JPH09205336A - 弾性表面波素子 - Google Patents

弾性表面波素子

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JPH09205336A
JPH09205336A JP14272696A JP14272696A JPH09205336A JP H09205336 A JPH09205336 A JP H09205336A JP 14272696 A JP14272696 A JP 14272696A JP 14272696 A JP14272696 A JP 14272696A JP H09205336 A JPH09205336 A JP H09205336A
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surface acoustic
acoustic wave
electrode
degrees
wave
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JP14272696A
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Taizo Kobayashi
泰三 小林
Kuniyuki Matsui
邦行 松井
Naoki Tanaka
直樹 田中
Hiroshi Okano
寛 岡野
Tatsuro Usuki
辰朗 臼杵
Kenichi Shibata
賢一 柴田
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Sanyo Electric Co Ltd
Original Assignee
Sanyo Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 タンタル酸リチウム或いはニオブ酸リチウム
製の基板上に、アルミニウムを主成分とする簾状電極が
形成された弾性表面波素子に於いて、従来よりも伝搬損
失を低減させることが出来る電極条件を明らかにする。 【解決手段】 簾状電極は、共通の端子に繋がった複数
本の電極指の指周期に対する膜厚の比率が、伝搬損失を
目標関数として最適化され、0.03乃至0.10の範囲
内に設定されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、縦波成分が横波成
分より優勢である弾性表面波、若しくは縦波成分が横波
成分より優勢である擬似弾性表面波、或いは縦波成分が
横波成分より優勢である表面辷り体積波の励振が可能な
基板を用いた弾性表面波素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車用電話機等の通信機器にお
いては、共振器フィルター、信号処理用遅延線等の回路
素子として、弾性表面波素子が広く応用されている。弾
性表面波素子は、例えば図5に示す様に、圧電性を有す
る基板(1)の表面に簾状の電極(2)(3)や、格子状の反
射器(図示省略)を形成し、電気信号と弾性表面波の相互
の変換を行なうものである。
【0003】ここで、弾性表面波は文字通り弾性体の表
面を伝搬する表面波であり、そのエネルギーは基板内部
には放射されない。この様な弾性表面波として、これま
でに複数の励振モードが発見されており、例えばレイリ
ー波、セザワ波、ラヴ波、圧電表面辷り波等が知られて
いる。レイリー波及びセザワ波においては、伝搬方向と
同じ方向に変位を持つ縦波と、基板深さ方向に変位を持
つ横波の2つの成分が共に優勢である。これに対し、ラ
ヴ波及び圧電表面辷り波においては、基板表面に平行且
つ伝搬方向に垂直な変位を持つ横波の成分が優勢であ
る。尚、通常、圧電基板中には、「遅い横波」、「速い
横波」、「縦波」の3種類の体積波(バルク波)が存在す
るが、弾性表面波は「遅い横波」よりも更に遅い位相速
度で伝搬する。
【0004】又、弾性体の深さ方向にエネルギーを放射
しながら表面を伝搬する弾性波が知られており、擬似弾
性表面波、若しくは、漏洩弾性表面波と呼ばれている。
当初に発見された擬似弾性表面波は、基板表面に平行且
つ伝搬方向に垂直な変位を持つ横波の成分が優勢であ
り、その位相速度は「遅い横波」と「速い横波」の中間
に位置している。
【0005】更に、近年、縦波の成分が優勢である擬似
弾性表面波が相継いで発見さている(特開平6-112763
