JPH09254601A - スポークホイール - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 リムが撓んだ場合などにおいてもリムとスポ
ークとの気密性を保ち、リムからの空気の漏出を防止し
得るスポークホイールを提供する。 【解決手段】 本発明は、リム１の底面部１ａに対向す
る環状のベルト部材７を備え、前記ベルト部材７をリム
底面部に対向した状態で固定することにより、リム１の
底面部１ａに形成されたスポーク取付孔１ａ１から突出
するニップル５の頭部５ａをベルト部材７の内面で押圧
してリム１の底面部に圧接させるようにする一方、前記
リム１からの押圧力に伴ってスポーク４をハブ３の内方
へと摺動させ得るようにしたものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、リムとハブとをス
ポークを介して連結してなるスポークホイール、特にチ
ューブレスタイヤに使用されるスポークホイールに関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、モーターサイクルにおいては、図
８に示すように、タイヤＴを保持するリムＡと、アクス
ルシャフトに回動自在に支持されるハブＢとを多数のス
ポークＣによって連結してなるスポークホイールＨが用
いられている。図９はこの従来のスポークホイールＨの
縦断面構造を示す図である。ここに示すスポークホイー
ルＨは、チューブレスタイヤに使用されるものとなって
おり、ホイールＨのリムＡの内側面にはタイヤＴのビー
ド部Ｔａが気密状態を保ち得るよう嵌着されている。

【０００３】そして前記リムＡの底面部Ａａには、その
周方向に沿ってスポークＣを挿通させる取付孔Ａｂが形
成されており、ここにスポークＣの一方部Ｃａに螺合さ
せたニップルＤが抜脱不能に挿通されている。また、前
記ニップルＤの頭部ＤａとリムＡの取付孔Ａｂとの間に
は気密性を高めるためのシール部材Ｅが設けられてい
る。一方、前記スポークＣの他方部は前記ハブＢに形成
された挿通孔Ｂａに挿通されており、その端部に形成さ
れた係止部Ｃｂが前記挿通孔Ｂａからの抜脱を阻止する
ようになっている。このように構成されたスポークホイ
ールＨにおいては、ニップルＤを回転させることによっ
て、これに螺合するスポークＣをその軸線方向へと移動
させることができ、これによってスポークの張り具合を
適宜調整することができる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のスポークホイールにおいては、車輪が路面に激しく
当接して路面から大きな衝撃を受けた場合、あるいはニ
ップルＤが緩んでいた場合にニップルの頭部Ｄａがリム
Ａの内方へと突出してシール部材Ｅから離間し、タイヤ
内の空気が挿通孔Ａｂから漏出して空気圧が低下すると
いう問題があった。

【０００５】この発明は前記問題点に着目してなされた
もので、リムとスポークとの気密性を維持することがで
き、リムからの空気の漏出を防止し得るスポークホイー
ルの提供を目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、アクスルシャ
フトに挿通されるハブと、タイヤの側面部を密嵌させる
リムと、一方部が前記ハブに前記リムの方向には抜脱不
能に係止される多数のスポークとを設けると共に、前記
スポークの他方部には、リムの底面部に形成されるスポ
ーク取付孔の開口部端縁に係止される係止部を形成して
なるスポークホイールにおいて、前記リムの底面部に対
向する環状のベルト部材を備え、前記ベルト部材をリム
の底面部に対向した状態で固定することにより、前記ス
ポーク取付孔から突出する係止部をベルト部材内面で押
圧してリムの底面部に圧接させるようにする一方、前記
リムからの押圧力に伴ってスポークをハブ内方へと摺動
させ得るようにしたものである。従って、車輪と路面と
の当接時の衝撃などにより、スポークにリム内方へと突
出する力が加わったとしても、ベルト部材がスポークに
設けられている係止部をを底面方向へと押圧するため、
スポーク取付孔の開口部端縁と係止部との間の気密性は
保たれ、スポーク取付孔からの空気の漏出は防止され
る。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態を詳細に説明する。図１ないし図５は本発明の
実施の形態を示す図であり、図１はこの実施形態におけ
る要部を示す説明縦断正面図、図２は同実施形態におけ
るニップル等の構成を示す縦断正面図、図３は同実施形
態におけるリムの周辺構成を示す説明斜視図、図４ない
し図７は同実施例におけるベルト部材を示す図である。

【０００８】図１において、１はチュウーブレスタイヤ
２のビード部２ａを気密性が保たれるよう嵌着させてな
るリム、３はアクスルシャフト（図示せず）に回動自在
に支持されるハブ、４はこのリム１とハブ３とを連結す
る多数のスポークである。このスポーク４の一方部に
は、図２に示すように雄ねじ部４ａが形成されており、
これがニップル（係止部材）５に形成された雌ねじ部５
ａに螺合している。前記ニップル５は、前記リム１の底
面部１ａに形成されたスポーク取付孔１ａ１に回動可能
に挿通される筒状部５ｂと上下両面が凸弧面形状をなす
頭部５ｃとを一体に形成したものとなっており、この頭
部５ｃが環状のシール部材６を介して前記取付孔１ａ１
の開口部端縁に係止されるようになっている。なお、シ
ール部材６は耐オゾン性及び高潤滑性を有する高硬度の
ゴム材からなっており、ここではニップル５と別体に形
成されているが、ニップル５の下面に焼き付けなどによ
って一体化しても良い。

