JPH09237565A - 電界電子放出素子用エミッタ - Google Patents

電界電子放出素子用エミッタ

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JPH09237565A
JPH09237565A JP3989196A JP3989196A JPH09237565A JP H09237565 A JPH09237565 A JP H09237565A JP 3989196 A JP3989196 A JP 3989196A JP 3989196 A JP3989196 A JP 3989196A JP H09237565 A JPH09237565 A JP H09237565A
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JP
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emitter
silicon carbide
electron emission
silicon
field electron
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JP3989196A
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English (en)
Inventor
Hiroyuki Nagasawa
弘幸 長澤
Hideaki Mitsui
英明 三ッ井
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Hoya Corp
Original Assignee
Hoya Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 先鋭化加工の難しい炭化珪素をエミッタ材と
して用いて、高い電流密度に対してエミッタの形状変化
が起こりにくく、電界電子放出素子としての安定性が著
しく高く、電子放出に要する電圧を低くすることがで
き、さらに結晶多形や面方位の違いに基づく仕事関数の
不均一性を制御することが可能であり、エミッタから放
出される電流密度が外部からの熱や光の影響を受けない
電界電子放出素子用エミッタを提供する。 【解決手段】 炭化珪素に該炭化珪素の伝導型を支配す
る元素が添加された材料からなることを特徴とする電界
電子放出素子用エミッタ、それを有する電界電子放出素
子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超高速電子素子や
フラットパネルディスプレイ、そしてセンサーなど種々
の高性能デバイスに用いられる電界電子放出素子用エミ
ッタおよびその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】超高速素子やフラットパネルディスプレ
イ、そしてセンサーなど種々の高性能デバイスの実現を
目指して真空マイクロエレクトロニクスに関する研究が
活発になっている。真空マイクロエレクトロニクスでは
微小な電子放出素子が重要な役割を果たす。特に、電界
放出型の電子放出素子(電界電子放出素子)は、微小な
スポットの電子ビームを高い効率で発生させることが可
能である。電界電子放出素子は、107V/cm以上の
強電界下における電子のトンネリング現象を利用する。
電界電子放出素子では、電子放出部(以下、エミッタと
いう)に電界を集中させるため、エミッタ先端の曲率半
径は、20nm以下まで先鋭化されなければならない。
また、エミッタ材料には低い電圧で高い放出電流密度を
もたらす特性が要求される。先鋭化されたエミッタには
高い密度の電流が流れる。このため、エミッタ先端には
ジュール熱に対する耐熱性も要求される。電子の放出特
性は、分子吸着によっても変化するので、エミッタ材表
面への分子吸着も抑制されなければならない。さらに、
ディスプレイなどへの応用を考えた場合、大面積で均一
性に優れた電界電子放出が実現されなければならない。
従って、電界電子放出素子のエミッタ材料には、(1)
低い仕事関数または低い電子親和力を有すること、
(2)微細加工が容易であること、(3)不活性な表面に
より分子が吸着しにくいこと、(4)高電界印加に対す
る安定性があること、(5)電子放出の制御性に優れて
いること、(6)大面積にわたり均一に形成できるこ
と、そして(7)熱的な安定性を有することが要求され
る。
【0003】エミッタの先端加工には、熱酸化や異方性
エッチング、そして蒸着法の応用など種々の方法が提案
されている。図1は、熱酸化によるシリコンの尖端加工
の例である。シリコン基板(11)上の所望の位置に二
酸化珪素または窒化珪素からなるマスク(12)が堆積
される(図1(a))。次に、等方性のエッチング法に
より、シリコン基板をエッチングし、マスク(12)下
に凸部(13)を設ける(図1(b))。次に、マスク
(12)とともに基板を熱酸化し、シリコン表面に二酸
化珪素を形成する。シリコンの露出した表面には、一様
に二酸化珪素(14)が成長するが、マスク(12)直
下では二酸化珪素の成長は抑制される(図1(c))。
しかる後に、フッ化水素等を用いて二酸化珪素を除去す
ることによりマスク(12)も同時に除去され、シリコ
ン基板上にエミッタ(15)が形成される(図1
(d))。
【0004】シリコンのような結晶性を有する基板は、
異方性エッチングを活かした尖端加工も可能である。図
2は、シリコンの異方性エッチングを活かした尖端加工
の例(例えば、H. F. Gray, G. J. Campisi and R. F.
