JPH09245622A - 電子放出素子、電子源基板、及び画像形成装置の製造方法 - Google Patents

電子放出素子、電子源基板、及び画像形成装置の製造方法

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JPH09245622A
JPH09245622A JP6900196A JP6900196A JPH09245622A JP H09245622 A JPH09245622 A JP H09245622A JP 6900196 A JP6900196 A JP 6900196A JP 6900196 A JP6900196 A JP 6900196A JP H09245622 A JPH09245622 A JP H09245622A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 短時間に低コストで、且つ容易に大面積にお
いて電子放出素子を形成することができる表面伝導型電
子放出素子ならびにそれを有する電子源基板および画像
形成装置を提供する。 【解決手段】 一対の素子電極2,3間に、導電膜4を
形成するための材料の溶液を液滴の状態で付与して導電
膜を形成し、そしてこの導電膜に電子放出部5を形成す
る電子放出素子の製造方法において、複数または単数の
ノズルを有するインクジェット方式の液滴付与手段を用
い、このノズルを素子電極間のギャップ方向に走行させ
ながら、付与される液滴によって形成されるドットの直
径より短い間隔で複数の材料溶液の液滴を付与する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子放出素子、電子
源基板、及び画像形成装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子放出素子として熱電子源と冷
陰極電子源の2種類が知られている。冷陰極電子源には
電界放出型(以下、「FE型」と略す)、金属/絶縁層
/金属型(以下、「MIM型」と略す)や表面伝導型電
子放出素子等がある。FE型の例としては「W.P.D
yke&W.W.Dolan、“Field emis
sion”、Advance in Electron
Physics、8、89(1956)」あるいは
「C.A.Spindt、“Physical Pro
perties of thin−film fiel
d emission cathodes with
molybdenium”、J.Appl.Phy
s.,47,5248(1976)」等が知られてい
る。MIM型の例としては「C.A.Mead、“Th
e Tunnel−emission amplifi
er”、J.Appl.Phys.、32、646(1
961)」等が知られている。
【0003】表面伝導型電子放出素子型の例としては、
「M.I.Elinson、Radio Eng.El
ectron Phys.、1290(1965)」等
がある。表面伝導型電子放出素子は、基板上に形成され
た小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流すことによ
り、電子放出が生ずる現象を利用するものである。この
表面伝導型電子放出素子としては、前記エリンソン等に
よるSnO2 薄膜を用いたもの、Au薄膜によるもの
(「G.Dittmer:“Thin SolidFi
lms”、9 317(1972)」)、In23
SnO2 薄膜によるもの(「M.Hartwell a
nd C.G.Fonstad:“IEEETran
s.ED Conf.”、519(1975)」)、カ
ーボン薄膜によるもの(「荒木久 他:真空、第26
巻、第1号、22頁(1983)」)等が報告されてい
る。
【0004】これらの表面伝導型電子放出素子の典型的
な素子構成として前述のM.ハートウェルの素子構成を
図12に示す。同図において1は基板である。4は導電
性薄膜で、H型形状のパターンに、スパッタで形成され
た金属酸化物薄膜等からなり、後述の通電フォーミング
と呼ばれる通電処理により電子放出部5が形成される。
尚、図中の素子電極間隔Lは、0.5mm〜1mm、
W’は、0.1mmで設定されている。尚、電子放出部
5の位置及び形状については、不明であるので模式図と
して表わした。
【0005】従来、これらの表面伝導型電子放出素子に
おいては、電子放出を行なう前に導電性薄膜4に対して
予め通電フォーミングと呼ばれる通電処理を施すことに
よって電子放出部5を形成するのが一般的である。通電
フォーミングとは導電性薄膜4の両端に直流電圧あるい
は非常にゆっくりとした昇電圧例えば1V/分程度を印
加通電し、導電性薄膜4を局所的に破壊、変形もしくは
変質せしめ、電気的に高抵抗な状態にした電子放出部5
を形成することである。尚、電子放出部5は導電性薄膜
4の一部に亀裂が発生しその亀裂付近から電子放出が行
なわれる。前記通電フォーミング処理をした表面伝導型
電子放出素子は、導電性薄膜4に電圧を印加し、素子に
電流を流すことにより電子放出部5より電子を放出せし
めるものである。
【0006】上述の表面伝導型放出素子は構造が単純で
製造も容易であることから大面積にわたり多数素子を配
列形成できる利点がある。そこでこの特徴を生かせるよ
うないろいろな応用が研究されている。例えば、荷電ビ
ーム源、画像表示装置等の表示装置があげられる。
【0007】また、特開平2−56822号公報に開示
されている電子放出素子の構成を図13に示す。同図に
おいて1は基板、2及び3は素子電極、4は導電性薄
膜、5は電子放出部である。この電子放出素子の製造方
法としては、様々な方法があるが、例えば基板1に一般
的な真空蒸着技術、フォトリソグラフィ技術により素子
