JPH09251098A - 全反射ミラーの曲率調整機構 - Google Patents

全反射ミラーの曲率調整機構

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JPH09251098A
JPH09251098A JP8475896A JP8475896A JPH09251098A JP H09251098 A JPH09251098 A JP H09251098A JP 8475896 A JP8475896 A JP 8475896A JP 8475896 A JP8475896 A JP 8475896A JP H09251098 A JPH09251098 A JP H09251098A
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reflection mirror
curvature
adjusting mechanism
rotary
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Kiyoshi Aizawa
清志 合澤
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Kawasaki Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 電子蓄積リングの放射光誘導管に設ける全反
射ミラーの曲率調整に用い、凹面鏡の曲率を大きくして
も凸形に変形する反跳的現象が生じないようにした全反
射ミラーの曲率調整機構を提供する。 【解決手段】 光路に沿って設けられた固定枠5に回転
軸7を介して支持され回転軸7の周りに回動する1対の
回転枠9とこれら回転枠同士を連結するアーム軸棒11
とを備え、回転枠9のクランプ機構が、全反射ミラー組
立体23のそれぞれ1端を全反射ミラー表面が回転枠体
に対して一定の角度を保持するように把持し、アーム軸
棒11が両端をそれぞれ回転枠9の回転軸7位置もしく
はそれより全反射ミラー表面の向く方向に偏倚した位置
に固着されており、さらに中央部分を軸に対して垂直方
向に押し引きする牽引機構13を備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子蓄積リングに
おいて放射されるシンクロトロン放射光を集光させて放
射光の利用効率を向上させるために放射光誘導管内に設
置される全反射鏡の曲率調整機構に関する。
【0002】
【従来の技術】放射光施設は高速電子のビーム軌道を偏
向磁石の磁場によって曲げることにより、そのビーム軌
道の接線方向に放射されるシンクロトロン放射光を利用
するものである。電子蓄積リングにおいては、電子蓄積
リングを構成する真空チャンバにおける湾曲部の外側壁
にビーム軌道の接線方向に延びる放射光誘導管を設けて
その開口を介して放射光を取り出す構成が用いられる。
【0003】ただし、シンクロトロン放射光はビーム軌
道の湾曲部における接線方向は連続的に変化するため電
子は連続的に光を放出しているにも拘わらず、放射光誘
導管から取り出すことができるシンクロトロン放射光は
放射光誘導管の出射開口がビーム軌道の接点位置に対し
て張る角度中に属する部分だけとなり、放射光の利用効
率の点で不十分なものであった。
【0004】特開平7−239400には、放射光をよ
り効率的に利用するため、また放射光の強さを調整する
ため、放射光誘導管の入射開口部に平面鏡や凹面鏡を組
み合わせた集光ミラーを配して入射した放射光を焦点に
集光させる構造が開示されている。放射光誘導管に入射
する光を一定の焦点位置に集光させるためには、臨界角
以下の極めて浅い角度から入射したときの全反射を利用
する全反射ミラーを用いることが好ましい。電子蓄積リ
ング中の電子ビーム軌跡の接線方向に出射して放射光誘
導管に放射されてくる光は開口への入射位置により入射
角が異なるためこれを同じ焦点に集束させるためには反
射鏡の表面の傾きが入射位置により異なるように配置さ
れた凹面鏡にする必要がある。
【0005】上記の出願公開公報に開示された構造は、
図6に示されたように、放射光誘導管の壁を貫通して配
される2個の調整ロッドと調整ロッドの中間位置に配さ
れるミラー支持板固定部材を備えた鏡面曲率調整手段を
有する。この鏡面曲率調整手段は、ミラー支持板固定部
材に中央部分を固定された凹面鏡支持板の両端位置を調
整ロッドの繰り出し量を調整することにより凹面鏡支持
