JPH09248594A - 汚濁水域の浄化方法及び装置 - Google Patents

汚濁水域の浄化方法及び装置

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JPH09248594A
JPH09248594A JP5446696A JP5446696A JPH09248594A JP H09248594 A JPH09248594 A JP H09248594A JP 5446696 A JP5446696 A JP 5446696A JP 5446696 A JP5446696 A JP 5446696A JP H09248594 A JPH09248594 A JP H09248594A
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water
carrier
fence
water area
polluted water
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JP5446696A
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English (en)
Inventor
Yuuhei Inamori
悠平 稲森
Tomotoshi Itayama
朋聡 板山
Akira Yoshinari
暁 吉成
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Publication date
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  • Purification Treatments By Anaerobic Or Anaerobic And Aerobic Bacteria Or Animals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 微小動物類が安定した定着状態で維持できる
汚濁水域の浄化方法及び巨大な生物処理槽を必要とせ
ず、容易に有害藻類を分解除去することのできる汚濁水
域の浄化方法並びにそのための装置を提供すること。 【解決手段】 汚濁水域の一部を、有害藻類を捕食する
微小動物類を定着させた担体を取付けた支持体をフェン
ス状に形成したバイオフェンスを設置して浄化対象水域
を仕切り、この内部水域から取水することによって外部
の汚濁水が適切な線速度でこのバイオフェンスの担体領
域中を通過するように水流を形成させ、流入する汚濁水
中の有機質SS分を担体に定着させた微小動物の捕食分
解作用により減量することによりこの内部水域を浄化す
ることを特徴とする汚濁水域の浄化方法及びそのための
装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は湖沼、ダム湖等の大
規模な汚濁閉鎖水域系、特にアオコ等の有害藻類が発生
したような水域系で、生活や経済活動に密着した部分的
な水域を浄化する場合に好適に適用される汚濁水域の浄
化方法およびそのための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、湖、池、河川等の水域を浄化する
方法として、汚濁水を揚水し、大きな塵や浮遊物をスク
リーンにより物理的にろ過した後、生物処理槽に流入さ
せて浄化する方法が行われている。この場合、生物処理
槽では担体に付着したバクテリアや微小動物の作用によ
り好気的に有機物の分解が行われ、BOD値(生化学的
酸素要求量)、SS値(浮遊物量)が低下して汚濁水が
浄化され、この浄化された処理水を水域に戻すことで、
水域浄化を行っている。
【0003】汚濁閉鎖水域での汚濁有機物としては藻類
が多く、水域浄化においては藻類の分解を効果的に行う
必要がある。しかしながら、これまでの生物処理法にお
いては、主に排水処理を目的として開発されてきたため
に、十分な藻類の分解性能が得られているわけではな
い。特に、汚濁水域で大きな問題になっているアオコに
至っては、その主な構成藻類であるミクロキスティスが
群体を形成しており、通常は微小動物類に捕食分解され
にくい。そのため効率よく生物処理をすることが困難で
ある。また、ミクロキスティスは有毒物質ミクロキステ
ィンを持つ種類もおり、水域を上水源として利用する場
合、この有毒物質の分解も問題である。
【0004】本発明者らは、水生ミミズ( Aeolosoma h