Greene; IEDM Technical digest (1986) P.776)であ
る。シリコン(面方位(100))基板(21)上の所定の
位置に、例えば二酸化珪素または窒化珪素からなるマス
ク(22)を堆積し(図2(a))、水酸化カリウムと
イソプロピルアルコールの溶液中で異方性エッチングを
行うと、シリコン(面方位(111))ファセットが現れ
て、シリコン基板上に尖端部を形成することができる
(図2(b))。以上のように、シリコンを用いれば、
その熱酸化特性や異方性エッチング特性を活かして、容
易に尖端加工を行うことができる。
【0005】図3は、蒸着法によるエミッタ作成例であ
る。絶縁性基板(31)上に導体層(32)を形成し、
さらに上層に絶縁体からなるスペーサー層(33)とゲ
ート電極層(34)とが積層される。また、スペーサー
層(33)とゲート電極層(34)の所定の位置には下
地導体層(32)を露出するための開口部(37)が設
けられている(図3(a))。しかる後に、シリコンか
らなるエミッタ材(35)を蒸着すると、開口部(3
7)直下の導体層(32)上には円錐型のエミッタ(3
6)が形成される(図3(b))。開口部がエミッタ材
(35)に完全に封止された後、最上層をエッチングす
ることにより、基板上にエミッタ(36)を得ることが
できる(図3(c))。
【0006】上記のようにエミッタ材としてシリコンを
用いれば、種々の微細加工法が可能となり、望ましいエ
ミッタ形状を得ることはできる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、シリコ
ンの仕事関数は比較的高く、低電圧での電界電子放出は
困難である。また、高い電流密度に伴うジュール熱によ
り、先端形状の経時的変化や不純物の熱拡散が起こり、
放出電流の長期安定性が損なわれる。このため、エミッ
タ表面を比較的低い仕事関数を有する炭化物で被覆する
試みがなされている(例えば、特開平5−242796
号公報および特開平5−198253号公報)。しか
し、エミッタ先端を種々の炭化物で被覆しようとする
と、工程が煩雑になるばかりでなく、エミッタの先端形
状が損なわれる。さらに、既存のエミッタと被覆された
炭化物層との間に界面が生じ、これが電子放出を不安定
にする原因となる。
【0008】炭化珪素単体でエミッタを形成する試みも
行われている(例えば、特公平6−95450号公
報)。しかし、炭化珪素は多くの結晶多形を有してお
り、それぞれの結晶相はそれぞれ異なった仕事関数を有
しているため、炭化珪素を用いて所望の電子放出特性を
実現するためには、炭化珪素の結晶多形をも制御しなけ
ればならない。また、炭化珪素は、シリコン同様、半導
体であるため、例えば温度や光の影響を受け易く、電子
放出特性が容易に変化してしまう。
【0009】本発明は、炭化珪素をエミッタ材として用
いようとする場合の上記問題点を解決し、且つ高い電流
密度に対してエミッタの形状変化が起こりにくく、電界
電子放出素子としての安定性が著しく高く、電子放出に
要する電圧を低くすることができ、さらに結晶多形や面
方位の違いに基づく仕事関数の不均一性を制御すること
が可能であり、エミッタから放出される電流密度が外部
からの熱や光の影響を受けない電界電子放出素子用エミ
ッタを第一の目的とし、それを有する電界電子放出素子
を提供することを第二の目的とする。
【0010】さらに本発明は、従来方法に比べ著しく簡
略化された上記電界電子放出素子用エミッタの製造法を
提供することを第三の目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するため、鋭意研究を重ねた結果、炭化珪素をエ
ミッタ材として用い、炭化珪素の伝導型を支配する元
素、いわゆる不純物を添加することによって、高い電流
密度に対してエミッタの形状変化が起こりにくく、電界
電子放出素子としての安定性が著しく高く、電子放出に
要する電圧を低くすることができ、さらに結晶多形や面
方位の違いに基づく仕事関数の不均一性を制御すること
が可能であり、エミッタから放出される電流密度が外部
からの熱や光の影響を受けない電界電子放出素子用エミ
ッタが得られることを見出し本発明を完成した。
【0012】すなわち、本発明の第一の目的は、炭化珪
素に該炭化珪素の伝導型を支配する元素が添加された材
料からなることを特徴とする電界電子放出素子用エミッ
タによって達成される。
【0013】本発明の第二の目的は、上記第一の目的で
ある電界電子放出素子用エミッタを有する電界電子放出
素子によって達成される。
【0014】本発明の第三の目的は、上記第一の目的で
ある電界電子放出素子用エミッタの製造法において、エ
ミッタとなる炭化珪素を気相成長法により形成し、該気
相成長と同時または後に炭化珪素の伝導型を支配する元
素を炭化珪素に添加する工程を含むことを特徴とする方
法によって達成される。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の第一の目的である、炭化珪素に該炭化珪素の伝
導型を支配する元素が添加されている材料からなること
を特徴とする電界電子放出素子用エミッタについて説明
する。
【0016】本発明の電界電子放出素子用エミッタを構
成する物質である炭化珪素それ自体は、半導体であり、
熱に対して強く、酸化等の化学変化が起こりにくく、機
械的強度が高く、仕事関数が比較的低いという性質を有
する。これらの炭化珪素の性質は、電界電子放出素子用
エミッタとして好ましいものである。すなわち、炭化珪
素をエミッタとして用いると、高い電流密度に対してエ
ミッタの形状変化が起こりにくいという利点を有する。