板の屈曲量を調整して凹面鏡表面の曲率を調整し、放射
光を焦点に集光させる。
【0006】この発明の鏡面曲率調整手段は、調整ロッ
ドが支持板の裏側を点で押す構造になっているため幅の
ある支持板を均等に変形させることに困難がある。この
ような困難を解消させるため支持板の形状を長方形でな
くほぼ菱形にして細くなった端部を押し引きするように
したものもある。しかし、シンクロトロン放射光には反
射鏡で反射する他にも吸収される波長成分が多く含まれ
ており、熱蓄積を防ぐため反射鏡を冷却する必要があ
る。このため、冷却板として熱伝導度の高い銅などで作
られ、中に冷却水を通す機構を組込んだものが使用され
る。このような冷却板は調整ロッドで裏面から押したと
きに裏面の変形量が表側に張り付けた反射鏡表面の変形
に直接的に反映されにくく、また塑性変形を生じやすい
ため調整ロッドを引き込んでも元の位置に戻らず調整の
再現性が落ちるという欠点もある。
【0007】なお、アイ・ピー・ドルブニャ(I.P.Dolb
nya)はニュークレア・インスツルメンツ・アンド・メ
ソッズ・イン・フィジックス・リサーチA308(Nucl
earInstruments and Methods in Physics Research A30
8(1991)416-418,North-Holland)でサジタル方向に使用
する凹面鏡の曲率調整装置を開示している。この曲率調
整装置は、凹面鏡の表面側で両端縁から少し内に入った
位置に表面に沿って固定鋼棒を当て、裏面のさらに端近
くで固定鋼棒と平行に軸位置を僅かにずらして当てた2
本の鋼棒を凹面鏡の裏から押すことにより凹面鏡の曲率
を調整する。この曲率調整装置は厚さ0.46mmのシ
リコン結晶板を円筒曲げさせるもので、薄くて剛性の高
い板状体には適用できるが厚板構造体には使用できな
い。
【0008】これら問題点を解決する曲率調整装置とし
て、図7に示すようなX線収束ミラー駆動装置(株式会
社とやま製:型式名FM−100A)のミラー・ベント
機構がある。このX線収束ミラー駆動装置におけるミラ
ーのベント機構は、ミラーホルダーとミラーホルダー基
準台とベント調整機構からなり気密筐体に収容されてい
て、位置調整できる位置調整機構用定盤に取り付けられ
る。気密筐体は放射光誘導管の根本位置に割り込むよう
にして接続され、入射側開口から取り込む放射光のうち
直進する成分をそのまま通過させると共に一定の角度を
持った成分を反射鏡で反射して出射側開口から射出する
構成になっている。
【0009】ミラーホルダーは、ミラーの両端付近をク
ランプし、そのクランプ部が位置調整機構のミラーホル
ダー支持用支柱と連結された外周枠に対しベアリングで
支持されていて、クランプ部底に取り付けられた水平に
出たベント用バーを引き下げあるいは押し上げることに
よりクランプ部を傾けてミラーにモーメントを与える構
造となっている。
【0010】この駆動装置のミラー・ベント機構では、
硬質で平面性の良い凹面鏡表面をブロック状のクランプ
面で押圧して止めるため、ミラーの裏側に付けた支持板
部分が多少可塑性を有していても凹面鏡の表面はクラン
プ・ブロックの面で規制されて正確に方向付けされ、ま
た凹面鏡表面の曲率も幅方向に偏差を有しない正確な円
筒曲げ形状となり、全長にわたって一様な曲率の凹面鏡
を得ることができる。
【0011】このミラー・ベント機構は、硬質なベント
用バーの両端をそれぞれクランプ部の底位置に固定し、
バーの中央位置をバーに垂直の方向に引いてベント用バ
ーの傾きを変化させることによりクランプ部の傾きを調
整するようになっている。ベント用バーを固定する底位
置はベアリング軸から離れたところにあるので、反射鏡
を凹面形にするためにはクランプ部の底部は軸間距離よ
り開かなければならないのに対して、ベント用バーの全
長は決まっている。
【0012】したがって、凹面鏡の曲率が小さくて傾き
が小さいうちはクランプ部がベント用バーに連動して傾
き実用上問題ないが、曲率を大きくするためベント用バ
ーを強く引き過ぎるとベント用バーに引かれてクランプ
部の底位置同士が内側に引かれてクランプ部の傾きが外
側に変化し、この瞬間、それまで凹形に撓んでいたミラ
ーが反対の凸形に反跳的に変形する現象が生ずることが
ある。また、ミラーホルダーのクランプ部がそのクラン
プ位置でミラーホルダー支持用支柱のベアリング軸受け
で支持されていることから、凹面鏡支持板が撓むことに
よって支持板の端面間距離が変化するにも拘わらず、支
