JPH09193532A

JPH09193532A - インクジェット記録用紙

Info

Publication number: JPH09193532A
Application number: JP8005664A
Authority: JP
Inventors: Masaru Tsuchiya; 勝土屋; Yoichi Saito; 洋一斎藤
Original assignee: Konica Minolta Inc
Current assignee: Konica Minolta Inc
Priority date: 1996-01-17
Filing date: 1996-01-17
Publication date: 1997-07-29

Abstract

(57)【要約】【目的】光沢性を有し、色素の耐光性を低下させるこ
となく耐水性を改善したインクジェット記録用紙の提
供。【構成】疎水性支持体上に少なくとも、ポリアルキレ
ンイミンを有する親水性バインダー層Ａ、ポリビニルア
ルコール及びその誘導体の少なくとも何れか一方を有す
る親水性バインダー層Ｂを支持体側からこの順にして設
けてなることを特徴とするインクジェット記録用紙。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、水性インクを用い
て記録を行うインクジェット記録用紙に関し、特にイン
ク吸収性と光沢度を両立させ、しかも色素の耐水性と耐
光性を向上させたインクジェット記録用紙に関するもの
である。

【０００２】

【従来の技術】インクジェット記録方式は、インクの微
小液滴を種々の作動原理により飛翔させて紙などの記録
シートに付着させ、画像・文字などの記録を行うもので
あるが、比較的高速、低騒音、多色化が容易である等の
利点を有している。この方式で従来から問題となってい
たノズルの目詰まりとメンテナンスについては、インク
及び装置の両面から改良が進み、現在では各種プリンタ
ー、ファクシミリ、コンピューター端末等、さまざまな
分野に急速に普及している。

【０００３】このインクジェット記録方式で使用される
記録用紙としては、印字ドットの濃度が高く、色調が明
るく鮮やかであること、インクの吸収が早く印字ドット
が重なった場合に於いてもインクが流れ出したり滲んだ
りしないこと、印字ドットの横方向への拡散が必要以上
に大きくなく、かつ周辺が滑らかでぼやけないこと等が
要求される。

【０００４】これらの要求を達成するために、例えば特
開昭５２−５３０１２号には、低サイズの原紙に表面加
工用の塗料を湿潤させてなるインクジェット記録用紙が
開示されている。又、特開昭５５−５８３０号には、支
持体表面にインク吸収性の塗層を設けたインクジェット
記録用紙が、又特開昭５５−５１５８３号及び特開昭５
６−１５７号には、被履層中の顔料として非膠質シリカ
粉末を使った例等が開示されている。

【０００５】しかし、一般にインク吸収性のあるインク
受容層が、インクを吸収し、かつ保持するための空隙を
多く有する層からのみ構成される場合には、前記受容層
が空気との界面や塗膜表面にミクロな凹凸を多く有する
ことになり、インク受容層への入射光が散乱されたり透
過が妨げられるために光沢が出にくくなる、あるいは不
透明になりやすいという問題が発生する。更に、空隙に
浸透したインクに光が到達しにくくなるため画像が白っ
ぽくなり、色再現性及び色濃度が低下する等の欠点を有
しており、空隙の多いインク受容層で高い光沢性や透明
性を維持しつつ、色再現性や色濃度の高い画像を得るの
は困難であった。

【０００６】一方、光沢を付与する目的及びその他の目
的で、インク液滴が着弾した際、溶解や膨潤によりイン
クを吸収するゼラチンやポリビニルアルコール等の親水
性バインダーを有するインク受容層を支持体上に塗布し
た記録紙やフィルム等も従来から数多く知られている。
この様なインクジェット記録用紙においては高彩度の色
素画像と高い光沢性が得られる一方で、記録された色素
画像が単にバインダー中に分子状態で留まっているため
に、色素分子が油剤中に高濃度の微粒子状態で分散され
ているカラー印画紙等に比べて水滴などにより前記色素
画像が容易に流出乃至滲んでしまいやすいという問題が
あった。

【０００７】この色素の耐水性を補うために、従来から
色素をバインダー中に固定させる種々の方法が提案され
ている。特に有効な手段としては、３級又は４級の窒素
原子を有するポリマーを均一な水溶液又はラテックス微
粒子として添加する方法である。

