JPH09236145A - 差動感応型油圧カップリング装置 - Google Patents

差動感応型油圧カップリング装置

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JPH09236145A
JPH09236145A JP4363596A JP4363596A JPH09236145A JP H09236145 A JPH09236145 A JP H09236145A JP 4363596 A JP4363596 A JP 4363596A JP 4363596 A JP4363596 A JP 4363596A JP H09236145 A JPH09236145 A JP H09236145A
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JP
Japan
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hydraulic
port
valve body
hydraulic pressure
coupling device
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JP4363596A
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English (en)
Inventor
Hisayuki Takahashi
久幸 高橋
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Isuzu Motors Ltd
Original Assignee
Isuzu Motors Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 トルクリミッタとしてのリリーフ弁の開弁圧
のバラツキを防止して高精度なトルクリミットを実現す
ると共に、リリーフ弁に適度なオーバーライド特性を与
え、従駆動輪への伝達トルクを一定に保持する。 【解決手段】 本発明は、主駆動輪2と従駆動輪11と
の回転差ΔNに基づき、主駆動輪2に伝達される駆動力
を従駆動輪11に適宜分配する差動感応型油圧カップリ
ング装置12であって、主駆動輪2に連動する第1回転
軸17と、従駆動輪11に連動する第2回転軸19と、
これら回転軸の回転差によって駆動され、その回転差に
応じた油圧を発生する油圧ポンプ24と、この油圧ポン
プからの油圧に基づき、上記回転軸同士を締結するクラ
ッチ25と、上記油圧ポンプにて発生した油圧が所定値
に達したときに、弁体91が排油ポート81と所定角を
なす方向に移動して排油ポート81を開放し、油圧の排
出により上記クラッチ25に与える油圧の上昇を抑制す
るリリーフ弁91,81とを備えたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は差動感応型油圧カッ
プリング装置に係り、特に、車両の主駆動輪(例えば後
輪)と従駆動輪(例えば前輪)との回転差を利用して、
車両の駆動状態を2WDから4WDに切り換える差動感
応型油圧カップリング装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】エンジンからの駆動力で直接駆動される
主駆動輪が、雪路や低μ路でスリップ、空転を生じた際
に、駆動力を従駆動輪即ち補助駆動輪にも伝達して、車
両の駆動状態を2WDから4WDに切り換えるカップリ
ング装置が公知である。このようなカップリング装置と
しては、主駆動輪と補助駆動輪との回転差を利用する差
動感応型のものが一般的で、現在広く普及しているもの
として高粘性流体を利用したビスカスカップリング装置
がある。
【0003】一方、それら駆動輪の回転差を利用して油
圧ポンプを駆動し、その発生油圧でクラッチを締結して
駆動輪同士を締結し、駆動状態を4WDに切り換える油
圧カップリング装置が特公平5-57131 号等において知ら
れている。この場合、主駆動輪にスリップ等がなく駆動
輪同士に回転差がないときは、油圧ポンプが駆動されず
クラッチも締結されないため車両は完全な2WD状態と
なる。従って、主駆動輪にスリップ等が生じた場合のみ
4WDとなり、これによって必要な場合のみ4WDとな
る自動4WDが実現される。
【0004】特に、前者のビスカスカップリング装置の
場合、常用領域では伝達トルクの立上りが緩やかで扱い
が容易であるものの、回転差の極めて小さい領域では伝
達トルクの立上りが急であるため、一般路面を走行中に
路面の凹凸で回転差が生じても、必要以上のトルクが頻
繁に伝達されてしまい、発熱ロスによる燃費の悪化が生
じてしまう。また、旋回時にもタイトコーナブレーキン
グ現象が顕著となる。さらに、アクセルペダルの踏み込
みにより回転差が大となれば、補助駆動輪に高トルクが
伝達されるため、駆動系にもそれに見合った強度が要求
される。
【0005】一方、後者の油圧カップリング装置の場
合、特公平5-57131 号に示されているように、油圧ポン
プから吐出される油圧の一部をオリフィスから排出する
ことにより、回転差に二乗比例するトルク伝達特性を得
られ、特に回転差の極めて小さい領域において伝達トル
クの立上りを抑制でき、前述の問題を解消することがで
きる。また、油圧回路系にリリーフ弁を設ければ、伝達
トルクの上昇を抑制するトルクリミッタが実現されるこ
とになり、これによって補助駆動輪への高トルク伝達が
防止され、駆動系を軽量化できるメリットがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、特公平5-57
131 号公報においては、トルクリミッタとしてポペット
弁タイプのリリーフ弁、即ち弁体が排油ポートと一致す
る方向に移動するものを用いているが、これだと以下の
ような問題が生ずる。
【0007】即ち、クラッチとしての多板クラッチは、
回転差の増大につれ摩擦係数が緩やかに減小する傾向を
もつため、この減小傾向を相殺して伝達トルクを一定に
するには、リリーフ弁に、リリーフ流量の増加につれ高
圧側(入口側)の油圧が増大する所謂オーバーライド特
性を持たせる必要がある。
【0008】しかし、リリーフ弁がポペット弁タイプの
ものだと絞り損失があるため、リリーフ流量の増加につ
れ高圧側の油圧が二乗比例で増大してしまい、過大なオ
ーバーライド量となり、リミットトルク以上のトルクが
伝達されてしまう問題がある。
【0009】なお、この対策として、排油ポートの全開
開口面積を増やしてスプリングのバネ定数を高く設定す
ることが考えられるが、これだと構成部品の寸法公差の
バラツキによりトルクリミットの精度が悪化してしま
う。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、主駆動輪と従
駆動輪との回転差に基づき、主駆動輪に伝達される駆動
力を従駆動輪に適宜分配する差動感応型油圧カップリン
グ装置であって、主駆動輪に連動する第1回転軸と、従
駆動輪に連動する第2回転軸と、これら回転軸の回転差
によって駆動され、その回転差に応じた油圧を発生する
油圧ポンプと、この油圧ポンプからの油圧に基づき、上
記回転軸同士を締結するクラッチと、上記油圧ポンプに
