JPH09183784A - 光学活性ベンゾチエピン誘導体、その製造法および剤 - Google Patents

光学活性ベンゾチエピン誘導体、その製造法および剤

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JPH09183784A
JPH09183784A JP2143397A JP2143397A JPH09183784A JP H09183784 A JPH09183784 A JP H09183784A JP 2143397 A JP2143397 A JP 2143397A JP 2143397 A JP2143397 A JP 2143397A JP H09183784 A JPH09183784 A JP H09183784A
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compound
optically active
benzothiepine
lower alkyl
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JP2143397A
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English (en)
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Takashi Soda
隆 左右田
Shigehisa Taketomi
滋久 武冨
Tsuneo Oda
恒夫 小田
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Takeda Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】骨形成促進作用を有し、骨疾患予防治療剤とし
て有用な化合物の提供。 【解決手段】式 【化1】 〔式中、 Rは低級アルキル基を示し、R1およびR2はそ
れぞれ低級アルキル基を示すか、または一緒に低級アル
キレン基を示す。〕で表される光学活性ベンゾチエピン
誘導体、その製造法及び剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、骨形成促進作用お
よび骨吸収抑制作用等を有する光学活性ベンゾチエピン
誘導体およびそれを有効成分として含有してなる骨疾患
予防治療剤に関する。
【0002】
【従来の技術】骨疾患は、骨の量的減少がある程度以上
になって、そのために何らかの症状または危険を起こし
ている病的状態あるいは疾患である。例えば、骨疾患の
一つである骨粗鬆症の主要症状は脊椎の後彎、腰背骨な
らびに椎体、大腿骨頸部、橈骨下端、肋骨、上腕骨上端
等の骨折である。骨組織では、常に骨形成と骨吸収によ
る骨破壊とがバランスを保ちながら繰り返されており、
骨形成では骨芽細胞が、骨吸収では破骨細胞が中心的な
役割を担っている。その骨形成と骨吸収による骨破壊と
のバランスがくずれるとき、骨の量的減少を伴う。従
来、骨粗鬆症の予防治療薬としては、エストロゲン剤、
カルシトニン、ビスホスホネ−ト等の骨吸収抑制物質が
主に使用されてきた。しかしながら、これらの骨吸収抑
制剤を投与する場合、投与対象が限定されたり、効果が
不確実である場合もあり、十分な効果が得られていな
い。一方、本発明者らは、すでに、優れた骨吸収抑制作
用を有する下記一般式(A)または(B)で表される含
硫黄複素環化合物またはその塩を見いだしている(特開
平03−232880号および特開平04−36417
9号)。
【化9】 〔式中、環Aは置換されていてもよいベンゼン環を、R
は水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を、
Bはエステル化またはアミド化されていてもよいカルボ
キシル基を、Xは−CH(OH)−または−CO−を、
kは0または1を、k’およびnは0,1または2を示
す] そして、その具体的化合物の一つとして、式(C):
【化10】 で表される化合物が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】今後、臨床上有用な医
薬品(特に経口用)としての性質(安定性、吸収性、体
内利用性等)が、より優れた骨疾患予防治療剤の開発が
待たれている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、骨に直接
作用して骨吸収を抑制し、さらに骨形成を促進する作用
を有する、より臨床的に有用な薬剤の開発を目的として
鋭意研究を行った結果、式(I)
【化11】 〔式中、 Rは低級アルキル基を示し、R1およびR2はそ
れぞれ低級アルキル基を示すか、または一緒に低級アル
キレン基を示す。〕で表される光学活性ベンゾチエピン