電極2,3を形成する。次いで導電性薄膜4を分散塗布
法等によって形成する。その後、素子電極2,3に電圧
を印加し通電処理を施すことによって電子放出部5を形
成する。
【0008】
【発明が解決しようとしている課題】しかしながら上記
従来例による製造方法では半導体プロセスを主とする方
法で製造するものであるため、時間がかかり、また、現
行の技術では大面積に電子放出素子を形成することが困
難であり、且つ特殊で高価な製造装置を必要とし、生産
コストが高いといった欠点がある。
【0009】そこで本発明の目的は短時間に低コスト
で、且つ容易に大面積において電子放出素子を形成する
ことができる表面伝導型電子放出素子並びにそれを有す
る電子源基板及び画像形成装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
本発明では、一対の素子電極間に、導電膜を形成するた
めの材料の溶液を液滴の状態で付与して導電膜を形成
し、そしてこの導電膜に電子放出部を形成する電子放出
素子、電子源基板、あるいは画像形成装置の製造方法に
おいて、複数または単数のノズルを有するインクジェッ
ト方式の液滴付与手段を用い、このノズルを前記素子電
極間のギャップ方向に走行させながら、付与される液滴
によって形成されるドットの直径より短い間隔で複数の
前記材料溶液の液滴を付与することを特徴とする。ここ
で、前記電子放出部の膜厚は、付与する液滴の量、また
は液滴の数によって制御することができる。また、前記
インクジェット方式では圧電素子を用いたもの、熱的エ
ネルギーの付与により気泡を発生させ液滴を吐出させる
方式による前記液滴付与手段を用いることができる。
【0011】以上の方法により、フォトリソグラフ技術
を用いることなく導電膜を形成でき、かつ複数のドット
でマルチパターン(以下パッド)を形成するため、アラ
イメント精度も高いものを必要とせず、歩留りを向上さ
せることができる。また、対向する素子電極間のギャッ
プ方向に走査し、走査方向に液滴のドット径より短い間
隔で複数個の液滴を付与してマルチパターンを形成する
ため、例えば、図3(c)のようにギャップ方向に垂直
な方向に配列される多数の素子を形成する場合、その配
列方向に走査し、この走査を、基板キャップ方向に送り
ながら複数回行う場合より短時間で形成することができ
る。
【0012】
【発明の実施の形態】次に本発明の好ましい実施形態を
示す。
【0013】本発明が対象とする冷陰極電子源として
は、単純な構成であり、製法が容易な表面伝導型電子放
出素子が好適である。
【0014】図4は本発明の一実施形態に係る基本的な
表面伝導型電子放出素子の構成を示す模式的平面図及び
断面図である。図4において1は基板、2,3は素子電
極、4は導電性薄膜、5は電子放出部である。基板1と
しては、石英ガラス、Na等の不純物含有量の少ないガ
ラス、青板ガラス、SiO2 を表面に形成したガラス基
板及びアルミナ等のセラミックス基板が用いられる。素
子電極2,3の材料としては一般的な導電体が用いら
れ、例えばNi,Cr,Au,Mo,W,Pt,Ti,
Al,Cu,Pd等の金属あるいは合金、Pd,Ag,
Au,RuO2 ,Pd−Ag等の金属あるいは金属酸化
物とガラス等から構成される印刷導体、In23 −S
nO2 等の透明導電体、ポリシリコン等の半導体材料等
から適宜選択される。
【0015】素子電極2,3間の間隔Lは好ましくは数
百オングストロームないし数百マイクロメートルであ
る。また素子電極2,3間に印加する電圧は低い方が望
ましく、再現良く作成することが要求されるため、好ま
しい素子電極間隔Lは数マイクロメートルないし数十マ
イクロメートルである。素子電極2,3の長さW1は電
極の抵抗値、及び電子放出特性から、数マイクロメート
ルないし数百マイクロメートルであり、また素子電極
2,3の膜厚dは、数百オングストロームないし数マイ
クロメートルが好ましい。尚、図1の構成に限らず、基
板1上に導電性薄膜4、素子電極2,3の電極を順に形
成させた構成にしてもよい。
【0016】導電性薄膜4としては、良好な電子放出特
性を得るために、微粒子で構成された微粒子膜が特に好
ましく、その膜厚は素子電極2,3へのステップカバレ
ージ、素子電極2,3間の抵抗値及び後述する通電フォ
ーミング条件等によって、適宜設定されるが、好ましく
は数オングストロームないし数千オングストロームで、
特に好ましくは10オングストロームないし500オン
グストロームである。そのシート抵抗値は10の3乗な
いし10の7乗オーム/□である。
【0017】導電性薄膜4を構成する材料としては、P
d,Pt,Ru,Ag,Au,Ti,In,Cu,C
r,Fe,Zn,Sn,Ta,W,Pb等の金属、Pd
O,SnO2 ,In23 ,PbO,Sb23 等の酸
化物があげられる。
【0018】尚、ここで述べる微粒子膜とは複数の微粒
子が集合した膜であり、その微細構造として、微粒子が
個々に分散配置した状態のみならず、微粒子が互いに隣
接、あるいは重なり合った状態(島状も含む)の膜を指
しており、微粒子の粒径は数オングストロームないし数
千オングストロームであり、好ましくは10オングスト
ロームないし200オングストロームである。
【0019】次に、図面を参照して図4の電子放出素子
の製造方法、特に導電性薄膜4を構成する微粒子膜の形
成方法を詳細に説明する。
【0020】図1は、導電性薄膜4の形成方法を示す図
であり、図2は導電性薄膜4を形成する材料の液滴のマ
ルチパターン(パッド)を示す図である。
【0021】図1,2において、6は液滴付与装置、7
は液滴、4は液滴を基板1上に付与した後形成される、
液状あるいは固体状の円形の膜(ドット)である。
【0022】液滴付与装置6としては、任意の液滴を形
成できる装置であればどのような装置でもかまわない