て発生した油圧が所定値に達したときに、弁体が排油ポ
ートと所定角をなす方向に移動して排油ポートを開放
し、油圧の排出により上記クラッチに与える油圧の上昇
を抑制するリリーフ弁とを備えたものである。
【0011】上記構成においては、リリーフ弁が、弁体
が排油ポートと所定角をなす方向(例えば垂直方向)に
移動する所謂スプール弁タイプのものとなっている。こ
うすると、低いバネ定数のスプリングでも、高圧側の油
圧を緩やかに上昇させることができ、これによって好適
なオーバーライド特性を得られ、一定のトルクリミット
を安定して実現できる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態
を添付図面に基づいて詳述する。
【0013】図3は、本発明に係る差動感応型油圧カッ
プリング装置が適用された車両の全体を示し、図示する
ように、車両1は、後輪2を主駆動輪とするFRベース
の4WD車となっている。即ち、エンジン3にて発生し
た駆動力はクラッチ4、トランスミッション5を介して
トランスファ6に伝達され、さらには後輪用プロペラシ
ャフト7、ディファレンシャル8、後輪用ドライブシャ
フト9を介して後輪2に伝達される。エンジン3から後
輪2までは直結的に連結され、後輪2には駆動力が常時
伝達されるようになっている。
【0014】特にトランスファ6においては、チェーン
機構10を介して前輪11への駆動力が取り出されるよ
うになっている。しかしながらこの駆動力は、詳しくは
後述するが、トランスファ6に隣接された油圧カップリ
ング装置12によって、前輪11に選択的に伝達される
ことになる。油圧カップリング装置12から駆動力が出
力された場合には、その駆動力は前輪用ドライブシャフ
ト13、前輪用ディファレンシャル14、前輪用ドライ
ブシャフト15を介して前輪11に伝達される。このよ
うに前輪11は、車両の走行状態に応じて補助的に駆動
される補助駆動輪ないし従駆動輪を形成する。なお前輪
11は操舵輪でもあり、チェーン機構10はギヤ又はベ
ルト機構等に置き換えることもできる。
【0015】図1は、油圧カップリング装置12の詳細
を示す縦断面図で、図2はその要部拡大図である。
【0016】図1に示すように、油圧カップリング装置
12は全体として略円柱状のコンパクトな構成となって
いる。具体的には、油圧カップリング装置12は、トラ
ンスファケース16の一部に中空の第1回転軸17が軸
受18を介して回転可能に支持され、第1回転軸17の
内部には第2回転軸19が挿通されて軸受20により相
対回転自在に支持されている。つまり、第1回転軸17
と第2回転軸19とは互いに相対回転自在な同軸の二重
軸を形成している。第1回転軸17は、トランスファケ
ース16内にてチェーン機構10のチェーン21及びス
プロケット22からエンジン3の駆動力を得て、後輪2
と連動するようになっている。一方、第2回転軸19
は、前輪用ドライブシャフト13に自在継手23を介し
て接続され、前輪11と連動するようになっている。
【0017】ここで、詳しくは後述するが、通常の車両
の走行状態にあって前後輪11,2が同速度で回転して
いるときは、第1回転軸17と第2回転軸19も同速度
で同一方向に回転し、回転差は生じない。しかしなが
ら、例えば雪路走行中に、後輪2が過剰な駆動力を与え
られてスリップしたときには、第1回転軸17が第2回
転軸19より高速で回転し回転差が生じる。かかる油圧
カップリング装置12は、この回転差を利用して油圧ポ
ンプ24を駆動し、その発生油圧でクラッチ25を締結
し、前輪11にも駆動力を分配伝達乃至出力して、駆動
状態を2WD(FR)から4WDに切り換えるものであ
る。逆にいえば、回転差がなければ油圧ポンプ24は駆
動されず、クラッチ25も締結されないので駆動状態は
2WDである。このように、通常は2WDなので低フリ
クションによる燃費の向上等が図れ、必要な場合のみ自
動的に4WDとなるので、操作の容易化、安全性向上等
を図れる。
【0018】次に、かかる装置の構成を詳述することと
する。
【0019】第1回転軸17は、円筒状ハウジング30
とその外側に一体的に被せられた中空軸31とから主に
構成される。ハウジング30は、その右側略半分をなす
大径部32が外部に露出され、その左側略半分をなす縮
径部33がトランスファケース16内に挿入されてい
る。縮径部33は、左端に至るにつれ階段状に縮径する
形状をなし、この縮径部33の外側に、先の中空軸31
が被せられてキー34により一体的に結合されている。
中空軸31の外周部には先のスプロケット22がキー結
合され、スプロケット22にはチェーン21が巻き掛け
られている。トランスファケース16は、一対の軸受1
8を介して中空軸31を長手方向両端で支持し、第1回
転軸17全体を回転可能に支持する。トランスファケー
ス16の右端には中空軸31に摺接するシール部材35
が設けられ、左端面にはロッド挿通穴36が軸心位置に
設けられる。特にロッド挿通穴36は、シフトレバーと
連動して進退する図示しないロッドを挿通させる。
【0020】中空軸31は、縮径部33の形状に倣う略
階段状に形成されるものの、縮径部33とキー結合する
左端部と、嵌合のみによって固定される右端部とを除い
ては、縮径部33との間に隙間37を形成している。特
に縮径部33の右端部には断面コ字状の周溝38が設け
られ、周溝38には図示しないOリングが装入される。
なお図中、他の部材においても同様の周溝が描かれてい
るが、これには全てOリングが装入されるものとして以
下に説明を省略する。中空軸31の左端部には抜け止め
のためのストッパ部材39が固定される。
【0021】図2に詳細に示すが、第2回転軸19は、
大径部32の軸心位置に配置される中空の中心軸40
と、中心軸40の左右両端部にそれぞれ一体的に固定さ
れる支持部材41及び継手部材42とから主に構成され
る。支持部材41及び継手部材42は径方向外方に延出
して軸受20に外側から支持される。そして継手部材4
2は、大径部32の右側開放端から外部に突出して、図
示しないボルト等で自在継手23に接続される。大径部
32の右端には継手部材42に摺接するシール部材43
が設けられる。支持部材41には周方向に沿って間欠的
に切欠部44が設けられ、切欠部44は中心軸40の油
圧ポート45に連通して、中心軸40の内外を相互に連
通させている。他、中心軸40には、前記油圧ポート4
5同様の径方向に沿う複数の油圧ポート46,47a,
47b,48,49が穿設されている。
【0022】油圧ポンプ24は、大径部32内の右側位
置に大径部32と同軸に配置されており、これは本出願
人が特願平6-277790号で提案したものと同様に構成され
るラジアルピストンポンプである。先ずその原理説明を
行うこととする。
【0023】図4は、図2と同様の縦断正面図、図5は
縦断側面図である。ラジアルピストンポンプaは、中心
をO1 とする回転軸bを有し、回転軸bの外周には偏心
部cが一体的に形成される。偏心部cの中心O2 は回転
軸bの中心O1 に対しSだけオフセットされる。回転軸
bにはハウジングdが相対回転自在に外側から嵌合され
る。図5に示すように、ハウジングdの内面部と偏心部
cの外面部とは断面正多角形に形成され、ハウジングd
内面の各平面部にはピストンeが、一対のリングfによ
