JPH09241293A - タキソイドの配糖化誘導体およびその製造方法 - Google Patents
タキソイドの配糖化誘導体およびその製造方法Info
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- JPH09241293A JPH09241293A JP7812796A JP7812796A JPH09241293A JP H09241293 A JPH09241293 A JP H09241293A JP 7812796 A JP7812796 A JP 7812796A JP 7812796 A JP7812796 A JP 7812796A JP H09241293 A JPH09241293 A JP H09241293A
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Abstract
ソイドの配糖化誘導体を開発し、効果的な癌治療薬を提
供すること。 【解決手段】 タキソイド誘導体に糖供与体由来の糖を
糖転移酵素の作用により結合させたタキソイドの配糖化
誘導体並びにタキソイド誘導体と糖供与体を糖転移酵素
の存在下で反応させ、該糖供与体由来の糖を該タキソイ
ド誘導体に結合させることを特徴とするタキソイドの配
糖化誘導体の製造方法。
Description
誘導体およびその製造方法に関し、詳しくは糖供与体由
来の糖を糖転移酵素によりタキソイド誘導体に結合させ
たタキソイドの配糖化誘導体およびその製造方法に関す
るものである。
イチイ(Taxus brevifolia) の樹皮から単離されたジテ
ルペン化合物 [M.C.Wani et al.: J.Am.Chem.Soc.,93,2
325(1971)]で、従来の化学療法では治癒しない癌に対し
ても改善効果を持つ強力な抗癌剤として知られている。
このパクリタクセルが癌を抑制するメカニズムは特異的
であり、他の多くの抗癌剤が有糸分裂装置である紡錘体
の主成分の微小管の形成を抑えるのに対し、パクリタク
セルは微小管の過剰形成を引き起こして有糸分裂を抑制
するものである。
剤であるが、水に対する溶解性が低いため、実際の治療
薬としての利用が限られるという課題がある。そのた
め、従来より可溶化剤の使用や誘導体として溶解性を高
めるための研究開発等が活発に行われてるが、未だ十分
な解決策は見出されていない。例えば、現在パクリタク
セルは可溶化剤「クレモフォア」を用いて患者に投与さ
れているが、2週間毎に6時間かけて1L投与し、これ
を4クール実施するという、患者に大きな負担を与える
もの[Eric K.Rowinsky et al.: CANCER RESEARCH 49, 4
640 (1989)] である上に、可溶化剤の副作用が問題とな
っている。また、溶解性が改善されたパクリタクセルの
誘導体としてタキソテア(Taxotere) が開発されたが、
タキソテアの水に対する溶解度はパクリタクセルの1.
3倍にすぎず[I.Ringel et al.: J.Natl.Cancer Inst.,
83, 288 (1991)] 、さほど改善されてはいない。
して、パクリタクセルの側鎖や母核に様々な官能基を導
入する方法があるが、それらの誘導体のうち、いくつか
の化合物には溶解性の改善が認められるものの、生理活
性が増強されたものは未だ報告されていない。また、パ
クリタクセルの糖誘導体に関する報告はなく、天然にキ
シロースがエーテル結合している化合物が存在すること
が報告されているだけである[H.Lataste et al.: Proc.
