JPH09191877A - 酵素固定多孔膜および酵素触媒反応方法 - Google Patents

酵素固定多孔膜および酵素触媒反応方法

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JPH09191877A
JPH09191877A JP2297296A JP2297296A JPH09191877A JP H09191877 A JPH09191877 A JP H09191877A JP 2297296 A JP2297296 A JP 2297296A JP 2297296 A JP2297296 A JP 2297296A JP H09191877 A JPH09191877 A JP H09191877A
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Noboru Kubota
昇 久保田
Kyoichi Saito
恭一 斎藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酵素活性が高く、かつ、高速で反応を実施で
きる反応効率の高い酵素固定化体を提供する。 【解決手段】 ポリオレフィン、オレフィンとハロゲン
化オレフィンの共重合体、またはポリフッ化ビニリデン
からなる、実質的に3次元網目構造を有する多孔性基材
膜の膜孔表面に導入されたグラフト高分子鎖に、酵素が
吸着または共有結合により固定化されている、平均孔径
0.01〜5ミクロン、空孔率20〜90%の酵素固定
多孔膜、および該多孔膜を用いて、酵素を触媒とする化
学反応を行う酵素触媒反応方法。 【効果】 酵素の固定化に伴う活性低下が少なく、低圧
でも高流速で基質溶液を流すことができ、かつ、高流速
においても酵素は充分に基質と接触して高い活性を現出
できるため、効率の良い酵素触媒反応ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酵素を用いた各種
化学反応を行う製薬工業、食品工業、化学工業などにお
いて有用な、酵素触媒反応を効率良く行う酵素固定多孔
膜、およびこれを用いる酵素触媒反応方法に関する。
【0002】
【従来の技術】酵素は、化学反応を常温、常圧の穏和な
条件下で、しかも、選択性高く進行させる能力を持つ生
体由来の高性能な化学反応触媒である。このように優れ
た性能を持つ酵素を工業的に利用しやすくする目的で、
酵素を不溶性の担体に固定することにより、高価な酵素
の回収利用を容易にし、かつ、連続操作を可能にして、
酵素の工業的実用性を向上させる研究が1960年代よ
り盛んになってきた。
【0003】不溶性の担体としては、主にアガロースや
ポリスチレンなどの高分子よりなるゲルビーズが用いら
れ、固定化の方法としては、吸着法(イオン吸着法、疎
水吸着法など)、共有結合法(CNBr法、カルボジイ
ミド法など)が用いられている。これら酵素固定の技術
については、千畑一郎編「固定化生体触媒」〔(株)講
談社サイエンティフック、1986年発行〕や野本正雄
著「酵素工学」〔(株)学会出版センター、1993年
発行〕に詳しく記載されている。
【0004】酵素を固定したゲルビーズはカラムに充填
され、このカラムに基質(反応を受ける物質)溶液を流
して、基質と酵素を接触させることにより、基質を反応
生成物に変えることができる。このような従来の技術に
おける問題点として、次の2つがある。(1)固定化に
伴う酵素活性の低下、(2)反応がゲルビーズ内への基
質の拡散律速であり、かつ、カラムの圧損が大きいた
め、高速で反応を実施できない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、酵素活性が
高く、かつ、高速で反応を実施できる反応効率の高い酵
素固定化体を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、ポリオレフィ
