JPH09194380A - 皮膚創傷用治療剤 - Google Patents
皮膚創傷用治療剤Info
- Publication number
- JPH09194380A JPH09194380A JP2346096A JP2346096A JPH09194380A JP H09194380 A JPH09194380 A JP H09194380A JP 2346096 A JP2346096 A JP 2346096A JP 2346096 A JP2346096 A JP 2346096A JP H09194380 A JPH09194380 A JP H09194380A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- group
- benzyl
- camp
- active ingredient
- cyclic phosphate
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Saccharide Compounds (AREA)
- Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【構成】 次の一般式(1)
【化1】
〔式中のR1、R2は、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分
岐鎖状のアルキル基又はベンジル基であり、これらは同
一であってもよいし、互いに異なっていてもよく、また
R1が水素原子のとき、R2は、ベンジル基、メチルベン
ジル基、ハイドロキシベンジル基メトキシベンジル基、
エトキシベンジル基又はハロゲン化ベンジル基であり、
Xは、水素原子若しくはアルカリ金属原子である〕で表
わされるアデノシン3',5'−環状リン酸誘導体を有効成
分とする皮膚創傷用治療剤。 【効果】 従来のcAMP誘導体を含むものに比べて、
ヒト表皮細胞の増殖活性化能が極めて優れ、しかも低温
保存をすることなく室温で長期にわたり安定で、悪臭を
発しないので使用時の不快感がない。
岐鎖状のアルキル基又はベンジル基であり、これらは同
一であってもよいし、互いに異なっていてもよく、また
R1が水素原子のとき、R2は、ベンジル基、メチルベン
ジル基、ハイドロキシベンジル基メトキシベンジル基、
エトキシベンジル基又はハロゲン化ベンジル基であり、
Xは、水素原子若しくはアルカリ金属原子である〕で表
わされるアデノシン3',5'−環状リン酸誘導体を有効成
分とする皮膚創傷用治療剤。 【効果】 従来のcAMP誘導体を含むものに比べて、
ヒト表皮細胞の増殖活性化能が極めて優れ、しかも低温
保存をすることなく室温で長期にわたり安定で、悪臭を
発しないので使用時の不快感がない。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、皮膚創傷用治療
剤、さらに詳しくは、アデノシン−3',5'−環状リン酸
(以下cAMPという)誘導体若しくはその塩を有効成
分として含有する、安定な皮膚創傷用治療剤に関する。
剤、さらに詳しくは、アデノシン−3',5'−環状リン酸
(以下cAMPという)誘導体若しくはその塩を有効成
分として含有する、安定な皮膚創傷用治療剤に関する。
【0002】
【従来の技術】皮膚や粘膜を含む組織の損傷などの創傷
としては、例えば切り傷、擦り傷、床擦れ(褥そう)、あ
かぎれ、火傷、痔疾、皮膚の潰よう、消化管の潰ような
どがある。そのうち特に、褥そう(床擦れ)は、骨突出部
の皮膚および皮下組織が持続的に圧迫され、阻血性壊死
をおこした状態であり、例えば癌や脳血管障害などの寝
たきり患者など多くの慢性疾患患者を悩ませている。近
年の老齢人口の増加に伴い、今後褥そう患者の増大が予
想され、その治療に有効な治療剤が望まれている。従
来、皮膚創傷用治療剤としては、例えばcAMPのアシ
ル誘導体などを有効成分とする皮膚潰瘍治療剤(特開昭
63−107935号)などが知られている。しかしな
がら、前記の皮膚潰瘍治療剤の有効成分であるcAMP
アシル誘導体は、不安定で、加水分解によりアシル基が
徐々に遊離して悪臭を発する脂肪酸が生成しやすい。こ
れを防止すべく、該治療剤に、例えば乾燥性を有する基
剤、さらには糖類等の安定化剤を加えても、その分解を
十分に防ぎきれないため、低温保存が必要であるという
不便さを有しており、必ずしも満足すべきものではなか
った。
としては、例えば切り傷、擦り傷、床擦れ(褥そう)、あ
かぎれ、火傷、痔疾、皮膚の潰よう、消化管の潰ような
どがある。そのうち特に、褥そう(床擦れ)は、骨突出部
