JPH09209950A - 二軸機械式過給機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 厳密な精度を要せず、軸方向の寸法の短小化
も実現しつつ耐トルク性能を高くでき、圧入公差の広い
低コスト、長寿命で信頼性の高いテーパ圧入部を有する
二軸機械式過給機を提供する。 【解決手段】 互いに隙間を保持して噛合する一対のロ
ータ２、３における各ロータ軸２Ａ、３Ａにそれぞれ圧
入されたはす歯からなるロータタイミングギヤ７、８の
噛合によって前記一対のロータ２、３が回転しそれらの
歯が噛合されてポンプ作用を行う二軸機械式過給機にお
いて、前記ロータタイミングギヤの中の少なくとも一方
のロータタイミングギヤ８のボス部８Ａを軸方向に延設
して該ロータタイミングギヤ８をケーシング１に軸支す
る軸受１２を外嵌させるとともに、前記延設されたロー
タタイミングギヤ８のボス部８Ａとロータ軸３Ａとの間
にテーパリング９を圧入したことを特徴とするものであ
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、互いに隙間を保持
して噛合する一対のロータによりエンジン等に空気を供
給して高出力を得る二軸機械式過給機に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、二軸式容積圧縮機の１例として図
５に示す実開平３−５２３９２号公報に記載されたよう
なものがある。ここに示された二軸式容積圧縮機は、図
５（Ａ）に示すようにケーシング内に互いに反対方向に
回転噛合するところの第１ロータ２２と第２ロータ２３
を備えており、図示しない吸入孔から供給された空気が
前記一対のロータ２２、２３を介して図示しない吐出孔
から吐出されて使用に供されるものである。このような
二軸式容積圧縮機は図示外の駆動源からＶベルト等を介
して入力プーリ２４に伝達された駆動力により回転駆動
される。前記入力プーリ２４より動力を得て回転駆動さ
れる入力軸である第１ロータ軸２２Ａの回転は第１タイ
ミングギヤ２７、第２タイミングギヤ２８を経て第２ロ
ータ軸２３Ａに伝達される。第１ロータ軸２２Ａには第
１ロータ２２が固定され、第２ロータ軸２３Ａには第２
ロータ２３が固定されている。前記第１ロータ軸２２Ａ
の入力プーリ２４と反対側の軸端において該第１ロータ
軸２２Ａと第１タイミングギヤ２７とがナット３０によ
って芯出しされてテーパ結合するテーパリング２９によ
って圧入固定される。３７はスペーサを、３１は第１ロ
ータ軸２２Ａをケーシングに軸支する軸受をそれぞれ示
しており、前記ナット３０の螺合によるテーパリング２
９および第１タイミングギヤ２７の軸動をスペーサ３７
を介して軸受３１のインナーレース端面が受けるもので
ある。図５（Ｂ）の例では、ナット３０の螺合によるテ
ーパリング２９および第１タイミングギヤ２７の軸動を
第１ロータ軸２２Ａにおける段付面が受けている。

【０００３】通常、この種の二軸式圧縮機における前記
一対のタイミングギヤ２７、２８ははすば歯車噛合とさ
れ、タイミングギヤ２７のロータ軸２２Ａに対する回転
方向および軸方向位置すなわちテーパ結合部におけるテ
ーパリング２９の圧入量を選択することで、タイミング
ギヤ２７のロータ２２の螺旋状の歯の位相に対する調整
およびタイミングギヤ２７のタイミングギヤ２８との噛
合位相を適正に調整することができるように構成されて
いる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところが、このような
形式のロータを備える圧縮機や過給機において、前記タ
イミングギヤ２７のロータ２２の歯の位相に対する調整
およびタイミングギヤ２７のタイミングギヤ２８との所
定の隙間を保持した噛合位相が適正であるためには、タ
イミングギヤ２７のロータ軸２２Ａにおける軸方向およ
び回転方向の組付け位置や芯出しが正確でなければなら
ず、タイミングギヤ２７とロータ軸２２Ａとのテーパ結
合部にはきわめて厳密な精度が要求されていた。しか
も、ロータ軸２Ａに対するタイミングギヤ２７の位置ず
れが生じないようにするには、前記テーパ結合部におけ
る圧入公差を狭くしてナット３０を強力に締め付ける必
要もあり、通常、軸受３１と軸方向に隣接配置されて長
大化することからタイミングギヤ２７およびテーパリン
グ２９の軸方向寸法が限定されていることもあって、よ
り厳密な精度が要求され、テーパ加工費用が嵩んで高価
となるばかりか、比較的軸方向長さの短いテーパ結合部
における長期間の使用等によってこれらタイミングギヤ
とロータ軸との間に位相のずれを生じ、最悪の場合には
所定の隙間を保持して噛合する一対のロータ間に噛合の
位相ずれを生じてポンプ機能に障害が起きる虞れもあっ
た。

