JPH09249086A - エアバッグドア部を有する車室側部材の構造およびその製造方法 - Google Patents

エアバッグドア部を有する車室側部材の構造およびその製造方法

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JPH09249086A
JPH09249086A JP8085751A JP8575196A JPH09249086A JP H09249086 A JPH09249086 A JP H09249086A JP 8085751 A JP8085751 A JP 8085751A JP 8575196 A JP8575196 A JP 8575196A JP H09249086 A JPH09249086 A JP H09249086A
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skin
groove
slush molding
synthetic resin
die
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JP8085751A
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Inventor
Katsuhiro Tange
勝博 丹下
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Inoac Corp
Original Assignee
Inoue MTP KK
Inoac Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表皮の劣化、収縮により破断予定部で亀裂等
の外観不良を生じることがなく、しかもエアバッグの膨
張時には確実に破断予定部で破断し、さらに製造も容
易、安価なエアバッグドア部を有する車室側部材を提供
する。 【解決手段】 合成樹脂発泡層11上面にエアバッグド
ア部の破断予定部14が形成された表皮12を一体に有
する車室側部材において、表皮の裏面側には底部内面1
3aが曲面で構成された溝状薄肉部13と該溝状薄肉部
の周縁に盛り上がった厚肉縁部15とが前記破断予定部
に沿って形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、エアバッグドア
部を有する車室側部材の構造およびその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】例えば、自動車の助手席側に設けられる
エアバッグ装置は、図12に示すように、折り畳まれた
エアバッグAがキャニスタと呼ばれる収容部材(容器)
C内に作動装置(インフレータ)Iとともに収容されて
助手席前面の車室側部材Pであるインストルメントパネ
ル内に格納されている。前記エアバッグ収容部材Cの上
部はエアバッグAを車室内に展開できるようにするため
の開口部Oとして構成されている。この展開開口部O
は、平時にあってはエアバッグドア部Dによって覆われ
ており、一旦自動車が大きな衝撃を受けた際には、前記
作動装置Iが作動し、それにより膨張したエアバッグA
がエアバッグドア部Dを内側から押し開いて車室内に展
開するように構成されている。
【0003】前記エアバッグの展開開口部Oを覆うエア
バッグドアの構造として、車室側部材と一体にエアバッ
グドア部を形成するタイプのものがある。図12ないし
図14は、前記エアバッグドア部を一体に有する車室側
部材の従来例を示すものである。この従来例において、
車室側部材Pは、合成樹脂発泡層71上面に合成樹脂製
表皮72を一体に有し、該表皮72のエアバッグ展開開
口部Oに対応する所定位置には、エアバッグドア部Dを
区画する薄肉の破断予定部73が形成されている。
【0004】前記表皮72に形成された薄肉の破断予定
部73は、表皮72の成形後に高周波ウェルダーや熱刃
またはコールドプレスカッター等によってV字形溝(ノ
ッチ)を入れることにより形成される。図中の符合74
は車室側部材Pの裏面に設けられた芯材、75はエアバ
ッグドア部Dの裏面に設けられたエアバッグドア用芯
材、76はエアバッグ収容部材Cと芯材74(およびエ