誘導体を初めて合成し、この化合物が予想外にも上記式
(A)および(B)で表される化合物の中で特に臨床上
の有用性が高く、とりわけ骨形成促進作用および経口吸
収性等が優れていることを見いだした。例えば、式
(I)で表される光学活性ベンゾチエピン誘導体は、経
口吸収性の面において、式(C)で表される化合物より
も優れている。本発明者らは、これらの知見に基づい
て、本発明を完成した。
【0005】すなわち本発明は、(1)式(I)で表さ
れる光学活性化合物(以下、化合物(I)と称すること
がある)、(2)式(II)
【化12】 〔式中、 記号は前記と同意義を示す。〕で表される光学
活性体またはそのカルボキシル基における反応性誘導体
もしくは塩と式(III)
【化13】 〔式中、 各記号は前記と同意義を示す。〕で表される化
合物またはそのアミノ基における反応性誘導体もしくは
その塩とを反応させることを特徴とする化合物(I)の
製造法、(3)式(II)で表される光学活性体またはそ
のカルボキシル基における反応性誘導体もしくは塩、
(4)化合物(I)を含有する骨形成促進剤、(5)化
合物(I)を含有する骨折治癒促進剤、および(6)化
合物(I)を含有する骨疾患予防または治療剤等に関す
る。
【0006】上記式中、R、R1およびR2で示される低
級アルキル基としては、例えばメチル、エチル、プロピ
ル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチ
ル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオ
ペンチル、ヘキシル等の炭素数1ないし6(好ましく
は、1ないし4)の直鎖もしくは分枝状のアルキル基等
が挙げられる。R1およびR2は一緒に低級アルキレン基
を形成してもよく、この場合例えば、
【化14】 〔式中、 nは2ないし4の整数を示す。〕を表すことが
できる。R、R1およびR2としては、例えばそれぞれメ
チル、エチル等の炭素数1ないし4のアルキル基等が好
ましい。
【0007】本発明の化合物(I)は、(2R,4S)
配位の光学活性体であって、(2S,4R)配位の化合
物を実質的に含まず、光学純度が100%に近いほど好
ましいものである。化合物(I)のうち、とりわけ(2
R,4S)−(−)−N−[4−(ジエトキシホスホリ
ルメチル)フェニル]−1,2,4,5−テトラヒドロ
−4−メチル−7,8−メチレンジオキシ−5−オキソ
−3−ベンゾチエピン−2−カルボキサミド等が好まし
い。
【0008】化合物(I)は、式(II)で表される光学
活性体またはそのカルボシキル基における反応性誘導体
もしくは塩と式(III)で表される化合物、そのアミノ
基における反応性誘導体もしくはその塩とを反応させる
ことによって製造される。
【0009】化合物(III)のアミノ基における好適な
反応性誘導体としては、例えば化合物(III)とアルデ
ヒド(例えばアセトアルデヒド等)、ケトン(例えばア
セトン等)等のようなカルボニル化合物との反応によっ
て生成するシッフ塩基型イミノまたはそのエナミン型互
変異性体;化合物(III)とビス(トリメチルシリル)
アセトアミド、モノ(トリメチルシリル)アセトアミ
ド、ビス(トリメチルシリル)尿素等のようなシリル化
合物との反応によって生成するシリル誘導体;化合物
(III)と三塩化リンまたはホスゲンとの反応によって
生成する誘導体等が挙げられる。化合物(II)のカルボ
キシル基における好適な反応性誘導体としては、常法に
従って得られる例えば酸ハロゲン化物、酸無水物、活性
化アミド、活性化エステル等が挙げられる。この様な反
応性誘導体の好適な例としては、酸塩化物;酸アジ化
物;例えばジアルキルリン酸、フェニルリン酸、ジフェ
ニルリン酸、ジベンジルリン酸、ハロゲン化リン酸等の
置換されたリン酸、ジアルキル亜リン酸、亜硫酸、チオ
硫酸、硫酸、例えばメタンスルホン酸等のスルホン酸、
例えば酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、ピバリン
酸、ペンタン酸、イソペンタン酸、トリクロロ酢酸等の
脂肪族カルボン酸または例えば安息香酸等の芳香族カル
ボン酸のような酸との混合酸無水物;対称酸無水物;イ
ミダゾ−ル、4−置換イミダゾ−ル、ジメチルピラゾ−
ル、トリアゾ−ルまたはテトラゾ−ルとの活性化アミ
ド;または例えばシアノメチルエステル、メトキシメチ
ルエステル、ジメチルイミノメチルエステル、ビニルエ
ステル、プロパルギルエステル、p-ニトロフェニルエス
テル、トリクロロフェニルエステル、ペンタクロロフェ
ニルエステル、メシルフェニルエステル、フェニルアゾ
フェニルエステル、フェニルチオエステル、p-ニトロフ
ェニルエステル、p-クレジルチオエステル、カルボキシ
メチルチオエステル、ピラニルエステル、ピリジルエス
