JPH09241371A - 芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法及び芳香族ポリカーボネート樹脂 - Google Patents

芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法及び芳香族ポリカーボネート樹脂

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JPH09241371A
JPH09241371A JP5484896A JP5484896A JPH09241371A JP H09241371 A JPH09241371 A JP H09241371A JP 5484896 A JP5484896 A JP 5484896A JP 5484896 A JP5484896 A JP 5484896A JP H09241371 A JPH09241371 A JP H09241371A
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JP
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polycarbonate resin
aromatic polycarbonate
compound
rare earth
mol
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JP5484896A
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English (en)
Inventor
Takeshi Kashiwagi
猛 柏木
Hidekazu Shoji
英和 庄司
Masatoshi Kimura
昌敏 木村
Masahiro Nukii
正博 抜井
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 色調の優れた熱安定性に優れた芳香族ポリカ
ーボネート樹脂の提供。 【解決手段】 エステル交換触媒として、希土類元素の
フェノキシドまたはアルコキシド、例えばセリウムフェ
ノキシド、ランタンメトキシドを用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、芳香族ポリカーボ
ネート樹脂の製造方法及び芳香族ポリカーボネート樹脂
に関するものである。詳しくは、着色が少なく、特に耐
熱性・耐湿性・耐候性に優れ、流動性の良好な高分子量
の芳香族ポリカーボネート樹脂を、エステル交換法によ
って容易に、かつ、生産性高く、工業的に製造すること
ができる製造方法に関する。本発明の芳香族ポリカーボ
ネート樹脂は、高純度が要求されるコンパクトディス
ク、光ディスク、コネクタ等の光学材料、安全性の要求
される医療・食品用途、長期にわたって信頼性の要求さ
れるレンズカバー、シート等のガラス代替品等の用途に
有用である。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリカーボネート樹脂は、エンジ
ニアリングプラスチックとして、その耐衝撃性・寸法安
定性・透明性を生かした用途に幅広く用いられている。
その工業的な製造法としては、ホスゲン法(界面重合
法)やエステル交換法(溶融重合法)などが知られてい
る。前者のホスゲン法は、工業的に広く用いられている
方法であるが、この方法で製造された芳香族ポリカーボ
ネート樹脂は、溶媒として用いられている塩化メチレン
を樹脂中から完全に除去することは困難であり、この残
存塩化メチレンが成形中に分解して塩化水素ガスを発生
し成形機を腐食したり、ポリマーが劣化したりするなど
の問題があった(特公平7−94543号、特開昭64
−31690号)。
【0003】一方、後者のエステル交換法は、ホスゲン
を用いる必要がなく、しかも塩化メチレンなどの含ハロ
ゲン溶媒による環境汚染の恐れもなく、さらに塩素を含
まない芳香族ポリカーボネート樹脂が得られるため製造
プロセスとしてはより好ましい。しかしながら、この方
法による芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法は、反
応後期にポリマーの粘度が極めて高くなるため、高分子
量の芳香族ポリカーボネート樹脂を得るには反応温度を
高くする必要があり、モノマーの分解や、触媒によって
引き起こされる副反応等によって樹脂が着色し易く、熱
安定性にも劣る、といった問題があった。
【0004】芳香族ポリカーボネート樹脂の着色の主な
