JPH09229839A - 薄膜状体の微小変形測定方法およびこれを用いた測定装置 - Google Patents

薄膜状体の微小変形測定方法およびこれを用いた測定装置

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JPH09229839A
JPH09229839A JP4182596A JP4182596A JPH09229839A JP H09229839 A JPH09229839 A JP H09229839A JP 4182596 A JP4182596 A JP 4182596A JP 4182596 A JP4182596 A JP 4182596A JP H09229839 A JPH09229839 A JP H09229839A
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thin film
film body
deformation
measuring
magnetic tape
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JP4182596A
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English (en)
Inventor
Hidehiro Ikeda
英博 池田
Tomomi Okamoto
知巳 岡本
Nobuyuki Kaku
信行 賀来
Hiroaki Ono
裕明 小野
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】磁気テープ等の多層薄膜体の表面近傍の微小変
形を簡単な装置で精度良く測定し、磁気テープ等の剛性
を評価可能とする。 【解決手段】張力を付加した薄膜体に、曲率を有する磁
気テープ変形発生部材を押し付け、この時の薄膜体の微
小変形を測定する。また、薄膜状体の変形を測定するた
めに部材に曲率を有するレンズを使用し、レンズ上方か
ら光の干渉により発生する干渉縞を観察し、剛性を評価
する。これにより、薄膜状体の表面の剛性を測定できる
ため、例えば多層構造体である磁気テープに磁気ヘッド
が接触する際と同様な変形状態で簡単かつ精度良く測定
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は薄膜状体の変形測定
に関わり、特に記録再生装置用テープ等の剛性を評価す
るのに好適な薄膜状体の微小変形測定方法およびこれを
用いた測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の磁気テープ等の剛性測定において
は、ヤング率を測定し、これに磁気テープ厚みを乗じた
値を採用する方法がある。従来、ヤング率は引張試験
法、あるいは振動リード法等により測定されていた。図
11は上記引張試験法と振動リード法の要約図である。
周知のように、試験片の歪みεは弾性変形領域内ではフ
ックの法則に基づいて応力σに比例して変化する。この
比例係数がヤング率E(弾性係数)である。引っ張り試
験法は、試験片である磁気テープに垂直応力σを与え
て、その歪みεを測定しヤング率を求める試験法であ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、試験片が磁気
テープのような薄膜状体であり、かつヤング率の異なる
材料の多層構造体である場合には下記のような問題点が
伴う。 (1)磁気テープのクランプ部で応力を磁気テープ幅方
向に均一にかけることが困難であり、その結果磁気テー
プの伸びが不均一になり、測定値のばらつきが大きくな
る。 (2)カッティング後の磁気テープを用いてテープ幅方
向のヤング率を測定する際には、クランプ部の幅を十分
に取れない。特に、磁気テープ幅が3.81mmDAT
用テープや8ミリ用テ−プでは十分なクランプ幅が確保
できない。 (3)磁気テープはベースフィルムや磁性層、バックコ
ート層などからなる薄膜多層体である。これらはそれぞ
れヤング率が異なるため、引張試験中に一部の材料が破
