JPH0920776A - 新規なプリンヌクレオシド誘導体、その製造方法及びその誘導体を有効成分とする抗ウイルス剤 - Google Patents

新規なプリンヌクレオシド誘導体、その製造方法及びその誘導体を有効成分とする抗ウイルス剤

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JPH0920776A
JPH0920776A JP18773395A JP18773395A JPH0920776A JP H0920776 A JPH0920776 A JP H0920776A JP 18773395 A JP18773395 A JP 18773395A JP 18773395 A JP18773395 A JP 18773395A JP H0920776 A JPH0920776 A JP H0920776A
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chemical formula
group
compound
purine
formula
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JP18773395A
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Inventor
Shoichi Miyawaki
正一 宮脇
Eiji Kojima
鋭士 小島
Makoto Machida
誠 町田
Kunimutsu Murakami
邦睦 村上
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Nippon Paper Industries Co Ltd
Jujo Paper Co Ltd
Original Assignee
Nippon Paper Industries Co Ltd
Jujo Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 新規なプリンヌクレオシド誘導体、その製造
方法及び、それ誘導体を有効成分として含有してなる新
規な抗ウイルス剤を提供する。 【構成】 下記式で表されるプリンヌクレオシド誘導
体。 (式中のR1は水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、水酸
基又はメトキシ基、R2及びR3は水素原子、ハロゲン原子
又はアミノ基である。また、*は不斉炭素を表す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な化合物に関し、
特に新規なプリンヌクレオシド誘導体、その製造法およ
びその誘導体を有効成分として含有してなる抗ウイルス
剤に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、種々のウイルス感染症の病原ウイ
ルスに関する研究が進むにつれ、その予防薬や治療剤の
開発が注目を集めている。抗ウイルス剤としては、生体
内において核酸の立体構造に酷似する核酸系の誘導体が
良く研究されており、例えば、従来化学療法による抗D
NAウイルス剤としてイドクスウリジン、シタラビン、
ビダラビン、アクシロビルが、また、核酸系抗ヒト免疫
不全ウイルス(核酸系抗HIV)治療薬として、アジド
チミジン、2,3-ジデオキシシチジン、2,3-ジデオキシイ
ノシンが臨床に供されている(矢島ら、医薬品の開発第
4巻合成医薬品IIIp905-918 、1989、廣川書店)。
【0003】一方、生体内の核酸立体構造に似る、核酸
系誘導体の各置換基も数多く研究されてきた。例えば生
体内において、ジクロロアセチル基が核酸のリン酸基と
誤認されたり、クロラムフェニコールがシチジン−1−
リン酸と誤認される事実が良く知られている(藤井ら,
化学と工業, 47, 1177 (1994))。従って、より高度な
病原ウイルス、或いは多種多様なウイルス感染症の病原
ウイルスに対して予防及び治療作用を有する物質が、核
酸塩基の誘導体から得られる可能性が残されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする問題点】そこで、本発明者ら