emplichi)とヒルガタワムシ( Philodina erythrophth
alma)のような微小動物類が群体を形成したミクロキス
ティスを効率よく捕食分解することを見出し、これらを
存在させた生物膜を使用した生物膜浄化装置(生物処理
槽)あるいはこの生物膜をフロートに取付けて汚濁水域
に投入する直接投入型浄化装置による汚濁水域の浄化方
法を提案した(特開平7−100489号公報)。これ
らの方法によれば富栄養化した湖沼、河川などの汚濁水
域のミクロキスティス属を主とした有害藻類(アオコ)
を効率よく除去することで汚濁水のBOD、SS分を低
減し、さらにミクロキスティス属の一種である Microcy
stis viridis が産生する有毒物質ミクロキスティンを
分解して、汚濁水域の浄化を行うことができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来微
小動物類を付着させるための担体として使用されている
紐状担体などは微小動物などの付着が不十分で流水条件
下などでは定着しにくい場合があり、また、汚濁した湖
沼やダム湖等の汚濁大規模閉鎖水域の全域を、前記のよ
うな微小動物を存在させた生物膜を使用した生物処理槽
を使用して浄化するのは、巨大な生物処理槽が必要とな
り現実的ではない。本発明はこのような従来技術の実状
に鑑み、微小動物類が安定した定着状態で維持できる汚
濁水域の浄化方法及び巨大な生物処理槽を必要とせず、
容易に有害藻類を分解除去することのできる汚濁水域の
浄化方法並びにそのための装置を提供しようとするもの
である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は(1)汚濁水中
の有機質SS分を、多孔質担体に定着させた有害藻類を
捕食する微小動物類の捕食分解作用により減量すること
を特徴とする汚濁水域の浄化方法、(2)汚濁水域を、
有害藻類を捕食する微小動物類を定着させた担体を取付
けた支持体をフェンス状に形成したバイオフェンスを設
置して仕切り、該バイオフェンスによって仕切られた水
域の一方から取水することによって汚濁水が適切な線速
度で該バイオフェンスの担体領域中を通過するように水
流を形成させ、通過する汚濁水中の有機質SS分を担体
に定着させた微小動物の捕食分解作用によって減量する
ことによりこの汚濁水域を浄化することを特徴とする汚
濁水域の浄化方法、(3)汚濁水域の一部を、有害藻類
を捕食する微小動物類を定着させた担体を取付けた支持
体をフェンス状に形成したバイオフェンスを設置して浄
化対象水域を仕切り、該バイオフェンスによって仕切ら
れた内部水域から取水することによって外部の汚濁水が
適切な線速度で該バイオフェンスの担体領域中を通過す
るように水流を形成させ、流入する汚濁水中の有機質S
S分を担体に定着させた微小動物の捕食分解作用によっ
て減量することによりこの内部水域を浄化することを特
徴とする汚濁水域の浄化方法、(4)前記内部水域から
取水した水を上水用の原水として利用することを特徴と
する前記(3)の汚濁水域の浄化方法、(5)有害藻類
を捕食する微小動物類を定着させることのできる担体を
取付けた支持体をフェンス状に形成してなることを特徴
とする汚濁水域を仕切るためのバイオフェンス、(6)
有害藻類を捕食する微小動物類を定着させた担体を取付
けた支持体をフェンス状に形成してなることを特徴とす
る汚濁水域を仕切るためのバイオフェンス、(7)有害
藻類を捕食する微小動物類を定着させた担体を取付けた
支持体をフェンス状に形成した汚濁水域を仕切るための
バイオフェンスと、該バイオフェンスにより仕切られた
水域の一方に設けられた取水装置とからなることを特徴
とする汚濁水域の浄化装置、及び(8)汚濁水域の一部
を仕切る、有害藻類を捕食する微小動物類を定着させた
担体を取付けた支持体をフェンス状に形成したバイオフ
ェンスと、該バイオフェンスで仕切った内部水域から取
水する装置とからなることを特徴とする汚濁水域の浄化
装置である。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明においては、多孔質担体に
有毒ミクロキスティス等の有害藻類を捕食するヒルガタ
ワムシ、水生ミミズ等の微小動物類を定着させたものを
使用して汚濁水中の有機質SS分を減量するの当たり、
担体として多孔質担体を使用すること及び閉鎖汚濁水域
に前記微小動物類を定着させた担体を取付けた支持体を
