JPH09234820A - 樹脂被覆金属板 - Google Patents

樹脂被覆金属板

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JPH09234820A
JPH09234820A JP8042698A JP4269896A JPH09234820A JP H09234820 A JPH09234820 A JP H09234820A JP 8042698 A JP8042698 A JP 8042698A JP 4269896 A JP4269896 A JP 4269896A JP H09234820 A JPH09234820 A JP H09234820A
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JP
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resin
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less
coating layer
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Application number
JP8042698A
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English (en)
Inventor
Kiwamu Yoshida
究 吉田
Kenji Ikishima
健司 壱岐島
Masamitsu Matsumoto
雅充 松本
Kiyoyuki Fukui
清之 福井
Yozo Hirose
洋三 広瀬
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】自動車の補修部品用素材として好適な、上塗り
密着性、溶接性、端面耐食性および加工性に優れた樹脂
被覆金属板を提供する。 【解決手段】クロメート処理等の下地処理を施された金
属板(亜鉛系および/またはアルミニウム系めっき鋼板
等)の表面に下記の組成の導電性樹脂被覆層を有する樹
P脂被覆金属板。 バインダー樹脂(硬化剤を含む) :35重量%以上65重量%以下 有機潤滑剤 :0.5重量%以上9重量%以下 りん化鉄を主成分とする導電顔料:20重量%以上45重量%以下 クロム酸系防錆顔料 :3重量%以上25重量%以下 その他の無機顔料 :0重量%以上10重量%以下 但し、、およびの合計量が29重量%以上61重
量%以下で、かつ、上記バインダー樹脂量R(重量%)
と有機潤滑剤量W(重量%)が下記(1)式を満たす。 −0.4×R+17≦W≦−0.4×R+32・・・(1)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、上塗り密着性、溶
接性、端面耐食性および加工性に優れ、自動車の補修部
品用素材として好適な樹脂被覆金属板に関する。
【0002】
【従来の技術】樹脂被覆金属板、例えば塗装鋼板は、平
板にあらかじめ塗装が施された鋼板で、成型された後、
そのまま製品の外板として使用されるプレコート鋼板
と、その上層にさらに塗装が施される鋼板とに大別され
る。
【0003】自動車の製造工程においては、様々な部品
を接合するに際し溶接を行うのが一般的である。したが
って、溶接のできないプレコート鋼板は、自動車業界で
は殆ど採用されていない。
【0004】しかしながら、自動車業界においても塗装
工程の簡略化は大きな課題で、その検討が進められてい
る。それによると、ボディ(車体部)全体のプレコート
鋼板化については、接合方法の変更や、小物部品のプレ
コート鋼板化も必要となるため、現状では困難と考えら
れているが、補修部品については、特定の部品(例え
ば、薄板部品)のプレコート鋼板化が可能であり、現在
行われている塗装(電着塗装)工程を省略することがで
きる。
【0005】ところで、従来の自動車用の樹脂被覆鋼板
を補修部品にそのまま適用しようとすると、端面耐食性
の問題が生じる。すなわち、アルカリ脱脂時のクロムの
溶出を抑制するため、樹脂被覆層中に含有させうるクロ
ム酸系防錆顔料量が制限されているので、端面の耐食性
を十分に確保することが困難である。
【0006】さらに、補修部品には補修用塗料が塗装さ
れるが、この種の塗料は自動車の製造工程で使用される
高温焼き付け型の塗料とは異なり、50℃から80℃程
