JPH0920464A - 繊維機械のディスクテンサー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、テンションの調整作業が容易であ
り、且つ、テンション変動に対する抑制効果が高く、更
に取り付け姿勢を選ばない繊維機械のディスクテンサー
を提供することを目的とする。 【解決手段】 本発明のディスクテンサーは、端の部分
が糸掛けが行いやすいように折れ曲がっているディスク
２、円柱形で開放端が機体フレーム１４側にある断面コ
の字形状のディスク３、円柱形で開放端がシリンダ５の
本体方向に向いていてディスク３の直径より若干小さい
断面コの字形状のガード部材４、シリンダロッド６、ダ
イヤフラム式シリンダ５、両端が糸掛けが行いやすい形
状になっているブラケット１より構成されていて、ディ
スク３及びガード部材４によりシリンダロッド６を覆う
ようにしてあり、シリンダロッド６をダイヤフラム式シ
リンダ５で駆動させることにより、ブラケット１に回動
自在に軸止されているディスク２をシリンダロッド６に
回動自在に軸止されているディスク３が圧接し、ディス
ク２及びディスク３の間を通る走行糸Ｙにテンションを
付与する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、走行糸に所定のテ
ンションを付与する繊維機械のディスクテンサーに関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、ディスクテンサーのテンション力
をウエイトで調整するものが知られている。このウエイ
ト式のディスクテンサーは、図５、図６に示すように、
図示されていない取り付け部により機体フレームに固定
されているディスクユニットに固定された逆Ｕ字形状の
パイプ１１、前記逆Ｕ字形状のパイプ１１に回動・遊動
自在に装着した一組のディスク１２と複数のウエイト１
３により構成されており、前記逆Ｕ字形状のパイプ１１
の頂点より片側をウエイト置場としている。その使用に
あたっては、糸の種類により前記ウエイト１３を前記ウ
エイト置場より前記逆Ｕ字形状のパイプ１１に沿って移
動させ、反対側にあるディスク１２上に必要量置く。ウ
エイト１３の重量により一組のディスク１２の間を通る
走行糸Ｙにテンションを付与する。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】高速巻取の際に、ウエ
イト式のディスクテンサーでは、スラブ、結び目や継ぎ
目等糸が特定部分だけ太くなっていた場合に、走行糸の
太い部分がディスクを通過すると、急にディスクの間隔
が広がることによりウエイトの飛び跳ねが生じ、直後に
通常の太さの走行糸がディスクを通過する時には、ディ
スクの間隔が広がったまま走行糸にテンションが付与さ
れない状態になる。又、高速解舒時のテンション変動で
も、ウエイトの飛び跳ね等がおき、上記と同様の問題が
発生する。つまりウエイト式では、テンション変動があ
った際に、瞬間的にテンションが付与されずに巻き取ら
れる可能性が高い。例えば、走行糸に綾振りを行うトラ
バース装置が、ドラムに切ってある往復螺旋溝を高速回
転させ、この往復螺旋溝で走行糸をトラバースさせるこ
とにより糸を巻取るドラムトラバース式合糸機の場合で
は、走行糸がたるみ、片方の糸がドラムの溝から外れて
二本の糸が一本に合糸されずに巻かれる別れ巻や、二本
共ドラムの溝より外れて本来巻かれるべき位置に巻かれ
ない糸渡り不良等が発生し、次工程での解舒時に糸切れ
等の悪影響を与える。

【０００４】又、ウエイト式のディスクテンサーは、一
錘毎にウエイトの調整を行わなければならず、糸の種類
や太さを変更した際に、先ず適切なウエイト量を試し巻
等で決め、次に全錘のウエイト量を揃える。このためウ
エイトの調整に非常に時間と労力を費やさねばならな
い。更に、ウエイト式のディスクテンサーは、重力を利
用してテンションを付与するという構造上、ディスクと
繊維機械本体の設置面が水平になっていなければなら
ず、取り付け位置においても制約が生じていた。

【０００５】本発明は、上記のような点に鑑みて、テン
ションの調整作業が容易であり、且つ、テンション変動
に対する抑制効果が高く、更に取り付け姿勢を選ばない
繊維機械のディスクテンサーを提供することを目的とす
る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の走行糸に所定のテンションを付与する繊維
機械のディスクテンサーにおいては、ダイヤフラム式シ
リンダを使用して走行糸のテンションの調整可能とし
た。