はプリン塩基の9-位に置換する官能基について種々検討
したところ、その誘導体である9−(N−ジクロロアセ
チル−2−ピロリジニルメチル)−プリンが優れた抗ウ
イルス効果を有することを見出し、本発明に到達した。
【0005】従って、本発明の第一の目的は、抗ウイル
ス効果を有する新規なプリンヌクレオシド誘導体を提供
することにある。本発明の第二の目的は、抗ウイルス効
果を有する新規なプリンヌクレオシド誘導体の製造方法
を提供することにある。本発明の第三の目的は、プリン
ヌクレオシド誘導体を有効成分として含有してなる抗ウ
イルス剤を提供することにある。
【0006】
【問題点を解決するための手段】本発明の上記の諸目的
は、下記化6で表されるプリンヌクレオシド誘導体によ
って達成された。
【化6】 但し、化1中のR1は水素原子、ハロゲン原子、アミノ
基、水酸基又はメトキシ基、R2及びR3は水素原子、ハロ
ゲン原子又はアミノ基である。また、*は不斉炭素を表
している。
【0007】本発明の化6で表される9−(N−ジクロ
ロアセチル−2−ピロリジニルメチル)−プリン、及
び、その誘導体は、通常の核酸の立体構造と酷似してい
る。即ち、その塩基部分は、通常の核酸(アデノシン、
2-デオキシアデノシン)などの塩基部分(プリン)に相
当し、また、プリンの9位に置換するピロリジニルメチ
ル基が、核酸のリボース五員環に相当し、更に、ジクロ
ロアセチル基が核酸のリン酸基に似ている。
【0008】本発明のプリンヌクレオシド誘導体におい
ては、各置換基は、R1、R2及びR3の種々の組み合わせの
中から適宜選択することができる。中でも、(S) 或いは
(R)-9-(N- ジクロロアセチル-2- ピロリジニルメチル)-
アデニン、(S) 或いは(R)-9-(N- ベンゾイル-2- ピロリ
ジニルメチル)-アデニン、(S) 或いは(R)-9-(N- トシル
-2- ピロリジニルメチル)-アデニンなどが代表的なもの
である。また、抗ウイルス効果の高いものとしては、9-
(N- ジクロロアセチル-2- ピロリジニルメチル)-アデニ
ンが挙げられる。
【0009】本発明のプリンヌクレオシド誘導体は、以
下に示す如く、4つの反応工程によって製造される。本
発明の製造方法における第1工程は、原料化合物である
下記化7で表される(D−又はL−)プロリンのカルボ
キシル基を還元剤により還元して、下記化8で表される
(D−又はL−)プロリノールを得る工程である。
【化7】
【化8】 但し、化7及び8中の*は不斉炭素を表す。
【0010】ここで原料として使用されるプロリンは、
D-体, L-体、あるいはその混合体(すなわちラセミ体)
のいずれでもよく、また用途に応じて、五員環の1〜4
位のいずれかに置換基を含有するプロリン誘導体を用い
ることもできる。本工程における還元剤は、公知のもの
の中から適宜選択することができるが、特に、水素化リ
チウムアルミニウム(LiAlH4)を使用することが好まし
い。LiAlH4の使用量は、化7で表された化合物1モルに
対して1.5〜2.0モルであることが好ましい。
【0011】本工程における反応用溶媒は、還元反応に
適した溶媒であれば特に限定されることはないが、本発
明においては、特に脱水テトラヒドロフランを使用する
ことが好ましい。また、本工程における還元反応は、窒
素雰囲気下で1時間加熱環流して行うことが好ましく、
還元反応から得られた前記化8で表された生成物は、精
製することなく次工程の原料として反応に用いることが
できる。
【0012】本発明の製造方法における第2工程は、得
られた化8で表される(D−又はL−)プロリノールに
含有されるアミノ基をジクロロ塩化アセチル基により保
護して、下記化9で表される化合物を得る工程である。
【化9】 但し、化9中の*は不斉炭素を表す。
【0013】ここで行うジクロロアセチル化反応は常法
に従えばよく、例えば、エタノール溶媒中、窒素雰囲気
下でジクロロ塩化アセチルを少しずつ滴下することによ
って行う。得られた生成物をシリカゲルカラムクロマト
グラフィー等で単離することにより、次工程に用いられ
る化9で表される化合物を得ることができる。また、原
料のジクロロ塩化アセチルの使用量は、化8で表される
