JPH09241735A - 強度及び靱性に優れた鋳鉄の製造方法 - Google Patents
強度及び靱性に優れた鋳鉄の製造方法Info
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- JPH09241735A JPH09241735A JP5183196A JP5183196A JPH09241735A JP H09241735 A JPH09241735 A JP H09241735A JP 5183196 A JP5183196 A JP 5183196A JP 5183196 A JP5183196 A JP 5183196A JP H09241735 A JPH09241735 A JP H09241735A
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- Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 Mgなどの球状化処理剤を用いることなく、片
状黒鉛鋳鉄の黒鉛を球状化、微細化し、しかも素地をフ
ェライト化して強度、靱性に優れた鋳鉄を製造する方法
を提供する。 【解決手段】 半溶融状態にした片状黒鉛鋳鉄を金型加
圧鋳造するとともに 800℃以上で型離しを行い、これに
よって得られた成形品を 850〜1000℃× 1〜30分の熱処
理を施した後、更に 650〜 800℃×30分以上の熱処理を
施す。
状黒鉛鋳鉄の黒鉛を球状化、微細化し、しかも素地をフ
ェライト化して強度、靱性に優れた鋳鉄を製造する方法
を提供する。 【解決手段】 半溶融状態にした片状黒鉛鋳鉄を金型加
圧鋳造するとともに 800℃以上で型離しを行い、これに
よって得られた成形品を 850〜1000℃× 1〜30分の熱処
理を施した後、更に 650〜 800℃×30分以上の熱処理を
施す。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、強度及び靱性に優
れた鋳鉄の製造方法に関し、詳細には、半溶融状態にし
た片状黒鉛鋳鉄を球状化処理剤を使用することなくダイ
カスト成形するとともにその成形品を熱処理して球状黒
鉛化し強度及び靱性に優れた鋳鉄を製造する方法に関す
るものである。
れた鋳鉄の製造方法に関し、詳細には、半溶融状態にし
た片状黒鉛鋳鉄を球状化処理剤を使用することなくダイ
カスト成形するとともにその成形品を熱処理して球状黒
鉛化し強度及び靱性に優れた鋳鉄を製造する方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術並びに発明が解決しようとする課題】鋳鉄
には、その黒鉛の形態から片状黒鉛鋳鉄と球状黒鉛鋳鉄
があって、通常溶製される鋳鉄は片状黒鉛鋳鉄で、球状
黒鉛鋳鉄は溶製される過程で黒鉛を球状化するためにMg
など球状化処理剤の添加が必要である。
には、その黒鉛の形態から片状黒鉛鋳鉄と球状黒鉛鋳鉄
があって、通常溶製される鋳鉄は片状黒鉛鋳鉄で、球状
黒鉛鋳鉄は溶製される過程で黒鉛を球状化するためにMg
など球状化処理剤の添加が必要である。
【0003】上記片状黒鉛鋳鉄は黒鉛が片状で、このた
め減衰能が大きいと言う特徴があり、機械構造部品とし
て広く使用されている。しかし、黒鉛が片状であること
は、強度、靱性の点では好ましくない。特に、靱性は片
状黒鉛の切り欠き作用で、極めて低い。これに対して球
状黒鉛鋳鉄は黒鉛形状が球状であり、片状黒鉛鋳鉄に比
べると強度、靱性が高い。しかし、上述したように球状
黒鉛鋳鉄では黒鉛を球状化するためにMgなど球状化処理
剤の添加が必要であり、この球状化処理剤は溶湯の保持
時間とともに溶湯から逸出し、保持時間が長くなると球
状化能が低下するという問題がある。また、球状黒鉛鋳
鉄は、片状黒鉛鋳鉄に比べると価格も高い。
め減衰能が大きいと言う特徴があり、機械構造部品とし
て広く使用されている。しかし、黒鉛が片状であること
は、強度、靱性の点では好ましくない。特に、靱性は片
状黒鉛の切り欠き作用で、極めて低い。これに対して球
状黒鉛鋳鉄は黒鉛形状が球状であり、片状黒鉛鋳鉄に比
べると強度、靱性が高い。しかし、上述したように球状
黒鉛鋳鉄では黒鉛を球状化するためにMgなど球状化処理
剤の添加が必要であり、この球状化処理剤は溶湯の保持
時間とともに溶湯から逸出し、保持時間が長くなると球
状化能が低下するという問題がある。また、球状黒鉛鋳
鉄は、片状黒鉛鋳鉄に比べると価格も高い。