【0017】炭化珪素の伝導型を支配する元素とは、半
導体である炭化珪素に対して添加する、所定の不純物を
いう。炭化珪素の伝導型を支配する元素(以下、「不純
物」という。)を添加することにより、炭化珪素の半導
体の性質をより金属に近い性質にするために添加しうる
元素(V族およびIII族元素)をいう。ここで、「伝導
型を支配する」とは、結晶中に電子を与えてn型半導体
にしたり、正孔を与えてp型半導体にしたりすることを
いう。
【0018】このように不純物を添加して、半導体であ
る炭化珪素をより金属に近い性質にすることにより、炭
化珪素が元来有する上記の性質に加えて、熱や光の影響
を受けなくなる、結晶多形や面方位の違いに基づく仕事
関数の不均一性を制御することができるようになる。す
なわち、不純物を添加することにより、電界電子放出素
子用エミッタとして、さらに有利な性質が炭化珪素に付
与されるのである。
【0019】本発明で用いることができる不純物として
は、例えばB、Al、Ga、In等の3族元素および
N、P、As、Sb、Bi等の5族元素が挙げられる。
これらの元素が炭化珪素に添加されると、これらの不純
物の炭化珪素中における拡散係数珪素に比べて著しく低
いため、電界電子放出素子としての安定性が著しく向上
する。また、これらの不純物を添加しない場合に比べ
て、電子放出に要する電圧を低くすることが可能とな
る。さらに、結晶多形や面方位の違いに基づく仕事関数
の不均一性を抑制することも可能となる。
【0020】添加される上記不純物のエネルギー準位
は、炭化珪素の伝導帯に位置するため、エミッタから放
出される電流密度は外部からの熱や光の影響を受けなく
なる。
【0021】上記不純物のうち、N、P、As、Sb、
Bi等の5族元素は、電子を与えるドナー不純物であ
り、これら5族元素が添加された炭化珪素は、縮退した
半導体となり、電子親和力が3eV以下となり、炭化珪
素に対してドナー不純物ではない通常の不純物、例え
ば、上記3族の元素を含む場合よりも、さらに電子放出
に要する電圧を低くすることが可能となる。すなわち、
従来公知の電界電子放出素子での印加電圧が、300V
以上程度であるのに対して、本発明の電界電子放出素子
では、50〜100V程度まで低減できる。
【0022】不純物の炭化珪素への添加濃度は、通常
0.1ppm以上1000ppm未満であり、好ましく
は1ppm以上500ppm未満であり、特に5ppm
以上100ppm未満が好ましい。不純物濃度が0.1
ppm未満では、不純物レベルが炭化珪素の禁制帯
(2.2〜2.8eV)中に位置してしまうため、炭化
珪素が本来の半導体としての挙動を示し、不純物添加に
よる効果が現れなくなる。また、1000ppm以上の
濃度で不純物を添加した場合は、炭化珪素の結晶性が損
なわれてしまい、望ましい電子放出が実現され難くな
る。0.1ppm以上1000ppm未満の不純物添加
濃度では、炭化珪素の伝導帯中に不純物準位が位置する
ために、不純物−バンド間での電子励起過程が抑制さ
れ、エミッタからの放出電流は、熱や光、結晶方位、そ
して結晶多形に対して変動しなくなる。また、従来エミ
ッタ材として用いられていたシリコンの禁制帯幅(1.
12eV)よりも本発明で用いられる炭化珪素の禁制帯
幅(2.2〜2.8eV)の方が著しく広く、そのた
め、500℃以上の高温においても安定に動作する電界
電子放出素子用エミッタが得られる。
【0023】本発明の炭化珪素からなる電界電子放出素
子用エミッタは、前記した従来の方法(熱酸化、エッチ
ング、蒸着等)により製造することも可能であるが、後
記する本発明の製造法(気相成長法)で形成することに
より、エミッタを構成する炭化珪素の均一性と結晶性は
優れたものとなり、放出電子電流密度も均一化され安定
したものとなる。
【0024】上記の本発明の炭化珪素に特定の不純物が
添加された電界電子放出素子用エミッタのうち、特定の
結晶方位に優先的に成長した炭化珪素の単結晶ウィスカ
ーからなるものは、エミッタの先端加工を全く必要とせ
ず、電界電子放出素子の作製がより簡略化される利点を
有するものである。さらに、単結晶炭化珪素からなるた
め、より安定した電子放出が実現される利点も有する。
【0025】ここで、ウィスカーとは、特定の条件下に
(例えば、表6記載の条件)、炭化珪素を気相成長させ
ることによって形成される、図15中の(115)で示
されるような棒状で、先端の尖った結晶形状のものをい
う。ウィスカーは、気相成長によって自然に先端の尖っ
た構造となるため、先端を尖らせるための加工を要しな
いのである。これに対し、ウィスカーではない通常のエ
ミッタでは、後記する実施例4のように、炭化珪素の先
端を尖らす加工をする必要がある。
【0026】特定の結晶軸方向(特にシリコン基板上で
の[111]方位)に成長する単結晶ウィスカーを形成す
ることにより、炭化珪素の気相成長と同時に先鋭化が実
現され、後記するように、電界電子放出素子の製造工程
が大幅に簡略化される。
【0027】さらに、ウィスカーからなるエミッタのす
べてのエミッタ先端は、同一面方向を有するため、放出
電流の均一性が向上するという利点も有する。
【0028】次に、本発明の第二の目的である上記電界
電子放出素子用エミッタを有する電界電子放出素子は、
上記本発明の電界電子放出素子用エミッタを組み込んで
なるものである。それ故、高い電流密度に対して、エミ
ッタの形状変化が起こり難く、電界電子放出素子として
の安定性が著しく高く、低い電圧で電子放出が可能であ
り、炭化珪素からなるエミッタの結晶多形や面方位の違
いに基づく仕事関数の不均一性を制御することが可能で
あり、エミッタから放出される電流密度が外部からの熱
や光の影響を受けず、さらに大面積化が可能であるとい