の皮膚および皮下組織が持続的に圧迫され、阻血性壊死
をおこした状態であり、例えば癌や脳血管障害などの寝
たきり患者など多くの慢性疾患患者を悩ませている。近
年の老齢人口の増加に伴い、今後褥そう患者の増大が予
想され、その治療に有効な治療剤が望まれている。従
来、皮膚創傷用治療剤としては、例えばcAMPのアシ
ル誘導体などを有効成分とする皮膚潰瘍治療剤(特開昭
63−107935号)などが知られている。しかしな
がら、前記の皮膚潰瘍治療剤の有効成分であるcAMP
アシル誘導体は、不安定で、加水分解によりアシル基が
徐々に遊離して悪臭を発する脂肪酸が生成しやすい。こ
れを防止すべく、該治療剤に、例えば乾燥性を有する基
剤、さらには糖類等の安定化剤を加えても、その分解を
十分に防ぎきれないため、低温保存が必要であるという
不便さを有しており、必ずしも満足すべきものではなか
った。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、褥そう、
傷、皮膚潰よう、痔疾、火傷、凍傷などの治療に、従来
よりも優れた効果を発揮し、しかも安定で悪臭を発しな
い、室温での長期保存が可能な皮膚創傷用治療剤を提供
することを目的としてなされたものである。
傷、皮膚潰よう、痔疾、火傷、凍傷などの治療に、従来
よりも優れた効果を発揮し、しかも安定で悪臭を発しな
い、室温での長期保存が可能な皮膚創傷用治療剤を提供
することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、特定のN6−アラ
ルキルcAMP誘導体およびN6,N6−ジアルキルcA
MP誘導体が、創傷治療に有効である皮膚の再表皮化の
指標となる表皮細胞の増殖を強く活性化すること、また
それらのcAMP誘導体は、極めて安定であり、室温で
長期間保存しても悪臭を発しないことを見出し、この知
見に基づいて本発明を完成するに至った。 すなわち本
発明は、次の一般式(2)
を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、特定のN6−アラ
ルキルcAMP誘導体およびN6,N6−ジアルキルcA
MP誘導体が、創傷治療に有効である皮膚の再表皮化の
指標となる表皮細胞の増殖を強く活性化すること、また
それらのcAMP誘導体は、極めて安定であり、室温で
長期間保存しても悪臭を発しないことを見出し、この知
見に基づいて本発明を完成するに至った。 すなわち本
発明は、次の一般式(2)
【0005】
【化2】
【0006】〔式中のR1、R2は、炭素数1〜6の直鎖
状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はベンジル基であ
り、これらは同一であってもよいし、互いに異なってい
てもよく、またR1が水素原子のとき、R2は、ベンジル
基、メチルベンジル基、ハイドロキシベンジル基、メト
キシベンジル基、エトキシベンジル基又はハロゲン化ベ
ンジル基であり、Xは、水素原子若しくはアルカリ金属
原子である〕で表わされるアデノシン3',5'−環状リン
酸誘導体を有効成分として含有する皮膚創傷用治療剤で
ある。
状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はベンジル基であ
り、これらは同一であってもよいし、互いに異なってい
てもよく、またR1が水素原子のとき、R2は、ベンジル
基、メチルベンジル基、ハイドロキシベンジル基、メト
キシベンジル基、エトキシベンジル基又はハロゲン化ベ
ンジル基であり、Xは、水素原子若しくはアルカリ金属
原子である〕で表わされるアデノシン3',5'−環状リン
酸誘導体を有効成分として含有する皮膚創傷用治療剤で
ある。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の皮膚創傷用治療剤の有効成分としては、
前記一般式(2)のアデノシン3',5'−環状リン酸誘導
体において、R1、R2は、炭素数1〜6の直鎖状若しく
は分岐鎖状のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、
プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソ
ブチル基、イソペンチル基など、およびベンジル基のc
AMP誘導体が用いられる。そしてR1、R2は同一であ
ってもよいし、また互いに異なっていてもよく、例えば
R1がメチル基のとき、R2は、メチル基、エチル基、プ
