JPH09247961A - 静電アクチュエータおよび静電支持機構 - Google Patents

静電アクチュエータおよび静電支持機構

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JPH09247961A
JPH09247961A JP5629096A JP5629096A JPH09247961A JP H09247961 A JPH09247961 A JP H09247961A JP 5629096 A JP5629096 A JP 5629096A JP 5629096 A JP5629096 A JP 5629096A JP H09247961 A JPH09247961 A JP H09247961A
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electrode
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voltage
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Akihiro Koga
賀 章 浩 古
Koichi Suzumori
森 康 一 鈴
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Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 可動子と固定子との間の摩擦を低減しつつ可
動子の可動範囲を十分に確保することができる静電アク
チュエータを提供する 【解決手段】 静電アクチュエータ1は円柱形状の固定
子10と、固定子10内部に固定子10の内周面と所定
の間隙をおいて配置された円柱形状の可動子30とを有
している。固定子10の内周面上には円周方向に延びる
複数の固定子電極22a〜22h,23a〜23h,・
・・が設けられ、可動子30の外周面上には円周方向に
延びる可動子電極41a〜41iが設けられている。固
定子電極22a〜22h,23a〜23h,・・・は、
全体として螺旋状に配列されている。可動子電極41a
〜41iを接地するとともに、固定子電極に螺旋方向に
沿って順次電圧を印加することにより、可動子電極は静
電気力により固定子電極22a〜22h,23a〜23
h,・・・に順次吸着され、これにより可動子30は固
定子10の内部で回転しつつ軸方向に移動する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は静電気力により駆動
される静電アクチュエータと、アクチュエータの可動子
を低摩擦で支持するための静電支持機構に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、マイクロマシン駆動用のリニ
アアクチュエータとして、電磁力や圧電素子を利用した
モータと歯車等の機構とを組合わせたものが多く知られ
ている。しかし、このタイプのアクチュエータは、サイ
ズが小さくなってくると、十分な出力が得ずらくなると
ともに、歯車等の機構や電磁力発生源であるコイル等を
配置するスペースが十分に確保できなくなってくるた
め、コンパクトで高性能なアクチュエータを設計するこ
とが困難となってくる。このため、微小なサイズの場
合、出力の点から有利となる静電気力を利用した静電ア
クチュエータが開発されてきているが、必ずしも十分な
性能を有するに至っていない。その主な原因の一つは、
可動子と固定子との間の摩擦の問題である。
【0003】この問題に対する解決策として、可動子を
弾性体により支持して、可動子と固定子とが直接接触し
ないように構成した静電アクチュエータがある。しか
し、このような構成にした場合、弾性体により可動子が
支持されているため可動子の可動範囲が制限されてしま
う。また、可動子を軸受により支持したり、可動子の案
内機構を設けることにより、可動子の可動範囲を確保し
つつ可動子と固定子とが直接接触しないように構成する
ことも考えられる。しかし、このような構成にした場
合、軸受や案内機構において摩擦が発生するため、アク
チュエータの出力の向上の観点からは好ましくない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、可動
子と固定子との間の摩擦の問題を解決しつつ可動子の可
動範囲を十分に確保できる静電アクチュエータを得るこ
とは困難である。
【0005】本発明はこのようなことを考慮してなされ
たものであり、可動子と固定子との間の摩擦を低減しつ
つ可動子の可動範囲を十分に確保することができる静電
アクチュエータを提供すること、および可動子の可動範
囲を制限することがなくかつ摩擦を低減することができ
る静電支持機構を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
内部に略円柱形状の空間を形成する内周面と、内周面上
に設けられた複数の固定子電極とを有する固定子と、前
記固定子の内部に配置され、前記固定子の内周面との間
に所定の間隙が形成される外周面を有し、前記外周面上
の円周方向に延びる可動子電極を有する可動子と、を備
え、前記複数の固定子電極は、軸方向に所定間隔をもっ
て配列されるとともに円周方向に延び、これら複数の固
定子電極に独立して電圧を印加することができるように
構成されていることを特徴とする静電アクチュエータで
ある。請求項1記載の発明によれば、固定子電極の配列
方向に沿って固定子電極に順次電圧が印加される。これ
により静電気力により可動子電極が固定子電極に順次吸
着され、可動子は軸方向に移動する。
【0007】また、請求項2記載の発明は、前記複数の
固定子電極が、互いに隣接する固定子電極が軸方向およ
び円周方向に所定の間隔をおいて配置されることにより
全体として螺旋状に配列されていることを特徴とする静
電アクチュエータである。請求項2記載の発明によれ
ば、固定子電極が配列される螺旋方向に沿って固定子電
極に順次電圧が印加される。これにより静電気力により
可動子電極が固定子電極に順次吸着され、可動子は回転
しながら軸方向に移動する。
【0008】請求項3記載の発明は、前記複数の固定子
電極に対して配列方向に沿って順次電圧を印加し、これ
により前記可動子を前記固定子の内部で軸方向に移動さ
せる電圧印加手段を更に備えたことを特徴とする静電ア
クチュエータである。請求項3記載の発明によれば、電
圧印加手段により各固定子に順次電圧が印加され、固定
子が軸方向に移動する。
【0009】請求項4記載の発明は、前記螺旋状に配列