アバッグドア用芯材75)とを固定する取り付け部材、
Tは車室側部材Pの開裂予定部、Ta ,Tb はその開裂
部である。
【0005】この構造にあっては、前記したように、エ
アバッグAが膨張すると、エアバッグ展開開口部O上部
の車室側部材Pにおけるエアバッグドア部Dが裏面側か
ら押されて、エアバッグドア用芯材75を押し上げ、そ
の押圧力によって表皮72の薄肉の破断予定部73に応
力が集中して破断し、車室側部材Pがその開裂(予定)
部Tから開裂し、図14のようにエアバッグドア部Dが
開く。図14の符合73a,73bは分断された表皮7
2の破断部を表す。エアバッグドア部Dの開放に伴って
エアバッグAは車室内に展開する。
【0006】ところで、前記車室側部材Pの表皮72に
おけるエアバッグドア部Dを区画する薄肉の破断予定部
73は、該破断予定部73がエアバッグ膨張時に確実に
破断できるよう概ね0.3mm以下の厚みに設定するの
が好ましい。しかしながら、自動車のインストルメント
パネルのような車室側部材Pにあっては、車室内に射し
込む太陽光線や、それにより温度上昇した車室内で高熱
にさらされることにより、時間の経過とともにその表皮
72が劣化、収縮することが知られている。そのため、
この車室側部材Pの表皮72に、V字形溝によって肉厚
が0.3mm以下の薄肉の破断予定部73を形成した場
合には、V字形溝の底部(インストルメントパネル使用
時においては溝の頂部)における尖った部分が直線状の
破断線を構成し、その部分で極端に強度が弱くなる。そ
の結果、そのV字形溝の尖った部分に応力が集中し、該
破断予定部73に亀裂が生じたり、内側の合成樹脂発泡
層71が露出するなどの外観不良を生じ易いという問題
が指摘されている。
【0007】それに対し、前記破断予定部73における
表皮72の厚みを、劣化による亀裂を生じ難くなるまで
大きくすると、今度はエアバッグAの膨張時に破断予定
部73がスムーズに破断しなくなる恐れがある。
【0008】また、前記薄肉の破断予定部73は、表皮
72を真空成形やパウダースラッシュ成形した後に、別
個の作業により形成しているため、作業に手間取った
り、装置が余分に必要になったりして、コストの低減が
難しい問題もあった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、このよう
な問題点に鑑み提案されたもので、車室側部材の表皮に
薄肉の破断予定部を形成した場合において、該破断予定
部が表皮の劣化、収縮により亀裂等の外観不良を生じる
ことがなく、しかもエアバッグの膨張時には確実に破断
し、さらには容易かつ安価に製造できるエアバッグドア
部を有する車室側部材の構造およびその製造方法を提供
しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、合成
樹脂発泡層上面にエアバッグドア部の破断予定部が形成
された表皮を一体に有する車室側部材において、前記表
皮の裏面側には、底部内面が曲面で構成された溝状薄肉
部と該溝状薄肉部の周縁に盛り上がった厚肉縁部とが前
記破断予定部に沿って形成されていることを特徴とする
エアバッグドア部を有する車室側部材の構造に係る。
【0011】この請求項1に記載された発明において
は、表皮の破断予定部に形成した溝状薄肉部が、その底
部(車室側部材使用時における溝の頂部または上部)内
面を曲面で構成したものであるため、表皮の溝状薄肉部
においては、尖った窪み部分(V字形の頂点に相当する
部分)がなく、その尖った窪み部分による直線状の破断
線が存在しない。その結果、表皮の溝状薄肉部には極端
に強度の弱い部分が存在せず、表皮の劣化、収縮による
亀裂を生じ難い。また、破断予定部の溝状薄肉部の周縁
に形成された厚肉縁部によって当該溝状薄肉部周縁の強
度が高められるため、エアバッグの膨張により表皮が車
室側へ強く押されたときには、厚肉縁部がその内側の溝
状薄肉部を強く引張って、溝状薄肉部を確実に破断さ
せ、エアバッグドアの確実な開きを実現する。
【0012】一方、請求項2の発明は、パウダースラッ
シュ成形装置の回転を伴う表皮のパウダースラッシュ成
形時に、表皮の破断予定部を形成するスラッシュ成形型