う特徴を有するものである。
【0029】次に、本発明の第三の目的である上記本発
明の電界電子放出素子用エミッタの製造法について説明
する。本発明の製造法は、エミッタとなる炭化珪素を、
気相成長法によって形成することを特徴とする。
【0030】ここで気相成長法とは、原料となるガス分
子同士を気相中で分解反応をせしめて、反応生成物を基
板上に堆積させる方法であり、例えばCVD法やMBE
法等が含まれる。
【0031】気相成長法は、基板上に堆積される物質の
結晶性、ステップカバレッジに優れ、化学量論的な組成
が得られ易く、不純物の添加も容易であるという特徴を
有する。
【0032】上記のように、気相成長法によれば、結晶
性の優れた炭化珪素層を形成することができる。
【0033】電界電子放出素子用エミッタとなるべき炭
化珪素を気相成長させるための条件は、以下の通りであ
る。
【0034】炭化珪素の気相成長温度は、通常800〜
1500℃、好ましくは900〜1100℃の範囲であ
る。炭化珪素の気相成長のための原料ガスは、珪素源と
しては、SiH2Cl2、SiCl4、SiH4、Si
26、SiHCl3等が挙げられ、好ましくはSiH2
2である。炭素源としては、C22、C24、C
38、CH4、C26等が挙げられ、好ましくはC22
である。珪素源の流量は、通常、0.1〜1000sc
cm、好ましくは1〜50sccm、特に好ましくは5
〜30sccmであり、炭素源の流量は、通常、0.1
〜1000sccm、好ましくは1〜100sccm、
特に好ましくは5〜50sccmである。
【0035】キャリアガスとしては、H2、Ar、H
e、Kr、Xe、Ne等が用いられ、好ましくはH2
ある。キャリアガスの流量は、通常、0〜10000s
ccm、好ましくは10〜3000sccm、特に好ま
しくは100〜1000sccmである。
【0036】気相成長時の圧力は、通常0.1mTor
r〜760Torr、好ましくは1mTorr〜0.5
Torr、特に好ましくは10mTorr〜0.2To
rrである。
【0037】また、特定の条件下に上記特性を有する炭
化珪素の単結晶ウィスカーを形成することができる。炭
化珪素の単結晶ウィスカーの気相成長条件としては、例
えば、後記する表1の条件が挙げられる。
【0038】エミッタ材である炭化珪素に前記した不純
物を添加する方法としては、炭化珪素の気相成長と同
時、気相成長直後または炭化珪素エミッタ形成後に、熱
拡散、イオン注入、中性子線照射等の手段を用いること
ができる。
【0039】ここで、熱拡散とは、被添加材料を加熱
し、固溶度を上げることにより、添加物質(不純物)を
気相、液相、固相のいずれかより被添加材料中へと拡散
させる方法である。
【0040】イオン注入とは、添加する元素(不純物)
をイオン化させ、高電界で加速して被添加材料中へと打
ち込む方法である。
【0041】中性子線照射とは、被添加材料に中性子線
を照射し、被添加材料の構成元素に核転換反応をもたら
し、伝導に影響を及ぼす元素を生成させる方法である。
【0042】上記のような手段で不純物を添加できるた
め、極めて簡単に、且つ精度良く電界電子放出素子用エ
ミッタの製造を行うことができる。
【0043】例えば、熱拡散によって炭化珪素の気相成
長と同時に不純物を添加するには、アンモニアガス(N
3)、POCl3、PH3、B26、AsH3、BC
3、SbH3、BiH3等をドーピングガスとして導入
することによって容易に行うことができる。ドーピング
ガスの流量は、通常、0.01〜100sccm、好ま
しくは0.1〜10sccm、特に好ましくは0.2〜
5sccmである。
【0044】また、本発明によれば、シリコン基板上に
二酸化珪素または窒化珪素からなる薄膜を形成し、該薄
膜のエミッタを形成すべき箇所にシリコン基板が露出す
る開口部を形成し、該開口部のシリコン基板が露出して
いる下地基板上に炭化珪素を気相成長させ、該開口部に
選択的にエミッタを形成することを特徴とする方法によ
り、さらに簡易に本発明の電界電子放出素子用エミッタ
を製造することができる。
【0045】すなわち、下地基板としてシリコンを用
い、シリコン上に二酸化珪素または窒化珪素のいずれか
により構成される薄膜を堆積させ、この薄膜に、リソグ
ラフィー等の手段により、開口部を設けて所望の部位で
シリコン基板を露出させた基板を形成する。この基板上
に、炭化珪素を気相成長させると、開口部のシリコン基
板上には炭化珪素が気相成長するが、二酸化珪素または
窒化珪素薄膜上には炭化珪素が気相成長しない。そのた
め、所望の場所に炭化珪素のエミッタを形成することが
可能となり、後工程での不要部分の炭化珪素を除去する
等の炭化珪素の加工を省くことができ、電界電子放出素
子の製造工程が著しく簡略化される。
【0046】
【実施例】以下、実施例および図面を参照しつつ本発明
を具体的に説明する。
【0047】(実施例1)図4〜8は、実施例1の縦形
の電界電子放出素子の製造工程を示す図である。(1)エミッタの形成 真空中で、厚さ1mmの石英基板(絶縁性基板)(4
1)上に厚さ1μmの導電性の膜(41)を1150℃
で貼り付けた。導電性の膜(42)は、不純物として、
B(硼素)が3×1019/cm3添加された単結晶シリ
コン(Si)を用いた。導電性膜(42)の抵抗率は
0.003Ω−cmであった。Si表面の面方位は(1
11)であった。導電性膜(42)の上にレジスト(4
3)を2μmの厚さに塗布した(図4(a))。
【0048】次いで、レジストをリソグラフィーによ
り、マスクを通して露光、次いで現像してレジストの外
縁部分を削り、このレジストをマスクとして、リアクテ
ィブ・イオン・エッチング(RIE)により、導電性膜