ロピル基、ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘ
キシル基、ベンジル基などであり、R1がエチル基のと
き、R2は、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブ
チル基、ペンチル基、ヘキシル基、ベンジル基などであ
り、R1がプロピル基のとき、R2は、プロピル基、ブチ
ル基、ペンチル基、ヘキシル基、ベンジル基などであ
り、R1がブチル基のとき、R2は、ブチル基、ペンチル
基、ヘキシル基、ベンジル基などであり、R1がペンチ
ル基のとき、R2は、ペンチル基、ヘキシル基、ベンジ
ル基などであり、R1がヘキシル基のとき、R2は、ヘキ
シル基、ベンジル基などであり、またR1がベンジル基
のとき、R2はベンジル基などであるcAMP誘導体が
用いられる。これらのうち、R1、R2が共にブチル基で
あるN6,N6−ジブチルcAMPが、ヒト表皮細胞の増
殖活性化能などの点で、特に好ましく用いることができ
る。
する。本発明の皮膚創傷用治療剤の有効成分としては、
前記一般式(2)のアデノシン3',5'−環状リン酸誘導
体において、R1、R2は、炭素数1〜6の直鎖状若しく
は分岐鎖状のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、
プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソ
ブチル基、イソペンチル基など、およびベンジル基のc
AMP誘導体が用いられる。そしてR1、R2は同一であ
ってもよいし、また互いに異なっていてもよく、例えば
R1がメチル基のとき、R2は、メチル基、エチル基、プ
ロピル基、ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘ
キシル基、ベンジル基などであり、R1がエチル基のと
き、R2は、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブ
チル基、ペンチル基、ヘキシル基、ベンジル基などであ
り、R1がプロピル基のとき、R2は、プロピル基、ブチ
ル基、ペンチル基、ヘキシル基、ベンジル基などであ
り、R1がブチル基のとき、R2は、ブチル基、ペンチル
基、ヘキシル基、ベンジル基などであり、R1がペンチ
ル基のとき、R2は、ペンチル基、ヘキシル基、ベンジ
ル基などであり、R1がヘキシル基のとき、R2は、ヘキ
シル基、ベンジル基などであり、またR1がベンジル基
のとき、R2はベンジル基などであるcAMP誘導体が
用いられる。これらのうち、R1、R2が共にブチル基で
あるN6,N6−ジブチルcAMPが、ヒト表皮細胞の増
殖活性化能などの点で、特に好ましく用いることができ
る。
【0008】さらにまた、R1が水素原子のとき、R
2は、例えばベンジル基、メチルベンジル基、ハイドロ
キシベンジル基、メトキシベンジル基、エトキシベンジ
ル基およびハロゲン化ベンジル基であるクロロベンジル
基、ブロモベンジル基、フルオロベンジル基などのcA
MP誘導体が用いられる。これらのうち、R1が水素原
子でR2がベンジル基であるN6−ベンジルcAMPが、
ヒト表皮細胞の増殖活性化能などの点で、特に好ましく
用いることができる。そして、前記の有効成分は、外用
基剤に単独又は併用して含有させて用いることもでき
る。また、これらの誘導体は、そのナトリウム、カリウ
ム、リチウムなどのアルカリ塩、トリス(ヒドロキシメ
チル)アミノメタン塩、トリエチルアミンなどのアミン
塩としても使用できる。
2は、例えばベンジル基、メチルベンジル基、ハイドロ
キシベンジル基、メトキシベンジル基、エトキシベンジ
ル基およびハロゲン化ベンジル基であるクロロベンジル
基、ブロモベンジル基、フルオロベンジル基などのcA
MP誘導体が用いられる。これらのうち、R1が水素原
子でR2がベンジル基であるN6−ベンジルcAMPが、
ヒト表皮細胞の増殖活性化能などの点で、特に好ましく
用いることができる。そして、前記の有効成分は、外用
基剤に単独又は併用して含有させて用いることもでき
る。また、これらの誘導体は、そのナトリウム、カリウ
ム、リチウムなどのアルカリ塩、トリス(ヒドロキシメ
チル)アミノメタン塩、トリエチルアミンなどのアミン
塩としても使用できる。
【0009】本発明に用いる多くのcAMP誘導体は、
公知の化合物であり、N6−アラルキルcAMP誘導
体、例えばN6−ベンジルcAMPは、cAMPをベン
ズアルデヒドと還元剤を用いた還元アルキル化反応によ
り得られる(特開昭60−239496号公報参照)。
