JPH09236528A - 内圧試験装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 内圧試験装置において、供試体に亀裂が発生
した後も、亀裂発生前と同一の圧力条件により試験を続
行する。 【解決手段】 負荷円板２および保持台３により供試体
Ｔを支持し、供試体Ｔ内にコンプレッサ１１より気体を
供給する。供試体Ｔ内部の圧力は制御装置１６によりサ
ーボ弁１５を介して制御される。供試体Ｔ内面にはシリ
コンゴムなどからなるシール材２０が密着されており、
これにより供試体Ｔに亀裂が発生しても、供試体Ｔ内に
加えられる気体が亀裂から漏れることが無くなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は筒状の供試体内部に
気体または液体の圧力媒体を供給して内圧試験を行う内
圧試験装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】内圧試験装置においては、パイプや圧力
容器などの供試体内部に気体または液体の圧力媒体を供
給して供試体を加圧し、これにより供試体の亀裂発生な
どの疲労挙動が観測される。また、供試体を加圧すると
ともに、供試体に曲げ振動やねじり振動などの負荷を与
えて供試体の亀裂発生などの疲労挙動を観測することも
ある。

【０００３】図２は内圧試験装置の構成を示す斜視図で
ある。なお、図２は航空機胴体モデルの内圧試験を行う
装置を示す図である。図２に示すように内圧試験装置１
は、円筒状の供試体Ｔを支持する負荷円板２および保持
台３と、負荷円板２の取付部２Ａ，２Ｂに取り付けられ
たアクチュエータ４，５と、供試体Ｔおよび負荷円板
２、保持台３を載置する載置台６とからなる。アクチュ
エータ４，５は図中の矢印Ａ，Ｂに示すように往復駆動
して負荷円板２を介して供試体Ｔにねじりあるいは曲げ
などの負荷を与える。すなわち、アクチュエータ４，５
の双方が同時に上下することにより、供試体Ｔには曲げ
負荷が作用し、アクチュエータ４，５が交互に上下する
ことにより、供試体Ｔにはねじり負荷が作用する。負荷
円板２および保持台３の供試体Ｔと当接する部分にはパ
ッキンが取り付けられており、これにより供試体Ｔ内部
に供給された圧力媒体の漏れを防止している。保持台３
は不図示の圧力発生器と接続されており、この圧力発生
器より供試体Ｔ内部に気体または液体の圧力媒体が供給
される。また、負荷円板２には不図示の圧力検出器が接
続されており、この圧力検出器により供試体Ｔ内部の圧
力媒体の圧力を計測する。そしてこの計測結果が圧力制
御装置に入力され、圧力制御装置は供試体Ｔ内が所望と
する内圧となるように圧力発生器を制御する。

【０００４】このように構成された内圧試験装置におい
ては、圧力発生器により供試体Ｔ内部が加圧され、さら
に、アクチュエータ４，５が往復駆動する。これによ
り、供試体Ｔには保持台３を支点として、ねじりあるい
は曲げの負荷が加えられる。そしてこの負荷により供試
体Ｔに疲労による亀裂が発生し、この亀裂を目視あるい
はセンサなどにより検出することにより、供試体Ｔの亀
裂発生状況を観察する。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上述したような内圧試
験装置においては、供試体に亀裂が発生すると、加えら
れた圧力がその亀裂から漏れて内圧が低下してしまい、
その後の供試体内部の圧力を適正に保持することができ
ないため、亀裂が発生した時点で試験を終了する。しか
しながら、航空機などの実機モデルを作成して、この実
機モデルを供試体として試験を行う場合においては、亀
裂が発生した後もその後の供試体の疲労挙動を観察する
ために試験を続行することが多い。したがって、亀裂が
発生した後も圧力発生器から供試体に加えられる内圧を
保持して、亀裂発生前と同一の試験条件を維持すること
が要求されている。

【０００６】本発明の目的は、供試体に亀裂が発生して
も、亀裂発生前と同一の試験条件を維持することができ
る内圧試験装置を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】一実施の形態を示す図１
および図２を参照して説明すると、本発明は、供試体Ｔ
内部に圧力媒体を供給して供試体Ｔを加圧する内圧試験
装置に適用され、供試体Ｔ内面の少なくとも一部に、供
試体Ｔに亀裂が生じても圧力媒体の漏れを防止する漏れ
防止部材２０を設けたことにより上記目的を達成する。

