JPH09211435A - 液晶表示装置およびその製造方法と投射型ディスプレイ - Google Patents

液晶表示装置およびその製造方法と投射型ディスプレイ

Info

Publication number
JPH09211435A
JPH09211435A JP19994196A JP19994196A JPH09211435A JP H09211435 A JPH09211435 A JP H09211435A JP 19994196 A JP19994196 A JP 19994196A JP 19994196 A JP19994196 A JP 19994196A JP H09211435 A JPH09211435 A JP H09211435A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid crystal
display device
phase
crystal layer
crystal display
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP19994196A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenji Nakao
健次 中尾
Tsuyoshi Kamimura
強 上村
Masao Yamamoto
雅夫 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP19994196A priority Critical patent/JPH09211435A/ja
Publication of JPH09211435A publication Critical patent/JPH09211435A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Liquid Crystal (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 閾値特性および散乱特性に優れ、表示品質の
高い高分子分散型の液晶表示装置を実現する。 【解決手段】 内側に透明電極12a,12bを形成し
た一対の基板11a,11b間に液晶層10を挟持し、
液晶層10は高分子マトリクス13中に液晶滴14が分
散されており、液晶層10の厚さをd(μm)、液晶滴
14の平均粒径をR(μm)とするとき、 2.585・d-1/3−0.3<R<2.585・d-1/3
+0.3 の関係を満足するようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高分子分散型液晶
を用いた散乱型の液晶表示装置およびその製造方法と投
射型ディスプレイに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、高分子分散型液晶(PDLC)を
用いた液晶表示装置(以下、PDLCDと略す)が開発
された。PDLCについては、例えば、LIQUID CRYSTAL
S,APPLICATIONS AND USES, Vol. 1, Chapter 14, Edite
d by Brendra Bahadur, WorldScientific Publishing,
1990. に紹介されている。
【0003】PDLCは、高分子マトリクス中に多数の
液晶滴(droplet )が分散した構造を有する。PDLC
に電圧が印加されない状態では、液晶滴中の液晶分子は
ランダムに配向しており、PDLCに入射した光は散乱
される。一方、PDLCに電圧を印加すると、液晶滴中
の液晶分子は電界の方向に配向する。この時、液晶分子
の常光屈折率no と高分子マトリクスの屈折率np とが
概ね一致する場合には、PDLCに入射した光は散乱さ
れることなく透過する。従って、電圧のスイッチングに
よって、光散乱状態と光透過状態との間をスイッチング
することができる。PDLCDは、PDLCのこの光学
的なスイッチング現象を利用して、表示を行う。
【0004】また、PDLCDおよびそれを用いた投射
型液晶表示装置は、例えば、特開平3−58021号公
報に開示されている。特開平3−58021号公報は、
従来のTNモードの液晶表示装置用のアクティブ素子お
よび駆動回路を用いて、高コントラスト比の表示を実現
できるPDLCDを開示している。そのPDLCDは、
液晶滴の平均粒径R(μm)、セル厚d(μm)、液晶
材料の屈折率異方性(複屈折率)Δn、および最大印加
電圧Vmax (V)が、下記の条件を全て満たすように設
定されている。液晶滴の平均粒径Rおよびセル厚dは、
PDLCの散乱特性だけでなく、閾値特性(閾値電圧)
にも影響するからである。
【0005】0.3<R・Δn<0.7 4R<d<8R 0.5・R・Vmax <d<R・Vmax さらに、PDLCパネルを3枚用い、それぞれのパネル
に赤色光(R)、緑色光(G)および青色光(B)を照
射して、PDLCパネルによって変調されたそれぞれの
色光を合成し、カラー画像を投射表示する投射型ディス
プレイが提案されている。しかしながら、PDLCの光
散乱特性には波長依存性があり、赤色光のような長波長
光の散乱強度は弱い。従って、3枚のPDLCパネルを
用いて投射型カラー液晶表示装置(三板式)を構成する
場合、それぞれの色に対応するPDLCパネルの構成を
最適化する必要があった。例えば、PDLCの液晶滴の
各平均粒径とセル厚とをそれぞれのパネルで調整する必
要があった。
【0006】例えば、特開平3−58022号公報は、
それぞれの色に対応して、液晶滴の平均粒径とセル厚と
の両方を最適化したPDLCを用いる液晶表示装置を開
示している。具体的には、下記の条件が示されている。 0.3<R0 ・Δn<0.7 4R0 <d0 <8R0 0.9R0 /λ0 <Rx /λx < 1.1R0 /λ0 0.9d0 /λ0 <dx /λx < 1.1d0 /λ0 ここで、液晶材料の複屈折率をΔn、各色に対応するP
DLC中の液晶滴の平均粒子径をRx (μm)、セル厚
をdx (μm)、各色光の主波長をλx とし、緑色光の
主波長をλ0 、緑色光(主波長λ0 =540nm)用P
DLCの液晶滴の平均粒子径をR0 、セル厚をd0 とし
ている。
【0007】また、特開平3−98022号公報は、同
じ平均粒径の液晶滴を有し、セル厚をそれぞれの色光に
対応して最適化したPDLCを用いた液晶表示装置を開
示している。具体的な条件として、下記の関係が示され
ている。 0.3<R・Δn<0.7 4R<d<8R 0.9d0 /λ0 1/2<dx /λx 1/2 < 1.1d0 /λ0 1/2 ここで、RはPDLC中の液晶滴の平均粒径(μm)で
あり、他のパラメータは上記と同じである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、PD
LCを用いた液晶表示装置では、閾値電圧や散乱特性を
考慮しても十分な表示特性が得られなかった。また、P
DLCを用いた投射型カラー液晶表示装置では、さら
に、それぞれの色光に対して、PDLCの散乱特性を最
適化する必要があり、その結果、生産性の低下やコスト
の上昇を招くという問題があった。
【0009】本発明の目的は、閾値特性および散乱特性
に優れ、表示品質の高い液晶表示装置(PDLCD)お
よびその製造方法を提供することと、三原色の色光に対
して同一の構成のPDLCDを用いた投射型ディスプレ
イを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の液晶表示
装置は、一対の基板と、この一対の基板間に狭持された
液晶層と、この液晶層に電圧を印加する電極とを備えた
液晶表示装置であって、液晶層は、高分子相と液晶相と
を含む高分子分散液晶からなり、液晶層の厚さをd(μ
m)、液晶相の平均粒径または液晶相の平均厚みをR
(μm)とするとき、 2.585・d-1/3−0.3<R<2.585・d-1/3
+0.3 の関係を満足することを特徴とする。
【0011】これにより、散乱強度が高く、閾値電圧が
低くなり、低電圧駆動を可能とし、表示品質を向上する
ことができる。請求項2記載の液晶表示装置は、一対の
基板と、この一対の基板間に狭持された液晶層と、この
液晶層に電圧を印加する電極とを備えた液晶表示装置で
あって、液晶層は、高分子相と液晶相とを含む高分子分
散液晶からなり、液晶層の厚さをd(μm)、液晶相の
平均粒径または液晶相の平均厚みをR(μm)とすると
き、 2.585・d-1/3−0.1<R<2.585・d-1/3
+0.1 の関係を満足することを特徴とする。
【0012】これにより、散乱強度がより高く、閾値電
圧が低くなり、低電圧駆動を可能とし、表示品質をより
向上することができる。請求項3記載の液晶表示装置
は、請求項1記載の液晶表示装置において、液晶相の平
均粒径または液晶相の平均厚みRが、0.9<R<1.