された複数の固定子電極に対して螺旋方向に順次電圧を
印加し、これにより前記可動子を前記固定子の内部で回
転させながら軸方向に移動させる電圧印加手段を更に備
えたことを特徴とする静電アクチュエータである。請求
項4記載の発明によれば、電圧印加手段により各固定子
に螺旋方向に沿って順次電圧が印加され、固定子が回転
しながら軸方向に移動する。
【0010】また、請求項5記載の発明は、所定の中心
点に対して点対称位置に配置され、底面および2つの側
面を有する凹部が形成された少なくとも一対の固定電極
と、前記固定電極の凹部内に各々配置されるとともに前
記中心点に対して点対称位置に配置された少なくとも一
対の作用部と、前記一対の作用部を相互に連結する連結
部とを有する可動部と、を備え、前記作用部は、前記底
面側に前記底面と所定の間隔をおいて設けられた第1作
用部電極と、絶縁体を介して前記第1作用部電極と反対
側に配置された第2作用部電極とを有していることを特
徴とする静電支持機構である。請求項5記載の発明によ
れば、固定電極およびこれに対応する第1作用部電極に
同一の極性の電圧が印加されるとともに、第2作用部電
極に第1作用部電極と反対の極性の電圧が印加される。
静電気力により第2作用部電極は固定電極に引き寄せら
れ、これにより一対の作用部は対応する固定電極から各
々等しい中心点方向の力を受ける。これにより可動部は
一対の固定電極間において非接触状態で保持される。
【0011】また請求項6記載の発明は、各固定電極お
よびこれに対応する作用部の第1作用部電極に同一の極
性の電圧を印加し、第2作用部電極に第1作用部電極と
反対の極性の電圧を印加する電圧印加手段をさらに備
え、この電圧印加手段により各固定電極およびこれに対
応する作用部に電圧を印加することにより、前記一対の
作用部が各々対応する固定電極から前記中心点方向の作
用を受け、前記可動部が一対の固定電極間において非接
触状態で保持されることを特徴とする静電支持機構であ
る。請求項6記載の発明によれば、電圧印加手段により
固定電極と作用部の第1および第2作用部電極とにそれ
ぞれ所定の電圧が印加され、可動部が一対の固定電極間
において非接触状態で保持される。
【0012】また、請求項7記載の発明は、前記固定電
極の凹部の断面形状が前記底面側に向って小さくなるよ
うに形成されていることを特徴とする静電支持機構であ
る。請求項7記載の発明によれば、可動部が中心位置か
ら一方の固定電極側に移動した場合、固定電極に近づい
た方の作用部が受ける中心点方向の力が大きくなり、固
定電極から離れた方の作用部が受ける中心点方向の力が
小さくなる。これにより可動部は中心位置に戻る。
【0013】
【発明の実施の形態】第1の実施の形態 以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明
する。まず、第1の実施の形態について説明する。図1
乃至図5は本発明の第1の実施の形態を示す図である。
【0014】図1に示すように、静電アクチュエータ1
は、その内部に略円柱形状の空間を形成する内周面を有
し全体として円筒形状を有する固定子10と、固定子1
0の内部に配置された円柱形状の可動子30とを備えて
いる。
【0015】このうち固定子10は、図1に示すよう
に、上部固定子10aおよび下部固定子10bとからな
り、互いに対向して配置された割り面14a,14bに
おいてそれぞれ接着剤により接合されている。また上部
固定子10aおよび下部固定子10bは各々、図1およ
び図2に示すように、電気抵抗の高い物質、例えばガラ
スまたはセラミックスからなる円筒形状の基体11と、
基体11の内周面に設けられた膜状または板状の固定子
電極パタン20a〜20hとを有している。また、図2
に示すように、基体11および固定子電極パタン20a
〜20hの上には連続的に絶縁層13が形成され、上部
および下部固定子10a,10bの内周の全表面は絶縁
層13に覆われている。
【0016】また、図1に示すように、可動子30は、
固定子10と同様に、電気抵抗の高い物質、例えばガラ
スまたはセラミックスからなる円柱状の基体31と、基
体31上に形成された膜状または板状の可動子電極パタ
ン40とを有している。また、図2に示すように、基体
31および可動子電極パタン40の上には連続的に絶縁
層32が形成され、可動子30の外周の全表面は絶縁層
32に覆われている。この可動子30は、固定子10の
内周の直径より小さい外径を有している。
【0017】なお、本実施の形態において、絶縁層1
3,32を固定子10および可動子30の両方に設けた
例を示したが、これに限定されるものではなく、固定子
10または可動子30の少なくともいずれか一方に設け
られていればよい。以下、基体11の内周面および基体
31の外周面には絶縁層が常に設けられているものとす
る。同様に第2の実施の形態以降の実施の形態において
も、固定子の基体の内周面および可動子の基体の外周面
には絶縁層が同様に設けられている。
【0018】次に、図3(a)(b)により固定子電極
パタン20a〜20hと、可動子電極パタン40につい
て詳述する。まず、固定子電極パタン20a〜20hに
ついて説明する。図3(a)に示すように、固定子電極
パタン20a〜20hのうち固定子電極パタン20a
は、複数の固定子電極22a,23a・・・と、軸方向
に延びこれら複数の固定子電極同士を電気的に接続する
接続電極21aとから構成されている。固定子電極22
a,23a・・・は、各々固定子10の内周面の円周方
向、すなわち接続電極21aと直交する方向に延びてい
る。また、固定子電極22a,23a・・・は、軸方向
に所定の間隔をおいて配置されており、各々同一の全長
を有している。これら固定子電極22a,23a・・・
の円周方向の両端面は同一直線上にある。また、固定子
電極パタン20b〜20hも、固定子電極パタン20a
と略同一の構成を有している。
【0019】次に、固定子電極パタン20a〜20hお
よびこれら固定子電極パタン20a〜20hを構成する
固定子電極22a〜22h,23a〜22h,・・・の
相互の関係について説明する。固定子電極パタン20a
〜20hは、順次固定子10の内周面を円周方向に8等
分した位置にそれぞれ配置されている。従って固定子電
極パタン20a〜20hを構成する固定子電極22a〜
22h,23a〜22h,・・・は、この順に固定子1
0の内周面を円周方向に8等分した位置に、すなわち、
円周方向Rに各々所定の間隔x(図3(a)(b)参
照)をおいて順次配置されている。また、固定子電極2
2a〜22h,23a〜22h,・・・は、この順に軸