の型面に表皮用樹脂材料の付着防止用押し型部材を当接
し、前記パウダースラッシュ成形装置を所定数回転させ
て前記型面に表皮用樹脂材料を付着させた後、前記付着
防止用押し型部材を型面から離し、さらに前記パウダー
スラッシュ成形装置を回転させて、底部内面が曲面で構
成された溝状薄肉部と該溝状薄肉部の周縁に盛り上がっ
た厚肉縁部とが前記破断予定部に沿って裏面側に形成さ
れた表皮を得る工程と、次いで、前記表皮の裏面側に合
成樹脂発泡材料を注入し合成樹脂発泡層を形成して、合
成樹脂発泡層上面にエアバッグドア部の破断予定部が形
成された表皮を有する車室側部材を得る工程とを含むこ
とを特徴とするエアバッグドア部を有する車室側部材の
製造方法に係る。
【0013】この請求項2に記載された発明にあって
は、表皮のパウダースラッシュ成形時に、表皮破断予定
部を形成するスラッシュ成形型の型面に表皮用樹脂材料
の付着防止用押し型部材を当接して、前記パウダースラ
ッシュ成形装置を所定回数回転させるため、該付着防止
用押し型部材が当接していた型面部分を除き他の型面部
分に表皮用樹脂材料が層状に付着する。その結果、該型
面に付着した表皮用樹脂材料の層には、該付着防止用押
し型部材が当接していた型面部分において欠如部が形成
される。また、該型面に当接している付着防止用押し型
部材の部分では、表皮用樹脂材料が付着防止用押し型部
材の側面を覆い、型面の他の部分から盛り上がった状態
となる。その結果、前記層の欠如部(付着防止用押し型
部材)周縁では、型面に付着した表皮用樹脂材料の厚み
が大となる。
【0014】その後、前記付着防止用押し型部材を型面
から離し、さらにパウダースラッシュ成形装置を回転さ
せて表皮の成形がなされるため、この回転時に前記表皮
用樹脂材料が前記層の欠如部分にも付着し、該欠如部分
では他の型面部分よりも薄い溝状を形成する。しかも、
その表皮用樹脂材料の付着は、パウダースラッシュ成形
装置の回転によりなされるため、前記溝の底部内面は尖
った窪み部分(V字形の頂点に相当する部分)のない曲
面となる。その結果、得られる表皮には、破断予定部に
沿って、底部内面が曲面で構成された溝状薄肉部が形成
されるとともに、該溝状薄肉部の周縁に厚肉周縁部が形
成される。そして、前記表皮の裏面側に注入した合成樹
脂発泡材料により合成樹脂層が形成され、請求項1に記
載されたのと同じ構造からなるエアバッグドア部を有す
る車室側部材が得られる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下添付の図面に従ってこの発明
を詳細に説明する。図1ないし図5はこの発明のエアバ
ッグドア部を有する車室側部材の構造に関するものであ
って、その中、図1はこの発明の一実施例に係るインス
トルメントパネルの概略斜視図、図2はその2−2断面
図、図3は図2の矢印3部分の拡大断面図、図4は同実
施例のエアバッグドア部が開いた状態を示す断面図、図
5は他の実施例のインストルメントパネルの概略斜視図
である。
【0016】また、図6ないし図11はこの発明のエア
バッグドア部を有する車室側部材の製造方法に関するも
のであって、その中、図6は表皮の成形に用いられるパ
ウダースラッシュ成形装置の概略を示す斜視図、図7は
同実施例のパウダースラッシュ成形装置を用いて行なう
表皮の成形時についてフレームを省略して示す概略断面
図、図8は図7の矢印8部分の拡大断面図、図9は図7
の矢印9部分の拡大断面図、図10は破断予定部の形成
された表皮の裏面側に合成樹脂材料を注入する状態を示
す断面図、図11は同実施例における発泡状態を示す断
面図である。
【0017】図1ないし図4に示したように、この発明
の構造は、インストルメントパネルのような車室側部材
10に係り、特に合成樹脂発泡層11上面にエアバッグ
ドア部Dを区画する破断予定部14が形成された表皮1
2を一体に有するものに関する。図示したエアバッグ装
置は従来技術の項で説明したものと同様の構造を有し、
符合Aはエアバッグ、Iはエアバッグの作動装置、Cは
エアバッグ収容部材、Oはエアバッグの展開開口部、T
は車室側部材の開裂予定部、Ta,Tbはその開裂部、
20は車室側部材の芯材、21はエアバッグ展開開口部
上方に配置されたエアバッグドア用芯材、22,23は