テル、ピペリジルエステル、8-キノリルチオエステル等
の活性化エステル、または例えば N,N-ジメチルヒドロ
キシアミン、1-ヒドロキシ-2-(1H)-ピリドン、N-ヒドロ
キシスクシンイミド、N-ヒドロキシフタルイミド、1-ヒ
ドロキシ-1H-ベンゾトリアゾ−ル、N-ヒドロキシ-5-ノ
ルボルネン-2,3-ジカルボキシイミド等の N-ヒドロキシ
化合物とのエステル等が挙げられる。これら反応性誘導
体は、使用する化合物(II)の種類によって任意に選択
することができる。化合物(II)または(III)の反応
性誘導体の好適な塩としては、例えばナトリウム塩、カ
リウム塩等のアルカリ金属塩、例えばカルシウム塩、マ
グネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム
塩、例えばトリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、
ピリジン塩、ピコリン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、
N,N-ジベンジルエチレンジアミン塩等の有機塩基塩等の
ような塩基塩が挙げられる。反応は通常、水、例えばメ
タノ−ル、エタノ−ル等のアルコ−ル類、アセトン、ジ
オキサン、アセトニトリル、クロロホルム、塩化メチレ
ン、塩化エチレン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、
N,N-ジメチルホルムアミド、ピリジンのような常用の溶
媒中で行われるが、反応に悪影響を及ぼさない溶媒であ
ればその他のいかなる有機溶媒中でも反応を行うことが
できる。これら常用の溶媒は水との混合物として使用し
てもよい。この反応において、化合物(II)または(II
I)を遊離酸の形または塩の形で使用する場合には、例
えばN,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド;N-シクロ
ヘキシル-N'-モルホリノエチルカルボジイミド;N-シク
ロヘキシル-N'-(4-ジエチルアミノシクロヘキシル)カ
ルボジイミド;N,N'-ジエチルカルボジイミド、N,N'-ジ
イソプロピルカルボジイミド、N-エチル-N'-(3-ジメチ
ルアミノプロピル)カルボジイミド;N,N'-カルボニル
ビス(2-メチルイミダゾ−ル);ペンタメチレンケテン
-N-シクロヘキシルイミン;ジフェニルケテン-N-シクロ
ヘキシルイミン;エトキシアセチレン;1-アルコキシ-1
-クロロエチレン;亜リン酸トリアルキル;ポリリン酸
エチル;ポリリン酸イソプロピル;オキシ塩化リン;ジ
フェニルホスホリルアジド;塩化チオニル;塩化オキサ
リル;例えばクロロギ酸エチル、クロロギ酸イソプロピ
ル等のハロギ酸低級アルキル;トリフェニルホスフィ
ン;2-エチル-7-ヒドロキシベンズイソオキサゾリウム
塩、2-エチル-5-(m-スルホフェニル)イソオキサゾリ
ウムヒドロキシド分子内塩;N-ヒドロキシベンゾトリア
ゾ−ル;1-(p-クロロベンゼンスルホニルオキシ)-6-ク
ロロ-1H-ベンゾトリアゾ−ル;N,N'-ジメチルホルムアミ
ドと塩化チオニル、ホスゲン、クロロギ酸トリクロロメ
チルまたはオキシ塩化リン等との反応によって調製した
いわゆるビルスマイヤ−試薬等のような常用の縮合剤の
存在下に反応を行うのが望ましい。また、N-ヒドロシキ
ベンゾトリアゾールまたはN-ヒドロキシ-5-ノルボルネ
ン-エンド-2,3-ジカルボキシイミドの存在下、N,N'-ジ
シクロヘキシルカルボジイミド等の縮合剤を用いる方法
も望ましい。反応はまたアルカリ金属炭酸水素塩トリ
(低級)アルキルアミン、ピリジン、N-(低級)-アルキ
ルモルホリン、N,N-ジ(低級)アルキルベンジルアミン
等のような無機塩基または有機塩基の存在下に行っても
よい。反応温度は特に限定されないが、通常は冷却下な
いし加温下(−10〜120℃)に反応が行われる。反
応時間は通常約0.5時間〜約100時間、好ましくは
約1時間〜約50時間である。
【0010】このようにして得られる化合物(I)は、
公知の分離精製手段例えば濃縮、減圧濃縮、溶媒抽出、
晶出、再結晶、転溶、クロマトグラフィーなどにより単
離精製することができる。原料化合物(II)は、例えば
特開平04−364179号に開示されている化合物
(II)のラセミ体の光学分割により製造することができ
る。すなわち、化合物(II)のラセミ体と光学活性塩基
(例、光学活性α−メチルベンジルアミン、ブルシン、
キニン、シンコニン等)との塩をつくり、生成するジア
ステレオマーの溶解度の差を利用して分別結晶を繰り返
し、難溶性塩を純粋に得た後、酸処理することにより一
方の光学活性体を製造する。また、化合物(II)のラセ
ミ体と光学活性アルコール(例、光学活性乳酸メチル、
