JPH09227819A - 水性インク組成物および無機被膜の形成方法 - Google Patents

水性インク組成物および無機被膜の形成方法

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JPH09227819A
JPH09227819A JP35256996A JP35256996A JPH09227819A JP H09227819 A JPH09227819 A JP H09227819A JP 35256996 A JP35256996 A JP 35256996A JP 35256996 A JP35256996 A JP 35256996A JP H09227819 A JPH09227819 A JP H09227819A
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aqueous
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JP35256996A
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Yumiko Aoki
由美子 青木
Makoto Sato
佐藤  誠
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AGC Inc
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Asahi Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 印刷膜から焼成により樹脂成分が揮発した後
も、密着性および緻密性に優れた無機組成膜を形成する
水性インク。 【解決手段】 無機融着成分と、水性媒体と、該水性媒
体に溶解および/または分散可能な有機バインダーと、
必要に応じて無機粉体成分とからなる水性インク。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水性インク組成物
(以下、単に「水性インク」という。)に関し、さらに
詳しくは耐熱性基体表面に印刷後焼成して、無機融着成
分が耐熱性基体表面に強固に密着した緻密な焼成被膜が
得られる水性インク、および無機被膜の形成方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、耐熱性基体に無機被膜を形成する
ために、一般の無機融着成分と無機粉体成分(これらを
合わせて、以下「無機固体成分」という場合がある。)
とを有機溶媒を含むビヒクル中に分散させてなる印刷イ
ンクは公知である。これらの従来のインクにおける無機
固体成分としては、金属粉、ガラスフリット、セラミッ
ク顔料などが挙げられ、該インクのビヒクルとしては、
エチルセルロース、ニトロセルロース、アクリル樹脂あ
るいはポリビニルブチラール樹脂などの有機バインダー
を、α−テルピネオール、ブチルカルビトール、ブチル
カルビトールアセテートなどの有機溶剤に溶解したもの
が使用されている。これらの有機溶剤性ビヒクルによる
従来のインクは、そのビヒクル中における無機固体成分
の分散性が良好で、適度な流動性およびレベリング性を
示すなどの優れた印刷適性を有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
インクに用いられる有機溶剤は、作業環境においても揮
発性があり、印刷によって形成された塗膜の乾燥工程で
は大気中に有機溶剤が排出されるため、これらを完全に
排気する為には大型の排気設備が必要であり、従ってイ
ンクのビヒクルとしては、より影響の低いものへの転換
が求められている。また、低粘度塗料は、大量の低沸
点、かつ高揮発性の有機溶剤を含有しており、開口部の
大きい塗料タンクの使用やスプレー塗装では防爆設備や
乾燥設備などの充分な防災設備が必要であり、コスト高
である。
【0004】近年においては、スプレー塗布、ハケ塗
り、浸漬塗布などの低粘度塗料の分野においては、例え
ば、特開平4−323278号公報、特開平6−809
30号公報などに、水性エポキシ化合物、水性アクリル
系樹脂、水性ポリエステル系樹脂、水性アミノ樹脂、水
性ウレタン樹脂などを被膜形成成分とした水性塗料が開
示されている。
【0005】しかしながら、これらはいずれも、耐候
性、付着性、加工性などを新規な被膜形成樹脂により達
成することを目的とし、樹脂成分が基体との接着性を維
持している塗料系のものであり、これらの塗料では、樹
脂の耐熱性が制限されるために、成形された塗膜の耐熱
性は低く、この塗膜を焼成した場合は、塗膜が基体から
剥離するか、もしくは塗膜強度が非常に低く、気泡の多
い被膜構造のものとなる。従ってかかる塗料では、塗膜
形成後に焼成して無機固体成分のみによる被膜を形成す
る用途、例えば、ガラスなどのセラミックの装飾や、電
子部品への機能膜や保護膜の付与などを行うことはでき
ない。
【0006】また、米国特許USP 4,043,82
4号明細書には、水もしくはスチームで凝固するセラミ
ックカラー組成物が開示されているが、塗膜自体が水性
であるわけではない。また、高粘度のインクを必要とす
るスクリーン印刷用途においては、従来のインクや塗料
では、作業中のインクの乾燥固化などの問題から適性な
インクは得られていなかった。