(42)の外縁を削り、絶縁性基板(41)の外縁部を
露出させた(図4(b))。
【0049】次いで、導電性膜(42)上のレジスト
を、O2プラズマアッシャーにより除去した。次いで、
下記表2の条件でのCVD法により導電性膜(42)の
上に厚さ3μmの炭化珪素膜(45)を形成した(図4
(c))炭化珪素膜の形成と同時に、ドーピングガスと
して0.5sccmのNH3を用い、エミッタとなるべ
き炭化珪素に70ppmのN(窒素)を添加した。
【0050】次に、表6の条件でのCVD法により、炭
化珪素膜の上から絶縁性基板までの露出部分を厚さ1μ
mの窒化珪素膜(46)で覆い、さらにその上に厚さ2
μmのレジスト膜(47)を塗布した(図4(d))。
【0051】次に、リソグラフィーにより、マスクを通
して露光、次いで現像して円形の開口部状のレジストパ
ターンを形成し、これをマスクとしてRIEにより、窒
化珪素膜(46)および炭化珪素膜(45)をエッチン
グした(図5(e))。
【0052】次いで、これをプラズマエッチング(ダウ
ンフローエッチング)することにより、エミッタとなる
べき炭化珪素(45)を緩やかな円錐状とし、レジスト
を除去した(図5(f))。
【0053】残った窒化珪素膜をマスクとして、熱酸化
を行い、エミッタとなるべき炭化珪素(45)の先端の
先鋭化加工を行い(図5(g))、HF溶液による酸化
珪素エッチングによりエミッタの外周に形成された二酸
化珪素(49)を除去すると同時に窒化珪素膜(46)
を除去し、炭化珪素からなるエミッタ(45a)が形成
された(図5(h))。エミッタ(45a)を形成する
炭化珪素は立方晶または六方晶であった。
【0054】(2)ゲート電極の形成 上記(1)で形成されたエミッタの上から絶縁性基板(4
1)上までをレジストで覆い、リソグラフィーにより、
マスクを通して露光、現像して、エミッタ(45a)の
みを覆う形でレジスト(61)を残し(図6(a))、
その上からスパッタ法により二酸化珪素膜で被覆した。
二酸化珪素を現像液で現像し、エミッタ(45a)を覆
っていたレジストおよびレジスト上の酸化珪素を除去
し、露出したエミッタ(45a)の間にゲート電極の支
柱(スペーサー)(62)となるべき酸化珪素が残った
(図6(b))。スペーサー(62)の高さは、2〜3
μmであった。
【0055】次いで、これらのエミッタ(45a)およ
びスペーサー(62)の上から、厚さ3μmのレジスト
を塗布し、リソグラフィーにより、マスクを通して露
光、現像し、エミッタ(45a)を覆う形でレジスト
(63)を残した(図6(c))。エミッタ(45a)
を覆っているレジストを溶融し、エミッタ(45a)と
スペーサー(62)の間をレジスト(63)で埋め(図
6(c))、その上に、スパッタ法により、タングステ
ン膜(64)を1μmの厚さに形成した。現像液で現像
することにより、ゲート電極となるべきスペーサー上の
タングステン(64a)を残して、他の部分のタングス
テンとエミッタとスペーサーの間を埋めていたレジスト
(63)を同時に除去し、ゲート電極(64a)を形成
した(図6(e))。
【0056】(3)アノード電極の形成 厚さ1mmの石英製アノード基板(71)に、ITOス
パッタ法により、厚さ0.5μmのITO膜(72)を
形成した(図7(a))。
【0057】ITO(72)膜上に厚さ14μmのレジ
スト(73)を塗布し、リソグラフィーにより、円形の
開口部がそれぞれ前後左右に10〜10000μmの間
隔で形成されているマスクを通して露光、現像し、マス
クの開口部に対応する位置で、レジストに直径10μm
の開口部(73a)を形成し、各開口部でITO(7
2)膜を一部露出させた(図7(b))。
【0058】次いで、レジスト(73)の上を、スパッ
タ法により二酸化珪素(74)で被覆し(図7
(c))、二酸化珪素(74)をレジスト(73)の高
さまで研磨することにより削り取った(図7(d))。
レジスト(73)を除去して、厚さ10μmの絶縁性ス
ペーサーとなるべき高さ14μmの二酸化珪素の支柱
(74a)が残り、アノードが形成された。
【0059】(4)エミッタとアノードの接合 上記(3)で作製されたアノードの絶縁性スペーサーであ
る二酸化珪素支柱(74a)を、エミッタ側の絶縁性基
板(41)と熱接着することにより、エミッタ(45
a)とアノードを接合し、縦型の電界電子放出素子を得
た。図8に、得られた電界電子放出素子の断面図を示
す。
【0060】実施例1の電界電子放出素子用エミッタで
は、電界集中する尖鋭部(エミッタ)は、耐熱性に優れ
る単一の炭化珪素で形成されているため、高い電流密度
にともなうジュール熱に対して十分な耐熱性と安定性が
確保されることは明らかである。また、炭化珪素からな
るエミッタ表面は、酸化やエッチングに対する十分な抵
抗性および十分な機械的強度を有しているため、放出電
流の長期的安定性が向上する。
【0061】エミッタを構成する炭化珪素には70pp
mのN(ドナー不純物)が添加されているため、炭化珪
素は縮退し、エミッタ表面の電子親和力は3eV以下と
なり、ゲート電極に印加する電圧が数10〜100V程
度まで低減される。
【0062】実施例1では、70ppmの不純物が添加
されており、炭化珪素の伝導帯に不純物準位が位置する
ため、不純物−バンド間での電子励起過程が抑制され、
エミッタからの放出電流は、熱や光、結晶方位、そして
結晶多形に対して変化しなくなる。さらに、シリコンの
禁制帯幅(1.12ev)よりも炭化珪素の禁制帯幅
(2.2〜2.8eV)が著しく広いため、500℃以
上の高温においても安定に動作する電界電子放出素子で
ある。
【0063】(実施例2)図9〜11は、本実施例の横