方向Aに対して所定の間隔yずつずらして配置されてい
る。このように固定子電極を配置することにより、固定
子電極22a〜22h,23a〜23h,・・・は全体
として螺旋状に配列されていることになる。
【0020】また、各接続電極20a〜20hの軸方向
端部には各々導線2a〜2hが接続され、これら導線2
a〜2hを介して各固定子電極パタン20a〜20hの
電位をそれぞれ独立して外部から調節することができる
ようになっている。
【0021】また、図3(b)に示すように、可動子電
極パタン40は、複数の可動子電極41a〜41iと、
各可動子電極41a〜41iを電気的に接続する接続電
極42とから構成されている。各々の可動子電極41a
〜41iは、可動子30の外周の円周方向に全周にわた
って延び、環状の形状を有している。また、可動子電極
41a〜41iは互いに平行に、かつ軸方向Aに対して
等間隔に配置されている。また、接続電極42の端部4
2aには、導線4が接続されており、この導線を介して
外部から可動子電極パタン40の電位を調節することが
できるようになっている。また、互いに隣接する可動子
電極41a〜41iの軸方向の間隔dは、互いに隣接す
る固定子電極21a〜21h、22a〜22h、・・・
の軸方向の間隔yより大きくなっている。この場合間隔
dは間隔yの1.5倍より小さいことが好ましい。な
お、本実施の形態においては間隔dと間隔yとは7.5
d=9yの関係にある(図3(a)(b)参照)。
【0022】このような構成からなる固定子電極パタン
20a〜20hおよび可動子電極パタン40は、基体1
1、31に所定の形状の金属薄膜を接着することにより
形成しても良いし、スパッタリングや蒸着等の手段を用
いて基体11、31上に導電膜を堆積し、エッチングプ
ロセス等を用いてパターニングすることによって形成し
ても良い。また絶縁層13、32は電気抵抗の高い物質
からなる薄いシートを導電膜上に接着することによって
形成しても良いし、スパッタリング法又はCVD法を用
いて酸化シリコン膜を堆積することによって形成しても
良い。また導線2a〜2h,4は導電性の接着剤を用い
て接着するか又はワイヤボンディング等の手段を用いて
接合される。
【0023】なお、本実施の形態においては、固定子1
0を上部固定子10aおよび下部固定子10bの2つに
分割した例を示したが、これに限定されるものではな
く、固定子10を3つ以上に分割して形成してもよい。
また、本実施の形態においては、固定子電極を固定子1
0の内周面を円周方向に8等分した位置にそれぞれ配置
した例を示したが、これに限定されるものではなく、例
えば円周方向に2〜7等分した位置に配置してもよい
し、9以上に等分した位置に配置してもよい。
【0024】次に、このような構成からなる本発明の第
1の実施の形態の作用について図4および図5(a)
(b)(c)により説明する。ここで、図4は固定子1
0および固定子電極22a〜22h,23a〜23h,
・・・と可動子30との放射方向の位置関係を示す図で
あり、図5は可動子電極41a〜41iと固定子電極2
2a〜22h,23a〜23h,・・・との軸方向の相
対的な位置関係を示す図である。また図4において、矢
印R1および矢印R2は可動子30の外周面の回転方向
(すなわち可動子30の自転運動の方向を)の動きを、
矢印C1および矢印C2は可動子30の中心軸の軌跡
(すなわち可動子30の公転運動の方向を)を、また図
5(a)(b)(c)において矢印A1および矢印A2
は可動子30の軸方向の動きをそれぞれ示している。
【0025】まず、導線4を接地することにより、可動
子30の可動子電極パタン40の電位を0とし、各可動
子電極41a〜41iの電位を0とする。この場合、可
動子電極パタン20a〜20hの電位はいずれも0であ
り、可動子30は図4の実線位置および図5(a)の位
置にある。
【0026】次いで、固定子10の各導線2a〜2hを
電圧印加装置35に接続し、切換スイッチ36を切換え
ることにより導線2gを介して固定子電極パタン20g
の電位を0から所定電位Vに切換える。この場合所定電
位Vは正でも負でもよい。このような所定電位Vへの切
換えによって、固定子電極パタン20gの固定子電極2
2g,23g・・・と可動子電極41a〜41iとの間
に電位差が生じ、固定子電極22g,23g・・・のと
可動子電極41a〜41iとの間に静電気力が働く。こ
の場合、静電気力は距離の2乗に反比例する力であり、
固定子電極22g,23g・・・のうち固定子電極22
g以外は可動子電極41a〜41iから十分に離れてい
るので、固定子電極パタン20gのうち固定子電極22
g以外の固定子電極の作用は無視できる。従って、固定
子電極22gと可動子電極41a〜41iとの間に働く
静電気力のみ考える。この場合、固定子電極22gに近
い位置にある可動子電極は41eおよび41fであり、
このうち固定子電極22gに最も近い位置にある可動子
電極は41fである。従って固定子電極22gと可動子
電極41fとの間に最も大きい静電気力が働き、この静
電気力により、可動子電極41fは固定子電極22gと
一致するように動き、この結果、可動子30が矢印R1
方向に回転しながら矢印A1方向に移動し、図4破線位
置および図5(b)の位置に至る。また、この動きに伴
い、可動子30の中心軸30aは矢印C1方向に移動す
る。
【0027】次いで、電圧印加装置35の切換スイッチ
36を切換えることにより、固定子電極パタン20gの
電位を所定電位Vから0に切換えるとともに、導線2h
を介して固定子電極パタン20hの電位を0から所定電
位Vに切換える。この場合、上記と同様の原理で、固定
子電極22hに最も近い位置にある可動子電極41g
(図5(b)参照)との間に最も大きい静電気力が働
く。この静電気力により、可動子電極41gは固定子電
極22hと一致するように動き、この結果、可動子30
がR1方向に回転しながらA1方向に移動し、図4一点
鎖線位置および図5(c)の位置に至る。また、この動
きに伴い、可動子30の中心軸30aは矢印C1方向に
移動する。
【0028】このようにして固定子電極パタン20g,
20h,20a,20b,・・・の順、すなわち符号の
末尾のアルファベットの順に順次電圧を印加してゆくこ
とにより、可動子30は固定子10内周面に沿って図4
矢印R1方向に自転しながら矢印C1方向に公転し、こ
れとともに軸方向(図5矢印A1方向)に移動してゆ
く。すなわち固定子10は螺旋状の軌跡を描きながら移
動してゆく。また、固定子電極群に対して電圧を印加す
る順序を反対にすれば、可動子30は固定子10内周面
に沿って図4矢印R2方向に自転しながら図4矢印C2