号、第15回超音波エレクトロニクスの基礎と応用に関す
るシンポジウム講演予稿集、平成6年、185〜186頁参
照)。これらの縦波を主成分とする擬似弾性表面波の位
相速度は、「速い横波」と「縦波」の中間に位置してい
る。
【0006】一方、基板の表面近傍に沿って伝搬する体
積波が簾状電極によって励振されて、同じ基板上の別の
簾状電極にて検出される場合がある。この様な体積波を
表面辷り体積波と呼んでいる。表面辷り体積波は、通常
の体積波に対応して3種類存在すると考えられる。但
し、現在のところ、主に取り扱われているのは、基板表
面に平行且つ伝搬方向に垂直な変位を持つ横波の成分が
優勢である表面辷り体積波である。
【0007】ところで、弾性波の特性には、音速、伝搬
損失、電気機械結合係数などがあり、これらの特性は、
弾性表面波素子を応用した回路の設計パラメータに直接
に係わっている。簾状電極、若しくは格子状反射器の電
極指の周期Tは弾性波の波長と同等の値を持つため、周
波数が一定の場合は、音速が低いほど、波長も小さくな
り、電極の作製が困難になる。従って、音速は高いこと
が望ましい。又、弾性表面波共振器の共振先鋭度や弾性
表面波フィルターの挿入損失は、弾性表面波の伝搬損失
に直接に依存するため、伝搬損失は小さいことが望まし
い。
【0008】一方、電気機械結合係数は、入力される電
気信号のエネルギーが弾性表面波のエネルギーに変換さ
れる際の変換率を表わしている。簾状電極の電極指の本
数を十分に増加させれば、電気機械結合係数が小さくて
も、任意のエネルギーの弾性波を励振できるが、この場
合、簾状電極のもつ電気容量が大きくなる為、外部回路
とのインピーダンス整合が困難になり、インピーダンス
整合の為に、別に整合用回路が必要になる。又、簾状電
極の電極指の本数は、弾性表面波素子の作動周波数範囲
と略反比例することが知られており、電極指の本数を増
加させると、実現可能な特性が狭帯域に制限されること
になる。従って、電気機械結合係数は大きいことが望ま
しい。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従来より、縦波及び深
さ方向の変位を持つ横波の2つの成分が優勢な弾性波
(例えばレイリー波、セザワ波)や、表面に平行且つ進行
方向に垂直な変位を持つ横波の成分が優勢な弾性波(例
えば、圧電表面辷り波、ラヴ波、横波型擬似弾性表面
波、横波型表面辷り体積波)については、上記各特性を
改善する為の基板条件(例えば結晶軸と弾性表面波伝搬
方向の関係)や電極条件(例えば電極指周期や膜厚)が知
られている(1994年電子情報通信学会春季大会予稿集「A
-438」、「A-437」、「A-438」、Japanese Journal of
Applied Physics, vol.29(1990) Supplement 29-1,pp.1
19-121、Japanese Journal of Applied Physics, vol.3
0(1991)Supplement 30-1,pp.143-145等)。
【0010】ところが、縦波成分が横波成分より優勢で
ある弾性表面波(縦波型弾性表面波)、縦波成分が横波成
分より優勢である擬似弾性表面波(縦波型擬似弾性表面
波)、及び縦波成分が横波成分より優勢である表面辷り
体積波(縦波型表面辷り体積波)については、上記各特性
を改善するための電極条件は未だ明らかにされていな
い。特に縦波型擬似弾性表面波は、6000m/sを超
える音速と、2%を超える電気機械結合係数を有してお
り、これらの点で、弾性表面波素子としての実用化に有
利であるが、従来の縦波型擬似弾性表面波を用いた弾性
表面波素子に於いては、その伝搬損失が1波長当り0.
5dBと、非常に大きな値となっており、これが実用化
の障害となっていた。
【0011】本発明の目的は、縦波型弾性表面波、縦波
型擬似弾性表面波、又は縦波型表面辷り体積波の励振が
可能な基板を用いた弾性表面波素子において、伝搬損失
を低減させることが出来る電極条件を明らかにして、従
来よりも高性能の弾性表面波素子を提供することであ
る。
【0012】
【課題を解決する為の手段】本発明に係る弾性表面波素
子は、縦波成分が横波成分より優勢である弾性表面波、
縦波成分が横波成分より優勢である擬似弾性表面波、又
は縦波成分が横波成分より優勢である表面辷り体積波の
励振が可能な基板の表面に、導電性薄膜からなる簾状電
極を形成して構成される。ここで、簾状電極は、共通の
