JPH09255357A - クロムイオン含有ガラス - Google Patents

クロムイオン含有ガラス

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JPH09255357A
JPH09255357A JP6876996A JP6876996A JPH09255357A JP H09255357 A JPH09255357 A JP H09255357A JP 6876996 A JP6876996 A JP 6876996A JP 6876996 A JP6876996 A JP 6876996A JP H09255357 A JPH09255357 A JP H09255357A
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glass
absorption
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chromium
ions
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JP6876996A
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Katsuhiro Imashita
下 勝 博 今
Akira Shirokura
倉 昌 白
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Kirin Brewery Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Cr4+イオン含有ガラスの提供。 【解決手段】 実質的にRO−Ga2 3 系からなる母
体ガラス、または実質的にRO−Al2 3 系からな
り、B値が0.58以上である母体ガラス(ここで、R
はアルカリ金属土類)にクロムイオンを含有させたこと
を特徴とするクロムイオン含有ガラス。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はCr4+イオンを含有
するガラスに関する。更に詳しくは、本発明は、ガラス
中の固有酸素欠陥(O2 - )量を制御することで、ガラ
ス中のCr4+イオン量を制御したガラスに関する。
【0002】
【従来の技術】遷移金属イオンは特有のブロードな吸収
・発光スペクトルを示すため、その性質を利用して波長
可変固体レーザーの発光イオンとして用いられてきた。
遷移金属イオンは配位子場の影響を受けやすく、これを
制御することにより発振波長に任意性を持たせることが
できるからである。
【0003】CrイオンはルビーレーザーCr3+:Al
2 3 による発振で知られるが、Al2 3 では配位子
場が強く、Crの配位子場を制御することが困難である
ために、波長の任意性を持たせることが困難であった。
その後、アレクサンドライト結晶Cr3+:BeAlO4
により室温で初めて波長可変性を持つレーザーが発振で
きることが知られるようになってから、Crイオンを用
いた波長可変レーザーが数多く研究されてきた。
【0004】Cr3+は主に700〜1000nmの波長
域で発振が得られる。Cr3+はかなり安定に存在するた
め、利用が容易であり、室温で発振可能であるという特
徴がある。
【0005】一方、Cr4+による発振が、フォルステラ
イト(Mg2 SiO4 )結晶で1130〜1360n
m、YAG(Y3 Al5 12)結晶で1360〜153
0nmの波長域で得られている。Cr4+は近赤外域に吸
収を持つことから、Nd:YAGの基本波で励起できる
という特徴がある。
【0006】これらはすべて単結晶を母材とするもので
あるが、Ndイオンについてはガラスを母材とする固体
レーザーも開発がすすめられている。単結晶に比べ、ガ
ラスは作製が容易で、しかも安価であり、さらに組成及
び形状をかなり自由に変化させることができるので、新
しいレーザー材料として期待されている。
【0007】しかし、ガラス中の金属イオンの価数を制
御する手段としては、溶融雰囲気を制御する方法が一般
に取られているが、所望のイオン価数を高濃度で保持す
るのは困難であった。Cr4+をガラス中に高濃度で保持
しようとしてもCr3+とCr6+が安定であるため、Cr
4+を高濃度でガラス中に保持する技術は、これまでほと
んど報告されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、Cr
イオンを含有させたガラス中の全Cr濃度に対するCr
