JPH09200952A - 交直変換器の制御装置 - Google Patents

交直変換器の制御装置

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JPH09200952A
JPH09200952A JP8008418A JP841896A JPH09200952A JP H09200952 A JPH09200952 A JP H09200952A JP 8008418 A JP8008418 A JP 8008418A JP 841896 A JP841896 A JP 841896A JP H09200952 A JPH09200952 A JP H09200952A
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voltage
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JP8008418A
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Hirokazu Suzuki
宏和 鈴木
Kenichi Suzuki
健一 鈴木
Koji Sakamoto
幸治 坂本
Midori Otsuki
みどり 大槻
Hideo Takeda
秀雄 武田
Noriko Kawakami
紀子 川上
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Toshiba Corp
Tokyo Electric Power Co Holdings Inc
Original Assignee
Toshiba Corp
Tokyo Electric Power Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】複数の変換器で構成される直流送電システム
で、設定値どおりの有効電力及び直流電圧を保って運転
し、変換器が事故により停止したりしても健全な変換器
の有効電力及び直流電圧の変動を最小限に抑えて運転を
行うこと。 【解決手段】交直変換器3が直流回路で複数台接続され
る直流送電システムの交直変換器の制御装置であり、変
換器3が融通する有効電力の設定値と検出値との差又は
有効電力検出値が予め設定した範囲を逸脱した場合に
は、逸脱した大きさに比例した値を加算することにより
直流電圧設定値を補正し、この補正した直流電圧設定値
と直流電圧検出値とが等くなるように制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電力系統におい
て、非同期連系システム、周波数変換システムを含む直
流送電システムに適用される、交直変換器の制御装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】図65に、電力系統に適用される、自励
式交直変換器を使用した直流送電システムの構成例を示
している。一方の交流母線1に対して変換器用変圧器2
を介して自励式変換器3を接続し、この自励式変換器3
の直流端子側にコンデンサ4を設置し、その先の直流回
路に自励式変換器3と同じ構成の自励式変換器3′を接
続している。そして、自励式変換器3′を変換器用変圧
器2′を介して他の交流母線1′につなげている。な
お、制御装置および検出装置については、変換器3及び
変換器3′の双方について同じ構成のものを使用するの
で、図65では一方の自励式変換器3についてのみ示し
ている。
【0003】この直流送電システムでは、自励式変換器
3又は自励式変換器3′のうち一方を順変換、他方を逆
変換運転することにより、交流母線間で有効電力の融通
を行う。
【0004】具体的には、自励式変換器3側では、直流
電圧検出器5により直流電圧Edを検出し、また有効電
力検出器6により有効電力Paを検出して、それぞれ直
流電圧設定値Edp、有効電力設定値Pref とつきあわせ
を行って、それぞれの差分を直流電圧/有効電力制御回
路7に入力する。さらに無効電力検出器8により無効電
力Qaを検出して無効電力設定値Qref とつきあわせを
行い、その差分を無効電力制御回路9に入力する。
【0005】直流電圧/有効電力制御回路7、無効電力
制御回路9では、それぞれの検出値と設定値が等しくな
るよう出力信号を制御する。直流電圧/有効電力制御回
路7の出力値と無効電力制御回路9の出力値は、それぞ
れ交流電流の有効電力成分の設定値Idref、および無効
電力成分の設定値Iqrefとして交流制御回路10に与え
られる。
【0006】一方、三相/二相変換回路11により変換
器の交流出力電流が検出され、その検出値が有効電力成
分Idと無効電力成分Iqに変換されて交流電流制御回
路10に与えられる。
【0007】交流電流制御回路10では、交流電流の有
効電力成分検出値Id、無効電力成分検出値Iqが、そ
れぞれ直流電圧/有効電力制御回路7の出力である交流
電流の有効電力成分の設定値Idref、無効電力制御回路
9の出力である交流電流の無効電力成分の設定値Iqref
と等しくなるようなPWM制御信号の位相角φと制御率
Cmを演算してPWM制御回路12に与える。
【0008】PWM制御回路12では、位相検出回路1
3から与えられる交流母線1の電圧位相θと、交流電流
制御回路10から与えられるPWM制御信号の位相角φ
及び制御率Cmとから、搬送波信号と三相正弦波のPW
M制御信号を発生させ、2つの信号のつきあわせによっ
て、オンパルス、オフパルスの発生タイミングを決め
る。このようにして決定したタイミング信号を受けたパ
ルス発生回路14では、自励式変換器3に対するオンパ
ルス、オフパルスを発生して変換器3に与える。変換器
3では、このパルスによって変換器を構成する各半導体
素子がオン/オフすることにより運転が行われる。
【0009】こうした制御回路を使用することにより、
直流送電システムでは、有効電力設定値Pref どおりの
電力を順変換器側から逆変換器側へ融通し、また、それ
ぞれの変換器で無効電力設定値Qref どおりの無効電力
を出力して運転が行われる。ここで、無効電力は各変換
器で独自の設定値を持ち独立に制御されるが、有効電力
と直流電圧は両変換器で協調して制御される。具体的に
は、片方の変換器で有効電力を制御し、もう片方の変換
器で直流電圧が一定になるように制御することにより、
直流電圧を一定に保ちながら順変換器側から逆変換器側
へ設定値どおりの有効電力を融通する。
【0010】有効電力と直流電圧の協調制御を実現する
ための直流電圧/有効電力制御回路7として図66に示
す制御方式が提案されている。同図に示す制御方式は、
順変換器1台と逆変換器1台から成る2端子の直流送電
システムに適用されるものである。詳細については文献
(電気学会論文誌B,112巻1号19〜26ページ)
で述べられている。
【0011】図66に示す制御方式を適用した直流電圧
/有効電圧制御回路7では、直流電圧の設定値Edpと検
出値Edのつきあわせを行ってその差分を直流電圧制御
回路15に与え、有効電力の設定値Pref と有効電力検
出値Paのつきあわせを行ってその差分を有効電力制御
回路16に与え、それぞれ検出値が設定値に等しくなる
よう出力を制御する。さらに、有効電力制御回路16の
出力値を直流電圧制御回路15の出力に対する下限リミ
ット値として使用する。
【0012】ここで、順変換器側では直流電圧設定値E
dpとして直流電圧定格値を与え、逆変換器側では順変換
器側との干渉を避けるため定格値より10%程度小さな
値を与える。これにより、逆変換器側では直流電圧制御
回路15の出力が下限リミット値にかかった状態とな
り、下限リミット値として与えられている有効電力制御
回路16の出力が最終的な出力Idrefとなる。順変換器
側では直流電圧制御回路15の出力がそのまま最終的な
出力Idrefとなる。その結果、順変換器側で直流電圧を
定格値どおりに制御され、逆変換器側で必要な融通電力
を制御することができる。
【0013】また、上記文献には、3台以上の変換器が
直流回路で接続され互いに有効電力の融通を行う、いわ
ゆる多端子直流送電システムに適用される、有効電力と
直流電圧の協調制御を実現するため制御方式が図67に
提案されている。
【0014】図67に示す制御方式を適用した直流電圧
/有効電圧制御回路7では、2種類の異なる値の直流電
圧設定値EdpH、EdpLを設定し、1段目の直流電圧制
御回路151では直流電圧検出値Edが設定値EdpHと
等しくなるよう制御を行い、2段目の直流電圧制御回路
152では直流電圧検出値Edが設定値EdpLと等しく
なるよう制御を行う。有効電力制御回路16では、有効
電力の設定値Pref と検出値Paが等しくなるよう制御
を行い、その出力値を1段目の直流電圧制御回路151
の出力に対する上限リミット値として使用する。さら
に、1段目の直流電圧制御回路151の出力は、スイッ
チ回路17の入力端子bへ与えられ、もう一方の入力端
子aには固定値Idminとして例えば−120%といった
値が与えられている。
【0015】スイッチ回路17では、入力端子a又は入
力端子bのいずれかの端子に与えられている値を選択し
て出力し、その出力値を2段目の直流電圧制御回路15
2の出力に対する下限リミット値として使用する。最終
的に、2段目の直流電圧制御回路152の出力が、交流
出力電流の有効電力成分の設定値Idrefとして出力さ
れ、交流電流制御回路10へ与えられる。
【0016】直流送電システムを構成する複数の変換器
のうち1台では、スイッチ回路17で入力端子aを選択
し、かつ直流電圧設定値EdpLとして定格電圧100%
を与える。その他の変換器ではスイッチ回路17で入力
端子bを選択し、かつ、直流電圧設定値として、例え
ば、1台の変換器ではEdpHとして定格電圧の110
%、EdpLとして定格電圧の90%、もう1台の変換器
ではEdpHとして定格電圧の120%、EdpLとして定
格電圧の80%といったように、EdpHは定格電圧より
大きな値、EdpLは定格電圧より小な値で、さらに各変
換器間で10%程度ずつ異なる値を設定する。
【0017】これにより、スイッチ回路17で入力端子
aを選択している変換器は、2段目の直流電圧制御回路
152の動作により定格電圧となるよう直流電圧制御が
行われ、その他の変換器では有効電力制御回路16の出
力が最終的な出力Idrefとなることにより、与えられた
有効電力設定値Pref どおりの電力融通を行うよう有効
電力制御が行われる。
【0018】直流電圧制御を行っている変換器が停止し
たり、出力リミッタにかかったりすると、残りの変換器
の中で、定格電圧に近い直流電圧設定値の与えられてい
る変換器が新たに直流電圧制御運転を行うことになる。
【0019】また、有効電力と直流電圧の協調制御を実
現するための制御方式として図68に示す方式が提案さ
れている。同図に示す制御方式は、多端子直流送電シス
テムに適用されたものであり、詳細は文献(電気学会電
力技術研究会PE−95−120)で述べられている。
【0020】図68に示す制御方式を適用した直流電圧
/有効電力制御回路7では、有効電力設定値Pref と有
効電力検出値Paの差分を、一定の増幅率rを持つ増幅
器19で増幅した後、直流電圧設定値Edpと直流電圧検
出値Edの差分ΔEdに加算し、補正した直流電圧の差
分ΔEd′を得る。直流電圧制御回路15では、補正し
た直流電圧の差分ΔEd′が零になるよう制御を行う。
直流電圧制御回路15の出力が交流出力電流の有効電力
成分の設定値Idrefとして出力され、交流電流制御回路
10へ与えられる。
【0021】この構成の制御装置を使用すると、図69
に示すような直流電圧と有効電力の関係が得られる。す
なわち、有効電力の検出値Paが設定値Pref と等しい
場合は直流電圧が設定値Edpどおりの値となるよう制御
され、有効電力の検出値と設定値に差が生じると、その
差に比例して直流電圧が変化し、図69に示すような右
下がりの特性となる。
【0022】直流送電システムを構成する各変換器でこ
の制御回路を用いると、直流送電システム全体の有効電
力設定値が平衡している場合、すなわち各変換器に与え
られた有効電力設定値の和が零の場合には、各変換器は
設定値どおりの有効電力を融通し、それによって直流電
圧は当初与えられた直流電圧設定値どおりの値に制御さ
れる。事故などにより、各変換器に与えられた有効電力
設定値に不平衡が生じる、すなわち各変換器の有効電力
設定値の和が零ではなくなると、不平衡分を各変換器が
増幅率rに応じて分担して補償する。これにより、有効
電力の設定値Pref と検出値Paに差が生じ、直流電圧
設定値Edpが補正されて、直流電圧は当初与えられたE
dpとは異なる値で制御される。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た図66及び図67に示す制御方式では、通常時は直流
電圧が定格値となるよう制御が行われるが、直流電圧制
御を行っていた変換器が停止したり、出力リミット値を
越えた場合には、定格値とは異なる値の直流電圧設定値
が与えられている変換器が直流電圧制御運転を行うこと
になる。そのため、直流電圧が定格値より10%程度低
下したり上昇したりした状態で運転が継続され、過電
圧、あるいは過電流による機器のストレスが増大した
り、制御特性が悪くなったりするという課題があった。
【0024】また、多端子直流送電システムの場合、何
箇所かの変換器が事故などで停止した場合でも残りの健
全な変換器の間で電力融通を行って運転を継続すること
ができる。その場合、図67に示す制御方式を適用した
制御装置を使用すると、停止した変換器の電力変化分を
直流電圧制御を行っている変換器だけで補償するため、
直流電圧制御を行っている変換器の有効電力が変動しや
すく、また、出力リミット値を越えやすくなるという課
題があった。
【0025】また、上述した図68に示す制御方式で
は、有効電力の不平衡分を各変換器が分担して補償する
ため、設定値どおりの有効電力運転値が得られにくく、
また、有効電力の設定値と検出値の差により直流電圧の
設定値が補正されるため、有効電力の不平衡分がそれほ
ど大きくなくても、与えられた値とは異なる設定値で直
流電圧が制御され、定格値どおりの直流電圧が得られに
くいという課題があった。
【0026】本発明は、以上のような実情に鑑みてなさ
れたもので、複数の変換器で構成される直流送信システ
ムが、設定値どおりの有効電力および直流電圧を保って
運転し、さらに、複数の変換器のうち何台かが交流系統
事故や故障により停止した場合又は有効電力の運転値が
変化した場合にも、健全な変換器の有効電力および直流
電圧の変動を最小限に抑えて運転を継続することのでき
る交直変換器の制御装置を提供することを目的とする。
【0027】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために以下のような手段を講じた。
【0028】請求項1に対応する本発明は、交流電力と
直流電力の変換を行う交直変換器が直流回路で複数台接
続される直流送電システムにおける交直変換器の制御装
置において、変換器が融通する有効電力の設定値と検出
値との差または有効電力検出値があらかじめ設定した範
囲を逸脱した場合には、逸脱した大きさに比例した値を
加算することにより直流電圧設定値を補正し、この補正
した直流電圧設定値と直流電圧検出値とが等しくなるよ
う制御する回路を備える。
【0029】本発明の交直変換器の制御装置によれば、
有効電力設定値と有効電力検出値の差の値、あるいは有
効電力検出値が、あらかじめ設定した範囲を逸脱した場
合には、逸脱した大きさに比例した値を加算することに
より直流電圧設定値が補正される。この補正した直流電
圧設定値と直流電圧検出値が等しくなるように有効電力
設定値が生成される。したがって、直流送電システムを
構成する交直変換器の制御にこの制御装置を用いると、
有効電力の運転値が所定の範囲内では、直流電圧を設定
値どおりに制御し、有効電力運転値が所定の範囲を逸脱
した場合には、有効電力運転値がさらに大きく逸脱する
のを防止し、かつ直流電圧の変動を小さく抑えるよう直
流電圧制御を行うことができる。
【0030】請求項2に対応する本発明は、交流電力と
直流電力の変換を行う交直変換器が直流回路で複数台接
続される直流送電システムにおける交直変換器の制御装
置において、直流電圧の設定値と検出値との差分を求め
て当該差分に比例定数を乗算した値が零になるように制
御し、変換器の融通する有効電力の設定値と検出値との
差又は有効電力検出値が予め設定した範囲から逸脱した
場合にはその逸脱した大きさと前記乗算値とが等しくな
るように制御する回路を備える。
【0031】本発明の交直変換器の制御装置によれば、
直流電圧の検出値と設定値の差に対し比例定数を乗算し
た値が演算され、当該乗算値が零になるように制御がな
される。一方、有効電力の設定値と検出値の差の値また
は有効電力検出値が予め設定した範囲を逸脱すればその
逸脱した大きさが演算され、逸脱した大きさの値と、直
流電圧検出値と設定値の差に比例定数を乗算した値とが
等しくなるよう制御される。したがって、直流送電シス
テムを構成する交直変換器の制御にこの制御装置を用い
れば、有効電力の運転値が一定の範囲内では、直流電圧
が設定値どおりになるよう制御がなされ、有効電力運転
値が一定の範囲を逸脱した場合には、有効電力の運転値
がさらに大きく逸脱するのを防止し、かつ直流電圧の変
動を小さく抑えるよう制御がなされることになる。
【0032】請求項3に対応する本発明は、交流電力と
直流電力の変換を行う交直変換器が直流回路で複数台接
続される直流送電システムにおける交直変換器の制御装
置において、直流電圧設定値と直流電圧検出値の差の値
が、予め設定した範囲を逸脱した場合に、その逸脱した
大きさに比例した値を加算することにより変換器が融通
する有効電力の設定値を補正し、その補正した有効電力
設定値と有効電力検出値が等しくなるよう制御するよう
にした。
【0033】本発明の交直変換器の制御装置によれば、
直流電圧設定値と直流電圧検出値の差が演算され、その
差が予め設定した範囲を逸脱した場合には、逸脱した大
きさに比例した値が加算されて有効電力設定値が補正さ
れる。この補正された有効電力設定値と有効電力検出値
が等しくなるよう制御される。したがって、直流送電シ
ステムを構成する交直変換器の制御にこの制御装置を用
いると、直流電圧の運転値が一定の範囲内では、有効電
力を設定値どおりに制御し、直流電圧の運転値が一定の
範囲を逸脱した場合には、直流電圧の運転値がさらに大
きく逸脱するのを防止し、かつ有効電力の変動を小さく
抑えるよう制御を行うことができる。
【0034】請求項4に対応する本発明は、交流電力と
直流電力の変換を行う交直変換器が直流回路で複数台接
続される直流送電システムにおける交直変換器の制御装
置において、変換器の融通する有効電力の設定値と検出
値との差分を求めて当該差分に比例定数を乗算した値が
零になるように制御し、直流電圧の設定値と検出値との
差が予め設定した範囲から逸脱した場合にはその逸脱し
た大きさと前記乗算値とが等しくなるように制御する回
路を備えた。
【0035】本発明の交直変換器の制御装置によれば、
有効電力の検出値と設定値の差に対し比例定数を乗算し
た値が求められ、直流電圧の設定値と検出値の差があら
かじめ設定した範囲を逸脱した場合には逸脱した大きさ
が演算される。そして、逸脱した大きさの値と有効電力
検出値と設定値の差に比例定数を乗算した値とが等しく
なるように制御される。したがって、直流送電システム
を構成する交直変換器の制御にこの制御装置を用いる
と、直流電圧の運転値が一定の範囲内では、有効電力を
設定値どおりになるよう制御を行い、直流電圧の運転値
が一定の範囲を逸脱した場合には、直流電圧の運転値が
さらに大きく逸脱するのを防止し、かつ有効電力の変動
を小さく抑えるよう制御を行うことができる。
【0036】請求項5に対応する本発明は、交流電力と
直流電力の変換を行う交直変換器が直流回路で複数台接
続される直流送電システムにおける交直変換器の制御装
置において、変換器の融通する有効電力の設定値と検出
値の差に比例した値を、2種類の異なる値の直流電圧設
定値にそれぞれ加算することにより、前記2種類の異な
る直流電圧設定値の両方をそれぞれ補正する補正手段
と、この補正手段で補正した2種類の直流電圧設定値の
うち大きい方の値と直流電圧検出値が等しくなるよう制
御を行う1段目の直流電圧制御回路と、前記補正手段で
補正した2種類の直流電圧設定値のうち小い方の値と直
流電圧検出値が等しくなるよう制御を行う2段目の直流
電圧制御回路と、変換器が融通する有効電力の設定値と
検出値が等しくなるよう制御を行う有効電力制御回路と
を備え、前記有効電力制御回路の出力を前記1段目の直
流電圧制御回路の出力値に対する上限値として使用し、
前記1段目の直流電圧制御回路の出力を前記2段目の直
流電圧制御回路の出力値に対する下限値として使用し、
前記2段目の直流電圧制御回路の出力を、直流電圧と有
効電力に対する最終的な制御出力値として使用するよう
にした。
【0037】本発明の交直変換器の制御装置によれば、
有効電力の設定値と検出値の差に比例した値が2種類の
異なる値の直流電圧設定値にそれぞれ加算されて2種類
の異なる直流電圧設定値の両方がそれぞれ補正される。
この補正した2種類の直流電圧設定値のうち大きい方の
値と直流電圧検出値が等しくなるよう1段目の直流電圧
制御回路において制御が行なわれ、補正した2種類の直
流電圧設定値のうち小さい方の値と直流電圧検出値が等
しくなるよう2段目の直流電圧制御回路において制御が
行なわれ、さらに、有効電力の設定値と検出値が等しく
なるよう有効電力制御回路において制御が行なわれる。
このとき、有効電力制御回路の出力値が1段目の直流電
圧制御回路の出力値に対する上限値として使用され、か
つ、1段目の直流電圧制御回路の出力が前記2段目の直
流電圧制御回路の出力に対する下限値として使用され、
さらに2段目の直流電圧制御回路の出力が直流電圧と有
効電力に対する最終的な制御出力として使用される。し
たがって、直流電圧の運転値が一定の範囲内では、有効
電力を設定値どおりになるよう制御が行なわれ、直流電
圧運転値が一定の範囲を逸脱した場合には、直流電圧の
運転値がさらに大きく逸脱するのを防止し、かつ有効電
力の変動を小さく抑えるよう制御を行うことができる。
【0038】請求項6に対応する本発明は、有効電力の
設定値と検出値の差に比例した値を加算することにより
直流電圧設定値を補正し、補正した直流電圧設定値が一
定の範囲を逸脱しないよう制限し、制限された前記直流
電圧設定値と直流電圧検出値が等しくなるよう制御する
ようにしている。したがって、直流送電システムを構成
する交直変換器の制御にこの制御装置を用いると、直流
電圧の運転値が一定の範囲を逸脱しないよう制限しなが
ら、有効電力検出値が設定値から変化すると変化の割合
に比例して直流電圧設定値を変化させて制御することに
より、有効電力の変動を小さく抑えつつ、直流電圧が当
初与えられた設定値から大きく逸脱しないように制御を
行うことができる。
【0039】請求項7に対応する発明は、3種類の異な
る値の直流電圧設定値を設け、前記3種類の直流電圧設
定値のうち中間の値の直流電圧設定値と直流電圧検出値
の差に比例した値を有効電力の設定値に加算することに
より有効電力設定値を補正し、補正した有効電力設定値
と有効電力検出値が等しくなるよう制御を行う有効電力
制御回路、前記3種類の直流電圧設定値のうち最も大き
な値の直流電圧設定値と直流電圧検出値が等しくなるよ
う制御を行う1段目の直流電圧制御回路、前記3種類の
直流電圧設定値のうち最も小さな値の直流電圧設定値と
直流電圧検出値が等しくなるよう制御を行う2段目の直
流電圧制御回路を設け、前記有効電力制御回路の出力
を、前記1段目の直流電圧制御回路の出力値に対する上
限値として使用し、かつ、前記1段目の直流電圧制御回
路の出力を前記2段目の直流電圧制御回路の出力値に対
する下限値として使用し、かつ、前記2段目の直流電圧
制御回路の出力を直流電圧と有効電力に対する最終的な
制御出力として使用するよう制御する回路を設ける。
【0040】本発明によれば、直流電圧の運転値が一定
の範囲を逸脱しないよう制限しながら、直流電圧検出値
が直流電圧設定値から変化すると変化の割合に比例して
有効電力設定値を変化させて制御することにより、直流
電圧の変動を小さく抑えつつ、有効電力の運転値が当初
与えられた設定値から大きく逸脱しないよう制御を行う
ことができる。
【0041】請求項8に対応する発明は、3種類の異な
る値の直流電圧設定値を設け、前記3種類の直流電圧設
定値のうち中間の値の設定値に対し、有効電力の設定値
と検出値の差に比例した値を加算することにより補正を
行う。補正した直流電圧設定値と直流電圧検出値が等し
くなるよう制御を行う1段目の直流電圧制御回路、前記
3種類の直流電圧設定値のうち最も大きな値の直流電圧
設定値と直流電圧検出値が等しくなるよう制御を行う2
段目の直流電圧制御回路、および前記3種類の直流電圧
設定値のうち最も小さな値の直流電圧設定値と直流電圧
検出値が等しくなるよう制御を行う3段目の直流電圧制
御回路を設け、前記1段目の直流電圧制御回路の出力を
前記2段目の直流電圧制御回路の出力値に対する上限値
として使用し、前記2段目の直流電圧制御回路の出力を
前記3段目の直流電圧制御回路の出力値に対する下限値
として使用し、前記3段目の直流電圧制御回路の出力を
直流電圧と有効電力に対する最終的な制御出力として使
用する。
【0042】本発明の交直変換器の制御装置によれば、
直流電圧の運転値が一定の範囲を逸脱しないよう制限し
ながら、有効電力の検出値が設定値から変化すると変化
の割合に比例して直流電圧設定値を変化させて制御する
ことにより、有効電力の変動を小さく抑えつつ、直流電
圧の運転値が当初与えられた設定値から大きく逸脱しな
いよう制御を行うことができる。
【0043】請求項9に対応する発明は、有効電力の設
定値と検出値の差の値、あるいは有効電力検出値が、予
め設定した範囲を逸脱した場合には、逸脱した大きさに
比例した値を加算することにより直流電圧設定値を補正
し、補正した直流電圧設定値が一定の範囲を逸脱しない
よう制限し、制限された直流電圧設定値と直流電圧検出
値が等しくなるよう制御する回路を設けるものとした。
【0044】本発明の交直変換器の制御装置によれば、
有効電力の運転値が設定された範囲内では、直流電圧が
設定値どおりになるよう制御を行い、有効電力の運転値
が設定された範囲を逸脱した場合には、直流電圧が一定
の範囲を越えないよう制限しながら直流電圧を調節し
て、有効電力の運転値が設定された範囲からさらに大き
く逸脱するのを防止するよう制御を行うことができる。
【0045】請求項10に対応する発明は、3種類の異
なる値の直流電圧設定値を設け、前記3種類の直流電圧
設定値のうち中間の値の直流電圧設定値と直流電圧検出
値の差があらかじめ設定した範囲を逸脱した場合には、
逸脱した大きさに比例した値を加算することにより有効
電力の設定値を補正する。補正した有効電力設定値と有
効電力検出値が等しくなるよう制御を行う有効電力制御
回路、前記3種類の直流電圧設定値のうち最も大さな値
の直流電圧設定値と直流電圧検出値が等しくなるよう制
御を行う1段目の直流電圧制御回路、前記3種類の直流
電圧設定値のうち最も小さな値の直流電圧設定値と直流
電圧検出値が等しくなるよう制御を行う2段目の直流電
圧制御回路を設け、前記有効電力制御回路の出力を前記
1段目の直流電圧制御回路の出力値に対する上限値とし
て使用し、前記1段目の直流電圧制御回路の出力を前記
2段目の直流電圧制御回路の出力値に対する下限値とし
て使用し、かつ、前記2段目の直流電圧制御回路の出力
を直流電圧と有効電力に対する最終的な制御出力として
使用するよう制御する回路を設ける。
【0046】本発明の交直変換器の制御装置によれば、
直流電圧の運転値が一定の範囲内では、有効電力検出値
が有効電力設定値どおりの値になるよう制御を行い、直
流電圧の運転値が一定の範囲を越えた場合には越えた割
合に比例して有効電力の値を設定値から変化させて制御
することにより直流電圧の変動を小さく抑えるよう制御
し、直流電圧の運転値がさらに大きく変動した場合に
は、直流電圧を一定に制御することにより、直流電圧が
それ以上大きく変動するのを防止することができる。
【0047】請求項11に対応する発明は、3種類の異
なる値の直流電圧設定値のうちで中間の値の直流電圧設
定値と直流電圧検出値の差に比例定数を乗算して得た乗
算値が零になるように制御すると共に、有効電力の設定
値と検出値の差の値又は有効電力検出値が設定した範囲
から逸脱した場合には逸脱した大きさの値と前記直流電
圧検出値と設定値の差に比例定数を乗算した値とが等し
くなるよう制御する有効電力制御回路、前記3種類の直
流電圧設定値のうち最も大きな値の直流電圧設定値と直
流電圧検出値が等しくなるよう制御を行う1段目の直流
電圧制御回路、前記3種類の直流電圧設定値のうち最も
小さな値の直流電圧設定値と直流電圧検出値が等しくな
るよう制御を行う2段目の直流電圧制御回路を備え、前
記有効電力制御回路の出力を、前記1段目の直流電圧制
御回路の出力値に対する上限値として使用し、前記1段
目の直流電圧制御回路の出力を前記2段目の直流電圧制
御回路の出力値に対する下限値として使用し、前記2段
目の直流電圧制御回路の出力を直流電圧と有効電力に対
する最終的な制御出力として使用するよう制御するよう
にした。
【0048】本発明の交直変換器の制御装置によれば、
有効電力の運転値が設定された範囲内では、直流電圧検
出値が3種類の直流電圧設定値のうち中間の値と等しく
なるよう一定に制御を行い、有効電力の運転値が設定さ
れた範囲を逸脱した場合には、直流電圧が一定の範囲を
越えないよう制限しながら直流電圧を調節して、有効電
力の運転値がさらに大きく設定された範囲から逸脱する
のを防止することができる。
【0049】請求項12に対応する発明は、交流電力と
直流電力の変換を行う交直変換器が直流回路で複数台接
続される直流送電システムにおける交直変換器の制御装
置において、変換器の融通する有効電力の設定値と検出
値の差の値又は有効電力検出値が予め設定した範囲から
逸脱した場合には逸脱した大きさに比例した値を加算す
ることにより、3種類の値の異なる直流電圧設定値のう
ちで中間の値の設定値を補正する補正手段と、この補正
手段によって補正した直流電圧設定値と直流電圧検出値
が等しくなるよう制御を行う1段目の直流電圧制御回路
と、前記3種類の直流電圧設定値のうちで最も大きな値
の直流電圧設定値と直流電圧検出値が等しくなるよう制
御を行う2段目の直流電圧制御回路と、前記3種類の直
流電圧設定値のうちで最も小さな値の直流電圧設定値と
直流電圧検出値が等しくなるよう制御を行う3段目の直
流電圧制御回路とを備え、前記1段目の直流電圧制御回
路の出力を前記2段目の直流電圧制御回路の出力値に対
する上限値として使用し、前記2段目の直流電圧制御回