壊されることが考えられる。特に金属蒸着磁気テープで
は脆性の高い金属薄膜がバインダ無しに形成されるため
引張試験中のテンションにより金属薄膜が破壊されやす
い。磁気テープとしては磁性層が破壊された状態のヤン
グ率は実際とは即しておらず無意味である。しかし測定
データからは、磁性層の破壊等の判定は困難である。
【0004】振動リード法では磁気テープを加振してそ
の共振周波数からヤング率を求めている。この振動リー
ド法においても下記のような問題が生じている。 (1)磁気テープ試験片の寸法バラツキによる影響が大
きい。 (2)製造過程で発生する残留歪みにより、磁気テープ
には図12に示すようなカッピング(彎曲)がおこるの
で、カッピングのある磁気テープを図11に示すように
無テンション状態で加振すると共振周波数f0がばらつ
き、ヤング率を正確に求めることが困難になる。しか
し、上記のようなヤング率を求める測定法では、磁気テ
ープ幅方向に一様な応力をかけることが難しく、カッピ
ングなどの影響を受けやすいことから精度良く測定をす
ることができないという問題があった。また、磁気テー
プと磁気ヘッドとの接触摺動の際に問題となるスペーシ
ング損失のオーダーは非常に小さく、磁気テープ磁性面
側の微小な変形が大きく影響を与えると考えられる。磁
気テープが多層構造体であるため、ヘッドコンタクト性
能に大きく影響を及ぼすのは磁性面付近の剛性であると
考えられる。しかし、上記のようなヤング率を求める測
定法では磁気テープ全体の剛性平均値を測定していたと
いう問題があった。
【0005】そこで、これらの問題を解決するための自
社内第1次検討において、磁気テープの表面に部材を押
し付け変形させて、その変形量を測定することによって
磁気テープの剛性を評価する測定を考案した。この際の
変形量は磁気テープの表面層の剛性により変化する。こ
のため、磁気テープのような薄膜体の表面部剛性の測定
ができる。また、磁気テープの磁性面側に応力が加わっ
た時の磁気テープの変形状態を観察しているため、実際
のヘッド・磁気テープコンタクト部分の変形状態と同様
な変形状態を測定できる。この方法の測定手段を図13
に示す。平面を有する磁気テープ保持板の上面に測定対
象である磁気テープを設置し、磁気テープ固定板により
固定する。磁気テープ固定板には切り欠きが設けて有
り、その切り欠き部分から曲率を有する磁気テープ変形
発生部材を磁気テープの磁性面側に対し所定の荷重で押
し付ける。荷重は磁気テープ固定板に取り付けた板ばね
により発生させる。この荷重は磁気テープ固定板と板ば
ねの間に薄板状の部材を挿入し板ばねの変形量を変化さ
せることで調整する。この磁気テープ変形発生部材によ
り磁気テープが変形するので、この時の変形量を変形量
測定装置により測定する。
【0006】また、磁気テープの変形量は、磁気テープ
変形発生部材に曲率を有する透明レンズを使用し、透明
レンズ上方から光学式観察装置を用い光の干渉によって
生じる干渉縞を測定することにより求める。干渉縞を利
用するため、磁気テープの幅方向、長手方向とも測定可
能である。この方法は、磁気テープ幅方向への応力の不
均一性や試験片の寸法バラツキによる精度の悪化を解消
している点や磁気テープへの張力付加、磁気テープ変形
発生部材への荷重付加等の調節が簡単な点より、引張試
験法や振動リード法に比べ精度、簡易性の面から良好で
ある。
【0007】しかし、この方法は無テンション状態で測
定を行うので測定精度の更なる向上を考えると以下のよ
うな課題が残されていた。 (1)測定対象である磁気テープの設置の仕方によるば
らつきが大きい。 (2)磁気テープのカッピングの影響により、磁気テー
プと曲率を有する磁気テープ変形発生部材との接触の仕
方がばらつき、精度上の課題があった。
【0008】本発明の目的は、上記課題を解決し、精度
良く、かつ例えば実際のヘッドコンタクト状態に即した
磁気テープの剛性測定を可能にする薄膜状体の微小変形
測定方法およびこれを用いた測定装置を提供することに