またN6,N6−ジアルキルcAMP誘導体(R1=R2)
例えばN6,N6−ジプロピルcAMP、N6,N6−ジブ
チルcAMP、N6,N6−ジベンジルcAMP、N6,
N6−ジヘキシルcAMP、N6,N6−ジイソブチルc
AMPなどは、2'−O−トシルcAMPを水素化ナト
リウム存在下で、ハロゲン化アルキルと処理した後、ア
ルカリ性条件下でトシル基を脱保護して得ることができ
る(特開平3−83995号公報参照)。さらにまた、
R1、R2が互いに異なるN6,N6−ジアルキルcAMP
誘導体は、2'−O−トシルcAMPにアルデヒドと還
元剤を作用させてN6−アルキル−2'−O−トシルcA
MPとし、これに水素化ナトリウム存在下で、ハロゲン
化アルキルと処理して対応するN6,N6−ジアルキル−
2'−O−トシルcAMPとし、これをアルカリ性条件
下でトシル基を脱保護して得ることができる(特開平3
−81285号公報参照)。
公知の化合物であり、N6−アラルキルcAMP誘導
体、例えばN6−ベンジルcAMPは、cAMPをベン
ズアルデヒドと還元剤を用いた還元アルキル化反応によ
り得られる(特開昭60−239496号公報参照)。
またN6,N6−ジアルキルcAMP誘導体(R1=R2)
例えばN6,N6−ジプロピルcAMP、N6,N6−ジブ
チルcAMP、N6,N6−ジベンジルcAMP、N6,
N6−ジヘキシルcAMP、N6,N6−ジイソブチルc
AMPなどは、2'−O−トシルcAMPを水素化ナト
リウム存在下で、ハロゲン化アルキルと処理した後、ア
ルカリ性条件下でトシル基を脱保護して得ることができ
る(特開平3−83995号公報参照)。さらにまた、
R1、R2が互いに異なるN6,N6−ジアルキルcAMP
誘導体は、2'−O−トシルcAMPにアルデヒドと還
元剤を作用させてN6−アルキル−2'−O−トシルcA
MPとし、これに水素化ナトリウム存在下で、ハロゲン
化アルキルと処理して対応するN6,N6−ジアルキル−
2'−O−トシルcAMPとし、これをアルカリ性条件
下でトシル基を脱保護して得ることができる(特開平3
−81285号公報参照)。
【0010】上記のごとくして得られたcAMP誘導体
を有効成分として含有させた本発明の皮膚創傷用治療剤
は、後述するごとくヒト表皮細胞(ケラチノサイト)を
増殖させる優れた活性化能を有することから、褥そう、
傷、皮膚潰よう、痔疾、火傷、凍傷などの皮膚疾患治療
に極めて有用である。本発明の皮膚創傷用治療剤は、経
口、組織内、局所、または経直腸的に用いられるが、特
に外用基剤中に前記有効成分を配合して、局所投与形
態、例えば水剤、軟膏剤、クリ−ム剤、ロ−ション、噴
霧剤、粉剤、テ−プ剤などの形態で投与するのが好まし
い。本発明の皮膚創傷用治療剤に用いられる外用基剤と
しては、外用基剤として用いることができるものであれ
ばいかなるものでもよく、例えば脂肪、脂肪油、ラノリ
ン、ワセリン、ろう、樹脂、グリコ−ル類、アルコ−ル
類、グリセリン、水、乳化剤、懸濁化剤、酸化防止剤、
防腐剤などが挙げられ、これらを単独または併用した外
用基剤に、前記のcAMP誘導体を含有させる。
を有効成分として含有させた本発明の皮膚創傷用治療剤
は、後述するごとくヒト表皮細胞(ケラチノサイト)を
増殖させる優れた活性化能を有することから、褥そう、
傷、皮膚潰よう、痔疾、火傷、凍傷などの皮膚疾患治療
に極めて有用である。本発明の皮膚創傷用治療剤は、経
口、組織内、局所、または経直腸的に用いられるが、特
に外用基剤中に前記有効成分を配合して、局所投与形
態、例えば水剤、軟膏剤、クリ−ム剤、ロ−ション、噴
霧剤、粉剤、テ−プ剤などの形態で投与するのが好まし
い。本発明の皮膚創傷用治療剤に用いられる外用基剤と
しては、外用基剤として用いることができるものであれ
ばいかなるものでもよく、例えば脂肪、脂肪油、ラノリ
ン、ワセリン、ろう、樹脂、グリコ−ル類、アルコ−ル
類、グリセリン、水、乳化剤、懸濁化剤、酸化防止剤、
防腐剤などが挙げられ、これらを単独または併用した外
用基剤に、前記のcAMP誘導体を含有させる。
【0011】本発明の皮膚創傷用治療剤は、前記cAM
P誘導体を、前記の外用基剤中に0.001〜10重量
%、好ましくは0.01〜5重量%含有させるのが望ま
しい。投与回数としては、1日当り1回〜数回塗布する
のが好ましい。また、本発明に用いるcAMP誘導体
は、必要により他の皮膚創傷用治療剤や線維芽細胞成長
因子(FGF)、上皮細胞成長因子(EGF)などと混
合して使用することもできる。
P誘導体を、前記の外用基剤中に0.001〜10重量