【0007】従って本発明の目的は、自然環境および火
災に対して安全性の高い水性ビヒクルを用いる水性イン
ク、特に従来の技術においては不可能であった、印刷塗
膜から焼成により樹脂成分が燃焼して除去された後も、
密着性および緻密性に優れた無機組成被膜を形成するこ
とができる水性インク、および無機被膜の形成方法を提
供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、無機融着成分
と、水性媒体と、該水性媒体に溶解および/または分散
可能な有機バインダーとからなることを特徴とする水性
インクを提供する。また、本発明は、上記本発明の水性
インクを用いて、スクリーン印刷方法によって、耐熱性
基体表面に任意の模様を印刷し、乾燥後印刷塗膜中の有
機物が除去される温度、かつ無機融着成分が溶融する温
度で焼成することを特徴とする有機物を含まない無機被
膜の形成方法を提供する。
【0009】本発明によれば、インク構成成分として特
定の材料を選択し、かつ組み合わせることによって、例
えば、ガラスなどの耐熱性基体表面にスクリーン印刷で
任意の模様を印刷することが可能であり、かつその焼成
後において、無機融着成分が耐熱性基体表面に強固に密
着した緻密な無機焼成被膜が得られる。
【0010】
【発明の実施の形態】次に発明の実施の形態を挙げて本
発明をさらに詳しく説明する。本発明の水性インクは、
基本的には、無機融着成分、または無機融着成分と非融
着性の無機粉体成分とからなる無機固体成分と、水性媒
体と、該水性媒体に溶解および/または分散可能な有機
バインダーとからなるが、特に水性媒体と有機バインダ
ーとからなる水性ビヒクルの構成に特徴がある。
【0011】上記水性媒体は、水単独でもよいが、使用
する有機バインダーが水性媒体中に十分に溶解および/
または分散し、インクの粘度変化を抑制して印刷安定性
を向上させ、かつ環境に対して悪影響の少ない有機溶剤
を併用することが好ましい。好ましい有機溶剤は、水と
混和性のあるグリコール系有機溶剤である。水と併用す
るグリコール系有機溶剤としては、例えば、エチレング
リコール、ジエチレングリコール、エチレングリコール
低級アルキル(メチル、エチルなど、以下同じ)エーテ
ル、ジエチレングリコール低級アルキルエーテル、ポリ
エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピ
レングリコール、プロピレングリコール低級アルキルエ
ーテル、ジプロピレングリコール低級アルキルエーテ
ル、ポリプロピレングリコールなどが挙げられるが、特
に好ましい有機溶剤は上記のうちプロピレングリコール
系有機溶剤である。
【0012】これらの有機溶剤は、水性媒体組成中で5
〜95重量%、より好ましくは10〜80重量%を占め
る範囲で使用する。使用量が5重量%より少ない場合
は、水性インクの乾燥速度が早く、連続した印刷作業が
困難となり、95重量%より大きい場合は、良好な印刷
適正や無機固体成分の良好な分散性が得られるだけの水
溶性有機バインダーが溶解しない。尚、有機溶剤の量が
水性媒体組成中で50重量%より多い場合は、水溶性有
機バインダーの溶解度が低下し、凝集や沈殿が発生する
ため、粘度安定性が得られにくくなる。この場合は、有
機バインダーのうち、グリコール系有機溶剤に対して溶
解度の高い有機バインダーの添加量を増加させることに
より良好な粘度安定性が得られる。
【0013】上記水性媒体に溶解および/または分散さ
せて、水性ビヒクルを調製する有機バインダーは、オリ
ゴマーあるいはポリマーであり、得られる水性インクの
印刷適性、無機固体成分の分散性、ガラスなどの耐熱性
基体への接着性を有し、塗膜形成後の焼成時には完全燃
焼し、除去されて、灰分の残留がない有機バインダーで
あることが必要となる。特にスクリーン印刷において
は、水性媒体と有機バインダーとからなるビヒクルの粘
度特性およびチキソトロピック性が重要となり、これら
の性能に関しては、有機バインダーとしては特にセルロ
ース誘導体が優れている。
【0014】しかしながら、セルロース誘導体と水性媒
体とのみからなる水性ビヒクルを用いた水性インクの場
合、セルロース誘導体の種類によっては、ガラスなどの
耐熱性基体に対する接着性、被膜の耐溶剤性および被膜
強度などが不十分であること、また、水性ビヒクルに対
する増粘性が高過ぎて、得られる水性インクの流動性が
不足する場合があることから、セルロース誘導体に加え
て種々の機能を付与する他の有機バインダーを併用する
ことが好ましい。これらの他の有機バインダーの好まし
い例としては、例えば、アルデヒド誘導体、エポキシ化
合物、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、アミド樹
脂あるいはポリエチレングリコール誘導体などが挙げら
れ、これらを適切に組み合わせて使用することにより、
本発明の目的に最適な水性ビヒクルが得られる。
【0015】以下に、本発明で有機バインダーとして使
用するオリゴマーおよびポリマーについてさらに詳細に
説明する。セルロース誘導体としては、メチルセルロー
ス、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシ
メチルセルロースなどのセルロースエーテルが水溶性の
増粘性樹脂として、得られる水性インクの印刷適性、無
機融着成分および無機粉体成分の分散性に優れている。