度の低温焼き付け型塗料であって、従来の樹脂被覆鋼板
ではこの補修用塗料との密着性(以下、「上塗り密着
性」という)を確保することは難しい。また、補修部品
であっても、トランク、フード、リヤフェンダー等につ
いては溶接が施されるため、従来の樹脂被覆鋼板をその
まま使用することはできないという問題もある。
【0007】従来から、自動車用の素材として必要な加
工性、耐食性、溶接性等の種々の性能を併せ有する樹脂
被覆金属板(特に、樹脂被覆鋼板)の研究、開発がなさ
れてきた。溶接性についても、樹脂被覆層に導電顔料を
加えることによりスポット溶接を行うことが可能な樹脂
被覆鋼板が開発されている。しかし、必要な性能をすべ
てバランスよく兼ね備えたものはなく、自動車の補修部
品用素材としても好適とはいえない。
【0008】例えば、特公平3−76828号公報に
は、γ相単相からなるニッケル含有電気亜鉛合金めっき
鋼板の表面に、耐食層と導電性塗膜層を有する塗装積層
体が開示されている。この塗装積層体は、耐食層がクロ
ム化合物、水性シリカおよび/または水性樹脂、さらに
りん酸化合物を含み、導電性塗膜層は、分子中の芳香族
環含有率が所定限度内の塗料用樹脂、有機潤滑剤、りん
酸鉄を主成分とする導電顔料等を含むもので、溶接性、
加工性、平板部の耐食性に優れている。しかし、端面耐
食性は必ずしも十分ではなく、前記の上塗り密着性にも
問題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
現状に鑑みなされたもので、自動車の補修部品用素材と
して好適な、上塗り密着性、溶接性(連続スポット溶接
性)、端面耐食性および加工性に優れた樹脂被覆金属板
を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、導電顔料
としてりん化鉄を含有する溶接可能な樹脂被覆鋼板の性
能について調査を行い、特に、補修塗料との密着性(上
塗り密着性)を高め、十分な端面耐食性を具備させる方
策を検討した結果、以下の知見を得た。
【0011】樹脂被覆層中に含まれる樹脂、有機潤滑
剤、導電顔料、防錆顔料等の含有量を適正化することに
より、上塗り密着性、溶接性、端面耐食性および加工性
の各性能をバランスよく向上させることができる。
【0012】例えば、端面耐食性は、樹脂被覆層のめっ
き金属板との密着性および6価クロムの溶出量の影響を
強く受ける。密着性の向上に寄与する樹脂およびクロム
系防錆顔料の樹脂被覆層中における含有量を増大させる
ことにより、樹脂被覆金属板の端面耐食性を向上させる
ことができる。
【0013】また、上塗り密着性は樹脂被覆層の濡れ性
の影響を大きく受けるが、樹脂被覆層中における有機潤
滑剤およびりん化鉄の量を増すと濡れ性が低下し、それ
に伴い上塗り密着性も低下する。
【0014】また、樹脂量を減少させ、あるいはりん化
鉄量を増大させると、加工時に粉ふき(パウダリング)
が生じやすくなる。
【0015】さらに、有機潤滑剤量を増加させると樹脂
被覆層の動摩擦係数は低下するが、動摩擦係数が小さす
ぎると成形時にしわが発生しやすくなる。
【0016】以上の検討結果に基づいて、樹脂被覆層中
へのりん化鉄と有機潤滑剤の添加量を必要最小限にとど
め、樹脂量および防錆顔料量を増大させることによっ
て、上記の各性能(上塗り密着性、溶接性、端面耐食性
および加工性)を高度にバランスさせることが可能とな
り、本発明をなすに至った。
【0017】本発明の要旨は、下記の樹脂被覆金属板に
ある。
【0018】下地処理を施された金属板の表面に導電性
樹脂被覆層が形成された樹脂被覆金属板であって、前記
導電性樹脂被覆層の組成が、 バインダー樹脂(硬化剤を含む):35重量%以上65重量%以下 有機潤滑剤 :0.5重量%以上9重量%以下 りん化鉄を主成分とする導電顔料:20重量%以上45重量%以下 クロム酸系防錆顔料 :3重量%以上25重量%以下 その他の無機顔料 :0重量%以上10重量%以下 但し、りん化鉄を主成分とする導電顔料、クロム酸系防
錆顔料およびその他の無機顔料の合計量が29重量%以
上61重量%以下であり、かつ、バインダー樹脂(硬化
剤を含む)量と有機潤滑剤量が下記(1)式を満たすこ
とを特徴とする上塗り密着性、溶接性、端面耐食性およ
び加工性に優れた樹脂被覆金属板。
【0019】 −0.4×R+17≦W≦−0.4×R+32 ・・・(1) 但し、R:硬化剤を含むバインダー樹脂量(重量%) W:有機潤滑剤量(重量%) 導電性樹脂被覆層の厚みが1〜10μmである樹脂被覆