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明では以下の手段を採用した。 1)薄膜状体を保持する基台と、剛性を有し、所定の曲
率を有する薄膜状体変形発生部材と、前記薄膜状体変形
発生部材に荷重を加える荷重手段と、薄膜状体の変形状
態を測定する測定手段が用いられ、前記基台に設置され
た薄膜状体に対し前記薄膜体変形発生部材の曲率を有す
る面を押し付け、その際の薄膜状体の変形量を前記測定
手段により測定する薄膜状体の微小変形測定方法におい
て、荷重付加方向に対して略90度の方向に張力を付加
した薄膜状体の変形状態を測定する。
【0010】2)前記1)に記載の薄膜状体の微小変形
測定方法において、前記薄膜状体変形発生部材に透明レ
ンズを使用し、前記測定手段に光学式観察装置を用い、
光の干渉により生ずる干渉縞を透明レンズ上方から光学
式観察装置により測定することで薄膜体の変形量を測定
する。
【0011】3)前記1)に記載の薄膜状体の微小変形
測定方法において、前記薄膜状体の張力付加手段とし
て、薄膜状体の端部に錘を付け、この錘にかかる重力に
より張力を付加する。 4)前記1)に記載の薄膜状体の微小変形測定方法にお
いて、前記薄膜状体を設置する基台の薄膜状体設置面を
円弧状に形成する。
【0012】5)前記1)に記載の薄膜状体の微小変形
測定方法において、前記基台の位置を調節する基台位置
調節手段を設ける。 6)前記1)に記載の薄膜状体の微小変形測定方法にお
いて、前記薄膜状体の変形発生部材への荷重付加手段と
して、前記薄膜状体の変形発生部材に錘を付け、その錘
にかかる重力により荷重を付加する。
【0013】7)薄膜状体を保持する基台と、剛性を有
し、所定の曲率を有する薄膜状体変形発生部材と、前記
薄膜状体変形発生部材に荷重を加える荷重手段と、薄膜
状体の変形状態を測定する測定手段とを備え、前記基台
に設置された薄膜状体に対し前記薄膜体変形発生部材の
曲率を有する面を押し付け、その際の薄膜状体の変形量
を前記測定手段により測定する薄膜状体の微小変形測定
装置において、荷重付加方向に対して略90度の方向に
張力を付加した薄膜状体の変形状態を測定する。
【0014】8)前記7)に記載の薄膜状体の微小変形
測定装置において、前記薄膜状体の変形発生部材に透明
レンズを使用し、前記測定手段に光学式観察装置を用
い、光の干渉により生ずる干渉縞を透明レンズ上方から
光学式観察装置により測定することで薄膜体の変形量を
測定する。
【0015】9)前記7)に記載の薄膜状体の微小変形
測定装置において、前記薄膜状体の張力付加手段とし
て、薄膜状体の端部に錘を付け、この錘にかかる重力に
より張力を付加する。 10)前記7)に記載の薄膜状体の微小変形測定装置に
おいて、前記薄膜状体を設置する基台の薄膜状体設置面
を円弧状に形成する。
【0016】11)前記7)に記載の薄膜状体の微小変
形測定装置において、前記基台の位置を調節する基台位
置調節手段を設ける。
【0017】12)前記に7)に記載の薄膜状体の微小
変形測定装置において、前記薄膜状体の変形発生部材へ
の荷重付加手段として、前記薄膜状体の変形発生部材に
錘を付け、その錘にかかる重力により荷重を付加する。
【0018】前記の手段は、以下のように作用する。
【0019】すなわち、薄膜状体としての磁気テープの
端部に錘を付加することにより、磁気テープに張力をあ
たえ、磁気テープが基台としての筐体から浮いたりする
ことなく確実に固定することができ、精度良く測定でき
る。また、筐体の磁気テープ設置面を円弧状に形成し、
磁気テープにテンションを付加することにより、磁気テ
ープはテープ長手方向に円弧状に変形するため、カッピ
ング等によるテープ幅方向の変形が除去できる。したが
って、カッピングの影響を受けず精度良く測定すること
ができる。さらに、筐体の位置を調節できるようにする
ことで、筐体と磁気テープとの接触の仕方が常に一定と
なる。筐体と磁気テープの接触の仕方が一定であれば、
筐体と磁気テープ間の摩擦のかかり方も一定となるた
め、磁気テープを筐体に設置するのを常に一定にするこ
とができ、精度良く測定できる。さらに、磁気テープ変
形発生部材の押しつけ手段は、錘による重力とし、錘を