25の関係を満足する。
【0013】これは、TFTを用いたアクティブマトリ
クス型PDLCDの実用的な駆動電圧(6〜12V程
度)を考慮すれば、好ましい関係である。請求項4記載
の液晶表示装置は、請求項1記載の液晶表示装置におい
て、液晶層の厚さdが、8<d<15の関係を満足す
る。これは、TFTを用いたアクティブマトリクス型P
DLCDの実用的な駆動電圧(6〜12V程度)を考慮
すれば、好ましい関係である。
【0014】請求項5記載の液晶表示装置の製造方法
は、一対の基板と、この一対の基板間に狭持された液晶
層と、この液晶層に電圧を印加する電極とを備え、液晶
層が高分子相と液晶相とを含む高分子分散液晶からなる
液晶表示装置の製造方法であって、液晶材料と重合性モ
ノマーと重合性オリゴマーとを含む混合物を重合誘起相
分離することによって高分子分散液晶を形成する工程を
包含し、一対の基板間の距離をd(μm)とし、混合物
中の重合性モノマーの重量分率をM、重合性オリゴマー
の重量分率をOとするとき、 0.8・550・d-3/2<M/O<1.2・550・d
-3/2 の関係を満足することを特徴とする。
【0015】これにより、散乱強度が高く、閾値電圧が
低くなり、低電圧駆動を可能とし、表示品質の向上が図
れる液晶表示装置を製造できる。請求項6記載の液晶表
示装置の製造方法は、請求項5記載の液晶表示装置の製
造方法において、一対の基板間の距離d(μm)と、混
合物中の重合性モノマーの重量分率Mと、重合性オリゴ
マーの重量分率Oとが、 0.9・550・d-3/2<M/O<1.1・550・d
-3/2 の関係を満足する。
【0016】これにより、散乱強度がより高く、閾値電
圧が低くなり、低電圧駆動を可能とし、表示品質のより
向上が図れる液晶表示装置を製造できる。請求項7記載
の液晶表示装置は、一対の基板と、一対の基板間に狭持
された液晶層と、液晶層に電圧を印加する電極とを備え
た液晶表示装置であって、液晶層は、高分子相と液晶相
とを含む高分子分散液晶からなり、液晶層の厚さをd
(μm)、液晶相の平均粒径または液晶相の平均厚みを
R(μm)とし、液晶相の液晶材料の屈折率異方性をΔ
nとするとき、 R・Δn>0.3、かつ 8R<d の関係を満足することを特徴とする。
【0017】これにより、赤色光,緑色光,青色光の各
色光に対する散乱ゲインの差は小さくなり、投射型ディ
スプレイを作製した場合に、良好な黒表示を実現でき、
また色バランスも良好となる。また、液晶層の厚さdに
むらがあっても、また、液晶材料の屈折率異方性Δnが
温度によって変動しても、それらが表示に与える影響が
少なく、表示品質を向上することができる。
【0018】請求項8記載の液晶表示装置は、請求項7
記載の液晶表示装置において、液晶層の厚さd(μm)
が18μm以下である。これにより、実用的に良好な液
晶の応答速度を得ることができる。請求項9記載の液晶
表示装置は、請求項7記載の液晶表示装置において、液
晶相の平均粒径または液晶相の平均厚みR(μm)と、
液晶相の液晶材料の屈折率異方性Δnとが、R・Δn>
0.35の関係を満足し、かつ、液晶層の厚さdが10
%変動した場合に散乱ゲインの変動量が20%以下とな
る液晶層の最小の厚さをdc とするときに、d<1.2
c の関係を満足する。
【0019】これにより、表示品質をより高め、また、
液晶の応答速度をより速めることができる。請求項10
記載の液晶表示装置は、請求項7記載の液晶表示装置に
おいて、一対の基板のうち一方の基板は、電極が複数の
画素電極からなり、各画素電極に印加する電圧を制御す
るアクティブ素子を設けたアクティブマトリクス基板で
ある。
【0020】これにより、アクティブマトリックス型の
液晶表示装置の表示品質を向上することができる。請求
項11記載の液晶表示装置は、一対の基板と、この一対
の基板間に狭持された液晶層と、この液晶層に電圧を印
加する電極とを備えた液晶表示装置であって、液晶層
は、高分子相と液晶相とを含む高分子分散液晶からな
り、液晶層の厚さが10%変動した場合の散乱ゲインの
変動量が20%以下であることを特徴とする。
【0021】これにより、赤色光,緑色光,青色光の各
色光に対する散乱ゲインの差は小さくなり、投射型ディ
スプレイを作製した場合に、良好な黒表示を実現でき、
また色バランスも良好となる。また、液晶層の厚さdに
むらがあっても、また、液晶材料の屈折率異方性Δnが
温度によって変動しても、それらが表示に与える影響が
少なく、表示品質を向上することができる。
【0022】請求項12記載の液晶表示装置は、請求項
11記載の液晶表示装置において、液晶層の厚さが10
%変動した場合の散乱ゲインの変動量が10%以下であ
る。これにより、より表示品質を向上することができ
る。請求項13記載の液晶表示装置は、一対の基板と、
一対の基板間に狭持された液晶層と、液晶層に電圧を印
加する電極とを備えた液晶表示装置であって、液晶層
は、高分子相と液晶相とを含む高分子分散液晶からな
り、液晶層の赤色光に対する散乱ゲインが、緑色光に対
する散乱ゲインの1.2倍以下であることを特徴とす
る。
【0023】これにより、請求項11,12と同様の効
果が得られる。請求項14記載の投射型ディスプレイ
は、複数の色光の各色光を変調する複数の液晶表示装置
と、この複数の液晶表示装置で変調された光を合成し投
射する投射光学系とを備えた投射型ディスプレイであっ
て、液晶表示装置は、請求項7,8,9,10,11,
12または13記載の液晶表示装置であることを特徴と
する。
【0024】このように、請求項7,8,9,10,1
1,12または13記載の液晶表示装置を用いて構成す
ることにより、1種類のパネル(液晶表示装置)を用い
ても色むらのない良好な特性の投射型ディスプレイを実
現できる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら、本発