が、特に十数ngから数十ng程度の範囲で制御が可能
で、且つ数十ng程度以上の微少量の液滴が容易に形成
でき、複数のノズルを有するインクジェット方式の装置
がよい。また、液滴の材料としては、液滴が形成できる
状態であればどのような状態でもかまわないが、水、溶
剤等に前述の金属等を分散、溶解した、溶液、有機金属
溶液等が使える。
【0023】有機溶剤等で充分洗浄し乾燥させた基板1
に、真空蒸着技術及びフォトリソグラフィ技術を用いて
素子電極2,3を形成する。この基板1上に、図2に示
すような複数のドット4を付与してマルチパターン(パ
ッド)を形成する。ここで、ノズルを素子電極2,3の
ギャップ方向に走査して、ドット間隔P1をドット4の
直径φより短い間隔で複数個付与する。これにより隣接
するドットが重なり、液滴が基板上でのびて幅W2がほ
ぼ一定になることによりパッドを形成する。尚パッドの
大きさは、幅W2が素子電極幅W1以下で、長さTはギ
ャップ間隔L1以上であることが好ましく、さらには求
める抵抗値、素子電極の幅及びギャップ幅、アライメン
ト精度により決定される。なお、図2(b)では6個の
液滴により、パッドを形成したが本発明においてはこれ
に限らず複数個であれば良い。また、図2(b)のよう
に一列でなく、図3(b)のように複数列に形成しても
良い。
【0024】以上の方法で液滴を付与した後、300度
ないし600度の温度で加熱処理し、溶媒を蒸発させて
導電性薄膜4を形成する。
【0025】図4の電子放出素子について説明する。電
子放出部5は導電性薄膜4の一部に形成された高抵抗の
亀裂であり、通電フォーミング等により形成される。ま
た亀裂内には数オングストロームから数百オングストロ
ームの粒径の導電性微粒子を有することもある。この導
電性微粒子は導電性薄膜4を構成する物質の少なくとも
一部の元素を含んでいる。また電子放出部5及びその近
傍の導電性薄膜4は炭素あるいは炭素化合物を有するこ
ともある。
【0026】通電フォーミングと呼ばれる通電処理は素
子電極2,3間に不図示の電源より通電を行い、導電性
薄膜4を局所的に破壊、変形もしくは変質せしめ、構造
を変化させた部位を形成させるものである。この局所的
に構造変化させた部位が電子放出部5である。通電フォ
ーミングの電圧波形の例を図5に示す。
【0027】電圧波形は特にパルス波形が好ましく、パ
ルス波高値が一定の電圧パルスを連続的に印加する場合
(図5(a))と、パルス波高値を増加させながら、電
圧パルスを印加する場合(図5(b))とがある。まず
パルス波高値が一定電圧とした場合(図5(a))につ
いて説明する。
【0028】図5(a)におけるT1及びT2は電圧波
形のパルス幅とパルス間隔であり、T1を1マイクロ秒
〜10ミリ秒、T2を10マイクロ秒〜100ミリ秒と
し、三角波の波高値(通電フォーミング時のピーク電
圧)は表面伝導型電子放出素子の形態に応じて適宜選択
し、適当な真空度、例えば、10の−5乗torr程度
の真空雰囲気下で、数秒から数十分印加する。尚、素子
電極間に印加する波形は三角波に限定することはなく、
矩形波等所望の波形を用いても良い。
【0029】図5(b)におけるT1及びT2は、図5
(a)と同様であり、三角波の波高値(通電フォーミン
グ時のピーク電圧)は、例えば0.1Vステップ程度づ
つ増加させ適当な真空雰囲気下で印加する。
【0030】尚、この場合の通電フォーミング処理はパ
ルス間隔T2中に、導電性薄膜4を局所的に破壊、変形
しない程度の電圧、例えば0.1V程度の電圧で素子電
流を測定し、抵抗値を求め、例えば、1Mオーム以上の
抵抗を示した時に通電フォーミング終了とする。
【0031】次に通電フォーミングが終了した素子に活
性化工程と呼ぶ処理を施すことが望ましい。活性化工程
とは、例えば、10の−4乗〜10の−5乗torr程
度の真空度で、通電フォーミング同様、パルス波高値が
一定の電圧パルスを繰り返し印加する処理のことであ
り、真空中に存在する有機物質に起因する炭素あるいは
炭素化合物を導電性薄膜4上に堆積させ、素子電流I
f、放出電流Ieを著しく変化させる処理である。活性
化工程は素子電流Ifと放出電流Ieを測定しながら、
例えば、放出電流Ieが飽和した時点で終了する。また
印加する電圧パルスは動作駆動電圧で行うことが好まし
い。
【0032】尚、ここで炭素あるいは炭素化合物とは、
グラファイト(単結晶、多結晶双方を指す)、非晶質カ
ーボン(非晶質カーボン及び多結晶グラファイトとの混
合物を指す)であり、その膜厚は500オングストロー
ム以下が好ましく、より好ましくは300オングストロ
ーム以下である。
【0033】こうして作成した電子放出素子は、通電フ
ォーミング工程、活性化工程における真空度よりも高い
真空度の雰囲気下に置いて動作駆動させるのが良い。ま
た更に高い真空度の雰囲気下で、80℃〜150℃の加
熱後動作駆動させることが望ましい。フォーミング工
程、活性化処理した真空度より高い真空度とは、例えば
約10の−6乗以上の真空度であり、より好ましくは超
高真空系であり、新たに炭素あるいは炭素化合物が導電
性薄膜4上にほとんど堆積しない真空度である。こうす
ることによって素子電流If、放出電流Ieを安定化さ
せることが可能になる。
【0034】次に画像形成装置について述べる。画像形
成装置に用いられる電子源基板は複数の表面伝導型電子
放出素子を基板上に配列することにより形成される。表
面伝導型電子放出素子の配列の方式としては、表面伝導
型電子放出素子を並列に配置し、個々の素子の両端を配
線で接続するはしご型配置(以下、はしご型配置電子源
基板と呼ぶ)や、表面伝導型電子放出素子の一対の素子
電極にそれぞれX方向配線、Y方向配線を接続した単純
マトリクス配置(以下、マトリクス型配置電子源基板と
呼ぶ)があげられる。尚、はしご型配置電子源基板を有