化合物1モルに対して1.2〜1.5モルであることが
好ましい。尚、この工程で使用されるアミノ基の保護基
としては、アミノ酸に由来するもの、例えば、ベンゾイ
ル基、ジクロロアセチル基、トシル基、ジクロロプロピ
オニル基、およびリン酸基などが挙げられる。
【0014】本発明の製造方法における第3工程は、得
られた化9で表される化合物に含有されるアルコール性
水酸基を、p-トルエンスルホニルで保護するトシル化反
応を行うことにより、下記化10で表される化合物を得
る工程である。
【化10】 但し、化10中の*は不斉炭素を表し、Tsはパラトルエ
ンスルホニル基を表す。
【0015】ここで行うトシル化反応は常法に従えばよ
く、例えば、脱水ピリジン溶媒中、0℃で窒素雰囲気
下、化9で表された化合物の一級アルコール性水酸基を
p-トルエンスルホニル化し、得られた生成物をシリカゲ
ルカラムクロマトグラフィー等で単離することにより、
次工程に用いられる化10で表された化合物を得ること
ができる。また、p-トルエンスルホニルの使用量は、化
9で表される化合物1モルに対して2.0〜3.0モル
であることが好ましい。
【0016】本発明の製造方法における第4工程は、得
られた化10で表される化合物をプリン塩基とのカップ
リング反応を行わせることにより、前記化6で表される
9−(N−ジクロロアセチル−2−ピロリジニルメチ
ル)−プリン及びその誘導体を得る最終工程である。こ
こで行うカップリング化反応は常法に従えばよく、例え
ば、脱水ジメチルホルムアミド(DMF)溶媒中、窒素
雰囲気下で、プリン塩基と等モルの18- クラウン-6及び
2倍モルのK2 CO3 を加え、30〜60分間室温で撹
拌した後、化10で表される化合物の脱水DMF溶液を
滴下し、得られた混合溶液を80℃で一晩撹拌して行う
ことができる。
【0017】得られた9−(N−ジクロロアセチル−2
−ピロリジニルメチル)−プリン及びその誘導体は、ヌ
クレオシドの単離精製に使用されている通常の方法を適
宜組み合わせて分離精製することができる。ここで行う
分離精製方法は、溶媒を留去した後、エタノール等の適
当な溶媒から結晶化させるか、又は、イオン交換樹脂な
どのイオン交換カラムクロマトグラフィー、活性炭など
の吸着カラムクロマトグラフィーなどにより精製した
後、凍結乾燥又は結晶化させることにより、遊離酸型の
みならず、必要に応じて塩型として得ることができる。
【0018】本発明のプリンヌクレオシド誘導体は、抗
ウイルス剤として使用することができ、その形態は用途
に応じて適宜選択すれば良いが、安定性の観点からは、
塩であることが好ましく、例えば、塩酸塩又は硫酸塩な
どの酸付加塩、ナトリウム塩、カリウム塩またはリチウ
ム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩などのアルカ
リ土類金属塩、及び、アンモニウム塩などの、薬理学的
に許容される任意の塩が挙げられる。
【0019】一般に、抗ウイルス剤の毒性はCC50値
(50%細胞毒性濃度;値が大きいほど、毒性が低いこ
とを示す)で、また、その活性はEC50値(ウイルス
の50%を抑制する薬剤の有効濃度;値が小さいほど、
活性が高いことを示す)で表すことができる。更に、抗
ウイルス活性と毒性の両者を加味した指標として、下記
の式で表されるSI値を挙げることができる。 SI=CC50値/EC50値 上記のSIは治療係数と称されるものであり、値が大き
いほど抗ウイルス剤として優れていることを意味する。
【0020】
【発明の効果】本発明の、核酸塩基の誘導体から得られ
たプリンヌクレオシド誘導体、特に、9-(N- ジクロロア
セチル-2- ピロリジニルメチル)-アデニン、9-(N- ジク
ロロアセチル-2- ピロリジニルメチル)-グアニンは、低
濃度で抗ウイルス活性を示し、特に、ラウス肉腫ウイル
ス(RSV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)等のウ
イルスに対して顕著な阻害効果が見られたので、生化学
及び生物学実験のみならず、医学基礎実験及び臨床実験
に用いる酵素阻害剤として極めて有効である。
【0021】
【実施例】以下、本発明を実施例によって更に詳述する