端子に繋がった複数本の電極指の指周期に対する膜厚の
比率が伝搬損失を目標関数として最適化されている。
【0013】例えば縦波型擬似弾性表面波は、そのエネ
ルギーの大部分を表面から数波長程度の深さの範囲に集
中させている。従って、該基板上に薄膜を形成すると、
弾性波の特性は薄膜の影響を受けることになる。特に、
簾状電極となる導電性薄膜は、基板よりも音速が低いの
で、基板深さ方向へのエネルギーの放射が抑制されて、
伝搬損失が低減される。このエネルギー放射を抑制する
効果は、導電性薄膜の厚さが大きくなるにつれて増大
し、一定値以上の厚さでは、基板内への放射がなくなっ
て、縦波型擬似弾性表面波は縦波型弾性表面波となる。
【0014】但し、導電性薄膜の膜厚が電極指周期との
関係で一定値を超えると、導電性薄膜の内部に新たな弾
性表面波が励振されて、高次モードが発生し、導電性薄
膜の内部にエネルギーが溜まって、伝搬損失は却って大
きくなる。従って、導電性薄膜の厚さには、電極指周期
との関係で、伝搬損失を目標関数とする最適値が存在す
ることになる。そこで、上記本発明の弾性表面波素子に
於いては、簾状電極の電極指周期に対する膜厚の比率を
最適化することによって、伝搬損失を最小値に抑えてい
るのである。
【0015】基板がタンタル酸リチウム製であって、簾
状電極がアルミニウムを主成分とする導電性材料、或い
はアルミニウムと同等の比重を有する導電性材料から形
成される具体的構成においては、簾状電極の電極指周期
に対する膜厚の比率が0.03乃至0.10の範囲内に設
定することにより、従来よりも伝搬損失を十分に低減さ
せることが可能であり、該比率を0.05乃至0.09の
範囲内、更に望ましくは0.08或いは実質的に0.08
とみなせる値に設定することにより、伝搬損失を最小値
に抑えることが出来る。
【0016】更に具体的には、縦波成分が横波成分より
優勢である弾性表面波、縦波成分が横波成分より優勢で
ある擬似弾性表面波、又は縦波成分が横波成分より優勢
である表面辷り体積波の伝搬方向が、オイラ角表示で
(40度乃至90度、40度乃至90度、0度乃至60
度)及びこれと等価な範囲内に設定されている。これに
よって、より高い音速と大きな電気機械結合係数が得ら
れることとなる。
【0017】基板がニオブ酸リチウム製であって、簾状
電極がアルミニウムを主成分とする導電性材料、或いは
アルミニウムと同等の比重を有する導電性材料から形成
される具体的構成においては、簾状電極の電極指周期に
対する膜厚の比率が0.03乃至0.10の範囲内に設定
することにより、従来よりも伝搬損失を十分に低減させ
ることが可能であり、該比率を0.07乃至0.09の範
囲内、更に望ましくは0.08或いは実質的に0.08と
みなせる値に設定することにより、伝搬損失を最小値に
抑えることが出来る。
【0018】更に具体的には、縦波成分が横波成分より
優勢である弾性表面波、縦波成分が横波成分より優勢で
ある擬似弾性表面波、又は縦波成分が横波成分より優勢
である表面辷り体積波の伝搬方向が、オイラ角表示で
(40度乃至90度、40度乃至90度、0度乃至70
度)及びこれと等価な範囲内に設定されている。これに
よって、より高い音速と大きな電気機械結合係数が得ら
れることとなる。
【0019】
【発明の効果】本発明に係る弾性表面波素子において
は、縦波型弾性表面波、縦波型擬似弾性表面波、又は縦
波型表面辷り体積波の励振が可能な基板の表面に、適切
な電極指周期及び膜厚を有する簾状電極を形成すること
によって、縦波型弾性表面波、縦波型擬似弾性表面波、
又は縦波型表面辷り体積波の伝搬損失を最小化すること
が出来る。
【0020】
【発明の実施の形態】第1実施例 本実施例の弾性表面波素子は、縦波型擬似弾性表面波の
励振が可能な基板の材質として、タンタル酸リチウムを
採用し、該基板上にアルミニウムからなる簾状電極を形
成したものである。該弾性表面波素子を対象として、そ
の伝搬損失を最小化するための電極条件を明らかにする
べく、図5に示す如くタンタル酸リチウム製の基板(1)
上にアルミニウムからなる入力用簾状電極(2)及び出力
用簾状電極(3)を形成した弾性表面波フィルターに於い
て、膜厚及び電極指周期Tが異なる多数のサンプルを作
製して、これらの挿入損失及び音速をネットワークアナ
ライザーによって測定した。
【0021】尚、基板(1)の厚さは0.35mm、各簾
状電極(2)(3)の電極指の対数は100、電極指交叉幅
Wは600μmである。又、縦波型擬似弾性表面波の伝