金属板は、特に溶接性、端面耐食性および加工性が良好
で、かつ安定している。
【0020】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。
【0021】1.金属板 本発明の樹脂被覆金属板に使用される基材としての金属
板は特定のものに限定されない。一般には、JIS G
3141に規定されるSPCC、SPCD、SPCE等
の鋼板、あるいは極低炭素Ti添加鋼、P添加鋼、その
他の高張力鋼の鋼板等の少なくとも片面に、亜鉛系めっ
き皮膜、アルミニウム系めっき皮膜、または亜鉛−アル
ミニウム系めっき皮膜が形成されためっき鋼板である
が、軽量化のために使用されるアルミニウム板等であっ
てもよい。その使用目的、使用部位に応じて適宜選択さ
れうる。
【0022】上記の鋼板表面に形成されるめっき皮膜と
しては、例えば、純亜鉛、亜鉛−鉄、亜鉛−コバルト合
金、亜鉛−ニッケル合金、亜鉛−マンガン合金、亜鉛−
クロム合金、亜鉛−マグネシウム合金、亜鉛−アルミニ
ウム合金、純アルミニウム、アルミニウム−マンガン合
金等のめっき皮膜があげられる。これらのめっき皮膜
は、公知の方法により形成されたものであればよい。こ
のときのめっき付着量は特に限定されないが、加工性、
耐食性および溶接性のバランスを考慮すると、片面あた
り10g/m2 以上120g/m2 以下であるのが好ま
しい。
【0023】2.下地処理 上記金属板は、その表面に下地処理が施されたものであ
る。金属板が上記のめっき鋼板の場合は、その表面にク
ロメート処理、りん酸亜鉛処理、または、りん酸亜鉛処
理+クロメート処理が施され、クロメート皮膜やりん酸
亜鉛皮膜が形成される。これらの皮膜によって、塗膜密
着性(基材鋼板とその上に形成される樹脂被覆層との密
着性)および耐食性が向上する。
【0024】クロメート皮膜は、塗布型、反応型、電解
型のいずれの方法により形成されたものであってもよい
が、塗布型クロメート処理によるものが耐食性に優れて
おり、好ましい。塗布型クロメート液の種類は特に限定
されず、市販の部分還元クロメート液を使用すればよ
い。
【0025】クロメート皮膜の付着量は、少ないと塗膜
密着性が低下し、多いと加工性が低下するので、金属ク
ロム量に換算して10mg/m2 以上100mg/m2
以下であることが好ましい。さらに好ましくは、30m
g/m2 以上80mg/m2以下である。
【0026】りん酸亜鉛皮膜は、通常のプレコート鋼板
の化成処理に使用される薬液を用いて、スプレー法、浸
漬法等の慣用手段で形成された皮膜であればよい。りん
酸亜鉛皮膜の付着量は、クロメート皮膜の場合と同様の
理由で、0.2g/m2 以上1.8g/m2 以下である
のが好ましく、さらに好ましくは、0.4g/m2 以上
1.2g/m2 以下である。
【0027】3.導電性樹脂被覆層 〈バインダー樹脂〉通常のプレコート鋼板に使用されて
いる樹脂であれば特に限定されないが、上塗り密着性、
溶接性、端面耐食性および加工性をバランスよく向上さ
せるという点を考慮すると、エポキシ樹脂、アクリル樹
脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂
の有機溶剤タイプあるいは水性化されたタイプのものが
好ましい。これらの樹脂はそれぞれ単独でも、あるいは
2種以上の組み合わせでも使用できる。
【0028】樹脂被覆層中のバインダー樹脂の含有量
は、その硬化剤を含め35重量%以上65重量%以下で
ある(以下、バインダー樹脂の含有量は、硬化剤を含む
含有量を表す)。35重量%未満では樹脂被覆層の密着
性(基材鋼板との密着性および上塗り密着性)が十分良
好とはいえず、加工時にパウダリングが生じやすくな
り、また、端面耐食性も低下する。一方、65重量%を
超えると溶接性が著しく低下する。含有量の好ましい範
囲は40重量%以上60重量%以下である。より好まし
くは、45重量%以上55重量%以下である。なお、上
記のバインダー樹脂の含有量をはじめ、樹脂被覆層を構
成する各成分の含有量は、乾燥後の樹脂被覆層における
含有量(すなわち、固形分換算含有量)を表す。
【0029】〈有機潤滑剤〉有機潤滑剤は、加工用治具
と樹脂被覆層との摩擦を減少させ、樹脂被覆層にかかる
力を弱めて加工時に生じる樹脂被覆層の損傷を防止しよ
うとするものである。低比重で樹脂被覆層中での容積分
率が大きいだけでなく、溶接時に熱分解しやすく、しか
も共存する樹脂の熱分解を促進する物質であることが好
ましい。