が、本発明はこれによって限定されるものではない。
又、特に断らない限り、以下に記載する「部」及び
「%」は、それぞれ「重量部」及び「重量%」を意味す
る。
【0022】実施例1. 1)(S)-2-ヒドロキシメチルピロリジンの合成 LiAlH46.0g(156ミリモル)を500ミリリット
ルの三つ口丸底フラスコに入れた後、脱水テトラヒドロ
フラン(最大水分含量が0.005%)250ミリリッ
トルを加え、15分間オイルバス中で加熱還流した。次
に、L−プロリン11.5g(100ミリモル)を約
0.2gずつ加え、更に1時間還流を行った。
【0023】薄層クロマトグラフィー(TLC)によっ
て反応が完了していることを確認した後加熱をやめ、
2.8g/11ミリリットルの水酸化カリウム水溶液を
ゆっくりと滴下した。滴下終了後さらに25分間還流
し、直ちに吸引濾過した。得られた濾液を30℃で減圧
濃縮した後真空乾燥し、薄黄色でオイル状の(S)-2-ヒド
ロキシメチルピロリジンを得た。その収率は95%で、
移動率(Rf 値)は0.47 (n−ブタノール:酢酸:
水=6:2:2)であった。また、表1に示された、該
化合物のNMR測定結果によってその構造式が確認され
た。
【0024】
【表1】 ────────────────────────1 H-NMR(D2O) δ(ppm) 13C-NMR(D2O) δ(ppm) ──────────────────────── 1.33-1.42(1H,m,Hc) 25.27(Cd) 1.70-1.76(2H,m,Hd) 28.19(Cc) 1.82-1.90(1H,m,Hc) 46.13(Ce) 2.76-2.88(2H,m,He) 59.70(Cb) 3.12-3.19(1H,m,Hb) 65.28(Ca) 3.47-3.54(2H,m,Ha) 4.85(1H, s, Hf) ────────────────────────
【0025】2)(S)-N-ジクロロアセチル-2- ヒドロキ
シメチル- ピロリジンの合成 得られた(S)-2-ヒドロキシメチルピロリジン1.0g
(10ミリモル)を25ミリリットルのナス型フラスコ
に入れ、エタノール10ミリリットル、及び、ジクロロ
塩化アセチル1.5g(10ミリモル)を少しずつ加
え、40℃を越えないように反応を行った。
【0026】薄層クロマトグラフィー(TLC) により反応
が完了していることを確認した後、得られた反応液を3
0℃で減圧濃縮し、分取TLC(酢酸エチル:n- ヘキサン=
1:1)により精製した後、薄黄色でオイル状の(S)-N-ジク
ロロアセチル-2- ヒドロキシメチル- ピロリジンを得
た。得られた合成物の収率は20%で、移動率(R
f 値)は0.50 (酢酸エチル:n−ヘキサン=1:
1)であった。また、表2に示された該化合物のNMR
測定結果によってその構造式が確認された。
【0027】
【表2】
【0028】3)(S)-N-ジクロロアセチル-2- パラトル
エンスルホニルオキシメチルピロリジンの合成 得られた(S)-2-ヒドロキシメチル-N- ジクロロアセチル
ピロリジン0.4g(2.0ミリモル)を50ミリリッ
トルの三つ口丸底フラスコに入れ、脱水ピリジン(最大
水分含量が0.005%)5ミリットルを加え、0℃で
しばらく撹拌した。次いで、塩化p-トルエンスルホニル
0.8g(4.5ミリモル)を含有する10ミリリット
ルの脱水ピリジン溶液を滴下した後、更に、0℃で4時
間撹拌した。
【0029】薄層クロマトグラフィー(TLC) により反応
が完了していることを確認した後、氷水に加え次いで酢
酸エチルで抽出した。ピリジンを1N-HClで抽出除去した
後、30℃で減圧濃縮して分取TLC(酢酸エチル:n- ヘキ
サン=1:3) により精製した後、白色結晶の(S)-N-ジクロ
ロアセチル-2- パラトルエンスルホニルオキシメチルピ
ロリジンを得た。得られた合成物の収率は22%で、移
動率(Rf 値)は0.37 (酢酸エチル:n−ヘキサン
=1:3)であった。また、表3に示された該化合物の
NMR測定結果によってその構造式が確認された。
【0030】
【表3】
【0031】4)(S)-9-(N- ジクロロアセチルピロリジ
ニルメチル)-アデニンの合成 アデニン60mg(0.44ミリモル)、K2CO3 0.1