【０００８】例えば特開昭５７−３６６９２号の実施例
にはゼラチンをバインダーの一部とし塩基性媒染剤を含
有する塗布液をインク受容層として原紙やポリエチレン
テレフタレートフィルム支持体上に塗布したインクジェ
ット記録用紙が記載され、又特開昭５３−４９１１３号
には、紙内にポリエチレンイミンを含浸させた水性イン
キ記録用紙が記載され、又特開昭５８−２４４９２号に
はカチオン又はアニオン基を有する電解質ポリマーを有
する記録材が記載され、又特開昭６３−２２４９８８号
には、インク受容層内に１級乃至３級アミン又は４級ア
ンモニウム塩を含有し、インク保持層のｐＨを２〜８に
設定した被記録材料が、又特開昭６３−３０７９７９号
には、３級又は４級窒素原子を有する親水性ポリマー媒
染剤と親水性基を有する重合体を含有する層を設けたイ
ンクジェット記録シートが、又特開昭５９−１９８１８
６号及び同５９−１９８１８８号にはポリエチレンイミ
ンの有機塩基を基材中又は基材上の塗工層中に含有させ
た被記録材料が記載されている。特開昭６０−４６２８
８号には特定染料を含有するインクとポリアミン等を有
する記録材料を用いたインクジェット記録方法が記載さ
れ、又特開昭６１−６１８８７号、同６１−７２５８１
号、同６１−２５２１８９号及び同６２−１７４１８４
号にはポリアリルアミンを含有するインクジェット記録
用紙が記載され、特開昭６１−１７２７８６号には分子
間水素結合を有するポリマー（ゼラチン、ポリエチレン
イミン等）と分子間に水素結合性基を有しないポリマー
（ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン等）
とを含有するインクジェット記録材料が記載されてい
る。特開昭６３−１６２２７５号にはカチオン性ポリマ
ーとカチオン性界面活性剤を支持体上に塗布又は含浸さ
せたインクジェット記録用紙が記載され、特開平６−１
４３７９８号にはプラスチック支持体上に４級アンモニ
ウム塩重合物とカチオン変性ポリビニルアルコールを主
成分とする染料定着層とその上に設けられた染料透過・
インク吸収層を重層した記録シートが記載されている。
更に、特開昭５９−２０６９６号、同５９−３３１７６
号、同５９−３３１７７号、同５９−９６９８７号、５
９−１５５０８８号、同６０−１１３８９号、同６０−
４９９９０号、同６０−８３８８２号、同６０−１０９
８９４号、同６１−２７７４８４号、同６１−２９３８
８６号、同６２−１９４８３号、同６２−１９８４９３
号、同６３−４９４７８号、同６３−１１５７８０号、
同６３−２０３８９６号、同６３−２７４５８３号、同
６３−２８０６８１号、同６３−２６０４７７号、特開
平１−９７７６号、同１−２４７８４号、同１−４０３
７１号、同３−１３３６８６号、同６−２３４２６８
号、同７−１２５４１１号等にはそれぞれ特定の３級又
は４級の窒素原子を含有するポリマー又は化合物をイン
ク受容層中に添加することが記載されている。

【０００９】しかしながら、上記従来のインクジェット
記録用紙あるいは方法によれば色素の耐水性は向上する
ものの、耐光性が低下してしまうものが大半である。又
ある種のポリマーはコストが高いという欠点があった
り、使用するバインダーとの相溶性が小さく良好な塗布
ができない等の欠点があった。

【００１０】用いる色素の耐光性を改良するために、イ
ンクジェット記録方式においても従来から紫外線吸収剤
を使用したり、酸化防止剤を添加することが多数試みら
れているが必ずしも十分な効果が得られているとは言え
ない。

【００１１】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の事情
に鑑みてなされたものであって、その目的は、光沢性を
有し、色素の耐光性を低下させず耐水性を改善したイン
クジェット記録用紙を提供することにある。

【００１２】

【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、疎
水性支持体上に少なくとも、ポリアルキレンイミンを有
する親水性バインダー層Ａ、ポリビニルアルコール及び
その誘導体の少なくとも何れか一方を有する親水性バイ
ンダー層Ｂを支持体側からこの順にして設けてなること
を特徴とするインクジェット記録用紙、前記ポリアルキ
レンイミンがポリエチレンイミンであること、前記ポリ
アルキレンイミンを有する層が、ゼラチン及びその誘導
体の少なくとも何れか一方を有してなること、前記親水
性バインダー層Ｂにおけるポリビニルアルコール及びそ
の誘導体の総量が、インクジェット記録用紙１ｍ²当た
り３ｇ以上であること、により達成された。

