JPH09196910A - 血漿または血清試料の調製方法 - Google Patents
血漿または血清試料の調製方法Info
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Abstract
起こさせることなく高い分離率で血漿を容易に取得しう
る手段を提供する。 【解決手段】 全血に無機塩またはアミノ酸もしくはそ
の塩の水溶液を、全血の体積の20%以下、かつ、該無
機塩またはアミノ酸もしくはその塩の濃度が全血1ml
あたり10〜200μmolの濃度となるように混合
し、次いで血球成分を遠心分離して回収することを特徴
とする、全血から血漿または血清試料を調製する方法。
Description
血清試料を調製する方法に関し、特にヘマトクリット値
の高い全血から血球を破壊させることなく血漿や血清試
料を高い分離率で取得しうる方法に関するものである。
質、脂質、電解室、酵素、抗原、抗体などの種類や濃度
の測定は通常全血を遠心分離して得られる血漿または血
清を検体として行われている。
が、検体が微量のときには回収量が少なく、特に小児や
小動物を被検者とする場合には必要量の検体を確保する
ことが難しいという問題がある。また、検体のHctが
高い時にも分離が困難であった。
から血漿を分離する際の大きな障害となる高ヘマトクリ
ット検体、具体的には新生児や、脱水状態にある患者か
らの全血で記録されることのある、ヘマトクリット値が
60〜70%の範囲の全血でも、確実に血漿分離ができ
る手段を提供することにある。
の開発における問題点は、以下の3点に要約される。 (1) 血漿分離の過程で赤血球の破壊(溶血)を起こ
させないこと。赤血球の破壊により、血球内成分、特に
Hb、GOT、LDH、Kなど血漿中よりも血球内の存
在量が血漿中よりも著しく多い成分の血漿中への放出が
起こって誤差の原因となり、また、Hbの血漿中への放
出により光学的に測光の妨害となる。 (2) ヘマトクリット値が高く(50%以上)、赤血
球の分離が難しく、且つ、より溶血を起こし易い検体に
ついても確実に血漿分離ができること。ヘマトクリット
が高くなると「血液の粘性が」急激に増加する結果分離
が著しく難しくなる。 (3) 血漿分離の過程で組成の変化が起こらないこ
と。
トクリット値の全血検体であっても溶血を起こさせるこ
となく高い分離率で血漿を分離取得しうる手段を開発す
るべく鋭意検討の結果、全血検体にヘマトクリット値を
低下させることのできる薬剤を特定濃度範囲内になるよ
うに添加してから血漿を分離することによりこの目的を
達成することができた。
アミノ酸もしくはその塩の水溶液を全血の体積の20%
以下、かつ、該無機塩またはアミノ酸もしくはその塩の
濃度が全血1mlあたり10〜200μmolの濃度と
なるように混合し、次いで遠心分離法により血球成分を
分離することを特徴とする、全血から血漿または血清試
料の調製方法に関するものである。
体は、ヘパリン、NaF、EDTA、モノヨード酢酸な
どの抗凝固剤や解糖阻止剤などの有無を問わない。本発
明の方法が威力を発揮するのは高ヘマトクリット血液で
あり、ヘマトクリット値が50〜70%特に、55〜7
0%のものである。
血球と血漿の分離を促進してヘマトクリットを低下させ
る作用を有するもの(以下、「HL剤」と称することが
ある。)である。
剤はいずれも水溶性であって溶解度が20℃で100m
M以上、好ましくは1M以上、さらに好ましくは3M以
上のものが適当である。無機塩の例としては1価または
2価のアルカリ金属またはアルカリ土類金属とハロゲン
元素、NO3、SO4またはCO3との組合せからなるも
のを挙げることができる。代表例には、NaCl、Cs
Cl2、Li2SO4、CaCl2、Rb2SO4、Cs2S
O4などがある。アミノ酸の例としては天然アミノ酸を