明の実施の形態について説明する。図1は本発明の実施
の形態における高分子分散型液晶表示装置(PDLC
D)の断面図である。図1(a)は液晶相が独立相(液
晶滴)として高分子マトリクス(高分子相)中に分散し
たタイプのPDLCを用いたものであり、図1(b)は
液晶相および高分子相がともに連続相を形成しているタ
イプのPDLCを用いたものである。
【0026】以下の説明では、主として、図1(a)に
示すように、液晶相が独立相として高分子相中に分散し
たPDLCを用いたPDLCDについて述べるが、本発
明は、図1(b)に示した液晶相および高分子相ともに
連続相を形成しているポリマーネットワーク構造にも適
用できるものである。 〔第1の実施の形態〕この第1の実施の形態では、図1
(a)に示すPDLCD100について説明する。PD
LCD100は、一対の基板11aと11bの間に、P
DLCからなる液晶層10を有する。PDLCは、液晶
滴14が高分子マトリクス13中に分散された構造であ
り、この液晶滴14は略球形をしており、液晶滴14の
大きさはその直径(以下「平均粒径」という)Rで表さ
れる。
【0027】一対の基板11aおよび11bは、それぞ
れ液晶層10側の面に透明電極12a、12bが形成さ
れており、液晶層10に電圧を印加する。なお、一方の
基板として、複数の画素電極(透明電極)をマトリクス
状に形成し、それぞれの画素電極に印加する電圧をスイ
ッチング制御するための薄膜トランジスタ(以下「TF
T」という)を形成したアクティブマトリクス基板を用
いてもよい。液晶層10の厚さ(以下「セル厚」とい
う)dは、所定の粒径のスペーサ(例えば、樹脂ビー
ズ)を用いて調整される。なお、図1では、簡単化のた
めに、スペーサやTFTを省略している。
【0028】また、図1(a)では、液晶滴14を完全
な球として図示したが、液晶滴14の形状は、球に限ら
れず、球が歪んだ形状や、部分的に隣接する液晶滴14
と連続的につながったものもある。球からずれた形状を
有する液晶滴14を含むPDLCについても、平均粒径
Rでその大きさを特徴づけることができる。また、図1
(b)に示したPDLCD100’のように、ポリマー
ネットワーク構造を有するPDLCについては、液晶相
14’の平均厚みR’を平均粒径Rと同様のパラメータ
として用いて、液晶相14’の大きさを特徴づけること
ができる。なお、PDLCの相分離構造(独立相または
連続相)は、材料や相分離条件等を調整することによっ
て、制御することができる。
【0029】図1(a)に示したPDLCD100の製
造方法を説明する。ここでは、光重合誘起相分離法を用
いて、PDLCを形成した。光重合性モノマー,光重合
性オリゴマーおよび光重合開始剤を含む光重合性化合物
と、液晶材料との混合物からなるPDLC前駆体を調製
し、この前駆体混合物を所定のセルギャップを有する液
晶セルに、例えば、毛細管現象を利用して注入した。液
晶材料にはMJ958(メルク社製)、重合性モノマー
には2−エチルヘキシルアクリレート(ナカライラスク
製)、重合性オリゴマーにはビスコート828(大阪有
機化学工業製)、重合開始剤にはダロキュア4265
(チバガイキ製)を用いた。
【0030】次に、得られた液晶セルに、超高圧水銀灯
の紫外線(波長365nmの光の照度が60mW/cm
2 )を約20℃で約60秒間照射した。この時、波長3
50nm以下の紫外線をカットするフィルターと赤外線
カットフィルターを用いて、紫外線照射した。この紫外
線照射により、前駆体混合物中の光重合性化合物が重合
することによって相分離が起こり、高分子マトリクス1
3中に液晶滴14が分散したPDLCが得られた。液晶
材料MJ958の屈折率はno (常光屈折率)=1.5
295、ne (異常光屈折率)=1.7806であり、
Δn(屈折率異方性)=0.2511である。また、高
分子マトリクス13を構成する高分子材料の屈折率はn
p =1.499であった。
【0031】得られた液晶セルを分解し、イソプロピル
アルコールで液晶材料を洗浄除去し、PDLCの相分離
構造を光学顕微鏡で観察した。このPDLCの液晶滴1
4は完全な球形ではなく、歪んだ形状になっていた。ま
た部分的には隣の液晶滴14と連続的につながっている
ものも存在した。また、光学顕微鏡観察の結果から、平
均粒径Rを求めた。
【0032】PDLCDの散乱特性(散乱強度)を定量
化するための指標として、散乱ゲインGを用いた。散乱
ゲインGは、PDLCDの光照射側の面での照度をE、
PDLCDに電圧を印加しない状態でのPDLCDの光
照射側とは反対側の面での輝度をB、円周率をπとし
て、次式で定義される。 G=πB/E 散乱ゲインGは、以下のようにして評価した。PDLC
Dの面(基板面)に垂直に平行光を照射し、PDLCD
の光照射側の面上に配置した照度計(ミノルタ製T−1
M)を用いて、照度Eを測定した。また、PDLCDを
透過した光の輝度(正面輝度B)を光入射側とは反対側
のPDLCDの面上に配置した輝度計(TOPCON製
BM−8)で測定した。このとき、光源、PDLCD
および輝度計は、一直線上に配置した。また、輝度計の
集光角は、0.2°(±0.1°)とした。PDLCが
入射光を全天球に均一に散乱する完全な散乱体である場
合、散乱ゲインGの値は0.5になる。PDLCに十分
な電圧を印加した場合には、PDLCに入射した平行光
は散乱されることなくPDLCを透過し、輝度計に入射
するので、極めて大きな輝度が得られる。このPDLC
Dを用いて投射表示した場合のコントラスト比の値は、
散乱ゲインGの逆数に比例する。なお、特に断らない限
り、散乱ゲインGの測定には、緑色光(視感度フィルタ
ーを透過した光)を用いた。上記の散乱ゲインGは、ス
クリーンの輝度の評価に良く用いられ、例えば、「液晶
ビデオプロジェクタ技術、監修 佐々木 正 他、199
0.10.29p139-146」に解説されている。