調節することで簡単に荷重を調節できる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図1
ないし図10を用いて説明する。図1は本発明の一実施
の形態を示す薄膜状体の微小変形測定方法およびこれを
用いた測定装置の構成を示したものである。図1におい
て、強制変位発生装置1により薄膜状体としての磁気テ
ープ3を弾性変形させ、その変形量を磁気テープ変形測
定装置2により測定する。図2は強制変位発生装置1の
斜視図である。測定対象である磁気テープ3を二つのテ
ープガイド7にかけ、磁気テープ3に所定の張力を与え
る。これにより、磁気テープの設置を確実にすることが
でき、磁気テープのカッピングによる測定値のばらつき
等を防止することができる。また、実際のヘッドと磁気
テープとの接触の仕方に近づけるために、8ミリ幅テー
プでは張力を10gf、3.81ミリ幅テープでは張力
を5gfとした。磁気テープ3に張力を付加する手段と
して、磁気テープ3の端部にテープリール6等の錘を付
け、その錘にかかる重力により張力を付加することとし
た。このように張力付加手段を錘にかかる重力とするこ
とで、張力の調整を簡単にすることができる。
【0021】本測定で最も重要なことは、いかに磁気テ
ープを筐体に設置するかである。磁気テープにレンズを
押し付けて、その変形量を測定するが、その測定オーダ
ーは数百nmであり、磁気テープが筐体から浮き上がっ
ていると正確な測定ができない。そこで、磁気テープを
設置する筐体の磁気テープ設置面を円弧状にすること
で、筐体に磁気テープを巻き付けた時に磁気テープをテ
ープ長手方向に彎曲させる。カッピングはテープ幅方向
の反りであるが、円弧状の磁気テープ設置面に磁気テー
プを巻き付けて磁気テープをテープ長手方向に彎曲させ
ることで、テープ幅方向の反りを防ぐことができる。こ
れによりカッピング等の影響を除去し、磁気テープの浮
きを防ぐことができるため、筐体の形状を円筒体5のよ
うに形成した。また、テープ長手方向の彎曲は円筒体5
の径により既知であるため、データの処理には問題はな
い。
【0022】円筒体5に磁気テープを設置する場合、円
筒体と磁気テープの間に摩擦が生じるため、磁気テープ
を円筒体5に均一に巻き付けることは難しい。また、本
実施の形態では磁気テープ両端に張力を付加している。
この張力が摩擦力より大きければ、磁気テープは均一に
円筒体にならうが、前述のように張力は5〜10gf程
度が望ましく、この程度の張力では磁気テープに浮きが
出ることがある。これに対し、まずテープガイド7に磁
気テープ3をかける。これによりテープ幅方向に均一に
張力を付加することができる。その後、電動ステージ9
により円筒体5を移動させ、磁気テープ3に円筒体5を
垂直に当てることで、均一に磁気テープ3を張ったまま
円筒体5に巻きつけることができる。このようにして、
磁気テープを設置することで、磁気テープ3が円筒体5
から浮くことがなくなり、精度良く測定することができ
る。
【0023】円筒体5に巻装された磁気テープ3の幅方
向中央部にレンズ4を置く。この時磁気テープを設置す
る筐体が円筒体であるため、磁気テープ長手方向に曲率
をもっている。そこで、レンズを置く位置が測定精度に
どの程度影響を与えるのかという点に関し、レンズ4を
円筒体5の頂点と頂点以外にのせた場合を図3に示す。
円筒体の頂点にレンズをのせた場合、レンズ左右の磁気
テープ・レンズ間の距離は等しい。しかし、頂点から離
れた点にレンズがのせられた場合、光学式観察装置が1
軸であるため、レンズと磁気テープが接触している点か
ら左右同じ距離離れた点では磁気テープとレンズとの距
離に誤差がでる。現在実際に使用されているドラムの直
径は20〜140mmであり、ヘッドの曲率は2〜10
mmである。そこで、円筒体の曲率R=50、レンズの
曲率R=4とした場合について検討してみると、円筒体
の頂点から5度程度離れた点でのレンズ左右の磁気テー
プ・レンズ間の距離の誤差は、0.05μm以下であ
る。レンズ中心から150μmの位置での磁気テープ変
形量の測定オーダーは数百nmなので影響はない。ま