搬方向は、オイラ角表示で(40度乃至90度、40度
乃至90度、0度乃至60度)、望ましくは(80度乃至
90度、80度乃至90度、20度乃至40度)、更に
望ましくは(88度乃至90度、88度乃至90度、3
0度乃至32度)、最も望ましくは(90度、90度、3
1度)に設定されている。これらの角度範囲の優位性に
ついては既に報告されている(例えば第15回超音波エレ
クトロニクスの基礎と応用に関するシンポジウム講演予
稿集、平成6年、185〜186頁参照)。
【0022】図1は、横軸に簾状電極の電極指周期に対
する膜厚の比率、縦軸に挿入損失をとって、上記多数の
サンプルについての測定結果をグラフ化したものであ
る。このグラフから明らかなように、電極指周期に対す
る膜厚の比率が0から増大するにつれて挿入損失は20
dBから徐々に低下し、該比率が0.03のポイントを
境としてその低下傾向は急激に大きくなる。そして、該
比率が0.05を越えると、挿入損失が15dbBを下
回り、更に該比率が約0.08にて最小値の10dBと
なっている。又、該比率が0.08を超えて約0.10に
達するまでの範囲では、挿入損失は僅かに増大するが、
その値は12dB以下に抑えられている。
【0023】ところが、該比率が約0.11に達する
と、挿入損失値は35dBを超える値に急激に増大す
る。そして、該比率が0.11よりも大きくなるにつれ
て、挿入損失は徐々に低下するものの、その値は25d
Bを超える大きな値となっている。そこで、簾状電極の
電極指周期に対する膜厚の比率は、0.03乃至0.10
の範囲内、望ましくは0.05乃至0.09の範囲内、更
に望ましくは0.08或いは実質的に0.08とみなせる
値に設定するものとする。これによって、伝搬損失は従
来よりも低く、実用範囲にまで低減することになる。
【0024】尚、図1の如く挿入損失の変化曲線が途中
で急激に変化し、2つの曲線A及びBに分離しているの
は、電極指周期に対する膜厚の比率が約0.11を超え
ることによって、電極の内部に別異の弾性表面波が励振
されて、高次モードが発生しているからである。この高
次モードの発生は、図2の結果からも明らかである。
【0025】図2は、横軸に簾状電極の電極指周期に対
する膜厚の比率、縦軸に音速をとって、上記多数のサン
プルについての測定結果をグラフ化したものである。図
示の如く、電極指周期に対する膜厚の比率が約0.11
にて、音速の変化は不連続となり、明らかに2つの変化
曲線A′及びB′に分離している。この結果から、該比
率が約0.11にて高次モードが発生していると言える
のである。
【0026】上述の如く、本発明の弾性表面波素子にお
いては、特定の基板条件を有するタンタル酸リチウム基
板上に、特定の電極条件を有するアルミニウムの簾状電
極を形成することによって、縦波型擬似弾性表面波を励
振させ、高い音速と大きな電気機械結合係数を得ること
が出来ると共に、伝搬損失を従来よりも大幅に低減させ
ることが可能である。
【0027】第2実施例 本実施例の弾性表面波素子は、縦波型擬似弾性表面波の
励振が可能な基板の材質として、ニオブ酸リチウムを採
用し、該基板上にアルミニウムからなる簾状電極を形成
したものである。該弾性表面波素子を対象として、その
伝搬損失を最小化するための電極条件を明らかにするべ
く、第1実施例と同様に、ニオブ酸リチウム製の基板
(1)上にアルミニウムからなる入力用簾状電極(2)及び
出力用簾状電極(3)を形成した弾性表面波フィルターに
於いて、膜厚及び電極指周期Tが異なる多数のサンプル
を作製して、これらの挿入損失及び音速をネットワーク
アナライザーによって測定した。
【0028】尚、基板(1)の厚さは0.35mm、各簾
状電極(2)(3)の電極指の対数は100、電極指交叉幅
Wは600μmである。又、縦波型擬似弾性表面波の伝
搬方向は、オイラ角表示で(40度乃至90度、40度
乃至90度、0度乃至70度)、望ましくは(80度乃至
90度、80度乃至90度、20度乃至50度)、更に
望ましくは(88度乃至90度、88乃至90度、35
度乃至40度)、最も望ましくは(90度、90度、37
度)に設定されている。これらの角度範囲の優位性につ
いては既に報告されている(例えば第15回超音波エレク
トロニクスの基礎と応用に関するシンポジウム講演予稿
集、平成6年、185〜186頁参照)。
【0029】図3は、横軸に簾状電極の電極指周期に対
する膜厚の比率、縦軸に挿入損失をとって、上記多数の
