JPH09225339A - 集じんユニットとこれを装着した空気清浄装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】高い集じん効率により設置環境の空気清浄度を
高度に保持すると共に、集じんユニットの洗滌作業と装
置の保守点検の容易な空気清浄装置。 【解決手段】中空円筒部材１を正極とし、ニクロム線を
スパイラル状に巻回した負極の第２の中空円筒部材２を
着脱可能に構成した集じんユニットを装着してなる空気
清浄装置。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は空気清浄装置に係
り、特に、室内空間における、たばこなどの燻煙、不完
全燃焼煙、または、微細な煤じん等を除去するに好適な
空気清浄装置の集じんユニットを含む主要部の構造に関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】オフィス、ホール、集会場など多数の人
の集まる場所の空気は、目には見えないが、たばこの煙
などの燻煙や煤じんによって汚染されており、快適な環
境を保持するためには、前記燻煙や煤じんなどを除去す
る空気清浄装置の設置が必須の要件になっている。一般
的な電気的空気清浄装置は、負の放電極と正の集じん極
を対向して配置して両極間に不平等電界を形成し、この
電界に高電圧下で微小電流を印加すると、いわゆるコロ
ナ放電が生起し、上記のような燻煙、微細な煤じん等の
処理媒体（以下単に処理媒体と記す）は負の帯電体とな
り、クーロン力により正の集じん極に捕集される原理に
基づいて構成されており、従来の空気清浄装置は、上記
のように対向電極型の構造を有するものが多い。特開平
４−２９７６５号公報には集じん装置の静電フィルタの
近傍に設けた帯電電極と、この反対側にアース電極を備
えた空気清浄機が開示されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記従来技術は、空気
清浄装置のキャビネット内において、帯電した処理媒体
粒子の相互の干渉などにより、集じん極に対する捕集効
率が低下し、空気清浄装置の幅寸法、すなわち、電極の
配置方向と直角方向の長さについては限界があった。ま
た、捕集効率を安定して保持するためには、定期的に集
じん極を交換したり洗浄することが必要であるが、点検
に要する手間や保全費用が嵩むという問題点があった。
上記の問題点に鑑み、本発明は、処理媒体に対して高い
捕集効率を有することにより、設置環境の空気清浄度を
高度に保持すると共に、集じん機構の主要部である集じ
んユニットの洗滌作業が容易であり、装置の点検と保守
作業を効率的に実行することが可能な空気清浄装置を提
供することを目的としてなされたものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明の集じんユニット
は、中空円筒状に形成した放電極の円筒面にニクロム線
をスパイラル状に巻回し、このニクロム線と空間を隔て
て対向する中空円筒の内面を集じん極とし、ニクロム線
を加熱すると共に、放電極と集じん極の間に高電圧の微
小電流を印加して前記空間にコロナ放電を生起させる構
成を有するものである。すなわち、本発明の特徴の第１
は、送風機によって吸入された外気が前記空間内を通過
すると前記処理媒体に対して、スパイラル状の帯電域を
形成するように構成される。これににより処理媒体は、
前記空間内で相互に干渉することなく効率良く負に帯電
され集じん極に捕捉される。本発明の装置に用いる電源
は、例えば、図６に示すように、ＡＣ１００Ｖの商用電
源を使用して、高圧発生回路１８及びヒータ制御回路１
９を動作させる。高圧発生回路１８はトランスを含む空
気清浄制御回路であって、７．５ＫＶ〜１０ＫＶの高電
圧の直流または脈流を発生させ、これによって放電極と
集じん極間の空間にコロナ放電を発生させるのである。
また、ヒータ制御回路１９はトランスを含みニクロム線
４の加熱と切断防止制御を行なう。第２に本発明の空気
清浄装置は、前記集じんユニットの複数本を着脱自在に
装着し、また、容易に取出すことができ、かつ、この集
じんユニットは、集じん極を放電極に対して長手方向に
引出して分解することができるから、汚染した集じんユ
ニットを容易に清掃または洗滌することが可能になるも
のである。