【０００７】又、露出するシリンダロッド部分を覆うガ
ード部材を設けることが好ましく、更には、前記ガード
部材を、前記シリンダロッドの先端に取り付けた可動部
材と、少なくとも前記シリンダのストロークの範囲内で
この可動部材に嵌合する固定部材とで構成するととも
に、前記ディスクテンサーを構成する一方のディスクを
前記可動部材で兼ねたものであることが好ましい。

【０００８】繊維機械本体へのディスクの固定用ブラケ
ットと糸掛時の糸ガイドとを兼ねていることが好まし
い。

【０００９】上記のように構成された繊維機械のディス
クテンサーにおいて、ダイヤフラム式シリンダが、糸径
の変化等にともなうディスクの振動に対してダンピング
するように働く。

【００１０】又、シリンダロッドの可動部分を覆うよう
に構成することにより、シリンダロッドの可動部に、風
綿や異物が混入することを防ぐ。

【００１１】

【実施の形態】本発明のディスクテンサーの第一の実施
の形態を図１及び図２に、第二の実施の形態を図３及び
図４に示す。

【００１２】本発明の第一の実施の形態のディスクテン
サーは、ディスク２、３、ガード部材４、シリンダロッ
ド６、シリンダロッド６を駆動するダイヤフラム式シリ
ンダ５、ブラケット１より構成されている。

【００１３】ディスク２は、麦わら帽子のような形をし
ており、鍔の端の部分が糸切れ時の糸掛けが行いやすい
ように帽子の頭が有る方にレの字形状に折れ曲がってい
る糸ガイド２ａとなっている。

【００１４】又、ディスク３は、円柱形で、開放端が機
体フレーム１４側にある断面コの字形状であり、高さが
シリンダロッド６のストロークよりも若干長い。

【００１５】又、ガード部材４は、円柱形で、開放端が
シリンダ５の本体方向に向いている断面がコの字形状で
あり、ディスク３の直径より若干小さい。

【００１６】ブラケット１は、走行糸Ｙの走行経路を得
るために切欠部１５を設けてあり、取り付け部１ｄにデ
ィスク２をビス７により回動自在に軸止して、前記取り
付け部１ｄの両端は、ディスク２同様に折れ曲がり、糸
切れ時の糸掛けが行いやすい形状になっており糸ガイド
１ａの働きをする。

【００１７】ダイヤフラム式シリンダ５は、機体フレー
ム１４にシリンダロッド６が突出するように固定され、
その突出したシリンダロッド６のフランジに開放端を上
向きにガード部材４を固定し、シリンダロッド６にディ
スク３の開放端をガード部材４の開放端と対向するよう
下向きに軸止する。前記ディスク３及びガード部材４に
よりシリンダロッド６を覆うようにすることにより、微
妙な制御の妨げになるシリンダロッド６への風綿及び異
物の混入を防ぐようになっており、前記ガード部材４
は、ディスク３の直径より若干大きくして、ガード部材
４によりディスク３を覆うようにしてもかまわない。

【００１８】又、前記ブラケット１の繊維機械本体への
取り付けは、取り付け部１ｅを図示されていないビスに
より、前記ディスク２と前記ディスク３とが圧接可能な
ように固定する。

【００１９】テンションの付与は、図示されない流体に
よりダイヤフラム式シリンダ５が駆動し、ディスク２の
方向にシリンダロッド６が移動し、それに伴いシリンダ
ロッド６に回動自在に軸止されているディスク３がディ
スク２を圧接する。走行糸Ｙが圧接されたディスク３と
ディスク２との圧接面を通ることによりテンションが付
与され、この圧接力の強弱により、テンション調整が行
われる。又、走行糸Ｙの移動に合わせてディスク２及び
ディスク３が回動することにより、ディスク２及びディ
スク３の磨滅を均一にし、ディスク２及びディスク３の
寿命を伸ばすとともに、偏磨耗が原因である糸の品質低
下を防ぐことが可能となる。

【００２０】糸切れ時の糸掛けは、糸ガイドの導入部の
役割を果たすブラケット１の端１ａに沿って走行糸Ｙを
送り、更に誘導部の役割を果たす１ｂに沿ってディスク
の方に滑らせていく。走行糸Ｙは、ディスク３の肩の部
分に沿って空間Ｓに到達し、更にディスク２の鍔の端に
設けている糸ガイド２ａにより、ディスク２、３の間に
導かれる。