【０００５】そこで、本発明はこのような従来の二軸機
械式過給機における諸課題を解決して、厳密な精度を要
せず、軸方向の寸法の短小化も実現しつつ耐トルク性能
を高くでき、圧入公差の広い低コスト、長寿命で信頼性
の高いテーパ圧入部を有する二軸機械式過給機を提供す
る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】このため本発明は、互い
に隙間を保持して噛合する一対のロータにおける各ロー
タ軸にそれぞれ圧入されたはす歯からなるロータタイミ
ングギヤの噛合によって前記一対のロータが回転しそれ
らの歯が噛合されてポンプ作用を行う二軸機械式過給機
において、前記ロータタイミングギヤの中の少なくとも
一方のロータタイミングギヤのボス部を軸方向に延設し
て該ロータタイミングギヤをケーシングに軸支する軸受
を外嵌させるとともに、前記延設されたロータタイミン
グギヤのボス部とロータ軸との間にテーパリングを圧入
したことを特徴とするもので、これを課題解決のための
手段とするものである。

【０００７】

【実施の形態】以下本発明の実施の形態を図面に基づい
て説明する。図１および図２は本発明の二軸機械式過給
機としてのスクリュ式過給機の１実施の形態の全体およ
び要部の断面図である。内燃式機関のエンジンの吸気系
に設置されるスクリュ式過給機は、ケーシング１内にお
いて平行に配置されて互いに反対方向に回転噛合する複
数の螺旋状の歯を設けたスクリュ式雄ロータ２と雌ロー
タ３を備える。これらスクリュ式雌雄ロータ２、３は図
示外のクランク軸からＶベルトを介して入力プーリ４に
伝達された駆動力により電磁クラッチ５の接続を介して
回転駆動され、軸方向の一方（右側）の吸入ポート１４
から供給された空気が前記複数の螺旋状の歯の噛合部に
より形成されるところの圧縮室１５により圧縮され、軸
方向の他方の吐出ポート１６から吐出されて（紙面に直
角方向に）内燃式機関の高出力燃焼に供されるものであ
る。前記入力プーリー４と入力軸６との間に配置された
電磁クラッチ５の断続は、スロットル開度、エンジン回
転数、吸入空気量等を解析してコンピュータ制御され
る。スクリュ式雌雄ロータ２、３はそれぞれケーシング
１内にベアリング１１、１２によって軸支された雌雄の
各ロータ軸２Ａ、３Ａに固定され、一方の雌ロータ軸２
Ａの入力側軸端の外周には前記電磁クラッチ５を介して
入力プーリ４と断接自在な入力軸６の内周がスプライン
嵌合等により連結され、緊締ボルト等により強固に固定
される。