【０００５】要するに上記の目的は、耐薬品性、導電
性、耐食性を有する第１の中空円筒部材と、前記第１の
中空円筒部材の内部に設けられ耐薬品性、導電性、耐食
性を有する第２の中空円筒部材と、前記第１の中空円筒
部材と第２の中空円筒部材を同心に保持する耐薬品性の
絶縁部材と、前記第２の中空円筒部材の円筒面を被覆す
るセラミックス製表層部材と、前記第１の中空円筒部材
と前記セラミックス製表層部材の間に設けた円筒状空間
と、前記セラミックス製表層部材の円筒面にスパイラル
状に巻回した高抵抗導線と、前記高抵抗導線を加熱する
加熱手段と、前記第１の中空円筒部材を正極とし、前記
第２の中空円筒部材を負極として高電圧直流若しくは高
電圧脈流の印加により前記円筒状空間にコロナ放電を生
起させる電源供給手段と、を有することを特徴とする集
じんユニット、若しくは前記第２の中空円筒部材の両端
に嵌合する左右１対の固定リングと、前記左右１対の固
定リングの円周をｎ個所に分割してｎ条の高抵抗導線を
前記左右の固定リング間に並列に接続し、前記固定リン
グの一方の捻回させることにより前記高抵抗導線に所定
のリードアングルを形成したことを特徴とする集じんユ
ニット、若しくは、前記高抵抗導線を２ｎ条とし、前記
固定リングを介して直列に接続したことを特徴とする集
じんユニット、の何れかの集じんユニットを主要構成部
分とし、外気の吸入口と吐出口を有する筐体内に、前記
吸入口内側に外気のろ過手段を設けると共に、前記集じ
んユニットを前記筐体内に着脱自在に並設し、前記吸入
口から外気を吸入し、前記複数の集じんユニットの長手
方向に空気流を形成させたのち、前記吐出口から排出さ
せる送風手段を有することを特徴とする空気清浄装置に
よって達成される。

【０００６】上記の耐薬品性とは、洗滌時に少なくとも
中性洗剤の使用に耐える物性、導電性とは、少なくとも
空間に対向した両極間に、コロナ放電を出現させる不平
等電界を形成させ得る材料で、例えば、アルミニウム合
金が好ましく、また、耐食性とは、コロナ放電とこれに
伴う電食にたえる物性を有する金属、例えば、耐食性デ
ュラルミン、またはチタン材などが好ましい。図７は、
本発明の集じん装置を集会場に装着した一例の外観図で
ある。本発明によれば、小型で清掃若しくは洗滌作業の
ための取扱が容易であり、たばこの煙などの燻煙や煤じ
んなどによる汚染を防止し、快適な環境を保持するに好
適な空気清浄装置を提供することができる。

【０００７】

【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面に基づ
いて説明する。 〈実施の形態１〉図１は、本発明の集じんユニットを装
着した空気清浄装置の斜視図である。空気清浄装置１０
は、複数本の集じんユニット２０を並設して内装する筐
体１１、図示しない送風機を内装する送風機カバー１
５、集じんユニット２０を筐体１１内部から取出す取出
しカバー１３により構成されている。取出しカバー１３
は、蝶番１３ａにより矢印Ｄ方向に開放することができ
る。これにより集じんユニット２０を筐体１１から取外
して外部へ矢印Ｃ方向に引出すことが可能である。処理
媒体を含有する空気は、送風機カバー１２内に収容した
送風機の駆動力により、筐体１１の前面に設けた吸入口
１４から矢印Ａ方向に沿って吸入され、図示しないクリ
ーナを経て筐体１１内へと導入される。そして、筐体１
１内では、複数本の集じんユニット２０の各円筒内を通
過する過程で、コロナ放電により清浄化されるように空
気流路が構成され、清浄化された空気は矢印Ｂに示すよ
うに排風口１５から外部へ排出されるようになってい
る。１６は、本装置駆動用のスイッチ、１７は、空気清
浄度水準値、集じんユニットの汚れ度合い、または、装
置の駆動状態、各種異常警報値などを表示するインジケ
ータである。