セルロースエーテルは、水性媒体100重量部あたり
0.2〜30重量部、好ましくは0.5〜20重量部の
割合で使用され、この範囲において、水性ビヒクル中に
おける無機融着成分および非融着性の無機粉体成分の分
散安定性が優れている。セルロースエーテルの使用量が
0.2重量部より少ない場合は、無機固体成分の分散安
定性が不足し、水性インクの粘度変化が生じやすい。セ
ルロースエーテルの使用量が30重量部より多い場合
は、塗膜の焼成時に燃焼ガスが一時期に多量に発生し、
被膜内に多量の気孔を発生し、得られる焼成被膜の緻密
性が低下する結果、耐擦傷性などの被膜強度が低くな
る。
【0016】アルデヒド誘導体としては、重合性の脂肪
族アルデヒドのグリオキザールが好ましく、該グリオキ
ザールは水溶性が非常に高く、水和型グリオキザールと
して安定化している。水性インクにより印刷を行い、そ
の乾燥時に塗膜中の水分が蒸発することによって、ポリ
グリオキザールからなる塗膜が得られ、ガラス基体など
に対して強固な接着性および耐溶剤性を有する塗膜が得
られる。水和型グリオキザールは、水性媒体100重量
部あたり30重量部以下で使用され、使用量が多すぎる
と、セルロース誘導体の粘度特性を阻害し、得られる水
性インクの印刷適性を低下させる。また、耐熱性基体に
対する印刷塗膜の接着力を向上させる目的においては、
この水和型グリオキザールの添加量は0.2重量部以上
とすることが望ましい。
【0017】エポキシ化合物としては、室温にて親水性
エポキシ化合物10gを水90gに溶解したときの溶解
率が50重量%以上のものか、エマルジョンとして水性
媒体中に均一に分散するようなポリエポキシ化合物であ
ればよく、例えば、エチレングリコールジグリシジルエ
ーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテ
ル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリ
プロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロ
ールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリ
シジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエー
テル、ソルビトールポリグリシジルエーテルなどの化合
物、あるいはビスフェノール型エポキシ樹脂、クレゾー
ルノボラック型エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0018】水溶性のエポキシ化合物の場合、水性媒体
100重量部あたり30重量部以下で使用され、印刷時
の水性インクのチキソトロピック性を低下させず、該水
性インクからなる塗膜を特定温度以上に加熱することに
よって、塗膜が硬化し、耐溶剤性や耐擦傷性の高い乾燥
塗膜を得ることができる。また、エポキシ樹脂エマルジ
ョンの場合は、水性媒体100重量部あたり25重量部
以下で使用され、印刷時の水性インクの流動性、乾燥被
膜強度の向上および塗膜のレベリング性を付与すること
が可能となる。これより添加量が多い場合には、塗膜の
焼成時に膜中に気泡が残留し焼成被膜の強度が低下す
る。ガラスを含む耐熱性基体表面に印刷する場合は、乾
燥膜の密着強度を得るためにエポキシ化合物を1重量部
以上添加することが好ましい。
【0019】アクリル系樹脂としては、ポリアクリル
酸、アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル・アクリ
ル共重合体、ポリアクリル酸エステルなどをエマルジョ
ン樹脂として、水性媒体100重量部あたり25重量部
以下で使用され、これより多い使用量では、エポキシ樹
脂エマルジョンと同様に、塗膜の焼成時に膜中に気泡が
残留し焼成被膜の強度が低下する。また、乾燥膜の強度
および水性インクの流動性を向上させるためには0.5
重量部以上添加することが好ましい。
【0020】ポリエステル系樹脂としては、水溶性、グ
リコール可溶性あるいは水分散性のポリエステル樹脂が
使用でき、該ポリエステル樹脂を使用することによっ
て、無機融着成分および無機粉体成分の水性インク中の
分散安定性を得ることができる。このようなポリエステ
ル樹脂としては、例えば、テレフタル酸・イソフタル酸
共重合ポリエステル樹脂、無水マレイン酸・ジエチレン
グリコール縮合ポリエステル樹脂などが挙げられ、水性
媒体100重量部あたり35重量部以下で使用されるの
が好ましく、これより多い使用量では乾燥膜の耐溶剤性
が不足する。また、ポリエステル樹脂を2重量部以上添
加することにより、水性インクの流動性および無機固体
成分の分散安定性を向上させることができる。
【0021】アミド樹脂としては、水分散性あるいはグ
リコール分散性を有するポリアミドワックスが好適であ
り、得られる水性インクのスクリーンメッシュからのイ
ンク吐出性が向上する。その添加量は、水性媒体100
重量部あたり15重量部以下が好ましく、これより多い
使用量では形成される塗膜の耐熱性や基体に対する接着
強度が低下する。また、スクリーンメッシュからの吐出
性向上の効果を得るためには0.1重量部以上の添加が
好ましい。
【0022】ポリエチレングリコール誘導体としては、
分子量1,000〜20,000程度の室温で固体であ