【００１３】即ち本発明者らは、画像形成に使用される
色素に対する耐水効果が非常に顕著なポリアルキレンイ
ミンを親水性バインダー層に用いる系において、前記ポ
リアルキレンイミン自身の耐光性劣化という課題を、ポ
リビニルアルコール及びその誘導体の少なくとも何れか
一方を有する親水性バインダー層を該ポリアルキレンイ
ミン含有の親水性バインダー層上に設けることにより解
決し、高い光沢性を有し、色素の耐光性を低下させず耐
水性を改善したインクジェット記録用紙が得られること
を見出し本発明に至ったものである。

【００１４】以下、本発明を詳細に説明する。

【００１５】本発明のインクジェット記録用紙は、疎水
性支持体上に少なくとも、ポリアルキレンイミンを有す
る親水性バインダー層Ａ、ポリビニルアルコール及びそ
の誘導体の少なくとも何れか一方を有する親水性バイン
ダー層Ｂを支持体側からこの順にして設けてなることを
特徴とする。

【００１６】１．ポリアルキレンイミンを有する親水性
バインダー層Ａについて説明する。

【００１７】本発明で使用されるポリアルキレンイミン
としては、ポリエチレンイミン及びポリプロピレンイミ
ンが好ましく、特にポリエチレンイミンが好ましい。こ
れらのポリアルキレンイミンは単独で使用しても、又酢
酸、ｐ−トルエンスルホン酸、硫酸、塩酸等との塩を形
成して使用しても良い。上記ポリアルキレンイミンはイ
ンクジェット記録用紙１ｍ²当たり０．０２〜５ｇの範
囲で用いられる。その使用量が０．０２ｇ未満では耐水
性の改良効果が得られにくく、又５ｇを越えると耐光性
の劣化が顕著になりやすい。好ましくは０．０５〜２
ｇ、特に好ましくは０．１〜１ｇの範囲で用いられる。
又、ポリエチレンイミンは通常ｐＨが約１０以上になる
ため、該ポリエチレンイミンを有する塗布液を酸により
中和してｐＨを９以下、好ましくは８以下にして添加す
るのが好ましい。

【００１８】ポリアルキレンイミンを有する親水性バイ
ンダー層Ａは、支持体から最も離れた親水性バインダー
層、即ち最上層以外ならばいかなる層であっても良い
が、支持体に最も近い親水性バインダー層であることが
耐光性の改良効果の点で好ましい。

【００１９】ポリアルキレンイミンを有する親水性バイ
ンダー層Ａは、更に他の親水性バインダーを含有してい
ることが好ましい。そのような親水性バインダーとして
は、ゼラチン又はその誘導体、ポリビニルピロリドン、
プルラン、ポリビニルアルコール又はその誘導体、カル
ボキシルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロー
ス、デキストラン、デキストリン、ポリアクリル酸及び
その塩、寒天、κ−カラギーナン、λ−カラギーナン、
キサンテンガム、ローカストビーンガム、アルギン酸、
アラビアゴム、ポリエチレングリコール（分子量が約５
０００以上）、水溶性ポリビニルブチラール、あるいは
特開昭６２−２４５２６０号に記載のカルボキシル基や
スルホン酸基を有するビニルモノマーの単独又はこれら
のビニルモノマーを繰り返して有する共重合体等のポリ
マーを挙げることができる。これらの親水性バインダー
は単独で使用しても良く、２種以上を併用しても良い。
しかしながら塗布の観点から、少なくとも１種は可逆的
にゾルゲル変換可能な親水性バインダーを一部使用する
のが好ましく、この点でゼラチン及びその誘導体、κ−
カラギーナンの少なくとも１種を使用するのが好まし
い。

【００２０】親水性バインダー層Ａを構成する好ましい
バインダーの組み合わせとしては、ゼラチン及びその誘
導体の少なくとも何れか一方を有する場合であって、特
にゼラチン及びその誘導体の少なくとも何れか一方とポ
リビニルピロリドンとの組み合わせ、ゼラチン誘導体と
ポリビニルアルコール及びその誘導体の組み合わせ、ゼ
ラチン誘導体、ポリビニルピロリドン及びポリビニルア
ルコールの組み合わせ等が特に好ましい。