する画像形成装置には電子放出素子からの電子の飛翔を
制御する電極である制御電極(グリッド電極)を必要と
する。
【0035】以下単純マトリクス配置の電子源の構成に
ついて、図6を用いて説明する。61は電子源基板、6
2はX方向配線、63はY方向配線、64は表面伝導型
電子放出素子、65は結線である。電子源基板61に用
いる基板は前述したガラス基板等であり、用途に応じて
形状が適宜設定される。m本のX方向配線62は、DX
1,DX2,・・・・・・DXmからなり、Y方向配線63は
DY1,DY2,・・・・・・DYnのn本の配線よりなる。
また多数の表面伝導型素子64にほぼ均等な電圧が供給
されるように材料、膜厚、配線幅が適宜設定される。こ
れらm本のX方向配線62とn本のY方向配線63間は
不図示の層間絶縁層により電気的に分離されてマトリッ
クス配線を構成する(m,nは共に正の整数)。
【0036】不図示の層間絶縁層はX方向配線62を形
成した基板61の全面域は一部の所望の領域に形成され
る。X方向配線62とY方向配線63はそれぞれ外部端
子として引き出される。更に表面伝導型放出素子64の
素子電極(不図示)がm本のX方向配線62及びn本の
Y方向配線63と結線65によって電気的に接続されて
いる。また表面伝導型電子放出素子64は、基板あるい
は不図示の層間絶縁層上のどちらに形成してもよい。
【0037】また詳しくは後述するが、X方向配線62
は、X方向に配列する表面伝導型放出素子64の行を入
力信号に応じて走査するための走査信号を印加するため
の不図示の走査信号発生手段と電気的に接続されてい
る。一方、Y方向配線63は、Y方向に配列する表面伝
導型放出素子64の各列を入力信号に応じて変調するた
めの変調信号を印加するための不図示の変調信号発生手
段と電気的に接続されている。更に表面伝導型電子放出
素子64の各素子に印加される駆動電圧は、当該素子に
印加される走査信号と変調信号の差電圧として供給され
るものである。これにより、単純なマトリクス配線だけ
で個別の素子を選択して独立に駆動可能になる。
【0038】次に、以上のようにして作成した単純マト
リクス配置の電子源を用いた画像形成装置について、図
7、図8及び図9を用いて説明する。図7は画像形成装
置の表示パネルの基本構成図であり、図8はこれに用い
られる蛍光膜を示す。図9はNTSC方式のテレビ信号
に応じて表示を行うための駆動回路のブロック図を示す
とともに、その駆動回路を含む画像形成装置を表す。
【0039】図7において、61は電子放出素子64を
基板上に作製した電子源基板、71は電子源基板61を
固定したリアプレート、76はガラス基板73の内面に
蛍光膜74とメタルバック75等が形成されたフェース
プレート、72は支持枠であり、リアプレート71、支
持枠72及びフェースプレート76を、フリットガラス
等を塗布し、大気中あるいは窒素中で400〜500度
で10分以上焼成することで封着して外囲器78を構成
する。5は電子放出素子64の電子放出部、62,63
は各表面伝導型電子放出素子64の一対の素子電極と接
続されたX方向配線及びY方向配線である。
【0040】外囲器78は、上述の如くフェースプレー
ト76、支持枠72、リアプレート71で構成したが、
リアプレート71は主に電子源基板61の強度を補強す
る目的で設けられるため、電子源基板61自体で十分な
強度を持つ場合は別体のリアプレート71は不要であ
り、電子源基板61に直接支持枠72を封着し、フェー
スプレート76、支持枠72、電子源基板61にて外囲
器78を構成しても良い。またさらにはフェースプレー
ト76、リアプレート71間に、スペーサーとよばれる
耐大気圧支持部材を設置することで大気圧に対して十分
な強度をもつ外囲器78にすることもできる。
【0041】図8中82は蛍光膜74を構成する蛍光体
である。蛍光体82はモノクロームの場合は蛍光体のみ
からなるが、カラーの蛍光膜の場合は、蛍光体の配列に
よりブラックストライプあるいはブラックマトリクス等
と呼ばれる黒色導電材81とで構成される。ブラックス
トライプ、ブラックマトリクスを設ける目的は、カラー
表示の場合、必要となる三原色蛍光体の各蛍光体82間
の塗り分け部を黒くすることで混色等を目立たなくする
ことと、蛍光膜74における外光反射によるコントラス
トの低下を抑制することである。ブラックストライプの
材料としては、通常良く用いられている黒鉛を主成分と
する材料だけでなく、導電性があり、光の透過及び反射
が少ない材料であればこれに限るものではない。
【0042】ガラス基板73に蛍光体を塗布する方法と
しては、モノクローム、カラーによらず沈澱法や印刷法
が用いられる。また蛍光膜74(図7)の内面側には通
常、メタルバック75(図7)が設けられる。メタルバ
ック75は、蛍光体の発光のうち内面側への光をフェー
スプレート76側へ鏡面反射することにより輝度を向上
すること、電子ビーム加速電圧を印加するための電極と
して作用すること、外囲器内で発生した負イオンの衝突
によるダメージからの蛍光体の保護等の役割を有する。
メタルバック75は蛍光膜74の作製後、蛍光膜74の
内面側表面の平滑化処理(通常、フィルミングと呼ばれ
る)を行い、その後A1を真空蒸着等で堆積することで
作製できる。
【0043】フェースプレート76には、更に蛍光膜7
4の導電性を高めるため、蛍光膜74の外面側に透明電
極(不図示)を設けてもよい。
【0044】前述の封着を行う際、カラーの場合は各色
蛍光体と電子放出素子とを対応させなくてはならず、十
分な位置合わせを行う必要がある。
【0045】外囲器78は不図示の排気管を通じ、10
-7torr程度の真空度にされ、封止が行われる。
【0046】また外囲器78の封止後の真空度を維持す
るためにゲッター処理を行う場合もある。これは外囲器