Natl.Acad.Sci. USA,81, 4090 (1984)] 。
することができるパクリタクセルやタキソテアの誘導体
(以後、両誘導体をまとめてタキソイド誘導体と略記す
ることがある。)の開発に携わっており、パクリタクセ
ルにスペーサーを介したエステル結合により糖を種々の
部位に結合した各種のパクリタクセル誘導体を化学合成
している(平成8年2月20日付け提出の特許出願、整
理番号P800746Kの明細書参照)。該誘導体の例
として、グルコシルオキシアセチル−7−パクリタクセ
ル、グルコシルオキシアセチル−2’−パクリタクセ
ル、ジグルコシルオキシアセチル−2’,7−パクリタ
クセル、グルコシルオキシアセチル−2’−タキソテ
ア、ジグルコシルオキシアセチル−2’,7−タキソテ
ア等が挙げられる。これらの誘導体は、水に対する溶解
性が向上しており、生理活性も損なわれていないことを
見出している。しかし、これらの誘導体は、糖の結合数
や糖の結合部位の差異等により性質も異なり、水溶液中
では不安定なもの、溶解性が比較的低いもの等があり、
実用化には未だ改善の余地がある。
に鑑み、溶解性と生理活性を共に向上した安定なタキソ
イドの配糖化誘導体を開発し、効果的な癌治療薬を提供
することを目的とする。
の安定性を保持したままタキソイド誘導体の溶解性を高
める方法を開発すべく鋭意検討した結果、糖転移酵素の
作用によりタキソイド誘導体に糖供与体由来の糖を結合
させたタキソイドの配糖化誘導体が、飛躍的に溶解性が
向上することを見出し、しかも該誘導体が溶液中でも安
定であり、生理活性を保持していることを確認した。さ
らに、生体と親和性の高い糖を結合することによって、
局部に薬剤を濃縮することが可能であり、例えばガラク
トースやマンノースを結合したタキソイド誘導体は肝細
胞に親和性があるため、肝臓に濃縮される。つまり、こ
れらの糖類を結合したタキソイド誘導体を抗癌剤として
用いれば、肝臓癌に対する薬剤のバイオアベラビリティ
を高めることができると考え、これらの知見に基づいて
本発明を完成するに到った。
供与体由来の糖を糖転移酵素の作用により結合させたタ
キソイドの配糖化誘導体に関し、さらにタキソイド誘導
体と糖供与体を糖転移酵素の存在下で反応させ、該糖供
与体由来の糖を該タキソイド誘導体に結合させることを
特徴とするタキソイドの配糖化誘導体の製造方法に関す
る。
としては、パクリタクセルまたはタキソテアにスペーサ
ーを介して糖を結合させたものがあり、その具体例を以
下に示す。下記の式で表されるグルコシルオキシアセチ
ル−7−パクリタクセル(以下、7−S−パクリタクセ
ルと略す)、
チル−2’−パクリタクセル(以下、2’−S−パクリ
タクセルと略す)、
セチル−2’,7−パクリタクセル(以下、2’,7−
S−パクリタクセルと略す)、
チル−2’−タキソテア(以下、2’−S−タキソテア
と略す)、
セチル−2’,7−タキソテア(以下、2’,7−S−
タキソテアと略す)、
アセチル−2’,7,10−タキソテア(以下、2’,
7,10−S−タキソテアと略す)、
チル−7−タキソテア(以下、7−S−タキソテアと略
す)、
セチル−7,10−タキソテア(以下、7,10−S−
タキソテアと略す)、
たはタキソテアにスペーサーを介して糖を結合してなる
ものである。パクリタクセルは、Kingston, D.G.I.: Ph
armacol. Ther., 52, 1 (1992)に記載された方法によ
り、北米産イチイ(Taxus brevifolia) の樹皮から単離
することにより得られる他、化学合成されたもの(R.A.
Holton : Europian Patent-A 400971, 1990)なども用い
られる。また、タキソテアは、Greene, A.E. et al.:
J. Org. Chem., 59, 1238 (1994) に記載されている方
法により、パクリタクセルから誘導される。
サーを介して糖を結合する反応は、テトラベンジル酢酸
オキシグルコシドを用いて行われる。このテトラベンジ
ル酢酸オキシグルコシドは、グルコースを出発物質とし
て常法により得られるテトラベンジルグルコースにスペ
ーサーとしてエチルグリコレートなどのグリコレートを
結合させてエステル化合物とした後、脱エチル化してカ