持板をクランプする位置がベアリング軸受け間の距離で
固定されているので、凹面鏡を撓ませるために大きな応
力を必要とする。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明が解決
しようとする課題は、厚みのある反射鏡支持板で支持し
た反射鏡を比較的小さな力で精密に円筒曲げし全長にわ
たって一様な曲率の凹面鏡を得ることができる機構を提
供することである。特に、凹面鏡の曲率を大きくしても
凹形に撓んでいたミラーが凸形に変形する現象が生じな
いようにした全反射ミラーの曲率調整機構を提供するこ
とを課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、光路に沿って設けられた固定枠と固定枠に回転軸を
介して支持され回転軸の周りに回動する1対の回転枠と
これら回転枠同士を連結するアーム軸棒とを備える本発
明の全反射ミラーの曲率調整機構は、回転枠がクランプ
機構を備え、このクランプ機構が全反射ミラー組立体の
それぞれ1端を全反射ミラー表面が回転枠体に対して一
定の角度を保持するように把持し、アーム軸棒が両端を
それぞれ回転枠の回転軸位置もしくはそれより全反射ミ
ラー表面の向く方向に偏倚した位置に固着されておりさ
らに中央部分を軸に対して垂直方向に押し引きする牽引
機構を備えることを特徴とする。
【0015】ここで特に、アーム軸棒を枠体の回転軸近
くに把持するようにしてもよい。また、全反射ミラー組
立体を枠体の回転軸近くに把持するようにすることもで
きる。さらに、全反射ミラー組立体の両端位置に入射口
と出射口を備えた気密筐体に収納されていることが好ま
しい。なお、本発明の全反射ミラーの曲率調整機構は、
電子蓄積リングの放射光誘導管の根本位置に内側に凹面
を向けて配設され、凹面の曲率を調整してシンクロトロ
ン放射光を所定の位置に集光するものであってよい。さ
らに、表面が炭化珪素もしくは単結晶珪素の板で形成さ
れベース部分が冷却機構を備えた銅ブロックで形成され
両者の間を合金で連結した構造を有する全反射ミラー組
立体を把持してその表面を凹面に円筒曲げして曲率を調
整するようにすることができる。
【0016】本発明の全反射ミラーの曲率調整機構によ
れば、回転枠のクランプ機構が全反射ミラー組立体を把
持して全反射ミラー表面が回転枠体に対して一定の角度
を保持するようになっているので、回転枠が傾く量に基
づいて把持位置における全反射ミラー面の傾きが定ま
り、全反射ミラーの剛性に基づいて全長にわたって一様
な曲率の凹面鏡を形成させることができる。また、アー
ム軸棒が回転軸位置もしくはそれより全反射ミラー表面
の向く方向に偏倚した位置で回転枠に固定されているた
め、アーム軸棒の中央部分を軸に対して垂直方向に押し
引きして両端のクランプ機構に把持された全反射ミラー
組立体を撓ませて全反射ミラー表面が凹面を形成するよ
うにすると、回転枠は全反射ミラー表面の向く方向が狭
くなるように内側に傾く。回転枠が内側に傾くのに伴っ
てアーム軸棒の固定位置間距離が縮む方向に作用するか
ら、回転枠とアーム軸棒の間には不自然な力が加わらず
反跳的な逆転現象が生ずることがない。なお、全反射ミ
ラーが撓むにつれてミラーの両端面間の距離が縮むと軌
を同じくして両端のクランプ機構間の距離が短くなる傾
向を示すので、比較的小さな力で全反射ミラー組立体を
円筒曲げすることができる。
【0017】また、特にアーム軸棒を枠体の回転軸近く
に把持するようにしたものは、アーム軸棒のたわみ角が
そのままミラーの曲げモーメントとして作用するので、
容易に所望の曲率で反射鏡を曲げることができる。ま
た、アーム軸棒を支持し制御する機構を全反射ミラーの
表面より後ろ側に設備することができるため、全反射ミ
ラーに入射し反射して出射する光の光路を遮らないで済
むという利点もある。また、全反射ミラー組立体を枠体
の回転軸近くに把持するようにしたものは、アーム軸棒
の固定位置を回転軸から離すほどテコ比が大きくなり、
わずかな力で全反射ミラーの曲率を制御することが可能
となる。
【0018】さらに、全反射ミラー組立体の両端位置に
入射口と出射口を備えた気密筐体に収納する場合は、放
射光を発生する真空容器に接続して真空容器内で得られ
る光を取り込んで所定の角度で反射させ射出させて、射
出した放射光を利用することができる。なお、本発明の
全反射ミラーの曲率調整機構を電子蓄積リングの放射光
誘導管に反射鏡凹面が内側に向くように配設し、形成さ