%、好ましくは0.01〜5重量%含有させるのが望ま
しい。投与回数としては、1日当り1回〜数回塗布する
のが好ましい。また、本発明に用いるcAMP誘導体
は、必要により他の皮膚創傷用治療剤や線維芽細胞成長
因子(FGF)、上皮細胞成長因子(EGF)などと混
合して使用することもできる。
【0012】
【実験例】次に、実験例および実施例を示すが、本発明
はこれらにのみに限定されるものではない。 実験例1 (薬理試験) ヒト表皮細胞(ケラチノサイト)増殖試験 培養ヒト表皮細胞(ケラチノサイト)を、ケラチノサイ
ト増殖倍地(「KGM」、三光純薬社製)にて無血清、
低カルシウム存在下で継代培養した。この継代培養した
ヒト表皮細胞を、24ウエルのマルチプレート1ウエル
あたりKGM中に2×104個を植え、2時間後各ウエ
ルに、対照としてN6,2'−O−ジブチリルcAMPN
a(以下、DBcAMPNaという)を、そして本発明
区分として、N6−ベンジルcAMP又はN6,N6−ジ
ブチルcAMPを、それぞれKGMに溶解したものを加
えた。なお、前記の各cAMP誘導体は、それぞれの最
終濃度が10-5モルとなるように加えた。これらのヒト
表皮細胞を、37℃、5%CO2の条件下で18時間培
養した。18時間培養後、培養液に各ウエルあたり2μ
Ciの3H−チミジンを加え、さらに6時間培養した
後、細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2度洗浄
し、5%トリクロロ酢酸を加えて10分間静置した。次
いで、ソヂウムドデシルサルファイトにて可溶化して、
シンチレーション溶媒と混ぜシンチレーションカウンタ
ーで3H−チミジンの取り込み量(DPM)を測定し
た。その結果を図1に示す。 なお、図1中、DBはD
BcAMPを、BnはN6−ベンジルcAMPを、また
diC4はN6,N6−ジブチルcAMPを意味する。
はこれらにのみに限定されるものではない。 実験例1 (薬理試験) ヒト表皮細胞(ケラチノサイト)増殖試験 培養ヒト表皮細胞(ケラチノサイト)を、ケラチノサイ
ト増殖倍地(「KGM」、三光純薬社製)にて無血清、
低カルシウム存在下で継代培養した。この継代培養した
ヒト表皮細胞を、24ウエルのマルチプレート1ウエル
あたりKGM中に2×104個を植え、2時間後各ウエ
ルに、対照としてN6,2'−O−ジブチリルcAMPN
a(以下、DBcAMPNaという)を、そして本発明
区分として、N6−ベンジルcAMP又はN6,N6−ジ
ブチルcAMPを、それぞれKGMに溶解したものを加
えた。なお、前記の各cAMP誘導体は、それぞれの最
終濃度が10-5モルとなるように加えた。これらのヒト
表皮細胞を、37℃、5%CO2の条件下で18時間培
養した。18時間培養後、培養液に各ウエルあたり2μ
Ciの3H−チミジンを加え、さらに6時間培養した
後、細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2度洗浄
し、5%トリクロロ酢酸を加えて10分間静置した。次
いで、ソヂウムドデシルサルファイトにて可溶化して、
シンチレーション溶媒と混ぜシンチレーションカウンタ
ーで3H−チミジンの取り込み量(DPM)を測定し
た。その結果を図1に示す。 なお、図1中、DBはD
BcAMPを、BnはN6−ベンジルcAMPを、また
diC4はN6,N6−ジブチルcAMPを意味する。
【0013】図1より、本発明に用いるcAMP誘導体
であるN6−ベンジルcAMPおよびN6,N6−ジブチ
ルcAMPの3H−チミジンの取り込み量は、DBcA
MPに対してN6−ベンジルcAMPが2.2倍、N6,
N6−ジブチルcAMPが2.6倍であり、このことか
ら、これらは従来のDBcAMPよりもヒト表皮細胞に
対して優れた増殖促進効果を有することがわかる。
であるN6−ベンジルcAMPおよびN6,N6−ジブチ
ルcAMPの3H−チミジンの取り込み量は、DBcA
MPに対してN6−ベンジルcAMPが2.2倍、N6,
N6−ジブチルcAMPが2.6倍であり、このことか
ら、これらは従来のDBcAMPよりもヒト表皮細胞に
対して優れた増殖促進効果を有することがわかる。
【0014】実験例2 (急性毒性試験) 本発明に用いるcAMP誘導体を生理食塩水に溶解した
ものを、体重25〜28gのddy−sマウス雄(5週
令)に、体重20g当たり0.2mlの割合で皮下内投
与し、14日間観察した。その結果、LD50値は、例え
ばN6−ベンジルcAMPが380mg/kg、N6,N
6−ジブチルcAMPが400mg/kgであり、外用