って外側に押し付けられ固定されている。一方、偏心部
cの外側には、図6に示すシリンダリングgが、偏心部
cに対し摺接回転可能に設けられている。シリンダリン
グgはその中心穴hに偏心部cを収容し、外周部のシリ
ンダ穴iに、それぞれのピストンeを往復摺動可能に収
容する。これによって、シリンダリングgはハウジング
dに対しては相対回転不可となる。
【0024】ここで図5に示すように、ハウジングdが
固定で回転軸bのみが矢示方向に回転するとなれば、シ
リンダリングgが偏心部cの回転につれ、径方向のみに
移動する偏心円運動を行う。こうなると、シリンダ穴i
がピストンeに対し往復相対移動し、これによってシリ
ンダ室jの容積変化が生じて、作動油の吸入・吐出が順
次行われることとなる。図示状態にあっては、領域Aが
次回吐出となる領域で、作動油は最終的にポートkから
吐出される。また領域Bが次回吸入となる領域で、作動
油はポートlから吸い込まれる。そして作動油の移動方
向は図4の破線矢印方向となる。
【0025】一方、回転軸bの回転方向が矢示方向と逆
であれば、こんどは領域Aが吸入側、領域Bが吐出側と
なる。そして図4における作動油の移動方向も実線矢印
の如くなる。
【0026】ここで、ハウジングdを外部から回転可能
に支持した場合でも、ハウジングdと回転軸bとの間に
相対回転即ち回転差が生じれば同様な作用が得られる。
つまり、かかるラジアルピストンポンプaは、回転軸b
とハウジングdとの回転差により駆動されて油圧を発生
するものであり、逆に、回転差が生じていない場合に
は、回転軸bとハウジングdとが共回りするのみで駆動
がなされず、油圧も発生しない。
【0027】さて、図2に戻って、この原理に基づく油
圧ポンプ24にあっては、先の回転軸bに相当するのが
中心軸40であり、先のハウジングdに相当するのが大
径部32である。また先の偏心部cに相当するのが中心
軸40に圧入固定される偏心リング部材50であり、先
のシリンダリングgに相当するのがシリンダリング51
である。先のピストンeに相当するのがピストン52で
あり、先のリングfに相当するのがリング53である。
【0028】偏心リング部材50は、左右の端部に突起
部54,55を有し、これら突起部54,55がシリン
ダリング51及び一対のリング53を挟持するようにし
て、これらの軸方向の移動を規制している。なお図中下
方に示すが、突起部54,55にはバランサ56が一体
的に取り付けられている。ピストン52は前記同様に周
方向に複数設けられ、シリンダリング51の各シリンダ
穴57に往復摺動自在に嵌合されている。またピストン
52は中空状に形成されて軽量化が図られている。シリ
ンダリング51は偏心リング部材50の外側に相対回転
自在に嵌合されている。
【0029】次に、クラッチ25は、ここでは湿式多板
クラッチの構成が採られている。即ち、クラッチ25
は、交互に配列された複数のクラッチ板60,61から
なり、内側クラッチ板60は中心軸40に、外側クラッ
チ板61は大径部32に、それぞれスプライン62,6
3を介して取り付けられて、軸方向に移動可能で、周方
向に移動不可となっている。
【0030】これらクラッチ板60,61の左方には、
クラッチ25の締結・解除(或いは断続)を実行するた
めの油圧ピストン64が配置されている。油圧ピストン
64はその断面が左方に開放するコ字状に形成され、そ
の内面が油圧の作用面65を形成している。また、油圧
ピストン64の外周壁66の内面には、先の支持部材4
1の先端が摺接しており、油圧ピストン64の内周壁6
7は中心軸40に摺接している。これによって、詳しく
は後述するが、作用面65に作用する油圧のリークが妨
げられて、作用面65の左側には油圧室68が区画形成
されることになる。
【0031】作用面65に油圧が作用されれば、油圧ピ
ストン64は右側に押動されて互いのクラッチ板60,
61を押し付け合い、クラッチ25を締結(接続)す
る。そして油圧がなくなれば、クラッチ板60,61の
押付力もなくなってクラッチ25が自ずと解除(分断)
される。
【0032】ところで、かかる油圧カップリング装置1
2にあっては、ハウジング30内部に低圧乃至大気圧の
作動油が密閉状態で封入されている。そしてこの作動油
を油圧ポンプ24が吸入して高圧状態で吐出し、油圧ピ
ストン64の押動を生じさせクラッチ25を締結する訳
である。従って、ハウジング30は、油圧ポンプ24に
供給する作動油を貯留する油室70を区画形成し、また
油圧ポンプ24にて発生した油圧は、中心軸40内部に
形成された軸方向に沿う油圧通路71を通ってクラッチ
25に送られる。
【0033】ここで図1を参照して、ハウジング30の
左端部、或いは縮径部33の左端部は開放状態にあり、
この開放部分はピストン部材72によって油密に閉塞さ
れている。ピストン部材72は縮径部33の内面に沿っ
て摺動可能であり、通常は図示の如くストッパリング7
3に当接する左端に位置される。しかしながら、運転手
がシフトレバーを後進段に操作したときのみ、ピストン
部材72は前述のロッド(図示せず)に押されて右側に
移動する(図11参照)。なお74はロッドを当接させ
るボールである。
【0034】また、ピストン部材72の右方には制御ロ
ッド75が配置され、制御ロッド75はボール76を介
してピストン部材72に常時当接されている。図2に示
すように、制御ロッド75は、その右側略半分をなす中
空部77が、中心軸40内部の中心穴78に、軸方向に
摺動自在に挿入される。特に中空部77の内部に先の油
圧通路71が区画され、中心穴78の右端部は油圧ポー
ト49で外側と連通されて油室70となっている。
【0035】特に、中空部77の周壁部には、軸方向に
間隔を隔てた複数の油圧ポート79,80,81,8
2,83,84,85が径方向に沿って貫通形成されて
いる。これら油圧ポート79…や先の中心軸40の油圧
ポート46…が、油圧ポンプ24、油圧室68或いは油
室70と油圧通路71とを連通する連通路を形成する。
そして、油圧通路71の内部には以下に述べる種々の部
材が挿入されて、これらの部材により、油圧ポンプ24
にて発生した油圧を適宜減圧してクラッチ25に与える
ための油圧制御機構90が構成される。
【0036】油圧制御機構90は、左側から順に配置さ
れた第1弁体91、第2弁体92及び第3弁体93から
主に構成されている。これら第1、第2、第3弁体9
1,92,93は第1、第2、第3スプリング94,9
5,96で右側に付勢されている。第1弁体91の右側
への移動はストッパリング97で規制され、第2弁体9
2の右側への移動は制御スリーブ98で規制される。
【0037】制御スリーブ98は、中空部77の右端内
部に挿入され、スプリング99により左側に付勢されて
中空部77に押圧固定されている。スプリング99は同
時に、制御スリーブ98を介して制御ロッド75とピス
トン部材72とを左側に付勢している。第3弁体93
は、制御スリーブ98に軸方向に移動自在に挿入される
と共に、通常は図示の如く、制御スリーブ98の中間部
の連通ポート100を閉じている。そして連通ポート1
00の周壁部101は油圧ポート84,85間に位置さ
れ、周壁部101の左右側には制御スリーブ98の内外
を連通する油圧ポート102,103が形成される。特
に第3弁体93と周壁部101とが油圧通路71と油室