【0030】このような理由から、ポリエチレン、ポリ
プロピレン等のポリオレフィン系化合物や、カルボン酸
エステル系化合物、ポリアルキレングリコール等が特に
好ましい。カルボン酸エステル系化合物としては、ステ
アリン酸、オレイン酸、アジピン酸、セバシン酸等のカ
ルボン酸と、n−ブタノール、2−ブタノール、ネオペ
ンチルアルコール等とのモノエステル、ジエステル、ポ
リエステル等があげられる。また、ポリアルキレングリ
コールとしては、ポリプロピレングリコール、ポリエチ
レングリコール等があげられる。これらの有機潤滑剤
は、それぞれ単独でも、あるいは2種以上の組み合わせ
でも使用できる。
【0031】これらの有機潤滑剤の粒径は、1μm以上
10μm以下が好ましい。粒径が1μm未満では十分な
潤滑性の発現が困難であり、10μmを超えると成型時
に有機潤滑剤自身が脱落しやすくなり、押し込み疵の原
因となる。
【0032】有機潤滑剤の含有量は、0.5重量%以上
9重量%以下である。0.5重量%未満では十分な加工
性がえられない。一方、9重量%を超えると動摩擦係数
が小さくなりすぎて成型時にしわが発生したり、剥離し
た有機潤滑剤が押し込み疵の原因となりやすくなる。ま
た、上塗り密着性も著しく低下する。含有量の好ましい
範囲は、1重量%以上6重量%以下である。
【0033】さらに、有機潤滑剤量W(重量%)は下記
(1)式で表される関係を満たすことが必要である。な
お、Rはバインダー樹脂量(重量%)である。
【0034】 −0.4×R+17≦W≦−0.4×R+32 ・・・(1) この式は、樹脂被覆層の加工性を良好ならしめるために
必要な有機潤滑剤量とバインダー樹脂量との関係につい
ての検討結果に基づくもので、バインダー樹脂量Rが多
い場合は有機潤滑剤量Wが少なくてもよいことになる。
これは、バインダー樹脂自体が潤滑性を有しており、ま
た、バインダー樹脂量が多い場合には、樹脂被覆層と基
材鋼板との密着性が良好なため、有機潤滑剤量が少なく
ても優れた加工性が得られることによるものである。逆
に、バインダー樹脂量が少ない場合には、有機潤滑剤量
を増大させる必要がある。
【0035】しかし、前記の上塗り密着性や、溶接性等
との両立を考慮すると、図1に示す斜線を施した範囲が
有機潤滑剤量Wとバインダー樹脂量Rとの関係において
満たすべき条件となる。なお、前記(1)式に関しての
好ましい範囲は下記(2)式で表され、一方、バインダ
ー樹脂量Rおよび有機潤滑剤量Wについての好ましい範
囲は、前記のように、40≦R≦60および1≦W≦6
(単位は、いずれも重量%)なので、これらの条件を満
たす範囲が有機潤滑剤量Wとバインダー樹脂量Rとの関
係における好ましい範囲となる。
【0036】 −0.4×R+17≦W≦−0.4×R+30 ・・・(2) 〈導電顔料〉樹脂被覆層中には導電性を付与し、溶接性
を良好にするため、導電顔料が添加される。導電顔料と
しては、(イ)電気抵抗が低く安定しており、小量で十
分な通電効果が得られること、(ロ)溶接時の発熱によ
り溶融しない高融点物質であること、(ハ)硬度が高
く、溶接時の加圧により導電顔料が絶縁性の樹脂被覆層
を破壊し、導電性をより良好にできること、および、
(ニ)低価格で、大量供給が可能であること、等の性質
を備えた顔料が好ましい。
【0037】上記の諸条件を満たす顔料として、りん化
鉄(Fe2 P)を主成分とし、平均粒径が20μm以
下、好ましくは10μm以下の顔料が最適である。りん
化鉄を主成分とする顔料はフェロホス等の商品名で各種
のものが市販されているので、それらを単独、あるいは
組み合わせて用いればよい。
【0038】導電性樹脂被覆層中におけるりん化鉄を主
成分とする顔料の含有量は、20重量%以上45重量%
以下である。20重量%未満では十分な溶接性が得られ
ず、一方、45重量%を超えて含有させても溶接性はそ
れほど改善されないばかりか、加工性、上塗り潤滑性、
端面耐食性が低下する。好ましくは、25重量%以上4
0重量%以下である。
【0039】〈クロム酸系防錆顔料〉樹脂被覆層中に
は、端面耐食性を向上させるためのクロム酸系防錆顔料
が添加される。この顔料は上記のりん化鉄の分解抑制剤
としても有効である。
【0040】クロム酸系防錆顔料としては、例えば、ク
ロム酸亜鉛、クロム酸ストロンチウム、クロム酸カルシ
ウム、クロム酸バリウム、塩基性クロム酸鉛等があげら
れる。これらの顔料は、単独でも、あるいは2種類以上
の組み合わせでも使用できる。
【0041】導電性樹脂被覆層中におけるクロム酸系防