ン、オレフィンとハロゲ化オレフィンの共重合体、また
はポリフッ化ビニリデンからなる、実質的に3次元網目
構造を有する多孔性基材膜の膜孔表面に導入されたグラ
フト高分子鎖に、酵素が吸着または共有結合により固定
化されている、平均孔径0.01〜5ミクロン、空孔率
20〜90%の酵素固定多孔膜であり、また、本発明
は、上記酵素固定多孔膜を用いて、酵素を触媒とする化
学反応を行うことを特徴とする酵素触媒反応方法であ
る。
【0007】本発明に用いられる多孔性基材膜の材質
は、ポリオレフィン、オレフィンとハロゲン化オレフィ
ンの共重合体、またはポリフッ化ビニリデンから構成さ
れていることが必要である。これは、多孔膜の機械的強
度の保持のために必要である。ポリオレフィン、オレフ
ィンとハロゲン化オレフィンの共重合体としては、例え
ばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンなどの
オレフィンの単独重合体またはそれらの2種以上の重合
体混合物や、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテ
ン、ヘキセン等のオレフィンの2種以上の共重合体、さ
らには、前記オレフィンの1種または2種以上とテトラ
フルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン等のハ
ロゲン化オレフィンとの共重合体等が挙げられる。
【0008】基材膜の孔は、種々の成形加工手段によっ
て得られ、その形状、大きさは限定されるものではない
が、延伸法や電子線照射後に化学処理する、いわゆるエ
ッチング法等により得られる直孔貫通孔よりも、例えば
特公昭40−957号公報、特公昭47−17460号
公報、および特公昭59−37292号公報に示された
ミクロ相分離法や混合抽出法等により形成される3次元
網目構造からなる孔が好ましい。基材膜の形状、大きさ
は、目的とする酵素固定多孔膜の要求にあわせて、平膜
状、チューブ状、中空糸膜状の中から適当なものが選ば
れるが、単位容積当たりの充填膜面積を大きくしやすい
中空糸膜状が好適である。
【0009】基材膜へのグラフト高分子鎖の導入は、次
の2つの手法によって実施できる。 (1)基材膜に電離性放射線、紫外線またはプラズマを
当てるか、あるいはオゾンと接触させてラジカルを発生
させ、そのラジカルを起点にビニルモノマーをラジカル
重合させることによって、高分子(グラフト高分子鎖)
を導入する。(2)基材膜表面に反応性基(例えば水酸
基)を導入し、それと反応する官能基(例えばカルボン
酸クロライド)を持つ高分子鎖と化学反応させることに
よって、高分子鎖を導入する。これらの中では、基材膜
に電離性放射線を照射してラジカルを発生させ、そのラ
ジカルを起点にビニルモノマーをラジカル重合させる方
法が最も大量生産に向いており、工業的に有利である。
【0010】基材膜への電離性放射線の照射は、通常、
真空または不活性ガス中で行う。電離性放射線として
は、電子線またはガンマ線が好ましく用いられる。照射
後の基材膜にビニルモノマーをガス状、液状または溶液
状で接触させることにより、ラジカル重合法にて膜孔表
面にグラフト高分子鎖を導入することができる。このグ
ラフト高分子鎖で酵素を固定するためには、グラフト高
分子鎖中に酵素固定機能を果たす官能基が存在すること
が必要である。以下に、固定様式とそれに必要な官能基
の種類およびそのような官能基を持つグラフト高分子鎖
の膜孔表面への導入方法について述べる。
【0011】1.吸着法による固定 1−1.静電吸着法による固定 どの酵素も、水溶液中では、その水溶液のpHがその酵
素の等電点pHよりも低いときには正に、高いときには
負に帯電する。したがって、固定したい酵素の水溶液
を、その酵素の等電点pHより低いpHに調整して、負
電荷を持つグラフト高分子鎖と接触させることにより、
あるいはその酵素の等電点pHより高いpHに調整し