路の出力を前記3段目の直流電圧制御回路の出力値に対
する下限値として使用し、前記3段目の直流電圧制御回
路の出力を直流電圧と有効電力に対する最終的な制御出
力値として使用するようにした。
【0050】本発明の交直変換器の制御装置によれば、
有効電力の運転値が設定された範囲内では、直流電圧検
出値が3種類の直流電圧設定のうち中間の値と等しくな
るよう制御を行い、有効電力の運転値が設定された範囲
を逸脱した場合には、直流電圧が一定の範囲を越えない
よう制限しながら直流電圧を調節して、有効電力の運転
値がさらに大きく設定された範囲から逸脱するのを防止
することができる。
【0051】請求項13に対応する発明は、有効電力の
設定値と検出値の差に、それぞれ個別の比例定数を乗算
した値を、直流電圧設定値、直流電圧設定値に対する上
限値、および直流電圧設定値に対する下限値にそれぞれ
加算して補正し、前記補正された直流電圧設定値が補正
された上限値および補正された下限値の範囲を逸脱しな
いよう制限し、制限された直流電圧設定値と直流電圧検
出値が等しくなるよう制御するようにした。
【0052】本発明の交直変換器の制御装置によれば、
有効電力検出値が設定値から変化した場合、変化の大き
さに応じて直流電圧の値を当初与えられた設定値から変
化させて制御し、この有効電力の変化による直流電圧の
変化の割合を、有効電力の検出値が設定値に近い場合と
設定値から大きく離れている場合で、異なる割合になる
よう制御を行うことができる。
【0053】請求項14に対応する発明は、交流電力と
直流電力の変換を行う交直変換器が直流回路で複数台接
続される直流送電システムにおける交直変換器の制御装
置において、3種類の値の異なる直流電圧設定値に、変
換器の融通する有効電力の設定値と検出値の差にそれぞ
れ個別の比例係数を乗算して得た乗算値をそれぞれ加算
することにより前記3種類の直流電圧設定値を補正する
補正手段と、この補正手段により前記3種類の直流電圧
設定値のうち中間の値の直流電圧設定値を補正した値と
直流電圧検出値が等しくなるよう制御を行う1段目の直
流電圧制御回路と、前記補正手段により前記3種類の直
流電圧設定値のうち最も大きな値の直流電圧設定値を補
正した値と直流電圧検出値が等しくなるよう制御を行う
2段目の直流電圧制御回路と、前記補正手段により前記
3種類の直流電圧設定値のうち最も小さな値の直流電圧
設定値を補正した値と直流電圧検出値が等しくなるよう
制御を行う3段目の直流電圧制御回路とを備え、前記1
段目の直流電圧制御回路の出力を前記2段目の直流電圧
制御回路の出力値に対する上限値として使用し、前記2
段目の直流電圧制御回路の出力を前記3段目の直流電圧
制御回路の出力値に対する下限値として使用し、前記3
段目の直流電圧制御回路の出力を直流電圧と有効電力に
対する最終的な制御出力値として使用するようにした。
【0054】本発明の交直変換器の制御装置によれば、
有効電力検出値が有効電力設定値から変化すると、変化
の大きさに応じて直流電圧の値を当初の設定値から変化
させて制御し、この有効電力の変化による直流電圧の変
化の割合を、直流電圧の運転値が設定値に近い場合と設
定値から大きく離れている場合で、異なる割合になるよ
う制御を行うことができる。
【0055】請求項15に対応する発明は、交流電力と
直流電力の変換を行う交直変換器が直流回路で複数台接
続される直流送電システムにおける交直変換器の制御装
置において、変換器が融通する有効電力の設定値と検出
値の差に比例した値と、前記有効電力の設定値と検出値
の差が予め設定した範囲から逸脱した大きさとを加算
し、この加算値をさらに直流電圧設定値に加算すること
により直流電圧設定値を補正し、この補正した直流電圧
設定値と直流電圧検出値が等しくなるように制御するよ
うにした。
【0056】本発明の交直変換器の制御装置によれば、
有効電力の検出値が設定値から変化すると、変化の大き
さに応じて直流電圧の値を当初の設定値から変化させて
制御し、この有効電力の変化による直流電圧の変化の割
合を、有効電力の検出値が設定値に近い場合と設定値か
ら大きく離れている場合で、異なる割合になるよう制御
を行うことができる。
【0057】請求項16に対応する発明は、交流電力と
直流電力の変換を行う交直変換器が直流回路で複数台接
続される直流送電システムにおける交直変換器の制御装
置において、直流電圧設定値と直流電圧検出値の差に比
例した値と、前記直流電圧設定値と直流電圧検出値の差
が予め設定した範囲から逸脱した大きさとを加算し、こ
の加算値をさらに有効電力設定値に加算することにより
有効電力の設定値を補正し、この補正した有効電力設定
値と有効電力検出値が等しくなるように制御するように
した。
【0058】本発明の交直変換器の制御装置によれば、
直流電圧の検出値が設定値から変化した場合、変化の大
きさに応じて有効電力の値を設定値から変化させて制御
し、この直流電圧の変化による有効電圧の変化の割合
を、直流電圧の検出値が設定値に近い場合と設定値から
大きく離れている場合で、異なる割合になるよう制御を
行うことができる。
【0059】請求項17に対応する発明は、交流電力と
直流電力の変換を行う交直変換器が直流回路で複数台接
続される直流送電システムにおける交直変換器の制御装
置において、有効電力の検出値と設定値の差に比例した
値と、3種類の値の異なる直流電圧設定値のなかで中間
の値の直流電圧設定値と直流電圧の検出値の差が予め設
定した範囲から逸脱した大きさとが等しくなるように制
御する1段目の直流電圧制御回路と、前記3種類の直流
電圧設定のなかで最も大きな値の直流電圧設定値と直流
電圧検出値が等しくなるように制御を行う2段目の直流
電圧制御回路と、前記3種類の直流電圧設定のなかで最
も小さな値の直流電圧設定値と直流電圧検出値が等しく
なるように制御を行う3段目の直流電圧制御回路とを備
え、前記1段目の直流電圧制御回路の出力を前記2段目
の直流電圧制御回路の出力値に対する上限値として使用
し、前記2段目の直流電圧制御回路の出力を前記3段目
の直流電圧制御回路の出力値に対する下限値として使用
し、前記3段目の直流電圧制御回路の出力を直流電圧と
有効電力に対する最終的な制御出力値として使用するよ
うにした。
【0060】本発明の交直変換器の制御装置によれば、
直流電圧の運転値が設定された範囲内では、有効電力が
設定値どおりの値となるよう制御を行い、直流電圧の運
転値が設定された範囲を逸脱した場合には、直流電圧の
値に応じて有効電力設定値を調節して、直流電圧の運転
値の変化を小さくするよう制御し、直流電圧の運転値が
さらに大きく変動した場合には、直流電圧を一定に制御
することにより、直流電圧がそれ以上大幅に変動するの
を防止するよう制御を行うことができる。
【0061】請求項18に対応する発明は、変換器が融
通する有効電力の設定値と検出値の差のべき乗に比例し
た値を加算することにより直流電圧設定値を補正し、補
正された直流電圧設定値と直流電圧検出値が等くなるよ
う制御する。
【0062】本発明の交直変換器の制御装置によれば、
有効電力検出値が有効電力設定値から変化した場合、変
化の大きさに応じて直流電圧の値を設定値から変化させ
て制御し、この有効電力の変化による直流電圧の変化の
割合を、有効電力の検出値が設定値に近い場合と設定値
から大きく離れている場合で、異なる割合になるよう制
御を行うことができる。
【0063】請求項19に対応する発明は、直流電圧の
設定値と検出値の差のべき乗に比例した値を加算するこ
とにより変換器の融通する有効電力設定値を補正し、補
正した有効電力設定値と有効電力検出値が等しくなるよ
う制御する。
【0064】本発明の交直変換器の制御装置は、直流電
圧検出値が直流電圧設定値から変化した場合、変化の大
きさに応じて有効電力の値を設定値から変化させて制御
し、この直流電圧の変化による有効電力の変化の割合
を、直流電圧の検出値が設定値に近い場合と設定値から
大きく離れている場合で、異なる割合になるよう制御を
行うことができる。
【0065】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。
【0066】(第1の実施の形態)図1は、本発明の交
直変換器の制御装置を多端子直流送電システムに適用し
た第1の実施の形態を示している。同図には、交直変換
器3の制御装置だけを図示しているが、他の交直変換器
3′,3′′の制御装置も同様の構成を有している。こ
の実施の形態に係る多端子直流送電システムは、図65
に示す直流送電システムと同じシステム構成を有してい
る。したがって、図65に示すシステムと同一部分には
同一符号を使用して説明する。
【0067】同図に示す交直変換器の制御装置は、直流
電圧検出器5により直流電圧Edを検出し、有効電力検
出器6により有効電力Paを検出し、それら検出値を直
流電圧/有効電力制御回路70へ入力する。
【0068】直流電圧/有効電力制御回路70は、有効
電力の設定値Pref と検出値Paの差分を、不感帯回路
18を介して一定の増幅率rを持つ増幅器19に入力
し、増幅器19の出力を直流電圧設定値Edpに加算して
補正した直流電圧設定値Edp′を得る。この補正した直
流電圧設定値Edp′と直流電圧検出値Edの差分を、例
えば比例積分回路などで構成された直流電圧制御回路1
5に入力する。直流電圧制御回路15は、直流電圧の検
出値Edが補正した設定値Edp′に等しくなるよう出力
を制御する。この出力を交流電流の有効電力成分の設定
値Idrefとして使用する。
【0069】不感帯回路18は、入力値すなわち有効電
力の設定値Pref と検出値Paの差分が、設定された不
感範囲内であれば零を出力し、入力値が不感範囲を越え
た場合には、越えた大きさを出力する回路である。ま
た、直流電圧制御回路15には、変換器の定格容量など
から決まる上下限リミット値が設けられており、出力I
drefはこの範囲を越えないよう制限される。
【0070】無効電力検出器8により無効電力Qaを検
出して無効電力設定値Qref とつきあわせを行い、その
偏差を無効電力制御回路9に入力し、検出値と設定値Q
refが等しくなるよう出力信号を制御して無効電力成分
の設定値Iqrefとして交流制御回路10に与える。さら
に、三相/二相変換回路11により変換器の交流出力電
流を検出し、その検出値が有効電力成分Idと無効電力
成分Iqに変換して交流電流制御回路10に与える。
【0071】交流電流制御回路10で、有効電力成分検
出値Id、無効電力成分検出値Iqが、それぞれ有効電
力成分の設定値Idref、無効電力成分の設定値Iqrefと
等しくなるようなPWM制御信号の位相角φと制御率C
mを演算し、PWM制御回路12で、位相検出回路13
から与えられる交流母線1の電圧位相θと、交流電流制
御回路10から与えられるPWM制御信号の位相角φ及
び制御率Cmとから、搬送波信号と三相正弦波のPWM
制御信号を発生させ、2つの信号のつきあわせによっ
て、オンパルス、オフパルスの発生タイミングを決め
る。このようにして決定したタイミング信号を受けたパ
ルス発生回路14が、変換器3に対するオンパルス、オ
フパルスを発生して変換器3に与える。
【0072】以上のように構成された交直変換器の制御
装置の動作内容について詳しく説明する。
【0073】図1に示す構成の変換器3の制御装置で
は、有効電力設定値Pref と検出値Paの差が不感帯回
路18の不感範囲内の値であれば、不感帯回路18、増
幅器19の出力は零となり、最終的な直流電圧設定値E
dp′は補正する前の設定値Edpと等しい値となる。従っ
て、直流電圧が当初与えられた設定値Edpと等しくなる
よう、直流電圧制御回路15により制御が行われ、当該
変換器では直流電圧設定値Edpに基づいた直流電圧制御
が行われる。
【0074】これに対し有効電力設定値Pref と検出値
Paの差が大きくなって、不感帯回路18の不感範囲を
越えた場合、越えた大きさに比例した値が増幅器19の
出力となり直流電圧設定値Edpに加算されて最終的な直
流電圧設定値Edp′となる。そのため直流電圧は、有効
電力検出値の大きさに応じて当初与えられた直流電圧設
定値Edpとは異なる値となるよう制御される。
【0075】この有効電力と直流電圧の特性を、図2を
使って説明する。
【0076】図2は、交直変換器3(=変換器A)、交
直変換器3′(=変換器B)、交直変換器3′′(=変
換器C)の3台の変換器から成る多端子直流送電システ
ムの各変換器の有効電力と直流電圧の関係を示す特性図
である。
【0077】3台の変換器は、それぞれ図1に示す直流
電圧/有効電力制御回路70と同一の回路構成を有して
おり、直流電圧設定値Edpとして定格電圧100%が共
通に与えられているものとする。図2(a)における点
a、b、cおよび図2(b)における点a′、b′、
c′は各変換器の運転点である。
【0078】ここで、例えば不感帯回路18の不感範囲
ΔPref を、変換器Aでは±50%、変換器BとCでは
0%と設定すると、変換器Aは、有効電力運転値が与え
られた有効電力設定値Pref Aに対し±50%の範囲は
直流電圧一定で、その範囲を越えると、有効電力の増加
につれ直流電圧が下がる右下がり、有効電力の減少につ
れ直流電圧が大きくなる左上がりの特性となる。変換器
BとCでは、不感範囲がないので常に右下がりの特性と
なり、直流電圧が設定値どおりの値のときは有効電力も
設定値どおりの値となるよう運転され、直流電圧が低下
すると有効電力は設定値より増加し、直流電圧が増加す
ると有効電力は設定値より減少するよう動作する。
【0079】これにより、変換器Aの有効電力運転点
が、図2(a)の点aで示すように、不感範囲内、すな
わち、Pref A+ΔPref とPref A−ΔPref の間に
あれば、変換器Aが直流電圧一定運転を行うことにより
直流電圧が設定値Edpどおりの値に保たれ、変換器Bと
Cでは直流電圧が設定値どおりの値なので、有効電力も
設定値どおりの点b、cで運転される。このとき、各変
換器の有効電力運転値の和は零、すなわち平衡のとれた
状態となる。
【0080】これに対し、例えば図2(a)の運転状態
から、変換器Bで有効電力設定値Pref Bの極性が反転
して正の値になると、図2(b)に示すように各変換器
の有効電力設定値の和が正の値となって不平衡分が図2
(a)に比べ増大する。有効電力の平衡を保つため、変
換器Aの有効電力運転点が負の方向に移動し点a′とな
り、不感範囲の最小値Pref A−ΔPref よりも小さく
なる。これにより、変換器Aは直流電圧一定の運転から
左上がりの直線上の運転へ移行し、直流電圧が上昇す
る。直流電圧が上昇することにより、変換器B、変換器
Cの有効電力運転点は、それぞれ設定値よりも負の方向
へ移動し、変換器Aも含めて各変換器の有効電力の和が
零となる点b′、c′で平衡する。
【0081】以上の結果、変換器Bと変換器Cでは有効
電力の運転点が設定値とは一致しなくなるが、変換器A
の有効電力運転点は、変換器BとCが設定値どおりの値
で運転する場合に比べ、設定値に近い値となる。すなわ
ち、直流回路全体の有効電力設定値の不平衡分が小さい
場合には、変換器Aが有効電力の不平衡分を吸収しなが
ら直流電圧一定制御を行い、直流回路全体の有効電力設
定値の不平衡分が大きくなった場合には、各変換器で分
担して不平衡分を吸収することにより、変換器Aの有効
電力運転値が設定値から大きく逸脱するのを防止するよ
う動作し、またこれにより、変換器Aにおいて、直流電
圧制御回路15の出力が上下限リミッタにかかる可能性
が小さくなる。
【0082】図3に、本実施の形態の制御回路を適用し
た場合と、従来の制御回路を適用した場合の動作特性を
シミュレーションにより比較した結果を示す。
【0083】図3(a)は本実施の形態の制御回路、図
3(b)は図67に示す従来の制御回路を適用した場合
で、それぞれ3台の変換器の有効電力運転値と直流電圧
の偏差分すなわち設定値Edpに対する差を示している。
有効電力設定値Pref は、変換器Aが60%、変換器C
が−60%、変換器Bでは0%から−60%に変化させ
ている。本実施の形態を適用した場合、変換器Aの不感
範囲ΔPref が±50%に設定れており、変換器BとC
は不感範囲を設けていない。また、従来の制御回路適用
の場合、変換器Aの直流電圧設定値は100%、変換器
BとCのそれぞれ2種類の直流電圧設定値は、変換器B
はEdpL=90%、EdpH=110%、変換器CはEdp
L=80%、EdpH=120%である。また各変換器の
出力リミット値は両ケースとも±125%である。
【0084】初期状態では有効電力設定値の和が零、す
なわち平衡が取れており、回路損失分のみが不平衡分と
してあらわれるため、両方式とも運転点にほとんど差が
なく、変換器BとCは設定値どおりの有効電力を融通
し、変換器Aが回路損失分を吸収して設定値とはやや異
なる有効電力で運転している。直流電圧は設定値どおり
の値である。
【0085】この状態から変換器Bの有効電力設定値を
−60%に変化させると、有効電力不平衡分が大きくな
り、図3(b)の従来方式では変換器Aが125%の出
力リミッタ運転、変換器Bが直流電圧制御運転、変換器
Cが有効電力制御運転となる。このため、変換器Aでは
有効電力設定値と運転値の差が大きく、また変換器Bが
直流電圧制御を行うことにより直流電圧は定格値よりも
10%低下する。これに対し、図3(a)に示すよう
に、本実施の形態による制御を適用すると、変換器Aの
有効電力運転値は不感範囲を逸脱しているが出力リミッ
タにかかわらず、直流電圧の低下は0.2%と大幅に改
善されている。変換器BとCの有効電力設定値と運転値
の差は、従来方式とほとんど同じ程度である。
【0086】このように本実施の形態によれば、有効電
力の設定値Pref と検出値Paの差分を不感帯回路18
を介して増幅器19に入力し、増幅器19の出力を直流
電圧設定値Edpに加算して補正した直流電圧設定値Ed
p′を得、この直流電圧設定値Edp′と直流電圧検出値
Edの差分から有効電力成分の設定値Idrefを得るよう
にしたので、通常は直流電圧を設定値どおりに保ち、か
つ、各変換器で、設定値どおりの有効電力を融通するこ
とができる。また、事故による変換器の停止や有効電力
定値の変更により、直流送電システム全体の有効電力設
定値の不平衡分が大きくなった場合には、各変換器で分
担してその有効電力不平衡分を吸収することにより、特
定の変換器で有効電力の運転値が設定値から大きく逸脱
するのを防止することができる。さらに、特定の変換器
で有効電力の設定値と運転値の差が大きくなるのを防止
することにより、変換器がリミッタ運転となる可能性が
小さくなり、リミッタ運転に伴う直流電圧の大幅な変動
を防止することができる。
【0087】(第2の実施の形態)図4に、第2の実施
の形態に係る直流送電システムに備えられる交直変換器
の制御装置における直流電圧/有効電力制御回路の内部
構造を示している。
【0088】この実施の形態に係る直流送電システム
は、図1に示す直流送電システムと同じシステム構成を
有しているので、異なる部分である直流電圧/有効電力
制御回路について詳しく説明する。この実施の形態では
直流電圧設定値Edpと検出値Edの差分ΔEdに対して
増幅器19の出力を加えて補正する点において第1の実
施の形態と相違している。
【0089】すなわち、直流電圧/有効電力制御回路7
0で、直流電圧の設定値Edpと検出値Edの差分ΔEd
を演算し、その一方で有効電力の設定値Pref と検出値
Paの差分を演算する。設定値Pref と検出値Paの差
分を不感帯回路18を介して一定の増幅率rを持つ増幅
器19に与え、増幅器19の出力を直流電圧の差分ΔE
dに加算して補正した直流電圧の差分ΔEd′を得る。
この補正した直流電圧の差分ΔEd′を直流電圧制御回
路15に与える。直流電圧制御回路15で補正直流電圧
の差分ΔEd′が零となるよう制御を行う。直流電圧制
御回路15の出力が交流電流の有効電力成分設定値Idr
efとなる。不感帯回路18及び直流電圧制御回路15
は、第1の実施の形態と同様の設定がなされている。
【0090】以上のように構成された変換器の制御装置
では、有効電力設定値Pref と検出値Paの差が不感帯
回路18の不感範囲内の値であれば、不感帯回路18、
増幅器19の出力は零となり、最終的な直流電圧の差分
ΔEd′は補正する前の直流電圧の差分ΔEdと等しく
なる。従って、直流電圧が設定値Edpと等しくなるよ
う、直流電圧制御回路15により制御が行われる。
【0091】これに対し有効電力設定値Pref と検出値
Paの差が大きく、不感帯回路18の不感範囲を越えた
場合、越えた大きさに比例した値が増幅器19の出力と
なり直流電圧の差分ΔEdに加算されてΔEd′とな
り、直流電圧制御回路15ではこのΔEd′が零になる
よう制御を行う。そのため直流電圧は、有効電力検出値
の大きさに応じて当初与えられた直流電圧設定値Edpと
は異なる値となるよう制御される。
【0092】したがって、多端子直流送電システムを構
成している各交換器の制御装置に対して第1の実施の形
態と同様の設定を行うと、有効電力と直流電圧の特性が
図2を参照して説明した第1の実施の形態における有効
電力と直流電圧の特性と同様の関係になる。
【0093】(第3の実施の形態)第3の実施の形態
は、不感帯回路に有効電力検出値Paに対する不感帯範
囲を設定し、検出値Paを不感帯回路に入力するように
した例である。
【0094】第3の実施の形態に係る多端子直流送電シ
ステムは、図1に示す直流送電システムと同じシステム
構成を有しているので、異なる部分である直流電圧/有
効電力制御回路について詳しく説明する。
【0095】図5に第3の実施の形態に係る直流送電シ
ステムに備えられる交直変換器の制御装置における直流
電圧/有効電力制御回路の内部構造を示している。
【0096】この直流電圧/有効電力制御回路70は、
有効電力検出値Paを不感帯回路18を介して一定の増
幅率rを持つ増幅器19に与え、増幅器19の出力を直
流電圧設定値Edpに負の極性で加算して、補正した直流
電圧設定値Edp′を得る。この補正した直流電圧設定値
Edp′と直流電圧検出値Edの突き合わせを行って偏差
分を直流電圧制御回路15に入力する。直流電圧制御回
路15で直流電圧検出値Edが補正直流電圧設定値Ed
p′に等しくなるよう出力を制御する。直流電圧制御回
路15の出力を交流電流の有効電力成分の設定値Idref
として交流電流制御回路10へ与える。
【0097】不感帯回路18は、入力値すなわち有効電
力検出値Paが、設定された不感範囲内であれば零を出
力し、入力値が不感範囲を越えた場合には、越えた大き
さを出力するように設定されている。直流電圧制御回路
15は、変換器の定格容量などから決まる上下限リミッ
ト値が設けられており、出力Idrefはこの範囲を越えな
いよう制限される。
【0098】以上のように構成された交直変換器の制御
装置では、有効電力検出値Paが不感帯回路18の不感
範囲内の値であれば、不感帯回路18、増幅器19の出
力は零となり、直流電圧の最終的な設定値Edp′は補正
前の設定値Edpと等しい値になる。その結果、直流電圧
が当初与えられた設定値Edpどおりの値になるよう、直
流電圧制御回路15により制御が行われる。
【0099】これに対し有効電力検出値Paが不感帯回
路18の不感範囲を越えた場合、その越えた大きさに比
例した値が増幅器19の出力となり直流電圧設定値Edp
に負の符号で加算されて最終的な直流電圧設定値Edp′
となる。そのため直流電圧は、有効電力検出値Paの大
きさに応じて通常の直流電圧値Edpとは異なる値となる
よう制御される。
【0100】図6は、3台の変換器A、B、Cから成る
多端子直流送電システムの各変換器の有効電力と直流電
圧の関係を示す特性図である。
【0101】変換器Aは、図5に示す直流電圧/有効電
力制御回路70を備え、変換器BとCは、図1に示す第
1の実施の形態で不感範囲を零とした構成の直流電圧/
有効電力制御回路70を備えているものとする。また、
各変換器には直流電圧設定値Edpとして定格電圧100
%が共通に与えられている。図6における点a、b、c
および点a′、b′、c′は各変換器の運転点である。
またPmax 、Pmin は変換器Aの出力に対する上下限リ
ミット値である。ここで、変換器Aの不感帯回路18の
不感範囲をP1〜P2とすると、有効電力の運転点がP
1〜P2の範囲内にあるときは直流電圧一定で、その範
囲をはずれると、有効電力が増えるにつれ直流電圧が下
がる右下がり、有効電力が減るにつれ直流電圧が大きく
なるような左上がりの特性となる。変換器BとCでは不
感範囲がないので常に右下がりの特性となり、直流電圧
が設定値どおりの値に保たれていれば有効電力も設定値
どおりの値となるよう運転され、直流電圧が低下すると
有効電力は設定値より増加し、直流電圧が増加すると有
効電力は設定値より減少するよう動作する。変換器Aの
有効電力運転点Paは、変換器Bの運転点Pb、変換器
Cの運転点Pcに対して、Pa=−(Pb+Pc)とな
る。これにより直流送電システム全体の有効電力運転値
の和が零、すなわち平衡した状態となる。
【0102】こうして決まった変換器Aの有効電力運転
点が、図6の点aで示すように、不感範囲内、すなわち
P1〜P2の間にあれば、変換器Aが直流電圧一定運転
を行うことにより直流電圧が設定値Edpどおりの値に保
たれ、変換器BとCでは直流電圧が設定値どおりの値な
ので、有効電力も設定値Pref B、Pref Cどおりの点
b、cで運転される。
【0103】これに対し、例えば変換器BとCの有効電
力設定値が、両方とも正の大きな値PrefB′、PrefC′
であるような場合には、変換器Aの有効電力が負の大き
な値となり不感範囲の下限値P1より低下する。その場
合、図6の点a′のような運転点となり、変換器Aは直
流電圧一定の運転から左上がりの直線上の運転へ移行し
直流電圧が上昇する。直流電圧が上昇することにより、
変換器B、Cの有効電力運転点は、それぞれ設定値より
も負の方向へ移動し、変換器Aも含めて各変換器の有効
電力の和が零となる点b′、c′で平衡する。
【0104】以上の結果、変換器BとCでは有効電力の
運転点が設定値とは一致しなくなるが、変換器Aの有効
電力運転点は、変換器BとCが設定値どおりの値で運転
する場合に比べ、下限リミット値Pmin から離れた値と
なる。
【0105】すなわち、変換器Aの有効電力運転点が出
力の上下限リミット値から十分離れている場合には、変
換器Aが直流電圧一定制御を行うことにより直流電圧を
定格値どおりに維持し、かつ、変換器BとCでは設定値
どおりの有効電力を融通し、変換器Aの有効電力運転点
が上下限リミット値に近付いた場合には、その他の変換
器の有効電力運転点を調節することにより、変換器Aの
有効電力運転点が上下限リミット値をこえてリミット運
転となるのを防止するよう動作する。
【0106】このように本実施形態によれば、有効電力
検出値Paを不感帯回路18を介して一定の増幅率rを
持つ増幅器19に与え、増幅器19の出力を直流電圧設
定値Edpに負の符号で加算して補正した直流電圧設定値
Edp′を得、その直流電圧設定値Edp′と直流電圧検出
値Edとが等しくなるよう制御することとしたので、通
常は直流電圧を設定値どおりに保ちながら、直流電圧制
御を行う特定の変換器以外の変換器では、設定値どおり
の有効電力を融通することができ、かつ、事故による変
換器の停止や有効電力設定値の変更により、直流電圧制
御を行う変換器の有効電力運転点が、出力の上下限リミ
ット値に近付いた場合には、その他の変換器の有効電力
運転点を調節することにより、直流電圧制御を行う変換
器の有効電力運転点が上下限リミット値を越えてリミッ
タ運転となるのを防止し、リミッタ運転に伴う直流電圧
の大幅な変動を防止することができる。
【0107】(第4の実施の形態)第4の実施の形態
は、不感帯回路に有効電力検出値Paに対する不感帯範
囲を設定し、かつ設定値Edpと検出値Edの差分に増幅
器の出力で補正するようにした例である。
【0108】第4の実施の形態に係る多端子直流送電シ
ステムは、図1に示す直流送電システムと同じシステム
構成を有しているので、異なる部分である直流電圧/有
効電力制御回路について詳しく説明する。
【0109】図7に第4の実施の形態に係る直流送電シ
ステムに備えられる交直変換器の制御装置における直流
電圧/有効電力制御回路の内部構造を示している。
【0110】この直流電圧/有効電力制御回路70で
は、直流電圧設定値Edpと検出値Edの差分ΔEdを演
算する一方で、有効電力検出値Paを不感帯回路18を
介して一定の増幅率rを持つ増幅器19に与え、増幅器
19の出力を前記直流電圧の差分ΔEdに負の符号で加
算して補正した直流電圧の差分ΔEd′を得る。この補
正した直流電圧の差分ΔEd′を直流電圧制御回路15
に与え、直流電圧制御回路15で補正直流電圧の差分Δ
Ed′が零となるよう制御を行う。直流電圧制御回路1
5の出力が交流電流の有効電力成分設定値Idrefとな
る。不感帯回路18及び直流電圧制御回路15は、第3
の実施の形態と同様の設定がなされている。以上のよう
に構成された交直変換器の制御装置では、有効電力検出
値Paが不感帯回路18の不感範囲内の値であれば、不
感帯回路18および増幅器19の出力は零となり、最終
的な直流電圧の差分ΔEd′は補正する前の直流電圧の
差分ΔEdと等しい値となる。従って、直流電圧が設定
値Edpと等しくなるよう、直流電圧制御回路15により
制御が行われる。
【0111】これに対し、有効電力検出値Paが、不感
帯回路18の不感範囲を越えた場合、越えた大きさに比
例した値が増幅器19の出力となり直流電圧の差分ΔE
dに加算されてΔEd′となり、直流電圧制御回路15
では、この補正された直流電圧の差分ΔEd′が零にな
るよう制御を行う。そのため直流電圧は、有効電力検出
値の大きさに応じて当初与えられた直流電圧設定値Edp
とは異なる値となるよう制御される。
【0112】したがって、3台の変換器A、B、Cから
成る多端子直流送電システムにおいて、変換器Aは図7
に示す直流電圧/有効電力制御回路70を備え、変換器
BとCは図1に示す第1の実施の形態で不感範囲を零と
した構成の直流電圧/有効電力制御回路70を備え、第
3の実施の形態と同様の設定を行うことにより、図6に
示すような有効電力と直流電圧の特性を実現できる。
【0113】このように本実施の形態によれば、直流電
圧設定値Edpと検出値Edの差分ΔEdを演算し、有効
電力検出値Paを不感帯回路18を介して一定の増幅率
rを持つ増幅器19に与え、増幅器19の出力を直流電
圧の差分ΔEdに負の符号で加算して補正した直流電圧
の差分ΔEd′を得、この差分ΔEd′が零となるよう
制御を行すようにしたので、第3の実施形態と同様の作
用効果を得ることができる。
【0114】(第5の実施の形態)第5の実施の形態
は、不感帯回路における有効電力検出値Paに対する不
感帯範囲を、有効電力設定値を使用して設定するように
した例である。
【0115】第5の実施の形態に係る多端子直流送電シ