れる全反射ミラーの凹面の曲率を調整するように構成し
たものは、反跳現象を起こさず比較的小さな力により凹
面鏡の曲率を調整してシンクロトロン放射光の収束位置
を制御することができ、広い範囲で放射光の利用効率を
高めまた放射光の強度を制御することが可能となる。さ
らに、表面が炭化珪素もしくは単結晶珪素の板で形成さ
れベース部分が冷却機構を備えた銅ブロックで形成され
両者の間を合金で連結した構造を有する全反射ミラー組
立体を対象とするときは、こーちんぐされた白金、金等
が短波長光に対して高い全反射臨界角を有することを利
用して短波長のX線領域で使用できる全反射ミラーを得
ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の全反射ミラーの曲率調整
機構は、全反射ミラー組立体に組み付けられた反射板を
円筒曲げしその曲率を調整して所望の全反射ミラーを形
成する機構である。特に、表面を炭化珪素もしくは単結
晶珪素の板で形成しX線領域で使用できる全反射ミラー
を対象としてその曲率調整により適当な焦点位置に光を
集束させ、あるいは光強度の調整をする機構の改良を行
ったものである。本発明の全反射ミラーの曲率調整機構
は、電子蓄積リングを利用する装置のシンクロトロン放
射光誘導管に用いることにより放射光の利用効率を確実
に向上させることができる。
【0020】
【実施例】以下、本発明の1実施例を示す図面によって
本発明に係る全反射ミラーの曲率調整機構を詳細に説明
する。図1は本実施例の全反射ミラーの曲率調整機構を
示す一部断面立面図、図2は図1のII−II面に沿って切
断したものを矢印の方向に見た一部断面図である。
【0021】図中参照番号1は気密筐体を表す。筐体1
の床には基準台3が固定されており、基準台3の両端に
はそれぞれ固定枠5が垂直に固設されている。固定枠5
には回転軸7を介して回転枠9が揺動可能に取り付けら
れており、ふたつの回転枠9は2本の硬質のアーム軸棒
11により結合されている。アーム軸棒11は回転枠9
の回転軸7付近に回転枠9の外面に対して垂直に取り付
けられている。アーム軸棒9の中央位置には駆動棒13
が固着された連結ピース15が設けられている。連結ピ
ース15は、2本のアーム軸棒11を連結している。駆
動棒13は気密を保持するためのベローズ17を介して
外部の駆動装置19に接続されている。
【0022】回転枠9には表面を精度の良い平面に形成
したブロック21とブロック21間に全反射ミラー組立
体23を挟み押圧して把持するためのボルト25が備え
られていてこれらによりクランプ機構を構成している。
ブロック21の表面は回転枠9の中心線に対して垂直を
保持するようになっているため、把持される全反射ミラ
ー組立体23の上面にあたる全反射ミラーの表面の向き
は回転枠9に対して垂直になる。
【0023】全反射ミラー組立体23は幅約10cm長
さ約100cm厚さ4cmの炭化珪素の直方体と、その
下面に厚さ20〜30mmの銅板とを有し、両者の間に
インジウムアンチモン合金が充填された構造を有してい
る。銅板の中には冷却のための水が流通する穴が開けら
れている。
【0024】全反射ミラー組立体23の両端をそれぞれ
の回転枠9のクランプ機構で固定し、全反射面が回転枠
9に対して一定の向きを保持するようにした後、気密筐
体1を電子蓄積リング装置の放射光誘導管に挿入してフ
ランジにより固定する。電子蓄積リングは高度な真空状
態に保持されなければならないので、実用上、気密筐体
1とフランジの気密性の確保が重要である。電子蓄積リ
ングからの放射光は入射側のブロック21の間にできる
空間を通過して、一部は放射光誘導管に直進し一部は浅
い角度で全反射ミラーの表面に入射し全反射して出射側
のブロック21の間にできる空間を通過して放射光誘導
管に導かれる。
【0025】X線では物質の屈折率が1より小さくなる
ため、ミラーに所定の臨界角より小さな例えば1度程度
の浅い角度で入射してくるX線は表面で全反射して同じ
角度で射出する。従ってこの構成の全反射ミラーを用い
ると放射光のX線領域のエネルギを有効に利用すること
ができる。
【0026】放射光の入射角は入射位置により異なり、
また入射角と全反射ミラーの表面の傾きによって直進光
と全反射した光が集束する焦点の位置が異なるため、全
反射ミラーに入射する光を所定の焦点に集束させるため
には全反射ミラーの表面は適当な曲率を持った凹面を形
成していなくてはならない。また全反射ミラーの曲率を