形の電界電子放出素子の製造工程を示す図である。厚さ
1mmの石英基板(絶縁性基板)(91)上に、実施例
1と同様に1μmのSi層(92)を貼り付けて、表2
と同様の条件によるCVD法により、厚さ1μmの炭化
珪素膜(93)を形成した(図9(a))。この炭化珪
素膜(93)の形成時に、ドーピングガスとして0.5
sccmのNH3を用いることにより、不純物として、
70ppmのN(窒素)を添加した。
【0064】炭化珪素膜(93)の上に、厚さ3μmの
レジスト膜を塗布し、リソグラフィーにより、くさび形
のマスクを通して露光、現像して、くさび形のレジスト
(94)を残した(図9(b))。
【0065】次いで、このくさび形のレジスト(94)
をマスクとして、表7の条件によるRIEによりマスク
されていない部分のSi層(92)と炭化珪素層(9
3)を除去し、石英基板面(91a)を露出させた(図
9(c))。
【0066】次いで、絶縁性基板(91)である石英の
露出面(91a)を、レジスト(94)をマスクとし
て、5%HF(フッ化水素)溶液によってエッチング
し、約1μmの深さで除去し、新たな石英基板面(91
b)を露出させた(図9(d))。
【0067】次いで、スパッタ法により、厚さ1μmの
タングステン(95aおよび95b)を堆積させた(図
10(e))後、レジストの現像液で現像することによ
り、炭化珪素膜(93)上のレジスト(94)とその上
のタングステン膜(95b)を除去した(図10
(f))。
【0068】次に、ゲート電極となるべき石英基板(9
1b)上のタングステン膜(95a)とエミッタとなる
べき炭化珪素(93)をマスクとして、その間の石英を
エッチングにより削り、溝(隙間)(91b)を形成し
た。この溝を介してエミッタ(93)とゲート電極(9
5a)が配置された横型の電界電子放出素子が形成され
た(図11)。
【0069】実施例2の電界電子放出素子用エミッタで
は、電界集中する尖鋭部(エミッタ)は、耐熱性に優れ
る単一の炭化珪素で形成されているため、高い電流密度
にともなうジュール熱に対して十分な耐熱性と安定性が
確保されることは明らかである。また、炭化珪素からな
るエミッタ表面は、酸化やエッチングに対する十分な抵
抗性および十分な機械的な強度を有しているため、放出
電流の長期的安定性が向上する。
【0070】エミッタを構成する炭化珪素には70pp
mのN(ドナー不純物)が添加されているため、炭化珪
素は縮退し、表面の電子親和力は3eV以下となり、ゲ
ート電極に印加する電圧が数10〜100V程度まで低
減される。
【0071】実施例2のエミッタでは、70ppmの不
純物が添加されており、炭化珪素の伝導帯に不純物準位
が位置するため、不純物−バンド間での電子励起過程が
抑制され、エミッタからの放出電流は、熱や光、結晶方
位、そして結晶多形に対して変化しなくなる。さらに、
シリコンの禁制帯幅(1.12ev)よりも炭化珪素の
禁制帯幅(2.2〜2.8eV)が著しく広いため、5
00℃以上の高温においても安定に動作する電界電子放
出素子である。
【0072】(実施例3)図12および13は、実施例
3(エミッタが炭化珪素ウィスカーからなる)の縦形の
電界電子放出素子の製造方法を示す図である。
【0073】(1)炭化珪素ウィスカーからなるエミッタ
の形成 上記実施例1と同様に、石英基板(絶縁性基板)(12
1)上に、厚さ1μmのシリコン(Si)膜(導電性
膜)(122)を形成した。導電性膜(122)には、
B(硼素)3×1019/cm3を添加した単結晶シリコ
ンを用いた。導電性膜(122)の抵抗率は0.003
Ω−cmであった。単結晶シリコンの面方位は(11
1)であった。
【0074】導電性膜(122)の上に、下記表1の条
件によるCVD法により、高さ3μmの炭化珪素の単結
晶ウィスカー(123)を気相成長させた(図12
(a))。炭化珪素ウィスカー(123)は立方晶であ
り、炭化珪素ウィスカー形成時に、ドーピングガスとし
て0.5sccmのNH3を用い、不純物として、70
ppmのN(窒素)を添加した。炭化珪素ウィスカー
(123)の結晶方位は基板(121)の垂直方向に対
して<111>方向であり、(100)面ファセットの
出現により、先端の先鋭化がもたらされた。
【0075】次いで、炭化珪素ウィスカー(123)の
上にレジスト(124)を塗布し(図12(b))、リ
ソグラフィーにより、マスクを通して露光、現像して、
約3μm間隔でレジストを除去し(図12(c))、残
ったレジストをマスク(124a)として、RIEによ
り、マスクされていない部分の炭化珪素ウィスカーを除
去し(図12(d))、次いでレジスト(124a)を
除去し、レジストによってマスクされていた炭化珪素ウ
ィスカー(123)を露出させた(図12(e))。
【0076】以降は、実施例1と同様にしてゲート電極
を形成し、別にアノードを作製し、これらを接合して、
炭化珪素ウィスカーからなるエミッタを有する縦型の電
界電子放出素子を製造した(図13)。
【0077】ゲート電極(67a)として、厚さ1μm
のタングステン(W)を用い、このタングステンゲート
電極(67a)は、高さ2〜3μmの酸化珪素からなる
スペーサー(65)上に保持されている。さらに、電気
的に結合されたエミッタアレイの境界部分に相当するゲ
ート電極上には絶縁性スペーサー(74a)が置かれ、
アノード(71)を保持している。
【0078】本実施例の電界電子放出素子用エミッタ
は、上記実施例1および2と同様の性能を有しており、
さらに、本実施例の電界電子放出素子用エミッタは単結
晶のウィスカーから形成されているため、面方位と結晶
多形がそろい、大面積にわたり、放出電流の均一性が向
