JPH09230240A - 手ぶれ補正機能を有するズームレンズ - Google Patents

手ぶれ補正機能を有するズームレンズ

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JPH09230240A
JPH09230240A JP8040045A JP4004596A JPH09230240A JP H09230240 A JPH09230240 A JP H09230240A JP 8040045 A JP8040045 A JP 8040045A JP 4004596 A JP4004596 A JP 4004596A JP H09230240 A JPH09230240 A JP H09230240A
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JP
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camera shake
lens
aberration
object side
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JP8040045A
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Kenji Konno
賢治 金野
Kotaro Hayashi
宏太郎 林
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Minolta Co Ltd
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Minolta Co Ltd
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    • G02B27/646Imaging systems using optical elements for stabilisation of the lateral and angular position of the image compensating for small deviations, e.g. due to vibration or shake
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B15/00Optical objectives with means for varying the magnification
    • G02B15/14Optical objectives with means for varying the magnification by axial movement of one or more lenses or groups of lenses relative to the image plane for continuously varying the equivalent focal length of the objective
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Abstract

(57)【要約】 【課題】手ぶれ補正に用いられるレンズ群の重量が軽
く、しかも、全長が短くコンパクトな手ぶれ補正機能を
有するズームレンズを提供する。 【解決手段】物体側から順に、正の第1群Gr1、負の
第2群Gr2、正の第3群Gr3、負の第4群Gr4か
ら成り、各群の間隔を変化させることによって変倍を行
う。広角端[W]から望遠端[T]への変倍に際し、第1群
Gr1と第4群Gr4が物体側へ移動する。第2群Gr
2を物体側から前群GrAと後群GrBに分けて、前群
GrAを平行偏心させることにより手ぶれ補正を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、手ぶれ補正機能を
有するズームレンズに関するものであり、更に詳しく
は、手ぶれ(例えば、カメラの手持ち撮影時の振動)によ
る像のぶれを防ぐことができる、一眼レフカメラに好適
なズームレンズに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、手ぶれ補正機能を有する様々
な光学系が提案されている。例えば、特開平2-135408号
公報では、正・負・正・負の4群構成において第2群全
体又は第3群全体を光軸に対して垂直方向に移動させる
ことによって手ぶれ補正を行う望遠レンズが提案されて
いる。特開平6-289298号公報では、正・負・正・正の4
群構成において第2群全体を光軸に対して垂直方向に移
動させることによって手ぶれ補正を行うズームレンズが
提案されている。特開平5-224160号公報では、正・負・
正・正・負の5群ズームにおいて第5群を負の前群と正
の後群とに分けて、負の前群を光軸に対して垂直方向に
移動させることによって手ぶれ補正を行うズームレンズ
が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】特開平2-135408号公報
で提案されている光学系は単焦点レンズであるため、そ
の手ぶれ補正のための構成は、近年高まってきている手
ぶれ補正機能付きズームレンズの要求を満たすものでは
ない。特開平6-289298号公報で提案されているズームレ
ンズでは、ズーム群である第2群全体を手ぶれ時に移動
させる構成となっているため、その第2群を移動させる
手ぶれ駆動系に大きな負担がかかるという問題がある。
特開平5-224160号公報で提案されているズームレンズで
は、変倍時の第5群の移動量が大きいため、変倍時には
重量の大きな手ぶれ駆動系をも大きく動かす必要があ
る。従って、変倍のための移動手段に大きな負担がかか
ってしまう。さらに、偏心時の手ぶれ補正移動量が広角
端と望遠端とで大きく異なるため、手ぶれ補正移動量の
計算精度が悪くなるという問題もある。
【0004】本発明はこれらの点に鑑みてなされたもの
であって、その目的は、手ぶれ補正に用いられるレンズ
群の重量が軽く、しかも、全長が短くコンパクトな手ぶ
れ補正機能を有するズームレンズを提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、第1の発明の手ぶれ補正機能を有するズームレンズ
は、物体側から順に正の屈折力を有する第1群及び負の
屈折力を有する第2群を備え、かつ、負の屈折力を有す
る最終群を最も像側に備え、各群の間隔を変化させるこ
とによって変倍を行うズームレンズであって、広角端か
ら望遠端への変倍に際して前記第1群及び前記最終群が
物体側へ移動し、前記第2群を物体側から順に前群と後
群とに分けて、前記前群又は前記後群を光軸に対して垂
直方向に移動させることによって手ぶれ補正を行うこと
を特徴とする。
【0006】第2の発明の手ぶれ補正機能を有するズー
ムレンズは、物体側から順に、正の屈折力を有する第1
群と、負の屈折力を有する第2群と、正の屈折力を有す
る第3群と、負の屈折力を有する第4群と、から成り、
各群の間隔を変化させることによって変倍を行う4群構
成のズームレンズであって、広角端から望遠端への変倍
に際して前記第1群及び前記第4群が物体側へ移動し、
前記第2群を物体側から順に前群と後群とに分けて、前
記前群又は前記後群を光軸に対して垂直方向に移動させ
ることによって手ぶれ補正を行うことを特徴とする。
【0007】上記第1,第2の発明のズームレンズは、
物体側から順に正の屈折力を有する第1群及び負の屈折
力を有する第2群を備え、負の屈折力を有する最終群を
最も像側に備えている。このようなタイプのズームレン
ズでは、ズーム群の移動の自由度を収差補正に有効に利
用することができるため、ズーム域の全てにわたって良
好な結像性能を得ることができる。
