第10の発明では、エンジン本体の騒音発
生振動体の振動により、直接的に共鳴器の振動板が駆動
され、共鳴器の共振作用に基づいてエンジン振動騒音を
効果的に低減することができる。
【0035】第11の発明では、吸音材により共鳴器が
消音する周波数帯域を含めて高周波数の騒音を相対的に
低減させられる。
【0036】第12の発明では、共鳴器の内部空間と連
通する容積部を備えることにより、内部空間容積をスペ
ース的な制約を受けずに、任意に変更することが可能と
なり、より高い消音効果を発揮させることが可能とな
る。
【0037】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施形態を図に基づ
いて説明する。図1において、1は騒音源となる振動面
で、この振動面1が膜振動を起こすことより、音場空間
2に騒音が放射される。この音場空間2に位置して共鳴
器3が配置され、この共鳴器3は振動面1の縁部に取付
けたステー4を介して支持される。
【0038】共鳴器3は箱体5によって構成され、箱体
5の一面は前記振動面1とほぼ平行に対峙する振動板6
で形成され、振動板6は周囲の低剛性部材7を介して箱
体5に結合される。箱体5の内部空間は左右一対のスロ
ート(筒部)9を介して外部と連通する。
【0039】振動板6は連結機構である連結ロッド8を
介して振動面1の略中央と連結し、振動面1の膜振動に
伴って振動板6が同一振動するようになっている。そし
て、共鳴器3の共振周波数は、消音対象となる騒音周波
数よりもいくらか低い周波数となるように設定されてい
る。
【0040】以上のように構成され、次に作用について
説明すると、騒音源である振動面1が1次膜振動を起こ
すと、これに伴って音場空間2に騒音を放射する。
【0041】同時にこの膜振動に伴い連結ロッド8を介
して共鳴器3の振動板6にも振動が伝達され、この振動
により共鳴器3の内部空間の空気を加振する。
【0042】この場合、振動板6は振動面1と機械的に
連結されると共に、振動板6の周囲の低剛性部材7を介
して箱体5に支持されているため、振動面1の振動に基
づいて共鳴器3の内部空間を非常に効率よく加振するこ
とができる。
【0043】図2にも示すように、いま振動面1の膜振
動により、例えば振動面1が図中、右側に移動し、連結
ロッド8を介して振動板6を同一方向に押すと、箱体5
はステー4を介して固定されているため、振動板6は共
鳴器3の内部空間を圧縮し、すなわち、振動板6は振動
面1から放射される騒音と同位相に内部空間を加振す
る。
【0044】このとき、共鳴器3の主としてスロート9
から放出される騒音は、共鳴器3の共振周波数よりも低
い周波数帯域では、振動面1からの放射騒音と同位相と
なるが、共振周波数よりも高い周波数帯域では位相が反
転して放射される。
【0045】このため、図3にも示すように、振動面1
から放射される騒音が、共鳴器3の共振周波数よりも高
いときは、共鳴器3から放射される逆位相の騒音により
互いに相殺され、共振周波数よりもいくらか高い周波数
帯域での騒音レベルが最も低減するように消音される。
【0046】この場合、振動板6は振動面1の振動によ
り直接的に加振されるので、振動エネルギの利用効率が
高く、騒音の低減も非常に効果的に行える。
【0047】共振周波数よりもいくらか低い領域では、
同位相の騒音が放射され、騒音レベルは増大するが、あ
らかじめ振動面1から放射される騒音のうち、最も多く
放射される周波数帯域の騒音を目標として、それよりも
やや低めの領域に共鳴器3の共振周波数を設定しておく
ことにより、目標周波数帯域の騒音を非常に効率よく低
減することが可能となる。
【0048】次に図4の実施形態を説明すると、この実
施形態では共鳴器3は連結ロッド8を介してのみ振動面
1と連結するだけで、前記したステー4による固定は行
われない。この場合には、共鳴器3の共振周波数よりも
いくらか高い周波数帯域と、箱体5及び振動板6の周囲
の低剛性部材7からなる振動系の共振周波数よりもいく
らか低い周波数帯域との両領域の騒音を目標として消音
できる。
【0049】騒音源である振動面1の振動は連結ロッド
8を介して振動板6に伝達され、これにより共鳴器3の
内部空間を加振する。
【0050】ここで、まず騒音の周波数が共鳴器3の共
振周波数及び箱体5と低剛性部材7から成る振動系の共
振周波数のいずれよりも低い場合について考察する。振
動面1の膜振動に伴い、例えば、連結ロッド8を介して
振動板6が、図中右側に押されるとすると、振動板6そ
のものは共鳴器3の内部空間を圧縮する方向に動くが、
箱体5は固定されておらず、かつ箱体5及び低剛性部材
7からなる振動系の共振周波数よりも低いため、振動板
6と同位相で振動板6の変位以上に同じ方向に変位す
る。
【0051】このため、図5(A)のように、共鳴器3
は内部空間の容積を増大する方向に動き、つまり騒音源
となる振動面1から放射される騒音と逆位相に内部空間
を加振する。一方、この共鳴器3からの騒音は、共鳴器
