JPH09220239A - 義歯床用インサートピース - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】義歯床の割れを防止する。 【構成】合成樹脂により歯槽堤埋設部２と口蓋埋設部３
を一体化する。歯槽堤埋設部２は歯列に従いＵ字形をな
し、中央の湾曲部は前歯部用埋設部４で両側の湾曲部は
臼歯部用埋設部５である。歯槽堤埋設部２は全体に断面
形状が半円で前歯部用埋設部４は臼歯部用埋設部５に比
べ薄肉である。 【効果】インサートピースが床の芯となり強度が高ま
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は義歯床用インサートピー
スに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、義歯床を製作するには、口腔
内の欠損歯側とその対合歯側の印象を採得する。次に印
象内に歯科用石膏を注入して上，下顎の模型を製作す
る。その後上下対合関係を見て欠損歯側の模型上に人工
歯を排列するとともに歯齦形成をして蝋義歯を作成す
る。次いで蝋義歯をフラスコ内に石膏により埋没し、石
膏硬化後に蝋を溶融排出する。これにより、蝋の義歯床
形状と同形の空洞を有するとともに人工歯が固定された
石膏型が製作される。この後前記空洞内に合成樹脂を射
出成形法、圧縮成形法などの適宜方法により充填し、樹
脂硬化後、石膏型を破砕して成形品を取り出し、研磨、
仕上げを施して完成する。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記従来技術において
は、成形品を取り出すために石膏型を破砕する際の衝撃
や義歯床を口腔内に装着した際の咬合圧による床の変形
などに起因して床の薄肉部分から割れを生じ易いという
問題があった。

【０００４】そこで本発明は、義歯床の割れを抑制でき
る義歯床用インサートピースを提供することを目的す
る。

【０００５】

【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に本発明の義歯床用インサートピースは、歯槽堤に埋設
される歯槽堤埋設部又は口蓋に埋設される口蓋埋設部を
合成樹脂により成形してなるものである。また本発明は
歯槽堤に埋設される歯槽堤埋設部と口蓋に埋設される口
蓋埋設部とを合成樹脂により一体成形してなるものであ
る。