【0033】なお、PDLCDの正面輝度Bは、PDL
Cの光散乱特性だけでなく、PDLCDの開口率にも影
響されるので、散乱ゲインGの値は、PDLCDの開口
率で規格化した。以下、特に開口率の具体的な数値を明
示せずに散乱ゲインGの値を示す場合には、開口率10
0%の散乱ゲインGに換算した値とする。この実施の形
態では、上述の材料および製造方法で、液晶材料の重量
分率を80%、光重合開始剤の重量分率を0.1%に固
定し、光重合性モノマーの重量分率Mと光重合性オリゴ
マーの重量分率Oとの比M/Oを変化させて、液晶滴の
平均粒径Rを変化させた。M/Oが7.0の場合に、液
晶滴の平均粒径R=1.2μmが得られた。また、M/
Oを一定に保ちながらPDLC前駆体中の液晶材料の重
量分率を変化させることでも、同様に液晶滴の平均粒径
Rを変化させることができた。なお、平均粒径Rを制御
する方法は上記の方法に限られず、例えば、紫外線の照
度を変える等の方法によって光重合速度を変えたり、紫
外線を照射するときのPDLC前駆体の温度を変化させ
ることによって、相分離速度を調整することによっても
平均粒径Rを制御することができる。
【0034】このようにして異なる平均粒径の液晶滴を
有するPDLCを複数作製し、散乱特性(散乱ゲイン
G)や閾値特性(閾値電圧Va )と平均粒径Rおよびセ
ル厚dとの関係について検討した。まず、平均粒径Rと
散乱ゲインGとの関係を調べた結果を図2に示す。図2
において、20a(●)はセル厚dが約10μmの場合
の結果であり、20b(〇)はセル厚dが約13μmの
場合の結果である。
【0035】図2から、セル厚dが約10μmの場合、
約13μmの場合の何れにおいても、散乱ゲインGが極
小となる平均粒径Rが存在することがわかる。すなわ
ち、平均粒径Rが大き過ぎると散乱ゲインGの値は大き
く、散乱特性は比較的悪い。この理由は、平均粒径Rが
大きいとセル厚方向に存在する液晶滴の個数が減少し、
その結果、入射光が散乱される回数が減少するためと、
1個の液晶滴によって光が散乱される角度分布(散乱
角)が狭くなるためである。また、平均粒径Rが極端に
小さい場合も散乱ゲインGの値は大きくなる。この理由
は、平均粒径Rが小さくなりすぎると1個の液晶滴の散
乱断面積が小さくなり、直進光が現れるためである。液
晶滴の平均粒径Rを小さくしたときに散乱ゲインGが大
きくなり始める平均粒径Rを臨界粒径とすると、セル厚
dが約10μm(図2中の20a)での臨界粒径は約
1.0μmであり、セル厚dが約13μm(図2中20
b)での臨界粒径は約0.9μmであった。
【0036】同じ平均粒径Rで比較すると、セル厚dが
約13μmの場合の散乱ゲインGは、セル厚dが約10
μmの場合の散乱ゲインGよりも小さくなっている。こ
れは、セル厚dを厚くすることにより、入射光がPDL
C内で散乱される回数(多重散乱)が増えるからであ
る。この多重散乱の結果、直進光(透過光)はセル厚d
に対して指数関数的に減衰する。セル厚dが約13μm
の場合の臨界粒径(約0.9μm)が、セル厚dが約1
0μmの場合の臨界粒径(約1.0μm)よりも小さく
なる理由も、多重散乱の効果と考えられる。すなわち、
平均粒径Rが小さくなり1つの液晶滴の散乱強度が低下
し直進光が発生した場合でも、セル厚dが厚いと直進光
が他の液晶滴によって散乱される確率が高いので、散乱
ゲインGは低くなり、散乱ゲインGが上昇する臨界粒径
は小さくなる。このように、セル厚dが厚くなるにつれ
て、散乱特性の最適化の指標となる臨界粒径が小さくな
ることを見いだした。
【0037】次に、平均粒径Rと閾値電圧Va との関係
について検討した結果を図3に示す。図3において、3
0a(□)はセル厚dが約10μmの場合の結果であ
り、30b(×)はセル厚dが約13μmの場合の結果
である。この結果から、閾値電圧Va は基本的に平均粒
径Rと反比例することを見いだした。これは1個の液晶
滴の閾値電圧Vd がほぼ等しいことによると考えられ
る。1個の液晶滴の閾値電圧Vd は、PDLC全体の閾
値電圧Va 、セル厚d、平均粒径Rの関数であり、近似
的に Vd =Va ・R/d で表される。この例では、Vd の値は0.6Vであっ
た。
【0038】また、セル厚dを変化させた場合のPDL
Cの閾値電圧Va も同様の理由で変化し、閾値電圧Va
はセル厚dにほぼ比例する。PDLCDの平均粒径Rと
セル厚dを最適化するためには、最小の閾値電圧V a
最小の散乱ゲインGを得る条件が望ましい。そこで、種
々の平均粒径を有するPDLCについて、閾値電圧Va
と散乱ゲインGの値との関係を検討した。得られた結果
を図4に示す。図4において、40a(●)はセル厚d
が約10μmの場合を示し、40b(○)はセル厚dが
約13μmの場合を示す。この図4において、原点(閾
値電圧Va =0V,散乱ゲインG=0.1)に近いポイ
ントが最適条件となる。また、各セル厚における最適条
件を与えるPDLCの液晶滴の平均粒径Rを最適平均粒
径と呼ぶ。
【0039】なお、PDLCDの駆動電圧は、駆動装置
によって制限されるので、PDLCの閾値電圧は、駆動
電圧に応じて設定される。例えば、アクティブマトリク
ス型PDLCDの場合、PDLCの閾値電圧はTFTな
どのアクティブ素子によって制約される。閾値電圧Va
および散乱ゲインGは、上述したように、セル厚dおよ
び平均粒径Rに依存する。更に、散乱ゲインGを最小と
する平均粒径Rはセル厚dに依存する。従って、アクテ
ィブ素子の特性に応じて、セル厚dとともに、それぞれ
のセル厚dでの最適条件(最適平均粒径)を検討し、最
適セル厚および最適平均粒径を選択する必要がある。
【0040】この図4では、セル厚dが約10μm、約
13μmにおける最適平均粒径は、それぞれ約1.2μ
m、約1.1μmであった。また同様にして検討した結
果、セル厚dが約9μmの場合の最適平均粒径は約1.