サンプルについての測定結果をグラフ化したものであ
る。このグラフから明らかなように、電極指周期に対す
る膜厚の比率が0から増大するにつれて挿入損失は23
dBから徐々に低下し、該比率が0.03のポイントを
境としてその低下傾向は急激に大きくなる。そして、該
比率が0.07を越えると、挿入損失が15dbBを下
回り、更に該比率が約0.08にて最小値の11.5dB
となっている。又、該比率が0.08を超えて約0.10
に達するまでの範囲では、挿入損失は僅かに増大する
が、その値は12dB以下に抑えられている。
【0030】ところが、該比率が約0.11に達する
と、挿入損失値は27dBを超える値に急激に増大す
る。そして、該比率が0.11よりも大きくなるにつれ
て、挿入損失は徐々に低下するものの、その値は21d
Bを超える大きな値となっている。そこで、簾状電極の
電極指周期に対する膜厚の比率は、0.03乃至0.10
の範囲内、望ましくは0.07乃至0.09の範囲内、更
に望ましくは0.08或いは実質的に0.08とみなせる
値に設定するものとする。これによって、伝搬損失は従
来よりも低く、実用範囲にまで低減することになる。
【0031】尚、図3の如く挿入損失の変化曲線が途中
で急激に変化し、2つの曲線A及びBに分離しているの
は、第1実施例と同様、電極指周期に対する膜厚の比率
が約0.11を超えることによって、高次モードが発生
しているからである。この高次モードの発生は、図4の
結果からも明らかである。
【0032】図4は、横軸に簾状電極の電極指周期に対
する膜厚の比率、縦軸に音速をとって、上記多数のサン
プルについての測定結果をグラフ化したものである。図
示の如く、電極指周期に対する膜厚の比率が約0.11
にて、音速の変化は不連続となり、明らかに2つの変化
曲線A′及びB′に分離している。この結果から、該比
率が約0.11にて高次モードが発生していると言える
のである。
【0033】上述の如く、本実施例の弾性表面波素子に
おいては、特定の基板条件を有するニオブ酸リチウム基
板上に、特定の電極条件を有するアルミニウムの簾状電
極を形成することによって、縦波型擬似弾性表面波を励
振させ、高い音速と大きな電気機械結合係数を得ること
が出来ると共に、伝搬損失を従来よりも大幅に低減させ
ることが可能である。
【0034】尚、縦波型擬似弾性表面波の励振が可能な
基板としては、タンタル酸リチウム基板やニオブ酸リチ
ウム基板以外に、四硼酸リチウム基板の採用が可能であ
って、該基板上に形成すべき簾状電極についても、上記
同様に、電極指周期に対する膜厚の比率を最適化して、
伝搬損失の低減を図ることが可能である。
【0035】四硼酸リチウム製の基板上にアルミニウム
からなる薄膜を形成した弾性表面波素子に於いては、縦
波型擬似弾性表面波の伝搬方向を、オイラ角表示で(0
度乃至50度、15度乃至75度、40度乃至90度)
の範囲、望ましくは(0度乃至10度、40度乃至50
度、80度乃至90度)の範囲、更に望ましくは(0度乃
至2度、44度乃至46度、88度乃至90度)の範
囲、最も望ましくは(0度、45度、90度)に設定す
る。これによって、高い音速が得られると共に、大きな
電気機械結合係数が得られる。
【0036】上記実施の形態の説明は、本発明を説明す
るためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を
限定し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。
又、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許
請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能で
あることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】タンタル酸リチウム製の基板上にアルミニウム
の簾状電極を形成した弾性表面波素子に於いて、簾状電
極の電極指周期に対する膜厚の比率と挿入損失の関係を
表わすグラフである。
【図2】同上の弾性表面波素子に於いて、簾状電極の電
極指周期に対する膜厚の比率と音速の関係を表わすグラ
フである。
【図3】ニオブ酸リチウム製の基板上にアルミニウムの
簾状電極を形成した弾性表面波素子に於いて、簾状電極
の電極指周期に対する膜厚の比率と挿入損失の関係を表