【0008】また、広角端から望遠端への変倍に際して
第1群及び最終群(すなわち、最も像側のレンズ群)が物
体側へ移動するため、充分なバックフォーカスを有し、
かつ、コンパクトなズーム光学系を達成することができ
る。さらに、広角端から望遠端への変倍に際して第3群
が物体側へ移動する構成とすれば、ズーム群の移動の自
由度が増えるため、収差補正上有利になるとともに、全
長の更に短い光学系を得ることができる。
【0009】第2の発明では、物体側から順に、正の屈
折力を有する第1群と、負の屈折力を有する第2群と、
正の屈折力を有する第3群と、負の屈折力を有する第4
群と、から成る4群構成のズームレンズにおいて、広角
端から望遠端への変倍に際して第1群及び第4群が物体
側へ移動する構成となっているため、非常にコンパクト
な望遠ズームレンズを得ることができる。
【0010】第1,第2の発明において、更に以下の条
件式(1)を満足することが望ましい。 1.3<(fT/fW)・(βLW/βLT)<7.0 …(1) ただし、 fT:望遠端での全系の焦点距離、 fW:広角端での全系の焦点距離、 βLW:広角端での最終群の倍率、 βLT:望遠端での最終群の倍率 である。
【0011】条件式(1)は、最終群が変倍にどの程度関
与しているのかを表している。条件式(1)の上限を超え
ると、最終群が変倍に関与する割合が小さくなるため、
ズームレンズ全体のコンパクト性が失われてしまう。条
件式(1)の上限を3.0にしてこれを満たすようにすれば、
更にコンパクトなズームレンズを得ることができる。条
件式(1)の下限を超えると、ズーム変倍のほとんどを最
終群が担うことになるため、変倍により生じる収差変動
が大きくなり、これを抑えることが困難になる。条件式
(1)の下限を1.45にしてこれを満たすようにすれば、更
に結像性能の優れたズームレンズを得ることができる。
【0012】一般に、一眼レフカメラ用のズーム撮影光
学系は、第1群が最も大型のレンズ群であり、レンズの
重量も相当大きいものとなっている。第1,第2の発明
のように、物体側から順に正の屈折力を有する第1群及
び負の屈折力を有する第2群を備え、かつ、負の屈折力
を有する最終群を最も像側に備え、各群の間隔を変化さ
せることによって変倍を行い、広角端から望遠端への変
倍に際して第1群及び最終群が物体側へ移動するズーム
レンズにおいても、第1群のレンズ重量は、第2群以降
のレンズに比べて非常に大きくなっている。このため、
第1群のレンズを光軸に対して垂直方向に移動させるこ
と(すなわち、平行偏心させること)によって手ぶれ補正
を行うことは、手ぶれ駆動系を大型化することになるの
で好ましくない。
【0013】また、第1,第2の発明のように、物体側
から順に正の屈折力を有する第1群及び負の屈折力を有
する第2群を備え、かつ、負の屈折力を有する最終群を
最も像側に備え、各群の間隔を変化させることによって
変倍を行い、広角端から望遠端への変倍に際して第1群
及び最終群が物体側へ移動するズームレンズでは、開口
絞りを第2群又は第3群に有するのが一般的である。開
口絞り付近では軸上光束と軸外光束とが密に集まってい
るため、開口絞り付近でのレンズ径は小さくなる。第2
群は、広角端から望遠端にかけてのズーミングにおいて
開口絞りの近くに位置するため、そのレンズ径を小さく
することは可能である。従って、小さく軽量な第2群を
手ぶれ補正に用いることは、手ぶれ駆動系にかかる負担
を大きくすることなく、手ぶれ補正を行うのには適して
いる。
【0014】しかし、第2群全体を平行偏心させること
によって手ぶれ補正を行うようにすると、平行偏心させ
るレンズ及び玉枠部の重量が大きくなるため、手ぶれ駆
動系にかかる負担も大きくなる。そこで、第1,第2の
発明では、第2群を物体側から前群と後群とに分けて、
第2群の前群又は後群を手ぶれ補正用のレンズ群(以下
「手ぶれ補正群」ともいう。)として、光軸に対して垂
直方向に移動させること(すなわち、平行偏心させるこ
と)によって手ぶれ補正を行う構成としている。この構
成によって、手ぶれ補正のために移動させるレンズ及び
玉枠部の重量を減らすことができ、その結果、手ぶれ駆
動系にかかる負担を軽減することができる。
【0015】また、変倍時のズーム移動量が大きいレン
ズ群を手ぶれ補正に用いると、手ぶれ補正群に加えて手
ぶれの補正手段も一緒に大きな距離を移動させる必要が
生じるため、変倍時の移動手段にとって大きな負担とな
る。第2群は変倍時のズーム移動量が他のレンズ群に比
べて非常に小さいため、この点においても第2群の前群
又は後群を手ぶれ補正群として用いることは非常に有利
である。
【0016】手ぶれ時の手ぶれ補正群の移動量(以下
「手ぶれ補正移動量」という。)は、ズームの広角端と
望遠端とであまり変化しないことが好ましい。この点
で、前記第1,第2の発明において、更に以下の条件式
(2)を満足することが望ましい。 0.4<MT/MW<2.5 …(2) ただし、 MT:望遠端での手ぶれ補正移動量、 MW:広角端での手ぶれ補正移動量 である。
【0017】条件式(2)の上限又は下限を超えると、手
ぶれ補正移動量がズームの広角端と望遠端とで大きく異
なることになり、任意の焦点距離で手ぶれ補正量を演算
する際に、計算誤差が生じやすくなる。
【0018】手ぶれ時に手ぶれ補正群を平行偏心させる
と、偏心収差の一つである軸上横色収差が発生するが、
これを抑えるためには、手ぶれ補正群が色補正されてい
ることが望ましい。そのためには、例えば、以下の条件
式(3)を満足することが望ましい。 νp>νn …(3) ただし、 νp:手ぶれ補正群中の正レンズのアッベ数、 νn:手ぶれ補正群中の負レンズのアッベ数 である。
【0019】手ぶれ補正のためにレンズ群を光軸に対し
て垂直方向に移動させると、通常状態(偏心前状態)では
光線の通らない所を、手ぶれ補正状態(偏心後状態)では
光線が通ることになる。この光線が有害光線となって結
像性能を低下させてしまうおそれがある。そのため、手
ぶれ補正群の物体側、手ぶれ補正群中、又は手ぶれ補正
群の像側に固定絞りを設けることによって、手ぶれ補正
時の有害光線を遮断するのが望ましく、これにより、手
ぶれ補正状態においても良好な結像性能を得ることがで
きる。
【0020】《偏心収差及び偏心収差係数》次に、本発
明に係るズームレンズのような手ぶれ補正機能を有する
光学系(以下「手ぶれ補正光学系」という。)の収差劣化
の定義を、図25に基づいて説明する。同図に示す偏心
収差(軸外像点移動誤差,片ボケ,軸上コマ及び軸上横
色収差)は、手ぶれ補正光学系の像劣化の要因となる。
【0021】[軸外像点移動誤差]{図25(A)} 偏心した光学系では、通常の歪曲収差に加えて偏心によ
る歪曲誤差が発生する。このため、手ぶれ補正光学系に
おいては、軸上(つまり、画面中心)の像点が完全に止ま
るように補正したとき、軸外の像点が完全に止まらずに
像ぶれが発生する。図25(A)中、1はフィルム面、2
は補正状態(偏心後状態)の像点、3は通常状態(偏心前
状態)の像点、4は手ぶれ補正方向を表す。
【0022】ここで、光軸をx軸方向、手ぶれ方向をy軸
方向(すなわち、手ぶれ補正方向4もy軸方向)とし、Y
(y',z',θ)を近軸像点が(y',z')である光線の手ぶれ補
正角θでの実際の像点のY座標{軸上の像点が完全に止ま
るように補正するので、常にY(0,0,θ)=0である。}とす
ると、次の式(a)が成り立つ。 ΔY(y',z',θ)=Y(y',z',θ)-Y(y',z',0) ……(a)
【0023】特に指定しない限り、y軸上の像点につい
ての軸外像点移動誤差ΔYY'及びz軸上の像点についての
軸外像点移動誤差ΔYZ'は、それぞれ以下の式(b)及び式
(c)で表される。なお、0.7fieldは新規格の24mmフィル