70とを仕切っている。
【0038】第2弁体92は、スプール弁の如く軸方向
に移動する管状に形成され、その内面部には、移動のた
めの油圧を作用させる絞り部104が形成されている。
絞り部104の左側には第2弁体92の内外を連通する
油圧ポート105が形成される。
【0039】第1弁体91は、中空軸部110の右端に
拡径部111を有してなり、特に中空軸部110は制御
ロッド75の小径ポート112に軸方向に摺動可能に挿
入されている。小径ポート112はその左端部において
油室70と連通している。中空軸部110の左端壁には
極小径のオリフィス穴113が、中間部には内外を連通
する油圧ポート114がそれぞれ穿設される。拡径部1
11は、中空部77の内壁に沿って軸方向に摺動可能で
あり、通常は図示の如く油圧ポート81を閉じている。
【0040】図7には、拡径部111の外周面形状が拡
大して示されている。特に(a)図を参照して、拡径部
111は、中空部77の内壁に完全に面接触する環状面
115と、環状面115の右側に形成されるテーパ面1
16(傾斜面)とから構成される。特にテーパ面116
は、その勾配が、左側の第1テーパ面117では緩やか
とされ、右側の第2テーパ面118では急とされてい
る。つまりテーパ面116は多段(ここでは二段)に形
成されている。
【0041】図1に戻って、ハウジング30の縮径部3
3には、その内周面に沿って摺動可能なフリーピストン
120が収容されている。フリーピストン120はハウ
ジング30やピストン部材72とともに作動油を密閉し
て油室70を区画形成する。フリーピストン120は段
付きの管状に形成され、その内面部で油室70を区画し
て作動油の膨張・収縮に伴ってフリーに移動できるよう
になっている。
【0042】即ち、フリーピストン120の外面部と縮
径部33の内面部とで大気圧室121が区画され、大気
圧室121は、縮径部33及び中空軸31の連通口12
2,123を介してトランスファケース16内と連通す
る。トランスファケース16内には、前述したようにチ
ェーン機構10によるトランスファ装置が収容されてお
り、これによって、トランスファケース16内は大気圧
室121と連通する収容室124となる。特に通常、ト
ランスファケース16には、その内部を外部と連通させ
るブリーザ(図示せず)が設けられ、これによって収容
室124と大気圧室121はともに大気圧となり、油室
70も大気圧に保持される。
【0043】なお、大気圧室121は、ハウジング30
内のフリーピストン120を境とする油室70の反対側
の室となり、上記ブリーザは外部との連通部を形成す
る。
【0044】さて、次に、以上の構成による油圧カップ
リング装置12の動作説明を行うこととする。
【0045】図17は、かかる装置のトルク伝達特性を
示したグラフで、横軸には前後輪11,2の回転差ΔN
が、縦軸には前輪11への伝達トルクTがとってある。
ここで、回転差ΔNはそのまま第1及び第2回転軸1
7,19の回転差に相当し、即ちΔN=(後輪2の回転
数)−(前輪11の回転数)で与えられ、これに応じて
ΔNa=(第1回転軸17の回転数)−(第2回転軸1
9の回転数)が変化する。伝達トルクTは、クラッチ2
5の油圧ピストン26に与えられる油圧の大きさに応じ
て変化する。
【0046】図示するように、詳しくは後述するが、ト
ルク伝達曲線はA〜Eの領域に分割される。領域Aで
は、伝達トルクTが回転差ΔNの二乗に比例して0から
1 まで増大するようになる。領域Bでも回転差ΔNの
増大につれ伝達トルクTがT1 からT2 まで上昇する
が、その上昇率は領域Aに比べ減小している。領域Cで
は、回転差ΔNが増大しても伝達トルクTがT2 一定で
あり、領域Dでは、回転差ΔNの増大につれ伝達トルク
Tが減小するようになる。領域Eは回転差ΔNが負とな
る領域で、ここではT=0となっている。なおこれら領
域を区画する回転差ΔNは、EA間は0,AB間は
1 ,BC間はN2 ,CD間はN3 である。
【0047】以下これらの領域について順に説明する。
先ず、後輪2のスリップ等により極小の回転差ΔNが生
ずる領域Aの場合、油圧カップリング装置12は図1の
状態となり、作動油の移動は図中矢印の如く行われるこ
ととなる。なお実線は高圧側、破線は低圧側を示す。
【0048】図2も参照して、油圧ポンプ24には、油
室70の低圧作動油が、偏心リング部材50の第1ポー
ト130から吸入される。つまり第1ポート130は油
圧ポート48,85を介して油室70に連通されてい
る。他方、第1ポート130と対向位置にある第2ポー
ト131からは高圧作動油が吐出され、油圧ポート47
a,84を介して油圧通路71に送られて、油圧通路7
1内を左方に移動することになる。さらにこの作動油な
いし油圧は、各油圧ポートが閉じられているため第1弁
体91内部に移動し、油圧通路71と油室70との唯一
の導通路となっているオリフィス穴113から油圧ポー
ト79を介して油室70に排出される。
【0049】この時、作動油がオリフィス穴113を通
過する際の絞り効果により、作動油流量に二乗比例して
油圧通路71側の油圧が上昇する。
【0050】作動油流量は、油圧ポンプ24の作動量、
つまり第1及び第2回転軸17,19間の回転差ΔNa
に比例した値となるから結局、油圧通路71内の油圧
は、前後輪間の回転差ΔNの二乗に比例して上昇するこ
とになる。
【0051】ここで、油圧通路71内の作動油は油圧ポ
ート114,80,45及び切欠部44を経由して油圧
室68と導通しているので油圧通路71内の油圧はその
まま油圧室68にも伝播され、油圧ピストン64をその
油圧に比例した力で右側に押動してクラッチ25を締結
するので、図17の領域Aの如く、伝達トルクTが回転
差ΔNに二乗比例するようになる。
【0052】このように、オリフィス穴113を有する
第1弁体91は、クラッチ25に与える油圧の上昇特性
を上述の如く決定するオリフィス部材を形成する。
【0053】次に、後輪2のスリップが増大して回転差
がN1 ≦ΔN≦N2 となる領域Bについては、装置12
の状態及び油圧の移動経路は図8の如くなる。
【0054】即ち、油圧が伝達トルクT1 に相当する値
に達すると、その油圧の力を受けて第1弁体91が第1
スプリング94に抗じて左方に移動し、油圧ポート81
を絞りながら開放するようになる。こうなると、油圧の
排出口としてオリフィス穴113に加えて油圧ポート8
1,46を経由して油室70に至るルートも形成される
から、油圧排出通路の絞り面積はオリフィス穴113の
通路面積に油圧ポート81と第1弁体91とで形成され
る絞り通路面積を加えた値となる結果、油室70への作
動油流出における絞り効果が緩和される事になり、クラ
ッチ25に至る油圧の上昇率が減小し、従って、伝達ト
ルクTの上昇率も減小するようになる。
【0055】図7(b)はこのときの様子を詳細に示し
ている。図示するように、第1弁体91が左側に移動す
ると、油圧ポート81が第1テーパ面117に臨んで開
放するようになる。そしてこのとき、油圧ポート81と
第1テーパ面117との距離が僅かであるため、油圧ポ
ート81の入口は絞り流路となって、油圧ポート81に
流入する作動油を適宜制限し、排出量を適宜制限するこ
とになる。そして、回転差の上昇につれ油圧が高まれ
