JPH09228087A - 鉛筆削り型電解槽および鉛筆削り型電解槽を用いて有機ケイ素化合物および/または有機ゲルマニウム化合物を製造する方法 - Google Patents

鉛筆削り型電解槽および鉛筆削り型電解槽を用いて有機ケイ素化合物および/または有機ゲルマニウム化合物を製造する方法

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JPH09228087A
JPH09228087A JP8030922A JP3092296A JPH09228087A JP H09228087 A JPH09228087 A JP H09228087A JP 8030922 A JP8030922 A JP 8030922A JP 3092296 A JP3092296 A JP 3092296A JP H09228087 A JPH09228087 A JP H09228087A
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JP
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anode
electrolytic cell
organic
sacrificial anode
cathode
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JP8030922A
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English (en)
Inventor
Fuyuki Noguchi
冬樹 野口
Noboru Mimura
昇 三村
Hiroaki Murase
裕明 村瀬
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Osaka Gas Co Ltd
Original Assignee
Osaka Gas Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】犠牲陽極を使用する鉛筆削り型電解槽を用いて
有機ケイ素化合物および/または有機ゲルマニウム化合
物を製造するに際し、析出物の堆積により陰陽極間が短
絡することがなく、また有機溶媒の引火の危険性もない
様に、陰極と犠牲陽極との間隔を一定に保持する技術を
開発することを主な目的とする。 【解決手段】有機電解合成中の電気化学反応によって消
耗していく犠牲陽極を備えた鉛筆削り型電解槽におい
て、(a)陰極としての機能を有する電解槽本体が、頂
角45°以下の円錐部を有する金属容器により構成され
ており、(b)犠牲陽極が、金属ブロックにより構成さ
れ、かつその下方部が金属容器円錐部と同角度の円錐形
状を有しており、(c)犠牲陽極が電解槽上部に取り
付けた陽極固定用具により吊り下げられた電気絶縁性
の篭状容器に収容されており、(d)陰陽極間隔を調整
する機構が陽極固定用治具に設けられており、(e)
金属容器には電解液入口と電解液出口とが設けられてい
ることを特徴とする鉛筆削り型電解槽。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、犠牲電極を使用す
る鉛筆削り型電解槽、および鉛筆削り型電解槽を用いて
有機ケイ素化合物、有機ゲルマニウム化合物または有機
ケイ素−ゲルマニウム化合物を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】有機ハロゲン化物を還元し、二酸化炭素
およびプロトン源と反応させることによってカルボン
酸、アルコール、ケトンおよびアルデヒド等の有機化合
物を合成するに際し、電解槽内に配置された犠牲陽極が
自量により順次下降して、上部から継続的に補給される
形式の流動型電解槽を用いる方法が提案されている(特
開昭62-56589号公報参照)。ここで使用されている電解
槽は、円錐状の陰極枠に円錐状の陽極を絶縁性のセパレ
ーターを介して接触させるという「鉛筆削り型電解槽」
であり、セパレーターとして網目状のプラスチックを使
用することによって、電極間距離を確保しつつ、反応液
を通過させている。
【0003】本発明者は、先に有機ハロシランおよび/
または有機ハロゲルマンを犠牲電極を用いて電極還元す
ることにより、ポリシラン、ポリゲルマン、シラン−ゲ
ルマンコポリマーなどの有機ケイ素化合物および有機ゲ
ルマニウム化合物を製造することに成功している(特開