方向に公転し、これとともに軸方向(図5矢印A2方
向)に移動してゆく。なお、この作動原理はワブルモー
タの作動原理として知られているものである。
【0029】このように、本実施の形態によれば、可動
子30を固定子10内周面に沿って回転させながら軸方
向に移動させることができるため、可動子30と固定子
10との間の摩擦を少なくした状態で可動子30を移動
させることができる。また、固定子10の軸方向長さを
長くし、これに対応して固定子電極を多く設けることに
より可動子30の移動範囲を所望のまま拡大することが
できる。
【0030】第2の実施の形態 次に、第2の実施の形態について説明する。図6乃至図
8は本発明の第2の実施の形態を示す図である。第2の
実施の形態は、第1の実施の形態に対して固定子電極パ
タンの配置および固定子電極パタンと可動子電極パタン
との相関関係のみが異なり、他は第1の実施の形態と略
同一である。第2の実施の形態において第1の実施の形
態と同一部分については同一符号を付し、詳細な説明は
省略する。図6および図7(a)(b)に示すように、
固定子電極パタン50は、上部固定子10aに設けられ
た第1電極パタン51および第2電極パタン52と、下
部固定子10bに設けられた第3電極パタン53および
第4電極パタン54と、から構成されている。
【0031】このうち上部固定子10aに設けられた第
1電極パタン51は、図7(a)に示すように複数の固
定子電極51a,51b,・・・,51eと、これら複
数の固定子電極51a〜51eを電気的に接続する接続
電極51fとからなる。このうち固定子電極51a〜5
1eは上部固定子10aの内周面の円周方向に延び、各
々同じ長さを有している。また、これら固定子電極51
a〜51eは、所定のピッチpをおいて軸方向に等間隔
で配列されている。また、接続電極51fは軸方向に延
び、固定子電極51a〜51eの一方の端部において固
定子電極51a〜51eと接続されており、第1電極パ
タン51は全体として櫛型の形状を有している。
【0032】また、第2電極パタン52も、複数の固定
子電極52a〜52eおよび接続電極52fからなり、
全体として第1電極パタン51と同様に櫛型の形状を有
している。また、第2電極パタン52の固定子電極52
a〜52e間のピッチpは、第1電極パタン51の固定
子電極51a〜51e間のピッチpと同一となってい
る。
【0033】第1電極パタン51と第2電極パタン52
とは軸方向に1/2ピッチp分ずれた状態で互いに相対
し、互いの櫛の歯部分を組み合わせるように、すなわち
固定子電極が51a,52a,51b,・・・,52
d,51e,52eの順に軸方向に交互に並ぶように配
置されている。この場合、軸方向において互いに隣接す
る固定子電極51a〜51e、52a〜52eの間には
所定の間隔が設けられ、また、第1電極パタン51と第
2電極パタン52とはいずれの部位においても互いに接
触しないようになっている。
【0034】また、下部固定子10bに設けられた第3
電極パタン53と第4電極パタン54は、上部固定子1
0aに設けられた第1電極パタン51と第2電極パタン
52と同様の態様で配置されており、第3電極パタン5
3の固定子電極53a〜53e間のピッチpと第4電極
パタン54の固定子電極54a〜54e間のピッチp
は、ともに第1および第2電極パタン51、52の固定
子電極間のピッチpと同一となっている。
【0035】また、第3電極パタン53の固定子電極5
3aは、第1電極パタン51の固定子電極51aに対し
て軸方向に1/4ピッチp分ずれて配置されており、従
って第1電極パタン〜第4電極パタンの固定子電極51
a,53a,52a,54a,51b,・・・,54
d,51e,53e,52e,54eは、軸方向に対し
てこの順に各々1/4ピッチp分ずれて配置されてい
る。
【0036】また、各接続電極51f,52f,53
f,54fの軸方向端部には各々導線5a,5b,5
c,5dが接続され、これら導線5a〜5dを介して第
1〜第4電極パタン51〜54の電位をそれぞれ独立し
て外部から調節することができるようになっている。
【0037】また、可動子電極パタン60は、図7
(b)に示すように、複数の可動子電極61a〜61e
と、各可動子電極61a〜61eを電気的に接続する接
続電極62から構成されている。各可動子電極61a〜
61eは、可動子30の外周の円周方向に延び環状の形
状を有している。また、可動子電極61a〜61eは互
いに平行に、かつ軸方向に対して等間隔に配置されてお
り、互いに隣接する可動子電極61a〜61eの軸方向
の間隔は、固定子10の各電極パタン51、52、5
3、54の各固定子電極間のピッチpと等しくなってい
る。また、接続電極62の端部62aには、導線6が接
続されており、この導線6を介して外部から可動子電極
パタン60の電位を調整することができるようになって
いる。
【0038】次に、このような構成からなる第2の実施
の形態の作用について図8(a)〜(e)により説明す
る。なお、図8(a)〜(e)において、黒色に塗り潰
されている電極は所定電位Vを有する電極を意味し、白
抜きの電極は電位0の電極を意味する。
【0039】まず、図7(b)に示すように、導線6を
接地することにより、可動子30の可動子電極41a〜
41iの電位を0とする。この場合、固定子10の第1
〜第4電極パタン51〜54の電位はいずれも0であ
り、可動子30は図8(a)の位置にある。次に図7
(a)に示すように固定子10の各導線5a〜5dを電
圧印加装置70に接線する。
【0040】次いで、電圧印加装置70の切換スイッチ
71を切換えることにより、図8(a)に示すように、
導線5aを介して固定子10の第1電極パタン51の電
位を0から所定電位Vに切換える。この場合Vは正でも
負でもよい。この場合第1電極パタン51の固定子電極
51a〜51eと可動子電極61a〜61eとの間に電
位差が生じ静電気力が働く。この静電気力により、可動
子電極61a〜61eは各々最も近い位置にある固定子
電極51a〜51eに引寄せられ、これにより可動子3
0が上方に移動する(図8(b))。
【0041】次に、図8(b)に示すように、第1電極
パタン51の第1電極パタン51の電位を0に戻すとと
もに、第3電極パタン53の電位を0から所定電位Vに
切換える。これにより第3電極パタン53の固定子電極
53a〜53eと可動子電極61a〜61eとの間に静
電気力が働き、可動子電極61a〜61eは各々最も近
い位置にある固定子電極53a〜53eに引寄せられ、
これにより可動子30が斜め下方に移動する(図8
(c))。