2g(0.88ミリモル)、115mg(0.44ミリ
モル)の18−クラウン−6、及び、脱水N,N-ジメチル
ホルムアミド(最大水分含量が0.005%)10ミリ
リットルを50ミリリットルの三つ口丸底フラスコに加
え、窒素雰囲気下の室温で1 時間撹拌した。次いで、5
ミリリットルの脱水DMF溶液に(S)-N-ジクロロアセチ
ルピロリジニルメチルトシレート0.16g(0.44
ミリモル)を溶解した液を室温で滴下した後、80℃で一
晩撹拌した。
【0032】薄層クロマトグラフィー(TLC)によっ
て反応が完了していることを確認した後、ガラス管蒸留
装置により溶媒を留去し、分取TLC(CH2Cl2:CH3OH=
9:1)により部分精製した。この粗目的物質を逆相HP
LC(CH3CN:H2O=3:7)により分離・精製し、白色結晶
の(S)-9-(N- ジクロロアセチルピロリジニルメチル)-ア
デニンを得、これを後述する実施例のサンプル1とし
た。得られた合成物の収率は22%で、移動率(R
f 値)は0.54(CH2Cl2:CH3OH=9:1)であった。
また、表4に示された該化合物のNMR測定結果によっ
てその構造式が確認された。
【0033】
【表4】
【0034】尚、得られた誘導体を用いて旋光度の測
定、元素分析及び質量スペクトル分析を行った結果は表
5に示した通りである。
【表5】
【0035】実施例2.実施例1で原料として用いられ
たL-プロリンを同量のD-プロリンに代えた他は、実施例
1と全く同様の方法で同表に示された(R)-9-(N- ジクロ
ロアセチルピロリジニルメチル)-アデニンを合成し、こ
れを後述する実施例のサンプル2とした。尚、得られた
誘導体を用いて旋光度の測定、元素分析及び質量スペク
トル分析を行った結果、並びに、収率は表5に示した通
りである。
【0036】実施例3〜13.実施例1の第4工程に使
用したアデニンを、表6に示される同量のプリンの誘導
体に代えたこと以外は、実施例1と全く同様の方法で同
表に示されたプリンヌクレオシド誘導体を合成した。ま
た、該誘導体を用いて旋光度の測定、元素分析及び質量
スペクトル分析を行ったた結果、並びに、収率は表5に
示した通りである。
【0037】
【表6】
【0038】実施例14.実施例9で得られた化合物を
アデノシンデアミナーゼで処理して、実施例5で得られ
た誘導体と同じ6-ヒドロキシ-9-(N-ジクロロアセチルプ
ロリノ)-プリン(サンプル5)を得た。収率は81%で
あった。
【0039】実施例15.実施例10で得られた化合物
をデアミナーゼで処理して、実施例5で得られた誘導体
と同じ2-アミノ-6- ヒドロキシ-9-(N-ジクロロアセチル
プロリノ)-プリン(サンプル6)を得た。収率は60%
であった。
【0040】実施例16.HIV−1(ヒトエイズウイ
ルス株(IIIB))に感染させた、1×104個の白
血球の増殖細胞(MT−4細胞)と非感染のMT−4細
胞を、種々の濃度のサンプル1,2,4〜6,8及び1
0と共に、下記A〜Dの4組に分け、それぞれ96穴の
マイクロプレートの各穴に加え、37℃のCO2 インキ
ュベーター中で5日間培養した。 A:HIVに感染されたMT−4細胞 B:HIVに感染されなかったMT−4細胞のみ C:本発明の抗HIV剤を加えた、HIVに感染された
MT−4細胞 D:本発明の抗HIV剤を加えた、HIVに感染されな
かったMT−4細胞
【0041】これらの培養細胞に、3-(4,5- ジメチル-2
- チアゾリル)-2,5-ジフェニル-2H-テトラゾリウム ブ
ロマイド(以下「MTT」と略する)を加え、更に、2
時間培養を続けた。この間に、生細胞に取り込まれたM
TTは、細胞中のミトコンドリアが有する酵素によって
還元され、青紫色の水に不溶性の色素(formazan)を形成
した。
【0042】次いで、5%のポリエチレングリコールア
ルキルフェニルエーテル(Triton X−100:
シグマ社製の商品名)を含む塩酸酸性2−プロピルアル
コール溶液を添加して、前記生成した色素を可溶化さ
せ、595nmにおける特異的吸光度と655nmにお
ける特異的吸光度をマイクロプレート・リーダー(BI
O−RADモデル3550)により測定し、前記した4
