JPH09216319A - スキンパック包装用多層フィルム - Google Patents

スキンパック包装用多層フィルム

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JPH09216319A
JPH09216319A JP4799996A JP4799996A JPH09216319A JP H09216319 A JPH09216319 A JP H09216319A JP 4799996 A JP4799996 A JP 4799996A JP 4799996 A JP4799996 A JP 4799996A JP H09216319 A JPH09216319 A JP H09216319A
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JP
Japan
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layer
skin pack
multilayer film
ethylene
resin
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Application number
JP4799996A
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English (en)
Inventor
Masahiko Shoji
正彦 庄子
Junji Yoshii
詢二 吉井
Seiichi Ibe
清一 伊部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kureha Corp
Kureha Plastics Co Ltd
Original Assignee
Kureha Corp
Kureha Plastics Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヒートシール特性、光学特性、機械的特性、
耐寒性、スキンパック成形性などに優れたガスバリヤー
性のスキンパック包装用多層フィルムを提供すること。 【解決手段】 最外層に弾性回復率の大きな熱可塑性樹
脂層、芯層にガスバリヤー性樹脂層、及び最内層にヒー
トシール性樹脂層を有するスキンパック包装用多層フィ
ルムにおいて、最内層のヒートシール性樹脂層が、拘束
幾何触媒を用いて得られた、1−オクテン含有量が1重
量%以上、20重量%未満で、密度が0.885g/c
3超過、0.960g/cm3以下である実質的に線状
のエチレン−1−オクテン共重合体を50重量%以上の
割合で含有する樹脂からなる層であることを特徴とする
スキンパック包装用多層フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スキンパック包装
用多層フィルムに関し、さらに詳しくは、ヒートシール
特性、光学特性、機械的特性、耐寒性、スキンパック成
形性などに優れたガスバリヤー性のスキンパック包装用
多層フィルムに関する。本発明のスキンパック包装用多
層フィルムは、スキンパック包装体に用いた場合、優れ
たヒートシール特性に加えて、特に、低温での耐アビュ
ーズ性(耐寒性)及びスキンパック成形性に優れてい
る。
【0002】
【従来技術】近年、食品包装の分野において、外観の良
い包装形態が好まれるようになっている。このような包
装形態のひとつに、スキンパック包装がある。スキンパ
ック包装は、透明な包装用フィルムが被包装品の形状に
沿って密着包装され、包装にしわがないため、例えば、
ベーコン、ソーセージ、ハム、食肉、チーズなどの食品
類の包装に汎用されている。スキンパック包装の基本的
な技法は、板紙やプラスチックシートなどのベースシー
ト(底材)上に被包装物を置き、その上から加熱軟化し
たプラスチックフィルム(以下、スキンフィルムとい
う)をかぶせ、脱気して、スキンフィルムを被包装物の
形状に沿って密着させるとともに、周辺部のスキンフィ
ルムとベースシートとをヒートシールする方法である。
【0003】近年、スキンパック包装法の一種として、
加熱真空包装法が提案され(特公昭56−49206号
公報、特公昭57−23607号公報)、実際に採用さ
れている。加熱真空包装法では、真空孔とヒーターを
備えた真空金型(すなわち、真空孔を有する凹型の熱板
を備えたチャンバー)によりスキンフィルムを予備的に
絞り成形し、一方、その成形により形成された凹所部
分と合わせられるベースシート上に被包装物を載せ、
絞り成形されたスキンフィルムを冷却することなく、加
熱軟化した状態を維持したままで、その凹所の周辺部と
ベースシートとを合わせて被包装物を覆い、凹所を真
空に引くとともに、真空金型と絞り成形されたスキンフ
ィルムとの間の気圧を常圧に戻すことにより、スキンフ
ィルムを被包装物の形状に沿って密着させ、同時に、
被包装物周辺部のスキンフィルムとベースシートとをヒ
ートシールしている。
【0004】このようなスキンパック包装に用いられる
スキンフィルムには、(1)真空孔とヒーターを備えた
真空金型により予備的な絞り成形が可能であること、
(2)しわの発生と被包装物の圧縮変形を防止するため
に、成形温度でゴム弾性的な性質を持つ一方、伸長時に
大きな応力を発現しないこと、換言すれば、成形温度で
の弾性回復率が大きく、かつ、弾性回復応力が小さいこ
と、(3)被包装物の商品価値を高めるために、透明性
や光沢に優れていること、(4)被包装物の腐敗防止や
