JPH09205345A - オーディオ信号のフィルタリングのための方法及び装置 - Google Patents

オーディオ信号のフィルタリングのための方法及び装置

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JPH09205345A
JPH09205345A JP8325110A JP32511096A JPH09205345A JP H09205345 A JPH09205345 A JP H09205345A JP 8325110 A JP8325110 A JP 8325110A JP 32511096 A JP32511096 A JP 32511096A JP H09205345 A JPH09205345 A JP H09205345A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の課題は、計算処理の回数の実質的な
低減を、オーディオ信号及びインパルス応答の高域周波
数信号成分に不利な影響を与えることなしに可能にする
方法及び装置を提供することである。 【解決手段】 上記の課題は、インパルス応答を近似
し、この近似されたインパルス応答では、当該区間の範
囲内の相互に隣接する間隔において、基礎となるインパ
ルス応答の真の曲線とは関係なく、複数のサンプリング
間隔にわたってサンプル値は一定に保持されるように
し、各区間内で一定に保持されるサンプル値の大きさ
は、当該区間内に現れる基礎となるインパルス応答の任
意のサンプル値の大きさ、例えば当該区間内に現れるそ
の都度最初のオリジナルのインパルス応答のサンプル値
の大きさに相応することによって解決される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オーディオ信号を
デジタル化された形式で処理するオーディオ信号のフィ
ルタリングのための方法及び装置であって、サンプリン
グ間隔は、オーディオ信号中に予期され得る最大周波数
の周期の半分の大きさか又は半分より小さい大きさであ
って、デジタル化されたインパルス応答は、所望のフィ
ルタ作用に相応して処理され、このインパルス応答のサ
ンプル値及びオーディオ信号のサンプル値から畳み込み
和が形成されるオーディオ信号のフィルタリングのため
の方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】オーディオ信号のフィルタリングはしば
しば必要とされる。例えば、再生の際に所定の空間特性
が伝えられるべきである。録音の際に記録はよく音源の
すぐ近くで行われる。このことによって、記録の際の空
間の成分が考慮されないままになる。このように記録さ
れた信号を後続処理しない場合、聴取者は、オリジナル
の演奏が行われた空間内にいた人と同じ音の印象をもた
ない。
【0003】しかし、空間がどんな影響を音の聴き取り
に与えるのか、ということが例えば測定によってわかれ
ば、記録されたオーディオ信号を後でフィルタリングす
ることによって再び音響的なオリジナル信号に変換する
ことができる。
【0004】この場合、再生がラウド・スピーカによっ
て行われるのか又はヘッドホンによって行われるのかは
原理上重要ではない。
【0005】フィルタリングの際にバイノーラル効果が
考慮される場合には、ヘッドホンによる再生の際に、良
く知られた「頭の中の局部に音が集中する現象(“Im-K
opf-Lokalisation”)」もまた避けることができる。こ
のことから、聴取者の個々の外耳の伝達関数によるオー
ディオ信号のフィルタリングが理解される。
【0006】再生の際にフィルタをより精確に考慮する
ことができればできるほど、ますます音の印象は実物通
りになるだろう。
【0007】しかし、所定の音色を得るためにも又は個
々の周波数領域を高めたり低めたりするためにも音響フ
ィルタを使用することができる。一つのボックスの異な
るラウド・スピーカにオーディオ信号を割り当てる、い
わゆる分波器もオーディオ・フィルタである。
【0008】時間領域では、各々のフィルタリングを、
相応のインパルス応答との畳み込みによって表すことが
できる。オーディオ信号がデジタル形式であれば、各々