78の封止を行う直前あるいは封止後に抵抗加熱あるい
は高周波加熱等の加熱法により、外囲器78内の所定の
位置(不図示)に配置されたゲッターを加熱し、蒸着膜
を形成する処理である。ゲッターは通常Ba等が主成分
であり、該蒸着膜の吸着作用により、例えば1×10-5
torrないし1×10-7torrの真空度を維持する
ものである。尚、表面伝導型電子放出素子の通電フォー
ミング以降の工程は適宜設定される。
【0047】次に、単純マトリクス配置型基板を有する
電子源を用いて構成したこの表示パネルを駆動して、N
TSC方式のテレビ信号に基づきテレビジョン表示を行
うための駆動回路の概略構成を図9を用いて説明する。
91は前記表示パネル、92は走査回路、93は制御回
路、94はシフトレジスタ、95はラインメモリ、96
は同期信号分離回路、97は変調信号発生器、Vx及び
Vaは直流電圧源である。
【0048】以下、各部の機能を説明するが、まず表示
パネル91は、端子Dox1ないしDoxm及び端子D
oy1ないしDoyn及び高圧端子Hvを介して外部の
電気回路と接続している。このうち端子Dox1ないし
Doxmには表示パネル91内に設けられている電子
源、すなわちM行N列の行列状にマトリクス配線された
表面伝導型電子放出素子群を一行(N素子)ずつ順次駆
動してゆくための走査信号が印加される。一方、端子D
oy1ないしDoynには前記走査信号により選択され
た一行の表面伝導型電子放出素子の各素子の出力電子ビ
ームを制御するための変調信号が印加される。また高圧
端子Hvには直流電圧源Vaより、例えば10K[V]
の直流電圧が供給されるが、これは表面伝導型電子放出
素子より出力される電子ビームに蛍光体を励起するのに
十分なエネルギーを付与するための加速電圧である。
【0049】次に走査回路92について説明する。同回
路は内部にM個のスイッチング素子を備えるもので(図
中、S1ないしSmで模式的に示している)、各スイッ
チング素子は直流電圧源Vxの出力電圧もしくは0
[V](グランドレベル)のいずれか一方を選択し、表
示パネル91の端子Dox1ないしDoxmと電気的に
接続するものである。S1ないしSmの各スイッチング
素子は制御回路93が出力する制御信号Tscanに基
づいて動作するものだが、実際には例えばFETのよう
なスイッチング素子を組み合わせることにより構成する
ことが可能である。尚、前記直流電圧源Vxは前記表面
伝導型電子放出素子の特性(電子放出しきい値電圧)に
基づき走査されていない素子に印加される駆動電圧が電
子放出しきい値電圧以下となるような一定電圧を出力す
るよう設定されている。
【0050】また制御回路93は、外部より入力する画
像信号に基づいて適切な表示が行われるように各部の動
作を整合させる働きをもつものである。次に説明する同
期信号分離回路96より送られる同期信号Tsyncに
基づいて各部に対してTscan、Tsft及びTmr
yの各制御信号を発生する。
【0051】同期信号分離回路96は、外部から入力さ
れるNTSC方式のテレビ信号から同期信号成分と輝度
信号成分とを分離するための回路であり、周波数分離
(フィルター)回路を用いれば構成できるものである。
同期信号分離回路96により分離された同期信号は良く
知られるように垂直同期信号と水平同期信号よりなる
が、ここでは説明の便宜上Tsync信号として図示し
た。一方、前記テレビ信号から分離された画像の輝度信
号成分を便宜上DATA信号と表すが、同信号はシフト
レジスタ94に入力される。
【0052】シフトレジスタ94は時系列的にシリアル
に入力される前記DATA信号を画像の1ライン毎にシ
リアル/パラレル変換するためのものであり、制御回路
93より送られる制御信号Tsftに基づいて動作す
る。すなわち制御信号Tsftは、シフトレジスタ94
のシフトクロックであると言い換えても良い。シリアル
/パラレル変換された画像1ライン分(電子放出素子N
素子分の駆動データに相当する)のデータはId1ない
しIdnのN個の並列信号としてシフトレジスタ94よ
り出力される。
【0053】ラインメモリ95は画像1ライン分のデー
タを必要時間の間だけ記憶するための記憶装置であり、
制御回路93より送られる制御信号Tmryにしたがっ
て適宜Id1ないしIdnの内容を記憶する。記憶され
た内容はId1ないしIdnとして出力され変調信号発
生器97に入力される。
【0054】変調信号発生器97は前記画像データId
1ないしIdnの各々に応じて表面伝導型電子放出素子
の各々を適切に駆動変調するための信号源であり、その
出力信号は端子Doy1ないしDoynを通じて表示パ
ネル91内の表面伝導型電子放出素子に印加される。
【0055】前述したように本発明に関わる電子放出素
子は放出電流Ieに対して以下の基本特性を有してい
る。すなわち前述したように電子放出には明確なしきい
値電圧Vthがあり、Vth以上の電圧を印加された時
のみ電子放出が生じる。また電子放出しきい値以上の電
圧に対しては素子への印加電圧の変化に応じて放出電流
も変化してゆく。尚、電子放出素子の材料や構成、製造
方法を変えることにより電子放出しきい値電圧Vthの
値や印加電圧に対する放出電流の変化の度合いが変わる
場合もあるが、いずれにしても以下のようなことがいえ
る。
【0056】すなわち、本素子にパルス状の電圧を印加
する場合、例えば電子放出しきい値以下の電圧を印加し
ても電子放出は生じないが電子放出しきい値以上の電圧
を印加する場合には電子ビームが出力される。その際、
第一にはパルスの波高値Vmを変化させることにより出
力電子ビームの強度を制御することが可能である。第二
には、パルスの幅Pwを変化させることにより出力され
る電子ビームの電荷の総量を制御することが可能であ
る。
【0057】したがって、入力信号に応じて電子放出素