長期保存のために、酸素ガスバリヤー性を有すること、
(5)被包装物を汚染しないこと、(6)ベースシート
に対する良好なヒートシール性を有することなどの特殊
な性能が要求されている。
【0005】従来、このような諸物性を備えたスキンパ
ック包装用フィルムとしては、例えば、軟質ポリ塩化ビ
ニル樹脂(PVC)/ポリ塩化ビニリデン樹脂(PVD
C)/ポリオレフィン樹脂からなる未延伸の共押出積層
フィルム(特公平6−2485号公報)、エチレン−酢
酸ビニル共重合体(EVA)/PVDC/EVAからな
る積層フィルム(特公昭57−23607号公報)、軟
質PVC/PVDC/EVAからなる積層フィルム(特
公昭56−49206号公報)などの種々の多層フィル
ムが提案されている。これら従来のスキンパック包装用
多層フィルムでは、多くの場合、外層に耐アビューズ
性、滑り性、包装機械適性等を備えた樹脂層、芯層にP
VDCなどのガスバリヤー性樹脂層、そして、内層にポ
リエチレン、低密度ポリエチレン(VLDPE)、アイ
オノマー樹脂、EVAなどのポリオレフィン樹脂からな
るヒートシール性樹脂層(シーラント層)が積層された
構成を有している。これら各層間には、必要に応じて接
着剤層が配置されている。
【0006】しかしながら、スキンパック包装に対する
要求性能が高まるにつれて、スキンパック包装用多層フ
ィルムに対しても、ヒートシール特性、光学特性、機械
的特性、耐寒性などの更なる改善が求められている。従
来のスキンパック包装用多層フィルムは、例えば、低温
シール性、夾雑物シール性、ホットタック性などが十分
ではない。また、スキンパック包装体は、種々の流通・
販売環境の下で保存され、あるいは取り扱われている
が、その間に、物理的な衝撃等を受けて破袋することが
ある。スキンパック包装では、畜肉加工品やチーズなど
を被包装物としているため、流通・販売環境は、通常、
低温条件下となっている。そこで、スキンパック包装用
多層フィルムには、低温条件下での虐待試験(アビュー
ズ試験)に十分に耐えるだけの耐寒性を有することが求
められている。しかし、従来のスキンパック包装用多層
フィルムでは、耐寒性が不十分であり、虐待試験におい
て、スキンパック包装体の破袋率の低減が求められてい
た。
【0007】スキンパック包装では、スキンフィルムを
真空孔とヒーターを備えた真空金型で予備的に絞り成形
し、次いで、スキンフィルムが加熱軟化した状態で、底
材との間で被包装物をスキンパック包装することが多い
が、この場合、柔らかい被包装物に対しても、表面にし
わのない密着したスキンパック包装が可能であることが
求められている。すなわち、スキンパック成形性に優
れ、被包装物の形状への忠実性が良好であることが求め
られている。しかし、従来のスキンパック包装用多層フ
ィルムでは、スキンパック成形性が十分ではなかった。
【0008】最近、各種包装材料において、ヒートシー
ル性樹脂層に、メタロセン触媒(シングルサイト触媒ま
たはカミンスキー触媒ともいう)を用いて重合したエチ
レン−α−オレフィン共重合体を用いた多層フィルムが
提案されている。例えば、特開平6−320685号公
報には、ガスバリヤー性樹脂層とオレフィン系樹脂層を
含むポリオレフィン系多層フィルムにおいて、少なくと
も被包装物が接する最内層に、メタロセン触媒を使用し
て得られたエチレン系共重合体を配置したポリオレフィ
ン系多層フィルムが提案されている。そして、該公報の
実施例には、メタロセン触媒を用いて得られたエチレン
−1−ブテン共重合体(エクソン社製EXACT 30
27)を最内層及び最外層の両方に配置した延伸多層フ
ィルムが開示されている。しかし、このような延伸多層
フィルムは、熱収縮応力が大きいため、スキンパック包
装用フィルムとしては不適当である。しかも、本発明者
らの検討結果によれば、エクソン社製EXACTシリー
ズなどの従来のメタロセン触媒を用いて得られたエチレ
ン系共重合体をスキンパック包装用多層フィルムのヒー
トシール性樹脂層に用いた場合、製膜時に、押出機のト
ルク上昇が見られ、フィルムにメルトフラクチャーを生
じやすく、商品価値のあるフィルムを製膜できない場合
のあることが判明した。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ヒー
トシール特性、光学特性、機械的特性、耐寒性、スキン
パック成形性などに優れたガスバリヤー性のスキンパッ
ク包装用多層フィルムを提供することにある。本発明者
らは、前記従来技術の問題点を克服するために鋭意研究
した結果、最外層に弾性回復率の大きな熱可塑性樹脂
層、芯層にガスバリヤー性樹脂層、及び最内層にヒート
シール性樹脂層を有するスキンパック包装用多層フィル
ムにおいて、最内層のヒートシール性樹脂層として、拘
束幾何触媒(constrained geometr
y catalyst;CGC)を用いて得られた実質
的に線状のエチレン−1−オクテン共重合体を主成分と
する樹脂からなる層を配置することにより、前記目的を
達成できることを見いだした。本発明は、これらの知見
に基づいて完成するに至ったものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、最外層
に弾性回復率の大きな熱可塑性樹脂層、芯層にガスバリ
ヤー性樹脂層、及び最内層にヒートシール性樹脂層を有
するスキンパック包装用多層フィルムにおいて、最内層
のヒートシール性樹脂層が、拘束幾何触媒を用いて得ら
れた、1−オクテン含有量が1重量%以上、20重量%