マンデル酸メチル等)とのエステルをつくり、生成する
ジアステレオマーの物性の差を利用して一方のエステル
体を純粋に得た後、加水分解することにより一方の光学
活性体を製造することもできる。
【0011】本発明の目的化合物(I)は、常法に従っ
て薬学的に許容される担体と配合し、錠剤、カプセル
剤、顆粒剤、散剤などの固形製剤;またはシロップ剤、
注射剤などの液状製剤として製剤化することができ、経
口または非経口的に投与することができる。製剤化にお
いて、化合物(I)を含有させる割合は、製剤全体に対
して約0.01〜約95重量%、好ましくは約0.1〜
約20重量%である。化合物(I)は経口用製剤として
用いるのが好ましい。
【0012】薬学的に許容される担体としては、製剤素
材として慣用の各種有機あるいは無機担体物質が用いら
れ、固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊
剤;液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等
張化剤、緩衝剤、無痛化剤などとして配合される。また
必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤など
の製剤添加物を用いることもできる。賦形剤の好適な例
としては、例えば乳糖、白糖、D−マンニトール、デン
プン、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸などが挙げられ
る。滑沢剤の好適な例としては、例えばステアリン酸マ
グネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイ
ドシリカなどが挙げられる。結合剤の好適な例として
は、例えば結晶セルロース、白糖、D−マンニトール、
デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロ
キシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン
などが挙げられる。崩壊剤の好適な例としては、例えば
デンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメ
チルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリ
ウム、カルボキシメチルスターチナトリウムなどが挙げ
られる。溶剤の好適な例としては、例えば注射用水、ア
ルコール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ
油、トウモロコシ油などが挙げられる。溶解補助剤の好
適な例としては、例えばポリエチレングリコール、プロ
ピレングリコール、D−マンニトール、安息香酸ベンジ
ル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロー
ル、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸
ナトリウムなどが挙げられる。懸濁化剤の好適な例とし
ては、例えばステアリルトリエタノールアミン、ラウリ
ル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシ
チン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モ
ノステアリン酸グリセリン、などの界面活性剤;例えば
ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボ
キシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、
ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロ
ース、ヒドロキシプロピルセルロースなどの親水性高分
子などが挙げられる。等張化剤の好適な例としては、例
えば塩化ナトリウム、グリセリン、D−マンニトールな
どが挙げられる。緩衝剤の好適な例としては、例えばリ
ン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩などの緩衝液など
が挙げられる。無痛化剤の好適な例としては、例えばベ
ンジルアルコールなどが挙げられる。防腐剤の好適な例
としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル類、クロ
ロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコ
ール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸などが挙げられる。抗