【００２１】ポリアルキレンイミンに対する上記親水性
バインダーの使用量は重量比で０．１〜２０倍、好まし
くは０．５〜１０倍である。

【００２２】好ましく用いられるゼラチンとしては、通
常のアルカリ処理ゼラチン及び酸処理ゼラチンが挙げら
れ、そのようなゼラチンの等電点は通常は９〜５の範囲
のものを適宜選択して用いることが出きる。又、ゼラチ
ン誘導体としては、上記ゼラチンのアミノ基又はイミノ
基を無水フタル酸等の酸無水物やフェニルイソシアネー
ト等のイソシアネート類等により反応させ、アミノ基及
びイミノ基の少なくとも一部を不活性化させたものが好
ましい。

【００２３】上記ポリビニルアルコールとしては平均重
合度が３００〜１０００、又ケン化度は７０％以上のも
のが好ましく用いられる。又、その誘導体としては、従
来インクジェット記録用紙で用いられる公知のものを適
宜選択することができる。そのようなポリビニルアルコ
ール誘導体としては、例えば特開昭６１−１０４８３
号、同６１−２７２７９号、同６１−１３４２９１号及
び特開平６−１４３７９８号に記載のカチオン変性ポリ
ビニルアルコール、特開平６−１５５８９５号に記載の
アセトアセチル化ポリビニルアルコール、特開平６−５
５７４３号に記載のビニルピロリドン変性ポリビニルア
ルコール及び特開平７−１０１１４１号に記載のシリル
変性ポリビニルアルコール等が用いられる。

【００２４】２．ポリビニルアルコール及びその誘導体
の少なくとも何れか一方を有する親水性バインダー層Ｂ
について説明する。

【００２５】本発明のインクジェット記録用紙において
は、ポリビニルアルコール及びその誘導体の総量が、イ
ンクジェット記録用紙１ｍ²当たり３ｇ以上、更に好ま
しくは４ｇ以上であることが耐光性を維持する点で好ま
しい。

【００２６】その上限は耐光性の観点からは特に制約は
ないが、塗布上の問題やカール特性などから概ね１０ｇ
／ｍ²以下である。

【００２７】一方、ポリビニルアルコール及びその誘導
体を有する親水性バインダー層Ｂにおけるゼラチン及び
その誘導体の少なくとも何れか一方の総量は、概ね１〜
１０ｇ／ｍ²、好ましくは２〜６ｇ／ｍ²である。又、ポ
リビニルアルコール及びその誘導体を有する親水性バイ
ンダー層Ｂには、上記ポリアルキレンイミンを有する親
水性バインダー層に用いられる上記バインダーを適宜選
択して用いることが出来る。

【００２８】本発明のインクジェット記録用紙は、上記
のポリアルキレンイミンを有する親水性バインダー層
Ａ、ポリビニルアルコール及びその誘導体を有する親水
性バインダー層Ｂの少なくとも２層のインク受容層を有
しているが、保護層、無機顔料含有層、ポリマーラテッ
クス含有層、紫外線吸収剤含有層、画像安定化剤含有
層、色素固定層等を適宜設けてもよい。これらの各層は
２つ以上の機能を単一の層で果たす場合であっても、又
同じ機能を果たす層を２層以上に分けても良い。

【００２９】保護層は表面光沢を維持すること、適度の
滑り性やくっつき防止機能を与えること等が主な目的で
あり、本発明のインクジェット記録用紙においてはその
特性や構成は特に重要である。そのため、光沢を劣化さ
せる無機顔料、有機微粒子等のマット剤、油滴、あるい
は吸湿性の高い素材を多量に添加することは好ましくな
い。保護層に添加される無機顔料又は有機微粒子は、保
護層を構成する親水性バインダーに対して概ね１０重量
％以下、好ましくは２重量％以下である。又、保護層に
添加される乳化分散物等の油滴は親水性バインダーに対
して概ね５０重量％以下、好ましくは２０重量％以下で
ある。