未満で、密度が0.885g/cm3超過、0.960
g/cm3以下である実質的に線状のエチレン−1−オ
クテン共重合体を50重量%以上の割合で含有する樹脂
からなる層であることを特徴とするスキンパック包装用
多層フィルムが提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明では、スキンパック包装用
多層フィルムの最外層として、弾性回復率の大きな熱可
塑性樹脂層を配置する。具体的には、120℃で一軸方
向に40%伸長させた後の弾性回復率が80〜100%
の範囲のものである。このような最外層を形成するのに
用いる熱可塑性樹脂としては、例えば、PVCに高分子
可塑剤を配合した軟質PVC、熱可塑性ポリウレタン樹
脂(TPU)などが好ましい。耐ボイル性の点では、T
PUがより好ましい。本発明では、スキンパック包装用
多層フィルムの芯層として、PVDCやエチレン−ビニ
ルアルコール共重合体樹脂(EVOH)などのガスバリ
ヤー性樹脂からなる層を配置する。PVDCとしては、
塩化ビニリデン(VD)含有量が50重量%以上、好ま
しくは75重量%以上で、コモノマーとして、塩化ビニ
ル(VC)及び/またはメチルアクリレート(MA)を
使用した共重合体が好ましい。PVDCは、通常、安定
剤、抗酸化剤などが添加されている。EVOHとして
は、エチレン含有量が29〜50モル%で、けん化度が
95%以上のものが好ましい。このようなEVOHとし
ては、例えば、(株)クラレのエバール樹脂(例えば、
エチレン含有量が44モル%のエバール EP−E、エ
チレン含有量が38モル%のES−H101B)などが
挙げられる。EVOHは、柔軟性を付与するために、柔
軟化剤として、無水マレイン酸グラフト・スチレン−ブ
タジエン系ゴム(SEBS)を添加してもよい。柔軟化
剤の好ましい配合割合は、EVOHと柔軟化剤との合計
量を基準として、5〜55容積%である。この配合割合
が5容積%未満では、柔軟化効果が少なく、55容積%
超過では、ガスバリヤー性の低下が大きくなる。
【0012】本発明では、スキンパック包装用多層フィ
ルムの最内層として、拘束幾何触媒を用いて付加重合す
ることにより得られた実質的に線状のエチレン−1−オ
クテン共重合体を主成分とする樹脂を用いる。拘束幾何
触媒(CGC)は、ダウ・ケミカル社(Dow Che
mical Company)社が開発したメタロセン
触媒の一種である。拘束幾何触媒を用いて得られるエチ
レン−1−オクテン共重合体は、1000炭素数当たり
の長鎖分岐(Long−chain branchin
g)の数が、約0.01〜約3、好ましくは約0.01
〜約1、より好ましくは約0.05〜約1の実質的に線
状のポリエチレン系ポリマーである。該エチレン−1−
オクテン共重合体は、分子構造中に約6炭素数以上の鎖
長の長鎖分岐が選択的に導入されているため、ポリマー
に優れた物性と良好な成形性が付与されている。
【0013】このような拘束幾何触媒を用いたエチレン
系ポリマーの製造方法は、ダウ・ケミカル社の米国特許
第5,272,236号、米国特許第5,427,80
7号などに開示されている。特に、米国特許第5,42
7,807号には、拘束幾何触媒を用いて得られるエチ
レン−α−オレフィン共重合体からなるフィルムを食品
包装用に使用することが提案されている。具体的には、
エチレン−α−オレフィン共重合体の単層フィルムある
いは熱収縮性で酸素透過性の延伸多層フィルムなどが、
食品包装用フィルムとして開示されている。
【0014】本発明で使用するエチレン−1−オクテン
共重合体は、1−オクテン含有量が1重量%以上、20
重量%未満、好ましくは2〜15重量%であって、か
つ、密度が0.885g/cm3超過の非エラストマー
である。拘束幾何触媒を用いて得られるエチレン−1−
オクテン共重合体であっても、1−オクテン含有量が1
8重量%以上、多くの場合20重量%以上であって、か
つ、密度が0.885g/cm3以下、多くの場合0.
880g/cm3以下の超低密度のものは、エラストマ
ーとなる。一般に、エラストマー単体を最内層に使用す
ると、弾性回復応力が大きくなりすぎて、スキンパック
包装用フィルムとしては適さない場合が多い。スキンパ
ック包装用フィルムの弾性回復応力が大きすぎると、ス
キンパック包装により、柔らかい被包装物が押し潰され
たり、肉汁が絞り出されて変質の原因となったり、ある
いはシール部が剥離するなどの不都合が生じる。熱収縮
性の延伸フィルムの場合も、熱収縮応力が大きすぎて、
同様の不都合を生じる。したがって、密度が0.885
g/cm3以下のエチレン−1−オクテン共重合体エラ
ストマーを単独で最内層に使用すると、弾性回復応力が
大きくなり過ぎるおそれがある。
【0015】本発明で使用するエチレン−1−オクテン
共重合体は、メルトフロー比I10/I2(ASTM−D
−1238)が、通常5.63以上、好ましくは6.5
〜15.0、より好ましくは7.0〜10.5である。
実質的に線状のエチレン−1−オクテン共重合体におい
て、メルトフロー比I10/I2は、長鎖分岐の度合を表
し、この値が大きい程、ポリマー中の長鎖分岐が多いこ
とを示す。
【0016】本発明で使用するエチレン−1−オクテン
共重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー
(GPC)によって測定した分子量分布Mw/Mnが式
Mw/Mn≦(I10/I2)−4.63を満足するもの
である。この分子量分布Mw/Mnは、好ましくは1.