錆顔料の含有量は、3重量%以上25重量%以下であ
る。3重量%未満では十分な端面耐食性が得られず、2
5重量%を超えると加工性が低下するのみならず、湿潤
密着性(湿潤環境下に一定期間放置した後の密着性)が
低下し、耐食性も低下する傾向を示す。より好ましい範
囲は10重量%以上20重量%以下である。
【0042】〈その他の無機顔料〉樹脂被覆層中には必
要に応じてその他の無機顔料が添加されていてもよい。
例えば、シリカ、アルミナ、カオリン、炭酸カルシウ
ム、硫酸バリウム等の体質顔料、りん酸塩顔料、バナジ
ン酸塩顔料、モリブデン酸塩顔料等のノンクロム系防錆
顔料、酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄等の着色
顔料である。ただし、これらの無機顔料を添加する場
合、その含有量は、合計で10重量%以下とする。含有
量の合計が10重量%を超えると、加工性、溶接性が低
下する。なお、好ましい範囲は、0.5重量%以上7.
5重量%以下である。
【0043】上記の顔料、すなわち、導電顔料、クロム
酸系防錆顔料、および無機顔料の総量は、29重量%以
上61重量%以下とする。29重量%未満では、溶接性
および端面耐食性のいずれかが低下する。また、61重
量%を超えると、加工性および端面耐食性が低下する。
好ましい範囲は、34重量%以上56重量%以下であ
る。
【0044】上記の導電性樹脂被覆層の厚みは、1μm
未満では端面耐食性や加工性が劣化しやすく、10μm
を超えると溶接性が低下する傾向が認められるので、1
μm以上10μm以下であるのが好ましい。厚みがこの
範囲内であれば、特に端面耐食性や加工性、溶接性が良
好、かつ安定している。
【0045】本発明の樹脂被覆金属板は上記の構成を有
するもので、上塗り密着性、溶接性(連続スポット溶接
性)、端面耐食性および加工性に優れており、自動車の
補修部品用素材として好適である。また、自動車のボデ
ィが分割構造、すなわち、成形した小部品を接着接合や
溶接接合により組み立てる方式のものとなった際の素材
としても好適であり、自動車ボディ全体に使用され得る
可能性もある。
【0046】4.製造方法 本発明の樹脂被覆金属板は、上記の基材金属板の表面に
下地処理(例えば、クロメート処理やりん酸亜鉛処理)
を施し、その上に導電性樹脂被覆層を形成させることに
より製造することができる。
【0047】クロメート処理やりん酸亜鉛処理は、前述
したように、従来用いられている方法を適宜使用して行
えばよい。
【0048】導電性樹脂被覆層を形成させる方法も特に
限定されない。ロールコート法、カーテンフローコート
法、スプレー法等により上記の諸条件を満たすように塗
膜を塗布した後、乾燥・硬化すればよい。乾燥・硬化方
法についても特に限定されず、一般に用いられる熱風オ
ーブンや誘導加熱オーブンが適用できる。乾燥・硬化温
度は樹脂種により適宜設定されるが、一般には、最高到
達金属板温度で140℃以上260℃以下で、乾燥・硬
化時間は30秒以上3分以下である。
【0049】
【実施例】厚み0.7mmの鋼板(JIS G3141
に規定されるSPCE相当材)の両面に表1に示すめっ
きを施し、アルカリ脱脂、水洗および乾燥処理を行った
後、クロメート処理を施し、その上に樹脂被覆層を形成
させた樹脂被覆鋼板について、溶接性、加工性、端面耐
食性および上塗り密着性の各性能を評価した。なお、表
1のめっき付着量の欄の例えば「30/30」は、付着
量が表面および裏面のいずれも30g/m2 であること
を意味する。
【0050】クロメート処理は、上記のめっきを施した
鋼板の表面に市販のクロメート処理液(日本ペイント社
製 NRC300)をロールコーターで塗布し、最高到
達鋼板温度が140℃になるように熱風オーブンで40
秒間乾燥することにより行った。付着量は、表1に示す
とおりで、その表示方法は前記のめっき付着量の場合と
同じである。
【0051】樹脂被覆層の形成に際して、バインダー樹
脂としては、硬化剤にブロックタイプのジフェニルメタ
ンジイソシアネート(MDI)を用いたウレタン変性エ
ポキシ樹脂(樹脂A)と、硬化剤にブロックタイプのヘ
キサメチレンジイソシアネート(HMDI)を用いたポ
リエステル樹脂(樹脂B)とを使用した。なお、樹脂
A、樹脂Bのいずれについても、OH基/NCO基=1
/1となるように硬化剤を混合した。バインダー樹脂、
およびその含有量を表1に示す。含有量は固形分に換算
して樹脂被覆層中における重量百分率で表した値であ