フェンス状に形成したバイオフェンスを設置し、該バイ
オフェンスを通過する汚濁水中の有害藻類を捕食させる
ことによって汚濁水域を浄化することを特徴とするもの
である。
【0008】本発明の好ましい態様として、例えば湖岸
近くを取り囲む形で、又は、入江等の入口を塞ぐ形で、
有毒ミクロキスティス等の有害藻類を捕食するヒルガタ
ワムシ、水生ミミズ等の微小動物類を定着させた担体を
取付けた支持体をフェンス状に形成したバイオフェンス
を設置し、バイオフェンスで囲まれた内部水域から取水
し、外部の汚濁水が一定の線速度でバイオフェンスの担
体領域中を通過するようにすることで、有害藻類等の有
機質のSS分、BOD、有害物質ミクロキスティン等を
低減し、バイオフェンスで囲まれた水域内を浄化する方
法がある。以下、この態様に基づいて説明する。
【0009】これにより、大きな汚濁閉鎖水域全体の汚
濁水を浄化することなく、大きな湖沼などの人口の多い
沿岸部や入江などの生活環境や経済活動に関わる部分の
みを効率的に浄化することができる。すなわち、図4に
示すように、大きな湖沼の人口の多い沿岸部や入江など
の部分浄化水域12にバイオフェンス11を設置して外
部水域13と分離し、この部分から取水してバイオフェ
ンス12を通る水流を形成させることによって、生活環
境や経済活動に関わる部分(部分浄化水域12)を浄化
することができる。部分浄化水域12から取水した水は
適宜外部水域13に戻すことにより外部水域13も浄化
される。
【0010】また、バイオフェンス内部から取水した水
は浄水場に送り、上水用の原水として利用することもで
きる。すなわち、本発明はアオコ等の有害藻類が発生し
たような湖沼、ダム湖、貯水池等を上水源として使用す
る場合、源水中の有害藻類を除去するための一次処理装
置にも適用可能である。
【0011】有害藻類を捕食する微小動物としては水生
ミミズ及びヒルガタワムシのほか、各種原生動物類、微
小後生動物類が使用できるが、例えば鞭毛虫類モナスグ
ッツラ、原生動物のツリガネムシなどが効果的である。
【0012】また、これらの微小動物類を定着させてバ
イオフェンスに使用する担体としては、例えば、ナイロ
ン等の合成繊維のより糸で、接触面積を大きくするため
に毛羽立たせた紐状担体(市販商品名:バイオコー
ド)、数センチ程度の大きさのプラスチック製の板、波
板、円筒、ハニカム、穴あきボール状などの担体があ
る。また、特に好適な担体としてセルロース担体(例え
ばバイオマテリアル社製アクアセル)、合成樹脂系やセ
ラミック系の多孔質担体などの多孔質(平均孔系100
〜1000μm程度)担体が挙げられる。多孔質担体と
しては木炭や活性炭、葦の茎等の生物体由来の多孔質状
セルロース等も使用できる。
【0013】本発明においては、これらの担体に微小動
物類を定着させたものを、支持体に取り付け、バイオフ
ェンスの形で使用する。なお、多孔質担体を使用したも
のは微小動物類の定着量が多く、しかも流水環境下、汚
濁水の流動条件下においても安定した定着状態が得られ
るので、生物処理槽や直接投入型浄化装置などバイオフ
ェンス以外の使用形態においても効果が大きい。
【0014】閉鎖汚濁水域へのバイオフェンスの設置は
例えば次のようにして行うことができる。鉄やアルミニ
ウムなどの金属、プラスチック、木材等の剛性のある棒
を組み合わせ、立体的格子状とした支持構造体を、水底
から水面の間に設置する。また、合成繊維や麻などから
なる柔軟性のあるロープの一端を水面の浮きに取り付
け、ロープの他端を水底に固定する。この水面から水底
の鉛直方向に渡したロープを、適当な間隔で格子状に並
べ、更にこの鉛直方向のロープ間に水平方向のロープを
一定間隔で結びつけて行き、全体としてロープによる立
体的な格子を作り、これを担体の支持体とする。また、
船舶の往来がある水域に設置する場合には、バイオフェ
ンス中に船舶の航行が可能となる水路部分を設置する。
【0015】この支持体へ、微小動物類を定着させた担
体を任意の方法により取り付けバイオフェンスとする。
担体の取り付け方法は、例えば前記支持構造体を構成す
る棒に、短くした紐状の担体(約数10cm)の一端を
適切な間隔で直接結びつけ、他端は自由端とする。ま
た、同じく紐状担体を張る形で、両端を前記支持構造体
を構成する棒に取り付ける、紐状担体を前記支持体を形
成するロープと兼用にするなどの形を採ることもでき
る。
【0016】多孔質担体などの角状や球状、塊状の担体
は、担体が流出しない程度の編み目サイズを持った網状