ステムは、図1に示す直流送電システムと同じシステム
構成を有しているので、異なる部分である直流電圧/有
効電力制御回路について詳しく説明する。
【0116】図8に第5の実施の形態に係る直流送電シ
ステムに備えられる交直変換器の制御装置における直流
電圧/有効電力制御回路の内部構造を示している。
【0117】この直流電圧/有効電力制御回路70で
は、有効電力の設定値Pref と不感範囲幅ΔPref を加
算器211と加算器212に与え、加算器211により
Pref+ΔPref を演算して出力P2を得、加算器21
2によりPref −ΔPref を演算して出力P1を得る。
このP1、P2を不感帯回路18に与えて、不感範囲の
下限値、上限値として使用する。
【0118】以上のように構成された交直変換器の制御
装置では、有効電力検出値Paが有効電力設定値Pref
に対して±ΔPref の範囲内の値であれば、不感帯回路
18、増幅器19の出力は零となり、最終的な直流電圧
設定値Edp′は補正する前の直流電圧設定値Edpと等し
い値となる。従って、直流電圧が設定値Edpと等しくな
るよう、直流電圧制御回路15により制御が行われる。
【0119】これに対し、有効電力検出値Paが設定値
Pref に対して±ΔPref の範囲を越えた場合、越えた
大きさに比例した値が増幅器19の出力となり直流電圧
設定値Edpに加算されてEdp′となり、直流電圧制御回
路15では、直流電圧検出値Edが補正した設定値Ed
p′と等しくなるよう制御を行う。そのため直流電圧
は、有効電力検出値の大きさに応じて当初与えられた直
流電圧設定値Edpとは異なる値となるよう制御される。
【0120】このように本実施の形態によれば、上記第
3の実施の形態と同様の効果を得ることができると共
に、有効電力の設定値Pref と不感範囲幅ΔPref とか
ら不感帯回路18の不感範囲を設定することができる。
【0121】(第6の実施の形態)第6の実施の形態
は、直流電圧設定値と検出値との差分と、有効電力設定
と検出値との差分を入力とする不感体回路の出力とが等
しくなるように制御する例である。
【0122】第6の実施の形態に係る多端子直流送電シ
ステムは、図1に示す直流送電システムと同じシステム
構成を有しているので、異なる部分である直流電圧/有
効電力制御回路について詳しく説明する。
【0123】図9に第6の実施の形態に係る直流送電シ
ステムに備えられる交直変換器の制御装置における直流
電圧/有効電力制御回路の内部構造を示している。
【0124】この直流電圧/有効電力制御回路70で
は、直流電圧検出値Edと直流電圧設定値Edpの差分を
演算すると共に、有効電力の設定値Pref と検出値Pa
の差分を演算する。直流電圧検出値Edと直流電圧設定
値Edpの差分を一定の増幅率Kを持つ増幅器20に入力
し、有効電力の設定値Pref と検出値Paの差分を不感
帯回路18に入力し、不感帯回路18の出力と増幅器2
0の出力の突き合わせを行って偏差分を有効電力制御回
路16に入力する。有効電力制御回路16で不感帯回路
18の出力と増幅器20の出力が等しくなるよう制御を
行う。その出力が交流電流の有効電力成分の設定値Idr
efとなる。
【0125】不感帯回路18は、有効電力設定値Pref
と有効電力検出値Paの差分が、設定された不感範囲内
の値であれば零を出力し、入力値が不感範囲を越えた場
合には越えた大きさを出力する。また、有効電力制御回
路16は、変換器の定格容量などから決まる上下限リミ
ット値が設けられており、出力Idrefはこの範囲を越え
ないよう制限される。
【0126】以上のように構成された交直変換器の制御
装置では、有効電力設定値Pref と検出値Paの差が不
感帯回路18の不感範囲内の値であれば不感帯回路18
の出力は零となる。従って、直流電圧検出値Edと設定
値Edpが等しくなるよう有効電力制御回路16により制
御される。
【0127】これに対し、有効電力設定値Pref と検出
値Paの差が大きく、不感帯回路18の不感範囲を越え
た場合、越えた大きさと、増幅器20の出力が等しくな
るよう有効電力制御回路16により有効電力が制御され
る。そのため直流電圧は、有効電力検出値の大きさに応
じて通常の直流電圧値Edpとは異なる値となるよう制御
される。
【0128】したがって、3台の変換器A、B、Cから
成る多端子直流送電システムにおいて、変換器Aは図9
に示す直流電圧/有効電力制御回路70を備え、変換器
BとCは図1に示す第1の実施の形態で不感範囲を零と
した構成の直流電圧/有効電力制御回路70を備え、第
1の実施の形態と同様の設定を行うことにより、図2に
示すような有効電力と直流電圧の特性を実現できる。
【0129】このような実施の形態によれば、直流電圧
検出値Edと直流電圧設定値Edpの差分を増幅器20に
入力し、有効電力の設定値Pref と検出値Paの差分を
不感帯回路18に入力し、不感帯回路18の出力と増幅
器20の出力の突き合わせて両者が等しくなるように有
効電力制御回路16の出力を制御するようにしたので、
有効電力の設定値Pref と検出値Paの差分が不感範囲
内にあるときは直流電圧を設定値どおりに制御でき、直
流送電システム全体の有効電力設定値の不平衡分が大き
くなった場合には、各変換器で分担してその有効電力不
平衡分を吸収することにより、特定の変換器で有効電力
の運転値が設定値から大きく逸脱するのを防止すること
ができる。さらに、特定の変換器で有効電力の設定値と
運転値の差が大きくなるのを防止することにより、変換
器がリミッタ運転となる可能性が小さくなりリミッタ運
転に伴う直流電圧の大幅な変動を防止することができ
る。 (第7の実施の形態)第7の実施の形態は、直流電圧設
定値と検出値との差分と、有効電力検出値を入力とする
不感体回路の出力とが等しくなるように制御する例であ
る。
【0130】第7の実施の形態に係る多端子直流送電シ
ステムは、図1に示す直流送電システムと同じシステム
構成を有しているので、異なる部分である直流電圧/有
効電力制御回路について詳しく説明する。
【0131】図10に第7の実施の形態に係る直流送電
システムに備えられる交直変換器の制御装置における直
流電圧/有効電力制御回路の内部構造を示している。
【0132】この直流電圧/有効電力制御回路70で
は、直流電圧の設定値Edpと検出値Edの差分を一定の
増幅率Kを持つ増幅器20に入力する。一方、有効電力
検出値Paを不感帯回路18に入力し、この不感帯回路
18の出力と増幅器20の出力の突き合わせを行ってそ
の偏差分を有効電力制御回路16に入力する。有効電力
制御回路16で不感帯回路18の出力と増幅器20の出
力が等しくなるよう制御を行い、その出力を交流電流の
有効電力成分の設定値Idrefとする。不感帯回路18
は、入力値すなわち有効電力検出値Paが設定された不
感範囲内の値であれば零を出力し、入力値が不感範囲を
越えた場合には越えた大きさを出力する。有効電力制御
回路16は、変換器の電力容量定格などから決まる上下
限リミット値が設けられており、出力Idrefはこの範囲
を越えないよう制限される。
【0133】以上のように構成された交直変換器の制御
装置では、有効電力検出値Paが不感帯回路18の不感
範囲内の値であれば不感帯回路18の出力は零となるの
で、直流電圧設定値Edpと直流電圧検出値Edとが等し
くなるよう有効電力制御回路16により制御される。
【0134】これに対し有効電力検出値Paが不感帯回
路18の不感範囲を越えた場合、その越えた大きさと増
幅器20の出力とが等しくなるよう制御される。そのた
め、直流電圧は有効電力検出値の大きさに応じて通常の
直流電圧値Edpとは異なる値に制御されるが、有効電力
の運転点が設定値から大きく外れてリミッタに掛るのは
防止できる。
【0135】したがって、3台の変換器A、B、Cから
成る多端子直流送電システムにおいて、図10に示す直
流電圧/有効電力制御回路70を変換器A〜Cに備え、
各変換器に所定の不感帯を設定することにより、図6に
示すような有効電力と直流電圧の特性を実現できる。
【0136】このような実施の形態によれば、図10に
示す制御回路を備えた変換器により直流送電システムを
構成することにより、通常は直流電圧を設定値どおりに
保ちながら、直流電圧制御を行う特定の変換器以外の変
換器では、設定値どおりの有効電力を融通することがで
き、事故による変換器の停止や有効電力設定値の変更に
より、直流電圧制御を行う変換器の有効電力運転点が出
力の上下限リミット値に近付いた場合には、その他の変
換器の有効電力運転点を調節することにより、直流電圧
制御を行う変換器の有効電力運転値が上下限リミット値
をこえてリミッタ運転となるのを防止し、リミッタ運転
に伴う直流電圧の大幅な変動を防止することができる。
【0137】(第8の実施の形態)第8の実施の形態
は、第7の実施の形態において不感帯回路の不感範囲を
有効電力設置値に基づいて自動設定できるようにした例
である。
【0138】第8の実施の形態に係る多端子直流送電シ
ステムは、図1に示す直流送電システムと同じシステム
構成を有しているので、異なる部分である直流電圧/有
効電力制御回路について詳しく説明する。
【0139】図11に第8の実施の形態に係る直流送電
システムに備えられる交直変換器の制御装置における直
流電圧/有効電力制御回路の内部構造を示している。
【0140】この直流電圧/有効電力制御回路70で
は、有効電力の設定値Pref と不感範囲幅ΔPref を加
算器211および加算器212に与え、加算器211に
よりPref +ΔPref を演算して出力P2を得、加算器
212によりPref −ΔPrefを演算して出力P1を
得、このP1、P2を不感帯回路18に与えて、不感範
囲の下限値、上限値として使用する。その他の構成は上
記した図10に示す制御回路と同じである。
【0141】以上のように構成された交直変換器の制御
装置では、有効電力検出値Paが有効電力設定値Pref
に対して±ΔPref の範囲内の値であれば、不感帯回路
18の出力は零となる。従って、直流電圧設定値Edpと
直流電圧検出値Edが等しくなるよう有効電力制御回路
16により制御される。
【0142】これに対し有効電力検出値Paが設定値P
ref に対し±ΔPref の範囲を越えた場合、越えた大き
さと、増幅器20の出力が等しくなるよう制御される。
このとき直流電圧は有効電力検出値の大きさに応じて通
常の直流電圧値Edpとは異なる値となるよう制御される
が、特定の変換器で有効電力の設定値と運転値の差が大
きくなるのは防止される。
【0143】3台の変換器A、B、Cから成る多端子直
流送電システムにおいて、図11に示す直流電圧/有効
電力制御回路70を変換器A〜Cに備え、各変換器に所
定の不感帯を設定することにより、図6に示すような有
効電力と直流電圧の特性を実現できる。
【0144】このような実施の形態によれば、事故によ
る変換器の停止や有効電力設定値の変更により、直流送
電システム全体の有効電力設定値の不平衡分が大きくな
った場合には、各変換器で分担してその有効電力不平衡
分を吸収することにより、特定の変換器で有効電力の運
転値が設定値から大きく逸脱するのを防止することがで
きる。さらに、特定の変換器で有効電力の設定値と運転
値の差が大きくなるのを防止することにより、変換器が
リミッタ運転となる可能性が小さくなり、リミッタ運転
に伴う直流電圧の大幅な変動を防止することができる。
【0145】(第9の実施の形態)第9の実施の形態
は、直流電圧設定値と検出値との差分を所定範囲内では
零に保持し、上記差分が所定範囲を越えたら超過分に応
じて有効電力の設定値を補正するようにした例である。
【0146】第9の実施の形態に係る多端子直流送電シ
ステムは、図1に示す直流送電システムと同じシステム
構成を有しているので、異なる部分である直流電圧/有
効電力制御回路について詳しく説明する。
【0147】図12に第9の実施の形態に係る直流送電
システムに備えられる交直変換器の制御装置における直
流電圧/有効電力制御回路の内部構造を示している。
【0148】この直流電圧/有効電力制御回路70で
は、直流電圧設定値Edpと直流電圧検出値Edの差分を
不感帯回路22を介して一定の増幅率Kを持つ増幅器2
0に入力し、増幅器20の出力を有効電力設定値Pref
に加算して補正した有効電力設定値Pref ′を得る。補
正した有効電力設定値Pref ′と有効電力検出値Paの
突き合わせを行って偏差を有効電力制御回路16に入力
し、有効電力制御回路16で有効電力検出値Paが補正
した有効電力設定値Pref ′に等しくなるよう制御を行
う。その出力は、交流電流の有効電力成分の設定値Idr
efとして使用される。
【0149】不感帯回路22は、入力値すなわち直流電
圧設定値Edpと直流電圧検出値Edの差分が、あらかじ
め設定された不感範囲内の値であれば零を出力し、入力
値が不感範囲を越えた場合には、越えた大きさを出力す
る。有効電力制御回路16は変換器の定格容量などから
決まる上下限リミット値が設けられており、出力Idref
はこの範囲を越えないよう制限される。
【0150】以上のように構成された交直変換器の制御
装置では、直流電圧の設定値Edpと検出値Edの差が不
感帯回路22の不感範囲内の値であれば、不感帯回路2
2、増幅器20の出力は零となり、有効電力の設定値P
ref ′は補正する前の設定値Pref と等しくなる。従っ
て、有効電力は当初与えられた設定値Pref どおりの値
になるよう、有効電力制御回路16により制御が行われ
る。
【0151】これに対し、直流電圧設定値Edpと検出値
Edの差が大きくなり、不感帯回路22の不感範囲を越
えた場合は、不感範囲を越えた大きさに比例した値が増
幅器20の出力となり、有効電力設定値Pref に加算さ
れて最終的な有効電力設定値Pref ′となる。そのた
め、有効電力は、直流電圧の変動の大きさに応じて、当
初与えられた有効電力設定値Pref とは異なる値となる
よう制御される。
【0152】図13は、変換器A、B、Cという3台の
変換器のうち有効電力制御を行う2変換器に図12の制
御回路を適用した多端子直流送電システムの各変換器の
有効電力と直流電圧の関係を示す特性図である。ここで
は、変換器Aは直流電圧一定制御を行い、変換器BとC
は図12に示す制御回路を備えているものとする。
【0153】各変換器には直流電圧設定値Edpとして定
格電圧100%が共通に与えられている。図13(a)
における点a、b、cおよび図13(b)における点
a′、b′、c′は各変換器の運転点である。また、P
max 、Pmin は変換器Aの出力に対する上下限リミット
値であり、変換器BとCの不感帯回路22の不感範囲
を、それぞれ±ΔEdB、±ΔEdCとする。
【0154】以上のような設定を行うことにより、変換
器BとCでは、直流電圧の運転値が、与えられた設定値
Edpに対し±ΔEdB、±ΔEdCの範囲では有効電力を設
定値PrefB、PrefCどおり一定に制御し、±ΔEdB、±
ΔEdCの範囲を越えた場合は有効電力が増えるにつれ直
流電圧が低下する右下がり、有効電力が減るにつれ直流
電圧が上昇する左上がりの特性となる。ここで、不感帯
回路22の不感範囲、すなわち有効電力を一定に制御す
る直流電圧の運転範囲ΔEdB、ΔEdCとして±1〜3%
程度の値を選択できる。
【0155】図67に示す従来の制御回路と比較する
と、従来の制御回路では、各変換器間で直流電圧の設定
値に±10〜20%の差を持たせている。それに比べ、
本発明の実施の形態の制御回路の直流電圧の不感範囲の
値は小さな値である。従来の制御回路では、2箇所以上
の変換器が同時に直流電圧一定の制御の運転となって干
渉による不安定動作が発生しないように、各変換器間で
有効電力制御から直流電圧制御に切り替わる直流電圧の
レベルに10%程度ずつの差を設ける必要があるのに対
し、図12に示す実施の形態の制御回路の場合、同時に
2箇所以上の変換器が有効電力一定制御からはずれて右
下がりまたは左上がり特性上の運転となっても、特性に
傾きがあるため交点が得られ安定に運転できるので、有
効電力一定制御を行う直流電圧の範囲を小さくしたり、
また複数の変換器でこの範囲を同じ値に設定することも
できる。
【0156】以上の特性により、通常は、変換器BとC
は与えられた有効電力設定Pref B、Pref Cどおりの
出力を行うよう制御され、直流電圧は変換器Aにより設
定値100%に制御される。また変換器Aの有効電力運
転値PA は、変換器BとCの有効電力設定値Pref B、
Pref Cに対し、PA =−(Pref B+Pref C)の点
で平衡する。このPA の値が、図13(a)のように、
変換器Aの出力リミット値Pmin とPmax の範囲内であ
れば、直流電圧は100%に維持される。
【0157】これに対し、図13(b)のように、PA
の値が変換器Aの出力リミット値Pmin 、Pmax の範囲
からずれると、変換器Aは直流電圧一定運転から出力リ
ミッタ運転に移行し直流電圧が変化する。これにより変
換器Bあるいは変換器Cの直流電圧/有効電力制御回路
において、直流電圧設定値Edpと検出値Edの差が大き
くなり、不感帯回路22の不感範囲を越える。図13の
特性の場合、変換器Bに比べ変換器Cの不感範囲の方が
幅が小さく設定されているので、変換器Cにおいて有効
電力設定値Pref に対して負の補正が行われる。これに
より変換器Cの有効電力運転点は設定値PrefC′よりも
負方向の値となり、最終的に各変換器の有効電力の和が
零となる運転点、a′、b′、c′で平衡する。
【0158】すなわち、変換器Aの有効電力運転点が出
力の上下限リミット内にある場合には、変換器Aが直流
電圧一定制御を行うことにより直流電圧を設定値どおり
に維持し、かつ図12に示す制御回路を適用した残りの
変換器は与えられた有効電力設定値どおりの電力を融通
する。変換器Aの有効電力運転点が出力の上下限リミッ
ト値を越えた場合や、変換器Aが事故などにより停止し
た場合には、その他の変換器の有効電力設定値を調節す
ることにより、直流電圧の変化幅を最小限にしながら、
各変換器の有効電力の和が零となる点で平衡するよう動
作する。
【0159】図14に、本実施の形態による制御回路を
適用した場合と、従来の制御回路を適用した場合の動作
特性を、シミュレーションにより比較した結果を示す。
【0160】図14(a)は、図12に示す本実施の形
態の制御回路を適用した場合、図14(b)は図67に
示す従来の制御回路を適用した場合で、それぞれ3台の
変換器の有効電力運転値と直流電圧の偏差分すなわち設
定値Edpに対する差のシミュレーション波形を示してい
る。有効電力設定値Pref は、変換器Cが−60%で、
変換器Bでは0%から−60%に変化させている。本発
明適用ケースでは、変換器Aは直流電圧一定制御を行
い、変換器BとCはそれぞれ図12に示す実施の形態に
よる制御回路を使用し、不感帯回路22の不感範囲ΔE
dB、ΔEdC、両変換器とも直流電圧設定値に対し±3%
としている。従来の制御回路適用の場合は、変換器Aの
直流電圧設定値は100%、変換器BとCのそれぞれ2
種類の直流電圧設定値は、変換器BはEdpL=90%、
EdpH=110%、変換器CはEdpL=80%、EdpH
=120%である。また各変換器の出力リミット値は±
125%である。このシミュレーションでは、初期状態
では変換器Aの有効電力運転値は70%であり出力リミ
ット内なので、両方式とも運転点にほとんど差はなく、
変換器BとCは設定値どおりの有効電力を融通し、直流
電圧は変換器Aにより設定値どおりに保たれている。こ
の状態から変換器Bの有効電力設定値を−60%に変化
させると、変換器Bと変換器Cの有効電力設定値の和が
+120%となり、それに回路の損失分が加わるため変
換器Aは−125%の出力リミッタ運転となる。これに
より、従来方式では変換器Bが直流電圧制御運転を行う
ため直流電圧が10%低下するのに対し、本発明による
実施例を適用した場合には、直流電圧が3%低下した時
点で変換器Bと変換器Cがそれぞれ有効電力設定値を補
正して、直流システム全体の有効電力の和が零となるよ
うな値に調節されるため、直流電圧変動は3%程度と従
来方式に比べ小さくなっている。有効電力運転点は、従
来方式とほとんど同じである。
【0161】以上の結果から、図12に示す実施の形態
の制御回路を備えた変換器と直流電圧制御を行う変換器
を組み合わせて直流送電システムを構成することによ
り、通常は直流電圧を設定値どおりに保ちながら、直流
電圧制御を行う変換器以外の変換器では、設定値どおり
の有効電力を融通することができ、かつ、有効電力設定
値の変更などにより直流電圧制御を行う変換器の有効電
力運転点が出力の上下限リミット値を越えた場合や、事
故などにより直流電圧制御を行う変換器が停止した場合
には、その他の変換器の有効電力運転点を直流電圧の変
化に応じて調節することにより、有効電力を設定値に近
い値に保ちながら、直流電圧の大幅な変動を防止して運
転を継続することができる。
【0162】なお、以上の説明では3台の変換器A、
B、Cのうち2台の変換器に図12の制御回路を適用し
ているが、単一の変換器に適用しても同様の動作特性を
実現できる。
【0163】(第10の実施の形態)第10の実施の形
態は、有効電力の設定値に対する検出値Paの加算位置
を補正前の位置にした点において第9の実施形態と相違
する。
【0164】第10の実施の形態に係る多端子直流送電
システムは、図1に示す直流送電システムと同じシステ
ム構成を有しているので、異なる部分である直流電圧/
有効電力制御回路について詳しく説明する。
【0165】図15に第10の実施の形態に係る直流送
電システムに備えられる交直変換器の制御装置における
直流電圧/有効電力制御回路の内部構造を示している。
【0166】この直流電圧/有効電力制御回路70で
は、有効電力の設定値Pref と検出値Paの差分ΔPを
演算し、一方、直流電圧の設定値Edpと検出値Edの差
分を不感帯回路22を介して一定の増幅率Kを持つ増幅
器20に入力し、増幅器20の出力を有効電力の設定値
と検出値の差ΔPに加算して、補正した有効電力の差分
ΔP′を得る。この補正した有効電力の差分ΔP′を、
有効電力制御回路16に入力し、有効電力制御回路16
で有効電力の差分ΔP′が零になるよう制御を行い、そ
の出力を交流電流の有効電力成分の設定値Idrefとして
使用する。
【0167】不感帯回路22は、入力値があらかじめ設
定された不感範囲内であれば零を出力し、入力値が不感
範囲を越えた場合には、越えた大きさを出力する。有効
電力制御回路16は、変換器の定格容量などから決まる
上下限リミット値が設けられており、出力Idrefはこの
範囲を越えないよう制限される。
【0168】以上のように構成された交直変換器の制御
装置では、直流電圧の設定値Edpと検出値Edの差が不
感帯回路22の不感範囲内の値であれば、不感帯回路2
2、増幅器20の出力は零となり、有効電力設定値Pre
f と検出値Paの差分ΔPは補正されないので、有効電
力制御回路16に入力される有効電力の差分ΔP′はΔ
Pと等しくなる。従って、有効電力は当初与えられた設
定値Pref どおりの値になるよう、有効電力制御回路1
6により制御が行われる。
【0169】これに対し、直流電圧が変動して直流電圧
設定値Edpと検出値Edの差が大きくなり、不感帯回路
22の不感範囲を越えた場合、越えた大きさに比例した
値が増幅器20の出力となり、有効電力設定値Pref と
検出値Paの差分ΔPに加算され最終的な有効電力の差
分ΔP′となって有効電力制御回路16に与えられる。
そのため有効電力は、直流電圧の変動の大きさに応じ
て、当初与えられた有効電力設定値Pref とは異なる値
となるよう制御されるが、特定の変換器の有効電力運転
点が設定値から大きく逸脱することは防止される。
【0170】このような実施の形態によっても、第9の
実施の形態と同様に、有効電力設定値の変更などにより
直流電圧制御を行う変換器の有効電力運転点が出力の上
下限リミット値を越えた場合や、事故などにより直流電
圧制御を行う変換器が停止した場合には、その他の変換
器の有効電力運転点を直流電圧の変化に応じて調節する
ことにより、有効電力を設定値に近い値に保ちながら、
直流電圧の大幅な変動を防止して運転を継続することが
できる。
【0171】(第11の実施の形態)第11の実施の形
態は、有効電力設定と検出値との差分と、直流電圧設定
値と検出値との差分を入力とする不感帯回路の出力とが
等しくなるように制御する例である。
【0172】第11の実施の形態に係る多端子直流送電
システムは、図1に示す直流送電システムと同じシステ
ム構成を有しているので、異なる部分である直流電圧/
有効電力制御回路について詳しく説明する。
【0173】図16に第11の実施の形態に係る直流送
電システムに備えられる交直変換器の制御装置における
直流電圧/有効電力制御回路の内部構造を示している。
【0174】この直流電圧/有効電力制御回路70は、
有効電力検出値Paと有効電力設定値Pref の差分を一
定の増幅率rを持つ増幅器19に入力し、一方で直流電
圧設定値Edpと直流電圧検出値Edの差分を不感帯回路
22に入力する。不感帯回路22の出力と増幅器19の
出力の突き合わせを行って、その偏差分を例えば比例積
分回路などで構成された直流電圧制御回路15に入力す
る。直流電圧制御回路15で、不感帯回路22の出力と
増幅器19の出力が等しくなるよう制御を行う。直流電
圧制御回路15の出力は、交流電流の有効電力成分の設
定値Idrefとして使用される。
【0175】不感帯回路22は、入力値すなわち直流電
圧設定値Edpと直流電圧検出値Edの差分が、あらかじ
め設定された不感範囲内であれば零を出力し、入力値が
不感範囲を越えた場合には、越えた大きさを出力する。
有効電力制御回路15は、変換器の電力容量定格などか
ら決まる上下限リミット値が設けられており、出力Idr
efはこの範囲を越えないよう制限される。
【0176】以上のように構成された本実施の形態で
は、直流電圧の設定値Edpと検出値Edの差が不感帯回
路22の不感範囲内の値であれば、不感帯回路22の出
力は零となるので、有効電力設定値Pref と有効電力検
出値Paが等しくなるよう直流電圧制御回路15により
制御される。
【0177】これに対し、直流電圧の設定値Edpと検出
値Edの差分が、不感帯回路22の不感範囲を越えた場
合、不感範囲を越えた大きさと増幅器19の出力が等し
くなるよう制御される。そのため有効電力は、直流電圧
検出値の大きさに応じて、与えられた有効電力設定値P
ref とは異なる値となるよう制御される。この有効電力
と直流電圧の特性は、図13で説明した第9の実施の形
態と同様である。
【0178】したがって、図1に示すように構成された
直流送電システムにおいて、一か所の変換器で直流電圧
一定制御を行い、残りの2台の変換器の制御装置に図1
6に示す制御回路を適用すると、直流電圧一定制御を行
う変換器における有効電力運転点が出力の上下限リミッ
ト値内にある場合には、その変換器が直流電圧一定制御
を行うことにより直流電圧を定格値どおりに維持し、か
つ残りの変換器は与えられた有効電力設定値どおりの電
力融通を行う。
【0179】一方、直流電圧一定制御を行う変換器の有
効電力運転点が出力の上下限リミット値を越えた場合
や、事故などにより直流電圧一定制御を行う変換器が停
止した場合には、その他の変換器の有効電力設定値を調
節することにより、直流電圧の変化幅を最小限にしなが
ら、各変換器の有効電力の和が零となる点で平衡するよ
う動作する。
【0180】このような実施の形態によれば、有効電力
検出値Paと有効電力設定値Prefの差分を一定の増幅
率rを持つ増幅器19に入力し、一方で直流電圧設定値
Edpと直流電圧検出値Edの差分を不感帯回路22に入
力して、不感帯回路22の出力と増幅器19の出力の突
き合わせて有効電力の制御を行うようにしたので、通常
は直流電圧を設定値どおりに保ちながら、直流電圧制御
を行う変換器以外の変換器では、設定値どおりの有効電
力を融通することができ、かつ、有効電力設定値の変更
などにより直流電圧制御を行う変換器の有効電力運転点
が出力の上下限リミット値を越えた場合や、事故などに
より直流電圧制御を行う変換器が停止した場合には、そ
の他の変換器の有効電力運転点を直流電圧の変化に応じ
て調節することにより、有効電力を設定値に近い値に保
ちながら、直流電圧の大幅な変動を防止して運転を継続
することができる。
【0181】(第12の実施の形態)第12の実施の形
態は、本発明の交直変換器の制御装置を備えた直流送電
システムであり、図1に示す直流送電システムと同一の
システム構成を有する。
【0182】図17は、本実施形態において交直変換器
の制御装置に備えた直流電圧/有効電力制御回路70の
内部構成を示す制御ブロック図である。
【0183】同図に示す直流電圧/有効電力制御回路7
0では、有効電力の設定値Pdrefと検出値Paの差分
を、一定の増幅率rを持つ増幅器19を介して加算器2
31および232に与える。加算器231および232
では、それぞれ異なる値の直流電圧設定値EdpH、Edp
Lと増幅器19の出力を加算することにより、補正した
直流電圧設定値EdpH ′、EdpL ′を演算する。補正し
た直流電圧設定値EdpH′と直流電圧検出値Edとの突
き合わせを行って偏差分を1段目の直流電圧制御回路1
51に入力し、1段目の直流電圧制御回路151で直流
電圧検出値Edが補正直流電圧設定値EdpH ′と等しく
なるよう制御を行う。また、補正した直流電圧設定値E
dpL ′と直流電圧検出値Edとの突き合わせを行って偏
差分を2段目の直流電圧制御回路152に入力し、2段
目の直流電圧制御回路152で直流電圧検出値Edが補
正した直流電圧設定値EdpL ′と等しくなるよう制御を
行う。さらに、有効電力制御回路16で、有効電力の検
出値Paが設定値Pref と等しくなるよう制御を行う。
【0184】こうして得られた直流電圧制御回路15
1、152及び有効電力制御回路16の出力値に対し
て、有効電力制御回路16の出力が1段目の直流電圧制
御回路151の出力に対する上限リミット値として使用
され、1段目の直流電圧制御回路151の出力は2段目
の直流電圧制御回路152の出力に対する下限リミット
値として使用され、2段目の直流電圧制御回路152の
出力が、交流出力電流の有効電力成分の設定値Idrefと
して最終的に出力され、交流電流制御回路10へ与えら
れる。
【0185】なお、直流電圧制御回路151、152お
よび有効電力制御回路16は、例えば比例積分回路など
で構成された回路であり、上記で説明した上限リミット
値あるいは下限リミット値以外の出力リミット値として
は、変換器の定格容量などから決まる固定値が設定され
ている。
【0186】以上のように構成された交直変換器の制御
装置では、1段目の直流電圧制御回路151に対する直
流電圧設定値EdpHとして定格電圧より大きな値、2段
目の直流電圧制御回路152に対する直流電圧設定値E