の畳み込みは、時間のかかる演算である。この演算は大
量の乗算と加算から構成される。従って、この畳み込み
に必要な計算コストを低減する多くの試みがある。
【0009】最も簡単な解決方法は、いわゆるウィンド
ウ法である。この場合、インパルス応答全体を畳み込み
に使用すせずに、インパルス応答の一部だけを使用す
る。この結果、重要な情報が失われる可能性がある。
【0010】実際には、インパルス応答の始めの部分だ
けを考慮し、終わりの部分を切り捨てるようにウィンド
ウ化する。この終わりの部分には、低域および中間周波
数における微細構造(例えば残響)にとって重要な部分
が含まれている。これは例えば最小位相フィルタ又は近
似最小位相フィルタに当てはまる。
【0011】ドイツ特許第4328620号明細書で
は、インパルス応答を聴覚的に重要な部分に限定するア
ルゴリズムが提案された。これはたしかに問題の正確な
解決ではない。しかし、幾つかの遮蔽効果を利用するこ
とによって、聴取者が再生されたオーディオ信号とオリ
ジナルのオーディオ信号との違いに気づかないことはあ
り得る。この場合、インパルス応答のうち所定の閾値を
越える部分のみが利用される。このことによって、計算
コストを大幅にダウンさせることができる。
【0012】上記の特許文献に記述されていたように、
2秒のインパルス応答、50kHzのサンプリング・レー
ト、そして20kHzのオーディオ信号の帯域幅の場合の
畳み込みの正確な計算には、毎秒5×10回の加算及
び乗算が必要である。
【0013】このような事情のため、畳み込みのための
計算コストを低減させるための方法を模索するのは、当
然のことである。
【0014】デジタルフィルタリングにおける計算コス
ト低減のためのもう一つの公知の手段は、“Elektroni
k”Heft 15 1988,S.82 ff.に掲載された論文“Aufwand
beidigitalfiltern gesenkt”に記述されている。この
方法においては、オーディオ信号の帯域幅を半分にする
ために、オーディオ信号を付加的にフィルタ処理する。
その次にこのオーディオ信号を半分のサンプリング周波
数でサンプリングする。この手段の結果、すべての高域
音響周波数成分が消滅する。すなわち、畳み込みの後で
得られる利用信号は、元のオーディオ信号より著しく小
さい帯域幅を有する。言い換えれば、計算コストの低減
は音響パターンを損なうことによって甘受されるのであ
る。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の課題
は、オーディオ信号及びインパルス応答の高域周波数信
号成分に不利な影響を与えることなしに、計算処理の回
数の実質的な低減を可能にする方法及び装置を提供する
ことである。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記課題は、インパルス
応答よりも短い、このインパルス応答の少なくとも一つ
の時間区間内に、このインパルス応答の複数の隣接する
サンプル値が、所属の間隔を決定する第1のステップ
と、このように決定された内において、このように決定
された間隔に所属するインパルス応答のサンプル値を、
このように決定された間隔内に現れるデジタル化された
インパルス応答のサンプル値のうちの一つ又は複数のサ
ンプル値の関数である値に値に等しいように設定する第
2のステップと、このように決定された間隔が互いにオ
ーバーラップしないという条件つきで、第1のステップ
と第2のステップとを複数回繰り返す第3のステップと
を実施し、少なくとも一つの時間区間内における畳み込
み和の計算のために、時間的に粗くされたインパルス応
答を畳み込みのために利用し、その他の場合には、イン
パルス応答をもとのまま畳み込みのために利用すること
によって解決される。
【0017】
【発明の実施の形態】フィルタの出力信号の計算の際
に、実際の又は仮想のインパルス応答によって計算が行
われる。この実際の又は仮想のインパルス応答は、本当
の又は真のインパルス応答と比較され、より大きい時間
的持続を有する量子化ステップによって近似される。各
量子化ステップ内では、真のインパルス応答の実際の曲
線に依存せずに、量子化ステップ内に含まれる全てのイ