3の共振周波数よりも低いことから、共鳴器3の中の空
気振動と同位相で放射され、このようにして結局、共鳴
器3から放射される騒音は、振動面1から放射される振
動騒音と逆位相となり、図6にも示すように、この周波
数帯域での騒音レベルを低減することができる。
【0052】次に騒音の周波数が共鳴器3の共振周波数
及び箱体5と低剛性部材7から成る振動系の共振周波数
のいずれよりも高い場合について考える。
【0053】この場合、図5(B)で示すように、い
ま、連結ロッド8により振動板6が図中右側に押された
とすると、振動板6は共鳴器3の内部の空間体積を減ら
す方向に動き、一方、箱体5は固定されておらず、かつ
振動周波数が、箱体5と低剛性部材7からなる振動系の
共振周波数よりも高いため、振動位相が反転する。
【0054】このため、共鳴器3を全体としてみると、
共鳴器内部空間を減少させる方向に動く。つまり、共鳴
器3の内部空間を振動面1から放射される騒音と同一位
相で加振する。これに対して、共鳴器3から放射される
騒音は、振動周波数が共鳴器3の共振周波数よりも高い
ため、位相が反転して放射され、この結果、振動面1か
ら放射される騒音と逆位相となる共鳴器3から放射音に
より、騒音レベルは低減する。
【0055】これらに対して、騒音周波数が上記2つの
領域の間にある場合、例えば、箱体5と低剛性部材7か
ら成る振動系の共振周波数よりも高いが、共鳴器3の共
振周波数よりも低いときは、振動面1の振動に対して、
箱体5の振動位相が反転するため、同一位相で加振され
るが、共鳴器3からの騒音は同位相で放射されるので、
結局、共鳴器3から放射される騒音は振動面1からの放
射騒音と同一位相となり、それだけ騒音レベルは高まっ
てしまう。
【0056】しかし、目標とする消音領域が、上記した
2つの領域のように、2つあるときなど、これらを対象
として上記共振周波数を設定することにより、両方の領
域について効率よく騒音レベルを低減することが可能と
なる。
【0057】次に図7に示す実施の形態について説明す
る。
【0058】これは2つの共鳴器により消音を行うもの
で、図示するように、併置した2つの共鳴器3a、3b
が備えられ、各振動板6a、6bが、分岐アームをもつ
連結ロッド8により振動面1と連結される。共鳴器3
a、3bに対する振動板6a、6bの位置関係は互い逆
になっていて、連結ロッド8により同一方向に押された
ときに、例えば、一方の共鳴器3aの内部空間が圧縮さ
れるが、他方の共鳴器3bの内部空間は拡大される。こ
のため、共鳴器3bに関しては、連結ロッド8が箱体5
bの壁を摺動自由に貫通し、反対面の振動板6bに連結
されている。
【0059】なお、箱体5aと5bは一部が互いに結合
されると共に、ステー4により固定的に支持される。
【0060】そして、共鳴器3aの共振周波数は共鳴器
3bの共振周波数よりも低く設定され、かつ、これら2
つの共振周波数の間に消音を目的とする騒音周波数帯域
がくるように各共振周波数が設定されている。
【0061】このような構成において、振動面1が膜振
動を起こすと、この振動が連結ロッド8を介して共鳴器
3aと3bの振動板6aと6bに伝達され、これらを加
振する。この場合、例えば、連結ロッド8により振動板
6a、6bが図8にも示すように、図中右側に押される
と、共鳴器3aは内部空間が圧縮される方向、つまり振
動面1(つまり騒音)と同位相に加振され、共鳴器3b
は内部空間が拡大する方向、つまり逆位相に加振され
る。
【0062】騒音周波数が共鳴器3aと3bの間の帯域
にある場合、共鳴器3aからの放射音は位相が反転し、
共鳴器3bからの放射音は同位相のままとなる。したが
って、共鳴器3a、3bから放射される騒音は、その周
波数帯域で振動面1から放射される騒音に対して共に逆
位相となるため、互いに打ち消し合い、騒音の放出レベ
ルを低下させられる。
【0063】したがって、この場合には、2つの共鳴器
3a、3bでより大きな消音能力を発揮し、かつより広
い周波数帯域での消音作用が可能となる。
【0064】さらに図9の実施形態を説明する。ここで
は、2つの共鳴器3a、3bを直列的に配置し、振動板
6と低剛性部材7とを互いに共用するようにした。
【0065】つまり、箱体5aと5bを重ね、これらの
間を振動板6、低剛性部材7とにより仕切り、一方の箱
体5bを摺動自由に貫通した連結ロッド8を振動板6に
結合し、これにより振動板6の変位に伴い共鳴器3aと
3bの内部空間は互いに反対方向に拡縮する。各箱体5
a、5bにはそれぞれ一対づつのスロート9aと9bを
設け、外部空間と連通させる。
【0066】そして、共鳴器3aの共振周波数は共鳴器
3bの共振周波数よりも低く、かつ両共鳴器3aと3b
の共振周波数の間に消音を目的とする周波数帯域がくる
ように各共鳴器3a、3bの共振周波数が設定される。
【0067】この場合にも、振動面1の振動に伴い連結
ロッド8を介して振動板6が加振されると、前記第3の
実施形態と同じように、一方の共鳴器3aは同位相、他