わすグラフである。
【図4】同上の弾性表面波素子に於いて、簾状電極の電
極指周期に対する膜厚の比率と音速の関係を表わすグラ
フである。
【図5】弾性表面波フィルターの簾状電極を表わす平面
図である。
【符号の説明】
(1) 基板 (2) 簾状電極 (3) 簾状電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡野 寛 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三 洋電機株式会社内 (72)発明者 臼杵 辰朗 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三 洋電機株式会社内 (72)発明者 柴田 賢一 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三 洋電機株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 縦波成分が横波成分より優勢である弾性
    表面波、縦波成分が横波成分より優勢である擬似弾性表
    面波、又は縦波成分が横波成分より優勢である表面辷り
    体積波の励振が可能な基板の表面に、導電性薄膜からな
    る簾状電極を形成してなる弾性表面波素子において、簾
    状電極は、共通の端子に繋がった複数本の電極指の指周
    期に対する膜厚の比率が伝搬損失を目標関数として最適
    化されていることを特徴とする弾性表面波素子。
  2. 【請求項2】 薄膜はアルミニウムを主成分とする導電
    性材料、或いはアルミニウムと同等の比重を有する導電
    性材料から形成され、簾状電極の電極指周期に対する膜
    厚の比率は、0.03乃至0.10の範囲に設定されてい
    る請求項1に記載の弾性表面波素子。
  3. 【請求項3】 基板はタンタル酸リチウム製であって、
    薄膜はアルミニウムを主成分とする導電性材料、或いは
    アルミニウムと同等の比重を有する導電性材料から形成
    され、簾状電極の電極指周期に対する膜厚の比率は、
    0.03乃至0.10の範囲に設定されている請求項1に
    記載の弾性表面波素子。
  4. 【請求項4】 簾状電極の電極指周期に対する膜厚の比
    率は、0.05乃至0.09の範囲内に設定されている請
    求項3に記載の弾性表面波素子。
  5. 【請求項5】 簾状電極の電極指周期に対する膜厚の比
    率は、0.08、或いは実質的に0.08とみなせる値に
    設定されている請求項4に記載の弾性表面波素子。
  6. 【請求項6】 縦波成分が横波成分より優勢である弾性
    表面波、縦波成分が横波成分より優勢である擬似弾性表
    面波、又は縦波成分が横波成分より優勢である表面辷り
    体積波の伝搬方向が、オイラ角表示で(40度乃至90
    度、40度乃至90度、0度乃至60度)及びこれと等
    価な範囲内に設定されている請求項3乃至請求項5の何
    れかに記載の弾性表面波素子。
  7. 【請求項7】 基板はニオブ酸リチウム製であって、薄
    膜はアルミニウムを主成分とする導電性材料、或いはア
    ルミニウムと同等の比重を有する導電性材料から形成さ
    れ、簾状電極の電極指周期に対する膜厚の比率は、0.
    03乃至0.10の範囲に設定されている請求項1に記
    載の弾性表面波素子。
  8. 【請求項8】 簾状電極の電極指周期に対する膜厚の比
    率は、0.07乃至0.09の範囲内に設定されている請
    求項7に記載の弾性表面波素子。
  9. 【請求項9】 簾状電極の電極指周期に対する膜厚の比
    率は、0.08、或いは実質的に0.08とみなせる値に
    設定されている請求項8に記載の弾性表面波素子。
  10. 【請求項10】 縦波成分が横波成分より優勢である弾
    性表面波、縦波成分が横波成分より優勢である擬似弾性
    表面波、又は縦波成分が横波成分より優勢である表面辷
    り体積波の伝搬方向が、オイラ角表示で(40度乃至9
    0度、40度乃至90度、0度乃至70度)及びこれと
    等価な範囲内に設定されている請求項7乃至請求項9の
    何れかに記載の弾性表面波素子。
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