平4-331235公報、特開平6-73180号公報、特開平6-98077
号公報などを参照)。
【0004】本発明者は、引き続く研究の過程におい
て、上記の有機ケイ素化合物などの製造に際し、上記の
犠牲陽極補給型の電解槽(本明細書においては、特に必
要でない限り、単に「鉛筆削り型電解槽」という)を使
用することを試みた。しかしながら、有機ケイ素化合物
などの製造においては、反応の進行に伴って生成してく
る金属ハロゲン化物および陰極で還元されて生成する金
属粒子が、反応液中に析出し、セパレーター部分に堆積
して網目を閉塞してしまい、反応液の循環ができなくな
る現象が認められた。また、導電性である金属粒子が、
セパレーターに付着することにより陰陽極が短絡して、
反応に必要な電位を確保することができなくなるだけで
はなく、スパーク発生による有機溶媒への引火の危険性
があるなどの安全性の点でも、問題があることが判明し
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、犠
牲陽極を使用する鉛筆削り型電解槽を用いて有機ケイ素
化合物、有機ゲルマニウム化合物または有機ケイ素−ゲ
ルマニウム化合物を製造するに際し、反応に伴う析出物
の堆積により陰陽極間が短絡することがなく、また有機
溶媒の引火の危険性もない様に、陰極と犠牲陽極との間
隔を一定に保持することができる新たな技術を開発する
ことを主な目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の如き
従来技術の現状に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、犠牲陽
極を使用する鉛筆削り型電解槽を特に有機ケイ素、有機
ゲルマニウム化合物または有機ケイ素−ゲルマニウム化
合物の製造に特に適した構造として、電解槽上部から吊
り下げた電気絶縁性の篭状容器内に収容するとともに、
陽極固定用治具に陰陽極間を調整する機構を設けた電解
槽を開発し、従来技術の問題点を解消または軽減するこ
とに成功した。
【0007】すなわち、本発明は、下記の犠牲陽極を備
えた鉛筆削り型電解槽とこれを用いるポリシランなどの
有機ケイ素化合物、ポリゲルマンなどの有機ゲルマニウ
ム化合物およびポリシラン−ゲルマンなどの有機ケイ素
−ゲルマニウム化合物の製造方法を提供するものであ
る。
【0008】1.有機電解合成中の電気化学反応によっ
て消耗していく犠牲陽極を備えた鉛筆削り型電解槽にお
いて、(a)陰極としての機能を有する電解槽本体が、
頂角45°以下の円錐部を有する金属容器により構成さ
れており、(b)犠牲陽極が、金属ブロックにより構成
され、かつその下方部が金属容器円錐部と同角度の円錐
形状を有しており、(c)犠牲陽極が、電解槽上部に取
り付けた陽極固定用冶具により吊り下げられた電気絶縁
性の篭状容器に収容されており、(d)陰陽極間隔を調
整する機構が、陽極固定用治具に設けられており、
(e)金属容器には電解液入口と電解液出口とが設けら
れていることを特徴とする鉛筆削り型電解槽。
【0009】2.上記項1に記載の鉛筆削り型電解槽を
用いて、有機ハロシラン類および/または有機ハロゲル
マン類を電極還元に供することにより有機ケイ素化合
物、有機ゲルマニウム化合物または有機ケイ素−ゲルマ
ニウム化合物を製造する方法。
【0010】3.犠牲陽極としてマグネシウム、アルミ
ニウムまたはそれらの合金を用いる上記項2に記載の方
法。
【0011】4.電極反応を行う際の原料溶解用溶媒と
してテトラヒドロフラン(THF)または1,2−ジメ
トキシエタンを用いる上記項2に記載の方法。
【0012】5.電極反応を行う際の支持電解質として
塩化リチウムまたは塩化リチウム含有混合塩を用いる上
記項2に記載の方法。
【0013】6.有機ハロシラン類として有機ジクロロ
シランおよび/または有機トリクロロシランを用いてポ
リシランを製造する上記項2に記載の方法。
【0014】7.犠牲陽極としてマグネシウム、アルミ
ニウムまたはそれらの合金を使用し、溶媒としてTHF
を使用し、支持電解質として塩化リチウムまたは塩化リ
チウム含有混合塩を使用し、有機ハロシラン類として有
機ジクロロシランおよび/または有機トリクロロシラン
を使用してポリシランを製造する上記項2に記載の方
法。
【0015】
【発明の実施の形態】以下図面を参照しつつ、本発明を
さらに詳細に説明する。
【0016】本発明による鉛筆削り型電解槽の概要を一
部切欠き斜面図として図1に示す。ただし、図1では、