【0004】一方、鋳鉄は、複雑形状の製品が製造可能
で広く使用されているが、部品軽量化のため、強度、靱
性の向上が強く望まれている。強度、靱性の向上のため
には、黒鉛の球状化、微細化が必須であるが、Mgなどの
球状化処理剤を用いると、上述したような保持時間が長
くなると球状化能が低下する問題、価格が高くなる問題
があることから、Mgなどの球状化処理剤を用いることな
く、黒鉛を球状化、微細化する技術が求められる。
で広く使用されているが、部品軽量化のため、強度、靱
性の向上が強く望まれている。強度、靱性の向上のため
には、黒鉛の球状化、微細化が必須であるが、Mgなどの
球状化処理剤を用いると、上述したような保持時間が長
くなると球状化能が低下する問題、価格が高くなる問題
があることから、Mgなどの球状化処理剤を用いることな
く、黒鉛を球状化、微細化する技術が求められる。
【0005】強度、靱性に優れる鋳鉄として可鍛鋳鉄が
あるが、可鍛化するため塊状黒鉛を得る熱処理に30時間
以上という長時間を要する。
あるが、可鍛化するため塊状黒鉛を得る熱処理に30時間
以上という長時間を要する。
【0006】黒鉛の微細化策として、球状黒鉛鋳鉄の例
ではあるが、鋳鉄を金型重力鋳造し、 900℃で 2時間炉
冷などの熱処理を施す方法が報告されている(鋳物 第
63巻1991年 第11号 914〜 919頁参照)。この方法によ
れば黒鉛は10μm程度に微細化する。また、球状黒鉛鋳
鉄を加圧して金型鋳造し、その後熱処理する方法も提案
されている(特公昭52− 447号公報参照)。しかし、こ
れらの方法では鋳鉄溶湯を用いるため溶湯温度(1350〜
1400℃程度)が高く、加圧鋳造(ダイカスト)時の金型
熱負荷による金型寿命の短命、あるいはそれに伴う金型
コストの問題から、実用化までには至っていないのが実
状である。また、金型重力鋳造では薄肉製品の製造が難
しく、薄肉製品を製造するには加圧鋳造が有効である
が、加圧すると金型の損傷劣化がより一層顕著になるた
め工業的に成立し難い。
ではあるが、鋳鉄を金型重力鋳造し、 900℃で 2時間炉
冷などの熱処理を施す方法が報告されている(鋳物 第
63巻1991年 第11号 914〜 919頁参照)。この方法によ
れば黒鉛は10μm程度に微細化する。また、球状黒鉛鋳
鉄を加圧して金型鋳造し、その後熱処理する方法も提案
されている(特公昭52− 447号公報参照)。しかし、こ
れらの方法では鋳鉄溶湯を用いるため溶湯温度(1350〜
1400℃程度)が高く、加圧鋳造(ダイカスト)時の金型
熱負荷による金型寿命の短命、あるいはそれに伴う金型
コストの問題から、実用化までには至っていないのが実
状である。また、金型重力鋳造では薄肉製品の製造が難
しく、薄肉製品を製造するには加圧鋳造が有効である
が、加圧すると金型の損傷劣化がより一層顕著になるた
め工業的に成立し難い。
【0007】一方、最近注目されている鋳鉄のダイカス
ト技術として、鋳鉄素材(ビレット)を固液共存温度域
(半溶融温度域)に加熱してダイカストするチクソキャ
スト法、あるいは固液共存温度域の鋳鉄スラリーを直接
ダイカストスリーブに注入して射出するレオキャスト法
がある。これらの方法による場合は、上記溶湯によるダ
イカストに比して、金型熱負荷が低減できダイカストが
容易になる他、素材の一部が固相であるため、収縮孔の
少ない品質の良い製品が得られるなどの長所を有する。
そして、このチクソダイカスト法を適用した鋳鉄のチク
ソダイカスト法が、例えば特開平 5− 43978号公報、特
開平 7−204820号公報等に新たに提案されている。
ト技術として、鋳鉄素材(ビレット)を固液共存温度域
(半溶融温度域)に加熱してダイカストするチクソキャ
スト法、あるいは固液共存温度域の鋳鉄スラリーを直接
ダイカストスリーブに注入して射出するレオキャスト法
がある。これらの方法による場合は、上記溶湯によるダ
イカストに比して、金型熱負荷が低減できダイカストが
容易になる他、素材の一部が固相であるため、収縮孔の
少ない品質の良い製品が得られるなどの長所を有する。
そして、このチクソダイカスト法を適用した鋳鉄のチク
ソダイカスト法が、例えば特開平 5− 43978号公報、特
開平 7−204820号公報等に新たに提案されている。
【0008】
【発明の目的】本発明は、上記の如き事情に基づいてな
されたものであって、その目的は、Mgなどの球状化処理
剤を用いることなく、片状黒鉛鋳鉄の黒鉛を球状化、微