た、曲率R50の円筒体に5度以下の精度でレンズをの
せることも十分可能である。
【0024】レンズ4を磁気テープ3に押し付ける手段
を図4に示す。ところで、ヘッドのテープ走査方向の曲
率Rxは6〜12mm程度、Rxと垂直方向の曲率Ry
は1〜3mm程度に設定されることが多い。したがっ
て、干渉縞を測定するレンズの曲率もこの範囲内に設定
すれば、実際の磁気テープの変形に近いものが得られる
と考えられる。ここではレンズの曲率をR4として測定
を行なった。
【0025】レンズの押付手段として、R4の半球状の
レンズ4の平面部に薄板12を付け、薄板12の端部よ
り錘8を垂らし、その錘8にかかる重力により荷重を付
加する。これにより荷重を簡単に調節することができ
る。また、薄板12の端部より錘8を垂らす時、距離l
を十分にとれば円筒体5上でレンズ4は安定する。
【0026】図5に磁気テープの変形状態とその際の干
渉縞を示す。磁気テープの変形部分には、磁気テープ変
形発生部材と接触している部分と磁気テープ変形発生部
材に付加される荷重によりへこんでいる部分が存在す
る。磁気テープ3とレンズ4が接触している部分の干渉
縞は、干渉縞の中心部分の暗い部分であり、その部分の
直径をφとすると、磁気テープ表面の剛性が高い場合に
はφが小さくなり、剛性が低い場合にはφが大きくな
る。また、荷重によりへこんでいる部分の傾きをθとす
ると、磁気テープ全体の剛性が高い場合にはθが小さく
なり、磁気テープ全体の剛性が低い場合にはθが大きく
なる。
【0027】図6により、磁気テープの変形状態を測定
する一実施の形態を説明する。本発明では、磁気テープ
に曲率を持つ磁気テープ変形発生部材を押し付け、その
変形状態を測定することで磁気テープの剛性を評価して
いる。図6は、平面を有する基台としての筐体10上に
レンズ4を置き、上方から光学式観察装置により観察し
た結果である。これは、周知のようにニュートンリング
であり、光の干渉による明暗が見られる。この時、干渉
縞が暗くなる条件は、 h=mλ/2 (数1) ただし、m=0、1、2、.... λ:光の波長 h:レンズと筐体の距離 で表わすことが出来る。このレンズを磁気テープ変形発
生部材として利用し、平面を有する筐体を円筒状の筐体
にした場合は図5のようになり、干渉縞の暗線は前記
(数1)式のm=1、2、...の時のhが満たされて
いる場所である。図7に示すように、m=0のときh
0、m=1のときh=1、....とおき、干渉縞の暗
線の半径を実測すると、光の波長とレンズの曲率がわか
れば磁気テープの変形状態の算出が可能となる。
【0028】図8に上記レンズを用いて磁気テープの変
形状態を測定した結果を示す。磁気テープ変形発生部材
にR4の曲率を有するレンズを使用し、荷重15gfを
加えた時の磁気テープの変形状態である。レンズの中心
を変位0とし、プロットしてある。干渉縞の0次の縞の
内側では磁気テープの変形とレンズの曲率は等しく、外
側は前記(数1)式を満たすよう干渉縞の暗線をプロッ
トした。この方法により図5で説明した磁気テープとレ
ンズの接触部分の直径φと磁気テープの傾きθを得るこ
とができる。
【0029】図8より得られるφとθによりヘッドコン
タクトに影響を及ぼすテープ剛性を表わすことができ
る。剛性の大きさは変形量の逆数に比例するため、剛性
を表わす係数としてφ、θの逆数をとりそれぞれGφ、
Gθとする。図5で説明したようにGφは磁気テープ表
面の剛性が高い程大きくなり、Gθは磁気テープ全体の
剛性が高い場合に大きくなる。図9によりGφ、Gθに
ついて説明する。Gφは磁気テープ表面にレンズを押し
付けた時の変形量を表わす係数であるので、磁気テープ
表面の硬さに大きく影響を受ける。このため、磁気テー
プを測定した場合には磁性層のヤング率とGφとの間に
は図9に示すように比例関係が成り立つ。これに対し、
Gθは磁気テープに応力をかけた時の変形を表わす係数
である。この変形は磁気テープ厚さ方向全体の総和であ
るが、多層構造体の場合には、剛性が低く、また厚みが
ある材料の影響が強くあらわれる。磁気テープではベー