犠牲陽極を収容する篭状容器は、省略してある。図示の
様に、下部に頂角45°以下(より好ましくは15〜2
0°程度)の円錐部を有し、上部がこれとフランジ接合
された円柱状をなしている金属容器は、電解槽本体およ
び陰極としての機能を果たす。
【0017】電解槽本体としての金属容器は、犠牲陽極
を所定位置に保持するための篭状容器付の陽極固定治具
を備え、陽極固定治具には電極間距離を調整するための
電極間距離調整部が設けられている。
【0018】本発明において使用する犠牲陽極は、図2
および図3に斜面図として示す様に、下方の円錐体部分
と上方の円柱体部分とで構成される金属ブロックからな
り、先端を削った鉛筆状の形態を有している。円錐体部
分と円柱状部分とは、1つのブロックで構成されていて
もよく、或いはそれぞれ別個のブロックで構成されてい
てもよく、さらに、金属容器の寸法によっては、円錐体
部分および円柱状部分がそれぞれ2つ以上のブロックで
構成されていても良い。犠牲陽極の円錐体部分の頂角
は、金属容器円錐部と等しく、45°以下であり、より
好ましくは15〜20°程度の範囲内にある。犠牲電極
は、篭状容器に収容された状態で、後出の図4に詳細に
示す陽極固定治具に取り付けられた陽極固定部により、
金属容器内部に吊り下げられ、所定位置に保持される。
【0019】篭状容器の材質は、電気的に絶縁性乃至絶
縁可能であって、犠牲電極を保持できる強度を有してい
る材料である限り、特に限定されるものではないが、通
常ステンレス鋼、銅などから選択される。導電性の材料
を使用する場合には、予めその表面をポリテトラフルオ
ロエチレンなどにより絶縁加工しておくことは、言うま
でもない。篭状容器を形成する棒乃至線の太さは、犠牲
陽極と陰極となる金属容器との間隔を考慮して定めれば
よい。また、篭状容器の開口の大きさは特に限定されな
いが、開口率は、小さすぎる場合には、陰極と対面する
有効陽極面積が小さくなり、十分な電流量を確保できな
くなるので、出来るだけ大きいことが好ましく、通常70
〜96%程度である。
【0020】図示の装置においては、反応液は、金属容
器円錐部先端の反応液入口から電解槽内に入り、犠牲陽
極と陰極(電解槽或いは金属容器内壁)との間で電極反
応に供されつつ、上方に送られ、反応液出口から系外に
取り出される。反応液の流動は、ポンプなどの任意の強
制流動手段により行うことができる。反応液の入口およ
び出口の位置は特に限定されず、必要に応じて、電解槽
その他の任意の位置に設けることができる。
【0021】本発明においては、図示する様に、犠牲陽
極を収容する篭状容器の上縁が図3に示す陽極容器固定
部に支えられた状態で、陽極が金属容器内の所定位置に
吊り下げられ、電極反応が行われる。反応原料の種類な
どに対応して、電極反応を効率よく行うためには、犠牲
陽極円錐体と陰極円錐部との間を所定の間隔に維持調整
する必要があるので、陽極固定用治具には、図4に示す
電極間距離調整ネジにより、犠牲陽極を移動させて、両
極の間隔を調整する機構を設けてある。なお、図1およ
び図4においては、電極反応をバッチ方式で行う例を示
しているが、本発明においては、電極反応を連続的に行
い得ることは、言うまでもない。
【0022】本発明において、ポリシラン類、ポリゲル
マン類またはシラン−ゲルマンコポリマー類の合成反応
を行う場合には、使用する犠牲陽極の材質は、Mg、A
lまたはこれらの金属を主成分とする合金(Mg−Al
合金、Mg−Al−Zn合金など)が好適である。
【0023】陰極(電解槽或いは金属容器内壁)の材質
としては、電流を通じ得る物質であれば特に限定され
ず、具体的には、SUS304、SUS316などのステンレス鋼、
Mg、Cu、Zn、Sn、Al、Ni、Co、炭素材料
などが例示される。
【0024】陽極固定冶具の材質も、陽極の重量を支え
られる強度を有していれば特に限定されないが、具体的
には、SUS304、SUS316などのステンレス鋼が例示され
る。陽極固定治具、電極間距離調整部などは、ポリテト
ラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂などでその表面を
被覆し、絶縁しておくことが好ましい。
【0025】陰極−犠牲陽極間の距離は、通常5〜30mm
程度、より好ましくは7〜15mm程度であり、前述の様
に、電極間距離調整ネジにより、0.3mm以内の誤差で設
定することができる。ポリシランなどの製造において、
陰極−犠牲陽極間の距離が小さすぎる場合には、生成す
る金属ハロゲン化物および金属粒子により、陰極と陽極