方の共鳴器3bは逆位相に加振され(図10参照)、こ
のため、発生する騒音周波数が、両共鳴器3aと3bの
共振周波数の間にあるときは、両共鳴器3a、3bから
の放射音が共に振動面1からの放射騒音と逆位相とな
り、騒音レベルを大幅に低減することができる。
【0068】この場合、振動板6、低剛性部材7を共用
しているので、消音装置の小型化とスペースの利用効率
の向上が図れる。
【0069】なお、図11は、上記した第3、第4の実
施形態による消音効率を示す特性図であり、図中のが
第3実施形態、が第4実施形態の特性を表す。
【0070】いずれについても、共鳴器3a、3bの共
振周波数の間の騒音周波数帯域において騒音レベルが低
減し、それ以外の範囲では逆に高まっている。ただし、
前にも述べたように、消音を目的とする周波数帯域との
関係において、共鳴器3a、3bの共振周波数を設定し
てやれば、とくに問題となることはない。
【0071】次に図12以下の実施形態を説明すると、
これは上記した各実施形態では消音を目的とする周波数
帯域以外での騒音が却って増大する傾向にあるが、この
問題を解消すると同時に、対象目的帯域での消音能力を
さらに高めるようにしたものである。
【0072】まず、図12の第5の実施形態は、基本的
には前記した図1の第1の実施形態に対応するもので、
共鳴器3は振動板6の対向面においてもう一つの振動板
11を備え、この振動板11は周囲の低剛性部材12を
介して箱体5に結合されている。そして、これら互いに
平行な振動板6と11とは並列な減衰機構(ダンパ)1
3と弾性体(バネ)14とにより連結され、連結ロッド
8を介して一方の振動板6に直接的に伝達された振動
が、これら減衰機構13と弾性体14を経由して他方の
振動板11に伝達されるようになっている。
【0073】共鳴器3の共振周波数は消音を目的とする
騒音周波数よりもやや低く設定され、さらに振動板11
と弾性体14から成る共振系の共振周波数は、共鳴器3
の共振周波数よりも高いものの非常に近い値に設定され
る。
【0074】そして、振動板6と11との面積SaとS
cは、以下の条件を満たすように設定されている。
【0075】 Sa/Sc=1/(1−λc41/2…(1) ただし、 λc2=mc・kb[(1+2Cb2/mc・kb)1/2−1]/Cb2…(2 ) なお、mcは振動板11の質量、Cbは減衰機構13の
粘性減衰定数、kbは弾性体14の弾性定数である。
【0076】以上の構成であって、騒音源となる振動面
1の振動に伴い連結ロッド8を介して振動板6が振動
し、さらに減衰機構13と弾性体14を介して振動板1
1が加振される。
【0077】まず騒音の周波数が共鳴器3の共振周波数
よりも低い周波数の場合を考えることにする。この周波
数帯域は図1の前記した実施態様では騒音が却って悪化
している。
【0078】これに対してこの実施形態においては、い
ま、連結ロッド8が図中右側に移動し、振動板6が共鳴
器3の内部空間を圧縮するものとする。このとき振動板
11は、振動板11と弾性体14からなる共振系の共振
周波数よりも低いため、図13の(A)で示すように、
内部空間を拡大するように振動板6と同一方向に動く。
この振動板11の変位は振動板6の変位よりも大きくな
るが、振動板6と11の面積の関係は、式(1)、
(2)のように設定されるため、共鳴器3の内部空間の
容積としては減少する。
【0079】したがって共鳴器3からは振動面1からの
放射騒音と同位相の騒音が放射されるが、振動板11が
共鳴器3の内部空間の体積変動を打ち消す(つまり圧縮
量を少なくする)ように振動するため、放射される騒音
は、振動板11が無いときに比較して減少し、騒音の悪
化代がそれだけ低減できる。
【0080】次に共鳴器3の共振周波数よりも高い消音
効果のある周波数帯域の騒音について考える。いま、上
記と同じように連結ロッド8を介して振動板6が図中右
側に移動したとする。このとき図13(B)のように、
振動板11は、振動板11と弾性体14からなる共振系
の共振周波数よりも高いため、振動板6とは逆方向に動
き、共鳴器3の内部空間をなお一層縮小、つまり連結ロ
ッド8を介して伝達される振動と同位相で大きく加振す
る。しかし、このとき、共鳴器3から放射される騒音
は、共鳴器3の共振周波数よりも高いために位相が反転
し、これが振動面1からの放射騒音を打ち消すように働
く。しかもこの場合、共鳴器3の内部空間の容積変化を
助長するように振動するので、騒音レベルの低減代は非
常に大きくなる。
【0081】このようにして、騒音源から放射される騒
音と同位相の音が共鳴器3から放射されるときは、放射
音は減少し、また逆位相の音が放射されるときは、放射
音が増大するので、図14にも示すように、騒音の悪化
する周波数帯域では悪化代を減じ、消音効果の上がる帯
域では効果代を増大できるのである。なお、図中は第
1実施形態、は本実施形態のそれぞれ特性を示してい
る。
【0082】次に図15の第6の実施形態を説明する。
【0083】この実施形態は、第5の実施形態とは異な