5〜2.5、より好ましくは1.8〜2.3である。従
来のチーグラー・ナッタ触媒を用いたLLDPEやVL
DPEでは、メルトフロー比I10/I2が大きくなる
と、分子量分布Mw/Mnも大きくなり、I10/I2
5.63以上にもなると、Mw/Mnは3.0を越え、
2.5以下にはならない。これに対して、拘束幾何触媒
を用いたエチレン−1−オクテン共重合体は、例えば、
メルトフロー比I10/I2が7〜10の間で変動して
も、分子量分布Mw/Mnが1.8〜2.3、さらには
1.9〜2.2(約2)でほぼ一定のものを得ることが
可能である。つまり、本発明で使用するエチレン−1−
オクテン共重合体は、メルトフロー比I10/I2が分子
量分布Mw/Mnと独立しているという特徴を持ってい
る。このことは、従来のLLDPEやVLDPEなどの
ポリエチレン系樹脂には見られないことである。
【0017】本発明で使用するエチレン−1−オクテン
共重合体は、密度が0.885g/cm3超過、0.9
60g/cm3以下、好ましくは0.890〜0.95
0g/cm3、より好ましくは0.895〜0.915
g/cm3である。本発明で使用するエチレン−1−オ
クテン共重合体は、メルトフローレイト(MFR:AS
TM−D−1238)が通常0.5〜20g/10mi
n、好ましくは1〜5g/10minである。
【0018】また、本発明で使用するエチレン−1−オ
クテン共重合体は、DRI(DowReology I
ndex)が通常0.2〜20、好ましくは0.4〜1
0である。従来の触媒を用いたエチレン系ポリマーで
は、DRIはゼロである。DRIが大きいことは、高い
長鎖分岐を有し、加工性に優れていることを示してい
る。なお、DRIは、式DRI=(3.65×τ0/η0
−1)/10により算出される値である。ここで、τ0
は、固有緩和時間である。η0は、ゼロ剪断粘性であ
る。本発明で使用するエチレン−1−オクテン共重合体
は、示差走査熱量計(DSC)により測定した融点(T
m)が通常80〜130℃、好ましくは85〜125℃
である。
【0019】ここで、本発明で使用する好ましいエチレ
ン−1−オクテン共重合体の組成と物性について整理す
ると、次のとおりである。 (a)拘束幾何触媒(CGC)を用いて、エチレンと1
−オクテンとを付加共重合させて得られる共重合体であ
る。 (b)1−オクテン含有量が1重量%以上、20重量%
未満、好ましくは2〜15重量%である。 (c)密度が0.885g/cm3超過、0.960g
/cm3以下、好ましくは0.890〜0.950g/
cm3、より好ましくは0.895〜0.915g/c
3である。 (d)分子中の1000炭素数当たりの長鎖分岐数が約
0.01〜約3、好ましくは約0.01〜約1、より好
ましくは約0.05〜約1の実質的に線状のポリエチレ
ン系ポリマーである。 (e)メルトフロー比I10/I2が通常5.63以上、
好ましくは6.5〜15.0、より好ましくは7.0〜
10.5である。 (f)分子量分布Mw/Mnが式Mw/Mn≦(I10
2)−4.63を満足し、好ましくは1.5〜2.
5、より好ましくは1.8〜2.3、更に好ましくは
1.9〜2.2である。 (g)メルトフローレイト(MFR)が通常0.5〜2
0g/10min、好ましくは1〜5g/10minで
ある。 (h)DRIが通常0.2〜20、好ましくは0.4〜
10である。 (i)DSCで測定した融点(Tm)が通常80〜13
0℃、好ましくは85〜125℃である。
【0020】拘束幾何触媒を用いて得られる実質的に線
状のエチレン−1−オクテン共重合体は、分子内に長鎖
分岐を有し、他のメタロセン触媒を用いて得られるエチ
レン系ポリマーに比べ、広い加工範囲(剪断速度範囲)
でメルトフラクチャーが出にくい。このエチレン−1−
オクテン共重合体は、溶融粘度の剪断速度依存性が大き
く、高剪断速度下で、溶融粘度低下(shear se
nsitivity)が大きく、かつ、他の従来のメタ
ロセン触媒を用いて得られるエチレン系ポリマーに比
べ、押出機のモーターのロード(トルク)を喰わない、
背圧が小さい等の特徴がある。このエチレン−1−オク
テン共重合体は、メルトストレングスが大きく、製膜時
のバブルプロセスでのバブルの安定性の点でも優れてい
る。
【0021】このような特徴を有するエチレン−1−オ
クテン共重合体は、IN SITETECHNOLOG
Y POLYMER(ITP)の一種として市販されて
いるダウ・ケミカル社の商品名アフィニティー(AFF
INITY)シリーズがあり、その中から好ましいもの
を選んで使用することができる。特に、分子量分布Mw
/Mnが約2のものを用いると、低抽出性の点でも優れ
た性能を示す。本発明で使用することができるダウ・ケ
ミカル社のAFFINITYシリーズの例を表1に示
す。
【0022】
【表1】 (脚注)分子量分布(Mw/Mn)は、1.9〜2.2
の範囲である。
【0023】本発明では、最内層のヒートシール性樹脂
層には、前記特定のエチレン−1−オクテン共重合体を
それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用
することができる。また、ヒートシール性樹脂層には、
このエチレン−1−オクテン共重合体を主成分とし、他
の樹脂、好ましくはポリオレフィン系ポリマーを少量成
分としてブレンドした樹脂組成物を用いることができ
る。他のポリオレフィン系ポリマーとしては、例えば、
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポ
リエチレン(VLDPEまたはULDPE)などを挙げ
ることができる。これらのポリオレフィン系ポリマーを
ブレンドすることにより、成膜時のバブルプロセスでの
バブルの安定性がより良好となり、延伸性、耐熱性等が
更に改良される。ここで併用するLLDPEやVLDP
Eとは、従来技術で作られたポリマーであり、それらの
好ましい例としては、ダウレックス2047E(ダウケ
ミカル製、密度=0.917g/cm3、MFR=2.