スフィルムがこれにあたるため、ベースフィルムのヤン
グ率とGθとの間には図9に示すように比例関係が成り
立つ。また、GφとGθは切り離して考えるのではな
く、それぞれの数値を比較しながら評価する必要があ
る。
【0030】図10に、本発明の改良構成による測定に
より得られたφ、θと、自社内第1次検討構成の測定法
により得られたφ、θの測定結果を示す。この図は、同
じサンプルテープを複数回測定した時の測定結果であ
る。自社内第1次検討構成の測定法によるφ、θは、カ
ッピングの影響等を受けるため、磁気テープとレンズと
の接触の仕方にバラツキが生じ、測定結果にもバラツキ
が生じていた。しかし、本発明の改良構成による測定で
は、図に示すように、測定結果のバラツキが小さくな
り、測定系の信頼性を向上させることができた。これ
は、本発明の改良構成により、磁気テープを円筒体に設
置した際に磁気テープに浮きがなく、張力の付加が均等
にできたことを示している。なお、上記の実施の形態
は、測定対象を磁気テープとしたが、磁気テープのみに
限らず各種薄膜状状の物体の表面の変形や剛性の測定に
も適用可能である。
【0031】
【発明の効果】本発明による薄膜状体の微小変形測定方
法およびこれを用いた測定装置によれば、例えば、実際
のヘッド、磁気テープ摺動の際と同様な磁気テープ変形
状態を再現することができ、薄膜状体の微小変形を簡単
かつ精度良く測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す例で、本発明の薄
膜状体の微小変形測定方法およびこれを用いた測定装置
の構成を示すブロック図である。
【図2】図1における強制変位発生装置の斜視図であ
る。
【図3】本発明の一実施の形態を示す例で、磁気テープ
変形発生部材の位置が測定精度に及ぼす影響について説
明する平面図である。
【図4】本発明の一実施の形態を示す例で、磁気テープ
変形発生部材への荷重付加手段を説明した図である。
【図5】本発明の測定方法およびこれを用いた測定装置
における磁気テープの変形状態とその際の干渉縞を示す
模式図である。
【図6】ニュートンリングを説明した図である。
【図7】本発明の一実施の形態を示す図で測定データの
処理を説明する図である。
【図8】本発明の測定方法およびこれを用いた測定装置
によりテープを評価した際の評価例を示した図である。
【図9】本発明の測定方法およびこれを用いた測定装置
によりテープを評価した際の評価例を示した図である。
【図10】本発明の改良測定構成によりテープを評価し
た際の測定精度を示した図である。
【図11】従来のヤング率測定方法を示した図である。
【図12】カッピングした磁気テープの斜視図である。
【図13】本発明の自社内第1次検討における測定構成
における、光の干渉を利用した剛性測定法を説明した図
である。
【符号の説明】
1…強制変位発生装置、2…磁気テープ変形量測定装
置、3…磁気テープ 4…レンズ、5…円筒体、6…テープリール、7…テー
プガイド 8…錘、9…電動ステージ、10…平面を有する筐体。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 賀来 信行 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地株式 会社日立製作所マルチメディアシステム開 発本部内 (72)発明者 小野 裕明 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地株式 会社日立製作所マルチメディアシステム開 発本部内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】薄膜状体を保持する基台と、 剛性を有し、所定の曲率を有する薄膜状体変形発生部材
    と、 前記薄膜状体変形発生部材に荷重を加える荷重手段と、 薄膜状体の変形状態を測定する測定手段が用いられ、 前記基台に設置された薄膜状体に対し前記薄膜体変形発
    生部材の曲率を有する面を押し付け、その際の薄膜状体
    の変形量を前記測定手段により測定する薄膜状体の微小