り、共鳴器3の共振周波数よりも小さい低周波数帯域で
の消音を目的とするもので、2つの振動板6と11が、
それぞれ低剛性部材7a、7bを介して共通の箱体5に
並列的に設けられ、箱体5を摺動自由に貫通する連結ロ
ッド8が一方の振動板6に直接的に連結され、他方の振
動板11には、連結ロッド8からの分岐ロッド8aが、
減衰機構13と弾性体14を介して連結する。
【0084】この実施の形態では、共鳴器3の共振周波
数は消音目的の周波数帯域よりも高く設定され、また振
動板11と弾性体14からなる共振系の共振周波数が、
共鳴器13の共振周波数よりも低いが、これに非常に近
い値に設定される。
【0085】そして、振動板6と振動板11との面積比
は、前述した(1)(2)式と同じ関係に設定されてい
る。
【0086】このように構成したので、まず、発生騒音
の消音を目的とする、共鳴器3の共振周波数よりも低い
周波数帯域については、例えば、図16(A)のよう
に、連結ロッド8が図中右側に押されると、共鳴器3の
内部空間を拡大するように振動板6が動く。また、振動
板11については、振動板11と弾性体14との共振系
の共振周波数よりも低いため、振動板11も共鳴器3の
内部空間を拡大する方向に移動する。
【0087】したがって、この周波数帯域では、振動面
1から発生する振動と逆位相でもって振動板6と11が
加振されることになり、逆位相の音が発生することにな
るが、振動板11がある分だけ共鳴器3の内部空間の変
化率が増幅されるため、この逆位相の発生音による騒音
の相殺効果が増大し、図17のとして示すように、騒
音の低減レベルがより大きくなる。なお、減衰機構、弾
性体が無いときの特性をとして示す。
【0088】次に、消音効果としてはむしろ悪化する、
共鳴器3の共振周波数よりも騒音の周波数帯域が高い場
合を考える。
【0089】例えば、図16(B)にも示すように、振
動面1が連結ロッド8を右側に押す場合、振動板6は共
鳴器3の内部空間を拡大する方向に動く。また、振動板
11については、振動板11と弾性体14からなる共振
系の共振周波数よりも高いために、振動板11は共鳴器
3の内部空間を縮小する方向に動く。このため、共鳴器
3の内部空間の拡大量としては、振動板11の分だけ小
さくなる。
【0090】振動面1の振動に対しては、共鳴器3の加
振方向は逆になるが、共鳴器3の共振周波数よりも高い
ため、スロート9から放射される音はさらに位相が反転
し、このため、共鳴器3からの放射音は、騒音と同一の
位相となるが、このように内部空間の変化量が小さくな
る分だけ、騒音の悪化代を小さくできる。
【0091】次に図18に示す第7の実施形態を説明す
る。
【0092】この実施形態は、図15の実施形態にさら
に、もう一つの共鳴器を付加したものであり、所定範囲
の周波数帯域における消音を目的とするものである。
【0093】振動板6と振動板11aをもつ共鳴器3a
と、さらに振動板11bをもつ共鳴器3bが備えられ
る。共鳴器3aの構造は、基本的には図15のものと同
一であり、振動板11aは分岐ロッド8aに対して、減
衰機構13aと弾性体14aを介して連結され、この共
鳴器3aに対して共鳴器3bが直列的に配置され、振動
板6と対峙する振動板11bが減衰機構13bと弾性体
14bを介して互いに連結されている。
【0094】そして、共鳴器3bの共振周波数は共鳴器
3aの共振周波数よりも低く設定され、かつ、これら共
鳴器3aと3bの間に消音を目的とする周波数帯域がく
るように両者の共振周波数が設定される。
【0095】さらに、振動板11aと弾性体14aから
なる共振系の共振周波数が、共鳴器3aの共振周波数よ
りも高いが、非常に近い値に設定され、これに対して、
振動板11bと弾性体14bからなる共振系の共振周波
数が、共鳴器3bの共振周波数よりも低いがこれに非常
に近い値に設定されている。
【0096】また、振動板6と11aとの面積をSとS
aすると、 S/Sa=1/(1−λa41/2…(3) ただし、 λa2=ma・ka[(1+2Ca2/ma・ka)1/2−1]/Ca2…(4 ) なお、maは振動板11aの質量、Caは減衰機構13
aの粘性減衰定数、kaは弾性体14aの弾性定数であ
る。
【0097】また、振動板6と振動板11bとの面積を
SとSbとすると、 S/Sb=1/(1−λb41/2…(5) ただし、 λb2=mb・kb[(1+2Cb2/mb・kb)1/2−1]/Cb2…(6 ) なお、mbは振動板11bの質量、Cbは減衰機構13
bの粘性減衰定数、kbは弾性体14bの弾性定数であ
る。
【0098】次に作用について説明すると、まず、共鳴
器3b共振周波数よりも低い周波数帯域の騒音につい
て、この帯域は消音目的とする周波数帯域から外れ、騒
音はやや悪化していた領域である。
【0099】いま、図19(A)において、振動面1の
振動により連結ロッド8が右側に押される場合、まず共
鳴器3bについてみると、振動板6は共鳴器3bの内部
空間を圧縮する方向に動き、一方、振動板11bについ