車室側部材10にエアバッグ収容部材Cを固定する取付
部材である。
【0018】この発明の構造は、図3の拡大断面図から
よく理解されるように、前記車室側部材10の表皮12
の裏面側に、破断予定部14に沿って、底部(車室側部
材使用時における溝の頂部または上部)内面13aを曲
面で構成した溝状薄肉部13が形成され、該溝状薄肉部
13の周囲を包囲するように盛り上がった厚肉縁部15
が溝状薄肉部13の周縁に形成されていることを特徴と
する。
【0019】車室側部材10は、所定のインストルメン
トパネル形状に形成されたもので、発泡ポリウレタンな
どからなる合成樹脂発泡層11の上面が表皮12で覆わ
れている。この表皮12はパウダースラッシュ成形など
によって成形され、その材質としては軟質PVC、PV
C−ウレタン共重合体または熱可塑性ポリオレフィンエ
ラストマーなどが使用される。
【0020】前記表皮12の裏面12a側には、破断予
定部14に沿って一般部よりも脆弱な溝状薄肉部13
と、その周縁に盛り上がった厚肉縁部15が形成されて
いる。この溝状薄肉部13とその周縁の厚肉縁部15
は、エアバッグAの膨張によりエアバッグドア部Dが内
側から押圧された際に、前記破断予定部14を容易かつ
確実に破断させるだけでなく、表皮12の破断予定部1
4における経時的な劣化による不都合を回避するための
ものである。前記溝状薄肉部13は、図3から理解され
るように、底部内面13aが曲面で構成されたもので、
鋭く尖った窪み部分(V字形溝の頂点に相当する部分)
のない滑らかな内面をした断面略U字形状の溝からな
る。この溝状薄肉部13の厚みは、表皮12の一般部分
の厚みが1〜2mm程度の場合、0.1〜0.3mmと
するのが好ましい。また、前記厚肉縁部15の厚みは表
皮12の一般部分の厚みより大であればよく、通常、前
記一般部分よりも0.1〜0.3mm程度厚くされる。
【0021】前記溝状薄肉部13およびその周縁の厚肉
縁部15は、前記破断予定部14の形状に沿って帯状に
伸びており、図1に示すような概略H字形状の破断予定
部14を有する場合には、これと同じような概略H字形
状とされ、また図5に示す他の実施例の車室側部材10
Aのように、概略U字形状の破断予定部14Aを有する
場合には、これと同じような概略U字形状となる。
【0022】また、前記溝状薄肉部13は、V字形の溝
と異なり、底部内面13aが曲面から構成されて、連続
する直線状の切断線に相当するものがないため、車室内
に入射する太陽光線や車室内の高熱による表皮の劣化や
収縮などで生じる応力が、溝状薄肉部13の一部(直線
的)に集中せず、溝状薄肉部13内に分散して、該表皮
の劣化や収縮などによる亀裂等を防ぐことができる。
【0023】さらに、前記溝状薄肉部13の周縁に形成
された厚肉縁部15によって溝状薄肉部13の周縁の強
度が高められるため、エアバッグの膨張により表皮12
が内側から強く押されたときには、厚肉縁部15がその
内側の溝状薄肉部13を強く引張って容易かつ確実に破
断させ、エアバッグドア部Dの確実な開きを実現する。
符号14a,14bは表皮12の破断部を表す。
【0024】次に、図6ないし図11に従って、この発
明の構造を備えるエアバッグドア部を有する車室側部材
の製造方法について説明する。このエアバッグドア部を
有する車室側部材の製造方法は、底部内面が曲面で構成
された溝状薄肉部およびその周縁の厚肉縁部を裏側に有
する表皮を形成する工程と、その表皮裏面側に合成樹脂
発泡層を一体に形成する工程とを含む。
【0025】まず、表皮の形成工程について説明する。
図6は表皮形成工程で用いられるパウダースラッシュ成
形装置について加熱手段を省略して示す概略斜視図、図
7はその成形装置を用いる表皮成形時について、スラッ
シュ成形型のフレームを省略して示す断面図である。こ
の表皮形成工程では、図6のパウダースラッシュ成形装
置40を用いるパウダースラッシュ成形により表皮が形
成される。
【0026】パウダースラッシュ成形装置40は、公知
のスラッシュ成形型41と、バケット45とよりなっ
て、それらが組み合わされた状態で公知の回転装置(図
示せず)によりスラッシュ成形型41が倒立するように
回転のなされるものである。符号41aはフレームであ