【００３０】上記無機顔料としては、公知の白色顔料を
１種以上用いることができ、例えば軽質炭酸カルシウ
ム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリ
ン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チ
タン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サテンホワイ
ト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、
珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリ
カ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水
酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、加水ハロイ
サイト、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料等が、又
有機微粒子としてはスチレン系プラスチックピグメン
ト、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレ
ン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等が挙
げられる。上記保護層以外の層にも、本発明に悪影響を
及ぼさない範囲で上記無機顔料及び有機微粒子等を添加
することができる。

【００３１】本発明のインクジェット記録用紙における
インク記録面側の塗布固形分の量、即ち乾燥塗布量は特
に制限はないが、概ね５〜６０ｇ／ｍ²が好ましく、１
０〜４０ｇ／ｍ²がより好ましい。尚、記録画像形成後
のカールの防止という面からはなるべく薄く形成するの
が良い。又、カール防止のために裏面にゼラチンやその
誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール
等の親水性バインダー及び必要に応じて用いられるマッ
ト剤を含有せしめることが出来る。裏面に用いられる上
記親水性バインダーの量はインクジェット記録用紙１ｍ
²当たり１〜１０ｇ、好ましくは２〜８ｇである。又、
好ましいマット剤は平均粒径が２〜２０μｍのシリカ微
粉末である。

【００３２】更にインク受容層には、必要に応じて更
に、ＵＶ吸収剤、酸化防止剤、分散剤、蛍光染料、ｐＨ
調整剤、消泡剤、潤滑剤、防腐剤、界面活性剤、増粘
剤、架橋剤、帯電防止剤等の公知の各種添加剤を含有さ
せることもできる。

【００３３】本発明のインクジェット記録用紙の塗布は
１層ずつ順次、あるいは複数層同時で行えるが生産性等
の面で後者が好ましく、その方式としては、好ましくは
カーテンコート法あるいは米国特許第２，６８１，２９
４号記載のホッパーを使用するエクストルージョンコー
ト法等が好ましく用いられる。特に複数の親水性バイン
ダー層を塗布する際には、各塗布液を支持体上に同時塗
布後、冷却固化（以下セットと言う）させて乾燥させる
ことが塗布膜面の均一性や製造効率の点から好ましい。
この際、乾燥時にはセットした塗布液が再溶解しない状
態までの条件で加熱することが生産性の観点から好まし
い。通常はセット後室温〜３０℃の範囲内である程度水
分を蒸発させた後で４０℃〜５０℃に加熱して完全に乾
燥させられる。セット温度は各塗布液のセット温度によ
り概ね決定されるが、０℃前後の冷風を吹き付けること
により一般には行われる。上記した以外に、各々の親水
性バインダー層を個別に塗布してインクジェット記録用
紙を形成した後、冷却固化させて乾燥しても構わない。

【００３４】インクジェット記録用紙の疎水性支持体と
しては、従来インクジェット記録用紙として公知のもの
を適宜使用できる。

【００３５】透明支持体としては、例えばポリエステル
系樹脂、ジアセテート系樹脂、トリアテセート系樹脂、
アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビ
ニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、セロハン、セルロイド
等の材料からなるフィルムや板、及びガラス板などが挙
げられ、この中でもＯＨＰとして使用されたときの輻射
熱に耐える性質のものが好ましく、ポリエチレンテレフ
タレートが特に好ましい。このような透明支持体の厚さ
としては、約１０〜２００μｍが好ましい。

【００３６】又、透明である必要のない場合に用いる支
持体としては、例えば、一般の紙、合成紙、樹脂被覆
紙、布、木材、金属等からなるシートや板、及び上記の
透光性支持体を公知の手段により不透明化処理したもの
等を挙げることができる。不透明の支持体としては、基
紙の少なくとも一方に白色顔料等を添加したポリオレフ
ィン樹脂被覆層を有する樹脂被覆紙（いわゆるＲＣペー
パー）、ポリエチレンテレフタレートに白色顔料を添加
してなるいわゆるホワイトペットが好ましい。支持体と
インク受像層の接着強度を大きくする等の目的で、イン
ク受容層の塗布に先立って、支持体にコロナ放電処理や
下引処理等を行うことが好ましい。更に、本発明の記録
シートは必ずしも無色である必要はなく、着色された記
録シートであってもよい。