4+濃度の比率の高いガラスを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
[発明の概要] <要旨>本発明のクロムイオン含有ガラスは、実質的に
RO−Al2 3 系(ここで、Rはアルカリ土類金属で
ある)からなり、B値(Basicity Parameter)が0.58
以上である母体ガラスにクロムイオンを含有させたこ
と、を特徴とするものである。
【0010】また、本発明のクロムイオン含有ガラス
は、実質的にRO−Ga2 3 系(ここで、Rはアルカ
リ土類金属である)からなる母体ガラスにクロムイオン
を含有させたこと、を特徴とするものである。
【0011】<効果>本発明のガラスにより、ガラスを
母材とする固体レーザー用材料が提供される。
【0012】[発明の具体的説明] <母体ガラス>本発明のガラスの母体として用いるガラ
スは、実質的にRO−Al2 3 系からなり、B値が
0.58以上のもの、または実質的にRO−Ga2 3
系からなるもの、のいずれかである。
【0013】ここでRはアルカリ土類金属であり、具体
的にはBe、Mg、Ca、Sr、BaおよびRaであ
る。実際に母体ガラスを調製するのに、Rとして、それ
ぞれ単一の元素を選択する必要はなく、その範疇に含ま
れるものを混合して用いることもできる。また、ここで
いう「実質的にRO−Al2 3 からなり、」または
「実質的にRO−Ga2 3 からなり、」とは、当該成
分が全体の70モル%以上、好ましくは80モル%以
上、であることをいう。
【0014】この組成から明らかなように、このガラス
には所謂酸化物ガラスの範疇に属するものである。これ
らの成分表現はガラスの組成表示で慣用されているとこ
ろに従ったものであって、Al2 3 等の成分は必ずし
もガラス中での状態を示すものではない。例えばSrO
は溶融ガラス化の際の投入原料というよりはガラスの基
本骨格を示すものとしての意味を持ち(投入原料しては
例えば炭酸ストロンチウム)、一方、Ga2 3 および
Al2 3 はこれらの形態で投入原料とされることが普
通である。なお、本発明に用いるガラスは、本発明の効
果を損なわない範囲で、上記以外の補助成分を含んでも
よいが、レーザー素材などの光学的な用途を目的とする
場合には、ガラスに不必要な吸収を持たせないように、
補助成分の種類および(または)添加量について注意が
必要である。
【0015】実際にこれらの原料からガラスを調製する
方法は、当業者に知られたいかなる手段を用いることも
できる。一般的には、これらの原材料を所望の組成とな
るように配合し、加熱溶融させて調製する。
【0016】本発明でいうB値とは、ガラス組成物の塩
基度を指標化したものである。具体的には下記のように
求めることができる(J.Am.Ceram.Soc.77 [12] 3113-18
(1994)) 。
【0017】まず、RもしくはAlまたはGaの酸素と
の結合力をAi を、価数をZi 、陽イオン半径をRi
して次のように求める。 Ai =Zi ×2/(ri +1.40)2 このAi より酸素イオン活量(ガラスの塩基度)Bi
が求められる。 Bi ’=1/Ai このようにして求めたBi ’を、SiO2 のときに0、
CaOのときに1となるように規格化してBi を求め
る。 Bi =(Bi ’−BSiO2’)/(BCaO ’−BSiO2’) =(Bi ’−0.405)/1.023 ガラスが多成分のときには B=Σni i となる。
【0018】本発明では、母体ガラスとしてRO−Al
2 3 系のガラスを用いる場合は、上記のB値が0.5
8以上、好ましくは0.70以上のものを用いる。後述
するように、母体ガラスのB値が高いほど、ガラス中の
固有酸素欠陥が多くなる傾向があり、含有されるCr4+
イオンのCr3+またはCr6+イオンに対する相対的濃度
も高くなる傾向がある。B値を制御する手段としては、
そのガラスの組成を制御する方法が好ましい。特に、ア
ルカリ金属土類RとしてCaやBaを多く用いることに
よりB値を高くするのが好ましい。
【0019】一方、母体ガラスとしてRO−Ga2 3
系ガラスを用いた場合には、B値は限定されない。しか
しながらRO−Ga2 3 系ガラスでも、そのB値は
0.58以上であるのが好ましく、0.70以上である
のがさらに好ましい。RO−Ga2 3 系ガラスでもB
値が大きい方が固有酸素欠陥が多くなる傾向があるから
である。
【0020】<クロムイオン>本発明のガラスはクロム
イオンを含有している。クロムイオンを含有させるため
に用いる原材料としては、本発明の効果を損なわないも
のであり、B値を本発明で規定する範囲から逸脱させな