る。このスラッシュ成形型41の裏側には、図7に示す
ように熱循環パイプ42が配設され、パウダースラッシ
ュ成形装置40の回転時のスラッシュ成形型41を加熱
するようになっている。なお、スラッシュ成形型41
は、所定の表皮の表面形状の型面43を有する。
【0027】バケット45は、上方の開口したパウダー
収容部46が内側に形成されていて、このパウダー収容
部46内に付着防止装置47が設けられる。この付着防
止装置47は、付着防止用押し型部材48が公知のシリ
ンダ装置49によって前進後退自在とされたもので、パ
ウダースラッシュ成形装置40の外にあるエアーコンプ
レッサー等の作動装置と配管(図示せず)によって接続
される。
【0028】付着防止用押し型部材48は、表皮の破断
予定部の形状に対応した形状からなる。たとえば、図1
に示した車室側部材10のように略H字形の破断予定部
14を表皮に形成する場合には、それに合わせて、この
図6に示すような略H字形からなり、また図5に示した
ような略U字形の破断予定部14Aを形成する場合に
は、それと同じ略U字形(図示せず)とされる。この押
し形部材48は、スラッシュ成形型41の型面43にお
ける表皮の破断予定部形成面に向けて前進し、該破断予
定部形成面に当接できるように、溶接等でバケット45
側に固定されている。押し型部材48の材質は、パウダ
ースラッシュ成形時に表皮用樹脂材料が付着しずらいフ
ッ素樹脂等が好ましい。なお、前記押し型部材48の型
面43との当接側表面は、その当接部におけるスラッシ
ュ成形型41の型面43に沿った形状とされている。
【0029】前記バケット45のパウダー収容部46に
軟質PVCパウダーなどの熱可塑合成樹脂パウダーから
なる表皮用樹脂材料50が収容される。そして、バケッ
ト45と前記スラッシュ成形型41とをクランプし、前
記熱循環パイプ42に加熱オイル等の熱媒を供給してス
ラッシュ成形型41を加熱しながら、図7のA図に示す
ように所定数回転させる。その際、前記付着防止装置4
7は付着防止用押し型部材48が前進していて、スラッ
シュ成形型41の型面43における表皮の破断予定部形
成面と当接した状態とされる。スラッシュ成形型41の
加熱温度や、回転数等の条件は、公知のパウダースラッ
シュ成形法と同様である。なお、前記回転は、一般的
に、一方向、例えば矢印aで示す方向に2〜3回転した
後、逆方向、すなわちb方向に2〜3回転行なう。
【0030】前記パウダースラッシュ成形装置40の回
転時、バケット45が倒立することによりバケット45
内の表皮用樹脂材料50がスラッシュ成形型41内に移
動し、その型面43に接触する。型面43に接触した表
皮用樹脂材料50は、型面43の熱により溶融し、該型
面43に所定厚みで層状に付着する。その際、前記付着
防止用押し型部材48が当接している型面43の破断予
定部形成面においては、表皮用樹脂材料50が型面43
と接触できず、付着防止用押し型部材48の側面に沿っ
て盛り上がった状態となる。図7のB図は、バケット4
5が下へ来たときの状態を示す図である。符号50aは
型面43に層状に付着した表皮用樹脂材料を表す。
【0031】次いで、図7のC図に示すように、付着防
止装置47の付着防止用押し型部材48を後退させて、
スラッシュ成形型41の型面43における破断予定部形
成面から離す。これによって、型面43の破断予定部形
成面には、その部分を拡大して示す図8のように、表皮
用樹脂材料50aの付着していない部分44が溝状に形
成される。また、その溝状部分44の周縁44aは、前
記のようスラッシュ成形型41の型面43に当接してい
た付着防止用押し型部材48の側面に沿って表皮用樹脂
材料50aが盛り上がった部分に該当し、表皮用樹脂材
材料50aの付着厚みが大となっている。
【0032】前記付着防止用押し型部材48をスラッシ
ュ成形型41の型面43から離した状態で、さらにパウ
ダースラッシュ成形装置40を所定数回転させる。これ
により、図7のD図に示すように、表皮用樹脂材料50
がさらに型面43の表皮用樹脂材料50aの表面に付着
して溶融し、一体となって所定厚みの層を型面43に形
成する。その際、C図に示した、前記表皮用樹脂材料5
0aの付着していなかった溝状の部分44においても、
