JPH0924449A - 連続鋳造機の冷却制御方法および装置 - Google Patents

連続鋳造機の冷却制御方法および装置

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JPH0924449A
JPH0924449A JP7178397A JP17839795A JPH0924449A JP H0924449 A JPH0924449 A JP H0924449A JP 7178397 A JP7178397 A JP 7178397A JP 17839795 A JP17839795 A JP 17839795A JP H0924449 A JPH0924449 A JP H0924449A
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slab
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temperature
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JP7178397A
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English (en)
Inventor
Yoichi Sugita
洋一 杉田
Masahiro Shikayama
昌宏 鹿山
Hiromi Inaba
博美 稲葉
Yasuo Morooka
泰男 諸岡
Takuro Shibagaki
▲琢▼郎 柴垣
Hiroshi Kawase
宏志 河瀬
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】鋳片抽出温度と冷却水流量の関係を表すテーブ
ルを用いることなく適切な冷却水流量を算出し、経年変
化等のプラントの特性変化に対しても高精度な制御を実
現することを目的とする。 【構成】指令算出手段102は鋳片の目標温度を基に、
制御モデル101を参照して、指令値1を算出する。指
令算出手段102で算出された指令値1は指令変換手段
103により指令値2を算出し、連続鋳造プラント10
6の各スプレに送出する。リアルタイム指令補正手段1
04は鋳片抽出温度と目標温度値の差分を取り込み、指
令値1に加算して温度誤差を減少させる。モデル修正手
段105では指令値2の基で鋳造を行った結果得られた
鋳片抽出温度の差分,溶湯初期温度,鋳造速度,冷却水
流量を取り込み、制御モデル101のパラメータ修正量
を算出し、制御モデル101へ送出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、連続鋳造プロセスにお
いて所望の温度で鋳片を抽出するための冷却制御方法お
よび装置に関する。
【0002】
【従来の技術】連続鋳造される鋳片にスプレにより吹き
付ける冷却水の流量を決定する従来技術としては、例え
ば文献(三塚他;「鋼材冷却設備の改善」製鐵研究 第
293号(1978))に示されるように、鋳片抽出温度
およびモールドに注入される溶湯の初期温度や鋳造速度
などの状態量と、冷却水の流量の関係を格納したテーブ
ルを用いる方法があった。すなわち、実操業前に鋳片抽
出温度に対する冷却水流量の関係を実験および数値解析
的に調べ、テーブル化する。そして作成されたテーブル
を用いて目標温度,溶湯初期温度,鋳造速度に対応した
冷却水流量を決定する。
【0003】また特開昭56−151155号公報には、熱伝導
方程式から導いた冷却モデルにより表面温度を求めるこ
とが記載され、更に実際に測定した熱伝達係数に基づい
て補正して鋳片の表面温度を推定することが開示されて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来技術には以下に示
す問題があった。まず、鋳片抽出温度と冷却水流量の一
対のデータを一つ採取するためには溶湯投入から抽出ま
での鋳造を行う必要があることから、上述したテーブル
作成には膨大な時間とコストが必要であった。次に、経
年変化などの理由でプラントの特性が変わり、抽出温度
と冷却水流量の関係が変化した場合、テーブルが示す関
係と実際のプラントと一致しなくなり制御精度の低下を
招く問題があった。また、上述した理由でテーブルの作
成にも多大な時間とコストを必要とする。また、モデル
を補正するのみでは応答に時間がかかるため最適な制御
を行うことができない。
【0005】本発明はこれらの問題点を解決するため
に、鋳片抽出温度と冷却水流量の関係を表すテーブルを
用いることなく適切な冷却水流量を算出し、経年変化等
のプラントの特性変化に対しても高精度な制御を実現す