【０００８】前記入力軸６に連結された雌ロータ軸２Ａ
には、はす歯からなる雌ロータタイミングギヤ７のボス
部がテーパによらない通常の圧入によって圧入固定さ
れ、さらに図１のＡ部の拡大図である図２に明瞭に示さ
れるように、前記雌ロータタイミングギヤ７に外接噛合
して同様にはす歯からなる雄ロータタイミングギヤ８の
ボス部を雄ロータ軸３Ａに圧入固定するに際して、該雄
ロータタイミングギヤ８のボス部８Ａを軸方向に延設
し、雄ロータタイミングギヤ８をケーシング１に軸支す
る軸受１２を外嵌させるとともに、延設された雄ロータ
タイミングギヤ８のボス部８Ａと雄ロータ軸３Ａとの間
にテーパリング９を嵌合挿入し、雄ロータ軸３Ａの軸端
に螺合せる緊締ナット１０によって圧入するものであ
る。前記軸受１２の軸方向内側には雄ロータ３Ａに外嵌
してジャーナル１３が配置され、軸受１２のインナーレ
ースの位置を規制している。前記雄ロータタイミングギ
ヤ８は、そのボス部８Ａの外周に設けられた段部８Ｂが
軸受１２のインナーレースに当接するように形成され、
緊締ナット１０の螺合時において所定の位置に正確に規
制され、テーパリング９による半径方向の締結力を効果
的に発生させることができる。前記ジャーナル１３の外
周にはシールリング１７が配置され、潤滑油が封入され
た駆動力伝達部側とポンプ部である圧縮室１５側とを遮
断する。また、軸受１２はスナップリング１８によって
軸方向への抜止めがなされるが、スナップリング１８は
雄ロータタイミングギヤ８のディスク部に穿設された肉
抜き孔等を通して所定溝内にセットされる。

【０００９】なお、前述した前記雄ロータタイミングギ
ヤ８と雄ロータ軸３Ａにおけるテーパ結合部の構造を雌
ロータタイミングギヤ７と雌ロータ軸２Ａにおける結合
部にも採用することを妨げるものではない。さらに、必
要に応じて、前記雄ロータタイミングギヤ８と雄ロータ
軸３Ａとの間の圧入部にこれら雄ロータタイミングギヤ
８と雄ロータ軸３Ａとの相対回転を阻止するピンを装着
してもよいものである。また、本発明の二軸機械式過給
機としては、上述したスクリュ式過給機として図３に示
されるような一対の雌雄のロータ２、３が所定の隙間を
保持して噛合するものの他、図４に示されるような所定
の隙間を保持して噛合する一対の繭型ロータ２、３を有
する二軸機械式過給機（ルーツ式過給機）の各ロータ軸
２Ａ、３Ａとこれらのロータ軸に装着されるロータタイ
ミングギヤとの間に適用することができる。

【００１０】以上のように構成したので、本発明によれ
ば、所定の位相にてスクリュ式雌ロータ２が圧入固定さ
れた雌ロータ軸２Ａに同様に固定された雌ロータタイミ
ングギヤ７に対してはす歯噛合するところの雄ロータタ
イミングギヤ８を、該ロータタイミングギヤ８のボス部
８Ａに軸受１２を外嵌させた状態にて軸方向に充分に長
いテーパリング９によって雄ロータ軸３Ａに緊締ナット
１０を螺合させて比較的低い面圧によって緊締固定する
ことができるので、充分に長いテーパリング９によるテ
ーパ結合部において、緊締ナット１０の螺合によるテー
パリング９の軸方向の調整距離を充分に長く取ることが
でき、雄ロータタイミングギヤ８のボス部８Ａと、テー
パリング９および雄ロータ軸３Ａとの間の厳密な圧入精
度を必要とせず、比較的圧入交差が広く、軸方向の寸法
の短小化も実現できて低コスト化を可能にする。しか
も、軸方向に充分に長いテーパリング９によるテーパ結
合部では面圧を低くできることから、緊締ナット１０を
無理に強固に螺合する必要なしに耐トルク性能を高くで
きるので、長期間の使用でも雄ロータ軸３Ａに対して雄
ロータタイミングギヤ８が妄動することがなく、長寿命
で信頼性の高いテーパ圧入部を有する二軸機械式過給機
が提供できるものである。また、万一、雄ロータタイミ
ングギヤ８と雌ロータタイミングギヤ７との間の噛合位
相、および雄ロータ軸３Ａに対して所定の位相にて圧入
固定された雄ロータ３に対する雄ロータタイミングギヤ
８の位相の微調整を行う必要が生じても、比較的容易に
緊締ナット１０を緊締し直すことが可能である。前記雌
ロータ２側に関しては、雌ロータ軸２Ａに対する雌ロー
タタイミングギヤ７と雌ロータ２は当初の所定の位相に
固定して設定されたままであっても、前記雄ロータタイ
ミングギヤ８の雄ロータ軸３Ａに対する軸方向の位置を
調整することが、前記雌ロータタイミングギヤ７に対す
る噛合位相の調整を介して間接的に雌雄のロータ２、３
間の噛合位相を調整することになるものである。