る。
【0052】このバインダー樹脂に、導電顔料としての
フェロホスHRS2132(フーカーケミカルスアンド
プラスチックス社製 りん化鉄主成分導電顔料)と、ク
ロム酸系防錆顔料としてのストクロ(キクチカラー社
製)を所定量添加し、ペイントシェーカーで1時間ガラ
スビーズ分散した。次いでろ過し、有機潤滑剤としての
セダリスト3620(ヘキスト社製 粉化ポリエチレン
ワックス)と、一部のものについては無機顔料としての
シリカ(日本アエロジル社製 アエロジル130)を所
定量添加した後、ディスパーで15分間混合した。
【0053】このようにして得られた塗料の不揮発分は
50%であった。導電顔料、クロム酸酸化物系防錆顔
料、その他の無機顔料および有機潤滑剤の樹脂被覆層中
における含有量を同じく表1に示す。
【0054】この塗料をクロメート処理を施しためっき
鋼板表面にロールコーターで乾燥膜厚が5μmになるよ
うに塗布し、熱風オーブンを用いて最高到達鋼板温度が
232℃になるように1分間焼き付け硬化させ、樹脂被
覆鋼板とした。
【0055】得られた樹脂被覆鋼板の性能評価は下記の
方法により行った。
【0056】〔連続スポット溶接性〕樹脂被覆鋼板(3
00mm×250mm)2枚を重ね合わせ、先端径が5
mmの電極を用い、加圧力250kgf、通電時間12
サイクル、溶接電流8500Aの条件で連続スポット溶
接を行った。
【0057】溶接性の評価は、連続スポット溶接が可能
な打点数により以下の3段階で行い、◎であれば良好と
した。
【0058】 ◎:連続スポット溶接可能な打点数が2000点以上 △:連続スポット溶接可能な打点数が1000点以上2
000点未満 ×:連続スポット溶接可能な打点数が1000点未満 〔加工性〕円筒深絞り試験機を使用し、しわ押さえ荷重
3トン、ポンチ径50mmφ、ダイス径52.4mm
φ、ブランク径95mmφで絞り抜き、加工部のテープ
剥離試験を行った。
【0059】加工性の評価は以下の3段階で行い、◎で
あれば良好とした。
【0060】 ◎:異常なし △:テープに剥離した塗膜片が付着、パウダリングあり
(ただし、供試材に割れはなし) ×:割れあり 〔端面耐食性〕 裸材の端面耐食性 樹脂被覆鋼板(150mm×70mm)に直径25mm
φ、カエリ高さ0.3mmの穴をあけ、そのまま複合腐
食試験に供し、20サイクルの試験を行った。
【0061】なお、複合腐食試験の1サイクルは図2に
示すとおりである。
【0062】端面耐食性の評価は、20サイクルの試験
後の端面の赤錆発生状況を肉眼で調査し、以下の3段階
で行い、◎であれば良好とした。
【0063】 ◎:赤錆発生なし △:長さ5mm未満の赤錆発生 ×:長さ5mm以上の赤錆発生 塗装後の端面耐食性 樹脂被覆鋼板(150mm×70mm)に直径25mm
φ、カエリ高さ0.3mmの穴をあけ、カエリが上にな
る状態で2液型ウレタン塗料を乾燥膜厚が40μmとな
るようにスプレー塗装し、60℃で1時間焼き付けした
後、前記と同じサイクルの複合腐食試験に供し、30
サイクルの試験を行った。
【0064】端面耐食性の評価は、30サイクルの試験
後の端面の赤錆発生状況を肉眼で調査し、以下の3段階
で行い、◎であれば良好とした。
【0065】 ◎:赤錆発生なし △:長さ5mm未満の赤錆発生 ×:長さ5mm以上の赤錆発生 〔上塗り密着性〕樹脂被覆鋼板(150mm×70m
m)上に2液型ウレタン塗料を乾燥膜厚が40μmとな
るようにスプレー塗装し、60℃で1時間焼き付けし
た。その後、塗膜にカットを施し、カット部に曲げ半径
が1mmの180度の曲げ加工を行い、加工部のテープ
剥離試験を行った。
【0066】上塗り密着性の評価は以下の3段階で行
い、◎であれば良好とした。
【0067】 ◎:塗膜剥離なし △:塗膜一部剥離 ×:塗膜全面剥離 評価結果を表1に併せて示す。なお、比較例2および3
では、表中に*印を付して表示した条件のほか、導電顔
料、防錆顔料およびその他の無機顔料の合計量において
も本発明で定める範囲から外れている。
【0068】これらの結果から明らかなように、本発明
で規定する条件を満たす実施例1〜4では、溶接性(連
続スポット溶接性)、加工性、端面耐食性および上塗り
密着性のすべての性能が良好であったのに対して、比較
例1〜4では、これらの性能の少なくとも一つが劣っ
た。
【0069】
【表1】
【0070】
【発明の効果】本発明の樹脂被覆金属板は、上塗り密着
性、溶接性、端面耐食性および加工性に優れており、自