dpLとして定格電圧より小さな値を与えると、直流電圧
が定格値に近い値、すなわちEdpLとEdpHの間の値で
運転されている場合は、1段目の直流電圧制御回路15
1の出力は上限リミッタにかかった状態となり、上限リ
ミット値として与えられている有効電力制御回路16の
出力値が1段目の直流電圧制御回路151の出力とな
る。
【0187】また、2段目の直流電圧制御回路152の
出力は下限リミッタにかかった状態となり、下限リミッ
ト値として与えられている1段目の直流電圧制御回路1
51の出力値が2段目の直流電圧制御回路152の出力
となる。従って、有効電力制御回路16の出力値が最終
的にIdrefとして出力されることになり、有効電力が設
定値Pref どおりになるよう制御される。これにより増
幅器19の出力は零となり、直流電圧設定値EdpH、E
dpLに対する補正は行われない。
【0188】これに対し直流電圧が上昇して設定値Edp
Hより大きくなると、1段目の直流電圧制御回路151
ではリミッタ運転から直流電圧制御運転に切り替わり、
直流電圧検出値Edが補正された設定値EdpH ′と等し
くなるよう制御が行われる。一方、2段目の直流電圧制
御回路152は下限リミッタにかかったままの状態なの
で、最終的に1段目の直流電圧制御回路151の出力が
Idrefとして出力される。有効電力は、直接制御されな
くなり、設定値Pref と検出値Paに差が生じ、この差
によって直流電圧設定値EdpHが補正されてEdpH ′が
得られ、1段目の直流電圧制御回路151での制御に使
用される。逆に、直流電圧が低下して設定値EdpLより
小さくなると、2段目の直流電圧制御回路152ではリ
ミッタ運転から直流電圧制御運転に切り替わり、直流電
圧検出値Edが補正された設定値EdpL ′と等しくなる
よう制御が行われ、この出力値が最終的にIdrefとして
出力される。有効電力は直接制御されなくなり、設定値
Pref と検出値Paに差が生じ、この差によって直流電
圧設定値EdpLが補正されてEdpL ′が得られ、2段目
の直流電圧制御回路152での制御に使用される。
【0189】直流送電システムを構成する複数の変換器
のうち1台では直流電圧を一定に制御し、残りの変換器
に図17に示す制御回路を適用した場合、図13に示す
のと同様の動作特性が得られる。
【0190】これにより、直流送電システムの中で、一
か所の変換器では直流電圧一定制御を行い、その他の変
換器に図17に示す制御回路を適用すると、直流電圧一
定制御を行う変換器の有効電力運転点が出力の上下限リ
ミット値内にある場合には、その変換器が直流電圧一定
制御を行うことにより直流電圧を定格値どおりに維持
し、かつ図17に示す制御回路を適用した残りの変換器
は与えられた有効電力設定値どおりの電力融通を行う。
直流電圧一定制御を行う変換器の有効電力運転点が出力
の上下限リミット値を越えた場合や事故などにより停止
した場合には、図17に示す制御回路を適用した残りの
変換器において、有効電力の設定値と検出値の差分によ
り直流電圧設定値を補正することにより、直流電圧の変
化幅を最小限にしながら、各変換器の有効電力の和が零
となる点で平衡するよう動作する。このような実施の形
態によれば、有効電力設定値と検出値の差で2種類の直
流電圧設定値を補正し、この補正値と直流電圧検出値と
が等しくなるように1段目及び2段目の直流電圧制御回
路151、152で制御し、1段目の直流電圧制御回路
151の上限リミッタに有効電力制御回路16の出力値
を与え、1段目の直流電圧制御回路151の出力を2段
目の直流電圧制御回路152の出力に対する下限リミッ
ト値として与え、2段目の直流電圧制御回路152の出
力を有効電力成分の設定値Idrefとして出力するように
したので、有効電力設定値の変更などにより直流電圧制
御を行う変換器の有効電力運転点が出力の上下限リミッ
ト値を越えた場合や、事故などにより直流電圧制御を行
う変換器が停止した場合には、直流電圧の運転点を、各
変換器の有効電力運転点に応じて調節することにより、
有効電力を設定値に近い値に保ちながら、直流電圧の大
幅な変動を防止して運転を継続することができる。
【0191】(第13の実施の形態)第13の実施の形
態は、有効電力制御回路、1段目及び2段目の直流電圧
制御回路の出力の中から1つの出力を選択するために、
直流電圧制御回路の上下限リミッタを使用するのではな
く、最小値選択回路及び最大値選択回路を使用するよう
にした例である。
【0192】第13の実施の形態に係る多端子直流送電
システムは、図1に示す直流送電システムと同じシステ
ム構成を有しているので、異なる部分である直流電圧/
有効電力制御回路について詳しく説明する。
【0193】図18に第13の実施の形態に係る直流送
電システムに備えられる交直変換器の制御装置における
直流電圧/有効電力制御回路の内部構造を示している。
【0194】この直流電圧/有効電力制御回路では、有
効電力の設定値Pref と検出値Paの差分を、一定の増
幅率rを持つ増幅器19を介して加算器231および2
32に与える。加算器231および232では、それぞ
れ2種類の異なる値の直流電圧設定値EdpH、EdpLと
増幅器19の出力を加算することにより、補正した直流
電圧設定値EdpH ′、EdpL ′を得る。1段目の直流電
圧制御回路151では直流電圧検出値Edが補正した直
流電圧設定値EdpH ′と等しくなるよう制御を行い、2
段目の直流電圧制御回路152では、直流電圧検出値E
dが補正した直流電圧設定値EdpL′と等しくなるよう
制御を行う。有効電力制御回路16では、有効電力の検
出値Paが設定値Pref と等しくなるよう制御を行う。
1段目の直流電圧制御回路151、2段目の直流電圧制
御回路152、有効電力制御回路16は、例えば比例積
分回路などで構成された回路であり、変換器の定格容量
などから決まる上下限リミット値により出力が制限され
る。
【0195】有効電力制御回路16の出力と1段目の直
流電圧制御回路151の出力が最小値選択回路24に与
えられて小さい方の値が選択され、さらに、最小値選択
回路24の出力と2段目の直流電圧制御回路152の出
力が最大値選択回路25に与えられて大きい方の値が選
択され、最大値選択回路25の出力値が、交流出力電流
の有効電力成分の設定値Idrefとして最終的に出力され
る。
【0196】有効電力制御回路16の出力を1段目の直
流電圧制御回路151の出力に対する上限値とし、また
1段目の直流電圧制御回路151の出力を2段目の直流
電圧制御回路152の出力に対する下限値とする手段と
して、図17に示す制御回路ではそれぞれの値を各制御
回路出力に対する上限リミット値、下限リミット値とし
て使用する構成としているが、図18に示す制御回路
は、そのかわりに最小値選択回路24、最大値選択回路
25を用いる構成としたものである。
【0197】以上のように構成された交直変換器の制御
装置では、1段目の直流電圧制御回路151に対する直
流電圧設定値EdpHとして定格電圧より大きな値、2段
目の直流電圧制御回路152に対する直流電圧設定値E
dpLとして定格電圧より小さな値を与えると、直流電圧
が定格値に近い値、すなわちEdpLとEdpHの間の値で
運転されている場合は、1段目の直流電圧制御回路15
1の出力値は有効電力制御回路16の出力値より大きな
値となるため、有効電力制御回路16の出力値が最小値
選択回路24の出力となる。また、2段目の直流電圧制
御回路152の出力値は有効電力制御回路16の出力値
より小さな値となるため、最小値選択回路24の出力す
なわち有効電力制御回路16の出力値が最大値選択回路
25の出力となる。従って、有効電力制御回路16の出
力値が最終的にIdrefとして出力されることになり、有
効電力が設定値Pref と等しくなるよう制御される。
【0198】これに対し直流電圧が設定値EdpHより大
きくなると、1段目の直流電圧制御回路151では、直
流電圧検出値Edが補正された設定値EdpH ′と等しく
なるよう直流電圧制御が行われる。一方、2段目の直流
電圧制御回路152の出力は小さな値のままの状態なの
で、1段目の直流電圧制御回路151の出力がIdrefと
して最終的に出力される。これにより有効電力は直接制
御されなくなるため、設定値Pref と検出値Paに差が
生じ、この差によって直流電圧設定値EdpHが補正され
てEdpH ′が得られ、1段目の直流電圧制御回路151
での制御に使用される。
【0199】逆に、直流電圧が低下して設定値EdpLよ
り小さくなると、2段目の直流電圧制御回路152で
は、直流電圧検出値Edが補正された設定値EdpL ′と
等しくなるよう直流電圧制御が行われ、この出力値が最
終的にIdrefとして出力される。これにより有効電力は
直接制御されなくなるため、設定値Pref と検出値Pa
に差が生じ、この差によって直流電圧設定値EdpLが補
正されてEdpL ′が得られ、2段目の直流電圧制御回路
152での制御に使用される。
【0200】図1に示す直流送電システムを構成する複
数の変換器のうち1台では直流電圧を一定に制御し、残
りの変換器に図18に示す制御回路を適用した場合、図
13に示すものと同様の動作特性が得られる。
【0201】このような実施の形態によれば、有効電力
制御回路16の出力、1段目の直流電圧制御回路151
の出力を制御回路出力に対する上限リミット値、下限リ
ミット値として使用しなくても、前述した第12の実施
の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0202】(第14の実施の形態)第14の実施の形
態は、図17に示す制御回路における補正位置を直流電
圧設定値と検出値のさぶん演算後にシフトした例であ
る。
【0203】第14の実施の形態に係る多端子直流送電
システムは、図1に示す直流送電システムと同じシステ
ム構成を有しているので、異なる部分である直流電圧/
有効電力制御回路について詳しく説明する。
【0204】図19に第14の実施の形態に係る直流送
電システムに備えられる交直変換器の制御装置における
直流電圧/有効電力制御回路の内部構造を示している。
【0205】この直流電圧/有効電力制御回路70は、
有効電力の設定値Pref と検出値Paの差分を、一定の
増幅率rを持つ増幅器19を介して加算器231および
232に与える。加算器231では直流電圧設定値Edp
Hと直流電圧検出値Edの差分ΔEdHに増幅器19の出
力を加算して補正した直流電圧の差分ΔEdH′を得、加
算器232では直流電圧設定値EdpLと直流電圧検出値
Edの差分ΔEdLに増幅器19の出力を加算して補正し
た直流電圧の差分ΔEdL′を得る。1段目の直流電圧制
御回路151では補正された直流電圧の差分ΔEdH′が
零となるよう制御を行い、2段目の直流電圧制御回路1
52では補正された直流電圧の差分ΔEdL′が零となる
よう制御を行う。また、有効電力制御回路16では、有
効電力の検出値Paが設定値Pref と等しくなるよう制
御を行う。1段目の直流電圧制御回路151、2段目の
直流電圧制御回路152、有効電力制御回路16は、例
えば比例積分回路などで構成された制御回路である。有
効電力制御回路16の出力は、1段目の直流電圧制御回
路151の出力に対する上限リミット値として使用さ
れ、1段目の直流電圧制御回路151の出力は、2段目
の直流電圧制御回路152の出力に対する下限リミット
値として使用され、2段目の直流電圧制御回路152の
出力が、最終的に交流出力電流の有効電力成分の設定値
Idrefとして出力される。
【0206】以上のように構成された交直変換器の制御
装置では、1段目の直流電圧制御回路151に対する直
流電圧設定値EdpHとして定格電圧より大きな値、2段
目の直流電圧制御回路152に対する直流電圧設定値E
dpLとして定格電圧より小さな値を与えると、直流電圧
が定格値に近い値、すなわちEdpLとEdpHの間の値で
運転されている場合は、1段目の直流電圧制御回路15
1の出力値は有効電力制御回路16の出力値より大きな
値となり、また、2段目の直流電圧制御回路152の出
力は有効電力制御回路16の出力値より小さな値となる
ため、有効電力制御回路16の出力値が最終的にIdref
として出力されることになり、有効電力が設定値Pref
どおりになるよう制御される。これにより増幅器19の
出力は零となり、直流電圧の差分ΔEdH、ΔEdLに対す
る補正は行われない。
【0207】これに対し直流電圧が設定値EdpHより大
きくなると、1段目の直流電圧制御回路151では上限
リミッタ運転から直流電圧制御運転に切り替わり、補正
した直流電圧の差分ΔEdH′が零になるよう制御が行わ
れ、一方、2段目の直流電圧制御回路152は下限リミ
ッタ運転のままの状態なので、1段目の直流電圧制御回
路151の出力がIdrefとして最終的に出力される。有
効電力は直接制御されなくなるため、設定値Pref と検
出値Paに差が生じ、この差によって直流電圧の差分Δ
EdHが補正されてΔEdH′が得られ、1段目の直流電圧
制御回路151での制御に使用される。
【0208】逆に、直流電圧が低下して設定値EdpLよ
り小さくなると、2段目の直流電圧制御回路152で
は、下限リミッタ運転から直流電圧制御運転に切り替わ
り、補正した直流電圧の差分ΔEdL′が零になるよう制
御が行われ、この出力値が最終的にIdrefとして出力さ
れる。これにより有効電力は直接制御されなくなるた
め、設定値Pref と検出値Paに差が生じ、この差によ
って直流電圧の差分ΔEdLが補正されてΔEdL′が得ら
れ、2段目の直流電圧制御回路152での制御に使用さ
れる。
【0209】したがって、図1に示すような直流送電シ
ステムを構成する複数の変換器のうち1台では直流電圧
を一定に制御し、残りの変換器に図19に示す制御回路
を適用した場合、図13により説明したのと同様の動作
特性が得られる。
【0210】このような実施の形態によれば、2種類の
直流電圧設定値と検出値との差分を補正するようにした
ものではあるが、前述した第12の実施の形態と同様の
作用効果を奏することができる。
【0211】(第15の実施の形態)第15の実施の形
態は、直流電圧設定値を有効電力設定値と検出値との差
分で補正し、その補正値に対して直流電圧バイアスを加
減算して2種類の設定値を作成して第12の実施の形態
と同様な制御方式を確立したものである。
【0212】第15の実施の形態に係る多端子直流送電
システムは、図1に示す直流送電システムと同じシステ
ム構成を有しているので、異なる部分である直流電圧/
有効電力制御回路について詳しく説明する。
【0213】図20に第15の実施の形態に係る直流送
電システムに備えられる交直変換器の制御装置における
直流電圧/有効電力制御回路の内部構造を示している。
【0214】この直流電圧/有効電力制御回路は、有効
電力の設定値Pref と検出値Paの差分を、一定の増幅
率rを持つ増幅器19を介して直流電圧設定値Edpに加
算することにより、補正した直流電圧設定値Edp′を得
る。加算器261では、直流電圧設定値バイアス分ΔE
dpを、補正した直流電圧設定値Edp′に正の極性で加算
し、加算器262では直流電圧設定値バイアス分ΔEdp
を、補正した直流電圧設定値Edp′に負の極性で加算
し、それぞれ第1の直流電圧設定値EdpH ′、第2の直
流電圧設定値EdpL ′を得る。1段目の直流電圧制御回
路151では直流電圧検出値Edが第1の直流電圧設定
値EdpH ′と等しくなるよう制御を行い、2段目の直流
電圧制御回路152では直流電圧検出値Edが第2の直
流電圧設定値EdpL ′と等しくなるよう制御を行う。ま
た、有効電力制御回路16では、有効電力の検出値Pa
が設定値Pref と等しくなるよう制御を行う。有効電力
制御回路16の出力は、1段目の直流電圧制御回路15
1の出力に対する上限リミット値として使用され、1段
目の直流電圧制御回路151の出力は、2段目の直流電
圧制御回路152の出力に対する下限リミット値として
使用され、2段目の直流電圧制御回路152の出力が、
最終的に交流出力電流の有効電力成分の設定値Idrefと
して出力される。
【0215】以上のように構成された交直変換器の制御
装置では、直流電圧設定値Edpとして定格電圧設定値、
直流電圧バイアス分ΔEdpとして正の値を与えると、第
1の直流電圧設定値EdpH ′は定格電圧より大きな値、
第2の直流電圧設定値EdpL′は定格電圧より小さな値
となる。
【0216】直流電圧が定格値に近い値、すなわちEdp
L ′とEdpH ′の間の値で運転されている場合は、1段
目の直流電圧制御回路151の出力は有効電力制御回路
16の出力値より大きな値となり、また、2段目の直流
電圧制御回路152の出力は有効電力制御回路16の出
力値より小さな値となるため、有効電力制御回路16の
出力値が最終的にIdrefとして出力されることになり、
有効電力が設定値Pref どおりになるよう制御される。
これにより増幅器19の出力は零となり、直流電圧設定
値Edpに対する補正は行われない。
【0217】これに対し直流電圧が設定値EdpH ′より
大きくなると、1段目の直流電圧制御回路151では上
限リミッタ運転から直流電圧制御運転に切り替わり、直
流電圧が設定値EdpH ′と等しくなるよう制御が行われ
る。一方、2段目の直流電圧制御回路152は下限リミ
ッタにかかったままの状態なので、1段目の直流電圧制
御回路151の出力がIdrefとして最終的に出力され
る。有効電力は直接制御されなくなるため、設定値Pre
f と検出値Paに差が生じ、この差によって直流電圧設
定値Edpが補正される。
【0218】逆に、直流電圧が低下して設定値EdpL ′
より小さくなると、2段目の直流電圧制御回路152で
は下限リミッタ運転から直流電圧制御運転に切り替わ
り、直流電圧検出値EdpL ′と等しくなるよう制御が行
われ、この出力値が最終的にIdrefとして出力される。
有効電力は直接制御されなくなるため、設定値Pref と
検出値Paに差が生じ、この差によって直流電圧設定値
Edpが補正される。
【0219】したがって、図1に示すような直流送電シ
ステムを構成する複数の変換器のうち1台では直流電圧
を一定に制御し、残りの変換器に図20に示す制御回路
を適用した場合、図13により説明した第9の実施の形
態と同様の動作特性が得られる。
【0220】以上の結果から、図20に示す制御回路を
備えた変換器と直流電圧制御を行う変換器を組み合わせ
て直流送電システムを構成することにより、通常は直流
電圧を設定値どおりに保ちながら、直流電圧制御を行う
変換器以外の変換器では、設定値どおりの有効電力を融
通することができ、かつ、有効電力設定値の変更などに
より直流電圧制御を行う変換器の有効電力運転点が出力
の上下限リミット値を越えた場合や、事故などにより直
流電圧制御を行う変換器が停止した場合には、直流電圧
の運転点を、各変換器の有効電力運転点に応じて調節す
ることにより、有効電力を設定値に近い値に保ちなが
ら、直流電圧の大幅な変動を防止して運転を継続するこ
とができる。
【0221】(第16の実施の形態)第16の実施の形
態は、有効電力設定値の偏差で補正した直流電圧の設定
値を所定の傾きを持たせたリミッタ回路を通して直流電
圧制御回路に入力するようにした例である。
【0222】第16の実施の形態に係る多端子直流送電
システムは、図1に示す直流送電システムと同じシステ
ム構成を有しているので、異なる部分である直流電圧/
有効電力制御回路について詳しく説明する。
【0223】図21に第16の実施の形態に係る直流送
電システムに備えられる交直変換器の制御装置における
直流電圧/有効電力制御回路の内部構造を示している。
【0224】この直流電圧/有効電力制御回路70は、
有効電力検出値Paと有効電力設定値Pref の差分を、
一定の増幅率rを持つ増幅器19を介して直流電圧設定
値Edpに加算して補正した直流電圧設定値Edp′を得
る。この直流電圧設定値Edp′をリミッタ回路27に入
力して値を制限し、リミッタ回路27の出力を最終的な
直流電圧設定値Edp″とする。最終的な直流電圧設定値
Edp″と直流電圧検出値Edの突き合わせを行って、そ
の偏差分を例えば比例積分回路などで構成された直流電
圧制御回路15に入力し、そこで最終的な直流電圧設定
値Edp″と直流電圧検出値Edが等しくなるよう制御を
行う。直流電圧制御回路15の出力は、交流電流の有効
電力成分の設定値Idrefとして使用する。直流電圧制御
回路15には、変換器の定格容量などから決まる上下限
リミット値が設けられており、出力Idrefはこの範囲を
越えないよう制限される。
【0225】以上のように構成された交直変換器の制御
装置では、有効電力設定値Pref と有効電力検出値Pa
が等しい場合には、増幅器19の出力は零となり、直流
電圧設定値Edpに対する補正が行われないので、直流電
圧は与えられた設定値Edpどおりの値となる。即ち、直
流電圧、有効電力とも当初与えられた設定値どおりの値
となるよう制御が行われる。
【0226】一方、有効電力の設定値Pref と検出値P
aに差が生じた場合、例えば有効電力設定値Pref より
も検出値Paの方が大きくなった場合には、増幅器19
の出力は負の値となり直流電圧設定値Edpに加算される
ため、補正された直流電圧設定値Edp′は当初の設定値
Edpに比べ小さな値となる。逆に、有効電力設定値Pre
f よりも検出値Paの方が小さくなった場合には、増幅
器19の出力は正の値となり直流電圧設定値Edpに加算
されるため、補正された直流電圧設定値Edp′はEdpに
比べ大きな値となる。この補正された直流電圧設定値E
dp′がリミッタ回路27の上下限リミット範囲内の値で
あれば、リミッタ回路27の出力Edp″は入力値Edp′
と等しくなる。すなわち、有効電力の検出値Paが設定
値Prefに比べて大きくなるほど、最終的な直流電圧設
定値Edp″は小さくなり、有効電力の検出値Paが設定
値Pref に比べて小さくなるほど、最終的な直流電圧設
定値Edp″は大きくなる特性となる。
【0227】有効電力の設定値と検出値の差が大きくな
り、補正した直流電圧設定値Edp′がリミッタ回路27
の上下限リミット値を越えた場合、リミッタ回路27の
出力である最終的な直流電圧設定値Edp″はリミッタ回
路27にあらかじめ設定値されている上限リミット値ま
たは下限リミット値と等しい値になる。
【0228】図22は、図1に示す変換器A、B、Cと
いう3台の変換器から成る多端子直流送電システムにお
いて、各変換器を以上のように構成された制御装置で制
御したときの有効電力と直流電圧の関係を示す特性図で
ある。
【0229】3台の変換器は、図21の直流電圧/有効
電力制御回路70をそれぞれ備え、直流電圧設定値Edp
として定格電圧100%が共通に与えられている。同図
に示す点a、b、c、b′、c′は各変換器の運転点で
ある。
【0230】ここで、制御回路70におけるリミッタ回
路27の上下限リミット値として、変換器Aは正と負の
充分大きな値、変換器BはEdp±ΔEdpB 、変換器Cは
Edp±ΔEdpC がそれぞれ与えられ、各変換器にはそれ
ぞれ有効電力設定値Pref A、Pref B、Pref Cが与
えられているものとする。
【0231】各変換器では、直流電圧が上下限リミット
値の範囲内、すなわちEdp±ΔEdpの間の値のときは、
有効電力が増えるにつれ直流電圧が低下する右下がりの
特性となる。それに対し、直流電圧が上下限リミット値
を越えた場合には、リミット値Edp±ΔEdpによる直流
電圧一定の特性となる。
【0232】こうした特性を持たせることにより、通常
は、各変換器がそれぞれの有効電力設定値どおりの値
で、かつ直流電圧が共通の設定値Edpとなるよう制御さ
れ、各変換器の運転点はa、b、cとなる。
【0233】この状態から、例えば事故などにより変換
器Aが停止すると、変換器BとCは有効電力の和が零と
なりかつ直流電圧が共通の点b′、c′へ移行して平衡
し、直流電圧は変換器Bの上限リミット値Edp+ΔEdp
B より大きくなるので変換器Bは直流電圧一定制御とな
り、それ以上電圧が上昇しないよう制御する。
【0234】このような実施の形態によれば、有効電力
検出値Paと有効電力設定値Prefの差分を直流電圧設
定値Edpに加算して補正した直流電圧設定値Edp′を
得、この直流電圧設定値Edp′をリミッタ回路27に入
力して値を制限し、リミッタ回路27の出力を最終的な
直流電圧設定値Edp″として直流電圧検出値Edと突き
合わせを行い、その偏差分を直流電圧制御回路15に入
力して制御するようにしたので、通常は各変換器が与え
られた有効電力設定値どおりの有効電力の融通を行い、
かつ直流電圧が設定値どおりの値となるよう運転を行う
ことができる。さらに、事故による変換器の停止や有効
電力設定値の変更などにより、各変換器に与えられた有
効電力設定が不平衡になった場合には、直流電圧を調節
して各変換器が分担して不平衡分を吸収することによ
り、特定の変換器の有効電力運転点が設定値から大きく
逸脱するのを防止し、かつ、直流電圧が大幅に変動する
のを防止しながら運転することができる。
【0235】(第17の実施の形態)第17の実施の形
態は、第16の実施の形態におけるリミッタ回路の機能
を最小値選択回路と最大値選択回路の組み合わせにより
実現した例である。
【0236】第17の実施の形態に係る多端子直流送電
システムは、図1に示す直流送電システムと同じシステ
ム構成を有しているので、異なる部分である直流電圧/
有効電力制御回路について詳しく説明する。
【0237】図23に第17の実施の形態に係る直流送
電システムに備えられる交直変換器の制御装置における
直流電圧/有効電力制御回路の内部構造を示している。
【0238】この直流電圧/有効電力制御回路70は、
有効電力検出値Paと有効電力設定値Pref の差分を、
一定の増幅率rを持つ増幅器19を介して直流電圧設定
値Edpに加算して補正した直流電圧設定値Edp′を得
る。補正した直流電圧設定値Edp′と直流電圧設定値に
対する上限リミット値Edmaxを最小値選択回路24に入
力し、小さい方の値を選択し、さらに最小値選択回路2
4の出力と直流電圧設定値に対する下限リミット値Edm
inを最大値選択回路25に入力し、大きい方の値を選択
して出力する。最大値選択回路25の出力を最終的な直
流電圧設定値Edp″とする。最大値選択回路25の出力
値Edp″と直流電圧検出値Edの突き合わせを行って、
例えば比例積分回路などで構成された直流電圧制御回路
15に入力し、直流電圧制御回路15で最終的な直流電
圧設定値Edp″と直流電圧検出値Edが等しくなるよう
制御を行う。直流電圧制御回路15の出力は、交流電流
の有効電力成分の設定値Idrefとして使用される。直流
電圧制御回路15には、変換器の定格容量などから決ま
る上下限リミット値が設けられており、出力Idrefはこ
の範囲を越えないよう制限される。また上限リミット値
Edmaxは設定値Edpより大きな値、下限リミット値Edm
inは設定値Edpより小さな値を設定する。
【0239】以上のように構成された交直変換器の制御
装置では、有効電力設定値Pref と有効電力検出値Pa
が等しい場合は、増幅器19の出力は零となるので直流
電圧設定値に対する補正が行われないので、直流電圧は
与えられた設定値Edpどおりの値となる。すなわち、直
流電圧、有効電力とも設定値どおりの値となるよう制御
が行われる。
【0240】一方、有効電力の設定値Pref と検出値P
aに差が生じた場合は、その差に増幅率rを乗算した値
が直流電圧設定値Edpに加算されるため、有効電力検出
値Paが大きくなるほど直流電圧は小さくなるよう直流
電圧設定値が補正される。また、有効電力検出値Paが
小さいほど直流電圧は大きくなるよう直流電圧設定値が
補正される。この補正された直流電圧設定値Edp′が上
限リミット値Edmaxと下限リミット値Edminの間の値で
あれば、最大値選択回路25の出力である最終的な直流
電圧設定値Edp″は補正した直流電圧設定値Edp′と等
しくなるので、直流電圧は有効電力の検出値が大きくな
るほど小さな値に、有効電力の検出値が小さくなるほど
大きな値になるよう制御される。
【0241】有効電力の設定値と検出値の差が大きくな
り、補正した直流電圧設定値Edp′が上限リミット値E
dmaxより大きな値になった場合、あるいは下限リミット
値Edminより小さな値になった場合には、最大値選択回
路25の出力値は上限リミット値Edmaxまたは下限リミ
ット値Edminと等しい一定の値になる。
【0242】図23に示す制御回路を備えた制御装置に
て制御される3台の変換器A〜Cで多端子直流送電シス
テムを構成すれば、有効電力と直流電圧の特性が図22
に示すようなものとなる。
【0243】このような実施の形態によっても、上記し
た第16の実施の形態と同様の作用効果を奏することが
できる。
【0244】(第18の実施の形態)第18の実施の形
態は、3種類の直流電圧設定値を設けて制御すると共に
有効電力設定値を中間の直流電圧設定値と検出値との偏
差に応じた値で補正するようにした例である。
【0245】第18の実施の形態に係る多端子直流送電
システムは、図1に示す直流送電システムと同じシステ
ム構成を有しているので、異なる部分である直流電圧/
有効電力制御回路について詳しく説明する。
【0246】図24に第18の実施の形態に係る直流送
電システムに備えられる交直変換器の制御装置における
直流電圧/有効電力制御回路の内部構造を示している。
【0247】この直流電圧/有効電力制御回路は、3種
類の直流電圧設定値Edp、EdpH、EdpLを設けてい
る。EdpHはEdpより大きな値、EdpLはEdpより小さ
な値とする。直流電圧設定値Edpと直流電圧検出値Ed
の差分を、増幅器20を介して有効電力設定値Pref に
加算して補正した有効電力設定値Pref ′を算出し、有
効電力制御回路16では有効電力検出値Paが補正した
有効電力設定値Pref ′と等しくなるよう制御を行う。
また1段目の直流電圧制御回路151では、直流電圧検
出値Edが設定値EdpHと等しくなるよう、2段目の直
流電圧制御回路152では、直流電圧検出値Edが設定
値EdpLと等しくなるよう制御を行う。有効電力制御回
路16の出力は1段目の直流電圧制御回路151の出力
に対する上限リミット値として使用され、1段目の直流
電圧制御回路151の出力は2段目の直流電圧制御回路
152の出力に対する下限リミット値として使用され、
2段目の直流電圧制御回路152の出力が、交流出力電
流の有効電力成分の設定値Idrefとして最終的に交流電
流制御回路10へ出力される。
【0248】なお、1段目の直流電圧制御回路151、
2段目の直流電圧制御回路152、有効電力制御回路1
6は、例えば比例積分回路などで構成された制御回路で
あり、上記で説明した上限リミット値あるいは下限リミ
ット値以外の出力リミット値としては変換器の定格容量
などから決まる固定値が設定されている。
【0249】以上のように構成された交直変換器の制御