て、正電荷を持つグラフト高分子鎖と接触させることに
より、酵素を正負の静電相互作用を利用してグラフト高
分子鎖に吸着固定することができる。以下に、酵素固定
に用いることができる荷電性官能基およびそれを持つグ
ラフト高分子鎖の膜孔表面への導入方法の例を挙げる。
【0012】(1)スルホン酸基(負荷電性):グリシ
ジルメタクリレートを膜孔表面にグラフト重合した後、
導入したエポキシ基に亜硫酸を付加反応させる。または
スチレンを膜孔表面にグラフト重合した後、導入したベ
ンゼン核を硫酸やクロロスルホン酸でスルホン化する。 (2)カルボン酸基(負荷電性):アクリル酸を膜孔表
面にグラフト重合する。または酢酸ビニルを膜孔表面に
グラフト重合した後、ケン化反応を行い、生成した水酸
基にクロロ酢酸を反応(脱HCl反応)させる。
【0013】(3)リン酸基(負荷電性):グリシジル
メタクリレートを膜孔表面にグラフト重合した後、導入
したエポキシ基にリン酸を付加反応させる。 (4)四級アンモニウム塩基(正荷電性):グリシジル
メタクリレートを膜孔表面にグラフト重合した後、導入
したエポキシ基にジエチルアミン等の二級アミンを付加
反応させ、生成した三級アミンにベンジルクロライド等
のハロゲン化炭化水素を付加させる。
【0014】(5)三級アミノ基(正荷電性):グリシ
ジルメタクリレートを膜孔表面にグラフト重合した後、
導入したエポキシ基にジエチルアミン等の二級アミンを
付加反応させる。 (6)二級アミノ基(正荷電性):グリシジルメタクリ
レートを膜孔表面にグラフト重合した後、導入したエポ
キシ基にエタノールアミン等の一級アミンを付加反応さ
せる。
【0015】(7)一級アミノ基(正荷電性):グリシ
ジルメタクリレートを膜孔表面にグラフト重合した後、
導入したエポキシ基にアンモニアあるいはエチレンジア
ミンを付加反応させる。 1−2.疎水吸着法による固定 どの酵素も、その構成アミノ酸として疎水性のアミノ酸
(トリプトファン、フェニルアラニン、イソロイシン、
ロイシン等)を含む。したがって、固定したい酵素の水
溶液を、疎水性基を持つグラフト鎖と接触させることに
より、酵素の疎水性アミノ酸残基とグラフト高分子鎖の
疎水性基との疎水性相互作用によって、酵素をグラフト
高分子鎖に疎水吸着により固定することができる。
【0016】疎水性基としては、フェニル基、アルキル
基(ブチル基、オクチル基、オクタデシル基等)などの
炭化水素基またはそれら炭化水素基の水素原子のハロゲ
ン原子置換体を用いることができる。フェニル基を持つ
グラフト高分子鎖は、例えばグリシジルメタクリレート
を膜孔表面にグラフト重合した後、導入したエポキシ基
にフェノールあるいはアニリンを付加反応させることに
より、膜孔表面に導入することができる。アルキル基を
持つグラフト高分子鎖は、例えばグリシジルメタクリレ
ートを膜孔表面にグラフト重合した後、導入したエポキ
シ基にブチルアミン、オクチルアミン、オクタデシルア
ミン等のアルキルアミンを付加反応させることにより、
膜孔表面に導入することができる。
【0017】2.共有結合法による固定 共有結合法による固定に用いられる官能基と、その官能
基を利用した酵素の固定化手段については、千畑一郎編
「固定化生体触媒」〔(株)講談社サイエンティフッ
ク、1986年発行〕20〜53ページに多数述べられ
ており(CNBr法、グルタルアルデヒド法等)、本発
明においても、これらの手段を利用して酵素をグラフト
高分子鎖に固定することができる。これら共有結合法に
必要な官能基は、水酸基、一級アミノ基、カルボン酸基
である。
【0018】水酸基を持つグラフト高分子鎖は、例えば
グリシジルメタクリレートを膜孔表面にグラフト重合し
た後、導入したエポキシ基を希硫酸中で、水を付加して
ジオール化するか、あるいは酢酸ビニルを膜孔表面にグ
ラフト重合した後、ケン化反応を行うか、あるいはヒド
ロキシルエチルメタクリレートを膜孔表面にグラフト重