るポリエチレングリコール、そのモノステアレート、モ
ノラウレートなどのポリエチレングリコール脂肪酸エス
テルが挙げられ、その界面活性によって水性インクの流
動性が向上する。その添加量は、水性媒体100重量部
あたり30重量部以下が好ましく、セルロース誘導体:
ポリエチレングリコール誘導体の重量比が1:1から
2:1の重量比範囲で用いる場合が塗膜の可塑化の点で
最も有効である。また、ポリエチレングリコール誘導体
は、他成分との反応性が高く、インクの安定化のために
室温で液体状の分子量200〜600のポリエチレング
リコールをインクの1〜15重量%の範囲で添加するこ
とも可能である。
【0023】以上のごとき有機バインダーは単独でも混
合物としても使用できるが、得られる水性インクの優れ
た印刷適性を付与するために、セルロース誘導体を必須
成分として、その他、耐熱性基板の種類に応じて要求さ
れる機能を発揮するように、アルデヒド誘導体、エポキ
シ化合物、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、アミ
ド樹脂およびポリエチレングリコール誘導体からなる群
から選ばれる少なくとも1種の有機バインダーを組み合
わせて使用することが好ましい。特にアルデヒド誘導体
やエポキシ化合物などの硬化性化合物を使用することに
よって優れた印刷塗膜を形成することができる。水性媒
体中の有機溶剤の添加量が50重量%以下の場合は、セ
ルロース誘導体100重量部あたり、他の有機バインダ
ーをそれぞれ1種類については1〜300重量部、より
好ましくは1〜200重量部、合量で1〜400重量部
の割合で使用することが好ましい。一方、水性媒体中の
有機溶剤の添加量が50重量%より多い場合には、セル
ロース誘導体100重量部当たり、他の有機溶剤可溶性
の有機バインダーをそれぞれ1種類については1〜3,
000重量部、水溶性および有機溶剤可溶性の有機バイ
ンダーの合量では1〜5,000重量部の割合で使用で
きる。
【0024】水性インク中の無機融着成分は無機質接着
剤として作用し、ガラス質、金属および金属化合物、酸
化物、珪酸アルカリ、リン酸塩などの粉体、微粉体、コ
ロイド分散体などが挙げられる。ガラス質接着剤は、例
えば、ホウ珪酸鉛系、ホウ珪酸亜鉛系、ホウ珪酸ビスマ
ス系などの低融点ガラスや結晶化ガラス組成が使用でき
る。無機融着成分として金属の微粉体を用いる場合は、
銀、金、パラジウム、銅などが単独もしくは複合組成で
使用される。酸化物の微粉体においては、融着される無
機粉体成分中の組成との反応による液相の生成を利用す
る方法があり、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マン
ガン、酸化ジルコニウムなどの共晶物を接着層としてい
る。また、酸化物のコロイド分散体であるシリカゾル、
アルミナゾル、チタニアゾルなどは比較的低温の焼成に
有用である。
【0025】非融着性の無機粉体成分は、本発明におい
て必須ではないが、着色、導電性、電気抵抗性、絶縁
性、耐擦過性などの機能をインクに付与するために、本
発明のインクに含有させることができる。非融着性の無
機粉体成分としては、酸化物、窒化物、ホウ化物、金属
などが挙げられ、これらの無機粉体成分は、塗膜の焼成
温度においても十分な耐熱性を有し、自らは耐熱性基体
に接着しない組成を有するものであり、単独でもしくは
2種以上を併用することができる。これらの中には、無
機融着成分と同様の組成でありながら、その粒径、構造
組織などにより耐熱性が高く、融着温度の低い場合は非
融着性の無機粉体成分となるものも含まれる。酸化物と
しては、着色顔料である酸化クロム、酸化コバルト、酸
化鉄、酸化マンガン、酸化チタンなどや、体質顔料と呼
ばれる酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム
などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0026】水性インクに用いる上記無機固体成分(無
機融着成分および非融着性の無機粉体成分)は、水性ビ
ヒクル(水性媒体および有機バインダー)中で安定なも
の、酸化薄膜を周囲に形成して安定化するもの、水和お
よび酸化が進行し続けるものなど種々のものがあり、水
分の存在によってその表面性質に影響が現れる場合もあ
る。水中で安定性の低い無機固体成分を用いる場合は、
耐水性の表面処理を行うことが可能である。これには種
々の方法があり、無機固体成分、焼成温度域などによっ
て最適化が必要であるが、例えば、疎水性樹脂コート、
キレート化合物の吸着など、塗膜の焼成により除去可能
な材料および方法が望ましい。
【0027】本発明の水性インクにおいて、最終的に焼
成被膜を形成する無機固体成分は、無機融着成分と非融
着性の無機粉体成分の合計を100重量%とした場合、
無機融着成分が1〜100重量%、好ましくは60〜1
00重量%であり、無機粉体成分として0〜99重量
%、好ましくは0〜40重量%の範囲で焼結焼成が可能
である。
【0028】これらの無機固体成分はインク全量中での
合計量が65〜95重量%、より好ましくは75〜90
重量%であり、水性ビヒクルの量は水性インク中で5〜
35重量%、より好ましくは10〜25重量%である。
水性ビヒクルの量が5重量%より少ない場合は印刷が困
難となり、35重量%より多い場合は無機固体成分の焼