酸化剤の好適な例としては、例えば亜硫酸塩、アスコル
ビン酸などが挙げられる。
【0013】一般式(I)で表される化合物は、強い骨
吸収抑制作用および骨形成促進作用を有し、かつ安定
性、吸収性、体内利用性等の臨床上有用な性質がより優
れているので、哺乳動物(例、ヒト、ラット、マウス、
ネコ、イヌ、ウサギ、牛、豚など)における種々の骨疾
患、例えば、骨粗鬆症、骨折の予防ならびに治療のため
に使用される。また、本発明の化合物(I)は低毒性で
安全に使用することができる。例えば、化合物(I)を
500mg/kg/日の用量で2週間ラットに経口投与
しても何等異常所見は認められなかった。化合物(I)
は対応するラセミ体に比べて、特に経口投与されたとき
の吸収性において優れているので、経口用製剤のために
有利に使用できる。式(I)で表される光学活性ベンゾ
チエピン誘導体は、優れたアルカリフォスファターゼ誘
導活性を示すことから、優れた骨形成促進作用を有し骨
粗鬆症を含む代謝性骨疾患の予防、治療薬として有用で
ある。また、このような作用を有する本発明の化合物
(I)を含有する骨形成促進剤は、整形外科領域におけ
る骨折、骨欠損および変形性関節症などの骨疾患および
歯周病への治療にも応用できる。さらに、歯科領域にお
いては歯周疾患における歯周組織欠損の修復、人工歯根
の安定化、顎堤形成および口蓋裂の修復などにも応用が
期待できる。一般式(I)で表される化合物を、例えば
骨粗鬆症の予防および治療剤として使用する場合、その
1日当たりの投与量は、患者の状態や体重、投与の方法
により異なるが、経口投与の場合成人(体重50kg)
1人当たり活性成分(I)として5から1000mg、
好ましくは30から600mgであり、1から3回にわ
けて投与する。本発明の化合物(I)は、他の骨吸収抑
制剤または骨形成促進剤と併用することができる。該併
用剤としては、例えば、ビタミンD類(例、1α−ヒド
ロキシビタミンD3、1α,25−ジヒドロキシビタミ
ンD3、フロカルシトリオール、セカルシフェロールな
ど)、カルシトニン類(例、ウナギカルシトニン、サケ
カルシトニン、ブタカルシトニン、アビカトニンな
ど)、ビスホスホン酸類(例、エチドロネート、シマド
ロネート、アレンドロネート、チルドロネート、リセド
ロネート、クロドロネート、YH−529など)、性ホ
ルモン関連化合物(例、チボロン、エストラジオール、
オサテロン、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、オル
メロキシフェン、タモキシフェン、ミフェプリストンな
ど)、イプリフラボン、ビタミンK2(例、メナテトレ
ノン)、フッ化ナトリウム、PTH類(例、PTH(1
−34)、PTH(1−84)、PTH(1−36)な
ど)が挙げられる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に試験例、参考例、実施例を
示し、本願発明をさらに詳しく説明する。しかし、これ
らは、単なる例であって本発明を何ら限定するものでは
ない。
【実施例】
試験例1 骨形成促進作用 正常ラットの大腿骨骨髄より調製した間質細胞を用い、
アルカリフォスファタ−ゼ活性を骨形成の指標として測
定した。すなわち、Maniatopoulos らの方法[セル テ
ィシュ リサ−チ(Cell Tissue Research)、254
巻、317頁(1988年)]に従って、7週齢雄性ス
プラ−グ ドウリ−(Sprague-Dawley)ラットの大腿骨
骨髄より間質細胞を調製し、石灰化した骨様組織を形成
させるためデキサメタゾン(10-7M)およびβ-グリセロ
リン酸(10-2M)を含むα-MEM(minimum essential med
ium)液中において培養した。1週間後、confluent に
達した細胞に試験化合物(10-6M および 10-5M)を添加
し、上述の培養液中においてさらに10−14日間培養
した。細胞をリン酸緩衝液で洗浄後、0.2% Nonidet P-4
0 を加えホモゲナイズし、3000 rpmで10分間遠心後の
上清を用い、Lowry らの方法[ジャ−ナル オブ バイ
オロジカル ケミストリ−(Journal of Biological Ch
emistry)、207巻、19頁(1954年)]に従
い、アルカリフォスファタ−ゼ活性を測定した。測定値
は、〔表1〕に平均値±標準偏差(mean± SE)で表示
した。統計処理は、Student's t-test により行った。