3g/10min、融点=120℃)、スミカセンFZ
205−0(住友化学製、密度=0.918g/c
3、MFR=2.0g/10min、融点=118
℃)等が挙げられるが、これに限定されるものではな
い。
【0024】また、他のポリオレフィン系ポリマーとし
て、拘束幾何触媒を用いて得られ、オクテン含有量が1
8重量%以上で、密度が0.885g/cm3以下のエ
チレン−1−オクテン共重合体エラストマーを挙げるこ
とができる。このようなポリオレフィンエラストマーと
しては、ダウ・ケミカル社製のエンゲイジ(ENGAG
E)シリーズを挙げることができる。前記エチレン−1
−オクテン共重合体に該エラストマーを少量成分として
ブレンドすると、多層フィルムの柔軟性や耐寒性を更に
向上させることができる。具体例としては、ENGAG
E EG8100(1−オクテン含有量24重量%、密
度0.870g/cm3)、ENGAGE EG815
0(1−オクテン含有量25重量%、密度0.868g
/cm3)、ENGAGE EG8200(1−オクテ
ン含有量24重量%、密度0.870g/cm3)、E
NGAGE CL8003(1−オクテン含有量18重
量%、密度0.885g/cm3)、ENGAGE K
C8852(1−オクテン含有量22重量%、密度0.
875g/cm3)などが挙げられる。これらの中で
も、オクテン含有量が20重量%以上で、密度が0.8
80g/cm3以下のエチレン−1−オクテン共重合体
エラストマーが好ましい。他の樹脂をブレンドして用い
る場合、その配合割合は、前記エチレン−1−オクテン
共重合体50〜100重量%、好ましくは80〜100
重量%と、他の樹脂0〜50重量%、好ましくは0〜2
0重量%である。
【0025】本発明のスキンパック包装用多層フィルム
は、最外層に弾性回復率の大きな熱可塑性樹脂層、芯層
にガスバリヤー性樹脂層、及び最内層にヒートシール性
樹脂層を有するものであるが、必要に応じて、中間層に
各種樹脂層を配置することができる。例えば、中間層と
してポリアミド(PA)層を配置すると、低温強度や耐
熱性が改善される。好ましいPAの例としては、ナイロ
ン6/66(共重合モル比80/20〜85/15)が
挙げられる。また、本発明のスキンパック包装用多層フ
ィルムでは、前記各層間に接着性を付与し、あるいは接
着性を高めるために、必要に応じて接着剤層を設けるこ
とができる。接着剤層の樹脂としては、例えば、エチレ
ン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−アクリ
ル酸エチル共重合体(EEA)、酸変性VLDPE、酸
変性LLDPE、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EV
A)、熱可塑性ポリウレタンエラストマーなどが挙げら
れる。酸変性用の酸としては、無水マレイン酸などが挙
げられる。
【0026】本発明のスキンパック包装用多層フィルム
は、特定のエチレン−1−オクテン共重合体を主成分と
する樹脂層を最内層に配置しているため、従来のEVA
等のシーラント層に比べ、最外層(軟質PVC層等)と
の間のブロッキングが著しく軽減され、スリップ剤(滑
剤)を全く加えないか、加えても少量ですむという利点
がある。フィルムの滑り性を向上させるために、最外層
及び/またはシーラント層に、滑剤を適量添加してもよ
いが、その場合の好ましい滑剤の例としては、ベヘニン
酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、シリカ
等を挙げることができる。これらの滑剤は、通常、マス
ターバッチの形で加える。その好ましい添加量は、最外
層またはシーラント層に対して、滑剤20重量%含有マ
スターバッチの場合、1〜5重量%である。
【0027】本発明のスキンパック包装用多層フィルム
は、共押出法、ドライラミネート法などにより製膜する
ことができるが、通常、複数の押出機を用いて、各材料
から共押出法により溶融環状体(共押出パリソン)を押
し出し、これに空気を吹き込むインフレーションバブル
プロセス方式で成膜する。本発明のスキンパック包装用
多層フィルムは、全体の厚みが通常50〜200μm
で、ガスバリヤー性樹脂層の厚みが3〜30μm、ヒー
トシール性樹脂層の厚みが全体の厚みの30%以上、好
ましくは30〜50%(通常、15〜100μm)、接
着剤層の各層の厚みが1〜10μmである。
【0028】本発明のスキンパック包装用多層フィルム
は、前記特定のエチレン−1−オクテン共重合体を主成
分とする樹脂層を最内層のヒートシール性樹脂層として
用いているため、従来品と比較して、低温シール性、夾
雑物シール性、ホットタック性などのヒートシール特性
に優れ、シール条件幅が広く、低分子量物の抽出量が少
なく(低抽出性)、最外層に対する耐ブロッキング性も
良好である。本発明のスキンパック包装用多層フィルム
は、透明性などの光学特性、突き刺し強度や衝撃強度な
どの機械的特性、耐ボイル性、柔軟性などが良好であ
る。さらに重要なことは、本発明のスキンパック包装用
多層フィルムは、従来品と比べて、耐寒性が顕著に優れ
ており、これを用いたスキンパック包装体は、低温条件
下での虐待試験に十分に耐えることができる。しかも、
本発明のスキンパック包装用多層フィルムは、従来品と
比べて、スキンパック成形性に優れており、正確に被包