【００３７】

【実施例】以下に本発明の実施例を挙げて説明するが、
本発明はこれらの例に限定されるものではない。尚、実
施例中で「％」は特に断りのない限り絶乾重量％を示
し、添加量は各々インクジェット記録用紙１ｍ²当たり
の量を示す。

【００３８】実施例１１００ｇ／ｍ²の原紙両面をポリエチレンで被覆した紙
支持体（厚さ１４０μｍ、記録面側のポリエチレン層中
に７重量％のアナターゼ型二酸化チタン含有）の記録面
に対する裏面側に、アルカリ処理ゼラチンをバック層と
して４．２ｇ／ｍ²塗布乾燥して得られた支持体上に、
下記組成の塗布液を支持体側から第１層塗布液、第２層
塗布液・・・の順に同時塗布した。

【００３９】第１層塗布液アルカリ処理ゼラチン１．０ｇ界面活性剤−１０．００２ｇ第２層塗布液アルカリ処理ゼラチン４．０ｇポリビニルピロリドン４．０ｇ界面活性剤−１０．００６ｇ第３層塗布液フェニルカルバモイル化ゼラチン１．０ｇポリビニルピロリドン１．０ｇ界面活性剤−２０．０２ｇ界面活性剤−３０．１２ｇ

【００４０】

【化１】

【００４１】塗布は各塗布液をスライドホッパー塗布方
式で３層同時塗布を行った。塗布は各塗布液を３５℃で
重畳し、約０〜５℃で約２０秒間冷却セットさせた後、
２０〜５０℃の範囲の風で４分間急速乾燥してインクジ
ェット記録用紙１を得た。

【００４２】一方、インクジェット記録用紙１におい
て、各層の構成を表１に示したバインダー構成になるよ
うに変更した以外はインクジェット記録用紙１と同様に
してインクジェット記録用紙２〜９を作製した。

【００４３】

【表１】

【００４４】ＰＣ−ゼラチン：フェニルカルバモイルゼ
ラチンポリビニルピロリドン（平均分子量約３６万）ポリビニルアルコール（平均重合度５００ケン化度８
９％）ポリエチレンイミン（日本触媒（株）製Ｐ−１００
０）得られた各々のインクジェット記録用紙について、キヤ
ノン株式会社製インクジェットプリンターＢＪＣ−６
００Ｓを用い、評価パターンを印字し以下の項目で評価
を行った。

【００４５】〈評価〉（耐水性）２０℃の水の中に５分間浸漬し、マゼンタ色
の最高濃度部分の印字画像の耐水性を濃度変化率で表
す。

【００４６】（耐光性）マゼンタの最高濃度部分をキセ
ノンフェードメータで光照射し、濃度が５０％になるの
に要する時間を求めた。

【００４７】得られた結果を以下の表２に示す。

【００４８】

【表２】

【００４９】表２に示す結果から明らかなように、本発
明のインクジェット記録用紙はいずれも耐水性が改善さ
れ、しかも耐光性が良好であることがわかる。特にポリ
エチレンイミン含有層より上層にあるポリビニルアルコ
ールが記録用紙１ｍ²当たり３ｇ以上の場合に、画像の
耐光性の低下が少ない。

【００５０】

【発明の効果】本発明によれば、鮮やかな彩度の色素画
像を高い表面光沢を有する記録紙上に得ることができ、
しかも良好な色素の耐水性と耐光性を両立して満足した
インクジェット記録用紙が得られる。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】疎水性支持体上に少なくとも、ポリアル
キレンイミンを有する親水性バインダー層Ａ、ポリビニ
ルアルコール及びその誘導体の少なくとも何れか一方を
有する親水性バインダー層Ｂを支持体側からこの順にし
て設けてなることを特徴とするインクジェット記録用
紙。
【請求項２】前記ポリアルキレンイミンがポリエチレ
ンイミンであることを特徴とする請求項１記載のインク
ジェット記録用紙。
【請求項３】前記ポリアルキレンイミンを有する層
が、ゼラチン及びその誘導体の少なくとも何れか一方を
有してなることを特徴とする請求項１又は２記載のイン
クジェット記録用紙。
【請求項４】前記親水性バインダー層Ｂにおけるポリ
ビニルアルコール及びその誘導体の総量が、インクジェ
ット記録用紙１ｍ²当たり３ｇ以上であることを特徴と
する請求項１乃至３の何れか１項に記載のインクジェッ
ト記録用紙。