子を変調する方式としては、電圧変調方式、パルス幅変
調方式等があげられ、電圧変調方式を実施するには、変
調信号発生器97として、一定の長さの電圧パルスを発
生するが入力されるデータに応じて適宜パルスの波高値
を変調するような電圧変調方式の回路を用いる。またパ
ルス幅変調方式を実施するには、変調信号発生器97と
しては、一定の波高値の電圧パルスを発生するが、入力
されるデータに応じて適宜電圧パルスの幅を変調するよ
うなパルス幅変調方式の回路を用いる。
【0058】以上に説明した一連の動作により、画像表
示装置は表示パネル91を用いてテレビジョンの表示を
行える。尚、上記説明中特に記載しなかったが、シフト
レジスタ94やラインメモリ95はデジタル信号式のも
のでもアナログ信号式のものでも差し支えなく、要は画
像信号のシリアル/パラレル変換や記憶が所定の速度で
行われればよい。
【0059】デジタル信号式のものを用いる場合には、
同期信号分離回路96の出力信号DATAをデジタル信
号化する必要があるが、これは同期信号分離回路96の
出力部にA/D変換器を備えれば可能である。また、こ
れと関連してラインメモリ95の出力信号がデジタル信
号かアナログ信号かにより、変調信号発生器97に用い
られる回路が若干異なったものとなる。
【0060】まずデジタル信号の場合について述べる。
電圧変調方式においては変調信号発生器97には、例え
ばよく知られるD/A変換回路を用い、必要に応じて増
幅回路等を付け加えればよい。またパルス幅変調方式の
場合、変調信号発生器97は、例えば高速の発振器、発
振器が出力する波数を計数する計数器(カウンタ)、及
び計数器の出力値とラインメモリ95の出力値を比較す
る比較器(コンパレータ)を組み合せた回路を用いるこ
とにより構成できる。必要に応じて比較器の出力するパ
ルス幅変調された変調信号を表面伝導型電子放出素子の
駆動電圧にまで電圧増幅するための増幅器を付け加えて
もよい。
【0061】次にアナログ信号の場合について述べる。
電圧変調方式においては変調信号発生器97には、例え
ばよく知られるオペアンプ等を用いた増幅回路を用いれ
ばよく、必要に応じてレベルシフト回路等を付け加えて
もよい。またパルス幅変調方式の場合には例えばよく知
られた電圧制御型発振回路(VCO)を用いればよく、
必要に応じて表面伝導型電子放出素子の駆動電圧にまで
電圧増幅するための増幅器を付け加えてもよい。
【0062】以上のような構成を有する画像表示装置に
おいて、表示パネル91の各電子放出素子には、容器外
端子Dox1ないしDoxm、Doy1ないしDoyn
を通じ、電圧を印加することにより、電子放出させると
ともに、高圧端子Hvを通じ、メタルバック75あるい
は透明電極(不図示)に高圧を印加して電子ビームを加
速し、蛍光膜84に衝突させ、励起・発光させることで
画像を表示することができる。
【0063】以上述べた構成は、表示等に用いられる好
適な画像形成装置を作製する上で必要な概略構成であ
り、例えば各部材の材料等、詳細な部分は上述内容に限
られるものではなく、画像形成装置の用途に適するよう
適宜選択する。また、入力信号例として、NTSC方式
をあげたが、これに限るものでなく、PAL、SECA
M方式等の諸方式でもよく、また、これよりも、多数の
走査線からなるTV信号(例えば、MUSE方式をはじ
めとする商品位TV)方式でもよい。
【0064】次に、前述のはしご型配置電子源基板及び
それを用いた画像表示装置について図10,図11を用
いて説明する。
【0065】図10において、101は電子源基板、1
02は電子放出素子、103のDx1〜Dx10は電子
放出素子110に接続した共通配線である。電子放出素
子101は、基板101上に、X方向に並列に複数個配
置される。これを素子行と呼ぶ。この素子行を複数個基
板上に配置し、はしご型電子源基板が構成される。各素
子行の共通配線間に適宜駆動電圧を印加することで、各
素子行を独立に駆動することが可能になる。すなわち、
電子ビームを放出させる素子行には、電子放出しきい値
以上の電圧を印加し、電子ビームを放出させない素子行
には電子放出しきい値以下の電圧を印加すればよい。ま
た、各素子行間の共通配線Dx2〜Dx9、例えばDx
2,Dx3を同一配線とするようにしても良い。
【0066】図11は、このようなはしご型配置の電子
源を備えた画像形成装置の構造を示す。111はグリッ
ド電極、112は電子が通過するための空孔、113
は、Dox1,Dox2・・・・・・Doxmよりなる容器外
端子、114はグリッド電極111と接続されたG1,
G2,・・・・・・Gnからなる容器外端子、115は前述の
ように各素子行間の共通配線を同一配線とした電子源基
板である。尚、図7,10と同一の符号は同一の部材を
示す。前述の単純マトリクス配置の画像形成装置(図
7)との違いは、電子源基板115とフェースプレート
76の間にグリッド電極111を備えていることであ
る。
【0067】グリッド電極111は、表面伝導型放出素
子から放出された電子ビームを変調することができるも
ので、はしご型配置の素子行と直交して設けられたスト
ライプ状の電極に電子ビームを通過させるため、各素子
102に対応して1個ずつ円形の開口112が設けられ
ている。グリッドの形状や設置位置は必ずしも図11の
ようなものでなくともよく、開口としてメッシュ状に多
数の通過口を設けることもあり、また例えば表面伝導型
放出素子102の周囲や近傍に設けてもよい。
【0068】容器外端子113及びグリッド容器外端子
114は、不図示の制御回路と電気的に接続されてい
る。
【0069】本画像形成装置では素子行を1列ずつ順次
駆動(走査)していくのと同期してグリッド電極列に画
像1ライン分の変調信号を同時に印加することにより、