る手法の提案を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的は溶湯から鋼片
を鋳造する連続鋳造機の冷却制御装置において、該連続
鋳造機の物理現象を数式化した制御モデルと、該制御モ
デルを用いて鋳片を目標温度で抽出するために必要な冷
却水流量の指令値を算出する指令算出手段と該鋳片の温
度と該鋳片の温度の目標値の差分を取り込み、該温度の
差分を減少させる補正量を前記指令値に加算するリアル
タイム指令補正手段とを備えることにより達成すること
ができる。
【0007】また、上記目的は溶湯から鋼片を鋳造する
連続鋳造機の冷却制御方法において、該連続鋳造機の物
理現象を数式化した制御モデルを用いて、鋳造した鋼片
を目標温度で抽出するための単一または小数の変数で記
述される指令値1を算出し、該指令値1を各スプレの冷
却水流量指令である指令値2へ変換し、前記指令値2の
基で鋳造した結果得られた鋳片抽出温度と前記目標温度
の差分である抽出誤差から、該抽出誤差を減少させる方
向へ前記指令値1あるいは該指令値2を補正することに
より、該複数の冷却水流量を決定することにより達成す
ることができる。
【0008】
【作用】指令算出手段は制御モデルを用いて冷却に必要
な冷却水流量を算出し、リアルタイム指令補正手段によ
り指令値を微調整することで鋳片抽出温度と冷却水流量
の関係テーブルを作成することなく高精度な冷却制御が
行える。また、モデル修正手段は逐次的な制御モデルの
修正を行うため、プラントの特性変化に対しても制御モ
デルの特性が実プラントに追従できる。さらにリアルタ
イム補正手段により指令値を補正するので応答性が向上
する。この結果、良好な指令値を算出でき、高精度な温
度制御が可能となる。
【0009】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に従って説明す
る。図1に本発明によって実現される連続鋳造プラント
を対象にした連続鋳造機の冷却制御装置100の構成を
示す。連続鋳造機の冷却制御装置100は、制御モデル
101,指令算出手段102,指令変換手段103,リアル
タイム指令補正手段104,モデル修正手段105によ
り構成される。
【0010】まず、連続鋳造機の冷却制御装置100の
行う処理の内容を説明する。指令算出手段102は予め
設定された鋳片の目標抽出温度(以下、目標値)を基
に、これを実現する冷却水流量を算出するため連続鋳造
プラント106の物理現象を数式で記述した制御モデル
101を参照して、指令値1を算出する。このとき、指
令値1とは連続連鋳プラント106に備えられる複数の
スプレに個別に割り振られる冷却水流量を一括して扱う
変数(通常1変数)であり、詳細は後述する。また、こ
の冷却水流量を以下では指令値2とする。指令算出手段
102で算出された指令値1は指令変換手段103に送
出され、指令変換手段103は受け取った指令値を基に
指令値2(スプレの数だけ存在する冷却水流量)を算出
し、連続鋳造プラント106の各スプレに送出する。リ
アルタイム指令補正手段104は、指令算出手段102
および指令変換手段103で算出された指令値2の基で
鋳造を行った結果得られた鋳片抽出温度と目標値の差分
を取り込み、指令値の補正量を指令算出手段102より
算出された指令値1に加算して温度誤差を減少させる。
また、鋳造速度が変動した場合には鋳造速度変化量を取
り込み冷却水流量を調整するために指令値1へ補正量を
出力する。モデル修正手段105では指令算出手段10
2および指令変換手段103で算出された指令値2の基
で鋳造を行った結果得られた鋳片抽出温度と、このとき
の溶湯初期温度,鋳造速度,冷却水流量を用いて制御モ
デル101により算出した鋳片抽出温度の差分(以下、
温度誤差)、およびこのときの溶湯初期温度,鋳造速
度,冷却水流量を取り込み、制御モデル101の有する
パラメータを対象にパラメータ修正量を算出し、制御モ
デル101へ送出する。指令算出手段102は、モデル
修正手段105により修正された新たな制御モデル10
1を用いて新たな指令値1を算出する。以上の操作を繰
り返し、冷却制御を行う。
【0011】次に、各部の処理を詳細に説明する。図2
に連続鋳造プラント106の構成を示す。連続鋳造プラ
ント106は、溶湯を蓄えて冷却するモールド201,
鋳片を引き出すロール203,水を吹き付けることによ
り鋳片を冷却するスプレ202より構成される。モールド
201に注がれた溶湯205は、モールド201で表面
を凝固され、ロール203で引き出されつつスプレ20
2で冷却されることにより完全に凝固した鋳片となる。
スプレ202は、図1の指令変換手段103から送出さ
れた冷却水流量を鋳片に吹き付ける。抽出口204に取
り付けられた温度センサ206は鋳片抽出温度を検出す