成被膜の緻密性および耐熱性基体への密着性が十分では
ない。また、水性ビヒクル中における有機バインダーの
量は、水性媒体100重量部あたり5〜40重量部の割
合で使用され、この割合において得られる水性インクの
印刷適性、無機融着成分および無機粉体成分の分散安定
性、および耐熱性基体への接着性が得られ、さらに加熱
処理によって有機バインダーを燃焼除去することが可能
である。
【0029】本発明の水性インクの調製においては、さ
らに必要に応じて、従来公知の分散剤、湿潤剤、消泡
剤、レベリング剤、可塑剤、潤滑剤、硬化剤、防腐剤、
防錆剤、凍結防止剤などを配合することもできる。ただ
し、これらの添加剤においても水性ビヒクルと同様に、
形成された塗膜の焼成において支障のある残留物を焼成
塗膜中に残さないものを選択することが必要である。
【0030】以上のごとき成分からなる本発明のインク
の製造方法は、先ず、水性ビヒクルを調製し、無機固体
成分と水性ビヒクルをライカイ機及び三本ロールミルに
より混練するものであり、分散剤などの添加剤は混練の
初期段階で添加すると効果が高い。例えば、水性ビヒク
ルとして、水、グリコール系有機溶剤、これらに溶解/
分散可能な樹脂、セルロース誘導体からなるものを例と
して、その調製方法を説明する。先ず、水に増粘性の低
い水溶性有機バインダーを溶解し、水分散性エマルジョ
ン樹脂を分散する。一方、グリコール系有機溶剤に増粘
性の低いグリコール溶解性バインダーを溶解し、グリコ
ール分散性樹脂を分散した後、セルロース誘導体を分散
する。この2液を攪拌機などにより混合して、セルロー
ス誘導体が、水溶液中で均一な分散状態において溶解す
ることにより、均一な粘度特性と保存安定性を有する水
性ビヒクルを作製する。
【0031】本発明の水性インクは、主としてスクリー
ン印刷方式で使用されるが、この場合には、インクの成
分を選択および組み合わせてスクリーン印刷適性を付与
する必要があり、スクリーン印刷に用いる場合には、ブ
ルックフィールド社製B型粘度計、ST4−14型ロー
ターを使用し、25±1℃の時の回転数10rpmの粘
度を10〜500PaSの範囲に調整することが望まし
い。また、本発明の水性インクは、スクリーン印刷方式
に限定されず、他の印刷方式のインクとして使用する場
合には、その印刷方式に適合するように、水、あるいは
水と有機溶剤との混合液を希釈剤としてインクの粘度調
整を行えばよい。
【0032】本発明の無機被膜の形成方法は、前記本発
明の水性インクを用いて、スクリーン印刷方法によっ
て、耐熱性基体表面に任意の模様を印刷し、乾燥後印刷
塗膜中の有機物が燃焼除去される温度、かつ無機融着成
分が溶融する温度で焼成して有機物を含まない無機被膜
を形成する方法である。本発明で使用される被印刷体で
ある耐熱性基体は特に限定されるものではなく、目的に
応じて、例えば、ソーダライムアルミノシリケートガラ
ス、アルミノシリケートガラス、ホウ珪酸塩ガラス、リ
チウムシリケートガラス、石英ガラスなどのガラス、酸
化アルミニウム、酸化マグネシウム、窒化珪素、窒化ア
ルミニウムなどのセラミックスおよびセラミックスとガ
ラスの複合体などが使用できる。また、これらの耐熱性
基体上に耐熱性のあるITO、GZO、SiO2、Ti
2、ZnO、SnO2などの成分からなるコーティング
被膜があってもかまわない。
【0033】さらに、耐熱性基体上に水性インクを印刷
後乾燥した塗膜上に、同様組成または全く異なる無機組
成分を含む水性インクまたは他の有機溶剤性インクを重
ねて印刷し、同時に焼成することも可能である。また、
同様に他の有機溶剤性インクの印刷後乾燥した塗膜上に
本発明の水性インクを重ねて印刷し、同時に焼成するこ
とも可能である。この場合に積層される各々のインクの
無機固体成分は、特に限定されるものではなく、目的に
応じてガラス、セラミックス、金属などの粉末を配合し
て用いることが可能である。
【0034】本発明の水性インクから形成された印刷塗
膜の乾燥硬化方法は、後工程での必要性に応じて自由に
選択できるが、充分な塗膜硬度が必要な場合は80℃以
上の加熱乾燥やマイクロウェーブ乾燥などが望ましい。
また、製造ラインが焼成工程に直結しており、高い乾燥
塗膜硬度が要求されない場合は、室温乾燥もしくは送風
による乾燥のみでもかまわない。上記乾燥塗膜の焼成に
おいては、水性ビヒクル中の有機成分の熱分解および揮
発が行われる温度を下限とし、耐熱性基体の耐熱温度を
上限とする。また、無機融着成分の流動性を考慮する
と、好ましい焼成温度の範囲は400〜900℃であ
る、ただし、高融点の金属または酸化物を無機固体成分
とする水性インクを耐熱性の高いセラミック基板と組み
合わせて用いる場合においては、焼成温度は上記の温度
範囲に制限する必要はない。
【0035】焼成雰囲気は、有機バインダー(オリゴマ
ーおよび/またはモノマー)の熱分解や揮発を考慮した
場合、空気気流中が望ましい。しかし、無機固体成分が
酸化されやすい場合においては、印刷塗膜中の水分の充
分な乾燥と、窒素気流中での焼成が必要であり、また、
焼成時に有機バインダーの熱分解を促進するため、公知
の有機溶剤系インク方式で用いられているように、イン
ク中へ酸化セリウムなどの脱バインダー助剤を添加した
り、窒素気流中へ水蒸気を導入したりすることによっ
て、有機バインダーの熱分解を促進させることができ
る。
【0036】本発明において、前記本発明の水性インク