各電子ビームの蛍光体への照射を制御し、画像を1ライ
ンずつ表示することができる。
【0070】これによればテレビジョン放送の表示装置
のみならずテレビ会議システム、コンピューター等の表
示装置に適した画像形成装置を提供することができる。
さらには感光性ドラム等で構成された光プリンターとし
ての画像形成装置としても用いることもできる。
【0071】また、かかる画像形成装置は、電子放出素
子として表面伝導型電子放出素子ばかりでなく、MIM
型電子放出素子、電界放出型電子放出素子等を用いた冷
陰極電子源にも適用可能である、更には熱電子源による
画像表示装置にも適用することができる。
【0072】
【実施例】
[実施例1]次の〜の工程を経て、マトリクス状に
配線された素子電極を基板上に形成し、表面伝導型電子
放出素子を作製した。図1、2はその製造方法を示す図
である。図3(a)は本実施例によって作製した表面伝
導型電子放出素子の平面図である。
【0073】 絶縁基板1として石英基板を用い、こ
れを有機溶剤等により充分に洗浄後、120℃で乾燥さ
せた。
【0074】 次に、基板1上に、一般的な真空成膜
技術及びフォトリソグラフィ技術を用いてNiからなる
素子電極2,3を形成した。素子電極のギャップ間隔L
1は200μm、素子電極の幅W1を600μm、厚さ
dを1000Åとした。
【0075】 次に、液滴付与装置6としてドット径
φが100μmになるように調整した、圧電素子を用い
たインクジェット方式の液滴付与装置を用意し、ギャッ
プ方向に走査して、走査方向に液滴のドット径より短い
50μmの間隔で電極2,3の間に有機パラジウム含有
溶液(奥野製薬(株)ccp−4230)を、図2のよ
うに付与した。このようにして200μmのギャップに
対し、100μmのドットを、走査方向に50μmのピ
ッチP1で6つ付与することにより、ドットの重なり合
った部分は広がって、長さ方向のエッジは直線状になっ
た。つまり、幅W2=100μm、長さT=350μm
の一列のドット列(パッド)を形成した。
【0076】 次に300℃で10min間の加熱処
理をして酸化パラジウム(PdO)微粒子からなる微粒
子膜を形成し薄膜4とした。
【0077】 次に電極2,3の間に電圧を印加し、
薄膜4を通電処理(フォーミング処理)することによ
り、電子放出部5を形成した。
【0078】以上のような方法で作成した電子源基板で
は、一つのパッドの中で、ドットを重ねて付与すること
により、パッドの幅W2が一定となり、長さ方向のずれ
による幅W2のばらつきはなく、さらに塗布むら、膜厚
分布が小さかったため、抵抗のばらつきも小さかった。
また、PdOからなる微粒子膜のパッドが、素子電極間
のギャップに対して垂直方向、水平方向とも数十μmの
余裕があるため、アライメントが容易になり、位置ずれ
による欠陥が減少した。
【0079】また、ギャップ方向に走査して、一度の走
査でパッドを形成するため、短時間で電子源基板を作成
できた。
【0080】さらに1ドット当たりの液滴数を2とした
ところ、膜厚が約2倍、抵抗が約半分となり、1ドット
当たりの液滴数を変えることにより、所望の導電性薄膜
抵抗を得ることができた。また1ドット当たりの液滴量
を2倍にしたところ、前述の液滴数を2にしたものと同
様の結果が得られ、1ドット当たりの液滴量を変えるこ
とにより、所望の導電性薄膜抵抗を得ることができた。
【0081】以上より、複数個素子を形成した場合の素
子間のばらつきを小さくすることができて、製造歩留ま
りが向上した。
【0082】こうして作製された電子源基板を用いて、
前述のフェースプレート、支持枠、リアプレートとで外
囲器を形成し、封止を行い、表示パネル、さらにはテレ
ビジョン表示を行うための駆動回路を有する画像形成装
置を作製したところ、輝度むらや欠陥が少なかった。ま
た薄膜4のパターニングが省略できることから、コスト
を抑えることができた。
【0083】[実施例2]素子電極幅W1を600μ
m、素子電極ギャップ間隔L1を200μm、素子電極
の厚さdを1000Åとして形成したはしご状に配線さ
れた素子電極を有する基板を用い、実施例1と同様の方
法で表面伝導型電子放出素子を作製した。得られた電子
源基板を用いて、実施例1と同様な方法でフェースプレ
ート、支持枠、リアプレートとで外囲器を形成し、封止
を行い画像形成装置を作製した。その結果、実施例1と
同様な効果が得られた。
【0084】[実施例3]図3(b)は本実施例によっ
て作製した表面伝導型電子放出素子の平面図である。
【0085】実施例1と同様に、ギャップ間隔L1が2
00μm、電極の幅W1が600μm、その厚さdが1
000Åの素子電極を形成した基板に、有機パラジウム
含有溶液を実施例1と同じ圧電素子を用いたインクジェ
ット噴射装置で付与した。このとき、ノズルをギャップ
に垂直に配置し、ギャップ方向に走査して、走査方向に
50μm間隔で6個のドットを付与し、さらに基板を前
記走査方向に垂直な方向に50μm送り、再びノズルを
ギャップ方向に走査し、走査方向に50μm間隔で図3
(b)のようにドットを付与した。つまり、200μm
のギャップに対し、直径φが100μmのドットを、左
右、上下のドットと50μmずつ重なるように一列6個
づつ二列付与した。つまり幅W2=150μm、長さT
=350μmの長方形状のパッドを形成した。パッドの
形状以外は実施例1と同様に作製したところ、実施例1
と同様な素子間のばらつきの小さい良好な結果が得られ
た。このことより、パッドの幅W2は、素子電極幅W1
以下で、求める抵抗値、素子電極の幅及びギャップ幅を
アライメント精度により決定することができる。
【0086】[実施例4]実施例1から3で用いた、圧
電素子を用いたインクジェット噴射装置に代え、熱的エ
ネルギーの付与により気泡を発生させ液滴を吐出させる