が閉塞し、短絡する。一方、両極間の距離が大きすぎる
場合には、電流の流れる溶液間の距離が大きくなるた
め、溶液抵抗が大きくなり、ジュール熱が多量に発生し
てエネルギー効率が低下する。
【0026】本発明において電極還元反応に供すること
ができる代表的な材料は、表1に例示するハロシランお
よびハロゲルマンである。また、本発明による電極還元
反応により生成する材料は、表1に示すSi−Si結合
を有するジシランおよびポリシラン、ならびにGe−G
e結合を有するジゲルマンおよびポリゲルマンをはじめ
として、原料1から6の任意の組み合わせにより、種々
の構造・組成を有する材料である。
【0027】
【表1】
【0028】表1において、Rは、水素原子、およびア
ルキル基、アリール基、アルコキシ基などの有機置換基
であり、複数個のRは、それぞれが相異なっていても良
く、或いは2個以上が同一であっても良い。より具体的
には、有機置換基がアルキル基の場合、炭素数1〜10
程度のものが挙げられ、これらの中でも炭素数1〜6の
ものがより好ましい。アリール基としては、フェニル
基、炭素数1〜6個のアルキル基の少なくとも1つを置
換基として有するフェニル基、p−アルコキシフェニル
基などが挙げられる。アルコキシ基としては、炭素数1
〜10程度のものが挙げられ、これらの中でも炭素数1
〜6のものがより好ましい。
【0029】また、表1においてXは、ハロゲン原子
(Cl,F,Br,I)を表す。原料中に2個以上のX
を有する場合、それぞれが相異なっても良く、或いは2
個以上が同一であっても良い。ハロゲン原子としてはC
lがより好ましい。
【0030】本発明方法においては、ハロシランおよび
ハロゲルマンは、出来るだけ高純度であることが好まし
く、例えば、使用前に蒸留して使用することが好まし
い。
【0031】反応に際しては、ハロシランまたは/およ
びハロゲルマンを溶媒に溶解して使用する。溶媒として
は、非プロトン性の溶媒が広く使用でき、より具体的に
は、プロピレンカーボネート、アセトニトリル、ジメチ
ルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、1,2−ジメ
トキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、
p−ジオキサン、テトラヒドロフラン、塩化メチレンな
どの溶媒が例示される。これらの溶媒は、単独でも、或
いは2種以上の混合物としても使用できる。溶媒として
は、テトラヒドロフランおよび1,2−ジメトキシエタ
ンがより好ましく、テトラヒドロフランがさらに好まし
い。
【0032】反応溶液中のハロシランおよび/またはハ
ロゲルマンの濃度は、低すぎる場合には、電流効率が低
下するのに対し、高すぎる場合には、支持電解質が溶解
しないことがある。したがって、溶液中のハロシランお
よびハロゲルマンの濃度は、通常0.05〜3mol/l程度であ
り、より好ましくは0.1〜1.5mol/l程度であり、特に好
ましくは0.4〜0.7mol/l程度である。ハロシランとハロ
ゲルマンとを併用する場合の濃度も、合計濃度がこれら
の範囲内となる様にする。
【0033】本発明で使用する支持電解質としては、過
塩素酸ナトリウム、過塩素酸リチウムなどの過塩素酸ア
ルカリ金属塩:過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウ
ムなどの過塩素酸テトラアルキルアンモニウム:および
塩化リチウムが挙げられる。なお、支持電解質として塩
化リチウムを使用する場合には、Fe、Al、Mg、Z
n、Sn、Co、Pd、VおよびCuなどの塩化物塩を
通電助剤として加えることが好ましく、これらの塩化物
塩中では、Fe、Al、Coの塩化物塩が好ましい。上
記の支持電解質は、単独で使用しても良く、或いは2種
以上を併用しても良い。
【0034】支持電解質の濃度は、低すぎる場合には、
反応溶液に与えられるイオン導電性が低いために反応が
十分に進行しなくなるのに対し、高すぎる場合には、電
流が流れ過ぎて反応に必要な電位が得られなくなる。し
たがって、溶媒中の支持電解質の濃度は、通常0.05〜5m
ol/l程度であり、より好ましくは0.1〜3mol/l程度であ
り、特に好ましくは0.2〜1mol/l程度である。また、支
持電解質として塩化リチウムを使用する場合の通電助剤
の濃度は、通常0.01〜2mol/l程度であり、より好ましく
は0.01〜0.6mol/l程度であり、特に好ましくは0.02〜0.