変化させると入射光の集束状態が変化するので、曲率を
調整することにより決められた位置の入射エネルギを制
御することができる。高エネルギ電子蓄積リングを用い
た装置で光源から40〜60m離れたところで放射光の
エネルギを利用する場合において、メリジオナル方向に
集束させるため通常要求される全反射ミラーの曲率半径
は100〜5000mであるので極めて小さな湾曲状態
を達成する必要がある。
【0027】本発明の全反射ミラーの曲率調整機構で
は、アーム軸棒11の中心軸と回転軸7の軸がほぼ交わ
る程の近くで交差する関係にあり、かつ剛性の強いアー
ム軸棒11と垂直に固着されている。アーム軸棒11は
硬くて曲がりにくいが長いスパンの中間を軸に対して垂
直に引くため比較的小さな力で端部の軸方向を水平方向
から偏位させることが可能である。駆動装置19は、例
えばステッピングモータなどにより発生される微小で正
確な回転を軸方向の動きに変換して駆動棒13を極く精
密に動かすことができるようにしたものである。駆動装
置19を制御して駆動棒13を引っ張ると、駆動棒13
に固着された連結ピース15が2本のアーム軸棒11を
その中央部分で軸方向に対して垂直に引っ張るため、ア
ーム軸棒11の軸の向きが僅かに下方に向く。このよう
に硬質なアーム軸棒11のスパンの中間を引っ張るため
両端に付設された回転枠9は同じ角度だけ内側に向かっ
て傾くことになる。このため、回転枠9は接続位置にお
けるアーム軸棒11の傾きと同じ量だけ傾く。
【0028】全反射ミラー組立体23は、クランプ機構
のブロック21表面に規制されて炭化珪素板全反射面の
表面が回転枠9の中心線に対して垂直になるように把持
されている。このためブロック21に挟まれた部分にお
ける全反射ミラー組立体23の全反射面の傾きは、上記
アーム軸棒11の接続位置における軸方向と平行にな
る。全反射ミラー組立体23は両端部分が同じように内
側に傾くため、硬質の炭化珪素層はその全長にわたって
ほぼ同じように滑らかに湾曲し、表面で全反射凹面鏡を
形成する。したがって、駆動棒13を引っ張る量を大き
くしてアーム軸棒11の傾きを大きくすると、両側の回
転枠9の傾きが大きくなり、凹面鏡の曲率が大きくな
る。逆に引っ張り量を小さくすれば凹面鏡の曲率は小さ
くなる。
【0029】また、全反射ミラー組立体23は全反射ミ
ラーとなる硬質な炭化珪素板とその冷却板である軟質な
銅板を複合しているが、調整ネジで銅板側から押して調
整するのと異なり端部を表と裏から挟んで保持する構造
になっているため、回転枠9の傾きをどちらの方向に変
更しても正確に追従し調整の履歴による影響は表れな
い。また、全反射ミラー組立体23を挟んだ回転枠9の
間隔を縮める方向にかける力とアーム軸棒11を引っ張
る方向にかける力との間に矛盾がないため、従来技術で
大きく変形させるときに生じる可能性があった反跳的現
象が起こる心配はなくなった。
【0030】全反射ミラー組立体23の銅板中の冷却水
流通穴には図示しない供給管が接続されていて、気密筐
体1の外部から冷却水が供給され銅板中を循環して全反
射面である炭化珪素層から伝導してくる熱を吸収し、熱
と共に外部に排出される。銅板からなる冷却板と炭化珪
素板との間に充填されたインジウムアンチモン合金は、
熱伝導度が高く変形容易な金属であり、全反射ミラー組
立体23の湾曲変化に追従し両者間に隙間を作らず、吸
収されて全反射鏡の温度を上昇させるX線領域外の光に
起因する吸収熱をよく冷却板に伝達するために選択され
たものである。勿論、同じような特性を有するものなら
別の合金あるいは別種の接着材も使用することができ
る。上記実施例では、全反射ミラーとして炭化珪素を使
用するが、単結晶珪素を使用しても同じ効果が得られ
る。
【0031】また、一般に一定距離だけ離れた焦点に集
束させようとする場合には、電子蓄積リングに近い方に
入射する光が全反射ミラーと入射角が大きくなるため全
反射ミラーの傾きは最も大きくまた全反射ミラーの出射
側端部の傾きが最も平らに近いように配置することが合
理的である。このため、凹面鏡の軸の方向を壁に対する
垂直から誘導管の下流側にずらすことができるようにす
ることが好ましい。基準台3を水平でなく入射側が若干
高くなるように設置することによって上記の効果を得る
ことができる。また、連結ピース15の位置を入射側に
移動することによっても同様の効果を得ることができ
る。なお、駆動棒13にはベローズ17が接合されてい
るため、駆動棒13を押し引きしても気密筐体1内の真