が、比較的高濃度の無機固体成分を含んでいるにも係ら
ず、スクリーン印刷においても印刷可能であり、かつ最
終的に緻密な焼成被膜が得られる理由は必ずしも明らか
ではないが、その理由としては、本発明の水性インク
が、水性媒体として、水、好ましくは水とグリコール系
有機溶剤との混合液を使用し、水溶性および/または水
分散性の有機バインダーとしてセルロース誘導体を含
み、かつ必要に応じてさらに熱可塑性樹脂、熱硬化性樹
脂、グリコール系有機溶剤を含有していること、また、
これらの有機バインダーが、グリコール系有機溶剤に溶
解あるいは分散可能であること、さらには水性インクが
全体として無機固体成分の高分散状態で流動性を有し、
かつインクとして安定性を有しているためと思われる。
【0037】本発明のインクの用途を下記表1にまとめ
た。表1は左から、用途、無機融着成分の例示、非融着
性の無機粉体成分の例示、代表的な無機融着成分と非融
着性の無機粉体成分の重量比、融着温度である。黒色セ
ラミックペーストは、代表的には自動車の窓ガラスの周
縁部に装飾などの目的で用いられる。なお、成分例示欄
に複数の成分が記載されているものについては、この中
から1種または2種以上を組み合わせて使用することが
できる。
【0038】
【表1】表1
【0039】
【実施例】以下に実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。尚、文中、「部」または「%」とあるのは特
に断りのない限り重量基準である。 実施例1 ヒドロキシプロピルメチルセルロース5部を、ジプロピ
レングリコール20部に分散する。一方、水45部に脂
肪族ジアルデヒド水溶液(脂肪族ジアルデヒド40部を
水60部に溶解した溶液)20部を溶解し、アクリル樹
脂エマルジョン分散液(アクリル樹脂30部を水70部
に分散した溶液)10部を分散する。この2液を混合し
て、水溶液中にヒドロキシプロピルメチルセルロースを
溶解することにより粘調な水性ビヒクルを作成する。
【0040】この水性ビヒクル20部に対し、ガラスフ
リット(無機融着成分)50部と酸化クロム系黒顔料
(非融着性無機粉体成分)30部、ノニオン系界面活性
剤(サンノプコ(株)製、商品名ノプコ8034)0.
5部、分散剤であるポリカルボン酸アンモニウム塩(サ
ンノプコ(株)製、商品名ノプコサントRFA)1部の
組成分比において混合し、らいかい機および3本ロール
ミルにて混練を行い、水とジプロピレングリコールを
3:1の重量比で調製した希釈剤をインク100部に対
して10部加えることによって水性インクの粘度を30
〜40PaSに調整した。粘度測定はブルックフィール
ド社製B型粘度計、ST4−14型ローターを使用し、
25±1℃の時の回転数10rpmの粘度を測定した。
このインクを200メッシュのステンレス製スクリーン
版と硬度70度のゴムスキージを用いてソーダライム系
ガラス基板上にスクリーン印刷法で被膜形成し、100
℃で20分間の加熱乾燥後、空気雰囲気中700℃で1
0分間の焼成を行い、無機組成の焼成被膜を得た。
【0041】実施例2 実施例1におけるアクリル樹脂エマルジョン分散液の代
わりに、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂エマルジ
ョン分散液(エポキシ樹脂25部を水75部に分散した
溶液)10部を用いた以外は、実施例1と同様にして本
発明の水性インクを得た。印刷および焼成は実施例1と
同様にして行った。
【0042】実施例3 実施例1におけるヒドロキシプロピルメチルセルロース
を7部、脂肪族ジアルデヒド水溶液を15部とし、アク
リル樹脂エマルジョン分散液の代わりにグリコール可溶
性ポリエステル樹脂7部とポリアミドワックス1部を用
いた以外は、実施例1と同様にして本発明の水性インク
を得た。印刷および焼成は実施例1と同様にして行っ
た。
【0043】実施例4 実施例1における脂肪族ジアルデヒド水溶液の代わり
に、エチレングリコールジグリシジルエーテル型エポキ
シ樹脂10部を用い、アクリル樹脂エマルジョン分散液
の代わりに実施例2で用いたクレゾールノボラック型エ
ポキシ樹脂エマルジョン分散液8部を用い、水を50部
とし、水性媒体中の有機溶剤としてポリプロピレングリ
コール5部と有機バインダーとしてポリアミドワックス
2部を加えた以外は、実施例1と同様にして本発明の水
性インクを得た。印刷および焼成は実施例1と同様にし
て行った。
【0044】実施例5 実施例1におけるヒドロキシプロピルメチルセルロース
を7部とし、アクリル樹脂エマルジョン分散液の代わり
にポリエチレングリコール(分子量20,000)7
部、ポリアミドワックス1部を用いた以外は、実施例1
と同様にして本発明の水性インクを得た。印刷および焼
成は実施例1と同様にして行った。
【0045】実施例6 実施例1と同様の方法で、ヒドロキシプロピルメチルセ
ルロース10部、変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂
エマルジョン分散液(エポキシ樹脂50部を水50部に
分散した溶液)10部、テレフタル酸・イソフタル酸共
重合系ポリエステル樹脂5部、ポリエチレングリコール
モノステアレート5部、水50部およびプロピレングリ
コール20部の組成比において水性ビヒクルを調製し
た。この水性ビヒクル15部に対し、無機融着成分とし