【０００８】この漏れ防止部材２０は、供試体Ｔの内面
全体に設けるようにしてもよく、また亀裂の発生箇所が
経験的に分かっている場合は、その箇所にのみ設けるよ
うにしてもよい。

【０００９】本発明においては、供試体Ｔに亀裂が発生
しても、漏れ防止部材２０により供試体内部に加えられ
た圧力媒体が亀裂から漏れることを防止できる。

【００１０】なお、本発明の構成を説明する上記課題を
解決するための手段の項では、本発明を分かり易くする
ために発明の実施の形態の図を用いたが、これにより本
発明が実施の形態に限定されるものではない。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下図面を参照して本発明の実施
の形態について説明する。図１は本発明の実施の形態に
よる内圧試験装置を内包するシステムの構成を示すブロ
ック図である。なお、内圧試験装置の外観については、
上記図２と同様であるため詳細な説明は省略する。図１
に示すように本実施の形態による内圧試験装置１を内包
するシステムは、モータ１０により駆動されて供試体Ｔ
内に気体を供給するコンプレッサ１１と、コンプレッサ
１１から供試体Ｔ内に供給される気体からごみ、粉塵な
どを除去するフィルタ１２と、ごみ、粉塵などが除去さ
れた気体からミストを除去するためのミストセパレータ
１３と、システム内の最高圧力を制限するレギュレータ
１４と、制御装置１６により供試体Ｔに供給される気体
の圧力を調整するサーボ弁１５と、供試体Ｔに加えられ
る内圧を検出し、検出結果を制御装置に入力する圧力セ
ル１７と、制御装置１６を制御するための種々の条件を
入力するプログラムファンクションジェネレータ１８と
からなる。制御装置１６は、プログラムファンクション
ジェネレータ１８からの入力および圧力セル１７から入
力される実際の圧力を表す信号に基づいてサーボ弁１５
をフィードバック制御により調整して、供試体Ｔ内部に
加えられる気体の圧力を調整するよう作動する。

【００１２】また、図１に示すように、供試体Ｔはフラ
ンジ部を有し、このフランジ部においてボルトとナット
により負荷円板２および保持台３により支持されてお
り、これにより負荷円板２が駆動されたときの駆動力を
供試体Ｔに伝達することができる。負荷円板２および保
持台３の供試体Ｔと当接する部分には、Ｏリング７，８
が取り付けられており、これにより供試体Ｔと負荷円板
２および保持台３との当接部分からの気体の漏れが防止
される。さらに、供試体Ｔの内面には、例えばビニー
ル、ゴム、シリコンゴムなどの膜状のシール材２０がそ
の内面に密着して設けられている。このシール材２０と
しては、図１に示す実施の形態においては、円筒状に形
成された膜体を用いているが、供試体Ｔの内面に液状の
シリコンゴムを一様に薄く塗布してシール材２０を形成
してもよい。

【００１３】次いで、本実施の形態の動作について説明
する。まず、コンプレッサ１１を駆動して供試体Ｔ内部
に圧力を供給する。この際、コンプレッサ１１から供試
体Ｔ内に供給される気体からフィルタ１２によりごみ、
粉塵などが、ミストセパレータ１３によりミストが除去
される。粉塵およびミストが除去された気体は、レギュ
レータ１４およびサーボ弁１５により供試体Ｔ内の圧力
が調整されて供試体Ｔ内部に供給される。この際、プロ
グラムファンクションジェネレータ１８から制御装置１
６に対して、供試体Ｔ内の所望とする内圧の設定値が入
力されており、また圧力セル１７からは供試体Ｔの実際
の内圧が制御装置１６に入力される。制御装置１６はプ
ログラムファンクションジェネレータ１８と圧力セル１
７との入力に基づいて、サーボ弁１５を調整し、これに
より供試体Ｔ内に入力される気体の圧力を調整する。

【００１４】このようにして供試体Ｔ内に気体が供給さ
れ、供試体Ｔ内が所定の内圧に達すると、図２に示すア
クチュエータ４，５を駆動して、供試体Ｔにねじりある
いは曲げの負荷を加える。すなわち、アクチュエータ
４，５が同時に上下方向に移動することにより、供試体
Ｔには曲げ力が作用し、交互に上下方向に移動すること
により、供試体Ｔにはねじり力が作用する。この曲げ力
あるいはねじり力による歪みは供試体Ｔに取り付けられ
た不図示の歪みセンサなどにより計測される。このよう
に供試体Ｔは、アクチュエータ４，５により加えられる
負荷およびコンプレッサ１１から加えられる空気圧によ
り、実際の使用状況と略同一の使用状況での試験がなさ
れる。