空を保持することができる。また上記実施例では、1対
の固定枠5が基準板3に固設された構造を示したが、固
定枠5をそれぞれ独立して設ける代わりに連続した一体
の壁体であってもよいし、トンネル状に形成されたもの
であっても良い。
【0032】図3は本実施例の別の態様を示す全反射ミ
ラーの曲率調整機構の一部断面立面図、図4は図3のIV
−IV面に沿って断面をとり矢印の方向に見た一部断面図
である。図中、同じ機能を表す要素については同じ参照
番号を付して理解を容易にした。この態様が先に説明し
た態様と異なる点は、アーム軸棒11が回転軸7と同じ
高さでなく回転軸7よりも全反射ミラーの面する方向に
ずれた位置で回転枠9に接続されていることである。
【0033】アーム軸棒11が回転枠9に接続されてい
る位置が全反射ミラー組立体23より上にあるときは、
上記の態様で用いられたようなコンパクトな連結ピース
15を使用することができず、全反射ミラー組立体23
を避けさらにミラーの上方を通過する光の光路の邪魔に
ならない形状の構造を使用しなければならない。本態様
においては、全反射ミラー組立体23と光路を通過させ
る四角い空間を持った四角い連結枠体27を採用した。
連結枠体27は下側の梁に駆動棒13を固定して図示を
省略した駆動装置19により押し引きするようになって
いる。2本のアーム軸棒11は上側の梁あるいは両脇の
柱部分に設けた貫通孔に通されていて、連結枠体27の
上下運動に伴ってほぼ中央部分を軸に垂直の方向に偏位
することにより回転枠9の傾きを制御する。
【0034】本態様の全反射ミラーの曲率調整機構によ
れば、アーム軸棒11を引っ張ると回転枠9が内側に傾
いて全反射ミラー組立体23を凹ませて全反射凹面鏡を
形成するが、このときアーム軸棒11が撓むことにより
両端間の距離が短くなる。曲率を大きくするとアーム軸
棒11の両端間距離が短くなる現象と回転枠9の間隔が
狭くなる現象は互いに整合するため、無理な力が生じな
い。また、凹面の曲率が変化しても反跳的現象が起こる
心配はない。さらに、アーム軸棒11の接続位置が回転
軸7から離れているため、テコの原理によりアーム軸棒
11を撓ませるために必要な力が小さくなる利点があ
る。
【0035】図5は本実施例のさらに別の態様を示す全
反射ミラーの曲率調整機構の一部断面立面図である。こ
こでも、同じ機能を表す要素については同じ参照番号を
付して理解を容易にした。この態様が先に説明した態様
と異なる点は、全反射ミラー組立体23が回転軸7とほ
ぼ同じ高さで把持されていることである。この態様によ
れば、回転枠9の傾きを変化させて凹面の曲率が変化し
ても全反射ミラーの端点位置の変動が少ない。このた
め、アーム軸棒11の接続位置を回転軸7から離してテ
コの原理によりアーム軸棒11を撓ませるための力が小
さくなる利点を保全しながら、凹面の曲率を調整したと
きにも全反射ミラーの端点位置の変動が少なく光路調整
を必要としない全反射ミラーの曲率調整機構を得ること
ができる。
【0036】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明の全反射ミラ
ーの曲率調整機構は、厚みのある反射鏡支持板で支持し
た反射鏡を比較的小さな力で精密に円筒曲げし全長にわ
たって一様な曲率の凹面鏡を得ることができ、特に、凹
面鏡の曲率を大きくしても凹形に撓んでいたミラーが凸
形に変形する現象が生じないため、曲率調整機構の操作
性と信頼性が高まり形成される全反射凹面鏡の形状を容
易に所望通りのものとすることができ、特に電子蓄積リ
ングの放射光誘導管部分に設置することにより、放射光
の利用効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の全反射ミラーの曲率調整機構の1実施
例を示す一部断面立面図である。
【図2】図1のII−II面に沿う一部断面図である。
【図3】本実施例の別の態様を示す全反射ミラーの曲率
調整機構の一部断面立面図である。
【図4】図3のIV−IV面に沿う一部断面図である。
【図5】本実施例のさらに別の態様を示す全反射ミラー
の曲率調整機構の一部断面立面図である。
【図6】従来技術における全反射ミラーの曲率調整機構
を示す一部断面立面図である。
【図7】従来技術における別の全反射ミラーの曲率調整
機構を示す一部断面立面図である。
【符号の説明】