ンパルス応答のサンプル値は一定に保持される。このこ
とによって、計算コストを大幅に低減することができ
る。このことは、フィルタの出力信号のサンプル値の計
算にとって、次のことを意味する。すなわち、上記のよ
うに決定されたインパルス応答の量子化ステップによっ
て覆われたオーディオ信号の区間内では、オーディオ信
号のサンプル値だけを加算し、続いてこうして形成され
た和をインパルス応答の量子化ステップのサンプル値で
乗算すれば十分である、ということを意味する。明らか
にわかることだが、近似されたインパルス応答の1つの
量子化ステップ毎に1回の乗算と1回の加算だけで十分
である。従来技術においては、インパルス応答の相応の
時間的領域ごとに、この領域に含まれているサンプル値
の数と同じ回数の加算及び乗算を行わなければならな
い。
【0018】他方で、この新しい方法においては、中間
及び低域周波数の音響的に重要な影響及び/又はその都
度選択されるフィルタのインパルス応答の減衰部分の音
響的に重要な影響は保存されたままである。
【0019】別の簡略化は、次のことから得られる。す
なわち、出力信号の次の時点のために、全く新しく和を
形成する代わりに、前に得られたオーディオ信号のサン
プル値の和から、要らなくなったサンプル値を差し引い
て、この要らなくなったサンプル値の代わりに新たに現
れたサンプル値を足すのである。
【0020】計算に利用されるインパルス応答(これを
以後は近似インパルス応答と呼ぶ)の量子化ステップ
は、最も考慮される周波数の周期の少なくとも半分の大
きさでなくてはならない。可聴範囲の中間周波数も考慮
しなければならないと仮定すれば、例えば「頭の中の局
部に音が集中する現象」及び他の音響的効果を回避する
ためには、1/3000秒より大きいか又は1/3000
秒に等しい時間的長さを持つを有する近似インパルス応
答を利用すれば十分である。これに反して、オーディオ
信号は15kHzにまで達する周波数領域を有している。
従って、近似インパルス応答の時間区間は、オーディオ
信号の時間区間より10倍長い。この関係と上記の説明
を考慮すると、従来技術に対して毎秒あたりに必要な乗
算及び加算の回数は、1/5に減少する。
【0021】近似インパルス応答の量子化ステップの持
続時間をさらに長く選択することができるならば、必要
な乗算及び加算の回数をより大幅に減少させることが実
現する。
【0022】
【実施例】添付した図面に基づいて本発明の実施例を説
明する。
【0023】図1には、フィルタの振幅特性が示されて
いる。このフィルタは100Hzあたりの領域で帯域阻止
特性を有している。周波数は対数目盛りでプロットされ
ており、阻止帯域はほぼ30Hzであることが見て取れ
る。このフィルタは、高周波側よりも低周波数の方向に
おいてより緩やかな振幅降下を有している。減衰はほぼ
20dBである。その他の部分では振幅曲線は平坦であ
る。
【0024】図1のこのフィルタに対して、計算によっ
てインパルス応答を求めると、減衰部分に図2に示され
るような時間的な曲線が得られる。インパルス応答のこ
の部分は、ほぼ40msの持続時間を有し、この場合ほぼ
10個の振幅値零通過点を識別できる。時間が経過して
行くにつれてインパルス応答の振幅は非常に小さくなる
ので、もはやオーディオ信号に著しい影響を及ぼさな
い。
【0025】図1に振幅特性が示されているフィルタに
よるオーディオ信号のフィルタリングは、オーディオ信
号をこのフィルタのインパルス応答に畳み込むことによ
って計算上行なわれる。この目的のために、標本化定理
を考慮しつつ、このオーディオ信号をデジタル化する。
すなわち、段階関数に変換する。同じ事は、インパルス
応答によって行われ、このインパルス応答に対するサン
プリング・レートがオーディオ信号のサンプリング・レ
ートと等しいように選択される。
【0026】デジタル化の結果、畳み込み積分は畳み込
み和になる。この畳み込み和は、次式で表される。
【0027】
【数1】
【0028】ここで、 O=時点tにおけるフィルタの出力信号の振幅、 h=インパルス応答のi番目のサンプル値、 t−i=時点t−iにおけるオーディオ信号のサンプ
ル値、 N=インパルス応答のサンプル値の総数、を意味する。