る。また、溶湯205がモールド201内に注入された
時点の温度である溶湯初期温度は温度センサ208によ
り検出され、鋳造速度はロール203に備え付けられた
速度センサ207より検出されて、図1の制御モデル1
01およびモデル修正手段105へ送出される。
【0012】制御モデル101は、鋳片内部の熱伝導を
記述する(1)式と、スプレ202から冷却水への伝熱
量を与える(2)式により構成される。
【0013】
【数1】
【0014】
【数2】 Q=hw(Tth−Tw) …(2) ここで、ρは鋳片の密度、cは鋳片の比熱、λは鋳片内
部での熱伝導率である熱伝導係数、Tは鋳片温度、Qは
鋳片表面から冷却水への熱量、Tthは鋳片表面温度、T
w は冷却水の温度、hwは鋳片表面から冷却水への熱伝
達係数である。上式は、鋳片の中心方向へのみ温度が伝
達する一次元のモデルを示したが、多次元化することも
考えられる。これらの式を差分方程式等で記述し、シミ
ュレーションを行うことにより任意の操業条件下での鋳
片抽出温度が算出できる。上述した係数のうち、モデル
修正手段105によりチューニングする係数は、最も誤
差が大きい熱伝達係数hwである。一般に、hwは鋳片
温度Tおよび冷却水流量Wに対応して変動する変数であ
る。図3に本実施例で用いるhwの摸式図を示す。実験
的に得られた冷却水流量に対するhwの近似式が温度に
関して離散的に与えられている場合、たとえば図中に示
すように近似式間を線形補間し、これをhwとして抽出
温度計算に用いる。また、実験的に得られたhwの値が
点データとして与えられる場合、ニューラルネット等の
比線形近似手法でこれを同定して用いることも考えられ
る。
【0015】次に指令変換手段103について述べる。
指令変換手段103は、指令算出手段102より送出さ
れた指令値1を取り込み、これを複数の冷却水流量に変
換する。指令値1とは複数設けられたスプレ202の数
に相当する冷却水流量の設定値を一括してコントロール
する微分可能な一変数であり、鋳片抽出時の温度均一化
を考慮したものである。上述したように複数の冷却水流
量を指令値2としたが、本節では理解を容易にするため
冷却水流量のまま説明に用いる。本実施例では指令値1
を複数の冷却水流量に変換する手法として、二つの例を
示す。最初の例として、冷却水流量を角度に対応させる
例を示す。ここでは、指令値1をθとした。図4に、θ
と冷却水流量との関係を摸式的に示す。横軸がスプレの
番号であり、縦軸は各スプレの冷却水流量である。スプ
レ202のスプレナンバーはモールド201から順番に
1,2,…と付けた。Wmax は各スプレ202の持つ最
大冷却水流量であり、スプレナンバー間の幅aはスプレ
202の数nに対応して決定し、Wmax/n 程度に選
ぶ。このとき、各スプレの冷却水流量は図中に示すθの
大きさにより一意に決定される。すなわち、(0,W
max )を通り、傾き−1/tanθ を持つ直線を対象に間
隔aで0次ホールドしたものを各スプレ202の冷却水
流量に対応させることで実現できる。ここで、i番目の
スプレ202の冷却水流量を{W}iとすると、各スプレ
202の冷却水流量は、次式で与えられる。
【0016】
【数3】
【0017】
【数4】
【0018】
【数5】 値域:0<{W}i<Wmax …(5) 以上の手法により構成した指令変換手段103を図5に
示す。
【0019】次に第2の例として、冷却水流量をスプレ
202により鋳片に吹き付けられる冷却水流量の総和に
対応させる例を示す。ここで指令値1を冷却水流量の総
和TWとする。この手法は、スプレナンバー1から全開
で吹き付け、末端のスプレで調節するものである。図6
に、TWと冷却水流量との関係を摸式的に示す。横軸が
TWであり、縦軸は使用するスプレ202の本数であ
る。図中の例では、スプレナンバー3まで全開で、スプ
レナンバー4で微調整を行うものである。このとき、各
スプレの冷却水流量は図中に示すTWの大きさにより一
意に決定される。ここで、i番目のスプレ202の冷却
水流量を{W}iは、次式で与えられる。ここで[a]と
は、実数aを小数を切り捨てることにより整数に変換す
るものである。
【0020】
【数6】 {W}1〜[TW/Wmax]=Wmax …(6)
【0021】
【数7】 {W}[TW/Wmax]+1=TW−[TW/Wmax] …(7)
【0022】
【数8】 {W}[TW/Wmax]〜n=0 …(8) 以上の手法により構成した指令変換手段103を図7に
示す。以下では、指令値1をθとした手法を例に説明す
る。
【0023】次に指令算出手段102の説明を行う。指
令算出手段102では目標値達成に必要な指令値1を求
める。本実施例では、線形逆補間法によりこれを行った
例を示す。図8に線形逆補間法による指令値算出プロセ