25μmであり、セル厚dが約20μmの場合の最適平
均粒径は約0.95μmであった(但し、図4中不図
示)。セル厚dが厚くなるほど最適平均粒径が小さくな
るのは、前述した臨界粒径が小さくなる現象と同じであ
る。
【0041】これら、各セル厚について求めた最適平均
粒径に対応する点を結ぶと、図4中の破線40cの曲線
が得られる。最適条件のPDLCを選択するということ
は、駆動電圧による閾値電圧に対する制限の下で、破線
40c上の点を選択することに対応する。上述の種々の
セル厚dについて得られた最適平均粒径と、その最適平
均粒径を有するPDLCを得るための重合性モノマーの
重量分率Mと重合性オリゴマーの重量分率Oとの比M/
Oとを併せて表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】表1の結果から、セル厚dと最適平均粒径
Rとの関係は、次式で与えられる。 R=2.585・d-1/3 最適平均粒径Rの誤差は、±約0.3μm以下であれば
実用上問題なく、±約0.1μm以下であることが特性
上好ましい。また、セル厚dと、そのセル厚dに対する
最適平均粒径を有するPDLCを得るための重合性モノ
マーの重量分率Mと重合性オリゴマーの重量分率Oとの
比M/Oとの関係は、近似的に次式で与えられる。
【0044】M/O=550・d-3/2 重合性モノマーの重量分率Mと重合性オリゴマーの重量
分率Oとの比M/Oの誤差は、±約20%以下であれば
実用上問題なく、±約10%以下であることが特性上好
ましい。また、TFT素子を用いたアクティブマトリク
ス型PDLCDの実用的な駆動電圧が、6〜12V程度
であることを考慮すると、最適平均粒径Rおよびセル厚
dは、それぞれ以下の範囲にあることが好ましい。
【0045】0.9<R<1.25 8<d<15 以上に述べた関係式に基づいて、セル厚dと平均粒径R
を最適化することによって、散乱ゲインが低く(散乱強
度が高く)、閾値電圧が低いPDLCを作製することが
可能となる。その結果、低電圧駆動が可能で、表示品質
の高いPDLCDを実現することができる。
【0046】〔第2の実施の形態〕この実施の形態で
は、投射型ディスプレイである3板式投射型カラー表示
装置のパネルとして、3原色の光に対して共通に用いる
ことができるPDLCDについて説明する。投射型ディ
スプレイの例として、図7に示す構成の3板式の投射型
カラー表示装置70を作製した。この投射型カラー表示
装置70は、三原色の光に対して、3枚のPDLCD7
3を使用している。光源71から出射された白色光は、
3枚のダイクロイックミラー72a,72b,72cで
色分離され、それぞれのPDLCD73に導かれる。ダ
イクロイックミラー72a〜72cとしては、反射波長
帯域が、青用(480〜500nm)、緑用(530〜
570nm)、赤用(600nm以上)のものを用い
た。それぞれのPDLCD73で強度変調された色光
は、ミラー77で反射され、投射レンズ74および絞り
75を有する投射光学系で合成され、スクリーン76に
投射される。
【0047】この実施の形態で用いたPDLCD73の
材料は、液晶材料としてTL213(メルク社製、no
=1.5273、ne =1.7664、Δn=0.23
91)を用いた以外は全て第1の実施の形態のPDLC
Dと同様である。PDLCD73の散乱ゲインGのセル
厚dに対する依存性をR、G、Bの各色光に対して調べ
た結果を図5に示す。図5において、50R,50G,
50BはそれぞれR(赤色)光,G(緑色)光,B(青
色)光に対する結果である。図5からわかるように、セ
ル厚dが薄くなるにつれて散乱ゲインGは大きくなり、
散乱強度が低下している。特に、赤色光(50R)で
は、他の色光(50Gおよび50B)に対して比較的厚
いセル厚dで散乱ゲインGの上昇が見られた。
【0048】この赤色光に対して、急激に散乱ゲインG
が上昇し始める臨界的なセル厚dをdc とする。具体的
には、図5中の曲線(50B、50G、50R)の傾き
の絶対値(|ΔG/Δdc |)が1以下となる最小のセ
ル厚を臨界セル厚dc と定義した。この条件は、セル厚
dが10%変動した場合の散乱ゲインの変動が10%以
下となる条件である。なお、セル厚dが10%変動した
場合の散乱ゲインの変動が20%以下となる条件を満足
するように、臨界セル厚dc を設定しても実用上問題は
無く、材料の選定や製造マージンを広くとれる等の利点
があるので、必要に応じて臨界セル厚dc を設定すれば
よい。
【0049】このdc 以下のセル厚dのPDLCDは赤
色光に対する散乱強度が弱く、このようなPDLCDを
用いた投射型カラー表示装置は、黒表示を行った場合、
赤っぽい黒が表示される。そこでdc 以上のセル厚dに
すると、R光、G光、B光の各色光に対する散乱ゲイン
Gの差は比較的小さく、良好な黒表示を実現できる。ま
た色バランスも良好である。
【0050】さらに、上記の条件(セル厚d≧dc )を
満足するPDLCDは、セル厚dにむらがあった場合に
も、そのムラが表示に影響しにくいというメリットがあ
る。また、PDLCDの温度変動によって液晶材料のΔ
nが変動した場合でも、セル厚dがdc 以上であれば、
Δnの変動も表示に影響を与えにくい。従って、PDL
CDのセル厚dは臨界セル厚dc 以上に設定することが
望ましい。図5では、セル厚dが臨界セル厚dc の場
合、R光、G光、B光のそれぞれの色光に対する散乱ゲ
インGの値はそれぞれ1.45、1.2、1.15であ
った。このとき、R光に対する散乱ゲイン(=1.4
5)はG光に対する散乱ゲイン(=1.2)のほぼ1.