装置では、直流電圧設定値Edpと検出値Edが等しい場
合は増幅器20の出力は零となるので、有効電力制御回
路16に与えられる有効電力設定値Pref ′は当初与え
らた有効電力設定値Pref と等しい値となる。
【0250】一方、1段目の直流電圧制御回路151の
出力は上限リミッタにかかった状態になり、上限リミッ
タ値として与えられている有効電力制御回路16の出力
が1段目の直流電圧制御回路151の出力となる。さら
に、2段目の直流電圧制御回路152の出力は下限リミ
ッタにかかった状態になるので、下限リミット値として
与えられている1段目の直流電圧制御回路151の出力
が2段目の直流電圧制御回路152の出力となる。
【0251】従って、有効電力制御回路16の出力値が
最終的にIdrefとして出力されることになり、有効電力
が設定値Pref どおりになるよう制御される。
【0252】これに対し、直流電圧Edが設定値Edpよ
り上昇した場合は、増幅器20の出力が負の値となの
で、増幅器20の出力で補正された有効電力設定値Pre
f ′は当初与えられた設定値Pref より小さな値とな
る。また、直流電圧Edが設定値Edpより低下した場合
は、増幅器20の出力が正の値となるので、増幅器20
の出力で補正れた有効電圧設定値Pref ′は当初与えら
れた設定値Pref より大きな値となる。すなわち、直流
電圧が上昇するほど有効電力が低下する右下がりの特性
が得られる。
【0253】さらに、直流電圧の変動が大きくなって直
流電圧検出値Edが直流電圧設定値EdpHより大きな値
になると、1段目の直流電圧制御回路151は上限リミ
ッタにかかった状態から直流電圧制御に切り替わり、2
段目の直流電圧制御回路152は下限リミッタにかかっ
たままの状態なので、1段目の直流電圧制御回路151
の出力が最終的な出力Idrefとなり、直流電圧検出値E
dが直流電圧設定値EdpHと等しくなるよう制御され
る。
【0254】逆に、直流電圧検出値Edが直流電圧設定
値EdpLよりも小さな値になると、2段目の直流電圧制
御回路152は下限リミッタにかかった状態から直流電
圧制御に切り替わり、最終的な出力Idrefは、直流電圧
検出値Edが設定値EdpLと等しくなるよう制御され
る。
【0255】従って、図1に示すように直流送電システ
ムを構成する複数の変換器の各制御装置に図24に示す
制御回路を適用し、変換器のうち1台では直流電圧設定
値EdpHとして充分大きな値、EdpLとして充分小さな
値を設定し、残りの変換器では、EdpL、EdpHとして
それぞれEdpから10%程度ずつ差のある値を設定する
ことにより、各変換器に対して図22に示すものと同様
の動作特性を持たせることができる。
【0256】このような実施の形態によれば、直流電圧
設定値Edpと検出値Edの差分で補正した有効電力設定
値Pref ′に基づいて有効電力制御回路16の出力を決
め、直流電圧検出値Edが設定値EdpHと等しくなるよ
う制御する1段目の直流電圧制御回路151の上限リミ
ット値として有効電力制御回路16の出力を使用し、直
流電圧検出値Edが設定値EdpLと等しくなるよう制御
を行う2段目の直流電圧制御回路152の下限リミット
値に1段目の直流電圧制御回路151の出力を使用する
ようにしたので、通常は各変換器が与えられた有効電力
設定値どおりの出力を行い、かつ直流電圧が設定値どお
りの値となるよう運転を行うことができる。さらに、事
故による変換器の停止や有効電力設定値の変更などによ
り、直流電圧が変動した場合には、各変換器が分担して
有効電力を調節することにより直流電圧の変動を抑制し
つつ特定の変換器の有効電力運転点が設定値から大きく
逸脱するのを防止し、かつ、直流電圧が大幅に変動する
のを防止しながら運転を継続することができる。
【0257】(第19の実施の形態)第19の実施の形
態は、第18の実施の形態における有効電力成分の設定
値Idrefとしての出力選択に最小値選択回目と最大値選
択回路を使用するようにした例である。
【0258】第19の実施の形態に係る多端子直流送電
システムは、図1に示す直流送電システムと同じシステ
ム構成を有しているので、異なる部分である直流電圧/
有効電力制御回路について詳しく説明する。
【0259】図25に第19の実施の形態に係る直流送
電システムに備えられる交直変換器の制御装置における
直流電圧/有効電力制御回路の内部構造を示している。
【0260】この直流電圧/有効電力制御回路は、有効
電力制御回路16の出力値と1段目の直流電圧制御回路
151の出力値は最小値選択回路24に与えられて小さ
い方の値が選択され、最小値選択回路24の出力値と2
段目の直流電圧制御回路152の出力値が最大値選択回
路25に与えられて大きい方の値が選択され、最大値選
択回路25の出力が交流出力電流の有効電力成分の設定
値Idrefとして最終的に出力されるように構成されてい
る。その他の構成は第18の実施の形態と同様である。
【0261】以上のように構成された交直変換器の制御
装置では、直流電圧設定値Edpと検出値Edが等しい場
合は増幅器20の出力が零となり、有効電力制御回路1
6に与えられる補正した有効電力設定値Pref ′は当初
与えられた有効電力設定値Pref と等しい値となる。一
方、1段目の直流電圧制御回路151の出力は大きな値
になるので、最小値選択回路24では有効電力制御回路
16の出力を選択することになる。2段目の直流電圧制
御回路152の出力は小さな値になるので、最大値選択
回路25では、最小値選択回路24の出力、すなわち有
効電力制御回路16の出力が選択される。従って、有効
電力制御回路16の出力値が最終的にIdrefとして出力
されることになり、有効電力が設定値Pref どおりにな
るよう制御される。
【0262】これに対し直流電圧が設定値Edpから変化
すると、補正した有効電力設定値Pref ′は当初与えら
れた設定値Pref から変化し、直流電圧が上昇するほど
有効電力が低下する右下がりの特性が得られる。さらに
直流電圧変動が大きくなり、直流電圧検出値Edが直流
電圧設定値EdpHより大きな値になると、1段目の直流
電圧制御回路151は上限リミッタにかかった状態から
直流電圧制御に切り替わり、1段目の直流電圧制御回路
151の出力が最終的な出力Idrefとなって、直流電圧
検出値Edが直流電圧設定値EdpHと等しくなるよう制
御される。逆に、直流電圧検出値Edが直流電圧設定値
EdpLよりも小さな値になると、2段目の直流電圧制御
回路152は下限リミッタにかかった状態から直流電圧
制御に切り替わり、最終的な出力Idrefは直流電圧検出
値Edが直流電圧設定値EdpLと等しくなるよう制御さ
れる。
【0263】したがって、直流送電システムを構成する
複数の変換器を図25に示す制御回路を備えた制御装置
で制御するようにすれば、変換器のうち1台では、直流
電圧設定値EdpHとして充分大きな値、EdpLとして充
分小さな値を設定し、残りの変換器では、EdpL、Edp
Hとして直流定格電圧から10%程度ずつ差のある値を
設定すると、図22で説明したものと同様の動作特性が
得られる。
【0264】このような実施の形態によっても、上記し
た第18の実施の形態と同様の作用効果を奏することが
できる。
【0265】(第20の実施の形態)第20の実施の形
態は、第18の実施の形態における有効電力設定値の補
正位置を変更した例である。
【0266】第20の実施の形態に係る多端子直流送電
システムは、図1に示す直流送電システムと同じシステ
ム構成を有しているので、異なる部分である直流電圧/
有効電力制御回路について詳しく説明する。
【0267】図26に第20の実施の形態に係る直流送
電システムに備えられる交直変換器の制御装置における
直流電圧/有効電力制御回路の内部構造を示している。
【0268】この直流電圧/有効電力制御回路は、有効
電力設定値Pref と有効電力検出値Paの差分ΔPを、
直流電圧設定値Edpと直流電圧検出値Edの差分が入力
となる増幅器20の出力を加算して補正し、補正した有
効電力の差分ΔP′が零となるように有効電力制御回路
16で制御を行う。その他の構成は図24に示す第18
の実施の形態における制御回路と同じである。
【0269】以上のように構成された交直変換器の制御
装置で、直流送電システムを構成する複数の変換器を制
御するものとし、変換器のうち1台では直流電圧設定値
EdpHとして充分大きな値、EdpLとして充分小さな値
を設定し、残りの変換器では、EdpL、EdpHとして直
流定格電圧から10%程度ずつ差のある値を設定すれ
ば、図22で説明したものと同様の動作特性が得られ
る。
【0270】このような実施の形態によれば、通常は各
変換器が与えられた有効電力設定値どおりの出力を行
い、かつ直流電圧が設定値どおりの値で運転を行うこと
ができる。さらに、事故による変換器の停止や有効電力
設定値の変更などにより、直流電圧が変動した場合に
は、各変換器が分担して有効電力を調節することにより
直流電圧の変動を抑制しつつ特定の変換器の有効電力運
転点が設定値から大きく逸脱するのを防止し、かつ、直
流電圧が大幅に変動するのを防止しながら運転を継続す
ることができる。
【0271】(第21の実施の形態)第21の実施の形
態は、3種類の直流電圧設定値を設定し、直流電圧設定
値の中間値を有効電力設定値と検出値の差分で補正し、
3つの直流電流制御回路の中から一つの出力を選択する
ようにした例である。
【0272】第21の実施の形態に係る多端子直流送電
システムは、図1に示す直流送電システムと同じシステ
ム構成を有しているので、異なる部分である直流電圧/
有効電力制御回路について詳しく説明する。
【0273】図27に第21の実施の形態に係る直流送
電システムに備えられる交直変換器の制御装置における
直流電圧/有効電力制御回路の内部構造を示している。
【0274】この直流電圧/有効電力制御回路は、有効
電力設定値Pref 、および3種類の異なる値の直流電圧
設定値Edp、EdpH、EdpLを設定する。EdpHはEdp
より大きな値、EdpLはEdpより小さな値とする。有効
電力設定値Pref と有効電力検出値Paの差分を一定の
増幅率rをもつ増幅器19を介して直流電圧設定値Edp
に加算して補正した直流電圧設定値Edp′を算出する。
1段目の直流電圧制御回路151では、検出値Edが補
正した直流電圧設定値Edp′と等しくなるよう制御を行
う。一方、2段目の直流電圧制御回路152では直流電
圧検出値Edが大きな値の直流電圧設定値EdpHと等し
くなるよう制御を行い、3段目の直流電圧制御回路15
3では直流電圧検出値Edが小さな値の直流電圧設定値
EdpLと等しくなるよう制御を行う。1段目の直流電圧
制御回路151の出力は2段目の直流電圧制御回路15
2の上限リミット値として使用され、2段目の直流電圧
制御回路152の出力は3段目の直流電圧制御回路15
3の下限リミット値として使用され、3段目の直流電圧
制御回路153の出力が最終的な出力Idrefとして交流
電流制御回路10へ与えられる。
【0275】以上のように構成された交直変換器の制御
装置では、有効電力の検出値Paが設定値Pref どおり
の値で運転されている場合は増幅器19の出力が零とな
るので、1段目の直流電圧制御回路151は直流電圧が
当初与えられた設定値Edpどおりの値を保つよう制御す
る。2段目の直流電圧制御回路152では設定値EdpH
が検出値Edより大きな値なので上限リミッタ運転とな
り、3段目の直流電圧制御回路153では設定値EdpL
が検出値Edより小さな値なので下限リミッタ運転とな
る。これにより、1段目の直流電圧制御回路151の出
力が最終的にIdrefとして出力される。
【0276】それに対し、有効電力の検出値Paが設定
値Pref より大きな値になった場合には、増幅器19の
出力が負の値になるので補正した直流電圧設定値Edp′
は当初の設定値Edpより小さな値となる。逆に、有効電
力の検出値Paが設定値Pref より小さな値になった場
合には、増幅器19の出力が正の値になるので補正した
直流電圧設定値Edp′は当初の設定値Edpより大きな値
となる。これにより、直流電圧は有効電力の運転値に応
じて変化するよう制御され、その値が設定値EdpHより
大きくなると、2段目の直流電圧制御回路152がリミ
ッタ運転から直流電圧制御運転に切り替わり、直流電圧
検出値Edが設定値EdpHと等しくなるよう一定に制御
する。
【0277】また、直流電圧検出値Edが設定値EdpL
より小さくなると、3段目の直流電圧制御回路153が
リミッタ運転から直流電圧制御運転に切り替わり、直流
電圧検出値Edが設定値EdpLと等しくなるよう一定に
制御する。
【0278】従って、直流送電システムを構成する複数
の変換器に図27に示す制御回路を適用し、1台の変換
器のでは直流電圧設定値EdpHとして充分大きな値、E
dpLとして充分小さな値を与え、残りの変換器ではEdp
L、EdpHとしてそれぞれ直流定格電圧から10%程度
ずつ差のある値を与えると、図22で説明したものと同
様の動作特性が得られる。
【0279】このような実施の形態によれば、3種類の
直流電圧設定値を設定し、直流電圧設定値の中間値を有
効電力設定値と検出値の差分で補正し、1段目の直流電
圧制御回路151の出力は2段目の直流電圧制御回路1
52の上限リミット値として使用し、2段目の直流電圧
制御回路152の出力は3段目の直流電圧制御回路15
3の下限リミット値として使用し、3つの直流電流制御
回路の中から一つの出力を選択するようにしたので、通
常は各変換器が与えられた有効電力設定値どおりの出力
を行い、かつ直流電圧が設定値どおりの値で運転を行う
ことができる。さらに、事故による変換器の停止や有効
電力設定値の変更などにより各変換器に与えられた有効
電力設定値が不平衡になった場合には、直流電圧を調節
して各変換器が分担して不平衡を吸収することにより、
特定の変換器の有効電力運転点が設定値から大きく逸脱
するのを防止することができ、かつ、直流電圧が大幅に
変動するのを防止して運転を継続することができる。
【0280】(第22の実施の形態)第22の実施の形
態は、第21の実施の形態における最終出力の選択に最
小値選択回路と最大値選択回路を仕様するようにした例
である。
【0281】第22の実施の形態に係る多端子直流送電
システムは、図1に示す直流送電システムと同じシステ
ム構成を有しているので、異なる部分である直流電圧/
有効電力制御回路について詳しく説明する。
【0282】図28に第22の実施の形態に係る直流送
電システムに備えられる交直変換器の制御装置における
直流電圧/有効電力制御回路の内部構造を示している。
【0283】この直流電圧/有効電力制御回路は、直流
電圧制御回路151の出力を2段目の直流電圧制御回路
152の出力に対する上限値とし、2段目の直流電圧制
御回路152の出力を3段目の直流電圧制御回路153
の下限値とする手段として、1段目の直流電圧制御回路
151の出力と2段目の直流電圧制御回路152の出力
を最小値選択回路24に入力して小さい方の値を選択
し、最小値選択回路24と3段目の直流電圧制御回路1
53の出力を最大値選択回路25に入力して大きい方の
値を選択し、最大値選択回路25の出力を最終的な出力
とする構成としている。その他の構成は、第21の実施
の形態と同様である。
【0284】直流送電システムを構成する複数の変換器
を制御するために以上のように構成された交直変換器の
制御装置を適用し、1台の変換器では直流電圧設定値E
dpHとして充分大きな値、EdpLとして充分小さな値を
設定し、残りの変換器では、EdpL、EdpHとしてそれ
ぞれ直流定格電圧から10%程度ずつ差のある値を与え
ると、図22で説明したものと同様の動作特性が得られ
る。
【0285】このような実施の形態によれば、第21の
実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0286】(第23の実施の形態)第23の実施の形
態は、第21の実施の形態における直流電圧設定値に対
する補正位置を直流電圧設定値と検出値との差分演算後
に代えた例である。
【0287】第23の実施の形態に係る多端子直流送電
システムは、図1に示す直流送電システムと同じシステ
ム構成を有しているので、異なる部分である直流電圧/
有効電力制御回路について詳しく説明する。
【0288】図29に第23の実施の形態に係る直流送
電システムに備えられる交直変換器の制御装置における
直流電圧/有効電力制御回路の内部構造を示している。
【0289】この直流電圧/有効電力制御回路は、直流
電圧設定値Edpと直流電圧検出値Edの差分ΔEdに増
幅器19の出力を加算して、補正した直流電圧の差分Δ
Ed′を得、1段目の直流電圧制御回路151では補正
した直流電圧の差分ΔEd′が零となるよう制御を行う
構成とする。その他の構成は第21の実施の形態の制御
回路と同じである。
【0290】以上のようよ構成された交直変換器間制御
装置で、直流送電システムを構成する複数の変換器を制
御するようにして、変換器の1台では直流電圧設定値E
dpHとして充分大きな値、EdpLとして充分小さな値を
与え、残りの変換器では、EdpL、EdpHとしてそれぞ
れ直流定格電圧から10%程度ずつ差のある値を与える
と、図22で説明したものと同様の動作特性が得られ
る。
【0291】このような実施の形態によれば、直流送電
システムを構成する複数の交換器を図29に示す制御回
路を備えた交換器の制御装置で制御するようにしたの
で、第21の実施の形態と同様の作用効果を奏すること
ができる。
【0292】(第24の実施の形態)第24の実施の形
態は、有効電力設定値と検出値の差分を不感帯回路を通
して直流電圧設定値に加えて補正し、補正した直流電圧
設定値をリミッタ回路を通して直流電圧制御回路に入力
するようにした例である。
【0293】第24の実施の形態に係る多端子直流送電
システムは、図1に示す直流送電システムと同じシステ
ム構成を有しているので、異なる部分である直流電圧/
有効電力制御回路について詳しく説明する。
【0294】図30に第24の実施の形態に係る直流送
電システムに備えられる交直変換器の制御装置における
直流電圧/有効電力制御回路の内部構造を示している。
【0295】この直流電圧/有効電力制御回路は、有効
電力の設定値Pref と検出値Paの差分を不感帯回路1
8および増幅器19を介して直流電圧設定値Edpに加算
して補正した直流電圧設定値Edp′を得、この補正した
直流電圧設定値Edp′をリミッタ回路27に入力して制
限された直流電圧設定値Edp″を得る。こうして得られ
たEdp″と直流電圧検出値Edの突き合わせを行い、例
えば比例積分回路で構成された直流電圧制御回路15に
入力し、直流電圧制御回路15では、直流電圧検出値E
dが制限された直流電圧設定値Edp″と等しくなるよう
制御を行う。
【0296】以上のように構成された交直変換器の制御
装置では、不感帯回路18の不感範囲を±ΔPref 、リ
ミッタ回路27の上下限リミット値をEdp±ΔEdpとす
ると、図31に示すような直流電圧と有効電力の特性が
得られる。すなわち、有効電力の運転値が設定値Pref
に対して±ΔPref の範囲内では、直流電圧を設定値E
dpどおりに一定に制御し、有効電力の運転値がPref ±
ΔPref の範囲を外れると有効電力検出値の大きさに応
じて直流電圧設定値Edpが補正され、右下がりまたは左
上がりの特性となる。補正された直流電圧設定値Edp′
がEdp±ΔEdpの範囲を越えるとリミッタ回路27によ
り最終的な直流電圧設定値Edp″が制限され、直流電圧
がEdp+ΔEdpまたはEdp−ΔEdpとなるよう直流電圧
一定制御が行われる。
【0297】このような実施の形態によれば、通常は直
流電圧を設定値どおりに一定に制御し、直流送電システ
ム全体の有効電力の不平衡分が大きくなった場合には、
直流電圧の値を調節することにより各変換器で分担して
有効電力の不平衡分を補償し、これにより特定の変換器
で有効電力が設定値から大きく逸脱するのを防止し、か
つ直流電圧運転値が設定値から一定の範囲以上変動しな
いように運転を行うことができる。
【0298】(第25の実施の形態)第25の実施の形
態は、第24の実施の形態における不感帯回路に、有効
電力設定値と検出値との差分ではなく、有効電力検出値
を直接入力するようにした例である。
【0299】第25の実施の形態に係る多端子直流送電
システムは、図1に示す直流送電システムと同じシステ
ム構成を有しているので、異なる部分である直流電圧/
有効電力制御回路について詳しく説明する。
【0300】図32に第25の実施の形態に係る直流送
電システムに備えられる交直変換器の制御装置における
直流電圧/有効電力制御回路の内部構造を示している。
【0301】この直流電圧/有効電力制御回路は、有効
電力検出値Paを不感帯回路18および増幅器19を介
して直流電圧設定値Edpに負の符号で加算し、補正した
直流電圧設定値Edp′を得る。補正した直流電圧設定値
Edp′を、リミッタ回路27に入力して制限された直流
電圧設定値Edp″を得、Edp″と直流電圧検出値Edの
突き合わせを行い直流電圧制御回路15に入力し、直流
電圧制御回路15で直流電圧検出値Edが制限された直
流電圧設定値Edp″と等しくなるよう制御を行う。
【0302】以上のように構成された交直変換器の制御
装置では、不感帯回路18の不感範囲をP1〜P2、リ
ミッタ回路27の上下限リミット値をEdp±ΔEdpとす
ると、図33に示すような直流電圧と有効電力の特性が
得られる。すなわち、有効電力の運転値P1〜P2の範
囲内では直流電圧を設定値Edpどおりに一定に制御し、
有効電力の運転値がP1〜P2の範囲を外れると、有効
電力検出値の大きさに応じて直流電圧設定値Edpが補正
され、右下がりまたは左上がりの特性となる。補正され
た直流電圧設定値Edp′がEdp±ΔEdpの範囲を越える
とリミッタ回路27により最終的な直流電圧設定値Ed
p″が制限されるので、直流電圧がEdp+ΔEdpまたは
Edp−ΔEdpとなるよう直流電圧一定制御が行われる。
【0303】このような実施の形態によれば、有効電力
検出値Paを不感帯回路18および増幅器19を介して
直流電圧設定値Edpに負の符号で加算して補正した直流
電圧設定値Edp′を、リミッタ回路27に入力して制限
された直流電圧設定値Edp″を直流電圧検出値Edの突
き合わせるようにしたので、通常は直流電圧を設定値ど
おりに一定に制御し、直流送電システム全体の有効電力
の不平衡分が大きくなった場合には、直流電圧の値を調
節することにより各変換器で分担して有効電力の不平衡
分を補償し、これにより特定の変換器で有効電力が出力
リミットを越えてリミッタ運転になるのを防止し、かつ
直流電圧運転値から一定の範囲以上変動しないように運
転を行うことができる。
【0304】(第26の実施の形態)第26の実施の形
態は、第24の実施の形態におけるリミッタ回路の機能
を最小値選択回路と最大値選択回路の組み合わせで実現
した例である。
【0305】図34は、第26の実施の形態における交
直変換器の制御装置に適用した直流電圧/有効電力制御
回路の内部構成を示す制御ブロック図である。
【0306】第26の実施の形態では、有効電力の設定
値Pref と検出値Paの差分を不感帯回路18および増
幅器19を介して直流電圧設定値Edpに加算し、補正し
た直流電圧設定値Edp′を得る。補正した直流電圧設定
値Edp′と、直流電圧設定値に対する上限値Edmaxを最
小値選択回路24に入力し小さい方の値を選択して出力
し、さらに、最小値選択回路24の出力と直流電圧設定
値に対する下限値Edminを最大値選択回路25に入力し
大きい方の値を選択して出力する。直流電圧制御回路1
5では、直流電圧検出値Edが最大値選択回路25の出
力値である最終的な直流電圧設定値Edp″と等しくなる
よう制御が行われ、その出力がIdrefとして図65の交
流電流制御回路10へ与えられる。
【0307】以上のように構成された交直変換器の制御
装置では、不感帯回路18の不感範囲を±ΔPref 、直
流電圧設定値に対する上限値EdmaxをEdp+ΔEdp、直
流電圧設定値に対する下限値EdminをEdp−ΔEdpとす
ると、第24の実施の形態の制御回路を使用した場合と
同様、図31に示すような直流電圧と有効電力の特性が
得られる。すなわち、有効電力の運転値設定値Pref に
対し±ΔPref の範囲内では直流電圧を設定値Edpどお
りに一定に制御し、有効電力の運転値がPref±ΔPref
の範囲を外れると、有効電力検出値の大きさに応じて
直流電圧設定値Edpが補正され、右下がりまたは左上が
りの特性となる。補正された直流電圧設定値Edp′が上
限値Edmax=Edp+ΔEdpより大きくなるか、あるいは
下限値Edmin=Edp−ΔEdpより小さくなると、最大値
選択回路25の出力値Edp″はEdmaxあるいはEdminと
等しくなるので、直流電圧がEdp+ΔEdpまたはEdp−
ΔEdpとなるよう直流電圧一定制御が行われる。
【0308】このような実施の形態によっても、第24
の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0309】(第27の実施の形態)第27の実施の形
態に係る多端子直流送電システムは、図1に示す直流送
電システムと同じシステム構成を有しているので、異な
る部分である直流電圧/有効電力制御回路について詳し
く説明する。
【0310】図35に第27の実施の形態に係る直流送
電システムに備えられる交直変換器の制御装置における
直流電圧/有効電力制御回路の内部構造を示している。
【0311】この直流電圧/有効電力制御回路は、3種
類の異なる値の直流電圧設定値Edp、EdpH、EdpLを
設け、設定値EdpHはEdpより大きな値、EdpLはEdp
より小さな値とする。直流電圧の設定値Edpと検出値E
dの差分を不感帯回路22および一定の増幅率Kをもつ
増幅器20を介して有効電力設定値Pref に加算して補
正した有効電力設定値Pref ′を得る。有効電力制御回
路16では、有効電力検出値Paが補正した有効電力設
定値Pref ′と等しくなるよう制御を行う。1段目の直
流電圧制御回路151では、直流電圧検出値Edが直流
電圧設定値EdpHと等しくなるよう制御を行い、2段目
の直流電圧制御回路152では、直流電圧検出値Edが
直流電圧設定値EdpLと等しくなるよう制御を行う。そ
して、有効電力制御回路16の出力を1段目の直流電圧
制御回路151の出力に対する上限リミット値として使
用し、1段目の直流電圧制御回路151の出力を2段目
の直流電圧制御回路152の出力に対する下限リミット
値として使用し、2段目の直流電圧制御回路152の出
力が最終的な出力Idrefとして交流電流制御回路10へ
与えられる。
【0312】なお、1段目の直流電圧制御回路151、
2段目の直流電圧制御回路152、有効電力制御回路1
6は、例えば比例積分回路などで構成された制御回路で
あり、上記で説明した上限リミット値あるいは下限リミ
ット値以外の出力リミット値としては、変換器の定格容
量などから決まる固定値が設定されている。
【0313】以上のように構成された交直変換器の制御
装置では、不感帯回路22の不感範囲を±ΔEdpとする
と、図36に示すような直流電圧と有効電力の特性が得
られる。すなわち、直流電圧の運転点が直流電圧設定値
Edp対して±ΔEdpの範囲内では有効電力を設定値Pre
f どおりに一定に制御し、直流電圧がEdp±ΔEdpの範
囲を外れると直流電圧検出値の大きさに応じて有効電力
設定値Pref が補正され右下がりあるいは左上がりの特
性となる。
【0314】さらに、直流電圧の運転点が小さな値の直
流電圧設定値EdpLより低下した場合、あるいは大きな
値の直流電圧設定値EdpHより上昇した場合には、直流
電圧が設定値EdpLまたはEdpHと等しくなるよう一定
に制御する。
【0315】このような実施の形態によれば、3種類の
異なる値の直流電圧設定値を設け、直流電圧設定値Edp
と検出値Edの差分を不感帯回路22を介して有効電力
設定値Pref に加算し、補正した有効電力設定値Pref
′が有効電力検出値Paと等しくなるよう制御を行う
有効電力制御回路16の出力を1段目の直流電圧制御回
路151の上限リミット値として使用し、1段目の直流
電圧制御回路151の出力を2段目の直流電圧制御回路
152の出力に対する下限リミット値として使用し、2
段目の直流電圧制御回路152の出力が最終的な出力I
drefとなるようにしたので、通常は与えられた有効電力
設定値どおりの電力融通を行い、直流電圧変動が大きく
なった場合には、直流電圧変動分によって有効電力設定
値を補正することにより有効電力が設定値から大きく逸
脱することなく、かつ直流電圧の変動を抑えるよう制御
することができ、さらに直流電圧変動が大きくなった場
合には直流電圧一定制御を行うことにより直流電圧の大
幅な低下や上昇を防止して運転を行うことができる。
【0316】(第28の実施の形態)第28の実施の形
態は、第27の実施形態における有効電力設定値の補正
位置を有効電力設定値と検出値との差分演算後にした例
である。
【0317】第28の実施の形態に係る多端子直流送電
システムは、図1に示す直流送電システムと同じシステ
ム構成を有しているので、異なる部分である直流電圧/
有効電力制御回路について詳しく説明する。
【0318】図37に第28の実施の形態に係る直流送
電システムに備えられる交直変換器の制御装置における
直流電圧/有効電力制御回路の内部構造を示している。
【0319】この直流電圧/有効電力制御回路は、有効
電力の設定値Pref と検出値Paの差分ΔPに増幅器2
0の出力を加算し、補正した有効電力の差分ΔP′を得
る。有効電力制御回路16は、補正した有効電力の差分
ΔP′が零となるよう制御を行う。その他の構成は第2
7の実施の形態による制御回路と同じである。
【0320】以上のように構成された交直変換器の制御
装置では、不感帯回路22の不感範囲を±ΔEdpとする
と、図36に示すような第27の実施の形態と同様の直
流電圧と有効電力の特性が得られる。すなわち、直流電
圧の運転点が直流電圧設定値Edpに対して±ΔEdpの範
囲内では、有効電力を設定値Pref どおりに一定に制御
し、直流電圧がEdp±ΔEdpの範囲を外れると、直流電
圧検出値の大きさに応じて有効電力設定値Pref が補正
され右下がりあるいは左上がりの特性となる。さらに、
直流電圧の変動が大きくなり、直流電圧検出値Edが小
さな値の直流電圧設定値EdpLより低下した場合、ある
いは大きな値の直流電圧設定値EdpHより上昇した場合
には、直流電圧が設定値EdpLまたはEdpHと等しくな
るよう一定に制御する。
【0321】このような実施の形態によっても、第27
の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0322】(第29の実施の形態)第29の実施の形
態は、第28の実施の形態で1段目の直流電流制御回路