【0042】次に、図8(c)に示すように、第3電極
パタン53の電位を0に戻すとともに、第2電極パタン
52の電位を0から所定電位Vに切換える。これにより
上記と同様にして可動子電極61a〜61eは各々最も
近い位置にある固定子電極52a〜52eに引寄せら
れ、これにより可動子30が斜め上方に移動する(図8
(d))。
【0043】次に、図8(d)に示すように、第2電極
パタン52の電位を0に戻すとともに、第4電極パタン
54の電位を0から所定電位Vに切換える。これにより
上記と同様にして可動子電極61a〜61eは各々最も
近い位置にある固定子電極54a〜54eに引寄せら
れ、これにより可動子30が斜め上方に移動する(図8
(e))。
【0044】以上のようにして、第1電極パタン51、
第3電極パタン53、第2電極パタン52および第4電
極パタン54の順に順次電位を0から所定電位Vに切換
えてゆくことにより、固定子30は可動子10の内部を
上下動しながら軸方向(図8(a)〜(e)右側)に移
動してゆく。また、電極パタン51〜54へ電圧を印加
する順序を逆にすれば固定子30を逆方向(図8(a)
〜(e)左側)へ移動させることができる。
【0045】このように、本実施の形態によれば、可動
子30を固定子10の内部を上下動させながら軸方向に
移動させることができるため、可動子30と固定子10
との間の摩擦を少なくした状態で可動子30を移動させ
ることができる。また、固定子10の軸方向長さを長く
し、これに対応して固定子電極を多く設けることにより
可動子30の移動範囲を所望のまま拡大することができ
る。
【0046】第3の実施の形態 次に、第3の実施の形態について説明する。図9乃至図
13は本発明の第3の実施の形態を示す図である。図9
に示すように、静電支持機構100は、導電性物質から
なる一対の固定電極101a,101bと、一対の固定
電極101a,101b間に設けられた可動部115と
を備え、この可動部115は、固定電極101a,10
1bに対応して設けられた一対の作用部110a,11
0bと、これら一対の作用部110a,110bを相互
に連結する連結部120とを有している。
【0047】まず、固定電極101a,101bについ
て詳述する。図9に示すように、固定電極101a,1
01bは、各々が中心点130に対して点対称位置に配
置されている。このうち固定電極101aには、固定電
極101bと対向する側に、底面103aと、2つの側
面104a,105aとにより区画された凹部102a
が形成されている。これら2つの側面104a,105
aは、凹部102a断面形状が底面103a側にゆくに
つれて小さくなるように傾斜しており、側面104aお
よび側面105aが底面103aと成す角度は互いに等
しくなっている。また、凹部102aを区画する底面1
03aおよび側面104a,105aの表面は絶縁層
(図示せず)により覆われている。また、固定電極10
1bの構成および形状寸法は固定電極101aと同一で
あり、固定電極101aの各構成要素に付した符号の末
尾のアルファベットのaをbに替えて固定電極101b
の各構成要素に付し、詳細な説明は省略する。また、固
定電極101a,101bには、導線(図示せず)がそ
れぞれ接続されており、これら導線を介して外部から固
定電極101a,101bの電位を調整することができ
るようになっている。
【0048】次に、可動部115について詳述する。前
述したように、可動部115は一対の作用部110a,
110bと連結部120とからなり、作用部110a,
110bは、固定電極101a,101bの凹部102
a,102b内に各々配置されている。このうち作用部
110aは、固定電極101aの底面103aと相対す
る側に配置された第1作用部電極111aと、連結部1
20側に配置された第2作用部電極112aと、第1作
用部電極111aと第2作用部電極112aとの間に設
けられた絶縁層113aとから構成されている。このう
ち絶縁層113aは、電気抵抗の高い物質、例えばガラ
スまたはセラミックスからなり、第1作用部電極111
aと第2作用部電極112aは膜状または板状の導電性
物質により形成されている。
【0049】また、作用部110aの横方向(図12X
方向)の幅は相対する固定電極101aの側面104
a,105a間の横方向(図12X方向)の距離より小
さくなっており(図12乃至14参照)、作用部110
aが垂直方向(図12Y方向)に最大限に変位した場合
でも作用部110aの側面が固定電極101aの側面1
04a,105aに当接しないようになっている。ま
た、可動部115の両端面の間の距離、すなわち作用部
110aの第1作用部電極111aの端面と作用部11
0bの第1作用部電極111bの端面との間の距離は、
固定電極101aの底面103aと固定電極101bの
底面103bとの間の距離よりも小さくなっている。
【0050】また、第1作用部電極111a,111b
と第2作用部電極112a,112bには導線(図示せ
ず)がそれぞれ接続されており、これら導線を介して外
部から第1および第2作用部電極の電位を独立して調節
することができるようになっている。
【0051】なお、本実施の形態においては、固定電極
101a,101b全体を導電性物質により構成した例
を示したが、これに限定されるものではなく、図10に
示すように、電気抵抗の高い物質、例えばガラスまたは
セラミックスにより図9に示す固定電極101a,10
1bと略同一の形状を有する基体106を形成し、この
基体130の凹部表面の全面に膜状または板状の導電性
物質107を設けることにより固定電極を形成してもよ
い。この場合も、導電性物質107上には絶縁層108
が設けられている。
【0052】また、固定電極101a,101bの側面
104a,105a、104b,105bは必ずしも傾
斜している必要はなく、各々を底面103a,103b
に対して垂直に設けてもよいが、傾斜している方が好ま
しい。
【0053】次に、このような構成からなる第3の実施
の形態の作用について図11および図12により説明す
る。
【0054】まず、図11により、固定電極101a,
101bの側面104a,105a,104b,105
bが傾斜していない場合の静電支持機構100の基本的
な作用について説明する。図11に示すように、電圧印
加装置170により第1作用部電極111aおよび固定
電極101aに正の電位Vが与えられ、第2作用部電極
112aに負の電位−Vが与えられている。また、固定
電極101bおよび作用部110b(図示せず)の各電
極にも同様の態様で電位Vおよび−Vが与えられてい