原因としては、前述のようなモノマーとして用いられる
ビスフェノール類の残存や、副生するフェノール類が熱
安定性の低いゆえに反応途中でポリマーの着色の要因と
なる物質を生じやすいことと、この分解反応は金属触媒
の存在でさらに助長される傾向にあることである。しか
し、これらの熱分解反応を抑制するために反応温度を下
げると、重合反応に長時間を要し、そのため高分子量の
芳香族ポリカーボネート樹脂を得ることは困難であっ
た。そこで、特開平2−124934号公報では、触媒
として含窒素塩基性化合物とアルカリ金属またはアルカ
リ土類金属とを用いることが提案されている。しかしな
がらこの方法でも、無色のポリカーボネート樹脂を得る
には不十分であった。さらにアルカリ金属またはアルカ
リ土類金属等を触媒として用いると、ポリマーの色調の
みならず熱安定性、特に溶融滞留時の色調安定性や、高
温時の耐加水分解性に劣り、さらにポリマーの分岐が生
じやすいため流動性に劣る、という欠点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、着色がな
く、特に熱安定性に優れた芳香族ポリカーボネート樹脂
の提供、およびそれをエステル交換法にて製造する方法
の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の1は、芳香族ジ
ヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とのエステル交
換反応によって芳香族ポリカーボネート樹脂を製造する
方法において、エステル交換触媒として、下記一般式
(I)で示される希土類元素化合物(ここで希土類元素
とは、スカンジウム、イットリウム、ランタンならびに
ランタノイドに属する各元素をいう。)を用いることを
特徴とする芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法を提
供するものである。
【0007】
【化2】
【0008】(ここで、Lnは希土類元素を示し、X
は、1価または2価以上の元素または原子団および置換
基を示す。またR1 〜R3 はそれぞれ置換基を有してい
てもいなくても良い、炭素数が1〜20のアルキル基ま
たはアリール基を表す。ここで、0<q+r+s≦3で
あり、Xがk価のときpは、kp+q+r+s=3を満
たす。)
【0009】本発明の2は、下記式(1)で算出される
着色度変化量ΔYI
【0010】
【数3】 ΔYI=YI(熱処理後)−YI(熱処理前) (1)
【0011】(ここで、熱処理とは、芳香族ポリカーボ
ネート樹脂を窒素流通下、360℃で1時間保持するこ
とを意味し、YIはポリカーボネート樹脂4g/塩化メ
チレン25ミリリットルの溶液を光路長1cmのセル内
に入れて測定した着色度である。)を表すとき、以下の
式(2)にて表される比着色度S
【0012】
【数4】 S=ΔYI/[M] (2)
【0013】(ここで、ΔYIは、式(1)におけるの
と同様である。また[M]は、芳香族ポリカーボネート
樹脂の骨格をなす芳香族ジヒドロキシ化合物ユニット
1モルに対する、芳香族ポリカーボネート中に含有され
る金属の総マイクロモル(μmol)数である。)が2
0以下である粘度平均分子量5,000〜50,000
の芳香族ポリカーボネート樹脂を提供するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。芳香族ジヒドロキシ化合物: 芳香族ジヒドロキシ化合物
としては、下記一般式(II)で表されるものが用いられ
る。
【0015】
【化3】
【0016】[式中、R10、R11は各々独立に水素原
子、ニトロ基、置換基を有していても良い、アルキル基
またはアリール基を示す。] アルキル基としては、メチル、エチル等の炭素数1から
4の直鎖または分岐アルキル基が好ましく、特にメチル
基が好ましい。アリール基としてはフェニル、ナフチ
ル、その他アルキル置換フェニル基、特にフェニル基が
好ましい。これらのアルキル基またはアリール基はハロ
ゲン、ニトロ基等の置換基を有していても良い。また、
2 は単結合、メチレン、1,1−エチレン、1,2−
エチレン、2,2−プロピレン、1,1−シクロヘキシ
レン等の鎖状または環状アルキレン基、または−O−、
−S−、−SO−、−SO2 −、−CO−等の2価の官
能基等を示す。
【0017】これらのうち、特に好ましいものとして
は、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
(ビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタ
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタ
ン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタ
ン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)シクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシジフェニ
ルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフ
ィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシ
ド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンなどが
挙げられる。これらの芳香族ジヒドロキシ化合物は単独
で用いても良く、また混合物として用いても良い。これ
らのうち、好ましくは、2,2−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)プロパンである。
【0018】カーボネート前駆体:カーボネート前駆体
としては、一般式(III)で表されるビスアリールカーボ
ネート類またはポリカーボネートオリゴマーが用いられ
る。
【0019】
【化4】
【0020】[式中、R12〜R15は各々独立にフッ素、
塩素、臭素等のハロゲン、ニトロ基、置換基を有してい
ても良い、炭素数1〜6のアルキル基、またはアリール
基を示す。X3 は単結合、メチレン、1,1−エチレ
ン、1,2−エチレン、2,2−プロピレン、1,1−
シクロヘキシレン等の鎖状または環状アルキレン基、−
O−、−S−、−SO−、−SO2 −、−CO−等の2
価の官能基を示す。またjは0〜20の整数を表す。]
【0021】具体的には、ビスアリールカーボネート類
としては、ジフェニルカーボネート、ビス(p−クロロ
フェニル)カーボネート、ビス(p−ニトロフェニル)
カーボネート等が挙げられ、好ましくはジフェニルカー
ボネートである。ポリカーボネートオリゴマーとして
は、ビスフェノールAのビスアリールカーボネート等が
挙げられる。本発明で用いる芳香族ポリカーボネートを
エステル交換反応で製造するためには、重合中にビスア
リールカーボネート類が留出するのを補うために、芳香
族ジヒドロキシ化合物に対して、カーボネート前駆体
は、モル比で1倍から2倍、好ましくは1.02倍から
1.5倍の割合で用いられる。
【0022】エステル交換触媒:本発明における重合触
媒としては、式(I)で表される希土類元素(ここで、
希土類元素とは、スカンジウム、イットリウム、ランタ
ンならびにランタノイドに属する元素をいう。)の化合
物が用いられる。
【0023】
【化5】
【0024】(式中、Lnは希土類元素を示し、Xは、
例えば、硫酸基、硝酸基、過塩素酸基、イオウ、リンな
どのような、1価または2価以上の任意の元素または原
子団および置換基を示す。またR1 〜R3 はそれぞれ置
換基を有していてもいなくても良い、炭素数が1〜20
のアルキル基またはアリール基を表す。ここで、0<q
+r+s≦3であり、Xがk価のときpは、kp+q+
r+s=3を満たす。)
【0025】まず、希土類に属する金属として具体的に
は、スカンジウム、イットリウム、ランタン、そしてラ
ンタノイドに属する金属すなわちセリウム、プラセオジ
ム、ネオジム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウ
ム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビ
ウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムが挙げら
れる。
【0026】さらに希土類元素化合物として具体的に
は、これら希土類のアルコキシドすなわちメトキシド、
エトキシド、プロポキシド、イソプロポキシド、ブトキ
シド、イソブトキシド、sec−ブトキシド、tert
−ブトキシド、またこれら希土類のアリーロキシドすな
わち無置換および置換フェノキシド、無置換および置換
ナフトキシド、などが挙げられる。さらには、エチレン
グリコール、1,4−ブタンジオールのようなグリコー
ル類との塩(グリコラート)や、ビスフェノール類との
塩など、原料となるヒドロキシ化合物が2価以上のもの
も含まれる。