2倍であった。種々検討した結果、セル厚dを臨界セル
厚dc 以上にすることは、R光に対する散乱ゲインとG
光に対する散乱ゲインの比を約1.2以下にすることと
等価であった。
【0051】また、臨界セル厚dc は液晶滴の平均粒径
Rに依存することを見いだした。これは前述したように
散乱断面積が液晶滴の平均粒径Rの関数になっているた
め、平均粒径Rによって散乱挙動が異なるためである。
表2に、この実施の形態における平均粒径Rと臨界セル
厚dc との関係を示す。
【0052】
【表2】
【0053】この平均粒径Rと臨界セル厚dc との関係
は、実験結果に基づいて、次式で表すことができる。 dc =8×R=8R ただし、平均粒径Rが約1.2μm以下では、上記の関
係は成立しない。その理由は、以下のように考えられ
る。赤色光についての散乱ゲインの平均粒径依存性を図
6に示す。図6に示すように、平均粒径Rが1.2μm
以下になると急激に増大する。この急激な増大は、液晶
滴の散乱断面積が実際の液晶滴の粒径よりも小さくなる
ために、直進光が発生することに起因している。このよ
うに、1.2μm以下の平均粒径Rでは散乱ゲインが急
激に上昇するので、上記関係式が成立しない。この上記
関係式を満足する平均粒径Rの下限値は、液晶滴の散乱
特性(散乱断面積)と関係しており、液晶材料の複屈折
率Δnに依存し、次式の関係を満足することが好まし
い。
【0054】R・Δn>0.3 また、平均粒径Rは、R・Δn>0.35の関係を満足
することが更に好ましい。次に、応答時間(応答速度)
と平均粒径Rとの関係を検討した結果、応答時間は平均
粒径Rにほとんど依存せず、印加電界(印加電圧をセル
厚dで割った値)に主に依存することを見いだした。P
DLCに印加する電圧の上限値は、上述したように駆動
装置の特性によって制限される。従って、印加電界の上
限値は、セル厚dによって決まる。すなわち、セル厚d
を薄くするほど応答速度を早くすることができる。
【0055】この実施の形態では、使用したアクティブ
マトリクス基板のTFTの特性から、駆動電圧の上限値
は10Vであり、実用的な応答速度を得るためのセル厚
dの上限値は18μmであった。このときの応答時間
(立ち上がり時間と立ち下がり時間の和)は100ms
であった。現在使用されているTFTの特性から、実用
的な駆動電圧の上限値は10V程度あり、上述の結果か
ら、PDLCを用いたアクティブマトリクス型液晶表示
装置のセル厚dは18μm以下であることが好ましい。
さらに、応答速度を速めるために、セル厚dを1.2d
c より薄くすることが好ましい。
【0056】以上をまとめると次の2つの条件が得られ
る。 R・Δn>0.3、 8R<d<18 さらに、好ましくは、 R・Δn>0.35、 8R<d<1.2dc の関係を満足することが好ましい。
【0057】上記の条件を満足するPDLCDを用いれ
ば、1種類のパネルを用いても、色むらのない良好な特
性の投射型カラー表示装置を実現できる。その結果、生
産性の向上および低コスト化を図ることができる。な
お、上記第1および第2の実施の形態では、図1(a)
に示すPDLCDについて、その条件を説明したが、図
1(b)に示すPDLCDについては、前述した条件に
おいて、液晶滴14の平均粒径Rの代わりに、液晶相1
4’の平均厚みR’を用いればよい。この平均厚みR’
は、前述した平均粒径Rと同様にして、例えば、液晶セ
ルを分解し、基板側に残った液晶相14’の跡を光学顕
微鏡で観察して求めることができる。
【0058】
【発明の効果】請求項1記載の液晶表示装置は、高分子
相と液晶相とを含む高分子分散液晶からなる液晶層の厚
さをd(μm)、液晶相の平均粒径または液晶相の平均
厚みをR(μm)とするとき、 2.585・d-1/3−0.3<R<2.585・d-1/3
+0.3 の関係を満足することにより、散乱強度が高く、閾値電
圧が低くなり、低電圧駆動を可能とし、表示品質を向上
することができる。
【0059】また、請求項2記載の液晶表示装置は、 2.585・d-1/3−0.1<R<2.585・d-1/3
+0.1 の関係を満足することにより、散乱強度がより高く、閾
値電圧が低くなり、低電圧駆動を可能とし、表示品質を
より向上することができる。また、請求項3記載の液晶
表示装置は、請求項1記載の液晶表示装置において、液
晶相の平均粒径または液晶相の平均厚みRが、0.9<
R<1.25の関係を満足することが、TFTを用いた
アクティブマトリクス型PDLCDの実用的な駆動電圧
(6〜12V程度)を考慮すれば、好ましい関係であ
る。
【0060】請求項4記載の液晶表示装置は、請求項1
記載の液晶表示装置において、液晶層の厚さdが、8<
d<15の関係を満足することが、TFTを用いたアク
ティブマトリクス型PDLCDの実用的な駆動電圧(6
〜12V程度)を考慮すれば、好ましい関係である。請
求項5記載の液晶表示装置の製造方法は、液晶層が高分
子相と液晶相とを含む高分子分散液晶からなる液晶表示
装置の製造方法であって、液晶材料と重合性モノマーと
重合性オリゴマーとを含む混合物を重合誘起相分離する
ことによって高分子分散液晶を形成する工程を包含し、
一対の基板間の距離をd(μm)とし、混合物中の重合
性モノマーの重量分率をM、重合性オリゴマーの重量分
率をOとするとき、 0.8・550・d-3/2<M/O<1.2・550・d
-3/2 の関係を満足することにより、散乱強度が高く、閾値電
圧が低くなり、低電圧駆動を可能とし、表示品質の向上
が図れる液晶表示装置を製造できる。
【0061】また、請求項6記載の液晶表示装置の製造
方法は、請求項5記載の液晶表示装置の製造方法におい
て、 0.9・550・d-3/2<M/O<1.1・550・d
-3/2 の関係を満足することにより、散乱強度がより高く、閾
値電圧が低くなり、低電圧駆動を可能とし、表示品質の
より向上が図れる液晶表示装置を製造できる。
【0062】請求項7記載の液晶表示装置は、一対の基
板と、一対の基板間に狭持された液晶層と、液晶層に電
圧を印加する電極とを備えた液晶表示装置であって、液
晶層は、高分子相と液晶相とを含む高分子分散液晶から
なり、液晶層の厚さをd(μm)、液晶相の平均粒径ま
たは液晶相の平均厚みをR(μm)とし、液晶相の液晶
材料の屈折率異方性をΔnとするとき、 R・Δn>0.3、かつ 8R<d の関係を満足することにより、赤色光,緑色光,青色光
の各色光に対する散乱ゲインの差は小さくなり、投射型
ディスプレイを作製した場合に、良好な黒表示を実現で
き、また色バランスも良好となる。また、液晶層の厚さ
dにむらがあっても、また、液晶材料の屈折率異方性Δ
nが温度によって変動しても、それらが表示に与える影
響が少なく、表示品質を向上することができる。
【0063】請求項8記載の液晶表示装置は、請求項7
記載の液晶表示装置において、液晶層の厚さd(μm)
が18μm以下であることにより、実用的に良好な液晶
の応答速度を得ることができる。請求項9記載の液晶表
示装置は、請求項7記載の液晶表示装置において、液晶
相の平均粒径または液晶相の平均厚みR(μm)と、液
晶相の液晶材料の屈折率異方性Δnとが、R・Δn>
0.35の関係を満足し、かつ、液晶層の厚さdが10
%変動した場合に散乱ゲインの変動量が20%以下とな
る液晶層の最小の厚さをdc とするときに、d<1.2
c の関係を満足することにより、表示品質をより高
め、また、液晶の応答速度をより速めることができる。
【0064】請求項10記載の液晶表示装置は、請求項
7記載の液晶表示装置において、一対の基板のうち一方