スの摸式図を示す。θと鋳片抽出温度(Tout)との関係
が図中に示す曲線で与えられると、目標値との交点が指
令値1に相当する。まず、目標値をはさむ適当な二つの
初期値を選び、これをペアとする。次にこれらの点で線
形補間した直線と目標値との交点を次の試行点とし、こ
の試行点と、目標値を間にはさむペアのうちの何れか一
方の点から新たなペアを構成する。これを繰り返すこと
により補間領域を狭めてゆき、目標温度を満たす指令値
1を探索する。このときの処理を図9に示す。s−1
で、Toutが確実に目標値を上回るθ1と目標値を下回る
θ2をそれぞれ設定する。本実施例ではθ1=tan−1
(a/Wmax)+δ,θ2=90°−δ(ここで、δは適
当な微小量)程度に選ぶ。次にs−2では、制御モデル
101を利用して、θ1およびθ2 に対する抽出温度To
ut(θ1),Tout(θ2)をそれぞれ求め、下式の計算
を行う。
【0024】
【数9】
【0025】s−3では、θ′に対する抽出温度 Tout
(θ′)を求めて|Tout(θ′)−目標値|とεを比較
し、|Tout(θ′)−目標値|<εならば処理をs−5
へ移し、|Tout(θ′)−目標値|>εのときはs−4
に処理を移す。このときεはエラーの許容値であり本実
施例では5℃程度に設定する。s−4ではTout(θ′)と
目標値を比較し、Tout(θ′)が大きいときは、θ′を
θ1に置き換え、小さいときはθ2に置き換える操作を
行う。次に、処理をs−2へ移す。s−5では、θ′を
指令値として保存する。また最終的なθ′を算出したと
きのθ1,θ2(それぞれθ1last,θ2lastとする)か
ら下式を算出する。以上で処理終了となる。変化量1の
詳細は後述する。
【0026】
【数10】
【0027】本実施例では、指令値算出のために線形逆
補間法を用いたが、繰り返し計算による方程式の解法で
あれば他の手法も可能なので、ニュートンラフソン法な
どによる指令値算出も考えられる。
【0028】また、指令算出手段102では、溶湯が鋳
片表面を破り流出する現象(ブレークアウト)の回避な
どのために生じる鋳造速度変動に対応して冷却水流量を
調節するために、図9の上記指令算出プロセス終了後に
下式の計算を行い、変化量2を算出する。
【0029】
【数11】
【0030】ここで、V,dVはそれぞれ指令算出時の
鋳造速度,鋳造速度の変化量,Tout(V),Tout(V+
dV)はそれぞれの鋳造速度における鋳片抽出温度であ
る。変化量2の計算処理フローを図10に示す。s−1
で現在のVを取り込む。s−2ではdVを設定する。通
常0.1(m/s) 程度にする。s−3では図9の処理で
算出したθおよびVを用いて制御モデル101により抽
出温度Tout(V)を算出する。s−4ではV=V+dV
として同様に抽出温度Tout(V+dV)を算出する。s
−5でTout(V),Tout(V+dV)を用い(11)式
を計算する。以上でθおよび変化量1,変化量2の算出
プロセスを説明した。次に、指令算出手段102全体の
処理フローを図11に示す。s−1で目標値を取り込
む。s−2では図9,図10のプロセスによりθおよび
変化量1,変化量2を算出する。s−3ではθ変化量
1,変化量2を指令変換手段103,変化量1,変化量
2をリアルタイム指令補正手段104へ送出する。s−
4では目標値に変化があるか確認し、ない場合はs−5
へ、ある場合はs−1へそれぞれ処理を移す。s−5で
は制御モデル101の修正が終了したかどうか確認す
る。終了ならば処理をs−1へ移し、でなければs−6
へ移す。s−6では操業停止であるか確認し、停止なら
ば処理終了、そうでなければ処理をs−1へ移す。
【0031】図12にリアルタイム指令補正手段104
の構成を示す。リアルタイム指令補正手段104は、指
令算出手段102で算出された指令値1の基で鋳造を行
った結果得られたToutと目標値の差分(以下、抽出誤
差)から指令値1の補正量を算出する。また、鋳造速度
変動時には鋳造速度変化量(δV)を取り込み、δVに
対する補正量を抽出誤差に対する補正量に加算する。抽
出誤差に対する補正量の算出は、指令算出手段102に
より送出された変化量1を基に修正ゲイン11201を
構成し、これを鋳片抽出温度と目標値の差分に掛け合わ
せることにより行う。本実施例における修正ゲインは下
式により設定する。
【0032】
【数12】
【0033】ここで変化量1は、指令値1でのToutに対
する微分値dθ/dToutに相当するため、リアルタイム
指令補正手段104の出力は抽出誤差に対する適切な補
正量となる。本実施例では、上式により修正ゲイン1
1201を設定したが、予め設定した一定の値とするこ
とも考えられる。
【0034】また、δVに対する補正量を算出するため