【0027】ここではR1 〜R3 は同一である必要はな
く、またR1 〜R3 が異なる2種以上の化合物の混合物
を用いることも可能である。さらに中心となる希土類元
素が異なる2種以上の化合物の混合物等を用いることも
可能である。これらの希土類化合物は、助触媒として、
既知のエステル交換反応触媒と併用することも可能であ
る。これら既知の触媒としては、金属系触媒として、ナ
トリウムなどのアルカリ金属、マグネシウムなどのアル
カリ土類金属、アルミニウム、スズ、鉛などの非遷移金
属、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、コバル
ト、ニッケル、銅などの遷移金属といった金属元素の、
酸化物、水酸化物、炭酸塩、酢酸塩、ハロゲン化物、そ
の他の塩や錯体などの化合物等が挙げられる。また非金
属触媒としては、トリエチルアミンなどのアミン類、置
換および非置換ピリジン類、水酸化テトラメチルアンモ
ニウムなどの四級アンモニウム化合物、水酸化テトラメ
チルホスホニウムなどの四級ホスホニウム化合物、等の
窒素またはリンを含有する化合物などが挙げられる。こ
れらの化合物の中から助触媒を選択する場合は、塩基性
のもので、特に窒素またはリンを含有する化合物が好ま
しく、これらの中でも特に、塩基性四級アンモニウム化
合物または塩基性4級ホスホニウム化合物が好ましい。
【0028】ここで、塩基性四級アンモニウム化合物と
して具体的には、テトラメチルアンモニウム、テトラエ
チルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テト
ラブチルアンモニウム、テトラフェニルアンモニウムな
どのテトラアルキル/アリールアンモニウムの水酸化
物、炭酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、および各種カルボン
酸塩などが挙げられる。
【0029】また、塩基性四級ホスホニウム化合物とし
て具体的には、テトラメチルホスホニウム、テトラエチ
ルホスホニウム、テトラプロピルホスホニウム、テトラ
ブチルホスホニウム、テトラフェニルホスホニウムなど
のテトラアルキル/アリールホスホニウムの水酸化物、
炭酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、および各種カルボン酸塩
などが挙げられる。
【0030】これら塩基性四級アンモニウム/ホスホニ
ウム化合物のなかでは、特に水酸化物、炭酸塩、ホウ酸
塩が好ましく、さらには、水酸化物が好ましい。これら
触媒/助触媒の添加量としては、希土類化合物を単独で
用いる場合は、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対し
て、希土類元素を基準にして1×10-4〜1×10-8
ル、好ましくは1×10-5〜1×10-8モルである。ま
た、助触媒を希土類化合物と併用する場合は、希土類化
合物の使用量が用いられる芳香族ジヒドロキシ化合物1
モルに対して、希土類元素を基準にして1×10-5〜1
×10-8モル、好ましくは1×10-6〜1×10-8モル
の範囲で、かつ、助触媒の使用量が、用いられる芳香族
ジヒドロキシ化合物1モルに対して、1×10-2〜1×
10-6モル、好ましくは1×10-4〜1×10-6モルの
範囲で用いられる。
【0031】これらの化合物の添加量がこの範囲より少
ないと、エステル交換触媒としての効果が小さいので好
ましくない。逆に添加量がこの範囲より多くても、それ
による更なる格別の効果が得られるわけではないので経
済的に不利であるばかりでなく、得られる芳香族ポリカ
ーボネートの着色、熱安定性、耐加水分解性等に悪影響
を及ぼす要因となり得るので、好ましくない。希土類化
合物の添加方法は特に制限はなく、化合物を予め合成し
て単離し、適当な溶媒に溶解/分散せしめ、あるいはそ
のまま添加することも可能であり、また前駆体化合物と
相当するアルコール類またはフェノール類とから当該化
合物を合成した後、単離することなく反応系内にそのま
ま添加することも可能である。
【0032】さらに化合物の前駆体を反応系内に添加
し、該希土類化合物をin situで生成せしめるこ
とも可能である。この場合、前駆体としては、反応に用
いるジオール化合物と、あるいは反応に伴って生成する
モノフェノール類、さらには生成したポリマー/オリゴ
マーの未反応末端OH基と反応して当該化合物を生成す
るような化合物を用いる。
【0033】その前駆体としては、希土類の金属、酸化
物、炭酸塩、水酸化物、各種無機酸塩および有機酸塩、