剤として使用するのに問題のない値であった。また、こ
れらを含有するクリームを健常者の皮膚に1週間塗布し
たが、全く異常は観察されなかった。
ものを、体重25〜28gのddy−sマウス雄(5週
令)に、体重20g当たり0.2mlの割合で皮下内投
与し、14日間観察した。その結果、LD50値は、例え
ばN6−ベンジルcAMPが380mg/kg、N6,N
6−ジブチルcAMPが400mg/kgであり、外用
剤として使用するのに問題のない値であった。また、こ
れらを含有するクリームを健常者の皮膚に1週間塗布し
たが、全く異常は観察されなかった。
【0015】
実施例1 (水剤と、有効成分の安定性試験) 50mgのN6,N6−ジブチルcAMPを生理食塩水1
0mlに溶解して水剤とした。同様にしてDBcAMP
Naの水剤を比較例として調製した。これらを室温で1
月間保存し、UVで各極大吸収波長における吸収の減少
度(UV強度の減少%)を、またHPLCで有効成分の
残存率(%)を調べた。その結果を表1に示す。
0mlに溶解して水剤とした。同様にしてDBcAMP
Naの水剤を比較例として調製した。これらを室温で1
月間保存し、UVで各極大吸収波長における吸収の減少
度(UV強度の減少%)を、またHPLCで有効成分の
残存率(%)を調べた。その結果を表1に示す。
【0016】
【表1】
【0017】表1より、N6,N6−ジブチルcAMPを
含有させた本発明の水剤は、UV強度の減少度および有
効成分の残存率のいずれにおいてもDBcAMPを含有
させたものよりも優れていることから、本発明の皮膚創
傷用治療剤は、室温での長期間保存に極めて安定である
ことが分かる。
含有させた本発明の水剤は、UV強度の減少度および有
効成分の残存率のいずれにおいてもDBcAMPを含有
させたものよりも優れていることから、本発明の皮膚創
傷用治療剤は、室温での長期間保存に極めて安定である
ことが分かる。
【0018】実施例2 (軟膏の臭いの変化および治癒
試験) 表2に示す各種成分の組成の軟膏(本発明品−1、本発
明品−2、比較例−1、比較例−2)を常法に従って調
製した。
試験) 表2に示す各種成分の組成の軟膏(本発明品−1、本発
明品−2、比較例−1、比較例−2)を常法に従って調
製した。
【0019】
【表2】
【0020】これらを室温で1月間保存し、臭いの変化
を5人のパネルで官能評価を行なった。その結果を表3
に示す。なお、官能評価は、○:臭いの変化なし、△:
やや臭いあり、×:悪臭あり、の3段階で評価した。そ
の結果を表3に示す。
を5人のパネルで官能評価を行なった。その結果を表3
に示す。なお、官能評価は、○:臭いの変化なし、△:
やや臭いあり、×:悪臭あり、の3段階で評価した。そ
の結果を表3に示す。
【0021】
【表3】
【0022】5人の評価は、完全に一致し、表3に示す
ごとく、比較例−1がDBcAMPの分解が起こったこ
とによる悪臭を発し、臭いの著しい変化が認められたの
に対して、本発明品−1および2の軟膏は、臭いの変化
が全く認められず室温での長期間保存にも安定であるこ
とがわかる。また、ヘアーレスマウスの背中に傷をつけ
たモデル(1群5匹)の患部に、前記の各軟膏を毎日一
回塗布し、完全に治癒するまでに要した平均日数を調べ
た。その結果を表4に示す。
ごとく、比較例−1がDBcAMPの分解が起こったこ
とによる悪臭を発し、臭いの著しい変化が認められたの
に対して、本発明品−1および2の軟膏は、臭いの変化
が全く認められず室温での長期間保存にも安定であるこ
とがわかる。また、ヘアーレスマウスの背中に傷をつけ
たモデル(1群5匹)の患部に、前記の各軟膏を毎日一
回塗布し、完全に治癒するまでに要した平均日数を調べ
た。その結果を表4に示す。
【0023】
【表4】
【0024】表4からわかるように、本発明品−1およ
び2を塗布した群は、比較例−1および2を塗布した群
に比べ、明らかに早く傷を小さくし、その皮膚創傷治療
効果が確認された。
び2を塗布した群は、比較例−1および2を塗布した群
に比べ、明らかに早く傷を小さくし、その皮膚創傷治療
効果が確認された。
【0025】実施例3 (皮膚用乳液の調製) 表5中に示した成分1〜5の油相成分を混合、溶解して
均一とし、75℃に加熱した。また、成分6〜8、10
および11の水相成分を混合、溶解して75℃に加熱し
た。この水相成分に、前記の油相成分を添加して予備乳
化し、これに成分9を加えてホモミキサ−で均一に乳化
し、皮膚用乳液を調製した。
均一とし、75℃に加熱した。また、成分6〜8、10
および11の水相成分を混合、溶解して75℃に加熱し