ムでは約12mmである。 ΔYY'={ΔY(0.7field,0,0.7゜)+ΔY(-0.7field,0,0.7゜)}/2 ……(b) ΔYZ'=ΔY(0,0.7field,0.7゜) ……(c)
【0024】[片ボケ]{図25(B)} 図25(B)中、5は光軸AXに非対称な像面を表し、6
は光軸に対称な像面を表す。光学系の非対称性によっ
て、像面5は光軸AXに対し非対称となる。これによ
り、生じるメリディオナル片ボケΔM'及びサジタル片ボ
ケΔS'は、それぞれ以下の式(d)及び式(e)で表される。 ΔM'={メリテ゛ィオナル値(y'=0.7field,z=0,θ=0.7゜)-メリテ゛ィオナル値(y'=-0.7field,z =0,θ=0.7゜)}/2 ……(d) ΔS'={サシ゛タル値(y'=0.7field, z=0,θ=0.7゜)-サシ゛タル値(y'=-0.7field,z=0,θ =0.7゜)}/2 ……(e)
【0025】[軸上コマ]{図25(C)} 図25(C)中、7は軸上光束を表し、8は軸上主光線を
表す。図示のように、軸上の光束7が軸上主光線8に対
して対称とならずにコマ収差が発生する。軸上光束7に
おいて生じる軸上コマAXCMは、次の式(f)で表される。 AXCM={Y(Upper Zornal,θ=0.7゜)+Y(Lower Zornal,θ=0.7゜)}/2 ……(f)
【0026】[軸上横色収差]{図25(D)} 像点は波長の違いによってずれるため、光学系が非対称
のとき軸上光でもずれが生じる。軸上主光線において生
じる軸上横色収差は、次の式(g)で表される。 (軸上横色収差)={Y(g線,θ=0.7゜)-Y(d線,θ=0.7゜)} ……(g)
【0027】上記偏心収差については、松居吉哉氏の論
文「偏心の存在する光学系の3次の収差論」(1990年6月
JOEM)に、その応用方法が示されている。その方法は通
常の撮影レンズが取付誤差により偏心した場合等には適
しているが、物体平面と撮影レンズ及び像平面との共軸
関係がずれる手ぶれ補正光学系には、これを直接適用す
ることができない。そこで、上記論文の方法を手ぶれ補
正光学系に直接適用できるようにするため、以下に説明
する式の変換等を行うことによって、実際の手ぶれ補正
光学系の収差を通常の3次の収差係数で表現する。
【0028】[手ぶれ補正光学系への偏心収差係数の応
用]光学系と座標との関係を示す図26に基づいて、以
下に偏心収差係数の求め方を説明する。まず、次のよう
に式を定義する。 tanω・cosφω=Y/g$ tanω・sinφω=Z/g$ R・cosφR=(g$/g)・Y* R・sinφR=(g$/g)・Z* g,g$はそれぞれ入射瞳面,物体側主平面から物体平面
(物面)OSまでの距離、ωは物点と物体側主点Hとを結ぶ
直線が基準軸となす角で、φωがそのazimuth、また、R
は物体側主平面上に換算した入射瞳半径でφRがそのazi
muthである。
【0029】物体側からν番目の面が基準軸に対してY
方向に微小量Eνだけ平行偏心したときの像平面(像面)I
S上での像点移動量ΔY,ΔZは、次の式(1A),(1B)で表
される。 ΔY=-(Eν/2αk')・[(ΔE)ν+(N・tanω)2・{(2+cos2φω)・(VE1)ν-(VE2)ν} +2R・(N・tanω)・{(2cos(φR-φω)+cos(φR+φω))・(IIIE)ν+cosφR・cosφω・(P E)ν}+R2・(2+cos2φR)・(IIE)ν] ……(1A) ΔZ=-(Eν/2αk')・[(N・tanω)2・sin2φω・(VE1)ν+2R・(N・tanω)・{sin(φR +φω)・(IIIE)ν+sinφR・sinφω・(PE)ν}+R2・sin2φR・(IIE)ν] ……(1B)
【0030】ここに、 (ΔE)ν:プリズム作用(像の横ずれ) (VE1)ν,(VE2)ν:回転非対称な歪曲 (IIIE)ν,(PE)ν:回転非対称な非点収差,像面の傾き (IIE)ν:軸上にも表れる回転非対称なコマ収差 とすると、偏心による影響を表す各偏心収差係数も、ν
番目の面から像面までのレンズ面の収差係数により、以
下の式(1C)〜(1H)で表される(#:物面上を示す添え
字。)。なお、回転偏心の場合も式(1A)〜(1H)と同様の
形の式で表現される。 (ΔE)ν=-2(αν'-αν) ……(1C) (VE1)ν=[{αν'・(μ=ν+1→k)ΣVμ}-{αν・(μ=ν→k)ΣVμ}]-[{αν'#・ (μ=ν+1→k)ΣIIIμ}-{αν#・(μ=ν→k)ΣIIIμ}] ……(1D) (VE2)ν={αν'#・(μ=ν+1→k)ΣPμ}-{αν#・(μ=ν→k)ΣPμ} ……(1E ) (IIIE)ν=[{αν'・(μ=ν+1→k)ΣIIIμ}-{αν・(μ=ν→k)ΣIIIμ}]-[{ αν'#・(μ=ν+1→k)ΣIIμ}-{αν#・(μ=ν→k)ΣIIμ}] ……(1F) (PE)ν={αν'・(μ=ν+1→k)ΣPμ}-{αν・(μ=ν→k)ΣPμ} ……(1G) (IIE)ν=[{αν'・(μ=ν+1→k)ΣIIμ}-{αν・(μ=ν→k)ΣIIμ}]-[{αν '#・(μ=ν+1→k)ΣIμ}-{αν#・(μ=ν→k)ΣIμ}] ……(1H)
【0031】ところが、手ぶれ補正光学系に偏心収差係
数を応用するには、光学系の反転により像面ISを物面OS
に置き換えて、像面ISからの収差係数を用いる必要があ
る。つまり、像点移動量を物面OS上のものに変換しなけ
ればならない。その理由を以下に説明する。
【0032】第1の理由は、偏心によって光線通過位置
に違いが生じることにある。図27(A)に示すように(L
1:偏心前の光線,L2:偏心後の光線)、上述の松居吉哉
氏の論文の方法においては、偏心レンズLSより像面IS側
の光線の通過位置が偏心レンズLSによって変わってしま
う。従って、偏心レンズLSと偏心レンズLS〜像面ISの収
差係数が偏心収差係数に関係することになる。これに対
し、図27(B)に示すように(M1:手ぶれ補正前の光
線,M2:手ぶれ補正後の光線)、手ぶれ補正光学系では
(理想的には)、偏心レンズLSより物体側の光線の通過位
置が手ぶれ補正前と手ぶれ補正後とで変わってしまう。
従って、偏心レンズLSと偏心レンズLSより物体側の収差
係数が偏心収差係数に関係することになる。
【0033】第2の理由は、物面の回転変換に起因して
収差劣化が生じることにある。上述の松居吉哉氏の論文
の方法においては、物面OS1,像面ISは共に動かない
が、手ぶれ補正光学系では、物面OS1が図28に示すよ
うに回転する。そのため、軸外像点移動誤差や片ボケ
は、回転がない場合と比べて大きく異なってしまう。図
28中、OS1は手ぶれ補正前の物面を表し、OS2は手ぶれ
補正後の物面を表す。
【0034】[反転系の収差係数と非反転系の収差係
数]上記した理由から、像点移動量を物面上のものに変
換しなければならないので、式(1A)〜(1H)の各係数を、
図29(非反転系)に基づいて表される以下の式(2A)〜(2
J)に従って変換する。なお、R( )は反転系の記号、N
は屈折率を表すものとする。R α=RN/Rg$=-α' ……(2A)R α#=α'# ……(2B)R αμ'=-αν ……(2C)R αμ'#=αν# ……(2D)R Pμ=Pν ……(2E) …同R φμ=φν ……(2F) …同R Iμ=Iν ……(2G) …同R IIμ=-IIν ……(2H) …逆R IIIμ=IIIν ……(2I) …同R Vμ=-Vν ……(2J) …逆
【0035】[手ぶれ補正群が平行偏心するときの偏心
収差係数と手ぶれ収差係数]前述の式(1A)〜(1H)は、た
だ1つの面νだけが偏心した場合を示している。そこで
さらに、式(1A)〜(1H)を複数の面i〜jが偏心した場合の
式に変形する。なお、手ぶれ補正群が平行偏心すると
き、偏心する各面i〜jの偏心量Ei〜Ejは等しいので、
式: (ΔE)i〜j=(ν=i→j)Σ{-2・(αν'-αν)} で示すように、収差係数を和として扱うことができる。