ば、第1弁体91がさらに左方に移動し、絞られている
流路を拡大して作動油排出量を増加させる。こうして、
回転差に応じた油圧の排出が可能となる。
【0056】このように、油圧ポート81は、第1弁体
91の移動によって開閉される排油ポートを形成し、こ
の油圧ポート81と、第1弁体91の特に第1テーパ面
117の部分とは、油圧ポンプ24にて発生した油圧が
回転差N1 に相当する第1所定値に達したときに開弁
し、クラッチ25に与える油圧の上昇率を減小させる第
1リリーフ弁を形成する。
【0057】次に、さらに回転差ΔNが増大して油圧が
増すと、第1弁体91が図7(c)の如くさらに左側に
移動し、これによって油圧ポート81が第2テーパ面1
18に臨んで開放するようになる。このときに、回転差
ΔNがN2 ≦ΔN≦N3 となる領域Cが実現され、詳し
くは後述するが、油圧ピストン64の押し力がさらに減
小され、且つその押し力は回転差ΔNの増大につれ僅か
に増大するようになり、クラッチ25の締結力及び伝達
トルクTが一定となる。なお、油圧の移動経路は図8と
同様である。
【0058】ここで、第1弁体91において、第1テー
パ面117の勾配が小で、第2テーパ面118の勾配が
大であるから、油圧の増大量に対する作動油の排出量
を、第1テーパ面117の場合は小さく、第2テーパ面
118の場合は大きくすることができ、これにより上述
の如く二段階の特性を得ることができ、一方の第1テー
パ面117でトルクTの上昇率の減小を、他方の第2テ
ーパ面118でトルクTの上昇規制(トルクリミット)
を行うことができる。なお、テーパ面116をさらに多
段とし、より多段の特性を得ることも可能である。
【0059】このように、油圧ポート81と、第1弁体
91の特に第2テーパ面118の部分とは、油圧ポンプ
24にて発生した油圧が回転差N2 に相当する第2所定
値に達したときに開弁し、クラッチ25に与える油圧の
上昇率をさらに減小させる第2リリーフ弁を形成する。
【0060】次に、回転差ΔNがN3 ≦ΔNとなる領域
Dについては、装置12の状態及び油圧の移動経路は図
9の如くなる。
【0061】ここまでの領域A,B,Cにおける、油圧
ポンプ24から吐出された作動油の流れは、油圧ポート
47a,84を介して油圧通路71に送られ、第1弁体
91に向って流れている訳であるが、この流れの道中に
は第2弁体92が設置されており、作動油は全てこの第
2弁体92の絞り部104を通過していく。
【0062】従って、油圧通路71内の油圧は第2弁体
92の絞り部104を境に上流側(ポンプ側)と下流側
(第1弁体側)とで絞り部104の作用により、やはり
作動油流量の二乗比例の差圧が生じているため、この差
圧が第2弁体92に作用して第2弁体92を左側に押す
推力が発生している。
【0063】この差圧推力が、第2弁体92を右側に押
し付けている第2スプリング95のセット荷重を上回る
値に達すると、第2弁体92は第2スプリング95に抗
じて左方に移動し始める。
【0064】回転差ΔNがN3 となった時の作動油流量
によって第2弁体92に作用する差圧推力と、第2スプ
リング95のたわみ荷重とのバランスで決まる第2弁体
92の左方移動位置に対応して、第2弁体92に設けて
ある外周溝に開口する位置に油圧ポート82を設けると
共に第2弁体92にはこの外周溝と油圧通路71の下流
側とを連通するポート105を設けてある。これによっ
て、回転差ΔNがN3 に到達すると、それまでの領域C
での油圧の逃げ道であったオリフィス穴113及び油圧
ポート81に更にポート105を介し、油圧ポート82
からの逃げ道が追加される事になり、油圧が低下し始め
る。
【0065】この油圧の低下に伴って、第1弁体91が
第1スプリングの力で右に戻り、油圧ポート81が再び
閉じ始めるが、油圧ポート82の開口部には油圧ポート
81の開口部の様なテーパ面による絞り構造がないた
め、回転差ΔNの増加に伴う油圧ポート82での開口面
積の増加量が油圧ポート81の開口面積の減少量をはる
かに上回るため回転差ΔNがN3 を越えた領域Dでは、
回転差ΔNの増加に従って油圧ピストン64に作用する
油圧が低下の一途をたどる事になり、クラッチ25の締
結力及び伝達トルクTが減少し続ける。
【0066】このように領域Dは、領域Cでの必要な最
大伝達トルクの保証機能を果し終えた後の無意味な回転
差の増大に対して伝達トルクを低下させ、クラッチ25
での過大な発熱を防止する狙いの領域であるから、油圧
ポンプの働きも本来不要な領域である。
【0067】そこで、油圧ポート82が開口し始めた後
に、更に回転差が増大して第2弁体が更に左に移動する
事によって、第2弁体の上流側で油圧通路71を油室7
0に開口する油圧ポート83を設けておくと更に好まし
い。つまり、油圧ポート82は、第2弁体92の絞り部
104の下流側にあるため、油圧ポート82が全開し、
一旦油圧ピストン64に作用する油圧が下がりきった後
も更に回転差ΔNが増加し続けた場合、油圧ポンプ24
の負荷油圧は絞り部104の影響で再び回転差ΔNの二
乗比例で上昇し始める事になるが、ここで第2弁体の上
流側で油圧ポート83が開口すると絞り部104を経由
しないポンプ吐出油の逃げ道となるので、油圧ピストン
64に作用する油圧を低下させるだけでなく、油圧ポン
プ24の負荷油圧までも極めて低い値に維持する事が可
能となり、油圧ポンプ24の耐久性が向上する。
【0068】このように、第2弁体92及び油圧ポート
82,83は、油圧ポンプ24にて発生した油圧が回転
差N3 に相当する第3所定値に達したときに開弁し、ク
ラッチ25に与える油圧を減小する第3リリーフ弁を形
成する。
【0069】次に、領域Eについて説明する。この領域
は、前述の正の回転差ΔNとは逆の負の回転差ΔNとな
る領域で、前輪11が後輪2に比べ高回転となり、第2
回転軸19が第1回転軸17より高回転となる領域であ
る。実際上は、車両旋回時に前輪11の旋回半径が大き
くなって高回転となる場合が相当する。
【0070】図10に示すように、この場合は、油圧ポ
ンプ24が逆転駆動されることになり、図中下側の第1
ポート130が吐出側、上側の第2ポート131が吸入
側となって、ポート130,131の吸入側と吐出側と
が交替ないし切り換わる。
【0071】第1ポート130から吐出された作動油は
油圧ポート48,85から油室70に放出される。
【0072】一方、吸入側となる第2ポート131には
油室70からオリフィス穴113を介して作動油が吸入
される事になるため、このオリフィス穴113の絞り効
果により油圧通路71内の油圧は負圧となる。このた
め、油圧ピストン64にも負圧が作用する事となり、ク
ラッチ25の締結力は完全に解放され、車両1は完全な
2WD状態となる。しかし、この様な油圧機構において
作動油の圧力が過大な負圧状態となると、キャビテーシ
ョン等の問題が生じるため、これを防止する目的で第3
弁体93が設けられる。
【0073】つまり、第3弁体93には常に油圧通路7
1内の油圧が作用しており、この油圧が正圧状態の場合
には第3弁体93は右側に押し付けられるので油室70
との連通ポート100は完全に閉塞されているのに対
し、この油圧が負圧となった場合には第3弁体93には
左側に吸い寄せる力が作用するので、これが第3スプリ
ング96のセット荷重を上回る力となると第3弁体93