【0029】この式から容易にわかるように、各時点t
に対して、インパルス応答のサンプル値の総数に表され
ているインパルス応答の長さと同じ個数の積を連続して
計算しなくてはならない。得られた積は次に加算されな
ければならない。この演算はリアルタイムで実施されな
ければならないので、計算時間を減らすためには非常に
高性能なコンピュータが必要である。
【0030】計算コストを減らすためにウィンドウ法を
利用する場合、図2のインパルス応答は、図3に示され
ている、導出されたインパルス応答に変形される。実際
のインパルス応答のうち全部で0.5msの長さの区間だ
けが残っているが、その他の部分はゼロになる。このこ
とによって、なるほど非常に計算コストは低減される
が、図3のインパルス応答を有するフィルタの振幅特性
は、図4から見て取れるように、所望のフィルタの振幅
特性とはもはやどんな類似点も持っていない。この図4
は図3のインパルス応答を有するフィルタの振幅特性を
示している。100Hz付近の帯域阻止特性は完全に消滅
し、そのかわりに1kHzより小さい実質的に全ての周波
数に対して振幅のわずかな低下が発生している。
【0031】これに対してインパルス応答が本発明の方
法で導き出される場合、近似インパルス応答h´(t)
が発生する。またこの近似インパルス応答のうちの減衰
部分だけを図5に図示する。利用される方法に応じて、
この近似インパルス応答は測定技術によって現れるか又
は計算によってただ仮想的にのみ存在する。以下ではよ
り理解を深めるために、この近似インパルス応答が存在
するものと仮定して説明を進める。このインパルス応答
h´(t)を作り出すために、サンプリング間隔のほぼ
10倍の大きさの持続時間を有する量子化ステップが利
用される。
【0032】さらに簡略化するために、その他に図2の
インパルス応答h(t)の所定の閾値より下の振幅値を
ゼロに設定する。完全な近似インパルス応答h´(t)
を周波数領域へ変換することにより図6の振幅特性が得
られる。非常に低い周波数における振幅曲線は、なるほ
どもはや図1の理想的な曲線の場合のように平坦ではな
く、ほぼ50Hzにおいてわずかな隆起を示している。し
かし、100Hz付近の帯域阻止作用はほとんど図1と同
じくらいよく現れている。ほぼ110Hzより上の比較的
高い周波数においては、わずかな振動を無視すれば、振
幅曲線は比較的平坦である。この振動は非常にわずかな
ので、音の印象を実際に劣化させない。
【0033】近似インパルス応答h´(t)をはるかに
粗くパターン化すると、畳み込み和はきわめて簡略化さ
れる。この利点をよりよく理解するために、図7では、
図5の近似インパルス応答h´(t)の一区間をフィル
タリングされるオーディオ信号s(t)の一区間の上に
重ねて図示した。
【0034】この場合、振幅比は一定のスケールに従っ
て表示されてはいない。
【0035】近似インパルス応答h´(t)をステップ
状に変形した結果、この選択された実施例では、この近
似インパルス応答h´(t)の2つの移行部分の間の間
隔内にオーディオ信号s(t)の10個のサンプル値が
入っている。従って、例えばt=1とt=10との間の
範囲のオーディオ信号s(t)の値をt=1〜10のh
´(t)の値で畳み込み計算を行うためには、t=1と
t=10との間の範囲内で個々のサンプル値sを加算
し、次にこの加算をt=1とt=10との間のこの範囲
のインパルス応答のサンプル値のうちの1つと乗算すれ
ば十分である。引き続き加算される、全部で10個の個
々の積の代わりに、本発明の解決方法においては10個
の項を加算し、1回の乗算を行う。これは明らかな計算
時間低減を意味する。
【0036】不可避の計算コストをさらに低減すること
は、時点t=2に対して全部の和を新たに形成する必要
がない、ということから得られる。前にt=1からt=
10までの範囲に対して計算された結果からサンプル値
t=−1を差し引き、その代わりにサンプル値s
t=−11を加算すれば十分である。この得られた結果
を新たに近似インパルス応答h´(t)のt=1からt
=10までの範囲のサンプル値のうちの1つで新たに乗
算する。
【0037】図7の一部分に図示された近似インパルス
応答は、オーディオ信号と同じサンプリング・レートで