そして、αν'=αν+1より、式: (ΔE)i〜j=-2・(αj'-αi) が得られる。
【0036】その他の収差係数についても、同様にΣの
途中の項が消える。例えば、 (PE)i〜j=(μ=i→j)Σ{αν'・(μ=ν+1→k)ΣPμ-αν・(μ=ν→k)ΣPμ} =αj'・(μ=j+1→k)ΣPμ-αi・(μ=i→k)ΣPμ 更に変形して、 (PE)i〜j=(αj'-αi)・(μ=j+1→k)ΣPμ-αi・(μ=i→
j)ΣPμ ここで、 (μ=j+1→k)ΣPμ:手ぶれ補正群より後のPの和(ペッツ
バール和) (μ=i→j)ΣPμ:手ぶれ補正群のPの和 である。 (PE)i〜j=(αj'-αi)PR-αi・PD ただし、 ( )R:手ぶれ補正群より後の収差係数の和 ( )D:手ぶれ補正群の収差係数の和 である。
【0037】上記のように、像点移動量の物面上のもの
への変換と、複数の面i〜jが偏心した場合の式への変形
とによって、次の式(3A)〜(3F)で表される偏心収差係数
が得られる。そして、各偏心収差係数を式(3A)〜(3F)の
通りに定義し直すと、式(1A)〜(1H)を物面上の像点移動
量を表す式として、そのまま用いることができる。 (ΔE)i〜j=-2・(αj'-αi) ……(3A) (VE1)i〜j=(αj'-αi)・VR-(αj'#-αi#)・IIIR-(αi・VD-αi#・IIID) ……( 3B) (VE2)i〜j=(αj#-αi#)・PR-αi#・PD …(3C) (IIIE)i〜j=(αj'-αi)・IIIR-(αj'#-αi#)・IIR-(αi・IIID-αi#・IID) … …(3D) (PE)i〜j=(αj'-αi)・PR-αi・PD ……(3E) (IIE)i〜j=(αj'-αi)・IIR-(αj'#-αi#)・IR-(αi・IID-αi#・ID) ……
(3F )
【0038】[軸外像点移動誤差]次に、軸外像点移動
誤差を説明する。(反転した系の)偏心収差係数をΔE,
VE1,VE2,IIIE,PE,IIEとする。物面上での偏心による
像点移動(物面上回転変換前)は{主光線(R=0)において
は}、次の式(4A),(4B)で表される。なお、式(4A),(4
B)は、式(1A),(1B)のRをR=0としたものである。 ΔY#=-(E/2α'k)・[ΔE+(N・tanω)2・{(2+cos2φω)VE1-VE2}] ……(4A) ΔZ#=-(E/2α')・{(N・tanω)2・sin2φω)・VE1} ……(4B)
【0039】上記式(4A),(4B)に基づいて、次の式(4
C),(4D)が得られる(軸上光、tanω=0)。 ΔY0#=-(E/2α'k)・ΔE ……(4C) ΔZ0#=0 ……(4D)
【0040】次に、図30に基づいて回転変換を説明す
る。図30(A)から式: Y#=g$k・tanω が成り立つ。正弦定理により、 Y'#/{sin(π/2-ω')}=(Y#+ΔY#-ΔY0#)/{sin(π/2+ω'
-θ)} となり、回転変換後のΔY'#は、次の式: ΔY'#=(Y'#)-(Y#) =[Y#・cosω'+{(ΔY#)-(ΔY0#)}・cosω'-Y#・cos(ω'-θ)]/cos(ω'-θ ) で表される。この式の分子のみを変形する。 [Y#・cosω'+{(ΔY#)-(ΔY0#)}・cosω'-Y#・cos(ω'-θ)] =Y#・cosω'+{(ΔY#)-(ΔY0#)}・cosω'-Y#・cosθ・cosω'-Y#・sinθ・si nω' =(1-cosθ)・Y#・cosω'+{(ΔY#)-(ΔY0#)}・cosω'-Y#・sinθ・sinω' ここで、θは小さく他の2項に比べて無視できるので、
(1-cosθ)≒θ2/2,sinθ≒θである。また、cosω'/{c
os(ω'-θ)}≒1,sinω'/{cos(ω'-θ)}≒tanωであ
る。
【0041】従って、式: ΔY’#≒(ΔY#-ΔY0#)-Y#・θ・tanω が得られる。(ΔY#-ΔY0#)は平行偏心の軸外像点移動誤
差を表し、Y#・θ・tanωは回転による付加項(収差係数と
は関係ない)を表す。ただし、このときのωはXY断面上
なので、 ΔY'#≒(ΔY#-ΔY0#)-Y#・θ・tanω・cosφω ……(5A) となる。
【0042】ついで、図31に基づいて像面ISへの変換
を説明する。倍率βは、式: β=g$1/g$k=αk'/α1 で表される。ここで、α1=1/g$1である。一方、像面IS
と物面OSとには、式: Y=β・Y# の関係があり、また、Y#やΔY#は1/αk'×( )の形とな
っているので、次のように変形する。 Y=β・Y# =(αk'/α1)・(1/αk')×( ) =g$1×( ) ここで、g$k'→∞とすると、g$1=-Flとなる。従って、
式: Y=-Fl×( ) =-Fl×αk'×Y# が成り立つ。
【0043】次に、像面上の軸外像点移動誤差を説明す
る。偏心量Eは、式(4C)及びαk'=1/gk'$より、以下の
式: θ=ΔY0#/g$k'=E・ΔE/2 E=2・θ/ΔE で表される。この手ぶれ補正角θが一定となるように規
格化する(0.7deg=0.0122173rad)。
【0044】平行偏心(回転変換しない)により、ΔY=
(ΔY#-ΔY0#)を像面変換すると(ここで、N・tanω=Φ/F
l,Φ2=Y2+Z2)、以下の式(6A)〜(6D)が得られる。 ΔY=(θ・Φ2/Fl)・[{(2+cos2・φω)・VE1-VE2}/ΔE] ……(6A) ΔZ=(θ・Φ2/Fl)・[{(sin2・φω)・VE1-VE2}/ΔE] ……(6B) Y+像点,Y-像点{式(6A),(6B)のφω=0,π}: ΔYY=(θ・Y2/Fl)・{(3・VE1-VE2)/ΔE} ……(6C) Z像点{式(6A),(6B)のφω=π/2}: ΔYZ=(θ・Z2/Fl)・{(VE1-VE2)/ΔE} ……(6D)
【0045】次に、回転変換を行う。Y#=-Y/(Fl×
αk')であるので、式(5A)中の-Y#・θ・tanω・cosφωに
関し、式: -Y#・θ・tanω・cosφω=Y/(Fl×αk')・θ・tanω・cosφ
ω が成り立つ。Y+像点,Y-像点では、φω=0,π、また、
tanω/αk'=Yであるので、像面での-Y#・θ・tanω・cosφ
ω=Y2・θ/Flである。これを式(6C)に加えると、次の式
(6E)が得られる。一方、Z像点では、φω=π/2である
ので、像面での-Y#・θ・tanω・cosφω=0である。これ
を式(6D)に加えると、次の式(6F)が得られる。 ΔYY'=(θ・Y2/Fl)・{(3・VE1-VE2-ΔE)/ΔE} ……(6E) ΔYZ'=ΔYZ ……(6F)
【0046】[片ボケ]次に、片ボケを説明する。式(1
A),(1B)から、ΔMは{ΔYの(Rの1次の項)φR=0}×g$k'
であり、ΔSは{ΔZの(Rの1次の項)φR=π/2}×g$k'で
ある。まず、回転前の物面OS上では(ここで、αk'=Nk'/
g$k',E/2=θ/ΔEを用いる。)、式: ΔM#=(-g$k'2・θ/Nk')×2・R・(N・tanω)・cosφω・{(3・I
IIE+PE)/ΔE} が成り立つ。そして、回転後は式: ΔM'#≒ΔM#+θY# が成り立つ。
【0047】像面上に変換すると共に、N’=1,N=
1とすると、式: ΔM'=β2・ΔM'# =-g$1 2・θ×2・R・tanω・cosφω・{(3・IIIE+PE)/ΔE}+β・Y・θ が得られ、物面OSを∞とすると(ここで、g$1=-Fl,β→
0,tanω=Y/Fl,φω=0とする。)、メリディオナル片ボ
ケΔM'を表す式(7A)が得られる。同様にして、サジタル
片ボケΔS'を表す式(7B)が得られる。 ΔM'=-2・Fl・Y・θ・R・{(3・IIIE+PE)/ΔE} ……(7A) ΔS'=-2・Fl・Y・θ・R・{(IIIE+PE)/ΔE} ……(7B)
【0048】[軸上コマ]次に、軸上コマを説明する。