細化し、しかも素地をフェライト化して強度、靱性に優
れた鋳鉄を製造する方法を提供するものである。
されたものであって、その目的は、Mgなどの球状化処理
剤を用いることなく、片状黒鉛鋳鉄の黒鉛を球状化、微
細化し、しかも素地をフェライト化して強度、靱性に優
れた鋳鉄を製造する方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明に係る強度及び靱性に優れた鋳鉄の製造方
法は、半溶融状態にした片状黒鉛鋳鉄を金型加圧鋳造す
るとともに 800℃以上で型離しを行い、これによって得
られた成形品を 850〜1000℃× 1〜30分の熱処理を施し
た後、更に 650〜 800℃×30分以上の熱処理を施すもの
である。
めに、本発明に係る強度及び靱性に優れた鋳鉄の製造方
法は、半溶融状態にした片状黒鉛鋳鉄を金型加圧鋳造す
るとともに 800℃以上で型離しを行い、これによって得
られた成形品を 850〜1000℃× 1〜30分の熱処理を施し
た後、更に 650〜 800℃×30分以上の熱処理を施すもの
である。
【0010】そして、上記本発明に係る強度及び靱性に
優れた鋳鉄の製造方法においては、800℃以上で型離し
を行った成形品に対する 850〜1000℃× 1〜30分の熱処
理を、室温まで冷却することなく引き続いて施してもよ
いし、また、 850〜1000℃×1〜30分の熱処理を施した
成形品に対する 650〜 800℃×30分以上の熱処理も、室
温まで冷却することなく引き続いて施してもよい。
優れた鋳鉄の製造方法においては、800℃以上で型離し
を行った成形品に対する 850〜1000℃× 1〜30分の熱処
理を、室温まで冷却することなく引き続いて施してもよ
いし、また、 850〜1000℃×1〜30分の熱処理を施した
成形品に対する 650〜 800℃×30分以上の熱処理も、室
温まで冷却することなく引き続いて施してもよい。
【0011】以下、本発明の構成並びに作用を詳細に説
明する。片状黒鉛鋳鉄を金型重力鋳造するとレーデブラ
イト(鉄−炭素系合金に現れるオーステナイトとセメン
タイトとの共晶)組織が生成する。レーデブライト組織
は極めて脆いので、延性、靱性の向上のためレーデブラ
イト中のセメンタイトを黒鉛化する必要がある。本発明
では、半溶融状態にした片状黒鉛鋳鉄を金型加圧鋳造す
るので、鋳造(射出)温度が低いことに加えて大きな冷
却速度が得られるため、生成されるレーデブライト組織
は極めて微細なものとなる。従って、 800℃以上の温度
で型離した後の熱処理は、短時間でセメンタイトを黒鉛
化することができ、しかも黒鉛サイズを著しく小さくす
ることが可能となる。具体的には、850〜1000℃で 1〜3
0分保持すればセメンタイトを黒鉛化することができる
とともに、粒径 1〜 5μmと極めて微細な黒鉛粒子が分
散した組織が得られる。この熱処理条件において、 850
℃より低い温度では 1〜30分の保持時間では黒鉛化が充
分でなく、また1000℃を超えては黒鉛化は可能である
が、黒鉛サイズが大きくなるとともに、熱処理コストが
高くなる。この熱処理は、鋳造、型離し後一度室温まで
冷却した後実施してもよいし、鋳造、型離し後室温まで
冷却せず連続的に実施してもよい。ただし、生産性を考
えると、鋳造、型離し後冷却せずに直ちに熱処理する方
がより短時間で処理でき、しかも生産を連続化できるメ
リットがある。
明する。片状黒鉛鋳鉄を金型重力鋳造するとレーデブラ
イト(鉄−炭素系合金に現れるオーステナイトとセメン
タイトとの共晶)組織が生成する。レーデブライト組織
は極めて脆いので、延性、靱性の向上のためレーデブラ
イト中のセメンタイトを黒鉛化する必要がある。本発明
では、半溶融状態にした片状黒鉛鋳鉄を金型加圧鋳造す
るので、鋳造(射出)温度が低いことに加えて大きな冷
却速度が得られるため、生成されるレーデブライト組織
は極めて微細なものとなる。従って、 800℃以上の温度
で型離した後の熱処理は、短時間でセメンタイトを黒鉛
化することができ、しかも黒鉛サイズを著しく小さくす
ることが可能となる。具体的には、850〜1000℃で 1〜3
0分保持すればセメンタイトを黒鉛化することができる
とともに、粒径 1〜 5μmと極めて微細な黒鉛粒子が分
散した組織が得られる。この熱処理条件において、 850
℃より低い温度では 1〜30分の保持時間では黒鉛化が充
分でなく、また1000℃を超えては黒鉛化は可能である