の上限リミット値として有効電力制御回路の出力を使用
し、かつ2段目の直流電流制御回路の下限リミット値と
して1段目の直流電流制御回路の出力を使用している
が、最小値選択回路及び最大値選択回路の組み合わせに
より同様の機能を実現した例である。
【0323】第29の実施の形態に係る多端子直流送電
システムは、図1に示す直流送電システムと同じシステ
ム構成を有しているので、異なる部分である直流電圧/
有効電力制御回路について詳しく説明する。
【0324】図38に第29の実施の形態に係る直流送
電システムに備えられる交直変換器の制御装置における
直流電圧/有効電力制御回路の内部構造を示している。
【0325】この直流電圧/有効電力制御回路は、有効
電力制御回路16の出力を1段目の直流電圧制御回路1
51の出力に対する上限値とし、1段目の直流電圧制御
回路151の出力を2段目の直流電圧制御回路152の
出力に対する下限値とする手段として、有効電力制御回
路16の出力と1段目の直流電圧制御回路151の出力
を最小値選択回路24に入力し小さい方の値を選択して
出力し、最小値選択回路24の出力と2段目の直流電圧
制御回路152の出力を最大値選択回路25に入力して
大きい方の値を選択し出力する構成とする。その他の構
成は、第28の実施の形態の制御回路と同じである。
【0326】以上のように構成された交直変換器の制御
装置では、不感帯回路22の不感範囲を±ΔEdpとする
と、図36に示すものと同様の直流電圧と有効電力の特
性が得られる。すなわち、直流電圧の運転点が直流電圧
設定値Edp対して±ΔEdpの範囲内では有効電力を設定
値Pref どおりに一定に制御し、直流電圧がEdp±ΔE
dpの範囲を外れると直流電圧検出値の大きさに応じて有
効電力設定値Pref が補正され右下がりあるいは左上が
りの特性となる。さらに、直流電圧の運転点が小さな値
の直流電圧設定値EdpLより低下した場合、あるいは大
きな値の直流電圧設定値EdpHより上昇した場合には、
直流電圧設定値EdpLまたはEdpHと等しくなるよう一
定に制御する。
【0327】このような実施の形態によれば、上述した
第28の実施の形態と同様の作用効果を奏することがで
きる。
【0328】(第30の実施の形態)図39は、第30
の実施の形態に係る直流送電システムの一部の構成を示
しており、交直交換器の制御装置における直流電圧/有
効電力制御回路の内部構成を示す制御ブロック図であ
る。
【0329】第30の実施の形態に係る多端子直流送電
システムは、図1に示す直流送電システムと同じシステ
ム構成を有しているので、異なる部分である直流電圧/
有効電力制御回路について詳しく説明する。
【0330】この直流電圧/有効電力制御回路は、3種
類の異なる値の直流電圧設定値Edp、EdpH、EdpLを
設け、設定値EdpHはEdpより大きな値、EdpLはEdp
より小さな値を設定する。有効電力の設定値Pref と検
出値Paの差分に対し不感帯回路18を介した値と、直
流電圧検出値Edと設定値Edpの差分に対し一定の増幅
率Kをもつ増幅器20を介した値とを演算し、有効電力
制御回路16で不感帯回路18の出力と増幅器20の出
力が等しくなるよう制御を行う。
【0331】一方、1段目の直流電圧制御回路151
で、直流電圧検出値Edが直流電圧設定値EdpHと等し
くなるよう制御を行い、2段目の直流電圧制御回路15
2では、直流電圧検出値Edが直流電圧設定値EdpLと
等しくなるよう制御を行う。こうして得られた各制御回
路の出力について、有効電力制御回路16の出力を1段
目の直流電圧制御回路151の出力に対する上限リミッ
ト値として使用し、1段目の直流電圧制御回路151の
出力を2段目の直流電圧制御回路152の出力に対する
下限リミット値として使用し、2段目の直流電圧制御回
路152の出力を最終的な出力Idrefとして交流電流制
御回路10へ与える。
【0332】以上のように構成された交直変換器の制御
装置では、不感帯回路18の不感範囲を±ΔPref 、直
流電圧設定値EdpHの値をEdp+ΔEdp、直流電圧設定
値EdpLの値をEdp−ΔEdpと設定すると、図31に示
すような直流電圧と有効電力の特性が得られる。すなわ
ち、有効電力の運転値が有効電力設定値Pref に対して
±ΔPref の範囲内では直流電圧を設定値Edpどおりに
一定に制御し、有効電力の運転値がPref ±ΔPref の
範囲を外れると有効電力検出値の大きさに応じて直流電
圧の運転値が変化し、右下がりまたは左上がりの特性と
なる。直流電圧がEdp±ΔEdpの範囲を越えると、直流
電圧がEdp+ΔEdpまたはEdp−ΔEdpとなるよう直流
電圧一定制御が行われる。
【0333】このような実施の形態によれば、図39に
示す制御回路を交直変換器の制御装置に適用することに
より、通常は直流電圧を設定値どおりに一定に制御し、
直流送電システム全体の有効電力の不平衡分が大きくな
った場合には、各変換器で分担して不平衡分を補償し、
これにより特定の変換器で有効電力が設定値から大きく
逸脱するのを防止し、かつ直流電圧運転値が設定値から
一定の範囲以上変動しないように運転を行うことができ
る。
【0334】(第31の実施の形態)図40は、この実
施の形態における直流電圧/有効電力制御回路の内部構
成を示している。
【0335】第31の実施の形態に係る多端子直流送電
システムは、図1に示す直流送電システムと同じシステ
ム構成を有しているので、異なる部分である直流電圧/
有効電力制御回路について詳しく説明する。
【0336】第31の実施の形態は、第30の実施の形
態において有効電力制御回路16の出力を1段目の直流
電圧制御回路151の出力に対する上限リミット値、1
段目の直流電圧制御回路151の出力を2段目の直流電
圧制御回路152の出力に対する下限リミット値として
使用していたところを、有効電力制御回路16の出力及
び1段目の直流電圧制御回路151の出力を最小値選択
回路に入力し、最小値選択回路の出力及び2段目の直流
電圧制御回路152の出力を最大値選択回路に入力する
ようにしたものである。
【0337】すなわち、有効電力制御回路16の出力と
1段目の直流電圧制御回路151の出力を最小値選択回
路24に入力し小さい方の値を選択して出力し、最小値
選択回路24の出力と2段目の直流電圧制御回路152
の出力を最大値選択回路25に入力して大きい方の値を
選択し出力する構成とする。その他の構成は、第30の
実施の形態の制御回路と同じである。
【0338】以上のように構成された交直変換器の制御
装置では、不感帯回路18の不感範囲を±ΔPref 、直
流電圧設定値EdpHの値をEdp+ΔEdp、直流電圧設定
値EdpLの値をEdp−ΔEdpと設定すると、図31に示
すような直流電圧と有効電力の特性が得られる。すなわ
ち、直流電圧の運転点が有効電力を設定値Pref に対し
て±ΔPref の範囲内では直流電圧を設定値Edpどおり
に一定に制御し、有効電力の運転値がPref ±ΔPref
の範囲を外れると有効電力検出値の大きさに応じて直流
電圧設定値Edpが補正され、右下がりまたは左上がりの
特性となる。直流電圧がEdp±ΔEdpの範囲を越える
と、直流電圧がEdp+ΔEdpまたはEdp−ΔEdpとなる
よう直流電圧一定制御が行われる。
【0339】このような実施の形態によっても、第30
の実施の形態と同様の動作特性が実現されるので、通常
は直流電圧を設定値どおりに一定に制御し、直流送電シ
ステム全体の有効電力の不平衡分が大きくなった場合に
は、各変換器で分担して不平衡分を補償し、これにより
特定の変換器で有効電力が設定値から大きく逸脱するの
を防止し、かつ直流電圧運転値が設定値から一定の範囲
以上変動しないように運転を行うことができる。
【0340】(第32の実施の形態)図41は、第32
の実施の形態に係る直流送電システムの一部の構成を示
しており、交直交換器の制御装置における直流電圧/有
効電力制御回路の内部構成を示す制御ブロック図であ
る。
【0341】第32の実施の形態に係る多端子直流送電
システムは、図1に示す直流送電システムと同じシステ
ム構成を有しているので、異なる部分である直流電圧/
有効電力制御回路について詳しく説明する。
【0342】この直流電圧/有効電力制御回路は、3種
類の異なる値の直流電圧設定値Edp、EdpH、EdpLを
設け、設定値EdpHはEdpより大きな値、EdpLはEdp
より小さな値を設定する。有効電力の設定値Pref と検
出値Paの差分を、不感帯回路18および一定の増幅率
rを持つ増幅器19を介して直流電圧設定値Edpに加算
して補正した直流電圧設定値Edp′を得る。1段目の直
流電圧制御回路151で、直流電圧検出値Edが補正し
た直流電圧設定値Edp′と等しくなるよう制御を行い、
2段目の直流電圧制御回路152で、直流電圧検出値E
dが直流電圧設定値EdpHと等しくなるよう制御を行
い、3段目の直流電圧制御回路153で、直流電圧検出
値Edが直流電圧設定値EdpLと等しくなるよう制御を
行う。こうして得られた各制御回路の出力について、1
段目の直流電圧制御回路151の出力を2段目の直流電
圧制御回路152の出力に対する上限リミット値として
使用し、2段目の直流電圧制御回路152の出力を3段
目の直流電圧制御回路153の出力に対する上限リミッ
ト値として使用し、3段目の直流電圧制御回路153の
出力を最終的な出力Idrefとして交流電流制御回路10
へ与える。
【0343】以上のように構成された交直変換器の制御
装置では、不感帯回路18の不感範囲を±ΔPref 、直
流電圧設定値EdpHの値をEdp+ΔEdp、直流電圧設定
値EdpLの値をEdp−ΔEdpと設定すると、図31に示
すような直流電圧と有効電力の特性が得られる。すなわ
ち、有効電力の運転値が有効電力設定値Pref に対して
±ΔPref の範囲内では直流電圧を設定値Edpどおりに
一定に制御し、有効電力の運転値がPref ±ΔPref の
範囲を外れると有効電力検出値の大きさに応じて直流電
圧設定値Edpが補正され、右下がりまたは左上がりの特
性となる。直流電圧がEdp±ΔEdpの範囲を越えると、
直流電圧がEdp+ΔEdpまたはEdp−ΔEdpとなるよう
直流電圧一定制御が行われる。
【0344】このような実施の形態によれば、図41に
示す制御回路を使用することにより、通常は直流電圧を
設定値どおりに一定に制御し、直流送電システム全体の
有効電力の不平衡分が大きくなった場合には、各変換器
で分担して不平衡分を補償し、これにより特定の変換器
で有効電力が設定値から大きく逸脱するのを防止し、か
つ直流電圧運転値が設定値から一定の範囲以上変動しな
いように運転を行うことができる。
【0345】(第33の実施の形態)第33の実施の形
態は、第32の実施の形態において直流電圧設定値と検
出値との差分を演算する前に不感帯回路の出力で補正し
ていたのに対し、直流電圧設定値と検出値との差分を演
算した後で不感帯回路の出力で直流電圧設定値を補正す
るようにした例である。
【0346】図42は、第33の実施の形態に係る直流
送電システムの一部の構成を示しており、交直交換器の
制御装置における直流電圧/有効電力制御回路の内部構
成を示す制御ブロック図である。
【0347】第33の実施の形態に係る多端子直流送電
システムは、図1に示す直流送電システムと同じシステ
ム構成を有しているので、異なる部分である直流電圧/
有効電力制御回路について詳しく説明する。
【0348】この直流電圧/有効電力制御回路は、直流
電圧の設定値Edpと検出値Edの差分ΔEdに増幅器1
9の出力を加算し、補正した直流電圧の差分ΔEd′を
得、1段目の直流電圧制御回路151で補正した直流電
圧の差分ΔEd′が零となるよう制御を行う構成として
いる。その他の構成は第32の実施の形態による制御回
路と同じである。
【0349】以上のように構成された交直変換器の制御
装置では、不感帯回路18の不感範囲を±ΔPref 、直
流電圧設定値EdpHの値をEdp+ΔEdp、直流電圧設定
値EdpLの値をEdp−ΔEdpと設定すると、図31に示
すような直流電圧と有効電力の特性が得られる。すなわ
ち、有効電力の運転値が有効電力設定値Pref に対して
±ΔPref の範囲内では直流電圧を設定値Edpどおりに
一定に制御し、有効電力の運転値がPref ±ΔPref の
範囲を外れると有効電力検出値の大きさに応じて直流電
圧の運転値が変化し、右下がりまたは左上がりの特性と
なる。直流電圧がEdp±ΔEdpの範囲を越えると、直流
電圧がEdp+ΔEdpまたはEdp−ΔEdpとなるよう直流
電圧一定制御が行われる。
【0350】このような実施の形態によっても、第32
の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0351】(第34の実施の形態)第34の実施の形
態は、第32の実施の形態において1段目の直流電圧制
御回路151の出力を2段目の直流電圧制御回路152
の出力に対する上限リミット値、2段目の直流電圧制御
回路152の出力を3段目の直流電圧制御回路153の
出力に対する上限リミット値として使用していたところ
を、最小値選択回路と最大値選択回路の組み合わせて同
様の機能を持たせた例である。
【0352】図43は、第34の実施の形態に係る直流
送電システムの一部の構成を示しており、交直交換器の
制御装置における直流電圧/有効電力制御回路の内部構
成を示す制御ブロック図である。
【0353】第34の実施の形態に係る多端子直流送電
システムは、図1に示す直流送電システムと同じシステ
ム構成を有しているので、異なる部分である直流電圧/
有効電力制御回路について詳しく説明する。
【0354】この直流電圧/有効電力制御回路は、1段
目の直流電圧制御回路151の出力と2段目の直流電圧
制御回路152の出力を最小値選択回路24に入力し小
さい方の値を選択して出力し、最小値選択回路24の出
力と3段目の直流電圧制御回路153の出力を最大値選
択回路25に入力して大きい方の値を選択し出力する構
成とする。その他の構成は、第32の実施の形態の制御
回路と同じである。
【0355】以上のように構成された交直変換器の制御
装置では、不感帯回路18の不感範囲を±ΔPref 、直
流電圧設定値EdpHの値をEdp+ΔEdp、直流電圧設定
値EdpLの値をEdp−ΔEdpと設定すると、図31に示
すような直流電圧と有効電力の特性が得られる。すなわ
ち、有効電力の運転値が有効電力設定値Pref に対して
±ΔPref の範囲内では直流電圧を設定値Edpどおりに
一定に制御し、有効電力の運転値がPref ±ΔPref の
範囲を外れると有効電力検出値の大きさに応じて直流電
圧設定値Edpが補正され、右下がりまたは左上がりの特
性となる。直流電圧がEdp±ΔEdpの範囲を越えると、
直流電圧がEdp+ΔEdpまたはEdp−ΔEdpとなるよう
直流電圧一定制御が行われる。
【0356】このような実施の形態によっても、第32
の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0357】(第35の実施の形態)図44は、第35
の実施の形態に係る直流送電システムの一部の構成を示
しており、交直交換器の制御装置における直流電圧/有
効電力制御回路の内部構成を示す制御ブロック図であ
る。
【0358】第35の実施の形態に係る多端子直流送電
システムは、図1に示す直流送電システムと同じシステ
ム構成を有しているので、異なる部分である直流電圧/
有効電力制御回路について詳しく説明する。
【0359】この直流電圧/有効電力制御回路は、有効
電力の設定値Pref と検出値Paの差分を、それぞれ個
別の増幅率r1、r2、r3を持つ増幅器191、19
2、193に与える。増幅器191の出力を直流電圧設
定値Edpに加算して補正した直流電圧設定値Edp′を得
る。また、増幅器192の出力を直流電圧設定値に対す
る上限値Edmaxに加算して補正した上限値Edmax′を
得、増幅器193の出力を直流電圧設定値に対する下限
値Edminに加算して補正した下限値Edmin′を得る。補
正した上限値Edmax′および補正した下限値Edmin′
は、リミッタ回路27の上下限リミット値として使用さ
れる。一方、補正した直流電圧設定値Edp′がリミッタ
回路27に入力され、上下限リミット値であるEdmax′
からEdmin′の範囲内に制限される。リミッタ回路27
の出力である制限された直流電圧設定値Edp″と直流電
圧検出値Edの突き合わせを行って、例えば比例積分回
路で構成された直流電圧制御回路15に与える。直流電
圧制御回路15で、直流電圧検出値Edが制限された直
流電圧設定値Edp″と等しくなるよう制御を行う。
【0360】ここで、増幅器192の増幅率r2、およ
び増幅器193の増幅率r3は、増幅器191の増幅率
r1より小さい値を設定する。また直流電圧設定値に対
する上限値Edmaxは設定値Edpより大きな値、直流電圧
設定値に対する下限値Edminは設定値Edpより小さな値
を設定する。
【0361】以上のように構成された交直変換器の制御
装置では、有効電力の設定値Prefと検出値Paの差に
比例定数r1を乗算した値で直流電圧設定値Edpが補正
されてリミッタ回路27に入力される。また、有効電力
の設定値Pref と検出値Paの差に比例定数r2を乗算
した値で直流電圧設定値に対する上限値Emax が補正さ
れ、有効電力の設定値Pref と検出値Paの差に比例定
数r3を乗算した値で直流電圧設定値に対する下限値E
min が補正される。これらの補正された上限値および補
正された下限値がリミッタ回路27に与えられて、補正
された直流電圧設定値が補正された上限値および補正さ
れた下限値の範囲を逸脱しないよう制限される。この制
限された直流電圧設定値と直流電圧検出値が等しくなる
よう直流電圧制御回路15で制御する。
【0362】このように動作する図44の制御回路を使
用すると、図45に示すような直流電圧と有効電力の特
性が得られる。すなわち、有効電力の運転値が有効電力
設定値Pref と等しい場合は、直流電圧設定値Edpおよ
びその上限値Edmax、下限値Edminに対して補正が行わ
れず、Edpは上限値Edmaxより小さく、かつ下限値Edm
inより大きな値なので最終的な直流電圧設定値Edp″は
当初の設定値Edpと等しくなる。従って、直流電圧は当
初与えられた設定値Edpどおりの値に制御され、有効電
力の運転値と有効電力設定値Pref に差が生じた場合、
その差の大きさに応じて、直流電圧設定値Edpおよびそ
の上限値Edmax、下限値Edminがそれぞれ補正される。
補正された直流電圧設定値Edp′は図45における点2
と点3を結んだ線上の値、補正された上限値Edmax′は
点1と点2を結んだ線上の値、補正された下限値Edmi
n′は点3と点4を結んだ線上の値となる。
【0363】ここで、Edmax′を設定値Edp′に対する
上限値、Edmin′を設定値Edp′に対する下限値として
使用しているので、最終的に得られる直流電圧と有効電
力の関係は、点1、2、3、4を結んだ特性となる。こ
れにより、直流電圧の運転値が設定値Edpに近い場合
は、直流電圧の変化に対する有効電力の変化の割合を小
さくすることにより有効電力が設定値Pref に近い値に
保たれるよう制御を行うことになる。また、直流電圧の
運転値が設定値Edpから大きく変動した場合は、有効電
力の変化に対する直流電圧の変化の割合を小さくするこ
とにより直流電圧がさらに大きく設定値からはずれるこ
とのないよう制御が行われる。
【0364】このような実施の形態によれば、図44に
示す制御回路を備えた変換器により直流送電システムを
構成したので、通常は有効電力と直流電圧が設定値どお
りになるよう制御を行うことができる。さらに、直流送
電システム全体の有効電力が不平衡になった場合には、
直流電圧の運転値が直流電圧設定値に近い値であれば、
直流電圧の変化に対する有効電力の変化の割合を小さく
することにより有効電力が設定値に近い値に保たれるよ
う制御し、直流電圧の運転値が直流電圧設定値から大き
く逸脱した場合には、有効電力の変化に対する直流電圧
の変化の割合を小さくすることにより、それ以上直流電
圧が変動するのを抑制しながら運転を行うことができ
る。
【0365】(第36の実施の形態)第36の実施の形
態は、第35の実施の形態においてリミッタ回路を使用
していたところを、最小値選択回路と最大値選択回路に
代えた例である。
【0366】図46は、第36の実施の形態に係る直流
送電システムの一部の構成を示しており、交直交換器の
制御装置における直流電圧/有効電力制御回路の内部構
成を示す制御ブロック図である。
【0367】第36の実施の形態に係る多端子直流送電
システムは、図1に示す直流送電システムと同じシステ
ム構成を有しているので、異なる部分である直流電圧/
有効電力制御回路について詳しく説明する。
【0368】この直流電圧/有効電力制御回路は、有効
電力の設定値Pref と検出値Paの差分を、それぞれ個
別の増幅率r1、r2、r3を持つ増幅器191、19
2、193に与え、増幅器191の出力を直流電圧設定
値Edpに加算して、補正した直流電圧設定値Edp′を得
る。また、増幅器192の出力を直流電圧設定値に対す
る上限値Edmaxに加算して補正した上限値Edmax′を
得、増幅器193の出力を直流電圧設定値に対する下限
値Edminに加算して補正した下限値Edmin′を得る。補
正した直流電圧設定値Edp′と補正した下限値Edmin′
が最大選択回路25に与えられ大きい方の値が選択され
る。さらに、最大選択回路25の出力と補正した上限値
Edmax′が最小選択回路24に与えられ、小さい方の値
が選択される。直流電圧制御回路15では、直流電圧検
出値Edが最小選択回路24の出力と等しくなるよう制
御を行う。ここで、増幅器192の増幅率r2、および
増幅器193の増幅率r3は、増幅器191の増幅率r
1より小さい値を設定する。また直流電圧設定値に対す
る上限値Edmaxは直流電圧設定値Edpより大きな値、直
流電圧設定値に対する下限値Edminは直流電圧設定値E
dpより小さな値を設定する。
【0369】以上のように構成された交直変換器の制御
装置では、図45に示す直流電圧と有効電力の特性が得
られ、最終的に得られる直流電圧と有効電力の関係は、
点1、2、3、4を結んだ特性となる。これにより、直
流電圧の運転値が設定値Edpに近い場合は直流電圧の変
化に対する有効電力の変化の割合を小さくすることによ
り有効電力が設定値に近い値に保たれるよう制御を行
う。直流電圧の運転値が設定値Edpから大きく変動した
場合は、有効電力の変化に対する直流電圧の変化の割合
を小さくすることにより直流電圧がさらに大きく設定値
からはずれることのないよう制御が行われる。
【0370】このような実施の形態によっても、第35
の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0371】(第37の実施の形態)図47は、第37
の実施の形態に係る直流送電システムの一部の構成を示
しており、交直交換器の制御装置における直流電圧/有
効電力制御回路の内部構成を示す制御ブロック図であ
る。
【0372】第37の実施の形態に係る多端子直流送電
システムは、図1に示す直流送電システムと同じシステ
ム構成を有しているので、異なる部分である直流電圧/
有効電力制御回路について詳しく説明する。
【0373】この直流電圧/有効電力制御回路は、3種
類の異なる値の直流電圧設定値Edp、EdpH、EdpLを
設け、EdpHはEdpより大きな値、EdpLはEdpより小
さな値に設定する。有効電力の設定値Pref と検出値P
aの差分を、それぞれ個別の増幅率r1、r2、r3を
持つ増幅器191、192、193に与える。増幅器1
91の出力を直流電圧設定値Edpに加算して補正した直
流電圧設定値Edp′を得る。また、増幅器192の出力
を直流電圧設定値EdpHに加算し補正した設定値Edp
H′を得、増幅器193の出力を直流電圧設定値EdpL
に加算し補正した設定値EdpL′を得る。
【0374】1段目の直流電圧制御回路151で、直流
電圧検出値Edが補正した直流電圧設定値Edp′と等し
くなるよう制御を行い、2段目の直流電圧制御回路15
2では直流電圧検出値Edが補正した直流電圧設定値E
dpH′と等しくなるよう制御を行い、3段目の直流電圧
制御回路153では直流電圧検出値Edが補正した直流
電圧設定値EdpL′と等しくなるよう制御を行う。
【0375】1段目の直流電圧制御回路151の出力は
2段目の直流電圧制御回路152の出力に対する上限リ
ミット値として使用され、2段目の直流電圧制御回路1
52の出力は3段目の直流電圧制御回路153の出力に
対する下限リミット値として使用され、3段目の直流電
圧制御回路153の出力が最終的な出力Idrefとして交
流電流制御回路10へ与えられる。
【0376】ここで、増幅器192の増幅率r2及び増
幅器193の増幅率r3は、増幅器191の増幅率r1
より小さい値を設定する。なお、1段目の直流電圧制御
回路151、2段目の直流電圧制御回路152、3段目
の直流電圧制御回路153はそれぞれ、例えば比例積分
回路などで構成された制御回路であり、上記で説明した
上限リミット値あるいは下限リミット値以外の出力リミ
ット値としては、変換器の定格容量などから決まる固定
値が設定されている。
【0377】以上のように構成された交直変換器の制御
装置では、図45に示すような直流電圧と有効電力の特
性が得られる。すなわち、有効電力の運転値が有効電力
設定値Pref と等しい場合は、直流電圧設定値Edp、E
dpH、EdpLに対して補正が行われず、2段目の直流電
圧制御回路152の出力は上限リミッタにかかった状
態、3段目の直流電圧制御回路の出力は下限リミッタに
かかった状態になるので、直流電圧は設定値Edpと等し
くなるよう制御される。
【0378】有効電力の運転値Paと有効電力設定値P
ref に差が生じた場合、その差の大きさに応じて直流電
圧設定値Edp、EdpH、EdpLがそれぞれ補正される。
補正された直流電圧設定値Edp′は図45における点2
と点3を結んだ線上の値、補正された設定値EdpH′は
点1と点2を結んだ線上の値、補正された設定値Edp
L′は点3と点4を結んだ線上の値となり、最終的に得
られる直流電圧と有効電力の関係は、点1、2、3、4
を結んだ特性となる。
【0379】これにより、直流電圧の運転値が設定値に
近い場合は直流電圧の変化に対する有効電力の変化の割
合を小さくすることにより有効電力が設定値に近い値に
保たれるよう制御を行い、直流電圧の運転値が設定値か
ら離れた場合は有効電力の変化に対する直流電圧の変化
の割合を小さくすることにより直流電圧がさらに大きく
設定値からはずれることのないよう制御が行われる。
【0380】このような実施の形態によれば、図47に
示す制御回路を備えた変換器により直流送電システムを
構成するようにしたので、通常は有効電力と直流電圧が
設定値どおりになるよう制御を行い、さらに、直流送電
システム全体の有効電力が不平衡になった場合には、直
流電圧の運転値が一定の範囲内の値であれば、直流電圧
の変化に対する有効電力の変化の割合を小さくすること
により有効電力が設定値に近い値に保たれるよう制御
し、直流電圧の運転値が一定の範囲を逸脱した場合に
は、有効電力の変化に対する直流電圧の変化の割合を小
さくすることにより、それ以上直流電圧が変動するのを
抑制しながら運転を行うことができる。
【0381】(第38の実施の形態)第38の実施の形
態は、第37の実施の形態において1段目の直流電圧制
御回路の出力及び1段目の直流電圧制御回路の出力を上
下限値として使用しているところを、最小値選択回路と
最大値選択回路の組み合わせに代えた例である。
【0382】第38の実施の形態に係る多端子直流送電
システムは、図1に示す直流送電システムと同じシステ
ム構成を有しているので、異なる部分である直流電圧/
有効電力制御回路について詳しく説明する。
【0383】図48に第38の実施の形態に係る直流送
電システムに備えられる交直変換器の制御装置における
直流電圧/有効電力制御回路の内部構造を示している。
【0384】この直流電圧/有効電力制御回路は、1段
目の直流電圧制御回路151の出力と2段目の直流電圧
制御回路152の出力を最小値選択回路24に与え小さ
い方の値を選択し、最小値選択回路24の出力と3段目
の直流電圧制御回路153の出力を最大値選択回路25
に与え大きい方の値を選択し出力する構成とする。その
他の構成は、第37の実施の形態の制御回路と同じであ
る。
【0385】以上のように構成された交直変換器の制御
装置では、第37の実施の形態と同様に図45に示すよ
うな直流電圧と有効電力の特性が得られる。すなわち、
有効電力の運転値が有効電力設定値Pref と等しい場合
は、直流電圧設定値Edp、EdpH、EdpLに対して補正
が行われず、1段目の直流電圧制御回路151の出力は
2段目の直流電圧制御回路152の出力より小さく、か
つ、3段目の直流電圧制御回路の出力より大きいので、
直流電圧は設定値Edpと等しくなるよう制御される。
【0386】有効電力の運転値Paと有効電力設定値P
ref に差が生じた場合、その差の大きさに応じて直流電
圧設定値Edp、EdpH、EdpLがそれぞれ補正され、補
正された直流電圧設定値Edp′は図45における点2と
点3を結んだ線上の値、補正された設定値EdpH′は点
1と点2を結んだ線上の値、補正された設定値EdpL′
は点3と点4を結んだ線上の値となり、最終的に得られ
る直流電圧と有効電力の関係は、点1、2、3、4を結
んだ特性となる。
【0387】これにより、直流電圧の運転値が設定値に
近い場合は直流電圧の変化に対する有効電力の変化の割
合を小さくすることにより有効電力が設定値に近い値に
保たれるよう制御を行い、直流電圧の運転値が設定値か
ら離れた場合は有効電力の変化に対する直流電圧の変化
の割合を小さくすることにより直流電圧がさらに大きく
設定値からはずれることのないよう制御が行われる。
【0388】このような実施の形態によっても、第37
の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0389】(第39の実施の形態)第39の実施の形
態は、第37の実施の形態において直流電圧設定値と検
出値との差分を演算する前に設定値を補正したのに対し
て、直流電圧設定値と検出値との差分を演算した後に補
正するようにした例である。
【0390】第39の実施の形態に係る多端子直流送電
システムは、図1に示す直流送電システムと同じシステ
ム構成を有しているので、異なる部分である直流電圧/
有効電力制御回路について詳しく説明する。
【0391】図49に第39の実施の形態に係る直流送
電システムに備えられる交直変換器の制御装置における
直流電圧/有効電力制御回路の内部構造を示している。
【0392】この直流電圧/有効電力制御回路は、増幅
器191の出力を直流電圧設定値Edpと検出値Edの差