【０００８】図２は、本発明に係る集じんユニットの実
施の形態１の内部構造を示す斜視図で、図３は、同実施
の形態１の縦断面図である。図３に示すように集じんユ
ニット２０は集じん極（正極）を形成する第１の中空円
筒部材１と、放電極（負極）を形成する第２の中空円筒
部材２を有し、第２の中空円筒部材２の外円筒表面は表
層部材３によって被覆され、ニクロム線４がスパイラル
状に巻回されている。第１の中空円筒部材１は、耐薬品
性、導電性、耐食性を有する金属材料、例えばアルミニ
ウム合金材若しくは、チタン材が使用される。そして、
集じん極の中心と放電極の中心を一致させて位置決めす
るために、第２の中空円筒部材２の両端に嵌合して一体
に固定した１対の絶縁部材５が設けられている。絶縁部
材５は、切欠部５ａを備え第１の中空円筒部材１から矢
印Ｃ方向に引出し可能のように構成されている。また、
絶縁部材５には、接続端子ｐ、ｑが設けられ、図３に示
すように、接続端子ｐは、左端部Ｌにおいてニクロム線
４の巻始め端に接続し、右端部Ｒにおいて巻終り端は、
第２の中空円筒部材２を介して左端部Ｌに戻り、接続端
子ｑに接続するように構成される。

【０００９】絶縁部材５は、前記第１の中空円筒部材と
第２の中空円筒部材とを同心に保持すると共に、耐薬品
性絶縁性を有し、少なくとも中性洗剤を用いて放電極と
嵌合状態のままで洗滌するに支障を来さないことが必要
で、例えば、デルリンなどの樹脂材が好適である。中空
円筒部材１、第２の中空円筒部材２は、何れも耐薬品
性、耐電食性、導電性を有する金属材料、また、表層部
材３は厚さ１．８ｍｍ〜２．０ｍｍのセラミックスよう
な絶縁物、若しくは石英材でも使用可能である。ニクロ
ム線４は、線径０．３ｍｍのものを概ね６ｍｍ前後のス
パイラルピッチを保持するように適宜の手段を用いてセ
ラミックス製表層部材３の表面に固定されることが好ま
しいが、ニクロム線４の通電に伴い加熱されるから、コ
イル素線の伸縮によるスパイラルの変形またはピッチの
変動を防止することが必要である。例えば、表層部材３
の円筒表面にコイル素線の移動防止用の固定溝を設けた
り、接着材を用いて表層部材３と部分的に接着して固定
するなどの手段が考えられている。図３に示すｒは、第
１の中空円筒部材１の左端部Ｌに設けられた接続端子で
あって、前記接続端子ｒとの間に７．５ＫＶ〜１０ＫＶ
の高電圧を印加することによって、空気流路７を形成し
ている空間にコロナ放電を生起させることができる。

【００１０】図６に示すように、本発明の装置に用いる
電源は、ＡＣ１００Ｖの商用電源を使用して、高圧発生
回路１８及びヒータ制御回路を動作させることが可能の
ように構成されている。高圧発生回路１８はトランスを
含む空気清浄制御回路であって、７．５ＫＶ〜１０ＫＶ
の高電圧の直流または脈流を発生させる。またヒータ制
御回路１９はトランスを有しニクロム線４の切断防止と
加熱制御を行なう。加熱温度は６０℃〜１２０℃の範囲
に調整され、処理媒体の帯電効率が最適になるよう空間
電界の温度制御を行なう。