ては、振動板11bと弾性体14bからなる共振系の共
振周波数よりも低い周波数のため、振動板11bは共鳴
器3bの内部空間を減少させる方向に動く。振動板6と
11bとの面積比は、前記(5)(6)式のように設定
されているため、共鳴器3bの内部空間の全体容積とし
ては減少する。
【0100】したがって、この共鳴器3bからは振動面
1から放射される騒音と同位相の音が放射されるが、共
鳴器3bの容積変化が少ない分だけ共鳴器3bからの放
射音による悪化代は低減する。
【0101】一方、共鳴器3aについて考えると、上記
と同じように、いま連結ロッド8が図中右側に振動板6
を押すものとすると、振動板6は共鳴器3aの内部空間
を拡大する。また、振動板11aについては、振動板1
1aと弾性体14aからなる共振系の共振周波数よりも
低いことから、同じく内部空間を拡大する方向に移動す
る。したがって、共鳴器3aの内部空間は拡大するた
め、騒音と逆位相の放射音が発生するが、振動板11a
が共鳴器3aの容積変化を増幅するように振動するた
め、放射音は増大する。
【0102】これらの結果、振動面1からの騒音と同位
相の共鳴器3bからの放射音は減少し、これとは逆位相
の共鳴器3aからの放射音は増加するため、全体的な騒
音の悪化代は低減することになる(図20参照)。
【0103】次に消音目的となっている共鳴器3bと3
aとの間の周波数帯域の騒音については、まず共鳴器3
bにおいて、図19(B)で示すように、連結ロッド8
が図中右側に振動板6を押すと、共鳴器3bの空間容積
が減る。振動板11bについては、振動板11bと弾性
体14bから成る共振系の共振周波数よりも高いため、
共鳴器3bの空間容積を減らす方向に動く。
【0104】したがって、共鳴器3bに関しては、振動
板6と11bとは内部空間の容積を減らす方向、つまり
同位相に加振されるが、共鳴器3bの共振周波数よりも
高いため、スロート9からの放射音は位相が反転し、振
動面1からの騒音を相殺するように働き、かつ容積変化
の増幅率も大きいため、騒音の低減レベルも大きくな
る。
【0105】共鳴器3aに関しては、連結ロッド8によ
り振動板6が右側に押される場合、振動板6は共鳴器3
aの内部空間を拡大し、また、振動板11aに関して
は、振動板11aと弾性体14aによる系の共振周波数
よりも低いため、振動板11aは同じく内部空間を拡大
する方向に移動する。
【0106】したがって、共鳴器3aの振動板6と11
aとは振動面1からの騒音と逆位相に加振し、しかも、
騒音周波数が共鳴器3aの共振周波数よりも低いことか
ら、この逆位相の放射音が騒音を相殺し、かつ容積の変
化率も大きいことから、騒音レベルの低減幅も大きくな
る。
【0107】これらの結果、共鳴器3bと共鳴器3aが
共に騒音を低減する方向に働き、かつ低減代も大きくな
る結果、図20にも示すように、この周波数帯域の騒音
を効果的に低減することができる。
【0108】さらに騒音周波数が、共鳴器3aの共振周
波数よりも高い領域の周波数帯域においては、まず共鳴
器3bについて考えると、図19(C)において、連結
ロッド8が図中の右側に動く場合、振動板6と振動板1
1bの関係は、上記した図19(B)と同じとなる。つ
まり、共鳴器3bは騒音と同位相に加振されるが、共鳴
器3bの共振周波数よりも高いため、スロート9からの
放射音は反転し、騒音を相殺するように働く。
【0109】また、共鳴器3aに関しては、振動板6は
振動面1と同一方向に動き、共鳴器3aの内部空間を拡
大し、これに対して、振動板11aは、騒音周波数が振
動板11aと弾性体14aによる系の共振周波数よりも
高いことから、内部空間を減らす方向に加振し、このと
き、振動板6と11aとの面積は、(3)(4)式のよ
うに設定されているため、全体的には容積が拡大する
が、全体の空間容積の変化率は小さくなる。
【0110】共鳴器3aの加振方向としては、騒音と逆
位相となるが、共鳴器3aの共振周波数よりも高いた
め、スロート9からの放射音は位相が反転し、これらの
結果、騒音と同位相の音が放射される。しかし、同位相
の放射音のレベルは、容積変化率が小さいことから小さ
く、このため、騒音の悪化代としては、減少することに
なる。
【0111】このようにして、この実施形態では、いず
れの周波数帯域においても、騒音レベルを相対的に低減
することが可能となる。
【0112】次に図21以下の実施形態を説明すると、
これらは自動車などのエンジンを覆うカバー、つまりエ
ンジンカバーに上記した消音装置を取付けることによ
り、エンジンからの放射騒音を低減するものである。
【0113】まず、図21〜図24に示す第8の実施形
態において、エンジン本体20の上部に位置する、例え
ばロッカカバーなどの騒音発生振動体21を所定の間隙
をもって覆うようにして、エンジンカバー22が備えら
れる。このエンジンカバー22はカバー本体24と共鳴
器23とから構成される。共鳴器23は騒音発生振動体
21に対峙するようにカバー本体24の底面に結合され
る。