の袋や網籠に入れ、それらを適切な間隔で支持構造体を
構成する棒に取り付ける。紐状担体と網状の袋や網籠に
入れた角状や球状、塊状の担体を併用することもでき
る。
【0017】バイオフェンスの内部水域から取水するこ
とで、外部の汚濁水がバイオフェンス中を通過しバイオ
フェンスで囲まれた内部水域に流入することになる。こ
れにより、外部の汚濁水がバイオフェンス中を通過する
水流が形成され、担体に定着された微小動物類と効率よ
く接触するようになる。汚濁水中には群体形成ミクロキ
スティス等の有害藻類が多量にSS分、BODとして含
まれているが、バイオフェンス中の担体に定着している
藻類を捕食するヒルガタワムシや水生ミミズ等の微小動
物類の作用により捕食分解され、外部の汚濁水はSS、
BODさらにはミクロキスティスが産生するミクロキス
ティンが低減されて内部水域に流入する。また、取水速
度に反比例してバイオフェンスで囲まれた内部水域の滞
留時間は短くなるが、滞留時間が短くなると、有害藻類
の増殖を抑制することができる。したがって、取水速度
を適切に調整することにより、バイオフェンスで囲まれ
た内部に有害藻類等が低減された水域を形成することが
できる。
【0018】以上、汚濁水域の一部を仕切り、仕切られ
た内部水域を浄化する態様について説明したが、本発明
はこれに限定されず、汚濁水域全体を仕切る形、あるい
は任意の部分にバイオフェンスを設置することにより汚
濁水域の全体の浄化を行うこともでき、この方法は汚濁
水域があまり広くない場合に効果的である。
【0019】また、バイオフェンスを形成する担体に
は、予め微小動物類を定着させておくのが好ましいが使
用の条件によっては担体のみで使用し、ろ過効果あるい
は設置後に繁殖する微生物や微小動物類の浄化作用を利
用することもできる。
【0020】
【実施例】以下実施例により本発明をさらに具体的に説
明する。 (実験例1)以下に、水生ミミズ及びヒルガタワムシを
紐状の担体に付着させた生物膜による、ミクロキスティ
スの捕食分解性能の実験室内での実験データの例を示
す。図1に実験系を示す。生物膜処理槽4は300ミリ
リットルの容量で紐状の担体であるナイロン製のリング
レースの生物膜接触材5が入れてあり、エアーポンプ3
により通気されている。フラスコ(容量5リットル)1
のミクロキスティス( Microcystis Viridis)懸濁液
(濃度は50mg/リットル)はペリスタポンプ2を介
して定常的に生物膜処理槽4を通過し、生物膜によりミ
クロキスティスが捕食分解される。生物膜処理槽4での
滞留時間は24時間に設定してある。生物膜処理槽4の
中の水生ミミズの個体数は70〜100個体/ミリリッ
トルで、ヒルガタワムシの個体数は800〜1400個
体/ミリリットルである。生物膜は細菌類と微小動物
(水生ミミズ、ヒルガタワムシ)を付着させたものに対
して、コントロール系として細菌類だけが付着した生物
膜による処理を行い、処理水中のクロロフィルa(ミク
ロキスティス量に比例)とTOC(全有機態炭素)を両
者で比較した。結果を表1に示す。次に、ミクロキステ
ィス( Microcystis Viridis)が産生する有毒物質ミク
ロキスティンの分解特性を、微小動物を付着させた生物
膜及び付着していない生物膜で比較した。結果を表2に
示す。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】これらの結果から、水生ミミズ、ヒルガタ
ワムシを付着させた生物膜が、これらが付着していない
生物膜に比べ有機物除去能力で約3倍、藻類除去能力で
約9倍、そしてミクロキスティンの分解能力で約6倍の
能力があり、アオコ(有毒のミクロキスティス)の除去
に効果があることが確認できた。
【0024】(実施例1)以下に、水生ミミズを付着さ
せた多孔質担体による、ミクロキスティスの捕食分解性
能の実験室内での実験について示す。図2に実験系を示
す。本実施例においては多孔質担体を用いた流動床形式
のリアクタ7(内容積300ミリリットル)を使用し、
回分方式にて実施した。実験条件は以下のとおりであ
る。セルロース製の多孔質担体8(孔径0.5mm、一
辺5mm角)に水生ミミズを予備定着させておき、この
担体を充填率8%となるようにリアクタ7に添加した。
リアクタ7にはSSで約50mg/リットルとなるよう
に、ミクロキスティス( Microcystis Viridis)を添加
し、通気ポンプ9により約300ミリリットル/min
の通気を行い、捕食分解実験を開始させ、担体中の生成