に、指令算出手段102より取り込んだ変化量2を基に
修正ゲイン2 1202を下式で搆築し、指令値の補正
を行う。このとき修正ゲイン2 1202はdθ/dTo
ut・dTout/dVに相当するためδVに対するθの適切
な補正量が算出できる。
【0035】
【数13】 修正ゲイン2=変化量1・変化量2 …(13) 図13にリアルタイム指令補正手段104の処理フロー
を示す。s−1で指令算出手段102より変化量1、お
よび変化量2を取り込む。s−2では取り込んだ変化量
1,変化量2より修正ゲイン1および修正ゲイン2を構
成する。s−3で抽出誤差およびdVを取り込み補正量
を算出する。s−4で操業停止かどうか確認する。停止
ならば処理終了し、そうでなければs−5へ処理を移
す。s−5では指令算出手段102より新たな変化量
1,変化量2が算出されたかどうか確認する。されてい
れば処理をs−1へ移し、そうでなければs−3へ移
す。以上の処理によりリアルタイム指令補正手段104
は、指令算出手段102が指令値1を算出するために計
算時間を費やしている間、抽出誤差を減少させるために
機能する。
【0036】図14にモデル修正手段105の構成を示
す。モデル修正手段105では温度誤差、およびこのと
きの溶湯初期温度,鋳造速度,冷却水流量,モデル修正
手段105の有するhwを取り込み、制御モデル101
の有する熱伝達係数hwを対象にパラメータ修正量を算
出し、制御モデル101へ送出する。このとき、修正対
象であるhwは前述したとおり鋳片表面温度と冷却水流
量の関数であるため、パラメータ修正量は現在のモデル
修正手段105が有するhwに対する修正比率αであ
る。現在のhwをhw(n)とすると、修正後のhw
(n+1)は下式で与えられる。
【0037】
【数14】 hw(n+1)=(1+α)・hw(n) …(14) モデル修正手段105は第1のニューラルネットワーク
1401と第2のニューラルネットワーク1402によ
り構成される。第1のニューラルネットワーク1401
ではhwの修正量が、第2のニューラルネットワーク1
402では第1のニューラルネットワーク1401によ
って計算された修正量の誤差分が計算される。第1のニ
ューラルネットワーク1401は、第1の入力値とし
て、温度誤差を入力され、第2の入力値として、温度セ
ンサ205により検出された溶湯初期値温度,速度セン
サ207より検出された鋳造速度および指令変換手段1
03より送出された冷却水流量を入力される。第2のニ
ューラルネットワーク1402は第1のニューラルネットワ
ーク1401と同一の構成となっており、温度誤差が0
のときの第1のニューラルネットワーク1401の出力
誤差が算出される。したがって、温度誤差に対応する入
力に0が入力され、他の入力に関しては、第1のニュー
ラルネットワーク1401と同一の値である第2の入力
値が入力される。第1のニューラルネットワーク140
1の出力から第2のニューラルネットワーク1402の
出力との差分を減じたものがモデル修正手段105の出
力となり、この値にしたがって制御モデル101のhw
が修正される。
【0038】図15にモデル修正手段105が行う処理
のフローチャートを示す。s−1で、温度誤差及び、溶
湯初期温度,鋳造速度,冷却水流量およびモデル修正手
段105の持つhwを第1のニューラルネットワーク1
401入力し、演算結果を修正量1とする。s−2で、
温度誤差に対応した入力に0を入力し第2のニューラル
ネットワーク1402に演算させる。このときの演算結
果を誤差量とする。s−3では、s−1で得られた修正
量1からs−2で得られた誤差量を引いたものを修正量
2とする。s−4で修正量2を出力し、処理終了とな
る。
【0039】次に、ニューラルネットワーク1401
(本実施例では、第1のニューラルネットワークと第2
のニューラルネットワークは同一構成のため第1のニュ
ーラルネットワークの説明のみ行う)の詳細な説明を行
う。図16に、第1のニューラルネットワーク1401
の構造を示す。第1のニューラルネットワーク1401
は、ニューロン1601がシナプス1602により層状
に連結されて構成される。図16の例では入力層160
3,中間層1604,出力層1605からなる3層構造
のネットワークを示しているが、中間層1604を複数
備えた4層以上のネットワークを構築してもよい。入力
層1603に入力された入力をIi ,中間層1604の
出力をMjとすれば、Ii とMjの関係はたとえば次のよ
うな式で与えられる。
【0040】
【数15】 Mi=f(ui) …(15)
【0041】
【数16】
【0042】
【数17】 uj=ΣIiij−θj …(17) Wij(jは中間層ニューロンの番号)は、i番目の入力
ニューロンとj番目の中間層ニューロンを結ぶシナプス