1 気密筐体 3 基準台 5 固定枠 7 回転軸 9 回転枠 11 アーム軸棒 13 駆動棒 15 連結ピース 17 ベローズ 19 駆動装置 21 ブロック 23 全反射ミラー組立体 25 ボルト 27 連結枠体

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固定枠と、固定枠に回転軸を介して支持
    され回転軸の周りに回動する1対の回転枠と、該回転枠
    同士を連結するアーム軸棒とを備える全反射ミラーの曲
    率調整機構であって、 前記回転枠は、全反射ミラー表面が回転枠体に対して一
    定の角度を保持するように全反射ミラーを支持体ごとそ
    れぞれ1端を把持するクランプ機構を備え、 前記アーム軸棒は、両端をそれぞれ前記回転枠の前記回
    転軸位置もしくはそれより全反射ミラー表面の向く方向
    に偏倚した位置に固着されており、該アーム軸分を軸に
    対して垂直方向に押し引きする牽引機構を備えることを
    特徴とする全反射ミラーの曲率調整機構。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の全反射ミラーの曲率調整
    機構であって、アーム軸棒を枠体の回転軸近くに把持す
    ることを特徴とする全反射ミラーの曲率調整機構。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の全反射ミラーの
    曲率調整機構であって、全反射ミラーを支持体ごと枠体
    の回転軸近くに把持することを特徴とする全反射ミラー
    の曲率調整機構。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかに記載の全
    反射ミラーの曲率調整機構であって、前記全反射ミラー
    の両端位置に入射口と出射口を備えた気密筐体に収納さ
    れていることを特徴とする全反射ミラーの曲率調整機
    構。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の全反射ミラーの曲率調整
    機構であって、電子蓄積リングの放射光誘導管に内側に
    凹面を向けて配設され、凹面の曲率を調整してシンクロ
    トロン放射光を所定の位置に集光することを特徴とする
    全反射ミラーの曲率調整機構。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の全反射ミラーの曲率調整
    機構であって、表面が炭化珪素もしくは単結晶珪素の板
    で形成され全反射ミラー支持体部分が冷却機構を備えた
    銅ブロックで形成され両者の間を合金で連結した構造を
    有する全反射ミラー組立体を把持してその表面を凹面に
    円筒曲げして曲率を調整することを特徴とする全反射ミ
    ラーの曲率調整機構。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれかに記載の全
    反射ミラーの曲率調整機構であって、前記アーム軸に対
    して垂直方向に押し引きする前記牽引機構が該アーム軸
    の中央部分に設けられていることを特徴とする全反射ミ
    ラーの曲率調整機構。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし6のいずれかに記載の全
    反射ミラーの曲率調整機構であって、前記アーム軸に対
    して垂直方向に押し引きする前記牽引機構が該アーム軸
    の中央部分から偏倚した位置に設けられていて、前記反
    射ミラーを非円筒状に曲げることを可能とした全反射ミ
    ラーの曲率調整機構。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006516331A (ja) * 2003-01-17 2006-06-29 ソシエテ・ウロペエンヌ・ド・システム・オプティク 平行六面体の形状の部品とアクチュエータとを含んで構成される変形システム
US7397900B2 (en) 2000-09-27 2008-07-08 Euratom Micro beam collimator for high resolution XRD investigations with conventional diffractometers
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