装物の形状に沿って密着包装することができる。
【0029】本発明のスキンパック包装用フィルムは、
最外層に弾性回復率の大きな熱可塑性樹脂層を配した多
層構造を有しており、120℃における40%引張り伸
びに対する弾性回復率が、縦方向及び横方向ともに通常
70%以上である。ただし、最内層に前記特定のエチレ
ン−1−オクテン共重合体を主成分とする樹脂層を配し
ているため、弾性回復率が大きくなり過ぎることはな
い。
【0030】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明に
ついてより具体的に説明する。物性の測定法は、以下の
とおりである。 (1)光学特性 JIS K−7105に準じ、日本電色工業社製NDH
−Σ80を用いて曇価を測定した。 (2)耐ボイル性 多層フィルムで小袋を調製し、焼豚を入れて真空シール
後、85℃の熱水中でボイルした後の袋の白化及び破袋
状況を観察し、以下の基準で評価した。 ◎:破袋なし、白化なし、 ○:破袋なし、やや白化、 ×:破袋あり。
【0031】(3)突き刺し強度 JAS法(レトルト食品包装材料規格)に従い、23
℃、50%相対湿度で、リング内径44mmφの中空台
にセットしたフィルムの中心に向かって、先端曲率半径
0.5mmの突き刺し治具により速度50mm/min
で、内側層から外側層への突き刺しを行い、最大荷重を
測定し、以下の基準で評価した。 ◎:高性能(0.5kgf以上) ○:中間性能(0.4kgf以上) △:低性能(0.4kgf未満)
【0032】(4)低温シール性 ダイナウエッブ・ヒートシール機(Dynaweb H
eat Seal Machine)を使用し、ヒート
シール圧力2kg/cm2、時間1秒の条件で、ヒート
シール温度を変えてヒートシールを行い、次いで、その
シール強度を測定し、この値が基準のヒートシール強度
以上となるヒートシール温度を求め、以下の基準で評価
した。 ◎:高範囲(90〜140℃) ○:中範囲(100〜140℃) ×:低範囲(120〜140℃)
【0033】(5)夾雑物シール性 ダイナウエッブ・ヒートシール機(Dynaweb H
eat Seal Machine)を使用し、フィル
ム表面に夾雑物として肉汁を塗布し、ヒートシール温度
120℃、圧力2kg/cm2、時間1秒の条件でヒー
トシールを行い、インストロン社製1122型試験機を
用い、試験幅15mm、クロスヘッド速度200mm/
minの条件で剥離強度を測定し、以下の基準で評価し
た。 ◎:5(kg/15mm幅)以上、 ○:3(kg/15mm幅)以上、 ×:2(kg/15mm幅)以下。
【0034】(6)ホットタック性 テラー社製ホットタックシール強度テスターを用いて、
ヒートシール圧力2kg/cm2、時間1秒の条件で、
ヒートシール温度を変えてヒートシールを行い、シール
直後(約0.1秒後)より、クロスヘッド速度600m
m/minの条件で剥離強度を測定し、この値が基準の
剥離強度以上となるヒートシール温度を求め、以下の基
準で評価した。 ◎:高範囲(90〜140℃) ○:中範囲(100〜135℃) ×:低範囲(105〜130℃)
【0035】(7)衝撃強度 ASTM D−1709に準じ、ダートインパクト(D
art Impact)(g)を測定した。 ◎:800g以上、 ○:600g以上、800g未満、 ×:600g未満。
【0036】(8)スキンパック成形性 各多層フィルムを用いて、大森機械(株)製のスキンパ
ックテストチャンバーの成形金型(深さ18mm、縦1
20mm、横245mm、底部コーナー7.5R)によ
り、予備的な絞り成形を行い、ベーコン6枚(200
g)をスキンパック包装した。底材としては、呉羽化学
工業(株)製の包材FA−1(EVOH/接着剤層/E
VA/接着剤層/アイオノマー;厚み100μm)を使
用した。スキンパック包装後の外観を観察し、被包装物
の形状に対するスキンフィルムの成形性(忠実性)を以
下の基準で評価した。 ◎:成形性(忠実性)が良好、 ○:成形性(忠実性)がやや不良、 △:成形性(忠実性)が不良。
【0037】(9)耐寒性 上記(8)の方法で得られたスキンパック包装体を用い
て、次の方法により耐寒性を評価した。すなわち、図1
に示す正六角形の断面を持つ箱にスキンパック包装体を
入れ、30rpmで回転させた。この箱1は、内部に3
個の棚2が設けられており、駆動手段に接続されている
回転軸3により回転することができるようになってい
る。この箱が一回転すると、棚の存在により20cmの
落下を3回することになり、例えば、5分間回転させる
と、合計450回の落下となる。したがって、この装置
を用いた試験は、低温条件下での一種の虐待試験(アビ
ューズ試験)である。9個のスキンパック包装体をこの
箱に入れ、5℃で回転させ、破袋の有無と数(破袋率)
を調べた。また、耐寒性を以下の基準で評価した。 ◎:10分間回転させても全試料の破袋がない、 ○:5分間回転させても全試料の破袋がない、 ×:5分間回転させると、破袋する試料が出てくる。
【0038】(10)弾性回復率 インストロン社製1122型試験機を用いて、120℃
の条件下で、多層フイルムから切り取った試験長50m
m、試験巾10mmの試験片を500mm/分で40%
引っ張り、その時の応力を伸張応力とし、次いで、2秒
間緩和させ、その後の回復率を弾性回復率とした。