3mol/lである。
【0035】通電量は、ハロシランおよび/またはハロ
ゲルマン中のハロゲン原子を基準として、通常1F/mol以
上であれば良いが、より好ましくは1.25〜1.75F/molで
ある。また、ポリシランなどの高分子材料合成の際に
は、通電量を調整することにより、分子量の制御が可能
となる。反応時間は、原料ハロシランおよび/またはハ
ロゲルマンの量、支持電解質の量に関係する電解液の抵
抗、所望の高分子材料の分子量などにより異なるので、
必要に応じて適宜定めれば良い。
【0036】電流密度は、陰極面積を基準として、通常
0.5〜10A/dm2程度であり、より好ましくは1〜5A/dm2
度である。
【0037】反応温度は、使用する溶媒の沸点以下なら
ば使用可能であるが、5℃以下になると、反応とともに
生成する金属ハロゲン化物が、反応装置を構成する熱交
換器などの機器内に堆積するため、より好ましくは5〜2
5℃である。
【0038】電解槽内での反応液の流速が遅すぎる場合
には、陰極表面に絶縁性の金属ハロゲン化物が付着して
陰極−陽極間を閉塞させる原因となるので、円錐体中央
部で流速10cm/sec以上とすることが望ましい。
【0039】本発明によりを実施するに際しては、既述
の鉛筆削り型電解槽と反応液貯槽、ポンプ、熱交換器、
金属ハロゲン化物を除去するためのストレーナおよび配
管とを溶接もしくはフランジで接合させた電極反応装置
内に、溶媒、支持電解質、通電助剤、原料を投入し、ポ
ンプにより反応液を循環させつつ、所定量の電流を通電
することにより、電極反応を行わせる。電極反応装置内
は、乾燥した窒素または不活性ガスであらかじめ置換し
ておくことが好ましい。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、下記の様な顕著な効果
が達成される。
【0041】(a)犠牲陽極を使用した鉛筆削り型電解
槽を用いて、ポリシランなどの有機ケイ素化合物および
有機ゲルマニウム化合物を効率的に合成することができ
る。
【0042】(b)犠牲陽極を電解槽上部で固定し、吊
り下げる構造としたことによって、陰極との間にセパレ
ーターのような挿入物を配置することなく、一定の陰陽
極間距離を保つことができ、反応液の円滑な循環が可能
となる。
【0043】(c)反応の進行に伴って生成する金属ハ
ロゲン化物および金属微粒子の陰陽極間での堆積がなく
なったため、陰陽極間が閉塞および短絡することなく、
円滑に反応を行うことができる。
【0044】(d)陰陽極間での短絡により発生する電
気火花による火災発生の危険性が大幅に減少し、大きな
電流を流す場合にも、安全に反応を行うことが可能とな
る。
【0045】(e)特に、犠牲陽極としてマグネシウ
ム、アルミニウムまたはそれらの合金を使用し、溶媒と
してTHFを使用し、支持電解質として塩化リチウムま
たは塩化リチウム含有混合塩を使用し、有機ハロシラン
類として有機ジクロロシランおよび/または有機トリク
ロロシランを使用する場合には、極めて高い収率でポリ
シランを製造することが出来る。
【0046】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明の特徴とすると
ころをより一層明確にする。
【0047】実施例1 図1に示す鉛筆削り型電解槽を使用して、本発明を実施
した。すなわち、円錐体部(高さ585mm×直径220mm;頂
角18°)と円柱体部(直径220mm×高さ450mm)とからな
るMgブロックを陽極として、ポリテトラフルオロエチ
レンにより表面を絶縁したSUS304製の篭状容器(篭を形
成する鋼線の経=6mm、鋼線数縦4本×横(円柱部)4
本(250mm間隔)、開口率=96%)に収容し、円錐体部
での陰極−篭状容器間隔が8mmとなるように、陽極固定
用冶具により電解槽(円錐部の頂角は、Mg陽極の頂角
に同じ)内に吊り下げ保持した。
【0048】SUS304製容器を陰極(電解槽の外壁を兼ね
る)とする鉛筆削り型電解槽(その内部に前記Mg陽極
が設置されている)と、容量20リットルの反応液貯槽
(図示せず)、キャンド式循環ポンプ(図示せず)、熱
交換器(図示せず)、配管類(図示せず)などを主構成
要素として備えた循環式電極反応装置に窒素ガスを約3
時間導入することによって窒素置換した後、無水塩化リ
チウム(LiCl)910g、無水塩化第一鉄(FeCl2)549gお