上する。また、電子放出部(エミッタ)の微細加工(先
端の尖鋭化)工程を必要としないという利点を有する。
【0079】(実施例4)図14は、実施例4の電界電
子放出素子のエミッタ部の製造工程を示す図である。
【0080】下地絶縁性基板(141)として、厚さ1
μmの石英ガラスを用い、その上に導電性の膜(14
2)として、B(硼素)3×1019/cm3が添加され
た単結晶シリコン膜を接合した。導電性膜(142)の
抵抗率は0.003Ω−cm、膜厚は10μmであっ
た。導電性膜であるシリコン表面の面方位は(100)
であった。次に、導電性膜(142)上に、下記表2の
条件での減圧CVD法により、厚さ10μmの単結晶の
炭化珪素層(143)を気相成長させた。炭化珪素層
(143)には、炭化珪素層(143)の気相成長時
に、ドーピングガスとして0.5sccmのNH3を用
い、不純物として、37ppmのN(窒素)が添加され
ていた。さらに、炭化珪素層(143)上に、表3の条
件での減圧CVD法を用いて3μmの窒化珪素層(14
4)を堆積させた(図14(a))。
【0081】次いで、窒化珪素層(144)上に、厚さ
2μmのレジスト(145)を塗布し、リソグラフィー
により、マスクを通してUV露光と現像により、直径2
μmの円形の開口パターンを形成した。次に、窒化珪素
層(144)を、レジスト(145)をマスクとして下
記表4の条件でのリアクティブイオンエッチング(RI
E)により加工し、炭化珪素層(143)を一部露出さ
せた(図14(b))。
【0082】次に、レジスト層(145)をO2プラズ
マで灰化させて除去し、エミッタとなるべき炭化珪素層
(143a)に下記表5の条件での等方性ドライエッチ
ングを施した(図14(c))。
【0083】次に、O2雰囲気中で1100℃、120
分間の熱酸化を行い、露出した炭化珪素表面に二酸化珪
素(146)を形成した(図14(d))。
【0084】次に、10%HF+25%NH4F溶液を
用いて導電性膜(142)上に炭化珪素エミッタ(14
3a)を形成した(図14(e))。
【0085】本実施例の電界電子放出素子用エミッタ
は、上記実施例1および2と同様の性能を有していた。
【0086】本実施例では、炭化珪素が気相成長により
堆積されるため、下地基板に対するヘテロエピタキシャ
ル成長が、大面積で実現され、結晶性に優れた単結晶炭
化珪素が得られる。このため、エミッタを形成した場
合、大面積に渡り、放出電流の均一性と安定性が確保さ
れる。また、炭化珪素の気相成長時に不純物(ドナー不
純物)が添加されており、炭化珪素からの電子放出のた
めの電圧を低く抑えることが可能となる。
【0087】(実施例5)図15は、実施例5の電界電
子放出素子のエミッタ部の製造工程を示す図である。
【0088】厚さ1mmの石英ガラスからなる絶縁性基
板(151)の上に、厚さ10μmの単結晶シリコン層
(152)を接合した。接合されたシリコン層(15
2)表面の面方位は(111)であった。次に、単結晶
シリコン層(152)上に下記表6の条件での減圧CV
D法により、厚さ5μmの窒化珪素層(153)を気相
成長させた。窒化珪素層(153)上には厚さ2μmの
レジスト(154)が塗布され、リソグラフィーによ
り、UV露光と現像により、直径2μmの開口パターン
を形成した(図15(a))。
【0089】次に、レジスト(154)をマスクとし
て、下記表4の条件でのリアクティブイオンエッチング
により、窒化珪素層(153a)をエッチングし、部分
的に単結晶シリコン層(122)の(111)面を露出
させた。次に、レジスト層(154)をO2プラズマで
灰化させて除去した(図15(b))。
【0090】次いで、下記表8の条件での減圧CVD法
により、炭化珪素のウィスカーを<111>方位へ成長
させて炭化珪素エミッタ(155)を形成した(図15
(c))。このとき、炭化珪素ウィスカーは、シリコン
層(152)の露出部のみに選択的に成長し、窒化珪素
層(153a)上には成長しなかった。炭化珪素ウィス
カー(155)の気相成長時に、ドーピングガスとして
0.3sccmのNH3を用いることにより、不純物と
して、37ppmのN(窒素)が添加されていた。
【0091】窒化珪素膜(153a)は、炭化珪素ウィ
スカー形成後に除去してもよいし、電界電子放出素子を
製造する際、スペーサー膜の一部として用いてもよい。
スペーサー膜として用いる場合には、窒化珪素膜の膜厚
を、予めスペーサー膜の厚さに調整しておいてもよい。
【0092】本実施例の電界電子放出素子用エミッタ
は、上記実施例1〜4と同様の性能を有しており、さら
に、実施例3のように、不要な炭化珪素ウィスカーを後
から除去する必要がなく、極めて効率的に電界電子放出
素子を製造することができる。
【0093】
【表1】
【0094】
【表2】
【0095】
【表3】
【0096】
【表4】
【0097】
【表5】
【0098】
【表6】
【0099】
【表7】
【0100】
【表8】
【0101】
【発明の効果】本発明によれば、先鋭化加工の難しい炭
化珪素をエミッタ材として用いる場合の従来の問題点を
解決し、且つ高い電流密度に対してエミッタの形状変化
が起こりにくく、電界電子放出素子としての安定性が著
しく高く、電子放出に要する電圧を低くすることがで
き、さらに結晶多形や面方位の違いに基づく仕事関数の
不均一性を制御することが可能であり、エミッタから放
出される電流密度が外部からの熱や光の影響を受けない
電界電子放出素子用エミッタ、それを有する電界電子放
出素子およびその有利な製造法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、熱酸化によるシリコンの尖端加工の工