ルボン酸化合物としたもので、下記の式で表される。
ドの製造法の1例を以下に示す。
ース(1)にエチルグリコレートをp−トルエンスルホ
ン酸と共にベンゼン中で0〜150℃、好ましくは11
0℃にて0.5〜50時間、好ましくは8時間反応させ
てエチルグリコレートを1位に結合させ、エチルエステ
ル(化合物(2)、分子量626.76)を得る。この
後、該化合物(2)をアルカリ(例えば6N NaO
H)メタノール−ジオキサン溶液中で室温〜100℃に
て0.5〜50時間、好ましくは3時間処理した後、塩
酸(例えば1N HCl)酸性に移して脱エチル化する
ことにより、対応するカルボン酸化合物(3)を得る。
この物質が、テトラベンジル酢酸オキシグルコシドであ
る。なお、グルコースの代わりに他の糖類を用いた場合
も同様の反応によって、糖の種類の異なった、対応する
糖修飾体を得ることができる。この場合に使用される糖
類としては、例えばグルコースの他に、アロース,アル
トロース,マンノース,グロース,イドース,ガラクト
ース,タロース,リボース,アラビノース,キシロー
ス,リキソース,プシコース,フルクトース,ソルボー
ス,タガトース,フコース,マルトース等がある。
などのグリコレートの他に、アルキル鎖長を変えたもの
を使用することができ、例えば3−ヒドロキシ酪酸等が
用いられる。本発明に用いるタキソイド誘導体は、上述
のパクリタクセルまたはタキソテアとテトラベンジル酢
酸オキシグルコシドを反応させることにより得られ、そ
の具体例としては、下記の反応工程(I),(III)に示
した方法がある。
クセル(4)とテトラベンジル酢酸オキシグルコシド
(3)を反応させた後、脱ベンジル化するもので、この
方法により前記の式で表される2’−S−パクリタクセ
ル(7)と2’,7−S−パクリタクセル(8)が得ら
れる。すなわち、パクリタクセル(4)とテトラベンジ
ル酢酸オキシグルコシド(3)を、4-ジメチルアミノピ
リジン(DMAP)等の塩基、ジシクロヘキシルカーボ
ジイミド(DCC)等の縮合剤および塩化メチレン等の
溶剤をアルゴン下、室温で0.5〜100時間、好まし
くは16.5時間反応させ、配糖体化した化合物(5)
または(6)を得る。次に、この化合物(5)または
(6)をパラジウムブラック等の触媒および酢酸等の酸
と共に水素下、室温で激しく攪拌しながら0.5〜50
時間,好ましくは5時間反応し、脱ベンジル化を行っ
て、2’−S−パクリタクセル(7)と2’,7−S−
パクリタクセル(8)を得る。
ア(12)を用いた場合は、反応工程(III)に従い、配
糖体化した化合物(13),(14)または(15)を
経て、前記の式で表される2’−S−タキソテア(1
6)、2’,7−S−タキソテア(17)および2’,
7,10−S−タキソテア(18)を得ることができ
る。
は、パクリタクセルの2’位をクロロトリエチルシリル
基を用いて保護した後にテトラベンジル酢酸オキシグル
コシドと反応させ、その後、脱ベンジル化および脱トリ
エチルシリル化してパクリタクセル誘導体を製造するも
のである。
エチルシラン(TESCl)等の保護剤、イミダゾール
等の塩基、ジメチルホルムアミド(DMF)等の溶剤を
アルゴン下、室温で0.5〜50時間、好ましくは1
9.5時間反応してパクリタクセルの2’位をトリエチ
ルシランで保護し、化合物(9)を得る。次に、得られ
た化合物とテトラベンジル酢酸オキシグルコシド
(3)、DMAP等の塩基、DCC等の縮合剤、塩化メ
チレン等の溶剤をアルゴン下、室温で0.5〜100時
間、好ましくは5時間反応し、配糖体化した化合物(1
0)を得る。その後、化合物(10)を、パラジウムブ
ラック等の触媒、酢酸等の酸と共に水素下、室温で激し
く攪拌しながら0.5〜50時間、好ましくは5時間反
応させ、さらにテトラヒドロフラン(THF)等の溶剤
と水を加え、室温で0.5〜50時間、好ましくは15
時間反応させて目的とする化合物(11)を得る。この
化合物(11)が前記式で表される7−S−パクリタク
セルである。なお、パクリタクセルの代わりにタキソテ
ア(12)を用いることによって、下記の式で表される
7−S−タキソテア(19)および7,10−S−タキ
ソテア(20)を得ることができる。
のシリカゲルを母体とする担体を用いた液体クロマトグ