式(1A)に基づき、ω=0,Upperの偏心によるコマは、
式: ΔYUpper#=ΔY#(ω=0,φR=0)−ΔY#(ω=0,R=0) =-E/(2・α')×R2×3・IIE で表され、ω=0、Lowerの偏心によるコマ(ΔYUpper#と
符号を含めて同じである。)は、式: ΔYLower#=ΔY#(ω=0,φR=π)−ΔY#(ω=0,R=0) =-E/(2・α')×R2×3・IIE で表される。
【0049】ω=0なので、軸上コマは回転変換に対して
ほとんど変化しない。物面OSから像面ISへの変換により
(ΔY=β・ΔY#,E/2=θ/ΔE)、式: ΔYUpper=Fl×θ×R2×(3・IIE/ΔE)=ΔYLower が得られ、軸上コマAXCMは、次の式(8A)で表される。 AXCM=(ΔYUpper+ΔYLower)/2 =ΔYUpper ……(8A)
【0050】以上のようにして得られた式(6E),(6
F),(7A),(7B),(8A)中の一部を、新たに以下の式(9A)
〜(9E)で表す手ぶれ収差係数として定義する。 y軸上像点の軸外像点移動誤差… VEY={(3・VE1-VE2-ΔE)/ΔE} …(9A) z軸上像点の軸外像点移動誤差… VEZ={(VE1-VE2)/ΔE} …(9B) メリディオナル片ボケ…………… IIIEM={(3・IIIE+PE)/ΔE} …(9C) サジタル片ボケ…………………… IIIES={(IIIE+PE)/ΔE} …(9D) 軸上コマ…………………………… IIEA={(3・IIE)/ΔE} …(9E)
【0051】上記手ぶれ収差係数を表す式(9A)〜(9E)に
式(3A)〜(3F)を代入して整理すると、手ぶれ収差係数を
表す以下の式(10A)〜(10E)が得られる。 VEY=-1/2・{3VR-3VD・A+2-(3・IIIR+PR)・H#+(3・IIID+PD)・A#} ……(10A) VEZ=-1/2・{VR-VD・A-(IIIR+PR)・H#+(IIID+PD)・A#} ……(10B) IIIEM=-1/2・{(3・IIIR+PR)-(3・IIID+PD)・A-3・IIR・H#+3・IID・A#} ……(10C) IIIES=-1/2・{(IIIR+PR)-(IIID+PD)・A-IIR・H#+IID・A#} ……(10D) IIEA=-3/2・(IIR+IID・A-IR・H#+ID・A#) ……(10E) ただし、 ( )D:手ぶれ補正群の収差係数の和 ( )R:手ぶれ補正群より後(物体側)の収差係数の和 A=αi/(αj'-αi) (ここで、手ぶれ補正群をi〜jとす
る。) A#=αi#/(αj'-αi) H#=(αi'#-αi#)/(αj'-αi) である。
【0052】ΔE=-2・(αj'-αi)は{ここで、(αj'-αi)
は0.7°/mmのとき±0.0122173である。}、(手ぶれ補正
角)/(レンズ偏心量)の係数なので、ほぼ所定の値を目指
す(ただし、手ぶれ補正群が正か負かで符号が異な
る。)。従って、Aは(像側から見た)手ぶれ補正群へのマ
ージナル光線の入射角であり、A#は主光線の入射角に比
例する。手ぶれ補正群中でh#やhがあまり変化しない場
合、H#は主光線のh#とマージナル光線のhとの比を表
す。
【0053】上記式(10A)〜(10E)内の各偏心収差係数は
反転系で定義されているので、これらを再度、非反転系
に戻さなければならない。そこで、式(10A)〜(10E)内の
各係数を上述の式(2A)〜(2J)を使って非反転系に戻す
と、以下の式(11A)〜(11E)が得られる。 VEY=+1/2・{3VF-3VD・A-2+(3・IIIF+PF)H#-(3・IIID+PD)・A#} ……(11A) VEZ=+1/2・{VF-VD・A+(IIIF+PF)H#-(IIID+PD)・A#} ……(11B) IIIEM=-1/2・{(3・IIIF+PF)-(3・IIID+PD)・A+3・IIF・H#-3・IID・A#} ……(11C) IIIES=-1/2・{(IIIF+PF)-(IIID+PD)・A+IIF・H#-IID・A#} ……(11D) IIEA=+3/2・(IIF-IID・A+IF・H#-ID・A#) ……(11E) ただし、 ( )D:手ぶれ補正群、非反転系の収差係数の和 ( )F:手ぶれ補正群より前の収差係数の和 A=-αn'/(αn'-αm) A#=αn'#/(αn'-αm) H=-(αn'#-αm#)/(αn'-αm)=-(Σhμ#・φμ)/(Σhμ
・φμ) ΔE=-2(αn'-αm) である(手ぶれ補正群をm→n,反転j←i)。
【0054】上記式(11A)〜(11E)から以下のことが分か
る。第1に、前述したように、松居吉哉氏の上記論文の
方法では手ぶれ補正群(すなわち、偏心レンズLS)とそれ
より後の光学系とが光学性能に関係するが、式(11A)〜
(11E)では手ぶれ補正群とそれより前の光学系とが光学
性能に関係する。第2に、軸外像点移動誤差は広角系
(手ぶれ補正群の焦点距離Flが分母)で大きくなり、片ボ
ケ,軸上コマは望遠系で大きくなる傾向がある。
【0055】第3に、手ぶれ補正群とそれより前の群の
収差係数を小さくすれば、偏心時の収差劣化は小さくな
るが、軸外像点移動誤差ΔYY’の係数VEYには、定数(式
(11A)中の{ }内の-2)が残る。これは、物面OSと像面IS
とが、回転ブレによって傾いた関係になるため発生する
項である。この定数項(-2)による軸外像点移動誤差は、
広角系で非常に大きくなる。例えば、焦点距離Fl=38mm
では、軸外像点移動誤差ΔYY'=-72μmになり、無視で
きない。また、この定数項(-2)による軸外像点移動誤差
は、各収差係数を"0"にしても残ってしまう。従って、
定数項(-2)を相殺するように各収差係数を設定すること
が望ましい。
【0056】第4に、偏心時の収差劣化を小さくするた
めには、各収差係数を小さくするとともに、収差係数に
かかる係数A,A#,H#等を小さくする必要がある。A,A#
については、分母のαn'-αmを大きくすればよいが、こ
れはΔE=-2(αn'-αm)に直結するため、大きすぎるとブ
レ補正感度(何mmレンズを偏心させると光束を何度曲げ
るか)が高くなりすぎ、メカ的な駆動精度が必要にな
る。H#については、手ぶれ補正群が絞りに近い方が、各
面のh#が小さくなり、H#も小さくなる。
【0057】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施した手ぶれ補
正機能を有するズームレンズを、図面を参照しつつ説明
する。図1,図5,図9,図13,図17,図21は、
第1〜第6の実施の形態にそれぞれ対応する通常状態
(偏心前状態)でのレンズ構成図であり、広角端[W]での
レンズ配置を示している。また、各レンズ構成図中、ri
(i=1,2,3,...)は物体側から数えてi番目の面の曲率半
径、di(i=1,2,3,...)は物体側から数えてi番目の軸上面
間隔を示している。図1,図5,図9,図13,図1
7,図21中の矢印m1,m2,m3,m4は、第1群
Gr1,第2群Gr2,絞りS及び第3群Gr3,並び
に第4群Gr4の広角端[W]から望遠端[T]にかけての
ズーム移動をそれぞれ模式的に示しており、さらに、図
21中の矢印m5は、第5群Gr5の広角端[W]から望
遠端[T]にかけてのズーム移動を模式的に示している。
【0058】第1〜第5の実施の形態は、物体側から順
に、正の屈折力を有する第1群Gr1と、負の屈折力を
有する第2群Gr2と、正の屈折力を有する第3群Gr
3と、負の屈折力を有する第4群Gr4と、から成り、
各群の間隔を変化させることによってズーミングを行う
ズームレンズである。第1,第2,第5の実施の形態で
は、第2群Gr2を物体側から順に前群GrAと後群G
rBとに分けて、前群GrAを平行偏心させること(つ
まり、光軸AXに対して垂直方向に移動させること)に