【００２１】図３及び図４にて第二の実施の形態を示
す。これは、第一の実施の形態では、一つのブラケット
１に対してディスク２及びディスク３を二組取り付けて
あるが、第二の実施の形態では三組取り付けている点が
異なっている。中央にあるディスクの糸掛けが容易に行
えるように、矢尻のような形状をしている糸ガイド１ｃ
を設け、走行糸Ｙを糸ガイド１ｃに沿って滑らすように
すると、ディスク３の肩の部分に導かれ、ディスク３の
肩の部分に沿って空間Ｓに到達し、更にディスク２の鍔
の端に設けている糸ガイド２ａにより、ディスク２及び
ディスク３の間に導かれる。テンションを付与するディ
スクの数は、繊維機械本体の種類及び用途により一組で
も、三組以上でもかまわない。

【００２２】なお、本発明のディスクテンサーは、合糸
巻取機に限定されるものではなく、全ての繊維機械に適
応できる。

【００２３】

【発明の効果】ダイヤフラム式シリンダを使用して走行
糸のテンションを調整することにより、急激な糸の太さ
の変化や解舒テンションの変化にもダンピング効果を生
じさせ、ウエイトが飛び跳ねることにより生じる、ディ
スクがノーテンションになる現象を防ぎ、特に合糸機の
別れ巻や糸渡り不良等の巻取り不良を減らすことが可能
となる。

【００２４】又、稼働時のヒステリシスロスなく多錘に
わたっての集中コントロールが可能であり、糸の種類や
太さの違いによる微妙なテンション調整も確実に制御す
ることができる。しかもウエイト式のように予め複数の
ウエイトを準備しておく必要もない。

【００２５】更に、ウエイト式と異なり重力の影響を受
けないため、取り付けのための角度にとらわれずに設置
することが可能となる。このため、従来繊維機械本体の
設置面に対して水平に、しかも作業性の良いように、機
械の前方にせりだす形でディスクテンサーを設置するよ
うに設計していたのが、設置場所の制約なしに設計可能
となり、繊維機械本体の小型化が可能となる。

【００２６】又、シリンダロッドに回動自在に軸止され
ているディスクとガード部材によりシリンダロッドの可
動部分を覆うように構成することにより、微妙なテンシ
ョン調整を行う際の妨げとなる、風綿や異物等がシリン
ダロッドの可動部へ混入することを防ぎ、動作不良を起
り難くし、又清掃の手間を省く。

【００２７】更に、繊維機械本体へのディスクの固定用
ブラケットと糸掛時の糸ガイドとを兼ねていることによ
り、糸切れ時の糸掛けを容易にし、ブラケット全体とし
て部品点数を削減することが可能となる。又、一つのブ
ラケットに複数組のディスクを固定し繊維機械本体に取
り付けることが可能となり、メンテナンス性の向上及び
繊維機械本体の生産効率も高くなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第一の実施の形態であるディスクテン
サーの正面図である。

【図２】本発明の第一の実施の形態であるディスクテン
サーの側面図である。

【図３】本発明の第二の実施の形態であるディスクテン
サーの正面図である。

【図４】本発明の第二の実施の形態であるディスクテン
サーの側面図である。

【図５】従来の実施の形態であるウエイト式ディスクテ
ンサーの正面図である。

【図６】従来の実施の形態であるウエイト式ディスクテ
ンサーの側面図である。

【符号の説明】

１ 固定用ブラケット １ａ 糸ガイド（導入部） １ｂ 糸ガイド（誘導部） １ｃ 糸ガイド １ｄ 取り付け部 １ｅ 取り付け部 ２、３ ディスク ２ａ 糸ガイド ４ ガード部材 ５ ダイヤフラム式シリンダ ６ シリンダロッド ７ ビス Ｓ 空間

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ダイヤフラム式シリンダを使用して走行
   糸のテンションを調整可能としたことを特徴とする繊維
   機械のディスクテンサー。
2. 【請求項２】 前記ダイヤフラム式シリンダの露出する
   シリンダロッド部分を覆うガード部材を設けた請求項１
   記載の繊維機械のディスクテンサー。
3. 【請求項３】 前記ガード部材を、前記シリンダロッド
   の先端に取り付けた可動部材と、少なくとも前記シリン
   ダのストローク範囲内でこの可動部材に嵌合する固定部
   材とで構成するとともに、前記ディスクテンサーを構成
   する一方のディスクを前記可動部材で兼ねたものである
   請求項２記載の繊維機械のディスクテンサー。
4. 【請求項４】 繊維機械本体へのディスクの固定用ブラ
   ケットと糸掛時の糸ガイドとを兼ねている請求項１、２
   又は３記載の繊維機械のディスクテンサー。