方式の液滴付与装置を用いたところ、同様の効果が得ら
れた。
【0087】[実施例5]図3(c)は本実施例の作成
方法を示す平面図である。同図に示すように、素子間隔
P4が1000μmで、実施例1と同様に作成したはし
ご型電子源基板に、ノズルピッチP3が200μmで6
個のノズルを有する液滴付与装置を用いて、実施例1と
同様の有機含有溶液を塗布する工程において、ノズル列
をギャップ方向と平行に配置し、ノズルに番号をつけ、
1番と6番のノズルから同時に2つの素子に実施例1と
同様に、ノズルをギャップ方向に走査し、走査方向に液
滴のドット径より短い間隔で複数の液滴を付与してマル
チパターン(パッド)を形成したところ、実施例1〜4
同様ばらつきの小さい素子が、1ノズルで塗布した場合
の半分の時間で形成できた。
【0088】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、複
数または単数のノズルを有するインクジェット方式の液
滴付与手段を用い、このノズルを前記素子電極間のギャ
ップ方向に走行させながら、付与される液滴によって形
成されるドットの直径より短い間隔で複数の前記材料溶
液の液滴を付与するようにしたため、導電膜を、フォト
リソグラフィ技術を用いることなく、ばらつきも少な
く、また短時間で形成することができる。したがって、
画像形成装置製造の低コスト化と歩留りの向上を図るこ
とができる。さらに、導電膜の幅が一定となるため、画
像形成装置の表示輝度を均一なものとすることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る基本的な表面伝導
型電子放出素子の製造方法を示す模式的断面図である。
【図2】 本発明の一実施形態に係る基本的な表面伝導
型電子放出素子の製造方法を示す模式図である。
【図3】 本発明の実施例1および3に係る表面伝導型
電子放出素子の製造における液滴付与パターンを示す
図。
【図4】 本発明の一実施形態に係る基本的な表面伝導
型電子放出素子の構成図である。
【図5】 本発明に適用しうる通電フォーミングの電圧
波形例を示す図である。
【図6】 本発明を適用しうる単純マトリクス配置の電
子源を示す図である。
【図7】 本発明を適用しうる画像形成装置の表示パネ
ルの概略構成図である。
【図8】 図7の表示パネルの蛍光膜を示す図である。
【図9】 NTSC方式のテレビ信号に応じて図7の表
示パネルの表示を行うための駆動回路およびその駆動回
路を有する画像表示装置のブロック図である。
【図10】 本発明を適用しうる梯子配置の電子源を示
す図である。
【図11】 本発明を適用しうる他の画像形成装置の表
示パネルの概略構成図である。
【図12】 従来の電子放出素子を示す図である。
【図13】 従来の他の電子放出素子の構成図である。
【符号の説明】
1:基板、2,3:素子電極、4:導電性薄膜、5:電
子放出部、6:液滴付与装置、7:液滴、61:電子源
基板、62:X方向配線、63:Y方向配線、64:表
面伝導型電子放出素子、65:結線、71:リアプレー
ト、72:支持枠、73:ガラス基板、74:蛍光膜、
75:メタルバック、76:フェースプレート、77:
高圧端子、78:外囲器、81:黒色導電材、82:蛍
光体、83:ガラス基板、91:表示パネル、92:走
査回路、93:制御回路、94:シフトレジスタ、9
5:ラインメモリ、96:同期信号分離回路、97:変
調信号発生器、Vx及びVa:直流電圧源、101:電
子源基板、102:電子放出素子、103:Dx1〜D
x10は前記電子放出素子を配線するための共通配線、
111:グリッド電極、112:電子が通過するための
空孔、113:Dox1,Dox2・・・・・・Doxmより
なる容器外端子、114:グリッド電極$120と接続
されたG1,G2,・・・・・・Gnからなる容器外端子、1
15:電子源基板。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対の素子電極間に、導電膜を形成する
    ための材料の溶液を液滴の状態で付与して導電膜を形成
    し、そしてこの導電膜に電子放出部を形成する電子放出
    素子の製造方法において、複数または単数のノズルを有
    するインクジェット方式の液滴付与手段を用い、このノ
    ズルを前記素子電極間のギャップ方向に走行させなが
    ら、付与される液滴によって形成されるドットの直径よ
    り短い間隔で複数の前記材料溶液の液滴を付与すること
    を特徴とする電子放出素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記電子放出部の膜厚を、付与する液滴
    の量、または液滴の数によって制御することを特徴とす
    る請求項1記載の電子放出素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記インクジェット方式で特に熱的エネ
    ルギーの付与により気泡を発生させ液滴を吐出させる方
    式による前記液滴付与手段を用いることを特徴とする請
    求項1または2記載の電子放出素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3記載のいずれかの電子放出
    素子の製造方法を用いて電子源基板を製造することを特
    徴とする電子源基板の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜3記載のいずれかの電子放出
    素子の製造方法を用いて画像形成装置を製造することを
    特徴とする画像形成装置の製造方法。
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