【００１１】図３に示すように、集じんユニット２０の
内部は、ニクロム線４と中空円筒部材１間の空間に空気
流路７が形成されており、処理媒体は空気と共に、装置
外に向かって矢印Ｂ（図１）方向に排出される。集じん
ユニット２０は高電圧を印加された第２の中空円筒部材
２を負の放電極とし、空気流路７を隔てて中空円筒部材
１を正の集じん極とするコロナ電界が形成される。前記
燻煙や煤じんを含む空気は、空気流路７を通過する過程
で負に帯電せられ、燻煙や煤じんは、正の集じん極であ
る中空円筒部材１の円筒内面に捕捉されることになる。

【００１２】本発明の特徴は、表層部材３、第２の中空
円筒部材２で構成した円筒面上にニクロム線４をスパイ
ラル状に巻回した放電極と、この放電極に中空円筒部材
１の円筒内面を集じん極として対向させた不平等電界
に、７．５ＫＶ〜１０Ｋｖの高電圧を印加することによ
り、空気流路７にスパイラル状にコロナ放電空間を生起
させる点にある。このようなスパイラル状に巻回した放
電極によって、空気流路７を通過する燻煙や煤じんの微
粒子は、相互間の干渉が防止されて、従来技術よりも遥
かに効率的にまんべんなく負イオンに帯電させられるか
ら、これにより前記燻煙や煤じんを高能率に正の集じん
極に捕集させることができる。表層部材３と中空円筒部
材１の内径間の隙間ｓは、常に概ね４０ｍｍ以下、本実
施の形態では１５ｍｍが最も好ましい寸法である。

【００１３】次に、図１に示すように、装着された集じ
んユニット２０は、駆動停止後、取出しカバー１３を開
放したのち、矢印Ｃ方向に順次引出すことができ、さら
に図２に示すように、中空円筒部材１から、第２の中空
円筒部材２、表層部材３、ニクロム線４及び絶縁部材５
からなる一体構成物である集じん極を、図３矢印Ｃ方向
に摺動して引抜くことが可能である。これにより、電気
掃除機などを使用して集じん極及び放電極に堆積された
燻煙や煤じんの吸引を行ない、さらに汚れが甚だしい状
態ならば、洗剤の溶解液などによる水洗い洗滌を容易に
実行することができるから装置の保守管理には極めて有
効である。

【００１４】〈実施の形態２〉図４は、本発明に係る集
じんユニットの実施の形態２を示す縦断面図である。本
実施の形態は、基本的には中空円筒部材１、絶縁部材５
は実施の形態１と同様の構造を有する。本実施の形態の
特徴は、ニクロム線４の形状の変化のほかは、実施の形
態１と同様の構成と接続端子を有する。すなわち表層部
材３の円筒表面に沿って、Ｌ、Ｒ両端に固定リング６を
備えた３条のニクロム素線４ａ、４ｂ、４ｃを、等間隔
に概ね軸線と平行に張設したのち、Ｌ端に対してＲ端を
１回転捻回したのち、それぞれ絶縁部材５に固定してリ
ードアングルαを形成したものである。本実施の形態は
実施の形態１と比較して、表層部材３に対するニクロム
線４の固定が容易で形状安定性も優れているから、特別
な固定手段などを省略することが可能と考えられてい
る。ニクロム素線は、図示の３条に限定せず、また、Ｌ
端に対するＲ端の捻回は１回転に限定せず、リードアン
グルαは任意に設定することが可能である。

【００１５】〈実施の形態３〉図５は、本発明に係る集
じん電極の実施の形態３を示す模式図である。本実施の
形態は、４ａ、４ｂ、４ｃ、４ｄなる４条のニクロム素
線を直列に接続し、固定リング６との固定端ｂとｃ、他
方の固定リング６との固定端ａ′とｂ′、ｃ′とｄ′を
導体接続したものである。これにより、固定端ａ、固定
端ｄを、接続端子ｐ、接続端子ｑにそれぞれ接続すれば
よい。すなわち、本実施の形態によれば２ｎ条、すなわ
ち、偶数条のニクロム素線を配置することによって、構
造の簡易化と接続の容易化を図ることができる。