挙げることができる。代表例にはGly、Ala、As
p、Glu、グリシンアミドアスパラギンなどがある。
無機塩やアミノ酸は水溶液のpHが5〜8、好ましくは
6〜7.5になるようにし、そのため、無機塩やアミノ
酸塩はNaHCO3のように水素塩であってもよい。ま
た、アミノ酸もAspやGluのような酸性アミノ酸は
アルカリ金属やアルカリ土類金属等の塩とし、Lysや
Argのような塩基性アミノ酸の場合にはハロゲン元
素、NO3、SO4、CO3等の塩とすることができる。
する適合性、すなわち血漿中のどのような成分を測定す
るかにより、化合物を検討する必要がある。例えば、血
中のナトリウムやクロルを測定するしようとする場合に
NaClを使用すれば、測定値は大幅にずれてしまう
し、無機燐を測定しようとする場合に燐酸塩は使えな
い。また、測定に使用する試薬の反応性に影響を与える
化合物は使えない。例えば、カルシウムの測定の干渉物
質となるマグネシウムや鉄、銅、バリウム、亜鉛を含む
化合物は、カルシウムを測定しようとする場合には使え
ない。
HL剤の濃度は0.1〜5M程度、好ましくは0.5〜
3M程度、さらに好ましくは1〜2.5M程度が適当で
ある。
ておくことができる。例えば、HL剤の乾燥防止を目的
としてグリセリン、エチレングリコール、ポリエチレン
グリコール等を加えても良い。また、pHを調節する目
的で緩衝剤を加えても良い。さらに、分析の目的に応
じ、濾過血漿中での被検物質の分離を容易にするために
各種の化合物を加えることができる。HDLコレステロ
ール測定の分画試薬であるデキストランやリンタングス
テン酸等、LDLコレステロールとの選択的な結合試薬
がその例である。このような成分の他の例として、各種
抗原や抗体(修飾を加えたものを含む)など血漿中の特
定成分と反応性を有する化合物がある。
が失われて変形しにくくなる。通常、全血を濾過しよう
とすると赤血球の見かけの大きさより十分に小さな空
隙、例えば直径1〜2μmのキャピラリーであっても通
り抜けてしまうことが知られているが、HL剤を添加す
ることにより赤血球の強度の変形はなくなるので、濾過
が非常にし易くなる。
HL剤を添加する全血中の血漿体積に対するHL剤のモ
ル濃度に比例する。一方、HL剤の濃度が200mmo
l/l以上になると血球の破壊(溶血)が起こり易くな
り赤血球の主成分であるヘモグロビンが血漿中に溶出し
てくる。そこで、HL剤の全血への添加量はHL剤の濃
度が全血1mlあたり10〜200μmol程度、好ま
しくは10〜100μmol程度、更に好ましくは20
〜60μmol程度となるようにする。HL剤水溶液の
添加量としては厳密な制限はないが、HL剤の添加量を
あまり大きくすると全血の希釈率が大きくなりずきて、
秤量誤差を大きくするので好ましくない。また、希釈倍
率が高くなると測定感度との関係で、測定時の精度や正
確度が問題となる。そこで、HL剤水溶液の添加量は容
積比で全血の20%以下、好ましくは10%以下、さら
に好ましくは5%以下とする。添加量の下限はHL剤水
溶液におけるHL剤の溶解度等に応じて決まり、通常1
%以上である。このように、HL剤を少量添加するだけ
で濾過がしやすくなるので、測定法の感度や正確度への
影響が少ない。そこで、HL剤水溶液の添加量は容積比
で全血の20%以下、好ましくは10%以下、さらに好
ましくは5%以下とする。添加量の下限はHL剤水溶液
におけるHL剤の溶解度等に応じて定まり、通常1%以
上である。
て血漿の浸透圧を高める。HL剤の添加により血球内と
血漿中での浸透圧の間にギャップが生ずる。この血球内
外の浸透圧差を緩和させるような力が働く。すなわち、
血球内の水を血漿中に排出し、血球内の浸透圧(すなわ
ち溶質濃度)を高くし、血漿の浸透圧を下げて血球内外
の圧力差をなくすような力が働く。その結果、血球の体