合することにより、膜孔表面に導入することができる。
一級アミノ基を持つグラフト高分子鎖は、上記「1−
1.静電吸着法(7)」に記した方法で膜孔表面に導入
することができる。カルボン酸基を持つグラフト高分子
鎖は、上記「1−1.静電吸着法(2)」に記した方法
で膜孔表面に導入することができる。
【0019】以上述べたような酵素固定化用の官能基の
量は、酵素固定化前の段階において多孔膜1g当たり
0.05mmol以上あることが好ましい。これは、固
定化用の官能基量を多くすることにより、酵素が多点で
グラフト高分子鎖に結合固定されるようになり、酵素の
失活の抑制に役立つからである。このように、モビリテ
ィの高いグラフト高分子鎖に多点で酵素を固定すること
により、固定化に伴う酵素活性の低下は抑制される。
【0020】本発明で固定化される酵素としては、アミ
ラーゼ、プロテアーゼ等の加水分解酵素、グルコースイ
ソメラーゼ等の異性化酵素、グルコースオキシダーゼ、
カタラーゼ等の酸化還元酵素、クレアチンキナーゼ等の
転移酵素、フマラーゼ、アスパルターゼ等の脱離酵素な
ど、丸尾文治、田宮信雄監修「酵素ハンドブック」
〔(株)朝倉書店、1982年発行〕や、小巻利章著
「酵素応用の知識/第三版」〔(株)幸書房、1992
年発行〕7〜11ページに記載されている酵素などがあ
り、特に限定はない。また、固定する酵素は1種類であ
る必要はなく、用途や目的に応じて、2種以上の酵素が
1つの多孔膜に固定されていてもよい。
【0021】本発明の酵素固定多孔膜は、平均孔径が
0.01〜5μm、好ましくは0.05〜2μmの範囲
にある。孔径が小さすぎると、液の透過抵抗が大きくな
り好ましくない。また、孔径が大きすぎると、基質と酵
素の接触効率が低くなり好ましくない。ここで平均孔径
とは、ASTM F316に記載されている方法(エア
ーフロー法)による値である。
【0022】また、空孔率は20〜90%、好ましくは
40〜80%の範囲にある。空孔率は液の透過速度を高
め、かつ、有効膜面積を大きくする観点からは大きい方
が好ましく、機械的強度を高くする観点からは小さい方
が好ましい。ここで空孔率とは、孔内に水等の液体が満
たされた状態の膜重量と乾燥膜重量との差から求められ
る。
【0023】このような多孔膜構造の酵素固定化体で
は、基質溶液をサブミクロン〜ミクロンオーダーの孔の
中に、圧力勾配を利用して流すことができるため、基質
が拡散にたよらずに酵素と接触でき、かつ、圧損が小さ
くてすむ。その結果、高速で酵素触媒反応を行うことが
できる。以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明
する。
【0024】
【実施例】
<基材膜製造例>微粉ケイ酸(ニプシルVN3LP)2
3.1重量部、ジオクチルフタレート(以下、DOPと
いう)55.4重量部、ポリエチレン樹脂粉末(旭化成
SH−800グレード)21.5重量部の組成物を予備
混合した後、30ミリ二軸押し出し機で中空糸状に押し
出した後、1,1,1−トリクロロエタン中で1時間浸
漬してDOPを抽出した。さらに、60℃のNaOH4
0%水溶液に20分間浸漬して微粉ケイ酸を抽出した
後、水洗、乾燥することにより、内径0.7mm、外径
1.2mmの中空糸状の多孔性基材膜を得た。
【0025】(実施例1)基材膜製造例で得た基材膜
に、電子加速器(加速電圧1.5MeV、電子線電流1
mA)を用いて、窒素雰囲気下で電子線を200kGy
照射した後、グリシジルメタクリレート(以下、GMA
という)の10容積%メタノール溶液に、40℃で約1
0分間浸漬した後、ジメチルホルムアミドおよびメタノ
ールで洗浄した。このようにして、下記式で定義される
グラフト率が150%のGMAグラフト膜を得た。
【0026】 グラフト率〔%〕=100(W−Wo)/Wo Wo:基材膜の重量〔g〕 W :グラフト重合後の膜重量〔g〕 このGMAグラフト膜を、NaOHを加えることにより