ラフィーを適用することにより、容易にアノマーを分離
することができ、精製標品が得られる。
α−1,4−グリカン,サイクロデキストリン類,スク
ロース,マルトオリゴ糖,ラクトース,ラフィノース、
メチルα−マンノシド、N−アセチルキトオリゴ糖およ
びニトロフェニルN−アセチルガラクトサミンが挙げら
れる。サイクロデキストリン類としては、α−サイクロ
デキストリン,β−サイクロデキストリン,γ−サイク
ロデキストリンおよびそれらの誘導体が挙げられ、特に
γ−サイクロデキストリンが好ましい。糖供与体由来の
糖とは、糖供与体からタキソイド誘導体に転移するもの
を意味し、上記した糖類が該当する。
ソイド誘導体と糖供与体を含有する溶液に作用させたと
き、該糖供与体からグルコシル基,フルクトシル基,ガ
ラクトシル基,マンノシル基,マルトシル基,マルトオ
リゴ糖単位等をタキソイド誘導体に結合させる糖転移反
応を行い、タキソイドの配糖化誘導体を製造することが
できるものを意味し、具体的にはサイクロデキストリン
グルカノトランスフェラーゼ,β−フラクトフラノシダ
ーゼ,グルコシダーゼ,ガラクトシダーゼ、マンノシダ
ーゼ、リゾチームおよびガラクトサミニダーゼが挙げら
れる。これらの糖転移酵素は自然界に広く分布してお
り、植物,動物,微生物等に由来するものがあり、本発
明には市販品を含め任意の酵素が使用できる。
を以下に例示する。まず、糖供与体を水,エタノール,
アセトニトリルなどの溶媒に溶解して糖供与体溶液を調
製するが、該溶液中の糖供与体濃度は5〜80%、好ま
しくは10〜50%が適当である。また、タキソイド誘
導体に対する糖供与体の比率は、使用する糖供与体の種
類等によって異なるが、通常は0.5〜50倍、好まし
くは1〜20倍の範囲が望ましい。次に、該糖供与体溶
液にタキソイド誘導体を溶解する。この場合、タキソイ
ド誘導体は溶液中の濃度が0.1〜50%、好ましくは
0.5〜30%となるように加えるのが一般的である。
応を行う。酵素の使用量は特に限定されないが、通常は
反応が0.5〜100時間、好ましくは1〜50時間で
終了するような酵素量とすればよい。その他の反応条件
は、用いる酵素により適宜設定すればよい。例えばサイ
クロデキストリングルカノトランスフェラーゼを用いる
場合は、pH4〜8、好ましくは5.5〜7で20〜7
0℃、好ましくは40〜60℃で行う。上記反応におい
て、糖転移部位は様々であり、グルコシル基の2位、3
位、4位および6位の任意の位置に転移する。
反応生成物から目的とする配糖化誘導体を採取する。こ
の方法は、通常の分離、精製手段を適用すればよい。最
も一般的な方法は、反応生成物を固液分離して得た上清
を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にかけて分
画、精製してタキソイドの配糖化誘導体を分取する方法
である。
糖化誘導体は通常5〜70%程度の収率で得ることがで
きる。本発明のタキソイド配糖化誘導体は、水溶液中で
の安定性や溶解度が向上しており、本来の生理活性も保
持している。
る。 製造例1 常法により得られたテトラベンジルグルコース(1)
1.62g、エチルグリコレート1.56g、p−トル
エンスルホン酸0.10g、ベンゼン80mlを110
℃でリフラックスさせながら8時間反応させ、化合物
(2)(C38H42O8,分子量626.74)を得た。次い
で、この化合物1.88gを6N NaOH 10m
l、メタノール10ml、ジオキサン15mlと共に室
温〜100℃で3時間反応させた後、1NHCl 80
ml中に移して脱エチル化することにより、化合物
(3)、すなわちカルボン酸化合物(C36H38O8, 分子量
598.69)を得た。上記の化合物(3)を重クロロ
ホルムに溶解し、1H-NMRで解析し、それぞれのピークを
帰属して構造を決定し、前記の構造式で表されるもので
あることを確認した。
ラン(TESCl)0.1mg、イミダゾール102m
gおよびDMF5mlをアルゴン下、室温で19.5時
間反応し、パクリタクセルの2’位をトリエチルシリル
基で保護した化合物(9)(C53H65NO14Si, 分子量96
8.18)を得た。この化合物(9)392mg、製造