【0114】この共鳴器23は、薄い円筒形の箱体25
と、箱体25の一面に低剛性部材27を介して張った振
動板26を備え、振動板26の中心部には騒音発生振動
体21と接触する連結機構28が設けられ、また箱体2
5の一部には内部空間を外部と連通するスロート29が
形成されている。
【0115】共鳴器23の共振周波数は消音を目的とす
る騒音周波数との関係に基づいて、前述したように設定
される。
【0116】なお、エンジンカバー22はエンジン本体
20に対して緩衝材料30を介して当接し、図示しない
固定手段により連結される。
【0117】エンジン本体20の作動に伴い騒音発生振
動体21が振動し、騒音を発生するが、騒音発生振動体
21の振動により共鳴器23の振動板26が連結機構2
8を介して直接的に加振される。
【0118】共鳴器26は上記したように、その共振周
波数よりも高い周波数帯域の騒音に対しては、これとは
逆位相の放射音をスロート29から発生する。このた
め、騒音発生振動体21から放出される騒音は、共振周
波数よりも高い帯域においては、共鳴器23の働きによ
り相殺され、大幅に騒音レベルが低減する。
【0119】とくに、この場合、騒音発生振動体21の
振動エネルギを利用して連結機構28により振動板26
を機械的に駆動するので、振動の伝達効率が高く、それ
だけ効果的に共鳴器23を作用させられる。
【0120】図25はこの様子を表している。ただし、
消音を目的とする周波数帯域よりも低い帯域にあって
は、騒音レベルが悪化しているが、これはエンジンの運
転特性との関係において、最も騒音が問題となる周波数
帯域が消音目的となるように、共鳴器23の共振周波数
を設定することにより、実用的には十分な効果を確保で
きる。
【0121】次に図26に示す第9の実施形態を説明す
ると、これは共鳴器23の周囲において、エンジンカバ
ー22と騒音発生振動体21との間に吸音材33を取付
けたものである。このように吸音材23を配置すること
により、とくに高周波数帯域においての吸音効果が加わ
るため、図27にも示すように、共鳴器23の共振周波
数よりも高い範囲での騒音周波数を相対的に減少させら
れる。
【0122】図28、図29は第10の実施形態を示す
もので、この場合、共鳴器23は箱体25の内部空間で
ある容積変化発生部25aと、これとは別の位置に配設
される共鳴空間としての容積部35と、これらを互いに
連通する連通路34とを備える。
【0123】大きな共鳴空間をもつ容積部35は、エン
ジンカバー22から離れた自由な位置に配置することが
でき、これにより配置上のスペース的な制約を受けるこ
となく、共鳴空間の容積を必要に応じて自由に増加する
ことが可能となり、図30にも示すように、消音を目的
とする周波数帯域において、なお一層消音効果を高めら
れる。
【0124】さらに図31〜図33に示す第11の実施
形態を説明すると、これは、前記した第10実施形態の
ものにおいて、共鳴器23の周囲に位置して吸音材36
を配設し、これにより高周波数の騒音をも低減するよう
にしたものである。
【0125】この場合、図33にも示すように、吸音材
36は共鳴器23の底面にも配置することにより、エン
ジンカバー22とエンジン本体20との間の騒音をさら
に効果的に低減することができる。図34はこの様子を
表すもので、騒音の低減レベルが大幅に改善されている
ことが理解できる。
【0126】
【発明の効果】第1の発明によれば、構造物の振動を連
結機構を介して共鳴器の振動板に直接的に伝達し、この
振動エネルギにより振動板を加振するので、共鳴器の内
部空間は非常に効率よく加振され、この加振によって生
じる共鳴器からの放射音は、共鳴器の共振周波数を境に
して位相が反転し、したがって構造物の振動による騒音
と異なる位相となる周波数帯域において、この騒音を効
果的に低減することができる。
【0127】第2の発明によれば、構造物の振動位相と
同位相で共鳴器の内部空間が加振されるので、共鳴器の
共振周波数以上の帯域での共鳴器からの放射音が騒音と
逆位相となり、この帯域を対象として騒音を低減でき
る。
【0128】第3の発明によれば、構造物の振動と逆位
相で共鳴器の内部空間を加振するので、共鳴器の共振周
波数以下の帯域での共鳴器からの放射音が騒音と逆位相
となり、この帯域を対象として騒音を低減できる。
【0129】第4の発明によれば、共鳴器の共振周波数
と、箱体及び低剛性部材からなる振動系との共振周波数
との関係に基づき、これら共振周波数のうち、いずれか
低いものよりも低い周波数帯域と、高いものよりも高い
周波数帯域での共鳴器からの放射音を騒音と逆位相と
し、両方の周波数帯域での騒音を効果的に低減すること
が可能となる。
【0130】第5の発明によれば、一方の共鳴器の振動
板は構造物の振動と同位相で内部空間を加振し、他方の
共鳴器の振動板は構造物の振動と逆位相で内部空間を加
振するので、2つの共鳴器のもつ共振周波数を境に、そ
れらの間の周波数帯域において、共鳴器からの放射音を
騒音と逆位相にし、騒音を大幅に低減することが可能と