よって手ぶれ補正が行われる。第3,第4の実施の形態
では、第2群Gr2を物体側から順に前群GrAと後群
GrBとに分けて、後群GrBを平行偏心させることに
よって手ぶれ補正が行われる。また、第5の実施の形態
では、前群GrAと後群GrBのそれぞれ向かい合う面
(すなわち、曲率半径r8,r9の面)が、お互いを打ち消し
合うような非球面となっている。これによって、通常撮
影時の性能を変化させることなく、手ぶれ時の収差を良
好に補正することができる。
【0059】第6の実施の形態は、物体側から順に、正
の屈折力を有する第1群Gr1と、負の屈折力を有する
第2群Gr2と、正の屈折力を有する第3群Gr3と、
正の屈折力を有する第4群Gr4と、負の屈折力を有す
る第5群Gr5と、から成り、各群の間隔を変化させる
ことによってズーミングを行うズームレンズである。第
6の実施の形態では、第2群Gr2を物体側から順に前
群GrAと後群GrBとに分けて、後群GrBを平行偏
心させることによって手ぶれ補正が行われる。
【0060】各実施の形態において、手ぶれ補正のため
に平行偏心する手ぶれ補正群は、第2群Gr2を構成し
ている重量の軽い前群GrA又は後群GrBであるた
め、手ぶれ駆動系にかかる負担も軽くなっている。しか
も、各群のズーム移動,パワー配置は、全長を短くしコ
ンパクト化する上で効果的なものとなっている。
【0061】
【実施例】以下、本発明を実施した手ぶれ補正機能を有
するズームレンズの構成を、コンストラクションデー
タ,収差性能等を挙げて更に具体的に説明する。ここで
例として挙げる実施例1〜実施例6は、前述した第1〜
第6の実施の形態(図1,図5,図9,図13,図1
7,図21)にそれぞれ対応する実施例である。そし
て、各実施例のコンストラクションデータにおいて、ri
(i=1,2,3,...)は物体側から数えてi番目の面の曲率半
径、di(i=1,2,3,...)は物体側から数えてi番目の軸上面
間隔(ここでは、偏心前状態について示す。)を示してお
り、Ni(i=1,2,3,...),νi(i=1,2,3,...)は物体側から数
えてi番目のレンズのd線に対する屈折率(Nd),アッベ
数(νd)を示している。また、コンストラクションデー
タ中、ズーミングにより変化する軸上面間隔は、広角端
[W]〜ミドル(中間焦点距離状態)[M]〜望遠端[T]での
各群間の実際の面間隔であり、各状態に対応する全系の
焦点距離f及びFナンバーFNOを併せて示す。
【0062】また、実施例5,6中、曲率半径riに*印
を付した面は、非球面で構成された面であることを示
し、非球面の面形状を表わす次の式(AS)で定義されるも
のとする。 X=C・Y2/{1+(1-ε・C2・Y2)1/2}+A4・Y4+A6・Y6+A8・Y8+A10・Y10+A12・Y12 …(AS ) ただし、 X :光軸方向の基準面からの変位量、 Y :光軸に対して垂直な方向の高さ、 C :近軸曲率、 ε:2次曲面パラメータ、 A4,A6,A8,A10,A12:4次,6次,8次,10次,12次
の非球面係数である。
【0063】さらに、表1に各実施例における条件式の
対応値を示し、表2に各実施例における屈折力に関する
データを示す。なお、表2中、φ1は第1群の屈折力、
φ2は第2群の屈折力、φLは最終群の屈折力を表す。
【0064】《実施例1》 f=82.2〜160.0〜233.6 FNO=4.60〜5.81〜6.19 [曲率半径] [軸上面間隔] [屈折率] [アッベ数] 〈第1群Gr1 …正〉 r1 100.722 d1 1.700 N1 1.61293 ν1 36.96 r2 49.221 d2 6.460 N2 1.49310 ν2 83.58 r3 -1678.106 d3 0.100 r4 56.111 d4 3.820 N3 1.49310 ν3 83.58 r5 859.262 d5 3.300〜27.890〜41.425 〈第2群Gr2 …負〉 {前群GrA …手ぶれ補正群} r6 -69.399 d6 1.830 N4 1.71300 ν4 53.93 r7 34.412 d7 3.000 r8 38.193 d8 2.750 N5 1.67339 ν5 29.25 r9 1893.115 d9 2.000 r10 -35.714 d10 1.215 N6 1.51728 ν6 69.43 r11 -29.097 d11 2.000 {後群GrB} r12 -24.999 d12 1.215 N7 1.51728 ν7 69.43 r13 -30.588 d13 20.004〜4.713〜1.036 〈絞りS,第3群Gr3 …正〉 r14 ∞(絞りS) d14 1.380 r15 60.855 d15 1.300 N8 1.84666 ν8 23.82 r16 26.095 d16 2.460 r17 41.450 d17 2.840 N9 1.51680 ν9 64.20 r18 -111.975 d18 0.400 r19 35.623 d19 4.550 N10 1.51680 ν10 64.20 r20 -42.960 d20 20.260〜9.024〜0.874 〈第4群Gr4 …負〉 r21 206.481 d21 1.080 N11 1.71300 ν11 53.93 r22 24.106 d22 1.540 r23 -195.003 d23 3.480 N12 1.67339 ν12 29.25 r24 -18.789 d24 1.130 N13 1.75450 ν13 51.57 r25 ∞ Σd= 89.815〜87.878〜89.586
【0065】 《実施例2》 f=82.2〜160.0〜233.6 FNO=4.60〜5.81〜6.60 [曲率半径] [軸上面間隔] [屈折率] [アッベ数] 〈第1群Gr1 …正〉 r1 103.105 d1 1.700 N1 1.61293 ν1 36.96 r2 47.562 d2 6.460 N2 1.49310 ν2 83.58 r3 -214.862 d3 0.100 r4 50.735 d4 3.820 N3 1.49310 ν3 83.58 r5 247.066 d5 3.300〜25.679〜34.769 〈第2群Gr2 …負〉 {前群GrA …手ぶれ補正群} r6 -70.232 d6 1.830 N4 1.71300 ν4 53.93 r7 33.675 d7 1.000 r8 20.095 d8 2.000 N5 1.51728 ν5 69.43 r9 24.008 d9 2.000 {後群GrB} r10 30.117 d10 1.215 N6 1.51728 ν6 69.43 r11 19.468 d11 1.000 r12 27.326 d12 2.750 N7 1.67339 ν7 29.25 r13 157.462 d13 22.913〜7.665〜1.036 〈絞りS,第3群Gr3 …正〉 r14 ∞(絞りS) d14 1.380 r15 86.768 d15 1.300 N8 1.84666 ν8 23.82 r16 28.577 d16 2.460 r17 46.617 d17 2.840 N9 1.51680 ν9 64.20 r18 -58.745 d18 0.400 r19 34.744 d19 4.550 N10 1.51680 ν10 64.20 r20 -42.470 d20 18.566〜7.464〜0.874 〈第4群Gr4 …負〉 r21 488.716 d21 1.080 N11 1.71300 ν11 53.93 r22 24.791 d22 1.540 r23 -153.247 d23 3.480 N12 1.67339 ν12 29.25 r24 -17.314 d24 1.130 N13 1.75450 ν13 51.57 r25 ∞ Σd= 88.815〜84.843〜80.715