1602に与えられている重み、θj はニューロンjに
対応した定数、f(uj) は一般に微分可能な単調飽和関
数が用いられるが、通常(16)式のようなシグモイド
関数が用いられる。さらに、このように得られたMj
用いると、出力層1605におけるk番目のニューロン
の出力Okは、
【0043】
【数18】 Ok=f(uk) …(18)
【0044】
【数19】
【0045】
【数20】 uk=ΣIjjk−θk …(20) となる。Vjkはj番目の中間層ニューロンとk番目の出
力層ニューロンを結ぶ重み、θk は出力層ニューロンに
対応した定数である。モデル修正手段105では第2の
ニューラルネットワーク1402を第1のニューラルネ
ットワーク1401と同一構造としていたが、温度誤差に対
応する入力層1603でのニューロンとこれに繋がるシ
ナプスを欠落させた構成でもよい。
【0046】図17に、学習装置107の構成を示す。
学習装置107には、第1のニューラルネットワーク1
401と同一の構造を持つニューラルネットワーク17
03に加えて、記憶手段1701,学習手段1702が
備えられている。記憶手段1701には、ニューラルネ
ットワーク1703に学習させたい入力信号と出力信号
の関係(以下、入出力ペア)が複数個格納されている。
学習手段1702は記憶手段1701より入出力ペアを
一つ取り込み、これらのうち入力信号をニューラルネッ
トワーク1703に提示する。ニューラルネットワーク
1703は提示された入力を基に演算を行い、演算結果
を出力として学習手段1702に送出する。学習手段1
702は、送られてきた出力と入出力ペアの出力信号と
の誤差を検出し、検出された誤差に従ってニューラルネ
ットワーク1703の重みWij,Vjkを誤差が減少する
ように修正する。Wj,Vjの修正方法は種々の方法が提
案されており、代表的手法として最急降下法を用いた誤
差逆伝搬学習法があるが、この手法の詳細はたとえば、
雑誌(David E. Rumelhart. geoffrey e. Hinton& rona
ld J. williams.“Learning representations by back-
propagating error.”Nature. Vol.323. No.9. 第
533項〜第536項. 10月. 1986年) に記載されて
いる。学習手段1702は記憶手段1701に蓄えられ
ている入出力ペアを次々と取り込み、上記の操作を繰り
返す。最終的にニューラルネットワーク1703には、
記憶手段1701の入力と出力の関係が蓄えられる。以
上の処理により学習の終了したニューラルネットワーク
1703の重みWij,Vjkは、モデル修正手段105に
送出され、第1のニューラルネットワーク1401及び第2
のニューラルネットワーク1402は送出された重みを
基に演算を行う。次に、記憶手段1701の入出力ペア
の設定方法の一例を図13に示す。s−1でhwの比率
α0(i)(i:1〜n)をn通り用意する。s−2で
hwの比率α0を一つ取り込み、i≦nであるかどうか
判定する。i≦nならばs−3に処理を移し、そうでな
ければ処理終了となる。s−3でhw0=α0・hwを
熱伝達係数として持つ制御モデル101を用いて抽出温
度θ0を計算する。また、修正比率αに初期値−0.9
を設定する。s−4ではs−1でセットしたhw0に
(1+α)を掛ける。s−5では、(1+α)hw0を
用いて抽出温度θ1を算出する。s−6では、s−3で
算出したθ0とs−5で算出したθ1との差をとり、θ
1−θ0とs−4で用いたαの関係を教師信号の入出力
ペアとして保存する。s−7でαの値を0.1 増やして
更新する。s−8では、αが上限を越えたかどうか判定
する。越えていればs−2へ処理を移し、そうでなけれ
ばs−4に処理を移す。以上の操作で入出力ペアが作成
される。上述した説明ではモデル修正手段105と学習
装置107は別の装置として取り扱ったが、一つの装置
としてもよい。
【0047】
【発明の効果】本発明によれば、各種状態量における目
標抽出温度に対する冷却水流量の関係テーブルを事前に
作成する必要がないため、テープル作成に要した膨大な
時間と経費が解消できる。また、抽出温度誤差を基に逐
次的な制御モデルの修正を行うため、経年変化などの制
御対象の特性変化に制御モデルの特性が追従でき、高精
度な温度制御が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スプレ冷却制御装置の構成図。
【図2】連続連鋳プラントの構成図。
【図3】熱伝達係数のモデル概念図。
【図4】冷却水流量と指令値の関係概念図。
【図5】指令変換手段の構成図。
【図6】冷却水流量と指令値の関係概念図。
【図7】指令変換手段の構成図。