の基板を、電極が複数の画素電極からなり、各画素電極
に印加する電圧を制御するアクティブ素子を設けたアク
ティブマトリクス基板とすることにより、表示品質の高
いアクティブマトリックス型の液晶表示装置を実現する
ことができる。
【0065】請求項11記載の液晶表示装置は、一対の
基板と、この一対の基板間に狭持された液晶層と、この
液晶層に電圧を印加する電極とを備えた液晶表示装置で
あって、液晶層は、高分子相と液晶相とを含む高分子分
散液晶からなり、液晶層の厚さが10%変動した場合の
散乱ゲインの変動量が20%以下であることを特徴とす
ることにより、赤色光,緑色光,青色光の各色光に対す
る散乱ゲインの差は小さくなり、投射型ディスプレイを
作製した場合に、良好な黒表示を実現でき、また色バラ
ンスも良好となる。また、液晶層の厚さdにむらがあっ
ても、また、液晶材料の屈折率異方性Δnが温度によっ
て変動しても、それらが表示に与える影響が少なく、表
示品質を向上することができる。
【0066】請求項12記載の液晶表示装置は、請求項
11記載の液晶表示装置において、液晶層の厚さが10
%変動した場合の散乱ゲインの変動量が10%以下であ
ることにより、より表示品質を向上することができる。
請求項13記載の液晶表示装置は、一対の基板と、一対
の基板間に狭持された液晶層と、液晶層に電圧を印加す
る電極とを備えた液晶表示装置であって、液晶層は、高
分子相と液晶相とを含む高分子分散液晶からなり、液晶
層の赤色光に対する散乱ゲインが、緑色光に対する散乱
ゲインの1.2倍以下であることを特徴とすることによ
り、請求項11,12と同様の効果が得られる。
【0067】請求項14記載の投射型ディスプレイは、
複数の色光の各色光を変調する複数の液晶表示装置と、
この複数の液晶表示装置で変調された光を合成し投射す
る投射光学系とを備えた投射型ディスプレイであって、
液晶表示装置に、請求項7,8,9,10,11,12
または13記載の液晶表示装置を用いることにより、1
種類のパネル(液晶表示装置)を用いても色むらのない
良好な特性の投射型ディスプレイを実現でき、生産性の
向上および低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における液晶表示装置(P
DLCD)の断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態におけるPDLCD
の散乱ゲインと液晶滴の平均粒径との関係を示す特性図
である。
【図3】本発明の第1の実施の形態におけるPDLCD
の閾値電圧と液晶滴の平均粒径との関係を示す特性図で
ある。
【図4】本発明の第1の実施の形態におけるPDLCD
の散乱ゲインと閾値電圧との関係を示す特性図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態におけるPDLCD
の散乱ゲインとセル厚の関係をRGB三色に対して示す
特性図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態におけるPDLCD
の散乱ゲインと液晶滴の平均粒径との関係を示す特性図
である。
【図7】本発明の第2の実施の形態におけるPDLCD
を用いた投射型カラー表示装置の構成を示す模式図であ
る。
【符号の説明】
10 液晶層 11a,11b 基板 12a,12b 透明電極 13 高分子マトリクス(高分子相) 14 液晶滴(液晶相) 14’液晶相 d 液晶層の厚さ R 液晶滴の平均粒径 R’液晶相の平均厚み 70 投射型カラー表示装置(投射型ディスプレイ) 71 光源 72a〜72c ダイクロイックミラー 73 PDLCD(液晶表示装置) 74 投射レンズ(投射光学系) 75 絞り(投射光学系) 76 スクリーン 77 ミラー(投射光学系)

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対の基板と、この一対の基板間に狭持
    された液晶層と、この液晶層に電圧を印加する電極とを
    備えた液晶表示装置であって、 前記液晶層は、高分子相と液晶相とを含む高分子分散液
    晶からなり、前記液晶層の厚さをd(μm)、前記液晶
    相の平均粒径または前記液晶相の平均厚みをR(μm)
    とするとき、 2.585・d-1/3−0.3<R<2.585・d-1/3
    +0.3 の関係を満足することを特徴とする液晶表示装置。
  2. 【請求項2】 一対の基板と、この一対の基板間に狭持
    された液晶層と、この液晶層に電圧を印加する電極とを
    備えた液晶表示装置であって、 前記液晶層は、高分子相と液晶相とを含む高分子分散液
    晶からなり、前記液晶層の厚さをd(μm)、前記液晶
    相の平均粒径または前記液晶相の平均厚みをR(μm)
    とするとき、 2.585・d-1/3−0.1<R<2.585・d-1/3
    +0.1 の関係を満足することを特徴とする液晶表示装置。
  3. 【請求項3】 液晶相の平均粒径または前記液晶相の平
    均厚みRが、0.9<R<1.25の関係を満足する請
    求項1記載の液晶表示装置。
  4. 【請求項4】 液晶層の厚さdが、8<d<15の関係
    を満足する請求項1記載の液晶表示装置。
  5. 【請求項5】 一対の基板と、この一対の基板間に狭持
    された液晶層と、この液晶層に電圧を印加する電極とを
    備え、前記液晶層が高分子相と液晶相とを含む高分子分
    散液晶からなる液晶表示装置の製造方法であって、 液晶材料と重合性モノマーと重合性オリゴマーとを含む
    混合物を重合誘起相分離することによって前記高分子分
    散液晶を形成する工程を包含し、 前記一対の基板間の距離をd(μm)とし、前記混合物
    中の前記重合性モノマーの重量分率をM、前記重合性オ
    リゴマーの重量分率をOとするとき、 0.8・550・d-3/2<M/O<1.2・550・d
    -3/2 の関係を満足することを特徴とする液晶表示装置の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 一対の基板間の距離d(μm)と、混合
    物中の重合性モノマーの重量分率Mと、重合性オリゴマ
    ーの重量分率Oとが、 0.9・550・d-3/2<M/O<1.1・550・d
    -3/2 の関係を満足する請求項5記載の液晶表示装置の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 一対の基板と、前記一対の基板間に狭持
    された液晶層と、前記液晶層に電圧を印加する電極とを
    備えた液晶表示装置であって、 前記液晶層は、高分子相と液晶相とを含む高分子分散液
    晶からなり、前記液晶層の厚さをd(μm)、前記液晶
    相の平均粒径または前記液晶相の平均厚みをR(μm)
    とし、前記液晶相の液晶材料の屈折率異方性をΔnとす
    るとき、 R・Δn>0.3、かつ 8R<d の関係を満足することを特徴とする液晶表示装置。
  8. 【請求項8】 液晶層の厚さd(μm)が18μm以下
    である請求項7記載の液晶表示装置。
  9. 【請求項9】 液晶相の平均粒径または前記液晶相の平
    均厚みR(μm)と、前記液晶相の液晶材料の屈折率異
    方性Δnとが、R・Δn>0.35の関係を満足し、か
    つ、 液晶層の厚さdが10%変動した場合に散乱ゲインの変
    動量が20%以下となる前記液晶層の最小の厚さをdc