【0066】《実施例3》 f=82.2〜160.0〜233.6 FNO=4.60〜5.81〜6.12 [曲率半径] [軸上面間隔] [屈折率] [アッベ数] 〈第1群Gr1 …正〉 r1 113.986 d1 1.700 N1 1.61293 ν1 36.96 r2 53.568 d2 6.460 N2 1.49310 ν2 83.58 r3 -277.902 d3 0.100 r4 51.402 d4 3.820 N3 1.49310 ν3 83.58 r5 313.208 d5 3.300〜26.254〜39.244 〈第2群Gr2 …負〉 {前群GrA} r6 -58.146 d6 1.830 N4 1.71300 ν4 53.93 r7 36.289 d7 1.000 r8 29.826 d8 1.215 N5 1.51728 ν5 69.43 r9 48.766 d9 2.500 {後群GrB …手ぶれ補正群} r10 61.169 d10 1.215 N6 1.51728 ν6 69.43 r11 29.572 d11 1.000 r12 36.154 d12 2.750 N7 1.67339 ν7 29.25 r13 -598.254 d13 22.097〜5.758〜1.036 〈絞りS,第3群Gr3 …正〉 r14 ∞(絞りS) d14 1.380 r15 72.175 d15 1.300 N8 1.84666 ν8 23.82 r16 25.379 d16 2.460 r17 49.093 d17 2.840 N9 1.51680 ν9 64.20 r18 -82.965 d18 0.400 r19 29.756 d19 4.550 N10 1.51680 ν10 64.20 r20 -40.741 d20 19.667〜8.830〜0.874 〈第4群Gr4 …負〉 r21 170.677 d21 1.080 N11 1.71300 ν11 53.93 r22 22.780 d22 1.540 r23 -161.563 d23 3.480 N12 1.67339 ν12 29.25 r24 -17.326 d24 1.130 N13 1.75450 ν13 51.57 r25 ∞ Σd= 88.815〜84.593〜84.906
【0067】《実施例4》 f=82.2〜160.0〜233.6 FNO=4.69〜5.81〜6.03 [曲率半径] [軸上面間隔] [屈折率] [アッベ数] 〈第1群Gr1 …正〉 r1 106.492 d1 1.700 N1 1.61293 ν1 36.96 r2 50.420 d2 6.460 N2 1.49310 ν2 83.58 r3 -246.009 d3 0.100 r4 49.684 d4 3.820 N3 1.49310 ν3 83.58 r5 239.154 d5 3.300〜26.710〜38.554 〈第2群Gr2 …負〉 {前群GrA} r6 -61.101 d6 1.830 N4 1.71300 ν4 53.93 r7 48.903 d7 4.000 {後群GrB …手ぶれ補正群} r8 59.747 d8 1.215 N5 1.51728 ν5 69.43 r9 30.253 d9 1.000 r10 37.070 d10 2.750 N6 1.67339 ν6 29.25 r11 -570.337 d11 22.350〜6.417〜1.036 〈絞りS,第3群Gr3 …正〉 r12 ∞(絞りS) d12 1.380 r13 75.177 d13 1.300 N7 1.84666 ν7 23.82 r14 25.910 d14 2.460 r15 49.949 d15 2.840 N8 1.51680 ν8 64.20 r16 -80.657 d16 0.400 r17 31.812 d17 4.550 N9 1.51680 ν9 64.20 r18 -37.178 d18 20.130〜8.855〜0.874 〈第4群Gr4 …負〉 r19 183.147 d19 1.080 N10 1.71300 ν10 53.93 r20 23.293 d20 1.540 r21 -137.477 d21 3.480 N11 1.67339 ν11 29.25 r22 -17.437 d22 1.130 N12 1.75450 ν12 51.57 r23 ∞ Σd= 88.815〜85.017〜83.500
【0068】《実施例5》 f=80.2〜235.1〜305.9 FNO=4.60〜6.50〜6.90 [曲率半径] [軸上面間隔] [屈折率] [アッベ数] 〈第1群Gr1 …正〉 r1 158.114 d1 1.955 N1 1.85000 ν1 40.04 r2 68.648 d2 6.255 N2 1.49310 ν2 83.58 r3 -154.056 d3 0.156 r4 57.897 d4 3.597 N3 1.48749 ν3 70.44 r5 184.014 d5 3.127〜51.345〜64.591 〈第2群Gr2 …負〉 {前群GrA …手ぶれ補正群} r6 -58.146 d6 0.391 N4 1.69680 ν4 56.47 r7 21.988 d7 2.033 N5 1.75520 ν5 27.51 r8* 36.559 d8 2.619 {後群GrB} r9* 41.898 d9 1.877 N6 1.61800 ν6 63.39 r10 -157.007 d10 39.082〜8.439〜1.564 〈絞りS,第3群Gr3 …正〉 r11 ∞(絞りS) d11 1.407 r12 -923.532 d12 1.173 N7 1.84666 ν7 23.83 r13 38.530 d13 2.111 r14 189.888 d14 2.346 N8 1.59270 ν8 35.45 r15 -66.538 d15 1.095 r16 63.084 d16 1.877 N9 1.51680 ν9 64.20 r17 -240.098 d17 0.078 r18 39.252 d18 3.518 N10 1.48749 ν10 70.44 r19 -48.315 d19 24.727〜7.153〜0.782 〈第4群Gr4 …負〉 r20 212.197 d20 0.938 N11 1.75450 ν11 51.57 r21 27.379 r22 -171.245 d22 2.502 N12 1.67339 ν12 29.25 r23 -20.480 d23 0.938 N13 1.69680 ν13 56.47 r24 370.701 Σd=106.383〜106.383〜106.383
【0069】[非球面係数] r8:ε= 1.0000 A4=-0.61121×10-5 r9:ε= 1.0000 A4=-0.69911×10-5 A6= 0.95248×10-8 A8=-0.51197×10-10 A10=-0.48524×10-12 A12= 0.38472×10-14