例1で得たテトラベンジル酢酸オキシグルコシド(3)
479mg, DMAP98mg、DCC165mgおよ
び塩化メチレン8mlをアルゴン下、室温で5時間反応
し、配糖体化した化合物(10)(C89H101NO21Si,分子
量1548.86)を得た。次に、得られた化合物(1
0)513mg、パラジウムブラック100mgおよび
酢酸3mlを水素下、室温で激しく攪拌しながら5時間
反応した。さらに、テトラヒドロフラン(THF)1m
lと水1mlを加え、室温で15時間反応して7−S−
パクリタクセル(11) (C55H63NO21, 分子量107
4.10)を350mg得た。
エムシィ社製) を充填したカラム(φ20mm×250
mm) を用い、メタノールを移動相として、7−S−パ
クリタクセルをアノマー毎に精製した。また、7−S−
パクリタクセルを重クロロホルムに溶解し、1H-NMRで解
析し、それぞれのピークを帰属して構造を決定し、前記
の構造式で表されるものであることを確認した。
精糖株式会社製)200mgを50%エタノール溶液2
mlおよび1M酢酸緩衝液(pH6.0)100μlに
溶解した。このサイクロデキストリン溶液900μlに
製造例2で調製した7−S−パクリタクセル(グルコシ
ルオキシアセチル−7−パクリタクセル、以下7−GP
と略記する。)10mgを溶解した後、サイクロデキス
トリングルカノトランスフェラーゼ(商品名:コンチザ
イム、天野製薬(株)製、以下CGTaseと略記す
る。)70単位を加え、37℃にて3時間反応させた。
その後、エタノール3mlを加えて酵素を失活させた
後、固液分離して得た上清をメンブランフィルター
(0.45μm)にて濾過し、濾液をHPLCにて分析
した。
である。 カラム:MetaChem製 Taxil 5μ(4.6×250m
m) 溶 媒:MeOH/H2O(65/35) 流 速:0.5ml/min 検出器:フォトダイオードアレイ検出器(230nm) 注入量:20μl
マルトオリゴ糖が転移した糖転移反応物(タキソイド配
糖化誘導体、これは7−GPを除いた配糖体であり、混
合物である。)がタキソイド中61.5%生成してい
た。図1にHPLCのチャートを示した。図中の*は7
−GPを示し、**はパクリタクセルを示す。
/質量分析法(LC/MS)で解析した。なお、液体ク
ロマトグラフィーの条件は実施例1と同様に行った。結
果を図2に示す。高速原子衝撃質量分析法(FAB−M
S)のネガティブイオンモードで解析した。なお、マト
リックスとしてグリセリンを使用した。得られた結果を
第1表に示した。
シルオキシアセチル−7−パクリタクセル(C85H113
NO46,分子量1884.80,RT=17.5,1
9.17)の推定構造式を下記に示す。
キシアセチル−7−パクリタクセル(C73H93NO36,
分子量1560.52,RT=22.17)の推定構造
式を下記に示す。
シアセチル−7−パクリタクセル(C67H83NO31,分
子量1398.38,R=25.17)の推定構造式を
下記に示す。
アセチル−7−パクリタクセル(C61H73NO26,分子
量1236.24,RT=29.5)の推定構造式を下
記に示す。
−7−パクリタクセル(C55H63NO21,分子量107
4.10,RT=34.33,36.83)の構造式を
下記に示す。
転移反応物をそれぞれ10mg秤取し、各々に水5ml
を加えて18時間攪拌した。攪拌終了後、上清をメンブ
ランフィルター(0.45μm) にて濾過し、濾液をH
PLCにて分析した。その結果、各化合物の水に対する
溶解度は第2表に示す通りであった。
である。 カラム:MetaChem製 Taxil 5μ(4.6×250m
m) 溶 媒:MeOH/H2O(80/20) 流 速:0.5ml/min 検出器:フォトダイオードアレイ検出器(230nm) 注入量:20μl
ド配糖化誘導体である糖転移反応物の溶解度は飛躍的に
向上している。しかも、この糖転移反応物は水溶液中で
も安定であることが認められた。
よび実施例1で得られた糖転移反応物をそれぞれDMS
Oに溶解し、反応液中の濃度がそれぞれ5μMになるよ
うに調製した。次に、上記の各サンプルをチューブリン
(微小管の主要構成タンパク質)と混合し、37℃で1
5分間反応した。反応後2分、5分、10分および15