動車の補修部品用素材として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の樹脂被覆金属板の樹脂被覆層に含まれ
るバインダー樹脂量と有機潤滑剤量との適正範囲を示す
図である。
【図2】実施例で行った複合腐食試験の1サイクルを表
す説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09D 5/24 PQW C09D 5/24 PQW (72)発明者 福井 清之 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号住 友金属工業株式会社内 (72)発明者 広瀬 洋三 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号住 友金属工業株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下地処理を施された金属板の表面に導電性
    樹脂被覆層が形成された樹脂被覆金属板であって、前記
    導電性樹脂被覆層の組成が、 バインダー樹脂(硬化剤を含む):35重量%以上65重量%以下 有機潤滑剤 :0.5重量%以上9重量%以下 りん化鉄を主成分とする導電顔料:20重量%以上45重量%以下 クロム酸系防錆顔料 :3重量%以上25重量%以下 その他の無機顔料 :0重量%以上10重量%以下 但し、りん化鉄を主成分とする導電顔料、クロム酸系防
    錆顔料およびその他の無機顔料の合計量が29重量%以
    上61重量%以下であり、かつ、バインダー樹脂(硬化
    剤を含む)量と有機潤滑剤量が下記(1)式を満たすこ
    とを特徴とする上塗り密着性、溶接性、端面耐食性およ
    び加工性に優れた樹脂被覆金属板。 −0.4×R+17≦W≦−0.4×R+32 ・・・(1) ただし、R:硬化剤を含むバインダー樹脂量(重量%) W:有機潤滑剤量(重量%)
  2. 【請求項2】導電性樹脂被覆層の厚みが1〜10μmで
    ある請求項1に記載の上塗り密着性、溶接性、端面耐食
    性および加工性に優れた樹脂被覆金属板。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6368718B1 (en) * 1998-11-21 2002-04-09 Daimlerchrysler Ag Structural steel elements coated with anticorrosive coatings and process for welding the same
WO2003095195A1 (fr) * 2002-05-14 2003-11-20 Nippon Steel Corporation Materiau metallique recouvert pouvant etre soude presentant une excellente resistance a la corrosion au niveau de la partie travaillee
JP2016194137A (ja) * 2015-03-31 2016-11-17 新日鐵住金株式会社 表面処理鋼板、及び塗装部材

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WO2003095195A1 (fr) * 2002-05-14 2003-11-20 Nippon Steel Corporation Materiau metallique recouvert pouvant etre soude presentant une excellente resistance a la corrosion au niveau de la partie travaillee
US7390564B2 (en) 2002-05-14 2008-06-24 Nippon Steel Corporation Coated metal material capable of being welded which is excellent in corrosion resistance of worked zone
JP2016194137A (ja) * 2015-03-31 2016-11-17 新日鐵住金株式会社 表面処理鋼板、及び塗装部材

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