ミミズの個体数とリアクタ中のSSの増減を測定した。
図3に実験結果を示す。
【0025】図3から、多孔質担体中では水生ミミズが
増殖し、一方リアクタ中の大部分がミクロキスティスか
らなるSSは減少したことがわかる。これは、担体中の
水生ミミズがミクロキスティスを捕食分解したことによ
ると考えられる。そこで、次のモデルを仮定し、この捕
食分解速度を求めた。
【数1】 ここでA、Sは各々リアクタ当たりの水生ミミズの個体
数密度(N/ミリリットル)、ミクロキスティスからな
るSS濃度(mg/リットル)とする。
【0026】(1)式の両辺をSで割った後、0〜tで
積分すると次式を得る。
【数2】 これから、捕食分解速度定数のkは次式から求められ
る。
【数3】 経時的に(3)式からkを求めると、ほぼ一定となり、
k=0.23N-1・day-1・mlを得る。
【0027】これらの結果から、アオコ形成藻類ミクロ
キスティス等の有害藻類が、多孔質担体に定着した水生
ミミズにより捕食分解される。水生ミミズが定着した本
多孔質担体を流動床型リアクタで用いることで、有害藻
類が発生した湖沼等の閉鎖水域の汚濁水を浄化すること
ができる。浄化された処理水を汚濁水域に返送すれば、
汚濁水域の浄化に効果が期待される。
【0028】(実施例2)実験例1及び実施例1で効果
の確認された水生ミミズ、ヒルガタワムシを付着させた
担体を使用したバイオフェンスの設置例を図5に示す。
図5(a)は入江にバイオフェンス11を設置し内部水
域(部分浄化水域12)と外部水域13とに区分した状
態を示す一部断面説明図であり、図5(b)は図5
(a)のバイオフェンス設置部を拡大した断面図であ
る。このバイオフェンスは、図5(b)に示すように支
持体15に微小動物定着担体16を多数取り付けた構造
体であり、立体的なネット状に組んだロープや支柱など
の支持体15に、図6に示すような紐状担体17(図6
(a))や多孔質担体の入った網籠18(図6(b))
を適切な密度でくくり付けたバイオフェンス構造体19
を、底20から水面21まで配置し、これらを入江等の
入口を覆う形や沿岸部を取り囲む形で設置したものであ
る。さらに、バイオフェンス11の内部水域から取水ポ
ンプ14により取水することで、外部水域13の汚濁水
がバイオフェンス11を通過した後、浄化された形で内
部水域に流入する。このバイオフェンス11の厚さは、
必要な処理能力(流入と流出の分解率)、バイオフェン
ス11内に生息する微小動物の定着密度、厚さ方向にお
ける流入の線速度に依存して決定される。
【0029】計算例を以下に示す。入江の大きさを水量
約20万m3 で入江の入口の幅が約200m、深さ約5
mとする。5万m3 /日の割合で取水すると、50m/
日〜2.1m/時間の線速度で流入する。いま、この流
入水の線速度をu(=2.1m/hr)とすれば、バイ
オフェンス内のSSの変化は次式で表現される。
【数4】 ここでxはバイオフェンスの外部水域側から内部水域側
に向かって設定した座標で、原点はバイオフェンスの外
部水域側の表面としている。KはバイオフェンスのSS
分解速度定数で、場所によらず一定とすれば、式(4)
の解は式(5)となる。
【数5】
【0030】したがって、外部の水域のSSを内部に流
入するまでに約90%分解させる場合、Lをバイオフェ
ンスの厚さとすれば(5)式から、
【数6】
【0031】いま、バイオフェンス中に水生ミミズが平
均25N/ミリリットルの密度で定着したとすると、実
験例2で求めた、水生ミミズ単位密度当たりの分解速度
定数kを用いて、Kは次のようになる。
【数7】 したがって、バイオフェンスの厚さはL=4.8(m/
hr)/0.24(hr-1)=20mと決定される。
【0032】
【発明の効果】
(1)有害藻類を捕食する水生ミミズ、ヒルガタワムシ
等の微小動物類を定着させる担体として多孔質担体を使
用することにより、これら微小動物類を高密度でしかも
汚濁水の流動条件下でも安定した状態で付着させること
ができる。 (2)汚濁水域内に前記微小動物類を定着させた担体を
取付けた支持体をフェンス状に形成したバイオフェンス
を設置し、該バイオフェンスの一方側から取水すること
により、汚濁水が該バイオフェンスの担体領域中を通過
するようにすることにより、汚濁水の浄化を行うことが
できる。 (3)汚濁水域の一部を、有害藻類を捕食する水生ミミ
ズ、ヒルガタワムシ等の微小動物類を定着させた担体を
取付けた支持体をフェンス状に形成したバイオフェンス