なり、またいずれか低い共振周波数よりも低い周波数帯
域と、いずれか高い共振周波数よりも高い周波数帯域に
おいて、それぞれ、共鳴器内部空間の容積変動率を小さ
くし、これらの帯域における騒音の悪化代を抑制するこ
ともできる。
【0131】第6の発明によれば、第5の発明と同じよ
うに、2つの共鳴器の共振周波数の間の帯域において、
騒音を低減する一方、共鳴器の振動板が共通となり、構
造の小型化、軽量化などが図れ、またコストダウンも可
能となる。
【0132】第7の発明によれば、構造物の振動を連結
機構を介して共鳴器の一方の振動板に直接的に伝達し、
この振動エネルギにより振動板を加振し、共鳴器の内部
空間は非常に効率よく加振されると共に、この振動板の
振動は減衰機構、弾性体を介して他方の振動板を加振
し、これらの加振によって生じる共鳴器からの放射音
は、共鳴器の共振周波数を境にして位相が反転し、した
がって構造物の振動による騒音と異なる位相となる周波
数帯域において、この騒音を低減するが、逆位相の放射
音が放出されるときには、他方の振動板が内部空間の容
積変化を増幅するように作用し、このため騒音の低減効
果が増大する。また、同位相の放射音が放出されるとき
は、同じく他方の振動板が内部空間の容積変動を減少さ
せるように作用し、騒音の悪化代を減じることができ
る。
【0133】第8の発明によれば、第7の発明と同じよ
うに、共鳴器からの放射音は、共鳴器の共振周波数を境
にして位相が反転し、構造物の振動による騒音と異なる
位相となる周波数帯域において、この騒音を低減する
が、逆位相の放射音が放出されるときには、他方の振動
板が内部空間の容積変化を増幅するように作用し、この
ため騒音の低減効果が増大する。また、同位相の放射音
が放出されるときは、同じく他方の振動板が内部空間の
容積変動を減少させるように作用し、騒音の悪化代を減
じることができる。
【0134】第9の発明によれば、2つの共鳴器の共振
周波数を境にして、これらの間の周波数帯域において、
各共鳴器からの放射音が騒音と逆位相となり、かつ、第
1、第2の減衰機構と弾性体の働きにより、逆位相での
共鳴器の内部空間の容積変化を大きくするため、それだ
け騒音の低減効果が増大し、また、いずれか低い共振周
波数よりも低い周波数帯域と、いずれか高い共振周波数
よりも高い周波数帯域において、それぞれ共鳴器内部空
間の容積変動率を小さくし、騒音の悪化代を抑制するこ
ともできる。
【0135】第10の発明によれば、エンジン本体の騒
音発生振動体の振動により、直接的に共鳴器の振動板が
駆動され、共鳴器の共振作用に基づいてエンジン振動騒
音を効果的に低減することができる。
【0136】第11の発明によれば、吸音材により共鳴
器が消音する周波数帯域を含めて高周波数の騒音を相対
的に低減させられる。
【0137】第12の発明によれば、共鳴器の内部空間
と連通する容積部を備えることにより、内部空間容積を
スペース的な制約を受けずに、任意に変更することが可
能となり、必要に応じてより高い消音効果を発揮させる
ことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す断面図である。
【図2】同じくその作動状態を示す断面図である。
【図3】同じくその作動特性を示す特性図である。
【図4】第2の実施形態を示す断面図である。
【図5】(A)、(B)は同じくその作動状態を示す断
面図である。
【図6】同じくその作動特性を示す特性図である。
【図7】第3の実施形態の断面図である。
【図8】同じくその作動状態を示す断面図である。
【図9】第4の実施形態を示す断面図である。
【図10】同じくその作動状態を示す断面図である。
【図11】同じくその作動特性を示す特性図である。
【図12】第5の実施形態を示す断面図である。
【図13】(A)、(B)は同じくその作動状態を示す
断面図である。
【図14】同じくその作動特性を示す特性図である。
【図15】第6の実施形態を示す断面図である。
【図16】(A)、(B)は同じくその作動状態を示す
断面図である。
【図17】同じくその作動特性を示す特性図である。
【図18】第7の実施形態を示す断面図である。
【図19】(A)、(B)、(C)は同じくその作動状
態を示す断面図である。
【図20】同じくその作動特性を示す特性図である。
【図21】第8の実施形態を示す斜視図である。
【図22】同じくその断面図である。
【図23】同じくその底面側から斜視図である。
【図24】同じく作動状態を示す断面図である。
【図25】同じくその作動特性を示す特性図である。
【図26】第9の実施形態を示す断面図である。
【図27】同じくその作動特性を示す特性図である。
【図28】第10の実施形態を示す斜視図である。
【図29】同じくその断面図である。
【図30】同じくその作動特性を示す特性図である。
【図31】第11の実施形態を示す斜視図である。
【図32】同じくその断面図である。
【図33】同じくその一部の拡大断面図である。