いものであれば、任意のクロム化合物を使用することが
できる。使用するクロムの価数はいくつであってもよ
い。これは後述するようにガラス中でクロムイオンはC
3+とCr6+のRedox平衡を保ち、そのCr3+がC
4+に変化するからである。具体的には、酸化クロム
(Cr2 3、CrO2 またはCrO3 )、塩化クロ
ム、硝酸クロム、フッ化クロムまたは硫酸クロムなどが
挙げられる。
【0021】これらのクロム化合物は、ガラスの調製に
あたり任意の段階で添加することができる。すなわち、
クロム化合物を所定の比率で配合されたガラス原料中に
配合してもよいし、または母体ガラスを粉砕したガラス
粉末に配合してから再溶融してもよい。ただし、ガラス
中に含有されるクロムのRedox平衡は酸化雰囲気下
ではCr6+が多い方に偏りやすいので、これを不必要に
酸化雰囲気におかないために、クロムイオンを導入した
後の溶融は、酸素の少ない雰囲気で行うのが好ましい。
具体的には、クロム化合物を添加した後の溶融は、減圧
下または不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。
【0022】また、ガラス中のCr4+濃度を高くするた
めには、より多くのクロム化合物を添加することが好ま
しいが、レーザー素材としての利用を考えた場合、添加
するクロム化合物の量が多すぎると、励起されて発生す
る蛍光がクロムイオンにより吸収される、いわゆる再吸
収が大きくなってしまう。このため、添加するクロムイ
オンの濃度は、10〜50000ppmであるのが好ま
しく、100〜5000ppmであることが特に好まし
い。
【0023】<ガラス中におけるクロムイオンの挙動>
本発明はいかなる理論によっても制限されるものではな
いが、本発明のガラスは以下に述べるようなメカニズム
により得られると本発明者らは推測している。
【0024】ガラス中にクロムイオンを導入した場合、
クロムイオンはCr3+とCr6+のRedox平衡を保っ
ており、通常はCr4+はほとんど存在しない。これらの
イオンの存在はクロムイオンを含有させたガラスの吸収
スペクトルから確かめることができる(例えば、図5参
照)。ガラス中のこれらのイオンの相対量は吸収スペク
トル面積から求めた積分吸収係数Σαから求めることが
できる。
【0025】
【数1】
【0026】ここでI0は入射光強度、I は透過光強度、
d は試料の厚さ、[Cr]はイオン濃度を表している。Cr
3+の相対量は4 2 4 2 4 2 2 1 および4
22 Eの3つの遷移の積分吸収係数の合計から、ま
たCr6+の相対量は370nmにピークを持つ電荷移動
遷移に基づく吸収の積分吸収係数から、さらにCr4+
相対量は可視〜近赤外域の吸収の積分吸収係数から求め
ることができる。この方法により、各種の組成のガラス
について、含有しているクロムイオンの濃度を比較する
と、本発明のガラスでは相対的にCr4+濃度が高い(表
2)。表2の結果から得られる、固有酸素欠陥量に対す
るCr4+の濃度の関係は図4に示すとおりである。
【0027】また、各種の組成のガラスについてESR
スペクトルを測定すると、本発明のガラスにはg=2.
008に鋭いピーク、g=2.06に小さいショルダー
が認められた(図1参照)。さらに本発明のガラスをア
ニールするとガラス全体に気泡が見られる場合がある。
これらの結果から、本発明のガラスにはO2 - (固有酸
素欠陥)が含まれることがわかる。このO2 - の相対量
は、ESRスペクトルの面積から近似的に算出できる。 A=I×(ΔH)2 ここで、Iはピーク高さ、ΔHはピーク間線幅である。
すなわち、本発明のガラスは固有酸素欠陥を有してお
り、ESRにて検出できる程度の固有酸素欠陥を有する
ことが好ましい。なお、ESRにより検出可能なCr3+
についても同様に相対量を求められる(表2)。
【0028】これらの結果より、本発明のガラス中には
固有酸素欠陥があり、この固有酸素欠陥が、Redox
平衡にあるクロムイオンのうちのCr3+と、下記のよう
な反応をしてCr4+を生じさせていると考えられる。 Cr3+ + O2 - → Cr4+ + 2O-
【0029】
【実施例】以下の実施例は本発明をさらに具体的に説明
するためのものである。ガラスの調製方法 ケイ酸塩系、ホウ酸塩系、リン酸塩系、アルミン酸塩系
およびガリウム酸塩系の5つのガラス系について検討を
行った。ガラス試料は母体ガラスをまず溶融し、キャス
ティングしたあと粉砕し、これにCr2 3 を添加し、
再溶融を行った。1回目の溶融および2回目の再溶融の
条件は表1に示すとおりであった。