【作用】本発明によれば、インサートピースが床の芯と
なって床の樹脂と溶着一体化する。

【０００６】

【実施例】以下、本発明の実施例を添付図面を参照して
説明する。図１乃至図７は本発明の第１実施例を示し、
図１〜図３に示すようにインサートピース１は合成樹脂
により歯槽堤埋設部２と口蓋埋設部３とが一体化されて
成形されている。この場合、前記合成樹脂は床用樹脂と
同じ物性でかつ床用樹脂よりも大きな強度を有すること
が好ましいが、これに限らない。また前記合成樹脂は床
用樹脂に近い色調を有することが好ましいが、これに限
らない。前記歯槽堤埋設部２は歯列に従いＵ字形をなし
ており、中央の湾曲部は前歯部用埋設部４であり、両側
の湾曲部は臼歯部用埋設部５である。また、これに限ら
ないが本実施例では歯槽堤埋設部２は全体に断面形状が
円形であり、また前歯部用埋設部４は臼歯部用埋設部５
に比べ薄肉で小幅になっている。また前歯部用埋設部４
と臼歯部用埋設部５の内側には口蓋埋設部３が連設され
ており、この口蓋埋設部３は歯槽堤埋設部２より小さい
曲率のＵ字形の主要部６とこの主要部６を歯槽堤埋設部
２に繋げる複数の連設部７からなっており、これらは歯
槽堤埋設部２より薄肉で断面形状が四角形をなしてい
る。そして、使用に際しては、図４および図５に示すよ
うに脱蝋後に上下石膏型８，９を開き、上側の石膏型８
に固定されている人工歯１０の歯列に歯槽堤埋設部２が
倣うとともに口蓋埋設部３が口蓋のキャビテイ空間１１
に位置するように図示しない技工用バーナーでインサー
トピース１を変形させたり切断したりし、この後インサ
ートピース１の歯槽堤埋設部２を人工歯１０に歯科用レ
ジンなどの接着剤１２で固定する。これにより、上下石
膏型８，９を合わせると歯槽堤のキャビテイ空間１３内
にインサートピース１の歯槽堤埋設部２が口蓋のキャビ
テイ空間１１に口蓋埋設部３がそれぞれ配置される。こ
の状態で射出成形法又は圧縮成形法などの適宜方法を用
いて通法により石膏型８，９のキャビテイ空間に床用樹
脂１４を充填するものである。このようにして完成した
義歯床は図６及び図７に示すようにインサートピース１
の表面が床用樹脂１４の熱によって溶けて床用樹脂と溶
着一体化するとともに、さらに溶融しない部分がインサ
ートピース１の形態をなして芯部１５として残存するも
のである。従って、前記インサートピース１を用いた義
歯床は床内にインサートピース１が芯部１４として埋設
されており、インサートピース１は歯槽堤埋設部２と口
蓋埋設部３とが一体化されているため、これが床の補強
筋となり、石膏型を破砕する際の衝撃や義歯床を口腔内
に装着した際の咬合圧による床の変形などに起因して床
の薄肉部分から割れることを抑制する。また実施例の効
果としてインサートピース１を設けることにより歯槽堤
における床用樹脂部分の厚みが小さくなるので厚肉な歯
槽堤であってもひけの発生を抑制できるとともに、義歯
床の全体的な床用樹脂の肉厚変化量を小さくできるので
床用樹脂の成形収縮のばらつきによる変形を抑制でき
る。さらに実施例上の効果として、人工歯１０にインサ
ートピース１を固定するものであるからインサートピー
ス１を介して人工歯１０が床に一体化することになり、
人工歯の脱落を防止できる。また実施例上の効果として
歯槽堤埋設部２の前歯部用埋設部４は臼歯部用埋設部５
より薄肉で小幅なため人工歯１０への接着およびインサ
ートピース１の変形が容易である。図８〜図１３は本発
明の他の実施例を示し、上記実施例と同一部分に同一符
号を付し同一箇所の説明を省略して説明すると、図８及
び図９の第２実施例ではインサートピース１をアーチ形
に構成した場合を示し、図１０及び図１１の第３実施例
ではインサートピース１をＩ字形に構成した場合を示
し、図１２及び図１３の第４実施例ではインサートピー
ス１をＬ字形に構成した場合を示し、これらにおいても
第１実施例と同様な効果を有する。なお本発明は上記実
施例に限定されるものではなく本発明の要旨の範囲内に
おいて種々の変形実施が可能である。例えばインサート
ピースは歯槽堤埋設部又は口蓋埋設部を有すればよく、
床の割れを抑制できる。また各埋設部の形状や寸法など
は適宜選定すればよい。また、使用に際しては１つの義
歯床に複数のインサートピースを埋設してもよい。又イ
ンサートピースは少なくとも１箇所を人工歯またはクラ
スプに固定すればよく、インサートピースが口蓋埋設部
のみにより構成されるものは、人工歯又はクラスプに固
定しやすいように人工歯又はクラスプまで延びる取付部
を一体成形してもよい。また、歯槽堤埋設部は人工歯列
の中央に位置するように図示したが舌側あるいは唇側，
頬側にずらしてもよく、同様に口蓋埋設部の位置も図示
のものに限らず適宜埋設位置を選定すればよい。

【０００７】

【発明の効果】本発明は義歯床の割れを抑制できる義歯
床用インサートピースを提供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例を示す正面図である。

【図２】本発明の第１実施例を示す拡大平面図である。

【図３】図１のＡ−Ａ線拡大断面図である。

【図４】本発明の第１実施例の使用状態を示す断面図で
ある。

【図５】本発明の第１実施例の使用状態を示す底面図で
ある。

【図６】本発明の第１実施例を用いた義歯床の断面図で
ある。

【図７】本発明の第１実施例を用いた義歯床の断面図で
ある。

【図８】本発明の第２実施例を示す正面図である。

【図９】本発明の第２実施例を示す拡大断面図である。

【図１０】本発明の第３実施例を示す正面図である。

【図１１】本発明の第３実施例を示す拡大断面図であ
る。

【図１２】本発明の第４実施例を示す正面図である。

【図１３】本発明の第４実施例を示す拡大断面図であ
る。

【符号の説明】

１ インサートピース ２ 歯槽堤埋設部 ３ 口蓋埋設部

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】歯槽堤に埋設される歯槽堤埋設部又は口蓋
   に埋設される口蓋埋設部を合成樹脂により成形してなる
   ことを特徴とする義歯床用インサートピース。
2. 【請求項２】歯槽堤に埋設される歯槽堤埋設部と口蓋に
   埋設される口蓋埋設部とを合成樹脂により一体成形して
   なることを特徴とする義歯床用インサートピース。