【図8】指令算出過程の摸式図。
【図9】指令値1算出の処理フロー図。
【図10】変化量2算出の処理フロー図。
【図11】指令算出手段の処理フロー図。
【図12】リアルタイム指令補正手段の構成図。
【図13】リアルタイム指令補正手段の処理フロー図。
【図14】モデル修正手段の構成図。
【図15】モデル修正手段の処理フロー図。
【図16】ニューラルネットワークの構成図。
【図17】入出力ペア作成の処理フロー図。
【符号の説明】
100…スプレ冷却制御装置、101…制御モデル、1
02…指令算出手段、103…指令変換手段、104…
リアルタイム指令補正手段、105…モデル修正手段、
106…連続鋳造プラント、107…学習装置、140
1…第1のニューラルネットワーク、1402…第2の
ニューラルネットワーク。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 諸岡 泰男 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 柴垣 ▲琢▼郎 茨城県日立市大みか町五丁目2番1号 株 式会社日立製作所大みか工場内 (72)発明者 河瀬 宏志 茨城県日立市大みか町五丁目2番1号 株 式会社日立製作所大みか工場内

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】溶湯から鋼片を鋳造する連続鋳造機の冷却
    制御装置において、該連続鋳造機の物理現象を数式化し
    た制御モデルと、該制御モデルを用いて鋳片を目標温度
    で抽出するために必要な冷却水流量の指令値を算出する
    指令算出手段と該鋳片の温度と該鋳片の温度の目標値の
    差分を取り込み、該温度の差分を減少させる補正量を前
    記指令値に加算するリアルタイム指令補正手段とを備え
    たことを特徴とする連続鋳造機の冷却制御装置。
  2. 【請求項2】請求項第1項において、 前記指令算出手段は単一または小数の変数で記述される
    指令値を決定し、該決定された指令値を各スプレの冷却
    水流量指令に変換する指令変換手段を備えたことを特徴
    とする連続鋳造機の冷却制御装置。
  3. 【請求項3】請求項第2項において、 前記指令変換手段により変換された前記各スプレの冷却
    流量指令に基づいて鋳造した結果得られた該鋳片の温度
    と前記制御モデルを用いて算出された該鋳片の温度の差
    分から該制御モデルの有するパラメータの値を修正する
    モデル修正手段を備えたことを特徴とする連続鋳造機の
    冷却制御装置。
  4. 【請求項4】請求項第3項において、 前記差分と、該差分に影響を及ぼす状態量として該差分
    に対応した溶湯初期温度,鋳造速度,冷却水流量と、前
    記制御モデルが有しているパラメータの値を必要に応じ
    て取り込み、該パラメータの値に対する修正量を出力し
    該制御モデルの有するパラメータの値を修正するモデル
    修正手段を備えたことを特徴とする連続鋳造機の冷却制
    御装置。
  5. 【請求項5】請求項第4項において、 前記制御モデルの有するパラメータは前記鋳片の表面温
    度と前記冷却水流量の関数で決定する該鋳片の表面から
    冷却水への熱伝達係数であり、前記モデル修正手段は該
    熱伝達係数を修正することを特徴とするスプレ冷却制御
    装置。
  6. 【請求項6】請求項第5項において、 前記モデル修正手段は、前記差分と該差分に対応した溶
    湯初期温度,鋳造速度,冷却水流量の状態量と、該制御
    モデルが有している前記パラメータの値を取り込み、該
    パラメータの値に対する修正量を算出する第1のニュー
    ラルネットワークと、第1のニューラルネットワークと
    同一の構造を持ち、該第1のニューラルネットワークの
    入力のうち該差分の代わりに0を入力し、該第1のニュ
    ーラルネットワークの出力誤差を算出する第2のニュー
    ラルネットワークから構成され、該第1のニューラルネ
    ットワークから該第2のニューラルネットワークの出力
    を減じた値を該モデル修正手段の出力とすることを特徴
    とする連続鋳造機の冷却制御装置。
  7. 【請求項7】請求項第1項において、 前記リアルタイム指令補正手段は、前記モデル修正手段
    が前記制御モデルのパラメータを修正し、前記指令算出
    手段が修正された該パラメータを有する該制御モデルを
    用いて次の前記指令値を算出する間に適当な周期で前記
    抽出誤差を取り込み前記補正量を出力する処理を行うこ
    とを特徴とする連続鋳造機の冷却制御装置。
  8. 【請求項8】請求項第7項において、 前記リアルタイム指令補正手段は、前記指令算出手段が