pHを10に調整したフェノールの9.4重量%水溶液
に、80℃で24時間浸漬し、エポキシ基へのフェノー
ル付加反応を行った。ついで、よく水洗した後、0.5
M濃度の希硫酸中に80℃で2時間浸漬し、残存エポキ
シ基に水を付加してジオール化した。フェニル基の導入
量を、J.Chromatogr.,585(199
1)p.45−51に記載されている方法(重量変化
法)と同様にして求めたところ、得られた膜1g当たり
2.3mmolであった。
【0027】このフェニル基導入膜15cmに、α−ア
ミラーゼ(Sigma社、TypeII−A)を200
ppm濃度に溶かした0.1Mのリン酸緩衝液(pH
6)を、全ろ過方式で、ろ過圧0.02MPa、298
Kにて膜の内側から外側へ透過ささせた。透過液の28
0nmにおける吸光度を測定することにより、透過液中
のα−アミラーゼ濃度を測定した。透過液中のα−アミ
ラーゼ濃度が供給液中の濃度と同じになるまで、膜にα
−アミラーゼ溶液を透過し続けた。その後、膜に0.1
Mリン酸緩衝液(pH6)を透過させて、膜孔内に残っ
ている未固定のα−アミラーゼを洗い流した。α−アミ
ラーゼ溶液を透過させたときの透過液の量と、その28
0nmにおける吸光度および洗浄液(0.1Mのリン酸
緩衝液)を透過させたときの透過液の量と、その280
nmにおける吸光度から、膜に固定されたα−アミラー
ゼの量を求めたところ、α−アミラーゼ固定膜1g当た
り12mgであった。この膜は、外径1.5mm、内径
0.8mm、平均孔径0.2μm、空孔率55%であっ
た。このようにして、本発明の酵素固定多孔膜を得た。
【0028】この酵素固定多孔膜15cmに、基質とし
て可溶性でんぷん(ナカライテスク社、アミラーゼ定量
用)を3重量%濃度に溶かした0.1Mのリン酸緩衝液
(pH6)を、全ろ過方式で、ろ過圧0.15MPa、
30℃にて膜の内側から外側へ透過させることにより、
固定したα−アミラーゼの酵素活性(でんぷん分解活
性)を測定した。透過液にヨウ素溶液を加え、680n
mにおける吸光度を測定し(ヨウ素−でんぷん反応)、
以下の式によりでんぷん分解量を定義した。
【0029】でんぷん分解量(mg) =〔供給したでんぷん量(mg)〕×〔(供給液の吸光
度)−(透過液の吸光度)〕/(供給液の吸光度) 上記測定条件下において、透過液中の未分解でんぷん量
は僅かであり、でんぷん分解活性は、酵素固定多孔膜1
g当たり2.6g/minに達した。また、下記式で定
義される空間速度(SV)は2500h-1であった。
【0030】SV(h-1)=〔液の透過速度(mL/
h)〕/{π〔膜の外径(cm)〕2×〔膜の長さ(c
m)〕/4} 通常、酵素固定ゲルビーズを充填したカラムでは、圧損
の大きさと基質の酵素への拡散スピードの遅さのため、
基質溶液をVS10h-1以下の流速でしか流せない。上
記測定結果より、本発明の酵素固定多孔膜は、低圧でも
高流速で基質溶液を流すことができ、かつ、高流速にお
いても、酵素は充分に基質と接触して高い活性を現出で
きることが分かる。なお、下式で定義される固定化に伴
う酵素の活性収率は15%であった。
【0031】活性収率(%)=100×〔固定化された
酵素のでんぷん分解活性(mg−でんぷん/min/m
g−酵素)〕/〔水溶液中の酵素のでんぷん分解活性
(mg−でんぷん/min/mg−酵素)〕 ゲルビーズに固定されたα−アミラーゼの活性収率は、
例えば、発行工学、55(1977)p.75−79に
よれば2%であり、本発明の酵素固定多孔膜は、固定化
に伴う活性の低下が小さいことが分かる。
【0032】(実施例2)フェノール付加反応の反応時
間を5時間にした以外は、実施例1と同様にしてα−ア
ミラーゼ固定膜を得た。この膜のα−アミラーゼ固定量
は、α−アミラーゼ固定膜1g当たり6mg、平均孔径
0.2μm、空孔率57%であった。なお、α−アミラ
ーゼ固定前の膜1g当たりのフェニル基の導入量は1.