分ΔEdに加算して補正を行い、増幅器192の出力を
直流電圧設定値EdpHと検出値Edの差分ΔEdHに加算
して補正を行い、増幅器193の出力を直流電圧設定値
EdpLと検出値Edの差分ΔEdLに加算して補正を行
い、直流電圧制御回路151、152、153ではそれ
ぞれ補正された直流電圧の差分ΔEd′、ΔEdH′、Δ
EdL′が零となるよう制御を行う構成である。その他の
構成については、図47に示す第37の実施の形態によ
る制御回路と同じである。
【0393】以上のように構成された交直変換器の制御
装置では、図45に示すような第37の実施の形態と同
じ直流電圧と有効電力の特性が得られる。すなわち、有
効電力の運転値が有効電力設定値Pref と等しい場合
は、直流電圧の差分ΔEd、ΔEdH、ΔEdLに対して補
正が行われず、2段目の直流電圧制御回路152の出力
は上限リミットにかかった状態、3段目の直流電圧制御
回路153の出力は下限リミットにかかった状態になる
ので、直流電圧は設定値Edpと等しくなるよう制御され
る。
【0394】有効電力の運転値と有効電力設定値Pref
に差が生じた場合、その差の大きさに応じて、直流電圧
の差分ΔEd、ΔEdH、ΔEdLがそれぞれ補正され、最
終的に得られる直流電圧と有効電力の関係は、点1、
2、3、4を結んだ特性となる。
【0395】これにより、直流電圧の運転値が設定値に
近い場合は直流電圧の変化に対する有効電力の変化を小
さくすることにより有効電力が設定値に近い値に保たれ
るよう制御を行い、直流電圧の運転値が設定値から離れ
た場合は有効電力の変化に対する直流電圧の変化を小さ
くすることにより直流電圧がさらに大きく設定値からは
ずれることのないよう制御が行われる。
【0396】このような実施の形態によっても、図49
に示す制御回路を備えた変換器により直流送電システム
を構成することにより、通常は有効電力と直流電圧が設
定値どおりになるよう制御を行い、さらに、直流送電シ
ステム全体の有効電力が不平衡になった場合には、直流
電圧の運転値が一定の範囲内の値であれば、直流電圧の
変化に対する有効電力の変化の割合を小さくすることに
より有効電力が設定値に近い値に保たれるよう制御し、
直流電圧の運転値が一定の範囲を逸脱した場合には、有
効電力の変化に対する直流電圧の変化の割合を小さくす
ることにより、それ以上直流電圧が変動するのを抑制し
ながら運転を行うことができる。
【0397】(第40の実施の形態)図50は、第40
の実施の形態に係る直流送電システムの一部の構成を示
しており、交直交換器の制御装置における直流電圧/有
効電力制御回路の内部構成を示す制御ブロック図であ
る。
【0398】第40の実施の形態に係る多端子直流送電
システムは、図1に示す直流送電システムと同じシステ
ム構成を有しているので、異なる部分である直流電圧/
有効電力制御回路について詳しく説明する。
【0399】この直流電圧/有効電力制御回路は、有効
電力の設定値Pref と検出値Paの差分を予め設定され
た不感範囲をもつ不感帯回路18に入力し、不感帯回路
18の出力を一定の増幅率r1を持つ増幅器191に入
力する。一方で、前記有効電力の設定値Pref と検出値
Paの差分を一定の増幅率r2を持つ増幅器192に入
力する。そして、双方の増幅器191,192の出力を
加算し、この加算した値をさらに直流電圧設定値Edpに
加算して補正した直流電圧設定値Edp′を得ている。直
流電圧制御回路15で、直流電圧検出値Edが補正した
直流電圧設定値Edp′と等しくなるよう制御を行い、直
流電圧制御回路15の出力を最終的に出力Iref とす
る。
【0400】以上のように構成された交直変換器の制御
装置では、不感帯回路18の不感範囲を±ΔPref とす
ると、図51に示すような直流電圧と有効電力の特性が
得られる。すなわち、有効電力の運転値が有効電力設定
値Pref と等しい場合は、不感帯回路18、増幅器19
1、増幅器192の出力がそれぞれ零となるので、直流
電圧設定値Edpに対して補正が行われず、直流電圧は当
初与えられた設定値Edpどおりに制御される。
【0401】有効電力の運転値と設定値Pref に差が生
じた場合、その差の大きさが±ΔPref の範囲内であれ
ば、不感帯回路18と増幅器191の出力は零となる
が、増幅器192の出力は有効電力の設定値Pref と検
出値Paの差に比例した値となるので、差の大きさに応
じて、直流電圧設定値Edpが補正され、補正された直流
電圧設定値Edp′は図51における点2と点3を結んだ
線上の値となる。
【0402】また、有効電力の運転値と有効電力設定値
ref の差が大きくなって不感範囲±ΔPref を越える
と、不感帯回路18と増幅器191の出力が増幅器19
2の出力と同じ符号の値となり、増幅器192の出力に
加算されて、その値により直流電圧設定値Edpが補正さ
れる。従って、有効電力の運転値の変化に対する直流電
圧の変化の割合が大きくなり、補正された直流電圧設定
値Edp′は図51における点1と点2、および点3と点
4を結んだ線上の値となる。最終的に得られる直流電圧
と有効電力の関係は、点1、2、3、4を結んだ特性と
なる。これにより、有効電力の運転値が設定値に近い場
合は有効電力の変化に対する直流電圧の変化の割合を小
さくすることにより有効電力が設定値に近い値に保たれ
るよう制御を行い、有効電力の運転値が設定値から離れ
た場合は直流電圧の変化に対する有効電力の変化の割合
を小さくすることにより有効電力がさらに大きく設定値
からはずれることのないよう制御が行われる。
【0403】このような実施の形態によれば、図50に
示す制御回路を備えた変換器により直流送電システムを
構成するので、通常は有効電力と直流電圧が設定値どお
りになるよう制御を行い、さらに、直流送電システム全
体の有効電力が不平衡になった場合には、直流電圧の運
転値が一定の範囲内の値であれば、直流電圧の変化に対
する有効電力の変化の割合を小さくすることにより有効
電力が設定値に近い値に保たれるよう制御し、直流電圧
の運転値が一定の範囲を逸脱した場合には、有効電力の
変化に対する直流電圧の変化の割合を小さくすることに
より、それ以上直流電圧が変動するのを抑制しながら運
転を行うことができる。
【0404】(第41の実施の形態)第41の実施の形
態は、第40の実施の形態において直流電圧設定値を補
正後に直流電圧検出値との突き合わせを行っているのに
対して、直流電圧設定値の補正前に直流電圧検出値との
突き合わせを行いその差分を補正するようにした例であ
る。
【0405】図52は、第41の実施の形態に係る直流
送電システムの一部の構成を示しており、交直交換器の
制御装置における直流電圧/有効電力制御回路の内部構
成を示す制御ブロック図である。
【0406】第41の実施の形態に係る多端子直流送電
システムは、図1に示す直流送電システムと同じシステ
ム構成を有しているので、異なる部分である直流電圧/
有効電力制御回路について詳しく説明する。
【0407】この直流電圧/有効電力制御回路は、有効
電力の設定値Pref と検出値Paの差分を予め設定され
た不感範囲をもつ不感帯回路18に入力し、不感帯回路
18の出力を一定の増幅率r1を持つ増幅器191に入
力する。また、有効電力の設定値Pref と検出値Paの
差分を一定の増幅率r2を持つ増幅器192に入力す
る。そして、増幅器191,192の出力を加算した値
を、さらに直流電圧設定値Edpと直流電圧検出値Edの
差分ΔEdに加算して、補正した直流電圧の差分ΔE
d′を得る。直流電圧制御回路15では、補正した直流
電圧の差分ΔEd′が零になるよう制御を行う。
【0408】以上のように構成された交直変換器の制御
装置では、不感帯回路18の不感範囲を±ΔPref とす
ると、図51に示すものと同様の直流電圧と有効電力の
特性が得られる。これにより、有効電力の運転値が設定
値に近い場合は有効電力の変化に対する直流電圧の変化
の割合を小さくすることにより直流電圧が設定値に近い
値に保たれるよう制御を行い、有効電力の運転値が設定
値から離れた場合は直流電圧の変化に対する有効電力の
変化の割合を小さくすることにより有効電力がさらに大
きく設定値からはずれることのないよう制御が行われ
る。
【0409】このような実施の形態によっても、第40
の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0410】(第42の実施の形態)図53は、第42
の実施の形態に係る直流送電システムの一部の構成を示
しており、交直交換器の制御装置における直流電圧/有
効電力制御回路の内部構成を示す制御ブロック図であ
る。
【0411】第42の実施の形態に係る多端子直流送電
システムは、図1に示す直流送電システムと同じシステ
ム構成を有しているので、異なる部分である直流電圧/
有効電力制御回路について詳しく説明する。
【0412】この直流電圧/有効電力制御回路は、直流
電圧の設定値Edpと検出値Edの差分を不感帯回路22
に入力すると共に、一定の増幅率K2を持つ増幅器20
2に入力する。不感帯回路22の出力を一定の増幅率K
1を持つ増幅器201を介して一定の増幅率K2を持つ
増幅器202の出力と加算し、この加算値をさらに有効
電力設定値Pref に加算して、補正した有効電力設定値
Pref ′を得る。有効電力制御回路16では、有効電力
検出値Paが補正した有効電力設定値Pref ′と等しく
なるよう制御を行い、有効電力制御回路16の出力が最
終的な出力Idrefとして交流電流回路10に与えられ
る。
【0413】以上のように構成された交直変換器の制御
装置では、不感帯回路22の不感範囲を±ΔEdpとする
と、図54に示すような直流電圧と有効電力の特性が得
られる。すなわち、直流電圧の運転値が設定値Edpと等
しい場合は、不感帯回路22、増幅器201、増幅器2
02の出力がそれぞれ零となるので、有効電力設定値P
ref に対して補正が行われず、有効電力は当初の設定値
Pref どおりの値に制御される。
【0414】直流電圧の運転値と設定値Edpに差が生じ
た場合、その差の大きさが±ΔEdpの範囲内であれば、
不感帯回路22と増幅器201の出力は零となるが、増
幅器202の出力は直流電圧の設定値Edpと検出値Ed
の差に比例した値となるので、その差に応じて有効電力
設定値Pref が補正され、補正された有効電力設定値P
ref ′は図54における点2と点3を結んだ線上の値と
なる。
【0415】また、直流電圧の運転値と設定値Edpの差
が大きくなって不感範囲±ΔEdpを越えると、不感帯回
路22と増幅器201の出力が増幅器202の出力と同
符号の値となり、増幅器202の出力に加算されて、そ
の値により有効電力設定値Pref が補正される。従っ
て、直流電圧の変化に対する有効電力の変化の割合が大
きくなり、補正された有効電力設定値Pref ′は図54
における点1と点2、および点3と点4を結んだ線上の
値となる。最終的に得られる直流電圧と有効電力の関係
は、点1、2、3、4を結んだ特性となる。これによ
り、直流電圧の運転値が設定値Edpに近い場合は、直流
電圧の変化に対する有効電力の変化の割合を小さくする
ことにより有効電力が設定値に近い値に保たれるよう制
御を行い、直流電圧の運転値が設定値Edpから離れた場
合は、有効電力の変化に対する直流電圧の変化の割合を
小さくすることにより、直流電圧がさらに大きく設定値
からはずれることのないよう制御が行われる。
【0416】このような実施の形態によれば、図53に
示す制御回路を備えた変換器により直流送電システムを
構成するので、通常は有効電力と直流電圧が設定値どお
りになるよう制御を行うことができる。さらに、直流送
電システム全体の有効電力が不平衡になった場合には、
直流電圧の運転値が直流電圧設定値に近い値であれば、
直流電圧の変化に対する有効電力の変化の割合を小さく
することにより有効電力が設定値に近い値に保たれるよ
う制御し、直流電圧の運転値が直流電圧設定値から大き
く逸脱した場合には、有効電力の変化に対する直流電圧
の変化の割合を小さくすることにより、それ以上直流電
圧が変動するのを抑制しながら運転を行うことができ
る。
【0417】(第43の実施の形態)第43の実施の形
態は、第42の実施の形態において有効電力設定値の補
正後に検出値との差分演算を行っているのに対して、有
効電力設定値と検出値との差分演算の後に補正するよう
にした例である。
【0418】第43の実施の形態に係る多端子直流送電
システムは、図1に示す直流送電システムと同じシステ
ム構成を有しているので、異なる部分である直流電圧/
有効電力制御回路について詳しく説明する。
【0419】図55は、第43の実施の形態に係る直流
送電システムの一部の構成を示しており、交直交換器の
制御装置における直流電圧/有効電力制御回路の内部構
成を示す制御ブロック図である。
【0420】この直流電圧/有効電力制御回路は、直流
電圧の設定値Edpと検出値Edの差分を不感帯回路22
及び一定の増幅率K2を持つ増幅器202に入力し、不
感帯回路22の出力を一定の増幅率K1を持つ増幅器2
01を介して、増幅率K2を持つ増幅器202の出力に
加算し、この加算した値をさらに有効電力設定値Pref
と有効電力検出値Paの差分ΔPに加算して、補正した
有効電力の差分ΔP′を得る。有効電力制御回路16で
は、補正した有効電力の差分ΔP′が零になるよう制御
を行う。
【0421】以上のように構成された交直変換器の制御
装置では、不感帯回路22の不感範囲を±ΔEdpとする
と、図54に示した直流電圧と有効電力の特性が得られ
る。これにより、直流電圧の運転値が設定値に近い場合
は直流電圧の変化に対する有効電力の変化の割合を小さ
くすることにより有効電力が設定値に近い値に保たれる
よう制御を行い、直流電圧の運転値が設定値から離れた
場合は有効電力の変化に対する直流電圧の変化を小さく
することにより直流電圧がさらに大きく設定値からはず
れることのないよう制御が行われる。
【0422】このような実施の形態によっても、第42
の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0423】(第44の実施の形態)図56は、第44
の実施の形態に係る直流送電システムの一部の構成を示
しており、交直交換器の制御装置における直流電圧/有
効電力制御回路の内部構成を示す制御ブロック図であ
る。
【0424】第44の実施の形態に係る多端子直流送電
システムは、図1に示す直流送電システムと同じシステ
ム構成を有しているので、異なる部分である直流電圧/
有効電力制御回路について詳しく説明する。
【0425】この直流電圧/有効電力制御回路は、3種
類の異なる値の直流電圧設定値Edp、EdpH、EdpLを
設け、設定値EdpはEdpHより小さく、かつEdpLより
大きな値を設定する。有効電力の検出値Paと設定値P
ref の差分を一定の増幅率rを持つ増幅器19に入力
し、一方、直流電圧設定値Edpと検出値Edの差分を、
あらかじめ設定された不感範囲をもつ不感帯回路22に
入力する。そして、1段目の直流電圧制御回路151で
不感帯回路22の出力と増幅器19の出力が等しくなる
よう制御を行う。また、2段目の直流電圧制御回路15
2で、直流電圧検出値Edが直流電圧設定値EdpHと等
しくなるよう制御を行い、3段目の直流電圧制御回路1
53で、直流電圧検出値Edが直流電圧設定値EdpLと
等しくなるよう制御を行う。
【0426】1段目の直流電圧制御回路151の出力
は、2段目の直流電圧制御回路152の出力に対する上
限リミット値として使用され、2段目の直流電圧制御回
路152の出力は3段目の直流電圧制御回路153の出
力に対する下限リミット値として使用される。3段目の
直流電圧制御回路153の出力が最終的な出力Idrefと
して、図65における交流電流制御回路10へ与えられ
る。
【0427】なお、1段目の直流電圧制御回路151、
2段目の直流電圧制御回路152、3段目の直流電圧制
御回路153は、例えば比例積分回路などで構成された
制御回路であり、上記で説明した上下限リミット値とし
ては変換器の定格容量などから決まる固定値が設定され
ている。
【0428】以上のように構成された交直変換器の制御
装置では、不感帯回路22の不感範囲を±ΔEdpとする
と、図36に示すような直流電圧と有効電力の特性が得
られる。すなわち、直流電圧の運転値が設定値Edpに対
し、Edp±ΔEdpの範囲にある場合は、不感帯回路22
の出力が零となるので、1段目の直流電圧制御回路15
1では、有効電力を設定値Pref どおりに制御し、また
直流電圧検出値Edは設定値EdpHより小さくEdpLよ
り大きな値なので、2段目の直流電圧制御回路152は
上限リミッタにかかった状態、3段目の直流電圧制御回
路153は下限リミッタにかかった状態で運転される。
従って、1段目の直流電圧制御回路151の出力が最終
的な出力Idrefとなり、有効電力が設定値Pref どおり
に制御される。直流電圧の運転値が設定値Edpに対し、
±ΔEdpの範囲を越えると、越えた値に比例した値が不
感帯回路22の出力となり、その値と増幅器19の出力
が等しくなるよう制御されるため、有効電力は直流電圧
が低下するにつれ増加する右下がり、あるいは直流電圧
が上昇するにつれ低下する左上がりの特性となる。さら
に直流電圧の変動が大きくなり、例えば設定値EdpHよ
り大きな値になると、2段目の直流電圧制御回路152
が上限リミッタにかかった状態からEdpHを設定値とす
る直流電圧制御に切り替わり、直流電圧を一定に制御す
る。逆に、直流電圧が設定値EdpLより小さな値になる
と、3段目の直流電圧制御回路153が下限リミッタに
かかった状態からEdpLを設定値とする直流電圧制御に
切り替わり、直流電圧を一定に制御する。
【0429】このような実施の形態によれば、図56に
示す制御回路を備えた変換器により直流送電システムを
構成するので、通常は与えられた有効電力設定値どおり
の電力融通を行い、直流電圧の運転値が一定の範囲を越
えた場合には、直流電圧の変動分によって有効電力の運
転点を補正することにより有効電力が設定値から大きく
逸脱することなく、かつ直流電圧の変動を抑えるよう制
御することができ、さらに直流電圧の変動が大きくなっ
た場合には、直流電圧一定制御を行うことによって、直
流電圧の大幅な低下や上昇を防止して運転を行うことが
できる。
【0430】(第45の実施の形態)第45の実施の形
態は、第44の実施の形態において1段目及び2段目の
直流電圧制御回路の出力を上下限リミット値として使用
しているのに対して、最小値選択回路及び最大値選択回
路退く組み合わせにより同様の機能を持たせた例であ
る。
【0431】第45の実施の形態に係る多端子直流送電
システムは、図1に示す直流送電システムと同じシステ
ム構成を有しているので、異なる部分である直流電圧/
有効電力制御回路について詳しく説明する。
【0432】図57は、第45の実施の形態に係る直流
送電システムの一部の構成を示しており、交直交換器の
制御装置における直流電圧/有効電力制御回路の内部構
成を示す制御ブロック図である。
【0433】この直流電圧/有効電力制御回路は、1段
目の直流電圧制御回路151の出力と2段目の直流電圧
制御回路152の出力を最小値選択回路24に入力し小
さい方の値を選択し、最小値選択回路24の出力と3段
目の直流電圧制御回路153の出力を最大値選択回路2
5に入力し大きい方の値を選択し出力する構成としてい
る。その他は第44の実施の形態と同じ構成である。
【0434】以上のように構成された交直変換器の制御
装置では、不感帯回路22の不感範囲を±ΔEdpとする
と、図36に示す直流電圧と有効電力の特性が得られ
る。すなわち、直流電圧の運転値が設定値Edpに対し、
±ΔEdpの範囲にある場合は、有効電力が設定値Pref
どおりの値となるよう制御が行われ、直流電圧の運転値
がEdp±ΔEdpの範囲を越えると、有効電力は直流電圧
が低下するにつれ増加する右下がり、あるいは直流電圧
が上昇するにつれ低下する左上がりの特性となる。さら
に直流電圧の変動が大きくなり、設定値EdpLより小さ
な値、または、設定値EdpHより大きな値になると、そ
れぞれEdpL、EdpHを設定値として直流電圧制御が行
われ、直流電圧を一定に制御する。
【0435】このような実施の形態によれば、第44の
実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0436】(第46の実施の形態)図58は、第46
の実施の形態に係る直流送電システムの一部の構成を示
しており、交直交換器の制御装置における直流電圧/有
効電力制御回路の内部構成を示す制御ブロック図であ
る。
【0437】第46の実施の形態に係る多端子直流送電
システムは、図1に示す直流送電システムと同じシステ
ム構成を有しているので、異なる部分である直流電圧/
有効電力制御回路について詳しく説明する。
【0438】この直流電圧/有効電力制御回路は、有効
電力の設定値Pref と検出値Paの差分ΔPを乗算器2
8に与えΔP×ΔPの演算を行い、その出力の増幅率r
を持つ増幅器19を介して直流電圧設定値Edpに加算し
て、補正した直流電圧設定値Edp′を得る。直流電圧制
御回路15で、直流電圧検出値Edが補正した直流電圧
設定値Edp′に等しくなるよう制御を行う。なお、直流
電圧制御回路15は、例えば比例積分回路で構成された
制御回路であり、出力は、変換器の定格容量などから決
まる上下限リミット値により制限される。
【0439】以上のように構成された交直変換器の制御
装置では、図59に示すような直流電圧と有効電力の特
性が得られる。すなわち、有効電力の運転値が設定値P
refと等しい場合は、増幅器19出力が零となるので、
直流電圧設定値Edpに対して補正が行われず、直流電圧
は当初与えられた設定値Edpどおりに制御される。
【0440】有効電力の運転値と設定値Pref に差が生
じた場合、その差の大きさが二乗に比例した値が直流電
圧設定値Edpに加算されるため、有効電力が増えるにつ
れ直流電圧が低下し、有効電力が減少するにつれ直流電
圧が上昇する右下がりの特性となる。
【0441】有効電力の設定値と検出値の差が小さい場
合には、その値を二乗した値もさらに小さくなるため、
直流電圧が補正される割合が小さいが、有効電力の設定
値Pref と検出値Paの差が大きくなると、その値を二
乗した値はさらに大きな割合で変化するため、特性は図
59で示すような曲線となる。これにより、有効電力の
運転値が設定値に近い場合は有効電力の変化に対する直
流電圧の変化を小さくすることにより直流電圧が設定値
に近い値に保たれるよう制御を行い、有効電力の運転値
が設定値から離れた場合は有効電力の変化に対する直流
電圧の変化を大きくすることにより有効電力がさらに大
きく設定値からはずれることのないよう制御を行う。
【0442】このような実施の形態によれば、有効電力
の設定値Pref と検出値Paの差分ΔPを乗算器28に
与えてΔP×ΔPの演算を行い、その出力の増幅率rを
持つ増幅器19を介して直流電圧設定値Edpに加算して
補正した直流電圧設定値Edp′を得るようにしたので、
通常は有効電力と直流電圧が設定値どおりになるよう制
御を行い、直流送電システム全体の有効電力が不平衡に
なった場合には直流電圧が設定値から大きく逸脱するの
を防止し、かつ有効電力運転値が設定値から大きく逸脱
した場合には、それ以上有効電力が設定値から逸脱する
のを防止しながら運転を行うことができる。
【0443】(第47の実施の形態)第47の実施の形
態は、第46の実施の形態において乗算器で図59に示
す特性を得ているのに対して、平方根演算回路を使用し
て所望の特性を実現するようにした例である。
【0444】第47の実施の形態に係る多端子直流送電
システムは、図1に示す直流送電システムと同じシステ
ム構成を有しているので、異なる部分である直流電圧/
有効電力制御回路について詳しく説明する。
【0445】図60は第47の実施の形態に係る直流送
電システムの一部の構成を示しており、交直交換器の制
御装置における直流電圧/有効電力制御回路の内部構成
を示す制御ブロック図である。
【0446】この直流電圧/有効電力制御回路は、有効
電力の設定値Pref と検出値Paの差分を平方根演算回
路29に入力して差分の平方根を演算し、その出力を直
流電圧設定値Edpに加算して補正した直流電圧設定値E
dp′を得る。直流電圧制御回路15では、直流電圧検出
値Edが補正した直流電圧設定値Edp′に等しくなるよ
う制御を行う。
【0447】平方根演算回路29は、例えば図61に示
すように入力xが正の値であれば出力y=r・(x)
1/2 、入力xが負の値であれば出力y=−r(−x)
1/2 という関係の、入力xに対する出力yのテーブルを
内臓したディジタル回路である。以上のように構成され
た交直変換器の制御装置では、図60の制御回路を使用
すると、図62に示すような直流電圧と有効電力の特性
が得られる。すなわち、有効電力の運転値が設定値Pre
f と等しい場合は、増幅器19出力が零となるので、直
流電圧設定値Edpに対して補正が行われず、直流電圧は
当初与えられた設定値Edpどおりに制御される。
【0448】有効電力の運転値と設定値Pref に差が生
じた場合、その差の大きさの平方根に比例した値が直流
電圧設定値Edpに加算されるため、有効電力が増えるに
つれ直流電圧が低下し、有効電力が減少するにつれ直流
電圧が上昇する右下がりの特性となる。
【0449】有効電力の設定値と検出値の差が小さい場
合には、有効電力の設定値と検出値の差が大きい場合に
比べ、その平方根の値の変化の割合が大きいので、特性
は図62で示すような曲線となる。これにより、有効電
力の運転値が設定値に近い場合は有効電力の変化に対す
る直流電圧の変化を大きくすることにより有効電力が設
定値に近い値に保たれるよう制御を行い、有効電力の運
転値が設定値から離れた場合は有効電力の変化に対する
直流電圧の変化を小さくすることによって直流電圧が大
きく設定値からはずれることのないよう制御を行う。
【0450】このような実施の形態によれば、図60に
示す制御回路を使用することにより、通常は有効電力と
直流電圧が設定値どおりになるよう制御を行い、直流送
電システム全体の有効電力が不平衡になった場合には有
効電力が設定値から大きく逸脱するのを防止し、かつ直
流電圧運転値が設定値から大きく逸脱した場合には、そ
れ以上直流電圧が設定値から逸脱するのを防止しながら
運転を行うことができる。
【0451】(第48の実施の形態)図63は、第48
の実施の形態に係る直流送電システムの一部の構成を示
しており、交直交換器の制御装置における直流電圧/有
効電力制御回路の内部構成を示す制御ブロック図であ
る。
【0452】第48の実施の形態に係る多端子直流送電
システムは、図1に示す直流送電システムと同じシステ
ム構成を有しているので、異なる部分である直流電圧/
有効電力制御回路について詳しく説明する。
【0453】この直流電圧/有効電力制御回路は、直流
電圧の設定値Edpと検出値Edの差分ΔEdを乗算器2
8に与えΔEd×ΔEdの演算を行い、その出力を一定
の増幅率Kを持つ増幅器20を介して有効電力設定値P
ref に加算して、補正した有効電力設定値Pref ′を得
る。有効電力制御回路16では、有効電力検出値Paが
補正した有効電力設定値Pref ′に等しくなるよう制御
を行う。
【0454】以上のように構成された交直変換器の制御
装置では、図62に示すような直流電圧と有効電力の特
性が得られる。すなわち、直流電圧の検出値Edが設定
値Edpと等しい場合は、増幅器20の出力が零となるの
で、有効電力設定値Pref に対して補正が行われず、有
効電力は当初与えられた設定値Pref どおりに制御され
る。直流電圧の検出値Edと設定値Edpに差が生じた場
合、その差の大きさの二乗に比例した値が有効電力設定
値Pref に加算されるため、直流電圧が上昇するにつれ
有効電力が低下し、直流電圧が低下するにつれ有効電力
が増加する右下がりの特性となる。直流電圧の設定値と
検出値の差が小さい場合には、その値を二乗した値もさ
らに小さくなるため、有効電力が補正される割合が小さ
いが、直流電圧の設定値と検出値の差が大きくなると、
その値を二乗した値はさらに大きな割合で変化するた
め、特性は図62で示すような曲線となる。これによ
り、直流電圧の運転値が設定値に近い場合は直流電圧の
変化に対する有効電力の変化を小さくすることにより有
効電力が設定値に近い値に保たれるよう制御を行い、直
流電圧の運転値が設定値から離れた場合は直流電圧の変
化に対する有効電力の変化を大きくすることにより、直
流電圧がさらに大きく設定値からはずれることのないよ
う制御を行う。
【0455】このような実施の形態によれば、通常は有
効電力と直流電圧が設定値どおりになるよう制御を行
い、直流送電システム全体の有効電力が不平衡になった
場合には有効電力が設定値から大きく逸脱するのを防止
し、かつ直流電圧運転値が設定値から大きく逸脱した場
合には、それ以上直流電圧が設定値から逸脱するのを防
止しながら運転を行うことができる。
【0456】(第49の実施の形態)図64は、第49
の実施の形態に係る直流送電システムの一部の構成を示
しており、交直交換器の制御装置における直流電圧/有
効電力制御回路の内部構成を示す制御ブロック図であ
る。
【0457】第49の実施の形態に係る多端子直流送電
システムは、図1に示す直流送電システムと同じシステ
ム構成を有しているので、異なる部分である直流電圧/
有効電力制御回路について詳しく説明する。
【0458】この直流電圧/有効電力制御回路は、直流
電圧の設定値Edpと直流電圧検出値Edの差分を平方根
演算回路29に入力して差分の平方根を演算し、その出
力を有効電力設定値Pref に加算して補正した有効電力
設定値Pref ′を得る。有効電力制御回路16では、有
効電力検出値Paが補正した有効電力設定値Pref ′に
等しくなるよう制御を行う。ここで平方根演算回路29
は、例えば、図61に示すように、入力xが正の値であ
れば出力y=r・√x、入力xが負の値であれば出力y
=−r・√−xという関係の、入力xに対する出力yの
テーブルを内臓したディジタル回路である。
【0459】以上のように構成された交直変換器の制御
装置では、図59に示すような直流電圧と有効電力の特
性が得られ、直流電圧の検出値Edが設定値Edpと等し
い場合は、増幅器20の出力が零となるので、有効電力
設定値Pref に対して補正が行われず、有効電力は当初
与えられた設定値Pref どおりに制御される。直流電圧
の検出値Edと設定値Edpに差が生じた場合、その差の
大きさの平方根に比例した値が有効電力設定値Pref に
加算されるため、直流電圧が上昇するにつれ有効電力が
低下し、直流電圧が低下するにつれ有効電力が増加する
右下がりの特性となる。直流電圧の設定値と検出値の差
が小さい場合には、直流電圧の設定値と検出値の差が大