さらにアセチルアセトンなどとの錯体などが挙げられ
る。また、助触媒を併用する場合も、添加方法または時
期に特に制限はなく、希土類化合物と同一の溶液に存在
せしめて添加してもよく、また別個に添加するなどして
もよい。
【0034】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂の製
造方法においては、槽型反応器による1段階反応によっ
てポリカーボネート樹脂を製造することもできるが、特
に高分子量の芳香族ポリカーボネート樹脂を製造しよう
とする場合には、前重縮合工程で槽型反応器を用いて溶
融粘度の低いプレポリマーを製造し、さらに後重縮合工
程においてプレポリマーを高分子量化せしめることもで
きる。
【0035】芳香族ポリカーボネート樹脂:本発明方法
によって製造された芳香族ポリカーボネート樹脂は、特
に色調および高温滞留時の色調安定性に優れ、成型後の
色調変化はもちろん、分子量低下や力学的物性の低下な
ども少ない。特に、本発明方法によれば、下記式(1)
で算出される着色度変化量ΔYI
【0036】
【数5】 ΔYI=YI(熱処理後)−YI(熱処理前) (1)
【0037】(ここで、熱処理とは、芳香族ポリカーボ
ネート樹脂を窒素流通下、360℃で1時間保持するこ
とを意味し、YIはポリカーボネート樹脂4g/塩化メ
チレン25ミリリットルの溶液を光路長1cmのセル内
に入れて測定した着色度である。)を表すとき、以下の
式(2)にて表される比着色度S
【0038】
【数6】 S=ΔYI/[M] (2)
【0039】(ここで、ΔYIは、式(1)におけるの
と同様である。また[M]は、芳香族ポリカーボネート
樹脂の骨格をなす芳香族ジヒドロキシ化合物ユニット
1モルに対する、芳香族ポリカーボネート中に含有され
る金属の総μmol数である。)が20以下である粘度
平均分子量が5,000〜50,000、好ましくは1
2,000〜30,000の芳香族ポリカーボネート樹
脂が得られる。
【0040】上記一般式(1)において、YIは樹脂の
黄変度であり、この黄変度の一定の熱処理による変化を
樹脂中に含まれる金属濃度に対して一定の範囲に保つこ
とが重要である。ΔYIとしては、通常10以下で、1
〜10とすることが好ましい。Sとしては、20以下、
中でも15以下とすることが好ましく、通常工業的には
0.01〜15の範囲とするのが好ましい。
【0041】比着色度としては、ポリマーの着色度をで
きるだけ小さくすることが望まれるが、その一方で、触
媒濃度を上げて反応の活性を向上することが望まれる。
本発明においてはその相反する要因をある種のエステル
交換触媒を用いることにより樹脂中の金属濃度が一定の
関係に維持され工業的に望ましい芳香族ポリカーボネー
ト樹脂が得られる。
【0042】本発明においては、原料の芳香族ジヒドロ
キシ化合物やカーボネート前駆体と同時に、もしくは前
・後重縮合反応工程の途中または終了後に、ホスファイ
ト系化合物、ホスホン酸系化合物、ヒンダードフェノー
ル系化合物等の熱安定剤などの添加剤を使用することに
よって、得られる芳香族ポリカーボネート樹脂の熱安定
性を改善することも可能である。さらに、まったく同様
の手法で、無機系充填剤等を加えることによってその物
性等を改善したり、3価以上の多価フェノール類および
それらの誘導体等の分岐剤を添加することによって芳香
族ポリカーボネート樹脂に分岐構造を持たせて、その溶
融流動性を改善したり、テレフタル酸や、イソフタル酸
等のジカルボン酸またはそれらの誘導体を添加して芳香
族ポリエステルカーボネートとして耐薬品性等を改善し
たりすることも可能である。従って、該ポリカーボネー
ト樹脂は、光学用成型材料はもとより一般的なエンジニ
アリングプラスチックとして幅広く使用できるものであ
り、工業的にも極めて有利である。
【0043】
【実施例】以下、実施例によって本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらによって限定されるもので
はない。 (1)粘度平均分子量(Mv):20℃における塩化メ
チレン溶液の固有粘度[η](dL/g)をウベローデ
粘度管を用いて測定し、次式を用いて算出した値。
【0044】
【数7】 [η]=1.23×10-5・(Mv)0.83 (3)
【0045】(2)ポリマーの熱処理(高温滞留試
験):ポリマー(熱安定剤・酸化防止剤・触媒失活剤等
の添加剤は一切添加しない)4gを試験管に入れ、窒素
流通下、アルミブロックバスを用いて360℃で1時間
加熱処理した。 (3)ポリマーの色調(YI値):ポリマー4gを25
ミリリットルの塩化メチレンに溶解させた溶液を光路長