生成されたインパルス応答として解釈することもでき
る。しかし、このインパルス応答においては、高いレー
トでサンプリングされたインパルス応答の真の曲線に依
存せずに、複数の(ここに図示された例では10個の)
サンプリング間隔にわたってサンプル値が一定に保持さ
れている。もしくは、この近似インパルス応答は、その
サンプリング・レートが見たところ相応の値だけ遅いイ
ンパルス応答と解釈することができる。すなわち、この
インパルス応答のサンプル値は、オーディオ信号のサン
プリング間隔より大きい時間間隔を相互に有している。
【0038】有利には、この近似インパルス応答のステ
ップ形状への変形は、振幅特性及び場合によっては位相
特性(この位相特性は、便宜上上記の図には別個に示さ
れていない)も所望の経過に最適に適応するように選択
される。
【0039】さらに、インパルス応答を同じ長さで持続
するステップで近似するのではなく、近似インパルス応
答とオリジナルの又は理想のインパルス応答との間の誤
差ができるだけ小さくなる方向で、ステップの持続時間
をインパルス応答の経過の中で変化させることによっ
て、最適化を達成することができる。このような実施例
を例えば図8及び9に示した。図8には理論上の又は理
想的なインパルス応答が示されている。この理論上の又
は理想的なインパルス応答は、ほぼ2.5msで終わる、
比較的高周波のヘッドに続いて、はるかに低い周波数を
有する減衰部分を持つ。この場合有利には、ステップ状
に変形されたインパルス応答の近似は、このインパルス
応答の「テール」の部分のステップ幅が(隆起の部分は
除いて)極端に拡大されてほぼ3msの長さであるのに対
して、このインパルス応答のヘッドの領域、すなわち0
msと2.5msとの間の範囲においては小さいステップ幅
によって行われる。
【0040】結局、図9から同様に見て取れるように、
インパルス応答のヘッドの領域では、オーディオ信号の
サンプリング間隔と一致するステップの持続時間で処理
することができる。このことは、図9では、区間的に
は、0msとほぼ0.5msとの間の範囲、ならびにほぼ0.
75msと1.0msとの間の範囲、そしてさらに1.3msと
1.5msとの間の部分の(実質的にはステップがないと
いう意味で)平滑な曲線経過に示されている。
【0041】これまで詳細に記述してきたフィルタリン
グの方法は、図10に図示された回路によって実現され
る。この回路は、アナログ・デジタル変換器1を有す
る。このアナログ・デジタル変換器1にオーディオ信号
s(t)がアナログ信号として供給される。この入力信
号s(t)は、このアナログ・デジタル変換器1でデジ
タル化されたオーディオ信号に変換される。この際、標
本化定理を満たすために、サンプリング周波数はオーデ
ィオ信号s(t)に含まれる最大周波数の少なくとも2
倍の大きさである。このようにデジタル化されたオーデ
ィオ信号s(t)は、畳み込み電子装置2に供給され
る。この畳み込み電子装置2は実質的には計算ユニット
であり、この計算ユニットにはメモリ3が接続されてい
る。このメモリ3には、プログラムのほかに、所望のフ
ィルタの本発明による近似インパルス応答h´(t)の
サンプル値も格納されている。この計算ユニット2で
は、畳み込み積分の近似計算のための、これまで説明し
てきた和の形成及び乗算が実施される。こうして得られ
た信号は出力信号O(t)であり、しかもデジタル化さ
れた形式である。だれもこの出力信号をさらに処理する
必要がない限りは、この出力信号は、後置接続されたデ
ジタル・アナログ変換器4でフィルタ処理されたアナロ
グオーディオ信号に逆変換される。
【0042】図11は、FIRフィルタと本発明の畳み
込み計算を混合して利用しつつ処理する装置の構成を図
示している。遅延素子5は所定のサンプリング周波数に
よるデジタル化に相応し、比較的短い持続時間のステッ
プの場合には、各遅延素子5の後で、オーディオ信号s
(t)の供給された値が、インパルス応答の相応のサン
プル値hで乗算される。比較的長い期間にわたって長
く持続するステップによってインパルス応答が処理され
る領域では、信号は、相応の個数の遅延素子5にわたっ
て他の処理なしに引き続きクロック制御される。そし
て、加算器6で新たに到着したサンプル値が加算され、