【0070】《実施例6》 f=30.6〜64.7〜165.1 FNO=4.60〜5.23〜5.81 [曲率半径] [軸上面間隔] [屈折率] [アッベ数] 〈第1群Gr1 …正〉 r1 89.595 d1 1.530 N1 1.84666 ν1 23.82 r2 50.523 d2 6.970 N2 1.58913 ν2 61.11 r3 885.692 d3 0.127 r4 47.852 d4 5.695 N3 1.51680 ν3 64.20 r5 218.621 d5 0.467〜17.796〜41.243 〈第2群Gr2 …負〉 {前群GrA} r6 73.128 d6 1.020 N4 1.85000 ν4 40.04 r7 14.317 d7 4.420 r8 -404.817 d8 2.550 N5 1.75000 ν5 25.14 r9 -31.873 d9 1.020 N6 1.77250 ν6 49.77 r10 36.869 d10 1.105 r11 22.548 d11 2.635 N7 1.76182 ν7 26.55 r12 212.813 d12 1.530 {後群GrB …手ぶれ補正群} r13 -45.353 d13 1.000 N8 1.75450 ν8 51.57 r14 38.340 d14 1.000 N9 1.80518 ν9 25.43 r15 171.510 d15 17.275〜8.731〜1.714 〈絞りS,第3群Gr3 …正〉 r16 ∞(絞りS) d16 1.062 r17 33.590 d17 2.125 N10 1.51680 ν10 64.20 r18 145.888 d18 0.085 r19 28.299 d19 2.720 N11 1.51823 ν11 58.96 r20 -4683.183 d20 0.127 r21 40.246 d21 2.380 N12 1.51680 ν12 64.20 r22 -101.132 d22 2.125 r23 -26.751 d23 1.020 N13 1.84666 ν13 23.82 r24 397.583 d24 4.505〜1.969〜1.360 〈第4群Gr4 …正〉 r25 43.689 d25 2.550 N14 1.51823 ν14 58.96 r26 -52.186 d26 0.127 r27 35.901 d27 2.890 N15 1.51823 ν15 58.96 r28 -32.031 d28 3.187 r29* -70.884 d29 0.030 N16 1.51790 ν16 52.31 r30 -58.398 d30 1.190 N17 1.85000 ν17 40.04 r31 23.219 d31 1.020 r32 68.181 d32 2.550 N18 1.67339 ν18 29.25 r33 -66.682 d33 1.700〜9.782〜0.628 〈第5群Gr5 …負〉 r34 -41.406 d34 1.598 N19 1.67000 ν19 57.07 r35 -98.910 Σd= 81.338〜95.669〜102.335
【0071】[非球面係数] r29:ε= 1.0000 A4=-0.68521×10-4 A6=-0.10299×10-6 A8=-0.23092×10-8 A10= 0.11744×10-9 A12=-0.13601×10-11
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】図2,図6,図10,図14,図18,図
22は、それぞれ実施例1〜実施例6に対応する縦収差
図である。各図中、[W]は広角端,[M]は中間焦点距離
状態(ミドル),[T]は望遠端における通常状態(偏心前
状態)での収差を示している。また、実線(d)はd線に
対する収差を表わし、破線(SC)は正弦条件を表わす。
さらに、破線(DM)と実線(DS)はメリディオナル面と
サジタル面での非点収差をそれぞれ表わしている。
【0075】図3及び図4,図7及び図8,図11及び
図12,図15及び図16,図19及び図20,図23
及び図24は、実施例1〜実施例6の広角端[W]及び望
遠端[T]に対応する横収差図であり、それぞれ手ぶれ補
正群の偏心前[A]と偏心後[B]のメリディオナル面の光
束についての横収差を示している。各偏心後の収差図
[B]は、手ぶれ補正群の手ぶれ補正角θ=0.7°(=0.012
2173rad)の補正状態での収差を示している。
【0076】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、手
ぶれ補正に用いられるレンズ群の重量が軽く、しかも、
全長が短くコンパクトな手ぶれ補正機能を有するズーム
レンズを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態(実施例1)のレンズ構成図。
【図2】実施例1の偏心前の縦収差図。
【図3】実施例1の広角端における偏心前後のメリディ
オナル横収差を示す収差図。
【図4】実施例1の望遠端における偏心前後のメリディ
オナル横収差を示す収差図。
【図5】第2の実施の形態(実施例2)のレンズ構成図。
【図6】実施例2の偏心前の縦収差図。
【図7】実施例2の広角端における偏心前後のメリディ
オナル横収差を示す収差図。
【図8】実施例2の望遠端における偏心前後のメリディ
オナル横収差を示す収差図。
【図9】第3の実施の形態(実施例3)のレンズ構成図。
【図10】実施例3の偏心前の縦収差図。
【図11】実施例3の広角端における偏心前後のメリデ
ィオナル横収差を示す収差図。
【図12】実施例3の望遠端における偏心前後のメリデ
ィオナル横収差を示す収差図。
【図13】第4の実施の形態(実施例4)のレンズ構成
図。
【図14】実施例4の偏心前の縦収差図。
【図15】実施例4の広角端における偏心前後のメリデ
ィオナル横収差を示す収差図。
【図16】実施例4の望遠端における偏心前後のメリデ
ィオナル横収差を示す収差図。
【図17】第5の実施の形態(実施例5)のレンズ構成
図。
【図18】実施例5の偏心前の縦収差図。
【図19】実施例5の広角端における偏心前後のメリデ
ィオナル横収差を示す収差図。
【図20】実施例5の望遠端における偏心前後のメリデ
ィオナル横収差を示す収差図。
【図21】第6の実施の形態(実施例6)のレンズ構成
図。
【図22】実施例6の偏心前の縦収差図。
【図23】実施例6の広角端における偏心前後のメリデ
ィオナル横収差を示す収差図。
【図24】実施例6の望遠端における偏心前後のメリデ
ィオナル横収差を示す収差図。
【図25】手ぶれ補正光学系の像劣化の要因を説明する
ための図。
【図26】光学系と座標との関係を説明するための図。
【図27】偏心による光線通過位置の違いを説明するた
めの図。
【図28】物面の回転変換を説明するための図。
【図29】反転系・非反転系の収差係数を説明するため
の図。
【図30】回転変換を説明するための図。
【図31】像面への変換を説明するための図。
【符号の説明】
Gr1 …第1群 Gr2 …第2群 Gr3 …第3群 Gr4 …第4群 Gr5 …第5群 GrA …前群 GrB …後群 S …絞り AX …光軸

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 物体側から順に正の屈折力を有する第1
    群及び負の屈折力を有する第2群を備え、かつ、負の屈
    折力を有する最終群を最も像側に備え、各群の間隔を変
    化させることによって変倍を行うズームレンズであっ
    て、 広角端から望遠端への変倍に際して前記第1群及び前記
    最終群が物体側へ移動し、前記第2群を物体側から順に
    前群と後群とに分けて、前記前群又は前記後群を光軸に
    対して垂直方向に移動させることによって手ぶれ補正を
    行うことを特徴とする手ぶれ補正機能を有するズームレ
    ンズ。
  2. 【請求項2】 物体側から順に、正の屈折力を有する第
    1群と、負の屈折力を有する第2群と、正の屈折力を有
    する第3群と、負の屈折力を有する第4群と、から成
    り、各群の間隔を変化させることによって変倍を行う4
    群構成のズームレンズであって、 広角端から望遠端への変倍に際して前記第1群及び前記
    第4群が物体側へ移動し、前記第2群を物体側から順に
    前群と後群とに分けて、前記前群又は前記後群を光軸に
    対して垂直方向に移動させることによって手ぶれ補正を
    行うことを特徴とする手ぶれ補正機能を有するズームレ
    ンズ。
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JP (1) JPH09230240A (ja)

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