きい場合に比べ、その平方根の値の変化の割合が大きい
ので、特性は図59で示すような曲線となる。これによ
り、直流電圧の運転値が設定値に近い場合は直流電圧の
変化に対する有効電力の変化を大きくすることにより直
流電圧が設定値に近い値に保たれるよう制御を行い、直
流電圧の運転値が設定値から離れた場合は直流電圧の変
化に対する有効電力の変化を小さくして、有効電力が大
きく設定値からはずれることのないよう制御を行う。
【0460】このような実施の形態によれば、図64に
示す制御回路を使用することにより、通常は有効電力と
直流電圧が設定値どおりになるよう制御を行い、直流送
電システム全体の有効電力が不平衡になった場合には有
効電力が設定値から大きく逸脱するのを防止し、かつ直
流電圧運転値が設定値から大きく逸脱した場合には、そ
れ以上直流電圧が設定値から逸脱するのを防止しながら
運転を行うことができる。
【0461】
【発明の効果】本発明の交直変換器の制御装置によれ
ば、複数の変換器で構成される直流送電システムが、与
えられた設定値どおりの有効電力および直流電圧を保っ
て運転し、さらに、複数の変換器のうち何台かが事故に
より停止した場合や、有効電力の運転値が変化した場合
にも、健全な変換器の有効電力および直流電圧の設定値
を補正して制御を行うことにより、健全な変換器の有効
電力および直流電圧の変動を最小限に抑えて運転を行う
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係る交直変換器の制御装置
の直流電圧/有効電力制御回路のブロック図。
【図2】第1の実施の形態における直流電圧と有効電力
の関係を説明する特性図。
【図3】第1の実施の形態の動作特性を従来の制御装置
と比較したシュミレーション波形図。
【図4】第2の実施の形態に係る交直変換器の制御装置
における直流電圧/有効電力制御回路のブロック図。
【図5】第3の実施の形態に係る交直変換器の制御装置
における直流電圧/有効電力制御回路のブロック図。
【図6】第3の実施の形態における直流電圧と有効電力
の関係を説明する特性図。
【図7】第4の実施の形態に係る交直変換器の制御装置
における直流電圧/有効電力制御回路のブロック図。
【図8】第5の実施の形態に係る交直変換器の制御装置
における直流電圧/有効電力制御回路のブロック図。
【図9】第6の実施の形態に係る交直変換器の制御装置
における直流電圧/有効電力制御回路のブロック図。
【図10】第7の実施の形態に係る交直変換器の制御装
置における直流電圧/有効電力制御回路のブロック図。
【図11】第8の実施の形態に係る交直変換器の制御装
置における直流電圧/有効電力制御回路のブロック図。
【図12】第9の実施の形態に係る交直変換器の制御装
置における直流電圧/有効電力制御回路のブロック図。
【図13】第9の実施の形態における直流電圧と有効電
力の関係を説明する特性図。
【図14】第9の実施の形態に係る交直変換器の制御装
置を適用した場合の動作特性を、従来の制御装置を適用
した場合と比較するシミュレーション波形図。
【図15】第10の実施の形態に係る交直変換器の制御
装置における直流電圧/有効電力制御回路のブロック
図。
【図16】第11の実施の形態に係る交直変換器の制御
装置における直流電圧/有効電力制御回路のブロック
図。
【図17】第12の実施の形態に係る交直変換器の制御
装置における直流電圧/有効電力制御回路のブロック
図。
【図18】第13の実施の形態に係る交直変換器の制御
装置における直流電圧/有効電力制御回路のブロック
図。
【図19】第14の実施の形態に係る交直変換器の制御
装置における直流電圧/有効電力制御回路のブロック
図。
【図20】第15の実施の形態に係る交直変換器の制御
装置における直流電圧/有効電力制御回路のブロック
図。
【図21】第16の実施の形態に係る交直変換器の制御
装置における直流電圧/有効電力制御回路のブロック
図。
【図22】第16の実施の形態における直流電圧と有効
電力の関係を説明する特性図。
【図23】第17の実施の形態に係る交直変換器の制御
装置における直流電圧/有効電力制御回路のブロック
図。
【図24】第18の実施の形態に係る交直変換器の制御
装置における直流電圧/有効電力制御回路のブロック
図。
【図25】第19の実施の形態に係る交直変換器の制御
装置における直流電圧/有効電力制御回路のブロック
図。
【図26】第20の実施の形態に係る交直変換器の制御
装置における直流電圧/有効電力制御回路のブロック
図。
【図27】第21の実施の形態に係る交直変換器の制御
装置における直流電圧/有効電力制御回路のブロック
図。
【図28】第22の実施の形態に係る交直変換器の制御
装置における直流電圧/有効電力制御回路のブロック
図。
【図29】第23の実施の形態に係る交直変換器の制御
装置における直流電圧/有効電力制御回路のブロック
図。
【図30】第24の実施の形態に係る交直変換器の制御
装置における直流電圧/有効電力制御回路のブロック
図。
【図31】第24の実施の形態における直流電圧と有効
電力の関係を説明する特性図。
【図32】第25の実施の形態に係る交直変換器の制御
装置における直流電圧/有効電力制御回路のブロック
図。
【図33】第25の実施の形態における直流電圧と有効
電力の関係を説明する特性図。
【図34】第26の実施の形態に係る交直変換器の制御
装置における直流電圧/有効電力制御回路のブロック
図。
【図35】第27の実施の形態に係る交直変換器の制御
装置における直流電圧/有効電力制御回路のブロック
図。
【図36】第27の実施の形態における直流電圧と有効
電力の関係を説明する特性図。
【図37】第28の実施の形態に係る交直変換器の制御
装置における直流電圧/有効電力制御回路のブロック
図。
【図38】第29の実施の形態に係る交直変換器の制御
装置における直流電圧/有効電力制御回路のブロック
図。
【図39】第30の実施の形態に係る交直変換器の制御
装置における直流電圧/有効電力制御回路のブロック
図。
【図40】第31の実施の形態に係る交直変換器の制御
装置における直流電圧/有効電力制御回路のブロック
図。
【図41】第32の実施の形態に係る交直変換器の制御
装置における直流電圧/有効電力制御回路のブロック
図。
【図42】第33の実施の形態に係る交直変換器の制御
装置における直流電圧/有効電力制御回路のブロック
図。
【図43】第34の実施の形態に係る交直変換器の制御
装置における直流電圧/有効電力制御回路のブロック
図。
【図44】第35の実施の形態に係る交直変換器の制御
装置における直流電圧/有効電力制御回路のブロック
図。
【図45】第35の実施の形態における直流電圧と有効
電力の関係を説明する特性図。
【図46】第36の実施の形態に係る交直変換器の制御
装置における直流電圧/有効電力制御回路のブロック
図。
【図47】第37の実施の形態に係る交直変換器の制御
装置における直流電圧/有効電力制御回路のブロック
図。
【図48】第38の実施の形態に係る交直変換器の制御
装置における直流電圧/有効電力制御回路のブロック
図。
【図49】第39の実施の形態に係る交直変換器の制御
装置における直流電圧/有効電力制御回路のブロック
図。
【図50】第40の実施の形態に係る交直変換器の制御
装置における直流電圧/有効電力制御回路のブロック
図。
【図51】第40の実施の形態における直流電圧と有効
電力の関係を説明する特性図。
【図52】第41の実施の形態に係る交直変換器の制御
装置における直流電圧/有効電力制御回路のブロック
図。
【図53】第42の実施の形態に係る交直変換器の制御
装置における直流電圧/有効電力制御回路のブロック
図。
【図54】第42の実施の形態における直流電圧と有効
電力の関係を説明する特性図。
【図55】第43の実施の形態に係る交直変換器の制御
装置における直流電圧/有効電力制御回路のブロック
図。
【図56】第44の実施の形態に係る交直変換器の制御
装置における直流電圧/有効電力制御回路のブロック
図。
【図57】第45の実施の形態に係る交直変換器の制御
装置における直流電圧/有効電力制御回路のブロック
図。
【図58】第46の実施の形態に係る交直変換器の制御
装置における直流電圧/有効電力制御回路のブロック
図。
【図59】第46の実施の形態における直流電圧と有効
電力の関係を説明する特性図。
【図60】第47の実施の形態に係る交直変換器の制御
装置における直流電圧/有効電力制御回路のブロック
図。
【図61】第47の実施の形態に係る交直変換器の制御
装置の一部である、平方根演算回路に内臓された入出力
テーブルの特性を説明する図。
【図62】第47の実施の形態における直流電圧と有効
電力の関係を説明する特性図。
【図63】第48の実施の形態に係る交直変換器の制御
装置における直流電圧/有効電力制御回路のブロック
図。
【図64】第49の実施の形態に係る交直変換器の制御
装置における直流電圧/有効電力制御回路のブロック
図。
【図65】複数の交直変換器から構成された直流送電シ
ステムの主回路および制御装置の構成図。
【図66】二端子直流送電システムに適用される交直変
換器の制御装置の、第1の従来の直流電圧/有効電力制
御回路のブロック図。
【図67】多端子直流送電システムに適用される交直変
換器の制御装置の、第2の従来の直流電圧/有効電力制
御回路のブロック図。
【図68】多端子直流送電システムに適用される交直変
換器の制御装置の、第3の従来の直流電圧/有効電力制
御回路のブロック図。
【図69】第3の従来の直流電圧/有効電力制御回路を
適用した場合の、直流電圧と有効電力の関係を説明する
特性図。
【符号の説明】
1、1′…交流母線 2、2′…変換器用
変圧器 3、3′…自励式交直変換器 4…直流コンテンサ 5…直流電圧検出器 6…有効電力検出器 7…直流電圧/有効電力制御回路 8…無効電力検出器 9…無効電力制御回路 10…交流電流制御
回路 11…三相/二相変換回路 12…PWM制御回
路 13…位相検出回路 14…パルス発生回
路 15(151、152、153)…直流電圧制御回路 16…有効電力制御回路 17…スイッチ回路 18…不感帯回路 19(191、192、193)…増幅器 20(201、202)…増幅器 21(211、21
2)…加算器 22…不感帯回路 23(231、23
2)…加算器 24…最小値選択回路 25…最大値選択回
路 26(261、262)…加算器 27…リミッタ回路 28…乗算器 29…平方根演算回
路 Pref (Pref ′)…有効電力設定値 Pa…有効電力検出値 Edp(Edp′、Edp″、EdpH、EdpL)…直流電圧設
定値 Ed…直流電圧検出値 r…増幅率 K…増幅率 ΔPref …有効電力
の不感範囲幅 ΔEdp…直流電圧の不感範囲幅または直流電圧設定値バ
イアス分 ΔP(ΔP′)…有効電力の設定値と検出値の差分 ΔEd(ΔEd′、ΔEdH、ΔEdL)…直流電圧の設定
値と検出値の差分 Pmax 出力上限リミット値 Pmin …出力下限リミ
ット値 Edmax…直流電圧上限値 Edmin…直流電圧下限
値 P1、P2…有効電力の不感範囲 APR…有効電力制御回路 AVR…直流電圧制御
回路 LVG…最小値選択回路 HVG…最大値選択回
路 Idref…交流電流の有効電力成分設定値 Iqref…交流電流の無効電力成分設定値 Id…交流電流の無効電力成分検出値 Iq…交流電流の無効電力成分検出値 Qref …無効電力設定値 Qa…無効電力検出値 Cm…制御率 φ…位相角
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂本 幸治 神奈川県横浜市鶴見区江ケ崎町4番1号 東京電力株式会社電力技術研究所内 (72)発明者 大槻 みどり 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝 府中工場内 (72)発明者 武田 秀雄 東京都港区芝浦一丁目1番1号 株式会社 東芝本社事務所内 (72)発明者 川上 紀子 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝 府中工場内

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 交流電力と直流電力の変換を行う交直変
    換器が直流回路で複数台接続される直流送電システムに
    おける交直変換器の制御装置において、 変換器が融通する有効電力の設定値と検出値との差又は
    有効電力検出値が予め設定した範囲を逸脱した場合に
    は、逸脱した大きさに比例した値を加算することにより
    直流電圧設定値を補正し、この補正した直流電圧設定値
    と直流電圧検出値とが等くなるように制御することを特
    徴とする交直変換器の制御装置。
  2. 【請求項2】 交流電力と直流電力の変換を行う交直変
    換器が直流回路で複数台接続される直流送電システムに
    おける交直変換器の制御装置において、 直流電圧の設定値と検出値との差分を求めて当該差分に
    比例定数を乗算した値が零になるように制御し、変換器
    の融通する有効電力の設定値と検出値との差又は有効電
    力検出値が予め設定した範囲から逸脱した場合にはその
    逸脱した大きさと前記乗算値とが等しくなるように制御
    することを特徴とする交直変換器の制御装置。
  3. 【請求項3】 交流電力と直流電力の変換を行う交直変
    換器が直流回路で複数台接続される直流送電システムに
    おける交直変換器の制御装置において、 直流電圧の設定値と検出値との差が予め設定した範囲か
    ら逸脱した場合に、逸脱した大きさに比例した値を加算
    することにより変換器が融通する有効電力の設定値を補
    正し、その補正した有効電力の設定値と有効電力検出値
    とが等しくなるように制御することを特徴とする交直変
    換器の制御装置。
  4. 【請求項4】 交流電力と直流電力の変換を行う交直変
    換器が直流回路で複数台接続される直流送電システムに
    おける交直変換器の制御装置において、 変換器の融通する有効電力の設定値と検出値との差分を
    求めて当該差分に比例定数を乗算した値が零になるよう
    に制御し、直流電圧の設定値と検出値との差が予め設定
    した範囲から逸脱した場合にはその逸脱した大きさと前
    記乗算値とが等しくなるように制御することを特徴とす
    る交直変換器の制御装置。
  5. 【請求項5】 交流電力と直流電力の変換を行う交直変
    換器が直流回路で複数台接続される直流送電システムに
    おける交直変換器の制御装置において、 変換器の融通する有効電力の設定値と検出値の差に比例
    した値を、2種類の異なる値の直流電圧設定値にそれぞ
    れ加算することにより、前記2種類の異なる直流電圧設
    定値の両方をそれぞれ補正する補正手段と、この補正手
    段で補正した2種類の直流電圧設定値のうち大きい方の
    値と直流電圧検出値が等しくなるよう制御を行う1段目
    の直流電圧制御回路と、前記補正手段で補正した2種類
    の直流電圧設定値のうち小い方の値と直流電圧検出値が
    等しくなるよう制御を行う2段目の直流電圧制御回路
    と、変換器が融通する有効電力の設定値と検出値が等し
    くなるよう制御を行う有効電力制御回路とを備え、 前記有効電力制御回路の出力を前記1段目の直流電圧制
    御回路の出力値に対する上限値として使用し、前記1段
    目の直流電圧制御回路の出力を前記2段目の直流電圧制
    御回路の出力値に対する下限値として使用し、前記2段
    目の直流電圧制御回路の出力を、直流電圧と有効電力に
    対する最終的な制御出力値として使用することを特徴と
    する交直変換器の制御装置。
  6. 【請求項6】 交流電力と直流電力の変換を行う交直変
    換器が直流回路で複数台接続される直流送電システムに
    おける交直変換器の制御装置において、 変換器が融通する有効電力の設定値と有効電力検出値の
    差に比例した値を加算することにより直流電圧設定値を
    補正し、この補正した直流電圧設定値が一定の範囲を逸
    脱しないよう制限し、かつ、この制限された前記直流電
    圧設定値と直流電圧検出値とが等しくなるように制御す
    ることを特徴とする交直変換器の制御装置。
  7. 【請求項7】 交流電力と直流電力の変換を行う交直変
    換器が直流回路で複数台接続される直流送電システムに
    おける交直変換器の制御装置において、 3種類の異なる値の直流電圧設定値が設定され、この3
    種類の直流電圧設定値のうち中間の値の直流電圧設定値
    と直流電圧検出値の差に比例した値を、変換器の融通す
    る有効電力の設定値に加算することにより有効電力設定
    値を補正する補正手段と、この補正手段によって補正し
    た有効電力設定値と有効電力検出値とが等しくなるよう
    制御を行う有効電力制御回路と、前記3種類の直流電圧
    設定値のうち最も大きな値の直流電圧設定値と直流電圧
    検出値が等しくなるよう制御を行う1段目の直流電圧制
    御回路と、前記3種類の直流電圧設定値のうち最も小さ
    な値の直流電圧設定値と直流電圧検出値が等しくなるよ
    う制御を行う2段目の直流電圧制御回路とを備え、 前記有効電力制御回路の出力を前記1段目の直流電圧制
    御回路の出力値に対する上限値として使用し、前記1段
    目の直流電圧制御回路の出力を前記2段目の直流電圧制
    御回路の出力値に対する下限値として使用し、前記2段
    目の直流電圧制御回路の出力を直流電圧と有効電力に対
    する最終的な制御出力値として使用することを特徴とす
    る交直変換器の制御装置。
  8. 【請求項8】 交流電力と直流電力の変換を行う交直変
    換器が直流回路で複数台接続される直流送電システムに
    おける交直変換器の制御装置において、 3種類の異なる値の直流電圧設定値が設定され、この3
    種類の直流電圧設定値のうち中間の値の設定値に対し、
    変換器の融通する有効電力の設定値と検出値の差に比例
    した値を加算することにより補正を行う補正手段と、こ
    の補正手段によって補正した直流電圧設定値と直流電圧
    検出値が等しくなるよう制御を行う1段目の直流電圧制
    御回路と、前記3種類の直流電圧設定値のうち最も大き
    な値の直流電圧設定値と直流電圧検出値が等しくなるよ
    う制御を行う2段目の直流電圧制御回路と、前記3種類
    の直流電圧設定値のうち最も小さな値の直流電圧設定値
    と直流電圧検出値が等しくなるよう制御を行う3段目の
    直流電圧制御回路とを備え、 前記1段目の直流電圧制御回路の出力を前記2段目の直
    流電圧制御回路の出力値に対する上限値として使用し、
    前記2段目の直流電圧制御回路の出力を前記3段目の直
    流電圧制御回路の出力値に対する下限値として使用し、
    前記3段目の直流電圧制御回路の出力を直流電圧と有効
    電力に対する最終的な制御出力値として使用することを
    特徴とする交直変換器の制御装置。
  9. 【請求項9】 交流電力と直流電力の変換を行う交直変
    換器が直流回路で複数台接続される直流送電システムに
    おける交直変換器の制御装置において、 変換器が融通する有効電力の設定値と検出値の差の値又
    は有効電力検出値が予め設定した範囲から逸脱した場合
    には、逸脱した大きさに比例した値を加算することによ
    り直流電圧設定値を補正し、この補正した直流電圧設定
    値が一定の範囲を逸脱しないよう制限し、この制限され
    た前記直流電圧設定値と直流電圧検出値とが等しくなる
    よう制御することを特徴とする交直変換器の制御装置。
  10. 【請求項10】 交流電力と直流電力の変換を行う交直
    変換器が直流回路で複数台接続される直流送電システム
    における交直変換器の制御装置において、 3種類の異なる値の直流電圧設定値が設定され、前記3
    種類の直流電圧設定値のうち中間の値の設定値と直流電
    圧検出値の差が予め設定した範囲から逸脱した場合に
    は、逸脱した大きさに比例した値を加算することにより
    変換器の融通する有効電力の設定値を補正する補正手段
    と、この補正手段によって補正した有効電力設定値と有
    効電力検出値が等しくなるよう制御を行う有効電力制御
    回路と、前記3種類の直流電圧設定値のうち最も大さな
    値の直流電圧設定値と直流電圧検出値が等しくなるよう
    制御を行う1段目の直流電圧制御回路と、前記3種類の
    直流電圧設定値のうち最も小さな値の直流電圧設定値と
    直流電圧検出値が等しくなるよう制御を行う2段目の直
    流電圧制御回路とを備え、 前記有効電力制御回路の出力を前記1段目の直流電圧制
    御回路の出力値に対する上限値として使用し、前記1段
    目の直流電圧制御回路の出力を前記2段目の直流電圧制
    御回路の出力値に対する下限値として使用し、前記2段
    目の直流電圧制御回路の出力を直流電圧と有効電力に対
    する最終的な制御出力値として使用することを特徴とす
    る交直変換器の制御装置。
  11. 【請求項11】 交流電力と直流電力の変換を行う交直
    変換器が直流回路で複数台接続される直流送電システム
    における交直変換器の制御装置において、 3種類の値の異なる直流電圧設定値のなかで中間の値の
    直流電圧設定値と直流電圧の検出値との差に比例定数を
    乗算して得られた乗算値が零になるように制御すると共
    に、変換器の融通する有効電力の設定値と検出値の差又
    は有効電力検出値が予め設定した範囲から逸脱した場合
    には逸脱した大きさを値と前記乗算値が等しくなるよう
    制御する有効電力制御回路と、前記3種類の直流電圧設
    定のなかで最も大さな値の直流電圧設定値と直流電圧検
    出値が等しくなるよう制御を行う1段目の直流電圧制御
    回路と、前記3種類の直流電圧設定のなかで最も小さな
    値の直流電圧設定値と直流電圧検出値が等しくなるよう
    制御を行う2段目の直流電圧制御回路とを備え、 前記有効電力制御回路の出力を前記1段目の直流電圧制
    御回路の出力値に対する上限値として使用し、前記1段
    目の直流電圧制御回路の出力を前記2段目の直流電圧制
    御回路の出力値に対する下限値として使用し、前記2段
    目の直流電圧制御回路の出力を直流電圧と有効電力に対
    する最終的な制御出力値として使用することを特徴とす
    る交直変換器の制御装置。
  12. 【請求項12】 交流電力と直流電力の変換を行う交直
    変換器が直流回路で複数台接続される直流送電システム
    における交直変換器の制御装置において、 変換器の融通する有効電力の設定値と検出値の差の値又
    は有効電力検出値が予め設定した範囲から逸脱した場合
    には逸脱した大きさに比例した値を加算することによ
    り、3種類の値の異なる直流電圧設定値のうちで中間の
    値の設定値を補正する補正手段と、この補正手段によっ
    て補正した直流電圧設定値と直流電圧検出値が等しくな
    るよう制御を行う1段目の直流電圧制御回路と、前記3
    種類の直流電圧設定値のうちで最も大きな値の直流電圧
    設定値と直流電圧検出値が等しくなるよう制御を行う2
    段目の直流電圧制御回路と、前記3種類の直流電圧設定
    値のうちで最も小さな値の直流電圧設定値と直流電圧検
    出値が等しくなるよう制御を行う3段目の直流電圧制御
    回路とを備え、 前記1段目の直流電圧制御回路の出力を前記2段目の直
    流電圧制御回路の出力値に対する上限値として使用し、
    前記2段目の直流電圧制御回路の出力を前記3段目の直
    流電圧制御回路の出力値に対する下限値として使用し、
    前記3段目の直流電圧制御回路の出力を直流電圧と有効
    電力に対する最終的な制御出力値として使用することを
    特徴とする交直変換器の制御装置。
  13. 【請求項13】 交流電力と直流電力の変換を行う交直
    変換器が直流回路で複数台接続される直流送電システム
    における交直変換器の制御装置において、 変換器が融通する有効電力の設定値と有効電力の検出値
    の差の値にそれぞれ個別の比例係数を乗算した値を、直
    流電圧設定値、該直流電圧設定値に対する上限値、及び
    該直流電圧設定値に対する下限値に加算してそれぞれ補
    正し、この補正された直流電圧設定値が補正された上限
    値および補正された下限値との範囲を逸脱しないよう制
    限し、この制限された直流電圧設定値と直流電圧検出値
    が等しくなるように制御することを特徴とする交直変換
    器の制御装置。
  14. 【請求項14】 交流電力と直流電力の変換を行う交直
    変換器が直流回路で複数台接続される直流送電システム
    における交直変換器の制御装置において、 3種類の値の異なる直流電圧設定値に、変換器の融通す
    る有効電力の設定値と検出値の差にそれぞれ個別の比例
    係数を乗算して得た乗算値をそれぞれ加算することによ
    り前記3種類の直流電圧設定値を補正する補正手段と、
    この補正手段により前記3種類の直流電圧設定値のうち
    中間の値の直流電圧設定値を補正した値と直流電圧検出
    値が等しくなるよう制御を行う1段目の直流電圧制御回
    路と、前記補正手段により前記3種類の直流電圧設定値
    のうち最も大きな値の直流電圧設定値を補正した値と直
    流電圧検出値が等しくなるよう制御を行う2段目の直流
    電圧制御回路と、前記補正手段により前記3種類の直流
    電圧設定値のうち最も小さな値の直流電圧設定値を補正
    した値と直流電圧検出値が等しくなるよう制御を行う3
    段目の直流電圧制御回路とを備え、 前記1段目の直流電圧制御回路の出力を前記2段目の直
    流電圧制御回路の出力値に対する上限値として使用し、
    前記2段目の直流電圧制御回路の出力を前記3段目の直
    流電圧制御回路の出力値に対する下限値として使用し、
    前記3段目の直流電圧制御回路の出力を直流電圧と有効
    電力に対する最終的な制御出力値として使用することを
    特徴とする交直変換器の制御装置。
  15. 【請求項15】 交流電力と直流電力の変換を行う交直
    変換器が直流回路で複数台接続される直流送電システム
    における交直変換器の制御装置において、 変換器が融通する有効電力の設定値と検出値の差に比例
    した値と、前記有効電力の設定値と検出値の差が予め設
    定した範囲から逸脱した大きさとを加算し、この加算値
    をさらに直流電圧設定値に加算することにより直流電圧
    設定値を補正し、この補正した直流電圧設定値と直流電
    圧検出値が等しくなるように制御することを特徴とする
    交直変換器の制御装置。
  16. 【請求項16】 交流電力と直流電力の変換を行う交直
    変換器が直流回路で複数台接続される直流送電システム
    における交直変換器の制御装置において、 直流電圧設定値と直流電圧検出値の差に比例した値と、
    前記直流電圧設定値と直流電圧検出値の差が予め設定し
    た範囲から逸脱した大きさとを加算し、この加算値をさ
    らに有効電力設定値に加算することにより有効電力の設
    定値を補正し、この補正した有効電力設定値と有効電力
    検出値が等しくなるように制御することを特徴とする交
    直変換器の制御装置。
  17. 【請求項17】 交流電力と直流電力の変換を行う交直
    変換器が直流回路で複数台接続される直流送電システム
    における交直変換器の制御装置において、 有効電力の検出値と設定値の差に比例した値と、3種類
    の値の異なる直流電圧設定値のなかで中間の値の直流電
    圧設定値と直流電圧の検出値の差が予め設定した範囲か
    ら逸脱した大きさとが等しくなるように制御する1段目
    の直流電圧制御回路と、前記3種類の直流電圧設定のな
    かで最も大きな値の直流電圧設定値と直流電圧検出値が
    等しくなるように制御を行う2段目の直流電圧制御回路
    と、前記3種類の直流電圧設定のなかで最も小さな値の
    直流電圧設定値と直流電圧検出値が等しくなるように制
    御を行う3段目の直流電圧制御回路とを備え、 前記1段目の直流電圧制御回路の出力を前記2段目の直
    流電圧制御回路の出力値に対する上限値として使用し、
    前記2段目の直流電圧制御回路の出力を前記3段目の直
    流電圧制御回路の出力値に対する下限値として使用し、
    前記3段目の直流電圧制御回路の出力を直流電圧と有効
    電力に対する最終的な制御出力値として使用することを
    特徴とする交直変換器の制御装置。
  18. 【請求項18】 交流電力と直流電力の変換を行う交直
    変換器が直流回路で複数台接続される直流送電システム
    における交直変換器の制御装置において、 変換器が融通する有効電力の設定値と検出値の差のべき
    乗に比例した値を加算することにより直流電圧設定値を
    補正し、補正された直流電圧設定値と直流電圧検出値が
    等くなるように制御することを特徴とする交直変換器の
    制御装置。
  19. 【請求項19】 交流電力と直流電力の変換を行う交直
    変換器が直流回路で複数台接続される直流送電システム
    の交直変換器における制御装置において、 直流電圧設定値と直流電圧検出値の差のべき乗に比例し
    た値を加算することにより変換器が融通する有効電力の
    設定値を補正し、補正した有効電力設定値と有効電力検
    出値が等しくなるように制御することを特徴とする交直
    変換器の制御装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2016204214A1 (ja) * 2015-06-19 2016-12-22 株式会社 東芝 蓄電池の制御装置及び直流送電システム
US10840813B2 (en) 2016-06-02 2020-11-17 Mitsubishi Electric Corporation Power conversion system
US10958068B2 (en) 2017-01-19 2021-03-23 Mitsubishi Electric Corporation DC transmission system and DC/DC converter used in the same

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