【００１５】このように、供試体Ｔに対して試験を行う
ことにより、供試体Ｔが疲労してその表面に亀裂が発生
する。供試体Ｔに亀裂が発生すると、コンプレッサ１１
から供試体Ｔ内に供給される気体はその亀裂から漏れよ
うとする。本実施の形態においては、供試体Ｔの内面に
はシール材２０が密着して設けられているため、供試体
Ｔに亀裂が生じても、供試体Ｔ内に加えられる気体がそ
の亀裂から漏れることがない。したがって、亀裂から気
体が漏れることにより供試体Ｔ内部の圧力が低下するこ
とが無くなり、亀裂が発生する前と同一の条件により試
験を続行することができる。

【００１６】なお、供試体Ｔが実機に使用される状況に
おいては、微小な亀裂からの気体の漏れは検出されにく
く、亀裂が大きくなって漏れが大きくなったときに初め
て亀裂の存在に気付くことが多い。したがって、亀裂に
気付いたときには、材料の破損がかなりひどく、とくに
航空機などにおいては、材料の破損により大事故につな
がるおそれがある。本発明においては、供試体に亀裂が
生じてからも、亀裂が発生する前と同一の試験条件によ
り、試験を続行することができるため、亀裂発生後の材
料の疲労挙動を把握することができる。これにより、実
機における亀裂発生後の疲労挙動をも把握することがで
きるため、実機において亀裂を早期に発見することが可
能となり、とくに航空機材料においては大事故の発生を
防止することができる。

【００１７】また、上記実施の形態においては、コンプ
レッサ１１により気体を供試体Ｔ内部に供給するように
しているが、これに限定されるものではなく、実際には
水圧が作用している状況で使用される材料の場合は、ポ
ンプなどから供試体Ｔ内部に液体による水圧を加えるよ
うにしてもよい。

【００１８】さらに、上記実施の形態においては、供試
体Ｔの内面全体にシール材を密着するようにしている
が、供試体によっては亀裂の発生箇所が経験的に分かっ
ている場合がある。このような場合は、供試体内面全体
ではなく、例えば図３に示すように亀裂が発生するおそ
れがある箇所にのみ部分的にシール材２０Ａを設けるよ
うにしてもよい。

【００１９】また、上記実施の形態においては、アクチ
ュエータ４，５により供試体Ｔに負荷を加えるようにし
ているが、本発明は供試体Ｔに負荷を与えることなく、
内圧のみを作用させて、供試体Ｔの内圧試験を行う場合
にも適用できる。

【００２０】以上の実施の形態と請求項との対応におい
て、シール材２０が漏れ防止部材を構成する。

【００２１】

【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
る内圧試験装置においては、供試体に亀裂が生じても、
漏れ防止部材により亀裂からの圧力媒体の漏れが防止さ
れるため、供試体の内圧が低下することなく、亀裂が発
生する前と同一の試験条件にて試験を続行することがで
きる。したがって、実機においては微小な亀裂の発生を
認識できないような場合であっても、亀裂発生後の供試
体の疲労挙動を認識することができるため、実機におい
て材料の亀裂の発生を早期に認識することが可能とな
り、事故の発生を防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による内圧試験装置を内包するシステム
の構成を示すブロック図

【図２】本発明が適用される内圧試験装置の外観を示す
斜視図

【図３】シール材を設けた供試体の他の例を示す図

【符号の説明】

１ 内圧試験装置 ２ 負荷円板 ３ 保持台 ４，５ アクチュエータ ６ 載置台 １０ モータ １１ コンプレッサ １２ フィルタ １３ ミストセパレータ １４ レギュレータ １５ サーボ弁 １６ 制御装置 １７ 圧力セル １８ プログラムファンクションジェネレータ ２０ シール材 Ｔ 供試体

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 供試体内部に圧力媒体を供給して該供試
   体を加圧する内圧試験装置において、 前記供試体内面の少なくとも一部に、前記供試体に亀裂
   が生じても前記圧力媒体の漏れを防止する漏れ防止部材
   を設けたことを特徴とする内圧試験装置。