表皮用樹脂材料50が付着して型面43の熱により溶融
し、前記表皮用樹脂材料50aと一体となる。これによ
って、D図を拡大して示す図9からよりよく理解される
ように、スラッシュ成形型41の型面43には所定厚み
に付着した表皮用樹脂材料50aからなる溶融樹脂層が
形成されるとともに、該型面43の破断予定部形成面で
は型面43に薄く付着した表皮用樹脂材料50bからな
る薄い溶融樹脂層による溝状部分51aが形成される。
その薄い溶融樹脂層による溝状部分51aの周縁は、盛
り上がった厚肉部52aとなっている。
【0033】前記薄い溶融樹脂層による溝状部分51a
は、前記のようにスラッシュ成形型41の回転により表
皮用樹脂材料50が型面43に付着して形成されたもの
であり、しかもその付着した表皮用樹脂材料50が型面
43の熱により溶融して層を形成したものであるため、
底部内面が曲面で構成された滑らかなものとなってい
る。なお、ここでのパウダースラッシュ成形装置の回転
は、前記押し型部材48を型面43に当接させて行なう
回転よりも少ない回転数とし、また一方向のみとするの
が好ましい。そうすれば、溝状部分51aやその周縁の
厚肉部52aが表皮用樹脂材料により埋もれて、不明確
となるのを防ぐことができる。その場合における回転数
の例として1回の場合を示す。
【0034】その後、前記スラッシュ成形型41を冷却
し、型面43の溶融樹脂層を固化させて表皮53とし、
該表皮53をスラッシュ成形型41から取り外す。この
表皮53には、前記スラッシュ成形型41において押し
型部材48が当接していた型面で形成された部分の裏面
に、底部内面51cが曲面で構成された溝状薄肉部51
が形成されているとともに、該溝状薄肉部51の周縁に
盛り上がった厚肉縁部52が形成されている。
【0035】次いで、前記のようにして得られた表皮5
3の裏面側に合成樹脂発泡層を一体に形成する。まず、
図10および図11に示すように、発泡成形型60の下
型61の型面63に、前記表皮53を溝状薄肉部51の
形成されている側が上側となるようにして配置し、一
方、発泡成形型60の上型62の型面64には、車室側
部材用芯材54およびエアバッグドア部用芯材55を適
宜手段で保持して配置する。
【0036】そして、前記下型61に配置された表皮5
3の裏面側に、注入装置のヘッド65からポリウレタン
原料などの合成樹脂発泡原料66を所定両注入した後、
前記上型62を閉じ発泡成形する。前記合成樹脂発泡原
料66は発泡硬化して合成樹脂発泡層67を形成する。
この合成樹脂発泡層67は、前記合成樹脂発泡原料66
の発泡硬化時の接着力等により表皮53、車室側部材用
芯材54およびエアバッグドア部用芯材55と一体とな
る。その後、前記発泡成形型60を開き成形品を取り出
せば、合成樹脂発泡層67上面にエアバッグドア部の破
断予定部56が形成された表皮53を有する車室側部材
68が得られる。
【0037】このように、本発明の製造方法によれば、
車室側部材を製造する際の表皮成形時に表皮の裏面側に
破断予定部を形成でき、後加工により破断予定部を形成
する必要がない。そのため、余分な作業が不要になると
ともに、設備も簡略化でき、簡単かつ容易にエアバッグ
ドア部を有する車室側部材を得ることができる。
【0038】しかも、得られた車室側部材68は、図1
ないし図5で示した車室側部材と同様の構造からなるた
め、表皮の劣化、収縮による亀裂を生じ難く、一方、エ
アバッグの膨張時には溝状薄肉部が容易かつ確実に破断
して、エアバッグドアの確実な開きを実現する。一方、
エアバッグの膨張時には溝状薄肉部が容易かつ確実に破
断し、エアバッグドア部の確実な開きを実現するもので
ある。
【0039】
【発明の効果】以上図示し説明したように、この発明の
エアバッグドア部を有する車室側部材の構造によれば、
表皮の裏面側には前記破断予定部に沿って底部内面が曲
面で構成された溝状薄肉部が形成されているため、表皮
が経時的に劣化して収縮しても、溝状薄肉部の一か所
(従来におけるV字形溝頂点)へ応力が集中するのを防
ぐことができ、表皮の劣化による薄肉部の亀裂を回避で
きる。
【0040】さらに、前記破断予定部の溝状薄肉部の周
縁には厚肉縁部が形成されているため、その厚肉縁部に