1cmのセル内に入れ、カラーコンピュータ(スガ試験
機(株)製・SMカラーコンピュータ、モデルSM−
4)を用いて透過法にて測定した値。
【0046】表1には、以下の実施例にて製造された芳
香族ポリカーボネート樹脂について、熱処理前後のYI
の変化量(ΔYI)と、この値を含有金属量[M](樹
脂の骨格をなす芳香族ジヒドロキシ化合物に基づくユニ
ット1モルに対する、金属の総μmol数)にて割った
比着色度(S)を示した。このS値が低いほど、触媒自
体によるポリマーの熱劣化が少ないと考えられる。
【0047】(4)芳香族ポリカーボネート樹脂の重合
法 ビスフェノールA 4,566g(20.0モル)、ジ
フェニルカーボネート4,584g(21.4モル)、
および希土類化合物を、金属量をベースとして20μm
ol(ビスフェノールA 1モルに対して1μmo
l)、さらに助触媒を用いる場合は0.2mmol(ビ
スフェノールA 1モルに対して10μmol)を30
リットルの槽型反応器(SUS316L製)内に仕込
み、窒素ガス置換した後、徐々に昇温した。反応混合物
が溶解した後に撹拌を始め、さらに内温が210℃とな
った時点を重合開始時間とした。その後、徐々に減圧し
ながら温度を上昇させ、反応初期は生成するフェノール
量が22モル(ビスフェノールA 1モルに対して1.
1モル)となるまで圧力100mmHg、温度210℃
にしばらく保ち、その後反応槽内を徐々に減圧・昇温
後、最終的には1mmHg、270℃にて縮合反応さ
せ、引き続き生成するフェノールを留去させて、全重合
時間3〜4時間で重合を終了し、槽内を復圧した後にス
トランド状に水槽中に押出し、カッティングしてペレッ
トとした。
【0048】次に後重合工程として、このプレポリマー
を270℃で二軸押出機で溶融し、二軸セルフクリーニ
ング高粘度反応装置(内容積2リットル、真空度0.2
mmHg、回転数30rpm)へ移送し、スクリューに
て抜き出した。滞留時間は30分とした。
【0049】実施例1 触媒としての希土類化合物としてランタンフェノキシド
を用い、上記の重合法によってポリカーボネートを得
た。なお、得られた樹脂中の金属濃度は、仕込み金属濃
度と同様であった(以下の例でも同様)。結果を表1に
示す。 実施例2 触媒としてセリウムフェノキシドを用いた以外は、実施
例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0050】実施例3 触媒としてランタンメトキシドを用いた以外は、実施例
1と同様に行った。結果を表1に示す。 実施例4 触媒としてランタンフェノキシド(ただし添加量は10
μmol、ビスフェノールA 1モルに対して0.5μ
mol)と、さらに助触媒として水酸化テトラメチルア
ンモニウムを用いる外は、実施例1と同様に行った。結
果を表1に示す。
【0051】比較例1 触媒として水酸化ナトリウムを用いた以外は、実施例1
と同様に行った。結果を表1に示す。 比較例2 触媒として水酸化ナトリウム(ただし添加量は10μm
ol、ビスフェノールA 1モルに対して0.5μmo
l)と、助触媒として水酸化テトラメチルアンモニウム
を用いる外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に
示す。
【0052】比較例3 触媒として酢酸マンガンを用いる外は、実施例1と同様
に行った。結果を表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】
【発明の効果】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂の
製造法によると、塩化メチレンによる環境問題等もな
く、色調および熱安定性に優れた高品質の芳香族ポリカ
ーボネート樹脂が製造できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 抜井 正博 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネー
    ト前駆体とのエステル交換反応によって芳香族ポリカー
    ボネート樹脂を製造する方法において、エステル交換触
    媒として、下記一般式(I)で示される希土類元素化合
    物(ここで希土類元素とは、スカンジウム、イットリウ
    ム、ランタンならびにランタノイドに属する各元素をい
    う。)を用いることを特徴とする芳香族ポリカーボネー
    ト樹脂の製造方法。 【化1】 (ここで、Lnは希土類元素を示し、Xは、1価または