【００１１】以上本発明の実施の形態について説明した
が、本発明の趣旨の範囲内で、スクリュ式やルーツ式等
のロータの材質、断面形状、ロータ歯の螺旋角度、断面
形状および数、吸入ポートおよび吐出ポートの形状、電
磁クラッチの形態、入力軸およびロータタイミングギヤ
の形状、それらのスプライン等の連結形態、ロータタイ
ミングギヤとロータ軸との圧入形態、さらには、入力プ
ーリ、電磁クラッチ、入力軸およびロータタイミングギ
ヤのケーシングへの軸支形態、テーパリングの断面形
状、材質、設置形態、ロータタイミングギヤのボス部と
軸受およびロータ軸との嵌合形態、緊締ナットの螺合形
態等については適宜のものが採用され得ることは言うま
でもないことである。また、入力軸が雄ロータ側に連結
される形態を採用できることも言うまでもない。

【００１２】

【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば、所定の位相にてロータが圧入固定されたロータ軸
に同様に固定された一方のロータタイミングギヤに対し
てはす歯噛合するところの他方のロータタイミングギヤ
を、該他方のロータタイミングギヤのボス部に軸受を外
嵌させた状態にて軸方向に充分に長いテーパリングによ
ってロータ軸に緊締ナットを螺合させて比較的低い面圧
によって緊締固定することができるので、充分に長いテ
ーパリングによるテーパ結合部において、緊締ナットの
螺合によるテーパリングの軸方向の調整距離を充分に長
く取ることができ、これらロータタイミングギヤのボス
部と、テーパリングおよびロータ軸との間の厳密な圧入
精度を必要とせず、比較的圧入交差が広く、軸方向の寸
法の短小化も実現できて低コスト化を可能にする。しか
も、軸方向に充分に長いテーパリングによるテーパ結合
部では面圧を低くできることから、緊締ナットを無理に
強固に螺合する必要なしに耐トルク性能を高くできるの
で、長期間の使用でもロータ軸に対してロータタイミン
グギヤが妄動することがなく、長寿命で信頼性の高いテ
ーパ圧入部を有する二軸機械式過給機が提供できるもの
である。また、万一、一方のロータタイミングギヤと他
方のロータタイミングギヤとの間の噛合位相、およびロ
ータ軸に対して所定の位相にて圧入固定されたロータに
対するロータタイミングギヤの位相の微調整を行う必要
が生じても、比較的容易に緊締ナットを緊締し直すこと
が可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の二軸機械式過給機の第１実施の形態を
示し、スクリュ式過給機の全体断面図である。

【図２】本発明の二軸機械式過給機の第１実施の形態の
要部拡大図を示し、図１のＡ部の拡大図である。

【図３】本発明の二軸機械式過給機として採用されるス
クリュ式過給機の要部を示す図である。

【図４】本発明の二軸機械式過給機として採用されるル
ーツ式過給機の要部を示す図である。

【図５】従来の二軸式容積圧縮機を示す全体および変形
例の要部断面図である。

【符号の説明】

１ ケーシング ２ ロータ（雌） ２Ａ ロータ軸（雌） ３ ロータ（雄） ３Ａ ロータ軸（雄） ４ 入力プーリ ５ 電磁クラッチ ６ 入力軸 ７ ロータタイミングギヤ（雌） ８ ロータタイミングギヤ（雄） ８Ａ ボス部 ９ テーパリング １０ 緊締ナット １１ 軸受 １２ 軸受 １３ ジャーナル

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 互いに隙間を保持して噛合する一対のロ
   ータにおける各ロータ軸にそれぞれ圧入されたはす歯か
   らなるロータタイミングギヤの噛合によって前記一対の
   ロータが回転しそれらの歯が噛合されてポンプ作用を行
   う二軸機械式過給機において、前記ロータタイミングギ
   ヤの中の少なくとも一方のロータタイミングギヤのボス
   部を軸方向に延設して該ロータタイミングギヤをケーシ
   ングに軸支する軸受を外嵌させるとともに、前記延設さ
   れたロータタイミングギヤのボス部とロータ軸との間に
   テーパリングを圧入したことを特徴とする二軸機械式過
   給機。