は左側に移動し、連通ポート100が開口する。
【0074】従って、第3スプリング96のセット荷重
を小さく設定しておけば油圧ポンプ24が逆転駆動され
る回転差が大きくなってもオリフィス穴113による発
生負圧が過大になる前に、第3スプリング96のセット
荷重により決まる極めて小さな負圧値で開口する連通ポ
ート100を介して作動油が無理なく吸入されるので、
キャビテーション等の問題が生じない。
【0075】即ち、第3弁体93は、第2回転軸19が
第1回転軸17より高回転のときに、吸入側となる第2
ポート131から油圧通路71内の作動油を吸入するこ
とで発生する負圧によって開放して、油圧通路71と油
室70とを連通するチェック弁を形成する。
【0076】次に、車両の後進時は以下のようになる。
図11に示すように、運転手がシフトレバーを後進段に
操作すると、それに連動して図示しないロッドが、ピス
トン部材72及び制御ロッド75を右側に押す。
【0077】すると特に、油圧ポート48,84が連通
して第1ポート130が油圧通路71に連通し、油圧ポ
ート47b,85が連通して第2ポート131が油室7
0に連通するようになる。ここで、第1及び第2回転軸
17,19は、前進の場合とは回転方向が逆であり、第
1回転軸17が第2回転軸19より高回転となった場
合、こんどは第1ポート130から作動油が吐出され、
第1及び第2ポート130,131の吸入側と吐出側と
が切り換わる。
【0078】従って、この作動油ないし油圧は前進時の
場合と同様の経路を辿り、クラッチ25に締結力を発生
させ、車両1を4WD状態とする。
【0079】このように、制御ロッド75は、第1及び
第2ポート130,131と、油圧通路71及び油室7
0との連通状態を車両の前後進に応じて切り換えるポー
ト切換手段を形成する。
【0080】さて、次に、このような動作を行う本装置
の特徴について説明する。
【0081】本装置の特徴としては、先ず第1に、第1
回転軸17、第2回転軸19及び油圧ポンプ24を同軸
に配置し、油圧通路71をその軸心上に配置した点が揚
げられる。
【0082】即ち、油圧通路71には、特公平5-57131
号にも見られるように油圧制御機構90が設けられるの
が通常であり、この油圧制御機構90によって、クラッ
チ25に付与される油圧の制御がなされ、トルク伝達特
性が決定されることになる。
【0083】しかし、特公平5-57131 号では、油圧通路
が軸心から径方向に離れた位置に設けられており、これ
だと油圧制御機構をなす各部材が遠心力の影響を受け、
動作に支障をきたし、油圧制御或いはトルク伝達制御を
正確に実行できなくなる虞がある。
【0084】本装置では、油圧通路71を軸心上に配置
して油圧制御機構90を設けたので、たとえ高速回転下
においても遠心力の影響を受けず、各部材の正確な動作
が確保されて、安定した正確なトルク伝達制御を実行す
ることが可能となる。
【0085】なお、油圧ポンプ24が軸心側に吸入・吐
出のための第1及び第2ポート130,131を有する
ことや、油圧ポンプ24の軸心側に各油圧ポートを配置
したことによっても、油圧通路71を軸心上に配置する
ことが可能となる。
【0086】そして、第1回転軸17、第2回転軸19
及び油圧ポンプ24を同軸に配置したので、装置全体が
コンパクトとなり、小形化が達成される利点もある。
【0087】次に、本装置の第2の特徴として、第1弁
体91により、伝達トルクTを回転差ΔNの二乗比例と
し、且つT1 に達した際には上昇率を減小できる点が揚
げられる。
【0088】即ち、回転差ΔNが0≦ΔN≦N1 であっ
て微小のとき、伝達トルクTを回転差ΔNの二乗比例と
することで、一般の凹凸路走行時や旋回時に前輪11へ
のトルク伝達が抑制され、発熱、フリクションロスによ
る燃費の悪化を防止できる。又、ΔN<0となるコーナ
リング時等においては伝達トルクをほぼ0に維持できる
ので、タイトコーナブレーキング現象等も防止できる。
【0089】図18は、従来のビスカスカップリング装
置におけるトルク伝達特性を示し、図示するように回転
差ΔNが微小のときにはトルク曲線の立ち上がりが急と
なっていると共に、ΔN<0の領域でも逆対称のトルク
伝達が発生する。これだと、一般の凹凸路走行時に前後
輪間に僅かな回転差が生じたときや、旋回走行時に前後
輪の差動が生じたときでも、過大なトルクが伝達されて
しまい前述の不具合が生じる。
【0090】本装置のA領域のトルク伝達特性は回転差
ΔNの二乗比例の特性となるため、明らかな駆動輪スリ
ップ領域であるB領域では十分な伝達トルクを確保しな
がら、微小回転差領域での伝達トルクを極めて小さく抑
えられる。
【0091】従って、一般の高μ路面走行時、路面の凹
凸や旋回時に生じる微小回転差に対しては、その拘束ト
ルクが極めて小さく、一般の4WD車の問題点であるこ
の様な路面でのタイヤの強制スリップ現象を解消できる
と共に、低μ路面で主駆動輪にスリップが生じた時には
十分なアシストトルクを補助駆動輪に自動的に伝達す
る、理想的な自動4WD機能が実現できる。
【0092】更に、低μ路面で主駆動輪にスリップが生
じた場合の補助駆動輪へのアシストトルク伝達特性もB
領域で示す様に回転差(主駆動輪のスリップ量)の増大
に伴って緩やかに補助駆動輪のアシストトルクが増大す
る特性であるため、補助駆動輪側のアシストトルクによ
るスリップ発生に対して、ドライバーのアクセルペダル
操作の加減によって制御し易くなる効果が得られ、扱い
易い4WD特性が得られる。
【0093】次に、本装置の第3の特徴として、第1弁
体91により、伝達トルクTを一定値T2 に保持できる
点が揚げられる。
【0094】即ち、特公平5-57131 号においても同様
に、油圧をリリーフ弁で逃がし、クラッチ締結力ないし
伝達トルクを一定にするようにしている。
【0095】しかし、一般的に多板クラッチのμ特性は
図19に示す通りであり、つまり回転差ΔNの増大につ
れ摩擦係数μが緩やかに減小する傾向にある。従って、
図20に示すように、リリーフ弁でクラッチに与える油
圧Pを一定圧に保持したとしても、回転差ΔNの増大に
つれ伝達トルクTが漸次減小してしまい、伝達トルクT
を一定にできない問題がある。
【0096】この対策として、リリーフ弁に、リリーフ
流量の増加につれ高圧側(入口側)の油圧が増大する所
謂オーバーライド特性を持たせることが考えられ、こう
すれば摩擦係数μの減小と相殺して、クラッチ締結力を
一定にすることができる。
【0097】しかし、特公平5-57131 号に見られるリリ
ーフ弁はポペット弁タイプのものであり、リリーフ弁全
開開口面積が小さい場合絞り損失があるため、リリーフ
流量の増加につれ高圧側の油圧が二乗比例で増大してし
まい、過大なオーバーライド量となり、リミットトルク
以上のトルクが伝達されてしまう。このため、これを避
けるためには、リリーフ弁の全開開口面積を大とすれば
良いが、これによって開弁リフト量に対するリリーフ開
口面積増加感度が高くなるため適度なオーバーライド量
を得るには、その感度を下げるべくリリーフスプリング
のバネ定数を極めて高く設定しなければならない。
【0098】しかし、こうすると構成部品の寸法公差に
対しリリーフスプリングのセット荷重のバラツキが大き
くなってしまい、リリーフ弁の開弁圧にも大きなバラツ