    とするときに、d<1.2dc の関係を満足する請求項
    7記載の液晶表示装置。
  10. 【請求項10】 一対の基板のうち一方の基板は、電極
    が複数の画素電極からなり、各画素電極に印加する電圧
    を制御するアクティブ素子を設けたアクティブマトリク
    ス基板である請求項7記載の液晶表示装置。
  11. 【請求項11】 一対の基板と、この一対の基板間に狭
    持された液晶層と、この液晶層に電圧を印加する電極と
    を備えた液晶表示装置であって、 前記液晶層は、高分子相と液晶相とを含む高分子分散液
    晶からなり、前記液晶層の厚さが10%変動した場合の
    散乱ゲインの変動量が20%以下であることを特徴とす
    る液晶表示装置。
  12. 【請求項12】 液晶層の厚さが10%変動した場合の
    散乱ゲインの変動量が10%以下である請求項11記載
    の液晶表示装置。
  13. 【請求項13】 一対の基板と、前記一対の基板間に狭
    持された液晶層と、前記液晶層に電圧を印加する電極と
    を備えた液晶表示装置であって、 前記液晶層は、高分子相と液晶相とを含む高分子分散液
    晶からなり、前記液晶層の赤色光に対する散乱ゲイン
    が、緑色光に対する散乱ゲインの1.2倍以下であるこ
    とを特徴とする液晶表示装置。
  14. 【請求項14】 複数の色光の各色光を変調する複数の
    液晶表示装置と、この複数の液晶表示装置で変調された
    光を合成し投射する投射光学系とを備えた投射型ディス
    プレイであって、 前記液晶表示装置は、請求項7,8,9,10,11,
    12または13記載の液晶表示装置であることを特徴と
    する投射型ディスプレイ。
JP19994196A 1995-07-31 1996-07-30 液晶表示装置およびその製造方法と投射型ディスプレイ Pending JPH09211435A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19994196A JPH09211435A (ja) 1995-07-31 1996-07-30 液晶表示装置およびその製造方法と投射型ディスプレイ

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19451095 1995-07-31
JP7-194510 1995-11-30
JP7-312013 1995-11-30
JP31201395 1995-11-30
JP19994196A JPH09211435A (ja) 1995-07-31 1996-07-30 液晶表示装置およびその製造方法と投射型ディスプレイ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09211435A true JPH09211435A (ja) 1997-08-15

Family

ID=27326951

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP19994196A Pending JPH09211435A (ja) 1995-07-31 1996-07-30 液晶表示装置およびその製造方法と投射型ディスプレイ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09211435A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000007065A1 (fr) * 1998-07-29 2000-02-10 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Dispositif d'affichage a diffusion et procede d'excitation de ce dispositif

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000007065A1 (fr) * 1998-07-29 2000-02-10 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Dispositif d'affichage a diffusion et procede d'excitation de ce dispositif

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5949506A (en) LCD with diffuser having diffusing particles therein located between polarizers
JP4760275B2 (ja) 液晶表示装置
JP2007004104A5 (ja)
KR101255292B1 (ko) 액정 표시 장치
US6215536B1 (en) Reflective liquid crystal display device having light scattering liquid crystal display element, and method for manufacturing reflective liquid crystal display device
JP2000221497A (ja) 反射型液晶表示装置
US6088075A (en) Liquid crystal display device, method for producing the same, and projection-type display apparatus including the liquid crystal display device
JP2803214B2 (ja) 液晶樹脂複合体、アクティブマトリクス液晶表示素子、及び投射型アクティブマトリクス液晶表示装置
US5610735A (en) Light scattering light valve projection apparatus
JPH09211435A (ja) 液晶表示装置およびその製造方法と投射型ディスプレイ
JP3048468B2 (ja) 液晶投写型テレビ
JPH05203931A (ja) 液晶パネルとその製造方法および液晶表示装置
JP3370758B2 (ja) 液晶パネルおよびその製造方法および投写型表示装置
JP2006221069A (ja) スクリーン及びリアプロジェクタ装置
KR20210061857A (ko) 백라이트 유닛 및 이를 포함한 디스플레이 장치
JPH05241133A (ja) 液晶パネル及びそれを用いた液晶投写型テレビ
KR100357956B1 (ko) 반사형 칼라 액정표시소자의 칼라 필터 및 제조방법
JPH0588162A (ja) 液晶パネルおよびそれを用いた液晶表示装置
JPH0511235A (ja) 液晶パネルおよびその製造方法と液晶投写型テレビ
KR100464291B1 (ko) 고분자분산액정패널및이를이용한영상투사장치와그제조방법
JP3681612B2 (ja) 液晶表示装置およびその製造方法
JP4151260B2 (ja) 半透過型液晶表示装置用カラーフィルタ及びその製造方法
JPH0588153A (ja) 液晶パネルおよびそれを用いた液晶表示装置
JP2000221483A (ja) 反射型液晶表示装置用基板及びそれを用いた反射型液晶表示装置
JP3623224B6 (ja) 液晶表示装置とその駆動方法