組の培養細胞A〜Dにおける吸光度の差(ODa、OD
b、ODc及びODd)を求めた。
【0043】得られた数値から、下記に表される式を用
いてサンプル1,2,4〜6,8及び10の抗HIVア
ッセイを表す、50%細胞死阻止濃度(EC50値)及
び50%細胞毒性濃度(CC50値)並びに治療係数S
I値(SI値=CC50値/EC50値)を算出した結
果は、表7に示した通りである。 EC50=(ODb−ODc)/(ODb−ODa) CC50=(ODb−ODd)/(ODb−ODa)
【0044】
【表7】
【0045】表7から明らかなように、サンプル1及び
6にはEC50値が10.5μg/ミリリットル、及
び、22μg/ミリリットルという低濃度、且つ高いS
I値で抗HIV効果が見られた。
【0046】実施例17.MOI(宿主細胞1個当たり
に感染させるウイルスの数)が200となるように、ラ
ウス肉腫ウイルス(Raus Salcoma Virus)(以下RSVと
略記する)に感染させることによって引き起こされるト
リ繊維芽細胞(初代培養細胞;Chick Embryo Fibrofas
t、以下CEFと略記)と、非感染のCEFを、種々の
濃度のサンプル1〜13と共に96穴マイクロプレートの
各穴に加え、37℃のCO2 インキュベーター中で6日
間培養した。
【0047】次いで、薬剤によって抑制された細胞、及
び毒性が見られた細胞の形質転換段階を顕微鏡で観察し
て判定した。また、試料1〜13の抗RSVアッセイを
表す、EC50値、CC50値及びSI値を算出した結
果は表8に示した通りである。
【0048】
【表8】
【0049】表8から明らかなように、サンプル1及び
6にはEC50値が8μg/ミリリットル、及び、16
μg/ミリリットルという低濃度、且つ高いSI値(サ
ンプル1の場合)で抗RSV効果が見られた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07D 473/32 C07D 473/32 473/40 473/40 // A01N 43/90 105 A01N 43/90 105 C07M 7:00 (72)発明者 村上 邦睦 山口県岩国市飯田町2−8−1 日本製紙 株式会社岩国技術研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記化1で表されることを特徴とするプ
    リンヌクレオシド誘導体。 【化1】 但し、化1中のR1は水素原子、ハロゲン原子、アミノ
    基、水酸基又はメトキシ基、R2及びR3は水素原子、ハロ
    ゲン原子又はアミノ基である。また、*は不斉炭素を表
    す。
  2. 【請求項2】 下記の4工程からなることを特徴とす
    る、請求項1に記載されたプリンヌクレオシド誘導体の
    製造方法。 第1工程;下記化2で表される、(D−又はL−)プロ
    リンのカルボキシル基を還元して(D−又はL−)プロ
    リノールを得る工程。 【化2】 但し、化2中の*は不斉炭素を表す。 第2工程;得られた(D−又はL−)プロリノールに含
    有されるアミノ基をジクロロ塩化アセチル基により保護
    する、下記化3で表される工程。 【化3】 但し、化3中の*は不斉炭素を表す。 第3工程;得られた化合物のアルコール性水酸基をトシ
    ル化する、下記化4で表される工程。 【化4】 但し、化4中の*は不斉炭素を表し、Tsはパラトルエ
    ンスルホニル基を表す。 第4工程;得られた化合物のパラトルエンスルホニル基
    にプリン塩基をカップリングさせる、下記化5で表され
    る工程。 【化5】 但し、化5中のR1は水素原子、ハロゲン原子、アミノ
    基、水酸基又はメトキシ基、R2及びR3は水素原子、ハロ
    ゲン原子又はアミノ基である。また、*は不斉炭素を表
    す。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載されたプリンヌクレチオ
    シド誘導体、及び/又は、その塩を有効成分として含有
    してなる抗ウイルス剤。
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