よびTHF35リットルを加えた。反応液貯槽内に取り付
けた攪拌器により、LiClおよびFeCl2を溶解させた後、
原料メチルフェニルジクロロシラン3.25kgを加え、循環
ポンプにより反応溶液を循環させながら(電極間の中間
点を通過する際の線速度は36.0cm/sec)、反応温度を15
℃に保持しつつ、電流値58.6Aで定電流電解した。通電
は、原料を基準として2.5F/molの通電量となるよう約2
0.8時間行った。電解開始直後に要した電圧値は76V、電
解終了時の電圧は39Vであり、陰陽極が短絡することな
く、通電を完結することができた。
【0049】反応終了後、反応溶液を常法に従って洗浄
し、抽出し、再沈殿したところ、メチルフェニルポリシ
ラン940gが得られた。得られたポリシランの分子量分布
を液体クロマトグラフィーにより調べたところ、重量平
均分子量Mwが16100であった。
【0050】反応による犠牲陽極の消耗量は、650gであ
った。
【0051】実施例2 電流値を75.6Aとする以外は実施例1と同様に反応を行
った。この際、電解開始直後に要した電圧値は114V、電
解終了時の電圧は59Vであった。その結果、重量平均分
子量13920のメチルフェニルポリシラン910gが得られ
た。
【0052】実施例3 原料濃度0.63mol/lとする以外は実施例1と同様に反応
を行った。この際、電解開始直後に要した電圧値は195
V、電解終了時の電圧は81Vであった。その結果、重量平
均分子量17200のメチルフェニルポリシラン1260gが得ら
れた。
【0053】実施例4 電極間距離を10mmとする以外は実施例1と同様に反応を
行った。この際、電解開始直後に要した電圧値は95V、
電解終了時の電圧は49Vであった。その結果、重量平均
分子量13480のメチルフェニルポリシラン890gが得られ
た。
【0054】実施例5 陽極としてAlを用い、原料としてジフェニルジクロロ
シランを用いる以外は実施例1と同様に反応を行った。
この際、電解開始直後に要した電圧値は V、電解終
了時の電圧は25Vであった。その結果、重量平均分子量3
130のジフェニルポリシラン2380gが得られた。
【0055】実施例6 原料としてフェニルブチルジクロロゲルマンを用いる以
外は実施例1と同様に反応を行った。この際、電解開始
直後に要した電圧値は76V、電解終了時の電圧は31Vであ
った。その結果、重量平均分子量26700のフェニルブチ
ルポリゲルマン683gが得られた。
【0056】実施例7 原料としてジメチルフェニルクロロシランを用いる以外
は実施例1と同様に反応を行った。この際、電解開始直
後に要した電圧値は119V、電解終了時の電圧は33Vであ
った。反応終了後、常法に従って洗浄し、抽出し、蒸留
(bp.89〜92℃,3mmHg)により精製したところ、対応す
るジシラン1260gが得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による鉛筆削り型電解槽の概要を示す一
部切欠き斜面図である。
【図2】本発明で使用する犠牲陽極と陽極容器の一例を
示す斜面図である。
【図3】本発明で使用する犠牲陽極と陽極容器の他の一
例を示す斜面図である。
【図4】本発明で使用する陽極固定用治具を示す斜面図
である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年2月29日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正内容】
【0008】1.有機電解合成中の電気化学反応によっ
て消耗していく犠牲陽極を備えた鉛筆削り型電解槽にお
いて、(a)陰極としての機能を有する電解槽本体が、
頂角45°以下の円錐部を有する金属容器により構成さ
れており、(b)犠牲陽極が、金属ブロックにより構成
され、かつその下方部が金属容器円錐部と同角度の円錐
形状を有しており、(c)犠牲陽極が、電解槽上部に取
り付けた陽極固定用具により吊り下げられた電気絶縁
性の篭状容器に収容されており、(d)陰陽極間隔を調
整する機構が、陽極固定用治具に設けられており、
(e)金属容器には電解液入口と電解液出口とが設けら
れていることを特徴とする鉛筆削り型電解槽。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正内容】