た。この水相成分に、前記の油相成分を添加して予備乳
化し、これに成分9を加えてホモミキサ−で均一に乳化
し、皮膚用乳液を調製した。
【0026】
【表5】
【0027】実施例4 (クリ−ム) 表6中に示した成分1〜7の油相成分を加熱融解して7
5℃に保ち、これに成分8、9、11および12の水相
成分を混合、溶解して75℃に加熱した。この水相成分
に油相成分を添加して予備乳化した後、ホモミキサ−に
て均一に乳化した後、攪拌しながら冷却して本発明品−
1のクリ−ムを得た。同様にして成分10を調製し、本
発明品−2のクリ−ムを得た。また、cAMP誘導体を
含まないものを比較例とした。
5℃に保ち、これに成分8、9、11および12の水相
成分を混合、溶解して75℃に加熱した。この水相成分
に油相成分を添加して予備乳化した後、ホモミキサ−に
て均一に乳化した後、攪拌しながら冷却して本発明品−
1のクリ−ムを得た。同様にして成分10を調製し、本
発明品−2のクリ−ムを得た。また、cAMP誘導体を
含まないものを比較例とした。
【0028】
【表6】
【0029】前記のごとくして得たクリームを、ヘアー
レスマウスの背中に傷をつけたモデル(1群5匹)の患
部に、毎日一回塗ったところ、本発明の有効成分を含む
本発明品−1および2を塗布した群は、有効成分を含ま
ない基剤のみを塗布した群に比べ、有意に早く傷を小さ
くし、その皮膚創傷治療効果が確認された。
レスマウスの背中に傷をつけたモデル(1群5匹)の患
部に、毎日一回塗ったところ、本発明の有効成分を含む
本発明品−1および2を塗布した群は、有効成分を含ま
ない基剤のみを塗布した群に比べ、有意に早く傷を小さ
くし、その皮膚創傷治療効果が確認された。
【0030】
【発明の効果】本発明の皮膚創傷用治療剤は、従来のc
AMP誘導体を含むものに比べて、ヒト表皮細胞の増殖
活性化能が極めて優れ、しかも低温保存をすることなく
室温で長期にわたり安定で、悪臭を発しないので使用時
の不快感がないことなどから、褥そう、傷、皮膚潰よ
う、痔疾、火傷、凍傷などの治療に極めて有用である。
AMP誘導体を含むものに比べて、ヒト表皮細胞の増殖
活性化能が極めて優れ、しかも低温保存をすることなく
室温で長期にわたり安定で、悪臭を発しないので使用時
の不快感がないことなどから、褥そう、傷、皮膚潰よ
う、痔疾、火傷、凍傷などの治療に極めて有用である。
【図1】各cAMP誘導体と、それらのヒト表皮細胞に
対する増殖促進効果を3H−チミジンの取り込み量(D
PM))で示したグラフ。
対する増殖促進効果を3H−チミジンの取り込み量(D
PM))で示したグラフ。
Claims (3)
- 【請求項1】 次の一般式(1) 【化1】 〔式中のR1、R2は、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分
岐鎖状のアルキル基又はベンジル基であり、これらは同
一であってもよいし、互いに異なっていてもよく、また
R1が水素原子のとき、R2は、ベンジル基、メチルベン
ジル基、ハイドロキシベンジル基、メトキシベンジル
基、エトキシベンジル基又はハロゲン化ベンジル基であ
り、Xは、水素原子若しくはアルカリ金属原子である〕
で表わされるアデノシン3',5'−環状リン酸誘導体を有
効成分として含有することを特徴とする皮膚創傷用治療
剤。 - 【請求項2】 アデノシ3',5'−環状リン酸誘導体のR
1が水素原子のとき、R2がベンジル基である請求項1記
載の皮膚創傷用治療剤。 - 【請求項3】 アデノシン3',5'−環状リン酸誘導体の
R1、R2が共にブチル基である請求項1記載の皮膚創傷
用治療剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2346096A JPH09194380A (ja) | 1996-01-18 | 1996-01-18 | 皮膚創傷用治療剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2346096A JPH09194380A (ja) | 1996-01-18 | 1996-01-18 | 皮膚創傷用治療剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09194380A true JPH09194380A (ja) | 1997-07-29 |
Family
ID=12111134