【0039】[実施例1]次の4種類の材料を用いて、
5層構成の多層フィルムを製膜した。 最外層:熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)(クラ
レ社製、MX−007) 芯層:エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVO
H)(クラレ社製、エバールES−H101B、エチレ
ン含有量=38モル%) 最内層:エチレン−1−オクテン共重合体(ダウ・ケ
ミカル社製、AFFINITY FW1650、密度=
0.902g/cm3、MFR=3.0g/10mi
n、融点=99℃、1−オクテン含有量=12.0重量
%)(滑剤としてシリカ1重量%を添加) 接着剤層:EEA(三井デュポン製、A−703) 4台の押出機を使用し、TPU/接着剤層/EVOH/
接着剤層/エチレン−1−オクテン共重合体の5層積層
フィルムで、TPU層が最外層になるように、円型ダイ
中に5つの流路より会合せしめ、共押出法により溶融環
状体を押し出した。ダイレクトインフレーション法によ
り製膜した。得られた多層フィルムの厚み(μm)は、
外側より40/4/20/4/40の計108μmであ
った。得られた多層フイルムの弾性回復率は、85%で
あった。
【0040】[実施例2]最内層のエチレン−1−オク
テン共重合体をダウ・ケミカル社製、AFFINITY
PF1140、密度=0.895g/cm3、MFR
=1.6g/10min、融点=89℃、1−オクテン
含有量=14.5重量%)に代えたこと以外は、実施例
1と同様にして、厚みが40/4/20/4/40の計
108μm多層フィルムを製膜(なお、最内層には、滑
剤としてシリカ1重量%を添加)した。得られた多層フ
イルムの弾性回復率は、85%であった。
【0041】[実施例3]次の5種類の材料を用いて、
実施例1と同様にして、5層構成の多層フィルムを製膜
した。 外層:軟質PVC(重合度1700のPVC100重
量部にポリエステル可塑剤を55重量部、安定剤、及び
滑剤を加えたもの) 芯層:ポリ塩化ビニリデン樹脂(PVDC)(呉羽化
学製の還元粘度0.042L/gのPVDCに安定剤他
を添加したもの) 最内層:エチレン−1−オクテン共重合体(ダウ・ケ
ミカル社製、AFFINITY FW1650、密度=
0.902g/cm3、MFR=3.0g/10mi
n、融点=99℃、1−オクテン含有量=12.0重量
%)(滑剤としてシリカ1重量%を添加) 接着剤層A:TPU(クラレ社製、クラミロンU17
80、密度=1.19g/cm3) 接着剤層B:EVA(住友化学社製、エバテートK2
010、密度=0.95g/cm3) その構成は、外層側より、軟質PVC/接着剤層A/P
VDC/接着剤層B/エチレン−1−オクテン共重合体
で、厚みが47/8/20/3/42の計120μmの
多層フィルムであった。得られた多層フイルムの弾性回
復率は、90%であった。
【0042】[実施例4]実施例3において、最内層
(ヒートシール性樹脂層)を形成する樹脂として、
(a)ダウ・ケミカル社製AFFINITY FW16
50(密度=0.902g/cm3、MFR=3.0g
/10min、融点=99℃、1−オクテン含有量=1
2.0重量%)と、(b)エチレン−1−オクテン共重
合体エラストマー(ダウ・ケミカル社製、ENGAGE
KC−8852(1−オクテン含有量=22重量%、
密度=0.875g/cm3、MFR=3.0g/10
min)を(a)/(b)=80/20重量比でブレン
ドしたものを使用したこと以外は、同様にして多層フィ
ルムを製膜(最内層には、滑剤としてシリカ1重量%を
添加)した。その構成は、軟質PVC/接着剤層A/P
VDC/接着剤層B/最内層(ブレンド樹脂層)であ
り、厚みが42/2.5/20/8/47.5の計12
0μmの多層フィルムであった。得られた多層フイルム
の弾性回復率は、90%であった。
【0043】[比較例1]実施例1で最内層の樹脂とし
て、従来公知のVLDPE(住友化学製、VL401、
密度=0.906g/cm3、MFR=3.3g/10
min、融点=114℃)を用いたこと以外は、実施例
1と同様にして多層フィルムを製膜(最内層には、滑剤
としてシリカ1重量%を添加)した。その構成は、TP
U/接着剤層/EVOH/接着剤層/VLDPEであ
り、厚みが40/4/20/4/40の計108μmの
多層フィルムであった。得られた多層フイルムの弾性回
復率は、80%であった。
【0044】[比較例2]実施例3において、最内層の
樹脂として、前記エチレン−1−オクテン共重合体に代
えて、エチレン−酢酸ビニル共重合体(住友化学社製、
エバテートK2010、密度=0.95g/cm3、M
FR=3g/10min、酢酸ビニル含有量=25重量
%)を使用し、同様にして、積層構成が外層側より、軟
質PVC/接着剤層A/PVDC/接着剤層B/EVA
で、厚みが35/2/20/2/50の計109μmの
多層フィルムを製膜(最内層には、滑剤としてシリカ1
重量%を添加)した。得られた多層フイルムの弾性回復
率は、95%であった。
【0045】[比較例3]実施例3において、最内層の
樹脂として、前記エチレン−1−オクテン共重合体に代
えて、従来のメタロセン触媒を用いて得られたVLDP
E(エクソン社製、EXACT 3006、密度=0.