    前記指令値を決定する過程で得られた前記鋳片の温度の
    変化量に対する指令値の変化量を格納し、該変化量と前
    記鋳片の温度の誤差から該補正量を決定することを特徴
    とする連続鋳造機の冷却制御装置。
  9. 【請求項9】請求項第8項において、 前記リアルタイム指令補正手段は前記指令算出手段によ
    り前記変化量が決定される度に該変化量を取り込み、該
    変化量に前記鋳片の温度の誤差を掛け合わせたものを前
    記補正量とすることを特徴とする連続鋳造機の冷却制御
    装置。
  10. 【請求項10】請求項第9項において、 前記指令算出手段は、前記指令値の算出と共に鋳造速度
    の変化量に対する前記鋳片の温度の変化量を決定して前
    記リアルタイム指令補正手段へ送出し、前記リアルタイ
    ム指令補正手段は該鋳造速度の変化に伴い該鋳片の速度
    変化量を取り込み、前記鋳片の温度の変化量に対する指
    令値の変化量,前記鋳造速度の変化量に対する前記鋳片
    の温度の変化量及び該鋳片の速度変化量から該指令値ま
    たは各スプレの冷却水流量指令に加算する補正量を決定
    することを特徴とする連続鋳造機の冷却制御装置。
  11. 【請求項11】溶湯から鋼片を鋳造する連続鋳造機の冷
    却制御方法において、該連続鋳造機の物理現象を数式化
    した制御モデルを用いて、鋳造した鋼片を目標温度で抽
    出するための単一または小数の変数で記述される指令値
    1を算出し、該指令値1を各スプレの冷却水流量指令で
    ある指令値2へ変換し、前記指令値2の基で鋳造した結
    果得られた鋳片抽出温度と前記目標温度の差分である抽
    出誤差から、該抽出誤差を減少させる方向へ前記指令値
    1あるい該指令値2を補正することにより、該複数の冷
    却水流量を決定することを特徴とする連続鋳造機の冷却
    制御方法。
  12. 【請求項12】請求項第11項において、 前記指令値2の基で鋳造した結果得られた鋳片抽出温度
    と前記制御モデルを用いて算出された鋳片抽出温度との
    差分と、このときの溶湯初期温度,鋳造速度,冷却水流
    量などの状態量と、このときの該制御モデルが有するパ
    ラメータの値から、該パラメータの値に対する修正量を
    算出し該制御モデルの有する該パラメータの値を修正す
    ることを特徴とする連続鋳造機の冷却制御方法。
  13. 【請求項13】請求項第12項において、 前記パラメータは鋳片表面温度と冷却水流量に依存して
    変化する鋳片表面から冷却水への熱伝達係数であること
    を特徴とする連続鋳造機の冷却制御方法。
  14. 【請求項14】請求項13において、 前記指令値1を算出する過程で、前記指令値1での鋳片
    抽出温度の変化量に対する指令値の変化量を変化量1と
    して算出し、該変化量1と前記抽出誤差から該補正量算
    出することを特徴とする連続鋳造機の冷却制御方法。
  15. 【請求項15】請求項14において、 前記修正されたパラメータを有する前記制御モデルを用
    いることにより次の前記指令値1が算出されるまで、前
    記変化量1と前記抽出誤差から算出した前記補正量を適
    当な周期で該指令値1あるいは前記指令値2に加算し、
    該次の指令値1が算出される度に新たに算出された該変
    化量1と前記抽出温度から該補正量を算出することを特
    徴とする連続鋳造機の冷却制御方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH10254504A (ja) * 1997-03-06 1998-09-25 Hitachi Ltd 自律的制御方法および制御システム
JP2008168308A (ja) * 2007-01-10 2008-07-24 Jfe Steel Kk 連続鋳造機の2次冷却水流量制御方法、装置及び連続鋳造方法、設備
JP2014014854A (ja) * 2012-07-11 2014-01-30 Nippon Steel & Sumitomo Metal 連続鋳造機の二次冷却方法及び二次冷却装置
KR20150033724A (ko) 2012-08-14 2015-04-01 제이에프이 스틸 가부시키가이샤 응고 완료 위치 제어 방법 및 응고 완료 위치 제어 장치
KR20160049298A (ko) 2014-10-27 2016-05-09 주식회사 포스코 연속주조 장치, 냉각 장치 및 연속주조 방법

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