【0024】陽極固定具の材質も、陽極の重量を支え
られる強度を有していれば特に限定されないが、具体的
には、SUS304、SUS316などのステンレス鋼が例示され
る。陽極固定治具、電極間距離調整部などは、ポリテト
ラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂などでその表面を
被覆し、絶縁しておくことが好ましい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】変更
【補正内容】
【0047】実施例1 図1に示す鉛筆削り型電解槽を使用して、本発明を実施
した。すなわち、円錐体部(高さ585mm×直径220mm;頂
角18°)と円柱体部(直径220mm×高さ450mm)とからな
るMgブロックを陽極として、ポリテトラフルオロエチ
レンにより表面を絶縁したSUS304製の篭状容器(篭を形
成する鋼線の経=6mm、鋼線数縦4本×横(円柱部)4
本(250mm間隔)、開口率=96%)に収容し、円錐体部
での陰極−篭状容器間隔が8mmとなるように、陽極固定
具により電解槽(円錐部の頂角は、Mg陽極の頂角
に同じ)内に吊り下げ保持した。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】有機電解合成中の電気化学反応によって消
    耗していく犠牲陽極を備えた鉛筆削り型電解槽におい
    て、(a)陰極としての機能を有する電解槽本体が、頂
    角45°以下の円錐部を有する金属容器により構成され
    ており、(b)犠牲陽極が、金属ブロックにより構成さ
    れ、かつその下方部が金属容器円錐部と同角度の円錐形
    状を有しており、(c)犠牲陽極が、電解槽上部に取り
    付けた陽極固定用冶具により吊り下げられた電気絶縁性
    の篭状容器に収容されており、(d)陰陽極間隔を調整
    する機構が、陽極固定用治具に設けられており、(e)
    金属容器には電解液入口と電解液出口とが設けられてい
    ることを特徴とする鉛筆削り型電解槽。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の鉛筆削り型電解槽を用い
    て、有機ハロシラン類および/または有機ハロゲルマン
    類を電極還元に供することにより有機ケイ素化合物、有
    機ゲルマニウム化合物または有機ケイ素−ゲルマニウム
    化合物を製造する方法。
  3. 【請求項3】犠牲陽極としてマグネシウム、アルミニウ
    ムまたはそれらの合金を用いる請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】電極反応を行う際の原料溶解用溶媒として
    テトラヒドロフラン(THF)または1,2−ジメトキ
    シエタンを用いる請求項2に記載の方法。
  5. 【請求項5】電極反応を行う際の支持電解質として塩化
    リチウムまたは塩化リチウム含有混合塩を用いる請求項
    2に記載の方法。
  6. 【請求項6】有機ハロシラン類として有機ジクロロシラ
    ンおよび/または有機トリクロロシランを用いてポリシ
    ランを製造する請求項2に記載の方法。
  7. 【請求項7】犠牲陽極としてマグネシウム、アルミニウ
    ムまたはそれらの合金を使用し、溶媒としてTHFを使
    用し、支持電解質として塩化リチウムまたは塩化リチウ
    ム含有混合塩を使用し、有機ハロシラン類として有機ジ
    クロロシランおよび/または有機トリクロロシランを使
    用してポリシランを製造する請求項2に記載の方法。
JP8030922A 1996-02-19 1996-02-19 鉛筆削り型電解槽および鉛筆削り型電解槽を用いて有機ケイ素化合物および/または有機ゲルマニウム化合物を製造する方法 Pending JPH09228087A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105040037A (zh) * 2015-08-24 2015-11-11 清华大学 一种与活性阳极间距保持不变的跟随阴极装置及应用

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