    変形測定方法において、 荷重付加方向に対して略90度の方向に張力を付加した
    薄膜状体の変形状態を測定することを特徴する薄膜状体
    の微小変形測定方法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の薄膜状体の微小変形測定
    方法において、 前記薄膜状体変形発生部材に透明レンズを使用し、 前記測定手段に光学式観察装置を用い、光の干渉により
    生ずる干渉縞を透明レンズ上方から光学式観察装置によ
    り測定することで薄膜体の変形量を測定するようにした
    ことを特徴する薄膜状体の微小変形測定方法。
  3. 【請求項3】請求項1に記載の薄膜状体の微小変形測定
    方法において、 前記薄膜状体の張力付加手段として、薄膜状体の端部に
    錘を付け、この錘にかかる重力により張力を付加するこ
    とを特徴する薄膜状体の微小変形測定方法。
  4. 【請求項4】請求項1に記載の薄膜状体の微小変形測定
    方法において、 前記薄膜状体を設置する基台の薄膜状体設置面を円弧状
    に形成することを特徴する薄膜状体の微小変形測定方
    法。
  5. 【請求項5】請求項1に記載の薄膜状体の微小変形測定
    方法において、 前記基台の位置を調節する基台位置調節手段を設けたこ
    とを特徴する薄膜状体の微小変形測定方法。
  6. 【請求項6】請求項1に記載の薄膜状体の微小変形測定
    方法において、 前記薄膜状体の変形発生部材への荷重付加手段として、
    前記薄膜状体の変形発生部材に錘を付け、その錘にかか
    る重力により荷重を付加することを特徴する薄膜状体の
    微小変形測定方法。
  7. 【請求項7】薄膜状体を保持する基台と、 剛性を有し、所定の曲率を有する薄膜状体変形発生部材
    と、 前記薄膜状体変形発生部材に荷重を加える荷重手段と、 薄膜状体の変形状態を測定する測定手段とを備え、 前記基台に設置された薄膜状体に対し前記薄膜体変形発
    生部材の曲率を有する面を押し付け、その際の薄膜状体
    の変形量を前記測定手段により測定する薄膜状体の微小
    変形測定装置において、 荷重付加方向に対して略90度の方向に張力を付加した
    薄膜状体の変形状態を測定することを特徴する薄膜状体
    の微小変形測定装置。
  8. 【請求項8】請求項7に記載の薄膜状体の微小変形測定
    装置において、 前記薄膜状体の変形発生部材に透明レンズを使用し、 前記測定手段に光学式観察装置を用い、光の干渉により
    生ずる干渉縞を透明レンズ上方から光学式観察装置によ
    り測定することで薄膜体の変形量を測定するようにした
    ことを特徴する薄膜状体の微小変形測定装置。
  9. 【請求項9】請求項7に記載の薄膜状体の微小変形測定
    装置において、 前記薄膜状体の張力付加手段として、薄膜状体の端部に
    錘を付け、この錘にかかる重力により張力を付加するこ
    とを特徴する薄膜状体の微小変形測定装置。
  10. 【請求項10】請求項7に記載の薄膜状体の微小変形測
    定装置において、 前記薄膜状体を設置する基台の薄膜状体設置面を円弧状
    に形成することを特徴する薄膜状体の微小変形測定装
    置。
  11. 【請求項11】請求項7に記載の薄膜状体の微小変形測
    定装置において、 前記基台の位置を調節する基台位置調節手段を設けたこ
    とを特徴する薄膜状体の微小変形測定装置。
  12. 【請求項12】請求項7に記載の薄膜状体の微小変形測
    定装置において、 前記薄膜状体の変形発生部材への荷重付加手段として、
    前記薄膜状体の変形発生部材に錘を付け、その錘にかか
    る重力により荷重を付加することを特徴する薄膜状体の
    微小変形測定装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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