キが生じ、トルクリミットの精度自体が悪化する問題が
生じる。
【0099】そこで本装置では、第1弁体91を油圧ポ
ート81の直交方向に移動させるスプール弁タイプのリ
リーフ弁とし、軸方向に第1弁体91を移動させ、径方
向の油圧ポート81から油圧を排出するようにしてい
る。こうすると、油圧ポート81の全開開口面積を大き
くし、リリーフスプリングたる第1スプリング94のバ
ネ定数を低く設定しても、油圧上昇に対する油圧ポート
81の開口面積増加感度を降下させることができ、これ
によって寸法公差に基づく開弁圧のバラツキが防止でき
て、極めて高精度なトルクリミットを実現することがで
きる。なお、油圧ポート81を径方向に対し斜めに形成
し、第1弁体91の移動方向と90°以外の角度をなす
ようにすることもできる。
【0100】そしてまた、本装置では、開弁時において
油圧ポート81が第2テーパ面118に臨むようにな
る。そして油圧が上昇すると第2テーパ面118は左方
に移動し、油圧ポート81の入口領域を拡大して作動油
の排出量(リリーフ流量)を適度に増大するようにな
る。これにより、油圧上昇に対し作動油排出量を緩やか
に増大させ、図20に示すように、回転差ΔNに対し油
圧Pを緩やかに増大させ、好適なオーバーライド特性を
得て伝達トルクTを一定に保持することが可能となる。
【0101】特に、このように伝達トルクTを一定に保
持してそれ以上の上昇を抑制すると、前輪11の駆動系
に多大な強度をもたせる必要がなく軽量化等が図れる。
【0102】なお、図21は、第1弁体91の移動スト
ロークLと油圧ポート81の有効開口面積Aとの関係を
示している。また図22は、油圧ポンプ24の吐出流量
Qとクラッチ25の油圧ピストン64への作用圧Pの関
係を示している。
【0103】図21から、第1テーパ面117によるリ
リーフ領域(I) に比べ、第2テーパ面118によるリリ
ーフ領域(II)の方が、有効開口面積Aの増加率が大きい
ことが分かる。また、図22から、有効開口面積がA1
…A5 と大きくなるにつれ、吐出流量Qの上昇に対し作
用圧Pが上昇しないのが分かる。これらの特性を合わせ
て考慮することにより、前述のトルク伝達特性を得るこ
とができることとなる。
【0104】次に、本装置の第4の特徴として、第2弁
体91により、伝達トルクTを一定値T2 から減小でき
る点が揚げられる。
【0105】即ち、前述のようなトルクリミットの際
は、原理上、余分な過大トルクのエネルギを熱変換して
捨て去ることにより、駆動系の実負荷トルクを一定範囲
内に抑えようとするものである。従ってこの場合は、
(伝達トルク×回転差)に比例する発熱を伴うことにな
る。
【0106】しかし、図23に示すように、伝達トルク
(T)がリミットトルク(T2 )に到達した後にも、さ
らにエンジンを吹かして差動回転(ΔN)を上げていく
ような操作を行った場合、トルク伝達が制限される一方
で差動回転ばかりが増大し、無意味な燃料消費になるの
みならず、差動回転に比例する発熱(H)が生じて温度
が異常に上昇してしまう問題がある。
【0107】そこで本装置では、ある程度一定トルクを
維持した後は伝達トルクを減小させて、このような発
熱、温度の異常上昇を抑制し、延いては装置の耐久性向
上を図るようにしている。
【0108】図24に示すように、回転差ΔNがN2
ΔN≦N3 となる領域Cで、発熱量Hは回転差ΔNの増
大につれ増大する。そして回転差ΔN≧N3 の領域D
で、発熱量をΔN=N3 のときの値に維持するには、伝
達トルクTを図示する発熱限界トルクTH と一致させれ
ばよい。よって発熱量を異常な値としないためには、伝
達トルクTを発熱限界トルクTH 以下とすればよく、本
装置では特にそれよりも小さい値として、発熱、温度の
異常上昇を完全に防止するようにしている。これによっ
て装置の耐久性、安全性が高まり、また、伝達トルクも
一定値から減小されるため前輪駆動系への負担が軽くな
り、強度低下による軽量化、低コスト化を達成できる。
【0109】次に、本装置の第5の特徴として、第3弁
体93により、前輪11が後輪2より高回転となったと
きに、クラッチ25の締結を行わないで車両1を2WD
に維持できる点が揚げられる。
【0110】即ち、特公平5-57131 号公報では、前後輪
のいずれが高回転となった場合でもクラッチを締結し、
車両を4WD状態にするようにしている。
【0111】しかし、これだと、旋回走行時に前後輪の
旋回軌跡差が生じて前輪が高回転となったときに、後輪
に引き摺りが生じてタイトコーナブレーキング現象が生
じ、円滑な旋回を妨げ、操縦性や燃費の悪化等を招く不
具合が生じる。
【0112】そこで、本装置のように、前輪11が高回
転の場合に前輪11に駆動力を与えないようにすると、
前輪11のフリーな回転が許容され、タイトコーナブレ
ーキング現象が防止されて円滑な旋回を確保し、操縦性
や燃費の悪化を防止できる。
【0113】次に、本装置の第6の特徴として、制御ロ
ッド75により、車両後進時にも前進時と同様に、車両
1を4WD状態にできる点が揚げられる。
【0114】即ち、車両後進時において、後輪2の方が
高回転となった場合は油圧ポンプ24が逆転駆動される
ため、その吸入側ポートと吐出側ポートとが入れ換わる
ことになる。このままだと、即ち図1の状態では、吐出
された油圧が即座に低圧側に排出されてしまい、クラッ
チ25を締結できない。
【0115】そこで本装置では、これらポートの切り換
えを制御ロッド75で行って、ポートの吸入・吐出を図
11の如くさらに入れ換えることにより、吐出された油
圧をクラッチ25に与えて前輪11を駆動できるように
している。これによって、後進時にも4WDとすること
ができて、雪道での車庫入れ等も容易に可能となる。
【0116】そしてさらに、この場合も、前輪11が高
回転となった場合は第3弁体93が連通ポート100を
開き、前記同様に油圧を即座に排出するため、車両1が
2WDとなって円滑な旋回が可能となる。
【0117】次に、本装置の第7の特徴として、フリー
ピストン120で仕切られる大気圧室121を収容室1
24に連通した点が揚げられる。
【0118】即ち、フリーピストン120は、油室70
を大気圧に保持して作動油の熱膨張或いは収縮を許容
し、内圧上昇によるオイルシール劣化等を防止するため
のものである。
【0119】しかし、特開平1-250662号公報や特開平3-
266726号公報と同様に、大気圧室121を直接大気開放
し、フリーピストン120の外面部や縮径部33の内面
部(大気圧室121内面)を外気に直接さらすようにす
ると、それらに錆発生、ダスト付着等が生じ、フリーピ
ストン120の摺動を妨げてオイルシール劣化等を促進
してしまう。
【0120】そこで本装置では、大気圧室121に外気
を直接導入せず、収容室124内の大気圧の潤滑油ミス
トを導入するようにし、大気圧室121内面を適度に潤
わせて錆発生、ダスト付着等を防止し、フリーピストン
120の機能劣化を確実に防止するようにしている。
【0121】なお、前述したように、収容室124は図
示しないブリーザを介して大気開放され、また、前記同
様の考え方により、収容室を、例えば変速機を収容する
トランスミッションケース内部とすることもできる。
【0122】さて、次に変形例について説明する。