が、黒鉛サイズが大きくなるとともに、熱処理コストが
高くなる。この熱処理は、鋳造、型離し後一度室温まで
冷却した後実施してもよいし、鋳造、型離し後室温まで
冷却せず連続的に実施してもよい。ただし、生産性を考
えると、鋳造、型離し後冷却せずに直ちに熱処理する方
がより短時間で処理でき、しかも生産を連続化できるメ
リットがある。
【0012】また、半溶融状態で加圧鋳造した場合、半
溶融時の固相部は粒状のオーステナイト相となってい
る。オーステナイト相は、空冷など通常の冷却では室温
でマルテンサイト、ベイナイト、パーライト組織となり
延性が低い。延性や靱性を向上させるためには、素地を
フェライト組織にすることが望ましい。このフェライト
組織を効率よく得るためには、上記の熱処理( 850〜10
00℃× 1〜30分保持)後、更に 650〜 800℃で保持時間
が30分以上の熱処理を施す必要がある。この熱処理条件
において、温度が 650℃より低い場合、あるいは温度が
650〜 800℃でもその温度での保持時間が30分より短い
場合はフェライト化が充分でなく、また温度が 800℃よ
り高い場合はオーステナイト相が安定であり、その後空
冷した場合などはこれをベイナイト変態又はマルテンサ
イト変態して靱性が低下する。また、この熱処理も、上
記熱処理( 850〜1000℃× 1〜30分保持)と同様に、上
記熱処理後一度室温まで冷却した後実施してもよいし、
室温まで冷却せず連続的に実施してもよい。ただし、一
度室温まで冷却して一旦マルテンサイト、ベイナイト、
パーライト組織とした後、再加熱してこれらの組織を分
解する方が、より短時間でフェライト化できるのでより
効果的である。
溶融時の固相部は粒状のオーステナイト相となってい
る。オーステナイト相は、空冷など通常の冷却では室温
でマルテンサイト、ベイナイト、パーライト組織となり
延性が低い。延性や靱性を向上させるためには、素地を
フェライト組織にすることが望ましい。このフェライト
組織を効率よく得るためには、上記の熱処理( 850〜10
00℃× 1〜30分保持)後、更に 650〜 800℃で保持時間
が30分以上の熱処理を施す必要がある。この熱処理条件
において、温度が 650℃より低い場合、あるいは温度が
650〜 800℃でもその温度での保持時間が30分より短い
場合はフェライト化が充分でなく、また温度が 800℃よ
り高い場合はオーステナイト相が安定であり、その後空
冷した場合などはこれをベイナイト変態又はマルテンサ
イト変態して靱性が低下する。また、この熱処理も、上
記熱処理( 850〜1000℃× 1〜30分保持)と同様に、上
記熱処理後一度室温まで冷却した後実施してもよいし、
室温まで冷却せず連続的に実施してもよい。ただし、一
度室温まで冷却して一旦マルテンサイト、ベイナイト、
パーライト組織とした後、再加熱してこれらの組織を分
解する方が、より短時間でフェライト化できるのでより
効果的である。
【0013】このような球状黒鉛の微細分散とマトリッ
クスのフェライト化により、強度及び靱性に優れた鋳鉄
製品の製造が可能となり、更に、本発明では、半溶融状
態にした片状黒鉛鋳鉄を金型加圧鋳造するので、鋳造温
度が低い分金型の熱負荷が軽減され金型寿命の向上が期
待できる上に、金型内に加圧注入するので薄肉製品の製
造も可能となる。
クスのフェライト化により、強度及び靱性に優れた鋳鉄
製品の製造が可能となり、更に、本発明では、半溶融状
態にした片状黒鉛鋳鉄を金型加圧鋳造するので、鋳造温
度が低い分金型の熱負荷が軽減され金型寿命の向上が期
待できる上に、金型内に加圧注入するので薄肉製品の製
造も可能となる。
【0014】また、本発明で金型加圧鋳造の際に型離し
を 800℃以上の温度で行うのは、製品を薄肉化すると、
鋳造後の冷却過程での熱収縮及び変態による低靱性組織
の生成によって割れが発生しやすくなるためで、これを
防ぐためには 800℃以上の温度で型離しする必要があ
る。
を 800℃以上の温度で行うのは、製品を薄肉化すると、
鋳造後の冷却過程での熱収縮及び変態による低靱性組織
の生成によって割れが発生しやすくなるためで、これを
防ぐためには 800℃以上の温度で型離しする必要があ
る。
【0015】また、本発明において半溶融状態を得る方
法としては、段落番号〔0007〕で説明したチクソキ
ャスト法すなわち鋳鉄ビレットを固液共存温度域に加熱
する方法や、レオキャスト法すなわち鋳鉄を溶解後、攪
拌しながら固液共存温度域に冷却して半溶融スラリーと