程を示す図である。
【図2】図2は、シリコンの異方性エッチングを活かし
た尖端加工の工程を示す図である。
【図3】図3は、蒸着法によるエミッタ作成工程を示す
図である。
【図4】図4は、実施例1の縦形の電界電子放出素子の
製造工程を示す図(エミッタの製造−その1)である。
【図5】図5は、実施例1の縦形の電界電子放出素子の
製造工程を示す図(エミッタの製造−その2)である。
【図6】図6は、実施例1の縦形の電界電子放出素子の
製造工程を示す図(ゲート電極の形成)である。
【図7】図7は、実施例1の縦形の電界電子放出素子の
製造工程を示す図(アノード電極の形成)である。
【図8】図8は、実施例1の縦形の電界電子放出素子を
示す図である。
【図9】図9は、実施例2の横形の電界電子放出素子の
製造工程(その1)を示す図である。
【図10】図10は、実施例2の横形の電界電子放出素
子の製造工程(その2)を示す図である。
【図11】図11は、実施例2の横形の電界電子放出素
子を示す斜視図である。
【図12】図12は、実施例3(エミッタが炭化珪素ウ
ィスカーからなる)の縦形の電界電子放出素子の製造工
程を示す図である。
【図13】図13は、実施例3(エミッタが炭化珪素ウ
ィスカーからなる)の縦形の電界電子放出素子を示す図
である。
【図14】図14は、実施例4の電界電子放出素子のエ
ミッタ部の製造工程を示す図である。
【図15】図15は、実施例5の電界電子放出素子のエ
ミッタ部の製造工程を示す図である。
【符号の説明】
11:シリコン基板、12:マスク、13:凸部、1
4:二酸化珪素、15:エミッタ 21:シリコン基板、22:マスク 31:絶縁性基板、32:導体層、33:スペーサー
層、34:ゲート電極、35:エミッタ材、36:エミ
ッタ、37:開口部、41:石英基板、42:導電性
膜、43:レジスト、44:イオン照射(RIE)、4
5:炭化珪素層、45a:エミッタ、46:窒化珪素
層、47:レジスト、48:イオン照射(RIE)、4
9:二酸化珪素、61:レジスト、62:スペーサー、
63:レジスト、64:タングステン膜、64a:ゲー
ト電極となるべきタングステン 71:石英製アノード基板、72:ITO膜、73:レ
ジスト、73a:開口部、74:二酸化珪素、74a:
絶縁性スペーサー 91:石英基板、91a:石英基板面、91b:エッチ
ングにより露出した新たな石英基板面、91c:溝、9
2:シリコン層、93:炭化珪素層、94:くさび形の
レジスト、95aおよび95b:タングステン膜 121:石英基板、122:導電性膜、123:炭化珪
素単結晶ウィスカー、124:レジスト、124a:レ
ジストマスク 141:絶縁性基板(石英ガラス)、142:導電性
膜、143:炭化珪素層、143a:エミッタ(となる
べき炭化珪素)、144:窒化珪素層、145:レジス
ト、146:二酸化珪素 151:絶縁性基板(石英ガラス)、152:シリコン
層、153および153a:窒化珪素層、154:レジ
スト、155:炭化珪素単結晶ウィスカー

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭化珪素に該炭化珪素の伝導型を支配す
    る元素が添加された材料からなることを特徴とする電界
    電子放出素子用エミッタ。
  2. 【請求項2】 炭化珪素の伝導型を支配する元素が、
    B、Al、Ga、In、N、P、As、SbおよびBi
    からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に
    記載の電界電子放出素子用エミッタ。
  3. 【請求項3】 炭化珪素の伝導型を支配する元素が、
    N、P、As、SbおよびBiからなる群から選択され
    ることを特徴とする請求項2に記載の電界電子放出素子
    用エミッタ。
  4. 【請求項4】 炭化珪素の伝導型を支配する元素が、
    0.1ppm以上1000ppm未満の濃度で添加され
    ていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に
    記載の電界電子放出素子用エミッタ。
  5. 【請求項5】 炭化珪素が、特定の結晶方位に優先的に
    成長した単結晶ウィスカーからなることを特徴とする請
    求項1〜4のいずれか1項に記載の電界電子放出素子用
    エミッタ。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項に記載の電
    界電子放出素子用エミッタを有する電界電子放出素子。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5のいずれか1項に記載の電
    界電子放出素子用エミッタの製造法において、エミッタ
    となる炭化珪素を気相成長法により形成し、該気相成長
    と同時または後に炭化珪素の伝導型を支配する元素を炭
    化珪素に添加する工程を含むことを特徴とする方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP1187161A2 (en) 2000-09-01 2002-03-13 Canon Kabushiki Kaisha Electron-emitting device, electron-emitting apparatus, image display apparatus, and light-emitting apparatus
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