てのガラスフリット50部、非融着性無機粉体成分とし
ての酸化クロム系黒顔料25部および酸化チタン10
部、分散剤(ビックケミー(株)製、商品名:Disp
erbyk−184)0.2部、防錆剤(サンノプコ
(株)製、商品名:ノプコサイドSN70)0.2部を
混練し、インク安定化剤としてインク100部に対して
ポリエチレングリコール(分子量400)5部と、水:
プロピレングリコールが2:1の重量比である希釈剤を
インク100部に対して10部加えることで希釈して本
発明の水性インクを調製した。印刷および焼成は実施例
1と同様にして行った。
【0046】実施例7 実施例1におけるヒドロキシプロピルメチルセルロース
の代わりにメチルセルロース10部とし、ジプロピレン
グリコールの代わりにプロピレングリコールモノエチル
エーテル5部とプロピレングリコール15部を用いた以
外は、実施例1と同様にして本発明の水性インクを得
た。印刷および焼成は実施例1と同様にして行った。
【0047】実施例8 実施例1におけるアクリル樹脂エマルジョン分散液の代
わりにカルボキシメチルセルロースを3部用い、ジプロ
ピレングリコールを10部、水を55部として、有機溶
剤としてさらにジプロピレングリコールモノメチルエー
テル10部を加え、有機バインダーとしてポリアミドワ
ックス2部を加えた以外は、実施例1と同様にして本発
明の水性インクを得た。印刷および焼成は実施例1と同
様にして行った。
【0048】実施例9 実施例1の水性ビヒクル15部に対し、非融着性無機粉
体成分としてクエン酸キレート化合物により耐水性の表
面処理を行った銀の微粉82部と、無機融着成分として
ホウ珪酸系ガラスフリット3部を用いた以外は、実施例
1と同様にして本発明の水性インクを得た。このインク
を250メッシュのステンレス製スクリーン版と硬度8
0度のゴムスキージを用いてソーダライム系ガラス基板
上にスクリーン印刷法で被膜形成し、100℃で20分
間の加熱乾燥後、空気雰囲気中700℃で10分間の焼
成を行い、無機組成の焼成被膜を得た。
【0049】実施例10 実施例9と同様にして本発明の水性インクを得た。この
インクにより250メッシュのステンレス製スクリーン
版と硬度80度のゴムスキージを用いてガラス−セラミ
ックス基板上にスクリーン印刷法で被膜形成し、120
℃で30分間の加熱乾燥後、空気雰囲気中900℃で1
0分間の焼成を行い、無機組成の焼成被膜を得た。
【0050】実施例11 実施例1の水性ビヒクル15部に対し、無機融着成分と
してホウ珪酸鉛系ガラスフリット70部、シリカゾル1
0部およびアルミナゾル5部を用いた以外は実施例1と
同様にして本発明の水性インクを得た。ただし、水とプ
ロピレングリコールを2:1の重量比で調整した希釈剤
をインク100部に対して8部加えることによって水性
インクの粘度は100PaSとした。このインクにより
100メッシュのステンレス製スクリーン版と硬度90
度のゴムスキージを用いてソーダライム系ガラス基板上
にスクリーン印刷法で被膜形成し、マイクロウェーブで
10分間の乾燥と350℃で30分間の脱脂焼成後、空
気雰囲気中600℃で10分間の焼成を行い、無機組成
の焼成被膜を得た。
【0051】実施例12 実施例1の水性ビヒクル20部に対し、無機融着成分と
してホウ珪酸亜鉛系ガラスフリット50部およびホウ珪
酸ビスマス系ガラスフリット30部を加えた以外は、実
施例1と同様にして本発明の水性インクを得た。このイ
ンクにより250メッシュのステンレス製スクリーン版
と硬度80度のゴムスキージを用いて酸化アルミニウム
基板上にスクリーン印刷法で被膜形成し、120℃で1
0分間の加熱乾燥後、空気雰囲気中550℃で10分間
の焼成を行い、無機組成の焼成被膜を得た。
【0052】実施例13 実施例1と同様の方法で、ヒドロキシプロピルメチルセ
ルロース2部、ポリエチレングリコールジグリシジルエ
ーテル15部、グリコール可溶性ポリエステル樹脂5
部、ポリエチレングリコールモノステアレート3部、水
20部、プロピレングリコール45部、ジエチレングリ
コール10部の組成比において水性ビヒクルを調整し
た。この水性ビヒクル15部に対し、無機融着成分とし
てガラスフリット50部、非融着性無機粉体成分として
酸化クロム系黒顔料25部および酸化チタン10部、分
散剤(ビックケミー(株)製、商品名Disperby
k−184)0.2部、防錆剤(サンノプコ(株)製、
商品名ノプコサイドSN70)0.2部を混練し、水:
プロピレングリコールが1:5の重量比である希釈剤を
インク100部に対して15部加えることで本発明の水
性インクを調製した。印刷および焼成は実施例1と同様
にして行った。
【0053】実施例14 実施例13におけるポリエチレングリコールグリシジル
エーテルを10部とし、変性ビスフェノールA型エポキ
シエマルジョン分散液(エポキシ樹脂50部を水50部
に分散した溶液)5部、グリコール可溶性ポリエステル
樹脂の代わりにポリアミドワックス1部、インク安定化
剤としてポリエチレングリコール(分子量400)をイ
ンク100部に対して4部を用いた以外は、実施例13
と同様にして本発明の水性インクを調製した。印刷およ
び焼成は実施例1と同様にして行った。
【0054】実施例評価 実施例1〜14で得られた無機組成焼成被膜に対して、