積は減少し、血漿の体積が増加する。その結果として、
ヘマトクリットが低下する。
し、またフリーの血漿量が増えるので、血漿の回収率が
向上する。
L剤の濃度と共に上昇するが、血球膜は強度が弱いの
で、ある程度以上濃くなると血球は破壊、溶血してしま
う。HL剤の作用は主としてその浸透圧に由来するの
で、全血中(正確には血漿中)の溶質分子数に比例す
る。HL剤の添加量が多すぎると血球内外の浸透圧差が
大きくなりすぎて、血球が破裂したり、血球膜の一部に
穴があいて、血球内成分が血漿中に漏出する。
を基本としている。赤血球が破壊したり血球膜の一部に
穴があくと、赤血球内成分が血漿中に漏出してしまう。
赤血球内には高濃度のHb(ヘモグロビン)が詰まって
いるので、このような漏出が起こると血漿が赤くなる
(溶血という)。赤血球の破壊は僅かであってもHbの
漏出による血漿の着色は無視できず、項目によって測定
値に強く影響する。例えば、健常者の血液検査におい
て、全血球の0.1%が破壊したとすると、CPK、A
LPなど多くの酵素の測定値は正しく測れない。赤血球
内には血漿中よりも濃度の高い成分(GOT、GPT、
LDH、K)があるのでこれらの項目の測定についても
溶血の影響を直接受ける。そこで、血漿の分離、回収に
当たっては、溶血ができるだけ少ない条件で実施する必
要がある。
ヘモグロビン(Hb)が含まれている。Hbが血漿(血
清)中に漏洩(溶血)すると測定値に影響を与える。そ
の程度は測定法、測定項目によって異なる。
いては溶血の影響を受けにくく、150mg/dl程度
のHbが血漿中に含まれていても(全体の1%が溶血し
たことに相当)正しく測定される。
血の影響を受け易く、特にLDHやKではHbが15m
g/dl(全体の0.1%の溶血に相当)であっても、
測定値は臨床診断上有意な影響を受ける。
を目的とする場合は、血漿分離法として不十分であって
も良いが、GOT、GPT、LDH、K等を含めて正し
く測ることを目的とする場合には、0.1%以上の溶血
があってはならない。
日常の臨床検査では数%の頻度でHctが55〜60%
を示す検体も扱う必要がある。この場合Hbは20〜2
5g/dlとなるので、測定法のHbに対する許容範囲
を15mg/dlとすると、これらの高Hct検体では
0.07%以下の溶血に抑える必要がある。
またはレンチンなどの血球凝集素を乾燥状態で直接血液
に溶解させたり、濾紙や多孔質材料に含浸、乾燥させて
おく方法においては、血液と乾燥固体が接触し、乾燥固
体が血漿に溶解する初期の過程で局所的、一時的に溶血
を起こし易い。従って、これらの方法で得た血漿は僅か
ながらHbの混入を伴っていることが多く、血糖やコレ
ステロールの測定には問題がなくても、上記のGOT、
GPT、LDH、Kなどの測定には耐えないものであっ
た。この傾向はHctの高い検体ではさらに顕著であっ
た。
水溶液にしてから血液と接触させると局所的な濃度の上
昇の程度も少なく、また血漿中の拡散も速やかに進行す
ることから溶血は非常に起こりにくくなる。
0.5〜1.5ml程度でよい。全血とHL剤水溶液の
混合は単に数回振盪するだけでよい。HL剤の作用は殆
ど瞬間的であって数秒のうちに平衡に達すると推定され
る。従って、混合に際しては温度や時間を特に調節する
必要はない。
心分離して血球成分を分離する。この遠心分離は常法に
従って行なうことができる。
て分析が行なわれるが、本発明の方法は乾式分析素子を
用いて複数項目を分析する場合に有効である。
(No.1、No.2)に分取した。
(和光純薬製)2.56gを10mlの蒸留水に溶か
し、2Mの水溶液を調製した。
i2SO4・H2O25μlを添加し、軽く転倒混和し
た。5分間放置後、テストチューブNo.1およびNo.
2の全血をヘマトクリット管に採って、遠心分離し、ヘ
マトクリットを測定した所No.1:44%、No.