【図34】同じくその作動特性を示す特性図である。
【図35】従来例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 振動面 3 共鳴器 5 箱体 6 振動板 7 低剛性部材 8 連結ロッド 9 スロート

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】構造物が振動することによって放射される
    騒音を低減させる消音装置であって、箱体の内部空間を
    振動板及びその周囲の低剛性部材を介して仕切った共鳴
    器と、この共鳴器の振動板に前記構造物の振動を直接的
    に伝達する連結機構とを備えることを特徴とする消音装
    置。
  2. 【請求項2】前記構造物の振動と同位相で振動板が共鳴
    器の内部空間を加振するように構成した請求項1に記載
    の消音装置。
  3. 【請求項3】前記構造物の振動と逆位相で振動板が共鳴
    器の内部空間を加振するように構成した請求項1に記載
    の消音装置。
  4. 【請求項4】前記共鳴器と、共鳴器の箱体及び低剛性部
    材からなる振動系との各共振により、共鳴器内部空間の
    容積変動を調整するようにした請求項1〜3のいずれか
    一つに記載の消音装置。
  5. 【請求項5】前記共鳴器として2つの共鳴器を備え、一
    方の共鳴器の振動板は構造物の振動と同位相で内部空間
    を加振し、他方の共鳴器の振動板は構造物の振動と逆位
    相で内部空間を加振するように構成してある請求項1に
    記載の消音装置。
  6. 【請求項6】前記共鳴器として共通の振動板により箱体
    の内部空間を仕切られた2つの共鳴器を備え、この振動
    板は構造物の振動に応じて一方の内部空間と他方の内部
    空間とをそれぞれ異なった位相で加振するように構成し
    てある請求項1に記載の消音装置。
  7. 【請求項7】構造物が振動することによって放射される
    騒音を低減させる消音装置であって、箱体の内部空間を
    互いに対向する一対の振動板及びその周囲の低剛性部材
    を介して仕切った共鳴器と、これら対向する振動板の間
    を互いに連結する減衰機構及び弾性体と、前記一方の振
    動板に前記構造物の振動を直接的に伝達する連結機構と
    を備えることを特徴とする消音装置。
  8. 【請求項8】構造物が振動することによって放射される
    騒音を低減させる消音装置であって、箱体の内部空間を
    一対の並列な振動板及びその周囲の低剛性部材を介して
    仕切った共鳴器と、一方の振動板に前記構造物の振動を
    直接的に伝達する連結機構と、他方の振動板に構造物の
    振動を間接的に伝達する減衰機構及び弾性体とを備える
    ことを特徴とする消音装置。
  9. 【請求項9】構造物が振動することによって放射される
    騒音を低減させる消音装置であって、箱体の内部空間を
    一対の並列な振動板及びその周囲の低剛性部材を介して
    仕切った第1の共鳴器と、一方の振動板に前記構造物の
    振動を直接的に伝達する連結機構と、他方の振動板に構
    造物の振動を間接的に伝達する第1の減衰機構及び弾性
    体と、前記構造物の振動が直接的に伝達される振動板と
    対向する第3の振動板及び低剛性部材により仕切られた
    第2の共鳴器と、これら対向する2つの振動板を互いに
    連結する第2の減衰機構及び弾性体とを備えることを特
    徴とする消音装置。
  10. 【請求項10】エンジン本体の少なくとも一部を所定の
    間隙をもって覆うエンジンカバーを備え、このエンジン
    カバーとエンジン本体との間において前記連結機構がエ
    ンジン騒音発生振動体の振動を前記振動板に伝達するよ
    うに共鳴器を配置する請求項1〜9のいずれか一つに記
    載の消音装置。
  11. 【請求項11】前記共鳴器の周囲に位置してエンジンカ
    バーと少なくとも騒音発生振動体との間に吸音材を配置
    する請求項10に記載の消音装置。
  12. 【請求項12】前記共鳴器の内部空間と連通路を介して
    接続する容積部を備える請求項10または11に記載の
    消音装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10274988A (ja) * 1997-03-31 1998-10-13 Tokai Rubber Ind Ltd 共鳴型消音器
CN111828129A (zh) * 2019-04-15 2020-10-27 广州汽车集团股份有限公司 排气噪音调节装置及其方法、排气噪音调节系统和车辆
JPWO2019208132A1 (ja) * 2018-04-24 2021-03-11 富士フイルム株式会社 防音構造体

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