【0123】図12は、第1弁体91の特にテーパ面1
16についての変形例を示している。この場合、テーパ
面116は多段とはされず、一定の勾配を有する単なる
テーパ面となっている。このようにしても、勾配を適度
に定めることで、図17の領域Bにあたるトルク上昇率
減小か、領域Cにあたるトルク一定保持のいずれかが達
成できる。また、テーパ面の代わりに単純な平面状の傾
斜面としてもよい。
【0124】図13は、第1弁体91を一定径の円筒状
に形成し、代わりに制御ロッド75の中空部77内面
を、第1弁体91と離間して径方向外方に延出するテー
パ状に拡径した例を示している。これにおいては、第1
弁体91の左端部と、制御ロッド75の拡径部140
(拡径部分)とに、排油ポートとしての油圧ポート14
1,81がそれぞれ径方向に貫通して設けられる。そし
て通常は、(a)図の如く油圧ポート141が閉鎖され
油圧の排出がない。しかし、(b)図の如く、油圧上昇
により第1弁体91が左方に移動すると、油圧ポート1
41が開くことにより油圧が油圧ポート141,81か
ら排出される。特にこのとき、油圧ポート141はテー
パ面142に離間して臨み、その出口はテーパ面142
(傾斜面)で適当に絞られるため、油圧の排出が適宜制
限され、前記同様の作用効果をもたらすことになる。な
お、この例においてもテーパ面142を多段に形成する
ことは可能である。
【0125】図14は、図12の第1弁体91の油圧制
御部分に、移動方向に沿う溝部143を形成した例を示
す。即ち、前述の例では、外面が円錘状のテーパ面とな
っていたが、テーパの勾配が小さい場合は開弁直後の油
圧ポート81に向かう流れが極めて小さな隙間流れとな
り、オリフィス特性として好ましくない場合がある。
【0126】そこで、図15に示すように、作動油を溝
部143からも油圧ポート81に回り込ませるようにす
ることで、オリフィス特性の改善を図ることができる。
なお、この例では、溝部143が四つ設けられて断面が
十字形とされている。また、図14に示すピン144
は、制御ロッド75に対する第1弁体91の相対回転を
規制する。
【0127】図16は、図13の第1弁体91に溝部1
45を形成した例を示す。ここでは溝部145は、油圧
ポート81の周方向両側に一対が設けられている。なお
図14の例と同様に、第1弁体91の制御ロッド75に
対する相対回転は適当な手段によって規制される。
【0128】以上、本発明の好適な実施の形態について
説明してきたが、本発明はかかる形態に限定されず他の
様々な形態を採ることが可能である。
【0129】
【発明の効果】本発明は次の如き優れた効果を発揮す
る。
【0130】(1)リリーフ弁の開弁圧のバラツキを防
止でき、高精度なトルクリミットを実現できる。
【0131】(2)好適なオーバーライド特性を得ら
れ、一定のトルクリミットを安定して実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る油圧カップリング装置の全体を示
す縦断正面図で、特に領域Aにおける作動油の移動経路
も示す。
【図2】図1の要部拡大図である。
【図3】本発明に係る油圧カップリング装置が適用され
た車両の構成図である。
【図4】油圧ポンプの原理説明を行うための縦断正面図
である。
【図5】図4の縦断側面図である。
【図6】シリンダリングを示す斜視図である。
【図7】第1弁体の要部拡大縦断正面図である。
【図8】油圧カップリング装置の縦断正面図で、特に領
域B及びCでの作動油の移動経路を示す。
【図9】油圧カップリング装置の縦断正面図で、特に領
域Dでの作動油の移動経路を示す。
【図10】油圧カップリング装置の縦断正面図で、特に
領域Eでの作動油の移動経路を示す。
【図11】油圧カップリング装置の縦断正面図で、特に
車両後進時の作動油の移動経路を示す。
【図12】変形例を示す拡大縦断正面図である。
【図13】変形例を示す拡大縦断正面図である。
【図14】変形例を示す斜視図である。
【図15】変形例を示す縦断側面図である。
【図16】変形例を示す斜視図である。
【図17】本発明に係る油圧カップリング装置のトルク
伝達特性を示すグラフである。
【図18】従来のビスカスカップリング装置のトルク伝
達特性を示すグラフである。
【図19】多板クラッチのμ特性を示すグラフである。
【図20】クラッチへの油圧及び伝達トルクの変化の様
子を示すグラフである。
【図21】第1弁体のストロークと油圧ポートの有効開
口面積との関係を示すグラフである。
【図22】油圧ポンプの吐出流量とクラッチに作用する
油圧との関係を示すグラフである。
【図23】回転差に対する伝達トルク及び発熱量の関係
を示すグラフである。
【図24】回転差に対する伝達トルク及び発熱量の関係
を示すグラフである。
【符号の説明】
2 後輪(主駆動輪) 11 前輪(従駆動輪) 12 油圧カップリング装置 17 第1回転軸 19 第2回転軸 24 油圧ポンプ 25 クラッチ 71 油圧通路 81,141 油圧ポート(排油ポート、リリーフ弁) 91 第1弁体(弁体、リリーフ弁) 116,142 テーパ面(傾斜面) 117 第1テーパ面(傾斜面) 118 第2テーパ面(傾斜面) 140 拡径部(拡径部分) ΔN 回転差

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主駆動輪と従駆動輪との回転差に基づ
    き、主駆動輪に伝達される駆動力を従駆動輪に適宜分配
    する差動感応型油圧カップリング装置であって、主駆動
    輪に連動する第1回転軸と、従駆動輪に連動する第2回
    転軸と、これら回転軸の回転差によって駆動され、その
    回転差に応じた油圧を発生する油圧ポンプと、該油圧ポ
    ンプからの油圧に基づき、上記回転軸同士を締結するク
    ラッチと、上記油圧ポンプにて発生した油圧が所定値に
    達したときに、弁体が排油ポートと所定角をなす方向に
    移動して該排油ポートを開放し、油圧の排出により上記
    クラッチに与える油圧の上昇を抑制するリリーフ弁とを
    備えたことを特徴とする差動感応型油圧カップリング装
    置。
  2. 【請求項2】 上記油圧ポンプにて発生した油圧を上記
    クラッチに送るための油圧通路をさらに備え、上記弁体
    が上記油圧通路内に摺動可能に収容されると共に、上記
    排油ポートが上記油圧通路の内壁に形成された請求項1
    記載の差動感応型油圧カップリング装置。
  3. 【請求項3】 上記弁体が、上記排油ポートの開放時に
    上記排油ポートに離間して臨む傾斜面を有する請求項1
    又は2記載の差動感応型油圧カップリング装置。
  4. 【請求項4】 上記油圧通路の内壁が、上記弁体と離間
    して径方向外方に延出する傾斜面を有し、上記排油ポー
    トが、上記傾斜面又はその拡径部分に上記弁体と離間し
    て形成され、上記弁体が、その移動時に上記傾斜面に臨
    む排油ポートを有する請求項2記載の差動感応型油圧カ
    ップリング装置。
  5. 【請求項5】 上記傾斜面が多段に形成された請求項3
    又は4記載の差動感応型油圧カップリング装置。
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