分に反応溶液の350nmの吸光度を測定した。また、
反応終了後に塩化カルシウムを添加し、その5分後に再
度350nmの吸光度を測定した。各測定値から、パク
リタクセルの重合促進活性および脱重合阻害活性を10
0とした場合の各サンプルの相対活性を求めた。結果を
第3表に示した。
誘導体である糖転移物は脱重合阻害活性がパクリタクセ
ルより高いものであり、非常に有効な抗癌剤であること
が確認された。
し、かつ安定性も改善されたタキソイド配糖化誘導体お
よびその製造法が提供される。該配糖化誘導体は、患者
に投与するにあたり、患者の負担を軽減することができ
る上に効果的な癌治療薬としての利用が期待される。
チャートを示した図である。
のチャートを示した図である。
Claims (11)
- 【請求項1】 タキソイド誘導体に糖供与体由来の糖を
糖転移酵素の作用により結合させたタキソイドの配糖化
誘導体。 - 【請求項2】 タキソイド誘導体が、パクリタクセルま
たはタキソテアにスペーサーを介して糖を結合させたも
のである請求項1記載のタキソイドの配糖化誘導体。 - 【請求項3】 タキソイド誘導体に結合している糖が、
アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グ
ロース、イドース、ガラクトース、タロース、リボー
ス、アラビノース、キシロース、リキソース、プシコー
ス、フルクトース、ソルボース、タガトース、フコー
ス、マルトースのいずれかである請求項2記載のタキソ
イドの配糖化誘導体。 - 【請求項4】 タキソイド誘導体が、グルコシルオキシ
アセチル−7−パクリタクセル、グルコシルオキシアセ
チル−2’−パクリタクセル、ジグルコシルオキシアセ
チル−2’,7−パクリタクセル、グルコシルオキシア
セチル−2’−タキソテア、グルコシルオキシアセチル
−7−タキソテア、ジグルコシルオキシアセチル−
2’,7−タキソテア、ジグルコシルオキシアセチル−
7,10−タキソテアおよびトリグルコシルオキシアセ
チル−2’,7,10−タキソテアのいずれかである請
求項1記載のタキソイドの配糖化誘導体。 - 【請求項5】 糖供与体が、α−1,4−グリカン、サ
イクロデキストリン類、スクロース、マルトオリゴ糖、
ラクトース、ラフィノース、メチルα−マンノシド、N
−アセチルキトオリゴ糖およびニトロフェニルN−アセ
チルガラクトサミンから選ばれたものである請求項1記
載のタキソイドの配糖化誘導体。 - 【請求項6】 糖転移酵素が、サイクロデキストリング
ルカノトランスフェラーゼ、β−フルクトフラノシダー
ゼ、グルコシダーゼ、ガラクトシダーゼ、マンノシダー
ゼ、リゾチームおよびガラクトサミニダーゼの中から選
ばれたものである請求項1記載のタキソイドの配糖化誘
導体。 - 【請求項7】 タキソイド誘導体と糖供与体を糖転移酵
素の存在下で反応させ、該糖供与体由来の糖を該タキソ
イド誘導体に結合させることを特徴とするタキソイドの
配糖化誘導体の製造方法。 - 【請求項8】 タキソイド誘導体が、パクリタクセルま
たはタキソテアにスペーサーを介して糖を結合させたも
のである請求項7記載のタキソイドの配糖化誘導体の製
造方法。 - 【請求項9】 糖供与体が、α−1,4−グリカン、サ
イクロデキストリン類、スクロース、マルトオリゴ糖、
ラクトース、ラフィノース、メチルα−マンノシド、N
−アセチルキトオリゴ糖およびニトロフェニルN−アセ
チルガラクトサミンから選ばれたものである請求項7記
載のタキソイドの配糖化誘導体の製造方法。 - 【請求項10】 糖転移酵素が、サイクロデキストリン
グルカノトランスフェラーゼ、β−フルクトフラノシダ
ーゼ、グルコシダーゼ、ガラクトシダーゼ、マンノシダ
ーゼ、リゾチームおよびガラクトサミニダーゼの中から
選ばれたものである請求項7記載のタキソイドの配糖化
誘導体の製造方法。 - 【請求項11】 タキソイド誘導体がグルコシルオキシ
アセチル−7−パクリタクセルであり、糖供与体がサイ
クロデキストリン類であり、糖転移酵素がサイクロデキ
ストリングルカノトランスフェラーゼである請求項7記
載のタキソイドの配糖化誘導体の製造方法。
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