下記の評価試験を行い、その結果を表2に示した。 1)印刷性試験 評価項目と評価基準は以下の通りとした。 a)スクリーン印刷吐出性 被印刷基板へのパターン転写性を観察した。 ○:パターンの抜けがない。 ×:パターンの抜けがあり、部分的にインクが印刷され
ていない。 b)ピンホール ○:ピンホールがない。 ×:ピンホールがある。 c)グラデーション印刷 直径2mm程度のドットがグラデーションパターンにな
っている印刷版において、被印刷基板へのパターン転写
性を観察した。 ○:パターンの抜けがない。 ×:パターンの抜けがあり、部分的にインクが印刷され
ていない。
【0055】2)焼結性試験 評価基準は以下の通りとした。尚、実施例10および1
2の不透明基体については、a)およびb)の試験は行
わず、c)の試験のみ行った。 a)オパシティ(隠蔽性) 可視光にて透過濃度値Df=log10(1/透過率
T)を測定した。 ○:透過率T%<0.1 ×:透過率T%>0.1 b)マジックシミ 市販の油性マジックインクを焼成被膜面に塗布し、透明
な基体の裏側から観察した。 ○:マジックインクの塗布部分が判別できない。 ×:マジックインクのシミ込み部分が見られる。 c)顕微鏡観察 拡大倍率を50倍と200倍にして、反射光により顕微
鏡観察を行った。 ○:剥離、クラック、大きい気泡などの未焼結部分が見
られない。 ×:剥離、クラック、大きい気泡などの未焼結部分が見
られる。
【0056】表2 評価結果
【0057】
【発明の効果】本発明によれば、水性インクを耐熱性基
体上に印刷し、焼成することにより、剥離やスケのない
緻密な焼成被膜を形成することが可能である。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】無機融着成分と、水性媒体と、該水性媒体
    に溶解および/または分散可能な有機バインダーとから
    なることを特徴とする水性インク組成物。
  2. 【請求項2】請求項1の水性インク組成物で、さらに非
    融着性無機粉体成分を含有する水性インク組成物。
  3. 【請求項3】水性媒体が、水混和性のグリコール系有機
    溶剤を含む請求項1または請求項2に記載の水性インク
    組成物。
  4. 【請求項4】有機バインダーが、セルロース誘導体、ア
    ルデヒド誘導体、エポキシ化合物、アクリル系樹脂、ポ
    リエステル系樹脂、アミド樹脂およびポリエチレングリ
    コール誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種で
    ある請求項1または2に記載の水性インク組成物。
  5. 【請求項5】グリコール系有機溶剤が、プロピレングリ
    コール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコー
    ルアルキルエーテル、ジプロピレングリコールアルキル
    エーテルおよびポリプロピレングリコールからなる群か
    ら選ばれる少なくとも1種である請求項3に記載の水性
    インク組成物。
  6. 【請求項6】インク組成物全重量中において、無機融着
    成分と非融着性の無機粉体成分との合計が65〜95重
    量%であり、水性媒体と有機バインダーとの合計が5〜
    35重量%であり、上記無機固体成分の合計を100重
    量%とした場合、無機融着成分が1〜100重量%であ
    り、無機粉体成分が0〜99重量%であり、有機バイン
    ダーが水性媒体100重量部あたり5〜40重量部であ
    る請求項1に記載の水性インク組成物。
  7. 【請求項7】有機バインダーが2種以上の混合物であっ
    て、その少なくとも1種がセルロース誘導体である請求
    項1または請求項2に記載の水性インク組成物。
  8. 【請求項8】スクリーン印刷用である請求項1または請
    求項2に記載の水性インク組成物。
  9. 【請求項9】請求項1〜7に記載の水性インク組成物を
    用いて、スクリーン印刷方法によって、耐熱性基体表面
    に任意の模様を印刷し、乾燥後印刷塗膜中の有機物が除
    去される温度、かつ無機融着成分が溶融する温度で焼成
    することを特徴とする有機物を含まない無機被膜の形成
    方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002356633A (ja) * 2001-05-29 2002-12-13 Toppan Forms Co Ltd インクジェットインク受容性隠蔽層形成用インクおよびそれを用いた記録用シート
JP2013534201A (ja) * 2010-07-09 2013-09-02 エージーシー グラス ユーロップ エナメル系層で被覆されたガラス物品
JP2014189602A (ja) * 2013-03-26 2014-10-06 Nihon Yamamura Glass Co Ltd 梨地調印刷用インク組成物及び梨地調印刷面付きガラス製品の製造方法
JP2017075251A (ja) * 2015-10-15 2017-04-20 大日本塗料株式会社 無機質基材加飾用インクセット及び無機焼成体の製造方法
JP2019156935A (ja) * 2018-03-09 2019-09-19 御国色素株式会社 インク及び被印字体の製造方法

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