    2価以上の元素または原子団および置換基を示す。また
    1 〜R3 はそれぞれ置換基を有していてもいなくても
    良い、炭素数が1〜20のアルキル基またはアリール基
    を表す。ここで、0<q+r+s≦3であり、Xがk価
    のときpは、kp+q+r+s=3を満たす。)
  2. 【請求項2】 希土類元素が、ランタンまたはセリウム
    であることを特徴とする、請求項1記載の芳香族ポリカ
    ーボネート樹脂の製造方法。
  3. 【請求項3】 希土類化合物の使用量が、芳香族ジヒド
    ロキシ化合物1モルに対して、希土類元素を基準にして
    1×10-4〜1×10-8モルの範囲にあることを特徴と
    する、請求項1記載の芳香族ポリカーボネート樹脂の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 希土類化合物を触媒として用いるととも
    に、助触媒として塩基性化合物を用いることを特徴とす
    る、請求項1記載の芳香族ポリカーボネート樹脂の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 塩基性化合物が、窒素および/またはリ
    ンを含む化合物であることを特徴とする、請求項4記載
    の芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法。
  6. 【請求項6】 塩基性化合物が、四級アンモニウム化合
    物および/または四級ホスホニウム化合物であることを
    特徴とする、請求項5記載の芳香族ポリカーボネート樹
    脂の製造方法。
  7. 【請求項7】 芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対し
    て、希土類化合物の使用量が希土類元素を基準にして1
    ×10-5〜1×10-8モルの範囲にあり、かつ、塩基性
    化合物の使用量が、1×10-2〜1×10-6モルの範囲
    にあることを特徴とする、請求項4記載の芳香族ポリカ
    ーボネート樹脂の製造方法。
  8. 【請求項8】 下記式(1)で算出される着色度変化量
    ΔYI 【数1】 ΔYI=YI(熱処理後)−YI(熱処理前) (1) (ここで、熱処理とは、芳香族ポリカーボネート樹脂を
    窒素流通下、360℃で1時間保持することを意味し、
    YIはポリカーボネート樹脂4g/塩化メチレン25ミ
    リリットルの溶液を光路長1cmのセル内に入れて測定
    した着色度である。)を表すとき、以下の式(2)にて
    表される比着色度S 【数2】 S=ΔYI/[M] (2) (ここで、ΔYIは、式(1)におけるのと同様であ
    る。また[M]は、芳香族ポリカーボネート樹脂の骨格
    をなす芳香族ジヒドロキシ化合物ユニット 1モルに対
    する、芳香族ポリカーボネート中に含有される金属の総
    マイクロモル(μmol)数である。)が20以下であ
    る粘度平均分子量5,000〜50,000の芳香族ポ
    リカーボネート樹脂。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP1312632A1 (de) * 2001-11-20 2003-05-21 Bayer Aktiengesellschaft Verwendung von Katalysatoren zur Herstellung von aliphatischen Oligocarbonatpolyolen

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EP1312632A1 (de) * 2001-11-20 2003-05-21 Bayer Aktiengesellschaft Verwendung von Katalysatoren zur Herstellung von aliphatischen Oligocarbonatpolyolen
US6894182B2 (en) 2001-11-20 2005-05-17 Bayer Aktiengesellschaft Aliphatic oligocarbonate polyols prepared in the presence of a catalyst and a process for preparing the same

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