よって当該溝状薄肉部の周縁の強度が高められ、エアバ
ッグ膨張時には、厚肉縁部がその内側の溝状薄肉部を強
く引張って、溝状薄肉部を容易かつ確実に破断させ、エ
アバッグドア部の確実な開きを実現する。
【0041】また、エアバッグドア部を有する車室側部
材の製造方法の発明によれば、前記構造を有する車室側
部材を、簡単かつ安価にしかも確実に得ることができる
効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はこの発明のエアバッグドア部を有する車
室側部材の構造の一実施例を備えるインストルメントパ
ネルの概略斜視図である。
【図2】その2−2断面図である。
【図3】図2の矢印3部分の拡大断面図である。
【図4】同実施例のエアバッグドア部が開いた状態を示
す断面図である。
【図5】他の実施例のインストルメントパネルの概略斜
視図である。
【図6】この発明のエアバッグドア部を有する車室側部
材の製造方法の一例において、パウダースラッシュ成形
装置の概略を示す斜視図である。
【図7】同実施例における表皮の成形を示す概略断面図
である。
【図8】図7の矢印8部分の拡大断面図である。
【図9】図7の矢印9部分の拡大断面図である。
【図10】同実施例において、表皮の裏面側に合成樹脂
材料を注入する状態を示す断面図である。
【図11】同実施例において、発泡状態を示す断面図で
ある。
【図12】一般的なエアバッグドア部を有する車室側部
材の断面図である。
【図13】その要部の拡大断面図である。
【図14】図13に示した車室側部材のエアバッグドア
部が展開した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
10:エアバッグドア部を有する車室側部材 11:合成樹脂発泡層 12:表皮 13:溝状薄肉部 13a:溝状薄肉部の底部内面 14:破断予定部 15:厚肉縁部 48:付着防止用押し型部材

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合成樹脂発泡層上面にエアバッグドア部
    の破断予定部が形成された表皮を一体に有する車室側部
    材において、 前記表皮の裏面側には、底部内面が曲面で構成された溝
    状薄肉部と該溝状薄肉部の周縁に盛り上がった厚肉縁部
    とが前記破断予定部に沿って形成されていることを特徴
    とするエアバッグドア部を有する車室側部材の構造。
  2. 【請求項2】 パウダースラッシュ成形装置の回転を伴
    う表皮のパウダースラッシュ成形時、表皮の破断予定部
    を形成するスラッシュ成形型の型面に表皮用樹脂材料の
    付着防止用押し型部材を当接し、前記パウダースラッシ
    ュ成形装置を所定数回転させて前記型面に表皮用樹脂材
    料を付着させた後、前記付着防止用押し型部材を型面か
    ら離し、さらに前記パウダースラッシュ成形装置を回転
    させて、底部内面が曲面で構成された溝状薄肉部と該溝
    状薄肉部の周縁に盛り上がった厚肉縁部とが前記破断予
    定部に沿って裏面側に形成された表皮を得る工程と、 次いで、前記表皮の裏面側に合成樹脂発泡材料を注入し
    合成樹脂発泡層を形成して、合成樹脂発泡層上面にエア
    バッグドア部の破断予定部が形成された表皮を有する車
    室側部材を得る工程とを含むことを特徴とするエアバッ
    グドア部を有する車室側部材の製造方法。
JP8085751A 1996-03-13 1996-03-13 エアバッグドア部を有する車室側部材の構造およびその製造方法 Pending JPH09249086A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006290305A (ja) * 2005-04-14 2006-10-26 Nippon Plast Co Ltd 自動車用内装パネル
JP2015054615A (ja) * 2013-09-12 2015-03-23 ダイキョーニシカワ株式会社 エアバッグドア部を有する車両用内装品

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