2:34%であった。またNo.1、No.2のテスト
チューブ中全血の全量を3000Gで10分間遠心分離
し、血漿を分離回収した。日立臨床検査自動分析機(7
150)を用いてNo.1、No.2の検体を測定し
た。その結果は、表1の通りであった。無添加血漿(コ
ントロール)での測定値を100%とした時のLi2S
O4添加血漿の測定値の比率を計算し、表1にまとめ
た。表1に見られるように全項目について90%〜11
0%の範囲に入っていた。
全血に加えて、ヘマトクリット(Hct)の低下効果を
調べた。ヘパリン添加全血1.5mlに生理的食塩水を
加えて混和後ヘマトクリットを測定した。健常者の全血
(Hct44%)と高ヘマトクリット全血(54%)の2
レベルについて調べた。結果は表2の通りであった。生
理食塩水を用いた場合は赤血球の収縮などの作用は起こ
らないので、Hctの低下の程度は単純希釈を想定して
算出した値とほぼ一致した。これらの濃度ではHctの
低下効果は見られないことが確かめられた。
としてRb2SO4を用いて実験した。健常者のヘパリン
添加全血(Hct 44%)1.5ml=1MのRb2S
O4水溶液60μlを添加した。Rb2SO4の添加後の
濃度は全血1ml当たり38mmolであった。混和後
Hctを測定したところ36%に低下していた。Rb2
SO4添加前後の全血を遠心分離し、血漿を回収して日
立7150自動分析機にて測定した。
せて補正係数を設定して計算をし直した。赤血球膜を自
由に通過できる低分子化合物であるGLUおよびBUN
についての補正係数はヘマトクリット剤の添加に基づく
希釈分のみの補正(0.95)とし、その他の項目は0.
85として計算した。結果は、表3の通りであった。測
定した19項目の内測定値が僅かの差(0.04)でも
誤差率が高く算出されるTBil(92%)を除く18
項目について、コントロール(無添加)とヘマトクリッ
ト添加サンプルの補正後の差は、±5%以内であり実用
上問題のない範囲にあることが確かめられた。
を上げ回収血漿量を増やすことができる。また、ヘマト
クリットが低下し、血漿の量が増加する結果、遠心によ
る血漿の分離が容易になる。添加する試薬を適切に選択
することにより、分離回収した血漿を検体として全ての
血漿成分の定量的な測定が可能である。
Claims (2)
- 【請求項1】 全血に無機塩またはアミノ酸もしくはそ
の塩の水溶液を、全血の体積の20%以下、かつ、該無
機塩またはアミノ酸もしくはその塩の濃度が全血1ml
あたり10〜200μmolの濃度となるように混合
し、次いで血球成分を遠心分離して回収することを特徴
とする、全血から血漿または血清試料を調製する方法。 - 【請求項2】 請求項1において、該無機塩またはアミ
ノ酸もしくはその塩の水溶液の濃度が0.1〜5Mであ
ることを特徴とする、全血から血漿または血清試料を調
製する方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP00560196A JP3664278B2 (ja) | 1996-01-17 | 1996-01-17 | 血漿または血清試料の調製方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP00560196A JP3664278B2 (ja) | 1996-01-17 | 1996-01-17 | 血漿または血清試料の調製方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09196910A true JPH09196910A (ja) | 1997-07-31 |
JP3664278B2 JP3664278B2 (ja) | 2005-06-22 |
Family
ID=11615749
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP00560196A Expired - Fee Related JP3664278B2 (ja) | 1996-01-17 | 1996-01-17 | 血漿または血清試料の調製方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP3664278B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1447665B1 (en) | 2003-02-11 | 2016-06-29 | Bayer HealthCare LLC | Method for reducing effect of hematocrit on measurement of an analyte in whole blood |
WO2024204674A1 (ja) * | 2023-03-29 | 2024-10-03 | 積水メディカル株式会社 | 血液採取容器及び単核球の分離方法 |
-
1996
- 1996-01-17 JP JP00560196A patent/JP3664278B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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EP1447665B1 (en) | 2003-02-11 | 2016-06-29 | Bayer HealthCare LLC | Method for reducing effect of hematocrit on measurement of an analyte in whole blood |
WO2024204674A1 (ja) * | 2023-03-29 | 2024-10-03 | 積水メディカル株式会社 | 血液採取容器及び単核球の分離方法 |
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---|---|
JP3664278B2 (ja) | 2005-06-22 |
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