910g/cm3、MFR=1.0g/10min)を
用いたこと以外は、同様にして、積層構成が外層側よ
り、軟質PVC/接着剤層A/PVDC/接着剤層B/
VLDPEで、厚みが47/8/20/3/42の計1
20μmの多層フィルムを製膜(最内層には、滑剤とし
てシリカ1重量%を添加)した。ただし、多層フィルム
には、押出時に、VLDPEに起因する押出機内でのト
ルク上昇が見られ、フィルムにメルトフラクチャーを生
じ、商品価値のあるフィルムの成膜が不可能であった。
【0046】物性の評価 上記の各実施例及び比較例で得られた多層フィルムにつ
いて、物性を評価した結果を表2に示す。
【0047】
【表2】
【0048】表2の結果から明らかなように、本発明の
多層フィルム(実施例1〜4)は、いずれも光学的特性
(曇価)、耐ボイル性、突き刺し強度、低温シール性、
夾雑物シール性、ホットタック性、衝撃強度、スキンパ
ック成形性、耐寒性などに優れており、スキンパック包
装用多層フィルムとして優れた特性を示している。これ
に対して、ヒートシール性樹脂層に、従来のVLDPE
(比較例1)やEVA(比較例2)を配置した多層フィ
ルムは、衝撃強度やスキンパック成形性が不十分であ
り、特に耐寒性に劣っていることが分かる。また、公知
のメタロセン触媒を用いて得られたVLDPE(商品名
EXACT)をヒートシール性樹脂層に配置した場合
(比較例3)には、フィルム製膜時にメルトフラクチャ
ーを生じ、商品価値のあるフィルムが得られず、曇価が
10の透明性に劣るものであった。したがって、比較例
3の多層フィルムについては、以後の評価試験を中止し
た。
【0049】耐寒性試験 耐寒性に関するより詳細な試験結果を表3に示す。
【0050】
【表3】
【0051】表3の結果から、従来のVLDPE(比較
例1)やEVA(比較例2)を配置した多層フィルムを
スキンパック包装用フィルムとして使用してスキンパッ
ク包装体を作製した場合、図1に示す装置を用いた虐待
試験(アビューズ試験)で、3〜5分以内に破袋する試
料が見られ、10〜15分後には、ほぼ半数の試料が破
袋し、20分を経過すると、ほぼ全数に近い試料が破袋
することが分かる。これに対して、本発明の多層フィル
ムを用いた場合(実施例1〜4)には、10分後にも破
袋試料が現れず、20分経過後も、破袋率が小さい。
【0052】
【発明の効果】本発明によれば、拘束幾何触媒を用いて
得られた特定のエチレン−1−オクテン共重合体を主成
分とする樹脂層を最内層のヒートシール性樹脂層として
用いているため、従来品と比較して、低温シール性、夾
雑物シール性、ホットタック性などのヒートシール特性
に優れ、シール条件幅が広く、低抽出性で、耐ブロッキ
ング性も良好なスキンパック包装用多層フィルムを得る
ことができる。本発明のスキンパック包装用多層フィル
ムは、透明性などの光学特性、突き刺し強度や衝撃強度
などの機械的特性、耐ボイル性、柔軟性などが良好であ
る。さらに、本発明のスキンパック包装用多層フィルム
は、従来品と比べて、スキンパック成形性に優れ、耐寒
性が顕著に優れている。したがって、本発明によれば、
近年のスキンパック包装に対する高度な要求を満足する
ことができるスキンパック包装用多層フィルムを提供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スキンパック包装体の耐寒性(低温下での耐ア
ビューズ性)を測定するための装置の略図である。
【符号の説明】
1:正六角形の断面を持つ箱 2:棚 3:回転軸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B32B 27/30 101 B32B 27/30 101 B65D 75/30 B65D 75/30 A

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 最外層に弾性回復率の大きな熱可塑性樹
    脂層、芯層にガスバリヤー性樹脂層、及び最内層にヒー
    トシール性樹脂層を有するスキンパック包装用多層フィ
    ルムにおいて、最内層のヒートシール性樹脂層が、拘束
    幾何触媒を用いて得られた、1−オクテン含有量が1重
    量%以上、20重量%未満で、密度が0.885g/c
    3超過、0.960g/cm3以下である実質的に線状
    のエチレン−1−オクテン共重合体を50重量%以上の
    割合で含有する樹脂からなる層であることを特徴とする
    スキンパック包装用多層フィルム。
  2. 【請求項2】 最外層の弾性回復率の高い熱可塑性樹脂
    層が、軟質ポリ塩化ビニル樹脂または熱可塑性ポリウレ
    タン樹脂からなる層である請求項1記載のスキンパック
    包装用多層フィルム。
  3. 【請求項3】 芯層のガスバリヤー性樹脂層が、エチレ
    ン−ビニルアルコール共重合体樹脂(EVOH)または
    ポリ塩化ビニリデン樹脂(PVDC)からなる層である
    請求項1記載のスキンパック包装用多層フィルム。
  4. 【請求項4】 最内層のヒートシール性樹脂層が、前記
    エチレン−1−オクテン共重合体50〜100重量%
    と、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密
    度ポリエチレン(VLDPE)、または拘束幾何触媒を
    用いて得られた、1−オクテン含有量が18重量%以上
    で、密度が0.885g/cm3以下のエチレン−1−
    オクテン共重合体エラストマー0〜50重量%とを含む
    樹脂からなる層である請求項1記載のスキンパック包装
    用多層フィルム。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005119282A (ja) * 2003-09-22 2005-05-12 Okura Ind Co Ltd 食肉包装用フィルム
WO2011162396A1 (ja) * 2010-06-23 2011-12-29 住友化学株式会社 ポリオレフィン系樹脂組成物、フィルム、包装材、複室容器および蓋材

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