る。この場合、凹部102a内における電気力線の分布
は図12において破線で示すようになっており、作用部
110aには上方向の力が働いている。また、中心点1
30に対して対称位置に設けられた作用部110bには
下方向の力が働いている。ここで、作用部110aと作
用部110bとに働く力は等しくなるため、可動部11
5は、固定電極101aの底面103aと固定電極10
1b底面103bとの間で固定電極101a,101b
に接触することなく空中に保持される。
【0055】次に、図12により、固定電極101a,
101bの側面104a,105a,104b,105
bが傾斜している場合の作用について説明する。なおこ
の場合も、図13に示すように、電圧印加装置180に
より第1作用部電極111a,111bおよび固定電極
101a,101bに正の電位Vが与えられ、第2作用
部電極112a,112bに負の電位−Vが与えられて
いる。
【0056】まず、静電支持機構100の可動部115
が平衡位置、すなわち可動部115の連結部120の中
点130aと一対の固定電極101a,101bの中心
点130が一致するような位置にある場合、作用部11
0a,110bは、図12における二点鎖線位置にあ
る。ここで、例えば可動部115の連結部120に軸方
向(図12における上下方向)の外力が加わり、可動部
115が固定電極101a側に変位したものとする(図
12実線位置)。この場合、側面104a,105a,
104b,105bが傾斜しているため、可動部115
が平衡位置にある場合と比べて作用部110aと側面1
04a,105aとの距離は小となる。静電気力は距離
の2乗に反比例する力であるため、図13において破線
で示すように電気力線密度が密となり、これにより静電
気力により作用部110aを上方に引上げる力が増大す
る。一方、作用部110bと側面104b,105bと
の距離は大となり、図12において破線で示すように電
気力線密度が疎となり、これにより作用部110aを下
方に引下げる力は減少する。従って、可動部115全体
には平衡状態に戻ろうとする力、すなわち上方への力が
作用し、可動部115は平衡位置(図12二点鎖線位
置)に戻る。
【0057】このように、本実施の形態によれば、非接
触状態で可動部115を保持することができるため、摩
擦力に起因する抵抗が発生しない静電支持機構100を
得ることができる。また、とりわけ、固定電極101
a,101bの側面104a,105a,104b,1
05bが傾斜している場合には、可動部115が連結部
120の軸方向に変位した場合、可動部115には自ら
平衡状態に戻ろうとする力が作用するようになっている
ため、自己芯出し機能を有する静電支持機構100を得
ることができる。
【0058】なお、本実施の形態においては、固定電極
と作用部を各々一対ずつ設けた例を示したが、これ限定
されるものではなく、例えば図13に示すように、中心
点130を中心として二対の固定電極101a,101
bおよび101c,101dと作用部110a,110
bおよび110c,110dとを設けてもよい。この場
合、対をなす作用部110a,110bおよび110
c,110dを各々連結する2つの連結部120a,1
20bは互いに直交する関係にある。このようにすれ
ば、上下方向のみならず左右方向にも可動部115を支
持することができる。
【0059】第4の実施の形態 次に、第4の実施の形態について説明する。図14は第
4の実施の形態を示す図である。第4の実施の形態は第
3の実施の形態に対して固定電極が互いに電気的に独立
した2つの部分に分割されている点が異なり、他は第3
の実施の形態と略同一である。第4の実施の形態におい
て第3の実施の形態と同一部分については同一符号を付
し、詳細な説明は省略する。
【0060】図14に示すように、固定電極140は第
1固定電極141および第2固定電極142からなり、
第1固定電極141と第2固定電極142との間には絶
縁体143が設けられている。すなわち本実施の形態に
おける固定電極140は、第3の実施の形態における固
定電極101a,101bを中央で2つに分割した形状
を有している。第1固定電極141および第2固定電極
142にはそれぞれ導線144,145が接続されてお
り、これら導線144,145を介して外部から第1固
定電極141および第2固定電極142の電位を独立し
て調節することができるようになっている。
【0061】次に、このような構成からなる本実施の形
態の作用について説明する。まず、図14に示すよう
に、各導線144,145を電圧印加装置190に接続
し、切換スイッチ191を高速で切換える。切換スイッ
チ191を実線位置にした場合、第1固定電極141の
電位がVとなり、第2固定電極142の電位は0とな
る。この場合、凹部140a内における電気力線の分布
は破線で示すようになっており、作用部110aには作
用部110aを上方に引き上げる力と、作用部110a
を固定電極141の側面141a側に引寄せる力とが同
時に働いている。一方、切換スイッチ191を二点鎖線
位置にした場合、第1固定電極141の電位が0とな
り、第2固定電極142の電位はVとなる。この場合、
凹部102a内における電気力線の分布は二点鎖線破線
で示すようになっており、作用部110aには作用部1
10aを上方に引き上げる力と、作用部110aを固定
電極142の側面142a側に左側に引寄せる力とが同
時に働いている。すなわち、作用部110aには高サイ
クルで交互に左右方向の力が働くようになっているた
め、作用部110aが側面141aまたは側面142a
のいずれか一方に吸着されてしまうことを防止すること
ができる。
【0062】第5の実施の形態 次に、第5の実施の形態について説明する。図15乃至
図18は本発明の第5の実施の形態を示す図である。第
5の実施の形態は、第2の実施の形態において説明した
静電アクチュエータと略同一の作動原理を有する静電ア
クチュエータに対して第5の実施の形態において説明し
た静電支持機構と略同一の作動原理を有する静電支持機
構を設けたものである。図15および図16に示すよう
に、静電アクチュエータ200は、固定子210と、固
定子210の内部に収納された全体として円柱形状を有
する可動子230とを備えている。
【0063】このうち固定子210は、図16に示すよ
うに、第1固定子210a,第2固定子210b,第3
固定子210cおよび第4固定子210dからなり、隣
接する第1〜第4固定子210a〜210dは、絶縁性
の接着層211a〜211dを介して互いに固着され、
全体として円筒形状を有している。また、固定子210