【００１６】なお、本発明者らの実験によれば、実施の
形態１〜実施の形態３の何れについても、第２の中空円
筒部材２は、円柱状に形成したとしても概ね同等の効果
が得られることが判明している。実施の形態１〜実施の
形態３における実機寸法の一例を表１に示す。

【００１７】

【表１】

【００１８】

【発明の効果】本発明の実施により、処理媒体に対して
高い捕集効率を有することにより、設置環境の空気清浄
度を高度に保持し、かつ、集じんの主要部である電極の
洗滌が容易で、点検と保守作業を効率的に実行可能な空
気清浄装置を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の集じんユニットとこれを用いた空気清
浄装置を示す斜視図である。

【図２】本発明に係る集じんユニットの実施の形態１の
内部構造を示す分解斜視図である。

【図３】同実施の形態１の縦断面図である。

【図４】本発明に係る集じんユニットの実施の形態２を
示す縦断面図である。

【図５】本発明に係る集じんユニットの実施の形態３を
示す模式図である。

【図６】本発明の一例の回路構成を示すブロック図であ
る。

【図７】本発明の空気清浄装置を集会場に装着した一例
の外観図である。

【符号の説明】

１…第１の中間円筒部材 ２…第２の中空円筒
部材 ３…表層部材 ４…ニクロム線 ５…固定部材 ５ａ…切欠部 ６…固定リング ７…空気流路 １０…空気清浄装置 １１…筐体 １２…送風機カバー １３…取出しカバー １４…吸入口 １５…排風口 １６…スイッチ １７…インジケータ １８…高圧発生回路 １９…ヒータ制御回路 ２０…集じんユニッ
ト

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】耐薬品性、導電性、耐食性を有する第１の
   中空円筒部材と、 前記第１の中空円筒部材の内部に設けられ耐薬品性、導
   電性、耐食性を有する第２の中空円筒部材と、 前記第１の中空円筒部材と第２の中空円筒部材を同心に
   保持する耐薬品性の絶縁部材と、 前記第２の中空円筒部材の円筒面を被覆するセラミック
   ス製表層部材と、 前記第１の中空円筒部材と前記セラミックス製表層部材
   の間に設けた円筒状空間と、 前記セラミックス製表層部材の円筒面上にスパイラル状
   に巻回した高抵抗導線と、 前記高抵抗導線を加熱する加熱手段と、 前記第１の中空円筒部材を正極とし、前記第２の中空円
   筒部材を負極として高電圧直流若しくは高電圧脈流の印
   加により前記円筒状空間にコロナ放電を生起させる電源
   供給手段と、を有することを特徴とする集じんユニッ
   ト。
2. 【請求項２】前記第２の中空円筒部材の両端に嵌合する
   左右１対の固定リングと、 前記左右１対の固定リングの円周をｎ個所に分割してｎ
   条の高抵抗導線を前記左右の固定リング間に並列に接続
   し、 前記固定リングの一方を捻回させることにより所定のリ
   ードアングルを形成したことを特徴とする請求項１記載
   の集じんユニット。
3. 【請求項３】請求項２記載の高抵抗導線を２ｎ条とし、
   前記固定リングを介して直列に接続したことを特徴とす
   る集じんユニット。
4. 【請求項４】外気の吸入口と吐出口を有する筐体と、 前記吸入口内側に設けた外気のろ過手段と、 前記筐体内に着脱自在に並設した請求項１〜請求項３の
   何れか１項記載の集じんユニットと、 前記吸入口から外気を吸入し、前記複数の集じんユニッ
   トの長手方向に空気流を形成させたのち、前記吐出口か
   ら排出させる送風手段と、を有することを特徴とする空
   気清浄装置。