3mmolであった。このα−アミラーゼ固定多孔膜の
でんぷん分解活性を、ろ過圧を0.10MPaにした以
外は、実施例1と同様にして測定したところ、1.2g
/minであった。また、このときのSVは1600h
-1、活性収率は15%であった。
【0033】(実施例3)実施例1で得たGMAグラフ
ト膜を、エタノールアミンに30℃で20時間浸漬し、
エポキシ基へのエタノールアミン付加反応を行った。エ
タノールアミノ基の導入量を滴定法により求めたとこ
ろ、得られた膜1g当たり3.0mmolであった。こ
のエタノールアミン導入膜に、リン酸緩衝液のpHおよ
び濃度をそれぞれ7.0と0.02Mにした以外は、実
施例1と同様にしてα−アミラーゼ固定膜を得た。この
膜のα−アミラーゼ固定量は、α−アミラーゼ固定膜1
g当たり40mg、平均孔径0.2μm、空孔率53%
であった。
【0034】(実施例4)実施例1で得たフェニル基導
入膜に、酵素の種類をパパイン(和光純薬工業)にした
以外は、実施例1と同様にしてパパイン固定膜を得た。
この膜のパパイン固定量は、パパイン固定膜1g当たり
15mg、平均孔径0.2μm、空孔率56%であっ
た。
【0035】(実施例5)実施例1で得たGMAグラフ
ト膜を、25重量%アンモニア水に30℃で20時間浸
漬し、エポキシ基へのアンモニア付加反応を行った。ア
ミノ基の導入量を滴定法により求めたところ、得られた
膜1g当たり1.5mmolであった。ついで、この膜
を5容積%のグルタルアルデヒド水溶液に、室温で1時
間浸漬し、アミノ基とグルタルアルデヒドの片側のアル
デヒド基をシッフ塩基形成により結合させ、アルデヒド
基を持つ膜とした。ついで、この膜を、α−アミラーゼ
を200ppm濃度に溶かした0.1Mのリン酸緩衝液
(pH6)に、室温で2時間浸漬し、α−アミラーゼ中
のリシン残基等のアミノ基とシッフ塩基形成により結合
させ、α−アミラーゼを固定した。この膜のα−アミラ
ーゼ固定量は、α−アミラーゼ固定膜1g当たり10m
g、平均孔径0.2μm、空孔率52%であった。
【0036】
【発明の効果】本発明の酵素固定多孔膜は、固定化に伴
う活性低下が少なく、低圧でも高流速で基質溶液を流す
ことができ、かつ、高流速においても、酵素は充分に基
質と接触して高い活性を現出できるため、効率の良い酵
素触媒反応ができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオレフィン、オレフィンとハロゲン
    化オレフィンの共重合体、またはポリフッ化ビニリデン
    からなる、実質的に3次元網目構造を有する多孔性基材
    膜の膜孔表面に導入されたグラフト高分子鎖に、酵素が
    吸着または共有結合により固定化されている、平均孔径
    0.01〜5ミクロン、空孔率20〜90%の酵素固定
    多孔膜。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の酵素固定多孔膜を用い
    て、酵素を触媒とする化学反応を行うことを特徴とする
    酵素触媒反応方法。
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