を設置して浄化対象水域を仕切り、この内部水域から取
水することによって外部の汚濁水が適切な線速度でこの
バイオフェンスの担体領域中を通過するように水流を形
成させることで、流入する汚濁水中の有害藻類等の有機
質のSS分が、担体中の微小動物の捕食分解作用で減量
され、バイオフェンスで囲まれた水域内を浄化すること
ができる。また、取水した内部水域の湖水等は、上水源
として利用でき、バイオフェンスは浄水処理における一
次処理の役目も果たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実験例1における実験系の説明図。
【図2】実施例1における実験系の説明図。
【図3】実施例1における水生ミミズの個体数とSSの
濃度の経時変化の状況を示す図。
【図4】バイオフェンスによる閉鎖水域の部分浄化の状
況を示す説明図。
【図5】実施例2におけるバイオフェンスの構成例を示
す説明図。
【図6】本発明における担体の支持体への取付け方法の
例を示す図。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 汚濁水中の有機質SS分を、多孔質担体
    に定着させた有害藻類を捕食する微小動物類の捕食分解
    作用により減量することを特徴とする汚濁水域の浄化方
    法。
  2. 【請求項2】 汚濁水域を、有害藻類を捕食する微小動
    物類を定着させた担体を取付けた支持体をフェンス状に
    形成したバイオフェンスを設置して仕切り、該バイオフ
    ェンスによって仕切られた水域の一方から取水すること
    によって汚濁水が適切な線速度で該バイオフェンスの担
    体領域中を通過するように水流を形成させ、通過する汚
    濁水中の有機質SS分を担体に定着させた微小動物の捕
    食分解作用によって減量することによりこの汚濁水域を
    浄化することを特徴とする汚濁水域の浄化方法。
  3. 【請求項3】 汚濁水域の一部を、有害藻類を捕食する
    微小動物類を定着させた担体を取付けた支持体をフェン
    ス状に形成したバイオフェンスを設置して浄化対象水域
    を仕切り、該バイオフェンスによって仕切られた内部水
    域から取水することによって外部の汚濁水が適切な線速
    度で該バイオフェンスの担体領域中を通過するように水
    流を形成させ、流入する汚濁水中の有機質SS分を担体
    に定着させた微小動物の捕食分解作用によって減量する
    ことによりこの内部水域を浄化することを特徴とする汚
    濁水域の浄化方法。
  4. 【請求項4】 前記内部水域から取水した水を上水用の
    原水として利用することを特徴とする請求項3に記載の
    汚濁水域の浄化方法。
  5. 【請求項5】 有害藻類を捕食する微小動物類を定着さ
    せることのできる担体を取付けた支持体をフェンス状に
    形成してなることを特徴とする汚濁水域を仕切るための
    バイオフェンス。
  6. 【請求項6】 有害藻類を捕食する微小動物類を定着さ
    せた担体を取付けた支持体をフェンス状に形成してなる
    ことを特徴とする汚濁水域を仕切るためのバイオフェン
    ス。
  7. 【請求項7】 有害藻類を捕食する微小動物類を定着さ
    せた担体を取付けた支持体をフェンス状に形成した汚濁
    水域を仕切るためのバイオフェンスと、該バイオフェン
    スにより仕切られた水域の一方に設けられた取水装置と
    からなることを特徴とする汚濁水域の浄化装置。
  8. 【請求項8】 汚濁水域の一部を仕切る、有害藻類を捕
    食する微小動物類を定着させた担体を取付けた支持体を
    フェンス状に形成したバイオフェンスと、該バイオフェ
    ンスで仕切った内部水域から取水する装置とからなるこ
    とを特徴とする汚濁水域の浄化装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008246420A (ja) * 2007-03-30 2008-10-16 Kurita Water Ind Ltd 多段式生物処理装置および多段式生物処理方法
CN107857371A (zh) * 2017-12-04 2018-03-30 中国电建集团中南勘测设计研究院有限公司 一种水污染治理装置及治理系统

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