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2346096A Pending JPH09194380A (ja) | 1996-01-18 | 1996-01-18 | 皮膚創傷用治療剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09194380A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
GB2333041A (en) * | 1998-01-13 | 1999-07-14 | Johnson & Johnson Medical Ltd | Wound Composition |
-
1996
- 1996-01-18 JP JP2346096A patent/JPH09194380A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
GB2333041A (en) * | 1998-01-13 | 1999-07-14 | Johnson & Johnson Medical Ltd | Wound Composition |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US5728391A (en) | Hyaluronic acid and its salt for treating skin diseases | |
KR101769637B1 (ko) | 모발 성장을 촉진하기 위한 조성물 및 방법 | |
US5476664A (en) | Treatment of warts using anthralins and occlusion | |
CA1324758C (en) | Transdermal antisecretory agents for gastrointestinal disease | |
JP3506701B2 (ja) | 創傷治癒組成物,その調製方法と使用 | |
US4871752A (en) | Use of aryloxycarboxylic acid derivatives against dermatological diseases | |
CA1226220A (en) | Preparation and method for the treatment of acne | |
US5258391A (en) | Phenyl alpha acyloxyalkanoic acids, derivatives and their therapeutic use | |
US5643949A (en) | Phenyl alpha acyloxyalkanoic acids, derivatives and their therapeutic use | |
JP2003534359A (ja) | 瘢痕形成作用を有する医薬品を製造するためのビグアニド誘導体の使用 | |
US4189487A (en) | Use of pyridine aldehydes for the prevention and treatment of acne vulgaris | |
JPH03236320A (ja) | 皮膚外用剤 | |
US5886038A (en) | Composition and method for treatment of psoriasis | |
JP2693535B2 (ja) | ピリミジン誘導体および非ステロイド抗炎症剤の組み合わせからなる頭皮外用剤 | |
JP2003505415A (ja) | 皮膚、粘膜、器官または組織の疾患を治療するためのトシルクロルアミドの使用 | |
JPH09194380A (ja) | 皮膚創傷用治療剤 | |
JP2640597B2 (ja) | 創傷治癒促進剤 | |
JP3038519B2 (ja) | 創傷治癒促進剤 | |
JP2860550B2 (ja) | 急性皮膚炎症治療剤 | |
JPH09194379A (ja) | 皮膚創傷治療剤 | |
US5994399A (en) | Method of regenerating collagen-containing tissues with misoprostol | |
EP0208833B1 (en) | Use of ubidecarenone coenzyme q10 for the treatment of decubitus | |
JPH07258092A (ja) | コラーゲンの異常蓄積を伴う疾患の治療剤 | |
JP3827259B2 (ja) | 表皮角質化促進剤 | |
JP2004217597A (ja) | コラーゲン生成促進剤 |