の内周面の接着層211a〜211dに対応する位置に
は、軸方向に延在する凹部212a〜212dが形成さ
れている。凹部212a〜212dの表面には固定電極
213a〜213dがそれぞれ設けられており、これら
固定電極213a〜213dは第5の実施の形態と同様
に各々2つに分割されている。また、2つに分割された
固定電極213a〜213dの各々は接着層211a〜
211dにより互いに絶縁されている。
【0064】また、図16および図17(a)に示すよ
うに、固定子210の内周面には固定子電極パタンが形
成されている。固定子電極パタンは第1固定子210a
および第3固定子210cに設けられた第1電極パタン
251および第2電極パタン252と、第2固定子21
0cおよび第4固定子210dに設けられた第3電極パ
タン253および第4電極パタン254とからなる。
【0065】図16および図17(a)に示すように、
第3固定子210cに設けられた第1電極パタン251
および第2電極パタン252は、それぞれ第1固定子2
10aに設けられた第1電極パタン251および第2電
極パタン252を固定子210の中心軸215に対して
点対称位置に移動させた位置にある。また、第4固定子
210dに設けられた第3電極パタン253および第4
電極パタン254は、それぞれ第2固定子210bに設
けられた第3電極パタン253および第4電極パタン2
54を固定子210の中心軸215に対して点対称位置
に移動させた位置にある。このように第1〜第4電極パ
タン251〜254を配置することにより、固定子21
0を移動させる際に、固定子210に軸方向の力のみが
加わるようにすることができ、固定子210が放射方向
にぶれることを防止することができる。
【0066】また、本実施の形態において、固定子の内
周面上に設けられる第1〜第4電極パタン251〜25
4は、各々が固定子210の内周面の1/4ずつをカバ
ーする点が第2の実施の形態と異なり(第2の実施の形
態においては第1〜第4電極パタン51〜54の各々が
固定子10の内周面の1/2ずつをカバーする)、他の
点、すなわち各電極パタン251〜254の構成、形
状、相互の位置関係、電極パタン251〜254を構成
する固定子電極間のピッチp等については第2の実施の
形態における第1〜第4電極パタン51〜54のものと
略同一であり、詳細な説明は省略する。
【0067】また、図15、図16および図17(b)
に示すように、可動子230は円筒形状の基体231
と、基体231上に形成された膜状または板状の可動子
電極パタン240とを有している。この可動子230
は、固定子210の内周の直径より小さい直径を有して
いる。また、図15および図16に示すように、可動子
230の外周を4等分する位置には、軸方向に延びる作
用部110a,110b,110c,110dが各々設
けられ、これら作用部110a〜110dはそれぞれ可
動子230に設けられた支持部160a,160b,1
60c,160dを介して可動子230に固着されてい
る。なお、作用部110a〜110dの構成は、第5の
実施の形態における作用部110aおよび110bの構
成と同一であり、同一符号を付すことにより詳細な説明
は省略する。
【0068】また、図17(b)に示すように、可動子
電極パタン240は第1電極パタン240a,第2電極
パタン240b,第3電極パタン240cおよび第4電
極パタン240dとからなり、第1〜第4電極パタン2
40a〜240dはそれぞれ第1〜第4固定子210a
〜210dに相対して設けられている。このうち第1電
極パタン240aは、複数の可動子電極241a〜24
1eと、各可動子電極240a〜240eを電気的に接
続する接続電極241fとから構成されている。各々の
可動子電極241a〜241eは各々、可動子230の
外周の円周方向に延び、各々が互いに平行に、かつ軸方
向に対して等間隔に配置されている。また、接続電極2
41fは各可動子電極241a〜241eの長手方向略
中央部を通り軸方向に延びている。
【0069】また、図17(a)(b)に示すように、
互いに隣接する可動子電極241a〜241eの軸方向
のピッチpは、固定子電極間のピッチpと同一となって
いる。また、第2〜第4電極パタン240b〜240d
は第1電極パタン240aと同一の形状を有しており、
第1〜第4電極パタン240a〜240dの各可動子電
極241a〜241e,242a〜242e,243a
〜243e,244a〜244eは、符号の末尾のアル
ファベットが対応するもの同士が各々可動子230の外
周面上の軸方向同一位置に配置されている。
【0070】なお、この場合、可動子230および可動
子に設けられた支持部160a〜160dが第5の実施
の形態における連結部120に相当し、可動子230、
支持部160a〜160dおよび作用部110a〜11
0dが第5の実施の形態における可動部115に相当す
る。
【0071】次に、このような構成からなる本実施の形
態の作用について説明する。まず、図15に示すように
可動子230を固定子210の内部に挿入する。次に、
図18に示すように、固定電極213a〜213dおよ
び作用部110a〜110dを電圧印加装置260に接
続する。この場合、固定電極213a〜213dの電圧
印加装置260への配線は、切換スイッチ261を切換
えた場合、固定子210を回転させる力が作用しないよ
うに行われている。すなわち、図18において、例えば
切換スイッチ261を261a側に切換えた場合、作用
部110a〜110dのすべてに同一の円周方向の力F
が作用しないように配線されている。ここで、電圧印加
装置260の切換スイッチ261を高速で切換えると、
第5に実施の形態において説明したのと同様の原理で、
可動子230および作用部110a〜110dは固定子
210の内部で固定子210に接触することなく保持さ
れる。
【0072】次に、図17(b)に示すように、第1〜
第4電極パタン240a〜240dを接地し、第1〜第
4電極パタン240a〜240dの電位を0とする。さ
らに図17(a)に示すように、電圧印加装置262に
第1〜第4電極パタン251〜254を接続し、電圧印
加装置262の切換スイッチ263を263a,263
b,263c,263dの順で順次切換える。そうする
と第2の実施の形態において説明したのと同様の原理
で、可動子230は固定子210の内部で軸方向に移動
する。
【0073】以上説明したように、本実施の形態によれ
ば、可動子230を固定子210の内部で固定子210
に接触させることなく軸方向に移動させることができる
ため、可動子230と固定子210との間に接触に起因