他方でこの区間の最後のサンプル値が、段7において符
号反転された後で、メモリ8に保持された元の合計値か
ら差し引かれる。こうして得られた結果は、インパルス
応答のサンプル値h´で乗算される。ここで、h´
は、本発明により生成された値である。
【0043】またこの場合、FIRフィルタの必要とす
るタップの数が非常に少ないという点で、著しい簡略化
が達成される。
【0044】デジタル化されたオーディオ信号において
は、このデジタル化されたオーディオ信号を同様にデジ
タル化されたインパルス応答と畳み込み計算することに
よってフィルタリングが行われる。特別な手段をとらな
いならば、この畳み込みは、リアルタイムで実施しなく
てはならない大量の計算処理回数を必要とする。
【0045】この回数を低減するために、インパルス応
答を近似する。この近似されたインパルス応答では、当
該区間の範囲内の相互に隣接する間隔において、基礎と
なるインパルス応答の真の曲線とは関係なく、複数のサ
ンプリング間隔にわたってサンプル値は一定に保持され
る。各区間内で一定に保持されるサンプル値の大きさ
は、当該区間内に現れる基礎となるインパルス応答の任
意のサンプル値の大きさ、例えば当該区間内に現れるそ
の都度最初の、オリジナルインパルス応答のサンプル値
の大きさに相応する。
【図面の簡単な説明】
【図1】100Hzあたりの領域で減衰する帯域阻止フィ
ルタの振幅特性を示す線図である。
【図2】図1のフィルタのインパルス応答の減衰部分を
示す線図である。
【図3】図2のインパルス応答から導かれる、従来技術
に従ってウィンドウ法によって修正されたインパルス応
答を示す線図である。
【図4】図3のインパルス応答に所属する振幅特性を示
す線図である。
【図5】図2のインパルス応答に近似された本発明のイ
ンパルス応答を示す線図である。
【図6】図5のインパルス応答に所属する振幅特性を示
す線図である。
【図7】一定のスケールでではないが、大きく時間的に
引き延ばした、図5のインパルス応答の一部分とデジタ
ル化されたオーディオ信号の一部分とを一緒に示した線
図である。
【図8】別のインパルス応答の線図である。
【図9】図8のインパルス応答から導かれる本発明のイ
ンパルス応答の線図である。
【図10】フィルタ処理されたオーディオ信号を生成す
るための回路装置のブロック図である。
【図11】インパルス応答を比較的長い時間区間によっ
て近似した、畳み込み計算用プロセッサの構成の一部分
を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 アナログ・デジタル変換器 2 畳み込み電子装置 3 メモリ 4 デジタル・アナログ変換器 5 遅延素子 6 加算器 7 段 8 メモリ

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 オーディオ信号のフィルタリングのため
    の方法であって、 オーディオ信号をデジタル化された形式で処理し、 サンプリング間隔は、オーディオ信号中に予期され得る
    最大周波数の周期の半分の大きさか又は半分より小さい
    大きさであって、 所望のフィルタ作用に相応してデジタル化されたインパ
    ルス応答を用意し、 前記インパルス応答のサンプル値及びオーディオ信号の
    サンプル値から畳み込み和を形成するオーディオ信号の
    フィルタリングのための方法において、 前記インパルス応答よりも短い、前記インパルス応答の
    少なくとも一つの時間区間内に、前記インパルス応答の
    複数の隣接するサンプル値が、所属の間隔を決定する第
    1のステップと、 このように決定された間隔内において、このように決定
    された間隔に所属するインパルス応答のサンプル値を、
    このように決定された間隔内に現れるデジタル化された
    インパルス応答のサンプル値のうちの一つ又は複数のサ
    ンプル値の関数である値に値に等しいように設定する第
    2のステップと、 このように決定された間隔が互いにオーバーラップしな
    いという条件つきで、前記第1のステップと第2のステ
    ップとを複数回繰り返す第3のステップとを有し、 少なくとも一つの時間区間内における畳み込み和の計算