【0030】表1 ホウ酸塩系 ケイ酸塩系 アルミン酸塩系 ガリウム酸塩系 リン酸塩系 温度(℃) 1500 1600 1500 1200 時間(hr) 2 2 1 1 雰囲気 Arガス → → → (酸素分圧10Pa)中 Cr2 3 0.025mol% → → →添加量
【0031】リン酸塩ガラスはアルミナるつぼを用いて
溶融を行った。また、1回目の溶融時に酸素を吹き込ん
で脱水処理を行った。そのほかのガラスは白金るつぼを
用いて溶融を行った。それぞれの場合において、溶融は
Cr6+の生成を抑えるためにArガス雰囲気中で行っ
た。
【0032】実施例1(アルミン酸塩系ガラス) 組成が65CaO−35Al2 3 となるように炭酸カ
ルシウムと酸化アルミニウム粉末を調合し、表1の条件
に従ってガラスを調製した。得られたガラスについて、
UV−VIS−IR分光光度計(日立社製)を用いて吸
収スペクトルを測定した。得られた吸収スペクトルは図
3に示すとおりであった。その吸収スペクトルにはCr
4+の特徴である、可視域の強い吸収帯および近赤外域の
弱いブロードな吸収帯が認められた。また、370nm
付近にCr6+による吸収も認められた。このガラスのB
値、各クロムイオンに対する積分吸収係数、ESRより
求められたCr3+およびO2 - の量は表2に示すとおり
であった。
【0033】実施例2(ガリウム酸塩系ガラス) 組成が65SrO−35Ga2 3 となるように炭酸ス
トロンチウムと酸化ガリウム粉末を調合し、表1の条件
に従ってガラスを調製した。得られたガラスについて、
実施例1と同様に吸収スペクトルを測定した。得られた
吸収スペクトルは図3に示すとおりであった。その吸収
スペクトルにはCr4+の特徴である、可視域の強い吸収
帯および近赤外域の弱いブロードな吸収帯が認められ
た。また、370nm付近にCr6+による吸収も認めら
れた。このガラスのB値、各クロムイオンに対する積分
吸収係数、ESRより求められたCr3+およびO2 -
量は表2に示すとおりであった。
【0034】実施例3(ガリウム酸塩系ガラス) 組成が65BaO−35Ga2 3 となるように炭酸バ
リウムと酸化ガリウム粉末を調合し、表1の条件に従っ
てガラスを調製した。得られたガラスについて、実施例
1と同様に吸収スペクトルを測定した。その吸収スペク
トルにはCr4+の特徴である、可視域の強い吸収帯およ
び近赤外域の弱いブロードな吸収帯が認められた。ま
た、370nm付近にCr6+による吸収も認められた。
このガラスのB値、各クロムイオンに対する積分吸収係
数、ESRより求められたCr3+およびO2 - の量は表
2に示すとおりであった。
【0035】比較例1(ガリウム酸塩系ガラス(3元素
系)) 組成が40BaO−30Ga2 3 −25Nb2 5
なるように炭酸バリウム、酸化ガリウムおよび酸化ニオ
ブ粉末を調合し、表1の条件に従ってガラスを調製し
た。得られたガラスについて、実施例1と同様に吸収ス
ペクトルを測定した。得られた吸収スペクトルは図5に
示すとおりである。本発明外のこのガラスにはCr6+
よる吸収は認められたが、Cr4+による吸収は認められ
なかった。このガラスのB値、各クロムイオンに対する
積分吸収係数、ESRより求められたCr3+およびO2
- の量は表2に示すとおりであった。
【0036】この系において、アルカリ土類金属の組成
を増やす実験も行ったが、この場合には相対的にCr6+
による吸収の強度が増加し、Cr3+による吸収の強度が
減少する傾向が認められ、Cr4+の発生は認められなか
った。
【0037】比較例2(ケイ酸塩系ガラス) 組成が30Na2 O−70SiO2 となるように炭酸ナ
トリウムと酸化ケイ素粉末を調合し、表1の条件に従っ
てガラスを調製した。得られたガラスについて、実施例
1と同様に吸収スペクトルを測定した。得られた吸収ス
ペクトルは図5に示すとおりである。本発明外のこのガ
ラスにはCr3+による吸収は認められたが、Cr4+によ
る吸収は認められなかった。
【0038】この系において、アルカリ土類金属の組成
を増やす実験も行ったが、この場合には相対的にCr6+
による吸収の強度が増加し、Cr3+による吸収の強度が
減少する傾向が認められた。ここで、アルカリ土類金属
と酸化ケイ素の比率を変えたときのB値と、Cr3+お
よびCr6+の積分吸光係数Σαの関係は図6に示すと
おりであった。これにより、この系ではCr3+−Cr6+
Redox平衡が成り立っており、組成を変化させても
Cr4+は発生していないことがわかった。
【0039】比較例3(ホウ酸塩系ガラス) 組成が30Na2 O−70B2 3 となるように炭酸ナ
トリウムと酸化ホウ素粉末を調合し、表1の条件に従っ