する摩擦力が発生することはなく、可動子230を極め
てスムーズに移動させることができる。このため良好な
作動特性を有する静電アクチュエータを得ることができ
る。
【0074】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の静電アク
チュエータによれば、可動子との固定子との間に全くま
たはほとんど摩擦力が発生しないため、良好な作動特性
を有するアクチュエータを得ることができる。また、可
動子の移動範囲を制限するような軸受けを設ける必要が
ないため、大きな可動範囲を有するアクチュエータを得
ることができる。
【0075】また、本発明の静電支持機構によれば、固
定電極と可動部の作用部との間に働く静電気力を利用し
て可動部を非接触状態で保持することができるので、固
定電極と可動部との間に接触に起因する摩擦力が発生す
ることはない。このため、可動部を移動させるために必
要とされる力を大幅に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す図であって、
静電アクチュエータの軸方向断面図。
【図2】図1のA−A断面を示す図。
【図3】第1の実施の形態における上部固定子および下
部固定子の内周面の展開図と、可動子の側面図。
【図4】第1の実施の形態における可動子の固定子に対
する放射方向の動きを示す軸方向断面図。
【図5】第1の実施の形態における可動子の固定子に対
する軸方向の動きを示す模式図。
【図6】本発明の第2の実施の形態を示す図であって、
静電アクチュエータの軸方向断面図。
【図7】第2の実施の形態における上部固定子および下
部固定子の内周面の展開図と、可動子の側面図。
【図8】第2の実施の形態における可動子の動きを示す
側面からの部分断面図。
【図9】本発明の第3の実施の形態を示す図であって、
静電支持機構の構成を示す斜視図。
【図10】固定電極の他の構成を示す断面図。
【図11】本発明の第3の実施の形態の作用を示す図。
【図12】本発明の第3の実施の形態の作用を示す図。
【図13】固定電極および作用部を複数組設けた例を示
す図。
【図14】本発明の第4の実施の形態の構成および作用
を示す図。
【図15】本発明の第5の実施の形態の構成を示す分解
斜視図。
【図16】本発明の第5の実施の形態の構成を示す図で
あって、軸方向に対して垂直方向の断面図。
【図17】第5の実施の形態における固定子の内周面お
よび可動子の外周面の展開図であって、固定子電極パタ
ンおよび可動子電極パタンと電圧印加装置との接続状態
を示す図。
【図18】固定電極および作用部の電圧印加装置に対す
る接続状態を示す図。
【符号の説明】
10,210 固定子 22a〜22h,23a〜23h,・・・ 固定子電極 30,230 可動子 35,70,262 (静電アクチュエータ用)電圧印
加装置 41a〜41i,61a〜61e 可動子電極 51a〜51e,52a〜52e,・・・ 固定子電極 101a〜101d 固定電極 102a〜102d 凹部 103a,103b 底面 104a,104b,105a,105b 側面 110 作用部 111a,111b 第1作用部電極 112a,112b 第2作用部電極 113a,113b 絶縁層 115 可動部 120 連結部 170,180,190,260 (静電支持機構用)
電圧印加装置 241a〜241e,242a〜242e,・・・ 可
動子電極

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内部に略円柱形状の空間を形成する内周面
    と、内周面上に設けられた複数の固定子電極とを有する
    固定子と、 前記固定子の内部に配置され、前記固定子の内周面との
    間に所定の間隙が形成される外周面を有し、前記外周面
    上の円周方向に延びる可動子電極を有する可動子と、を
    備え、 前記複数の固定子電極は、軸方向に所定間隔をもって配
    列されるとともに円周方向に延び、これら複数の固定子
    電極に独立して電圧を印加することができるように構成
    されていることを特徴とする静電アクチュエータ。
  2. 【請求項2】前記複数の固定子電極は、互いに隣接する
    固定子電極が軸方向および円周方向に所定の間隔をおい
    て配置されることにより全体として螺旋状に配列されて
    いることを特徴とする請求項1記載の静電アクチュエー
    タ。
  3. 【請求項3】前記複数の固定子電極に対して配列方向に
    沿って順次電圧を印加し、これにより前記可動子を前記
    固定子の内部で軸方向に移動させる電圧印加手段を更に
    備えたことを特徴とする請求項1記載の静電アクチュエ
    ータ。
  4. 【請求項4】前記螺旋状に配列された複数の固定子電極
    に対して螺旋方向に順次電圧を印加し、これにより前記
    可動子を前記固定子の内部で回転させながら軸方向に移
    動させる電圧印加手段を更に備えたことを特徴とする請
    求項2記載の静電アクチュエータ。
  5. 【請求項5】所定の中心点に対して点対称位置に配置さ
    れ、底面および2つの側面を有する凹部が形成された少
    なくとも一対の固定電極と、 前記固定電極の凹部内に各々配置されるとともに前記中
    心点に対して点対称位置に配置された少なくとも一対の
    作用部と、前記一対の作用部を相互に連結する連結部
    と、を有する可動部と、を備え、 前記作用部は、前記底面側に前記底面と所定の間隔をお
    いて設けられた第1作用部電極と、絶縁体を介して前記
    第1作用部電極と反対側に配置された第2作用部電極と
    を有していることを特徴とする静電支持機構。
  6. 【請求項6】各固定電極およびこれに対応する作用部の
    第1作用部電極に同一の極性の電圧を印加し、第2作用
    部電極に第1作用部電極と反対の極性の電圧を印加する
    電圧印加手段をさらに備え、 この電圧印加手段により各固定電極およびこれに対応す
    る作用部に電圧を印加することにより、各固定電極が対
    応する作用部に対して前記中心点方向の力を与え、前記
    可動部が一対の固定電極間において非接触状態で保持さ
    れることを特徴とする請求項5記載の静電支持機構。
  7. 【請求項7】前記固定電極部の凹部は、その断面形状が
    前記底面側に向って小さくなるように形成されているこ
    とを特徴とする請求項5または6記載の静電支持機構。
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