    のために、時間的に粗くされたインパルス応答を、畳み
    込みのために利用し、 その他の場合には、インパルス応答をもとのまま畳み込
    みのために利用するオーディオ信号のフィルタリングの
    ための方法。
  2. 【請求項2】 このように決定された間隔の時間的な持
    続は、サンプリング間隔の少なくとも3倍、有利には少
    なくとも10倍、きわめて有利には50倍の長さである
    ことを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 フィルタのインパルス応答が零通過点を
    有する場合、畳み込み和の計算のために利用される、イ
    ンパルス応答のサンプル値の零通過点が、前記フィルタ
    のインパルス応答の零通過点と一致することを特徴とす
    る請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 このように決定された間隔の幅は、イン
    パルス応答の長さの時間区間又はインパルス応答全体に
    わたって一定であることを特徴とする請求項1記載の方
    法。
  5. 【請求項5】 畳み込み和の計算において、フィルタの
    インパルス応答の振幅が所定の値よりも小さいインパル
    ス応答のサンプル値は、ゼロに設定されることを特徴と
    する請求項1記載の方法。
  6. 【請求項6】 オーディオ信号中に予期され得る最大周
    波数の周期の半分の大きさか又は半分より小さい大きさ
    のサンプリング間隔でデジタル化されたオーディオ信号
    のフィルタリングのために、 デジタル化されたオーディオ信号のサンプル値が供給さ
    れる入力側を有する計算装置を有し、 所定のインパルス応答のサンプル値に相応する値を格納
    するための記憶装置を有する、デジタル化されたオーデ
    ィオ信号のフィルタリングのための装置において、 前記インパルス応答よりも短い、前記インパルス応答の
    少なくとも一つの時間区間内において、前記インパルス
    応答の複数の隣接するサンプル値が、所属の間隔を決定
    する第1のステップを実施する手段と、 このように決定された間隔内において、このように決定
    された間隔に所属するインパルス応答のサンプル値が、
    このように決定された間隔内に現れるデジタル化された
    インパルス応答のサンプル値のうちの一つ又は複数のサ
    ンプル値の関数である値に値に等しいように設定される
    第2のステップを実施する手段と、 このように決定された間隔が互いにオーバーラップしな
    いという条件つきで、前記第1のステップと第2のステ
    ップとを複数回繰り返すための手段とを有し、 少なくとも一つの時間区間内における畳み込み和の計算
    のために、時間的に粗くされたインパルス応答が畳み込
    みのために利用され、 その他の場合には、インパルス応答が、もとのままで畳
    み込みのために利用されるオーディオ信号のフィルタリ
    ングのための装置。
  7. 【請求項7】 このように決定された間隔の時間的な持
    続は、サンプリング間隔の少なくとも3倍、有利には少
    なくとも10倍、きわめて有利には50倍の長さである
    ことを特徴とする請求項6記載の装置。
  8. 【請求項8】 フィルタのインパルス応答が零通過点を
    有する場合、インパルス応答のサンプル値の零通過点
    が、前記フィルタのインパルス応答の零通過点と一致す
    ることを特徴とする請求項6記載の装置。
  9. 【請求項9】 このように決定された間隔の幅は、イン
    パルス応答の長さの時間区間又はインパルス応答全体に
    わたって一定であることを特徴とする請求項6記載の装
    置。
  10. 【請求項10】 近似されたインパルス応答において、
    フィルタのインパルス応答の振幅が所定の値よりも小さ
    い領域は、ゼロに設定されることを特徴とする請求項6
    記載の装置。
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