する方法などが採用できる。
法としては、段落番号〔0007〕で説明したチクソキ
ャスト法すなわち鋳鉄ビレットを固液共存温度域に加熱
する方法や、レオキャスト法すなわち鋳鉄を溶解後、攪
拌しながら固液共存温度域に冷却して半溶融スラリーと
する方法などが採用できる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る実施の形態を
説明する。
説明する。
【0017】
【実施例】片状黒鉛鋳鉄(3.2%C−2.12%Si)ビレッ
トを固相率 0.2となる1200℃に加熱してチクソキャスト
法によりダイカストし、約 850℃で型離して図1に示す
幅100mm×高さ 150mm×厚さ 3mmの板状製品を製作し
た。その後、前記板状製品を、表1に示す条件の熱処理
を施し、得られた板状製品の組織状態を調査するととも
に、引張強度と伸びを測定した。その調査及び測定結果
も併せて表1に示す。
トを固相率 0.2となる1200℃に加熱してチクソキャスト
法によりダイカストし、約 850℃で型離して図1に示す
幅100mm×高さ 150mm×厚さ 3mmの板状製品を製作し
た。その後、前記板状製品を、表1に示す条件の熱処理
を施し、得られた板状製品の組織状態を調査するととも
に、引張強度と伸びを測定した。その調査及び測定結果
も併せて表1に示す。
【0018】
【表1】
【0019】表1の測定結果より明らかなように、本発
明方法により製作された板状製品(本発明例1〜7)
は、組織の状態は10μm以下の微細な球状黒鉛と、素地
がフェライトで形成されており、また強度、伸びのバラ
ンスのよい鋳鉄製品となっていた。なお、表1の熱処理
条件中の時間の後のACはその熱処理後に空冷したことを
意味する。
明方法により製作された板状製品(本発明例1〜7)
は、組織の状態は10μm以下の微細な球状黒鉛と、素地
がフェライトで形成されており、また強度、伸びのバラ
ンスのよい鋳鉄製品となっていた。なお、表1の熱処理
条件中の時間の後のACはその熱処理後に空冷したことを
意味する。
【0020】上記本発明例に対して、型離し後に冷却だ
けしたもの(比較例1)では、組織が極めて微細なレー
デブライト組織となっているが、強度は低く、伸びが無
い。また、型離し後に冷却し、その後に黒鉛化のための
熱処理だけをしたもの(比較例2〜5)では、微細な球
状黒鉛が観られるものの、素地が主にパーライト及びベ
イナイトであるため、強度は低く、伸びが無い。特に比
較例2では黒鉛化のための熱処理温度が低い(800℃)た
めレーデブライト組織が残り完全な黒鉛化には到らなか
った。
けしたもの(比較例1)では、組織が極めて微細なレー
デブライト組織となっているが、強度は低く、伸びが無
い。また、型離し後に冷却し、その後に黒鉛化のための
熱処理だけをしたもの(比較例2〜5)では、微細な球
状黒鉛が観られるものの、素地が主にパーライト及びベ
イナイトであるため、強度は低く、伸びが無い。特に比
較例2では黒鉛化のための熱処理温度が低い(800℃)た
めレーデブライト組織が残り完全な黒鉛化には到らなか
った。
【0021】また、型離し後に冷却し、その後に黒鉛化
のための熱処理をした後、更にフェライト化のための熱
処理をしたもの(比較例6,7)でも、熱処理温度が 6
00℃と低い場合(比較例6)には、素地がパーライトや
ベイナイトの組織のままであり、強度は高くなったが、
伸びが無い。また熱処理温度が 850℃と高い場合には、
素地は一部にベイナイト組織のあるフェライト組織とな
り、強度は高いが、伸びが不充分であった。
のための熱処理をした後、更にフェライト化のための熱
処理をしたもの(比較例6,7)でも、熱処理温度が 6
00℃と低い場合(比較例6)には、素地がパーライトや
ベイナイトの組織のままであり、強度は高くなったが、
伸びが無い。また熱処理温度が 850℃と高い場合には、
素地は一部にベイナイト組織のあるフェライト組織とな
り、強度は高いが、伸びが不充分であった。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る強度
及び靱性に優れた鋳鉄の製造方法によれば、従来のよう
にMgなどの球状化処理剤を用いることなく、片状黒鉛鋳
鉄の黒鉛を球状化、微細化し、しかも素地をフェライト
化して強度、靱性に優れた鋳鉄を製造することができ
る。しかも、半溶融状態にした片状黒鉛鋳鉄を金型加圧
鋳造して製造するので、金型に対する熱負荷が軽減でき