てガラスを調製した。得られたガラスについて、実施例
1と同様に吸収スペクトルを測定した。得られた吸収ス
ペクトルは図5に示すとおりである。本発明外のこのガ
ラスにはCr3+およびCr6+による吸収は認められた
が、Cr4+による吸収は認められなかった。この系にお
いて、アルカリ土類金属の組成を増やす実験も行った
が、比較例2のアルミン酸塩系ガラスの場合と同様に相
対的にCr6+による吸収の強度が増加し、Cr3+による
吸収の強度が減少する傾向が認められた。ここで、アル
カリ土類金属と酸化ケイ素の比率を変えたときのB値
と、Cr3+およびCr6+の積分吸光係数Σαの関係
は図7に示すとおりであった。これにより、この系では
Cr3+−Cr6+Redox平衡が成り立っており、組成
を変化させてもCr4+は発生していないことがわかっ
た。
【0040】比較例4(リン酸塩系ガラス) 組成が30Na2 O−60P2 5 −10Al2 3
なるように炭酸ナトリウム、メタリン酸および酸化アル
ミニウム粉末を調合し、表1の条件に従ってガラスを調
製した。得られたガラスについて、実施例1と同様に吸
収スペクトルを測定した。得られた吸収スペクトルは図
5に示すとおりである。本発明外のこのガラスにはCr
3+による吸収は認められたが、Cr4+およびCr6+によ
る吸収は認められなかった。
【0041】この系において、アルカリ土類金属の組成
を増やす実験も行ったが、この場合にはCr3+の吸収は
組成に依存せず、ほぼ一定であった。ここで、アルカリ
土類金属と酸化ケイ素の比率を変えたときのB値と、C
r3+の積分吸光係数Σαの関係は図8に示すとおりで
あった。これにより、この系ではRedox平衡を示さ
ず、組成とは無関係にCr3+が一定量存在し、Cr4+
存在しないことがわかった。
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】本発明により、レーザー用素材として有
用なクロムイオン含有ガラスが得られることは[発明の
概要]の項に前記したとおりである。
【図面の簡単な説明】
【図1】各種の組成におけるガラスのESRスペクトル
を表す図。
【図2】各種の組成のガラスにCrイオンを添加したも
ののESRスペクトルを表す図。
【図3】RO−Al2 3 系およびRO−Ga2 3
のガラスにCrイオンを添加したときの吸収スペクトル
を表す図。
【図4】各種の組成のガラスにおける固有酸素欠陥量と
Crイオンを添加したときのCr4+濃度の関係を示す
図。
【図5】各種の組成のガラスにCrイオンを添加したと
きの吸収スペクトルを表す図。
【図6】ケイ酸塩系ガラスにおける、B値とCr3+およ
びCr6+の濃度の関係を示す図。
【図7】ホウ酸塩系ガラスにおける、B値とCr3+およ
びCr6+の濃度の関係を示す図。
【図8】リン酸塩系ガラスにおける、B値とCr3+およ
びCr6+の濃度の関係を示す図。
【符号の説明】
1 ペルオキシラジカルO2 - によるピーク 2 Cr3+孤立イオンによるピーク 3 Cr3+交換結合ペアによるピーク

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】実質的にRO−Ga2 3 系(ここで、R
    はアルカリ土類金属である)からなる母体ガラスにクロ
    ムイオンを含有させたことを特徴とするクロムイオン含
    有ガラス。
  2. 【請求項2】母体ガラスのB値が0.58以上である、
    請求項1に記載のガラス。
  3. 【請求項3】母体ガラス中に含有される全クロムイオン
    のモル濃度が10〜50000ppmである、請求項1
    または2のいずれか1項に記載のガラス。
  4. 【請求項4】母体ガラス中に固有酸素欠陥を含む、請求
    項1〜3のいずれか1項に記載のガラス。
  5. 【請求項5】実質的にRO−Al2 3 系(ここで、R
    はアルカリ土類金属である)からなり、B値が0.58
    以上である母体ガラスにクロムイオンを含有させたこと
    を特徴とするクロムイオン含有ガラス。
  6. 【請求項6】母体ガラス中に含有される全クロムイオン
    のモル濃度が10〜50000ppmである、請求項5
    に記載のガラス。
  7. 【請求項7】母体ガラス中に固有酸素欠陥を含む、請求
    項5または6のいずれか1項に記載のガラス。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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