【０００９】また、前記スポーク４の他方部には、屈曲
部４ｂが形成され、これが前記ハブ３の左右の傾斜面３
ａに形成した取付孔３ａ１に摺動可能に挿通されてお
り、そのスポーク４の端部にスポーク本体部より大径に
形成された係止部４ｃによって取付孔３ａ１からのスポ
ーク４のリム１方向への抜脱を阻止し得るようになって
いる。また、この実施形態における屈曲部の長さＬは、
従来のスポークにおける屈曲部の長さに比べて大幅に拡
大されたものとなっている。すなわち、従来の屈曲部Ｌ
の長さは５〜１２ｍｍであるのに対し、この実施形態に
おける屈曲部４ｂの長さＬは２０ｍｍ以上に設定されて
いる。

【００１０】一方、前記リム１の底面部１ａには、図４
に示すような環状のベルト部材７が装着されている。こ
のベルト部材７は、図５ないし図６に示すように、その
一端部７ａが他端部７ｂに対して挿脱可能となってお
り、両端部を嵌合させた状態で、一端部７ａに固定され
たナット８と、他端部７ｂに挿入された長ねじ９とを互
いに螺合させることにより環状に連結し得るようになっ
ている。この環状に連結されたベルト部材７の周長は、
長ねじ９を正方向または逆方向へと回転させることによ
り縮小または拡大させることが可能となっており、上記
両端部７ａ，７ｂと長ねじ９及びナット８によって周長
の調整機構１０が構成されている。なお、リム１への装
着時におけるベルト部材７の周長は、ベルト部材７の内
面がニップル５の頭部５ｃに圧接するような値に調整さ
れる。

【００１１】以上のように構成されたこの実施形態にお
けるスポークホイールによれば、走行時において路面と
車輪との当接によりリム１が内径方向へと撓んだ場合、
あるいはニップル５に緩みが生じていた場合にも、バン
ド部材７がニップル５の頭部５ｃをリム１の底面方向へ
と押圧しているため、ニップル５はリム１と共に内径方
向へと移動し、リム１との間の気密性は保たれる。また
この時スポーク４はニップル５と共に内径方向へと押圧
されるため、その押圧力によってスポーク１の屈曲部４
ｂは取付孔３ａ１内を摺動してハブ３の内方へと突出す
る。このため、リム１の撓みによってスポーク４に曲り
や折れなどの不都合が発生することはなく、リム１は常
に適正な状態に保たれる。また、ニップル５の頭部５ｃ
は前述のように凸弧面形状をなし、ベルト部材７との接
触は点接触となっているため、ニップル５の増し締め作
業などにおいても殆ど抵抗が生じることはなく、作業性
が損なわれることはない。

【００１２】なお、上記実施の形態においては、ベルト
部材７の周長を調整機構１０によって調整し得るように
した場合を例にとり説明したが、調整機構１０を設けず
に両端部を一定位置にて連結するようにしても良い。ま
た、調整機構によってベルトの周長を調整し得るよう構
成する場合には、分離不能な環状部材によってベルト部
材を構成しても良い。勿論この場合には、ベルト部材の
周長をリム１の外径以上に設定する必要がある。

【００１３】

【発明の効果】以上説明したとおり、この発明に係るス
ポークホイールによれば、路面と車輪との当接によりリ
ムに撓みが生じたとしても、環状のベルト部材がスポー
クの一方部に設けた係止部をリムの底面部に押し付け、
スポーク取付孔との気密性を保つようになっているた
め、タイヤ内の空気が取付孔から漏出するのを防止する
ことができ、空気圧の低下を抑えることができる。ま
た、リムの撓みに伴ってスポークをハブの内方へと突出
させるようにしたため、スポークに折れや曲りが発生す
ることはなくなり、常に適正な状態に保つことができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る実施形態の要部を示す説明縦断正
面図である。

【図２】図１に示したニップル及びスポークの形状を示
す縦断正面図である。

【図３】図１に示したリム周辺の構造を示す説明斜視図
である。

【図４】図１に示したベルト部材を示す斜視図である。

【図５】図４に示したベルト部材の両端部の構造を示す
縦断側面図である。

【図６】図４に示したベルト部材の両端部を示す斜視図
である。

【図７】図６に示したベルト部材の両端部を連結した状
態を示す斜視図である。

【図８】スポークホイールを示す側面図である。

【図９】従来のスポークホイールにおけるスポークの取
付状態を示す一部縦断正面図である。

【符号の説明】

１ リム １ａ スポーク取付孔 ２ チューブレスタイヤ ３ ハブ ４ スポーク ５ ニップル（係止部材） ５ａ 頭部 ７ ベルト部材

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 アクスルシャフトを挿通させるハブと、 チューブレスタイヤを密嵌させるリムと、 一方部が前記ハブに前記リムの方向には抜脱不能に挿通
   される多数のスポークとを設けると共に、 前記スポークの他方部には、リムの底面部に形成された
   スポーク取付孔の開口部端縁に係止される係止部を設け
   てなるスポークホイールにおいて、 前記リムの底面部に対向する環状のベルト部材とを備
   え、 ベルト部材をリムの底面部に対向した状態で固定するこ
   とにより、前記スポーク取付孔から突出する係止部をベ
   ルト部材内面で押圧してリムの底面部に圧接させるよう
   にする一方、 前記リムからの押圧力に伴ってスポークをハブ内方へと
   摺動させ得るようにしたことを特徴とするスポークホイ
   ール。