金型寿命の向上が図れ、Mgなどの球状化処理剤を使用し
ないことと相まって経済的に強度及び靱性に優れた鋳鉄
の製造ができる。
及び靱性に優れた鋳鉄の製造方法によれば、従来のよう
にMgなどの球状化処理剤を用いることなく、片状黒鉛鋳
鉄の黒鉛を球状化、微細化し、しかも素地をフェライト
化して強度、靱性に優れた鋳鉄を製造することができ
る。しかも、半溶融状態にした片状黒鉛鋳鉄を金型加圧
鋳造して製造するので、金型に対する熱負荷が軽減でき
金型寿命の向上が図れ、Mgなどの球状化処理剤を使用し
ないことと相まって経済的に強度及び靱性に優れた鋳鉄
の製造ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 尾上 俊雄 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 高橋 洋一 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内
Claims (3)
- 【請求項1】 半溶融状態にした片状黒鉛鋳鉄を金型加
圧鋳造するとともに800℃以上で型離しを行い、これに
よって得られた成形品を 850〜1000℃× 1〜30分の熱処
理を施した後、更に 650〜 800℃×30分以上の熱処理を
施すことを特徴とする強度及び靱性に優れた鋳鉄の製造
方法。 - 【請求項2】 800℃以上で型離しを行った成形品を室
温まで冷却することなく引き続いて 850〜1000℃× 1〜
30分の熱処理を施す請求項1記載の強度及び靱性に優れ
た鋳鉄の製造方法。 - 【請求項3】 850〜1000℃× 1〜30分の熱処理を施し
た成形品を室温まで冷却することなく引き続いて 650〜
800℃×30分以上の熱処理を施す請求項1又は請求項2
記載の強度及び靱性に優れた鋳鉄の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5183196A JPH09241735A (ja) | 1996-03-08 | 1996-03-08 | 強度及び靱性に優れた鋳鉄の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5183196A JPH09241735A (ja) | 1996-03-08 | 1996-03-08 | 強度及び靱性に優れた鋳鉄の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09241735A true JPH09241735A (ja) | 1997-09-16 |
Family
ID=12897821
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5183196A Withdrawn JPH09241735A (ja) | 1996-03-08 | 1996-03-08 | 強度及び靱性に優れた鋳鉄の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09241735A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104789746A (zh) * | 2015-03-28 | 2015-07-22 | 安徽长城输送机械制造有限公司 | 一种用于输送机配件的铸铁热处理工艺 |
KR20150099107A (ko) | 2014-02-21 | 2015-08-31 | 두산인프라코어 주식회사 | 편상 흑연 주철 및 이의 제조 방법 |
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1996
- 1996-03-08 JP JP5183196A patent/JPH09241735A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR20150099107A (ko) | 2014-02-21 | 2015-08-31 | 두산인프라코어 주식회사 | 편상 흑연 주철 및 이의 제조 방법 |
CN104789746A (zh) * | 2015-03-28 | 2015-07-22 | 安徽长城输送机械制造有限公司 | 一种用于输送机配件的铸铁热处理工艺 |
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