【表1】 ────────────────────────────────── 化合物 濃度 アルカリフォスファターゼ活性 (M) (nmol p-nitrophenol/min/well) ────────────────────────────────── コントロール 無添加 113.7 ± 8.1 実施例1で得た化合物 10-5 1635.5 ± 169.7** 実施例1で得た化合物 10-6 682.5 ± 123.2** ────────────────────────────────── * p < 0.05; ** p < 0.01 vs control この〔表1〕より、本発明に係る一般式(I)で表され
る光学活性ベンゾチエピン誘導体は、優れたアルカリフ
ォスファターゼ誘導活性を示すことから、優れた骨形成
促進作用を有し骨粗鬆症を含む代謝性骨疾患の予防、治
療薬として有用であることが明らかにされている。ま
た、このような作用を有する本発明の化合物(I)を含
有する骨形成促進剤は、整形外科領域における骨折、骨
欠損および変形性関節症などの骨疾患への治療にも応用
できる。さらに、歯科領域においては歯周疾患における
歯周組織欠損の修復、人工歯根の安定化、顎堤形成およ
び口蓋裂の修復などにも応用が期待できる。
【0015】参考例1 (2R,4S)−(−)−1,2,4,5−テトラヒド
ロ−4−メチル−7,8−メチレンジオキシ−5−オキ
ソ−3−ベンゾチエピン−2−カルボン酸 (R)−α
−メトキシカルボニルベンジルエステル(4.18
g)、酢酸(45ml)および濃塩酸(30ml)の混
合物を還流下に30分間かきまぜた。反応混合物を水
(800ml)に注ぎ析出する結晶をろ取し、酢酸エチ
ル(150ml)に溶解した。酢酸エチル層は水洗、乾
燥(MgSO4)後、溶媒を留去し残留する結晶をろ取、ヘ
キサンで洗浄した。酢酸エチル−ヘキサンから再結晶
し、(2R,4S)−(−)−1,2,4,5−テトラ
ヒドロ−4−メチル−7,8−メチレンジオキシ−5−
オキソ−3−ベンゾチエピン−2−カルボン酸(1.6
2g,59%)を得た。無色針状晶。融点 194−1
95℃。旋光度[α]D(23℃)-210.8°(c=0.50,CH3
OH)。
【0016】参考例2 1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カル
ボジイミド塩酸塩(12.59g)のジクロロメタン
(200ml)溶液を、(±)−t−1,2,4,5−
テトラヒドロ−4−メチル−7,8−メチレンジオキシ
−5−オキソ−3−ベンゾチエピン−2−カルボン酸
(15.34g)および(R)−(−)−マンデル酸メ
チル(18.19g)のN,N−ジメチルホルムアミド
(DMF)(200ml)溶液に0℃で滴下し、ついで4
−ジメチルアミノピリジン(DMAP)(3.34g)を加
えた。混合物を0℃で1時間、室温で15時間かきまぜ
た後、水に注ぎ酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層は
水洗、乾燥(MgSO4)後、溶媒を留去し残留する結晶を
ろ取、エーテル−ヘキサンで洗浄した。酢酸エチル−ヘ
キサンから2回再結晶し、(2R,4S)−(−)−
1,2,4,5−テトラヒドロ−4−メチル−7,8−
メチレンジオキシ−5−オキソ−3−ベンゾチエピン−
2−カルボン酸 (R)−α−メトキシカルボニルベン
ジルエステル(4.09g,17%)を得た。融点 1
40−141℃。施光度[α]D(23℃)-244.2°(c=
0.50,CHCl3)。
【0017】実施例1 (2R,4S)−(−)−N−[4−(ジエトキシホス
ホリルメチル)フェニル]−1,2,4,5−テトラヒ
ドロ−4−メチル−7,8−メチレンジオキシ−5−オ
キソ−3−ベンゾチエピン−2−カルボキサミド
【化15】 1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カル
ボジイミド塩酸塩(0.39g)のジクロロメタン(7
ml)溶液を、(2R,4S)−(−)−1,2,4,
5−テトラヒドロ−4−メチル−7,8−メチレンジオ
キシ−5−オキソ−3−ベンゾチエピン−2−カルボン
酸(0.47g)および4−アミノベンジルホスホン酸
ジエチル(0.41g)のN,N−ジメチルホルムアミ
ド(DMF)(7ml)溶液に0℃で滴下し、ついで1−
ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)(0.28g)
を加えた。混合物を0℃で1時間、室温(25℃)で1
5時間かきまぜた後水に注ぎ酢酸エチルで抽出した。酢
酸エチル層は水洗、乾燥(MgSO4)後、溶媒を留去し残
留する結晶をろ取した。酢酸エチル−ヘキサンから、つ
いでメタノール−ヘキサンから再結晶し、(2R,4
S)−(−)−N−[4−(ジエトキシホスホリルメチ
ル)フェニル]−1,2,4,5−テトラヒドロ−4−
メチル−7,8−メチレンジオキシ−5−オキソ−3−
ベンゾチエピン−2−カルボキサミド(0.37g,4
4%)を得た。無色プリズム晶。融点181−182
℃。旋光度[α]D(23℃)-187.4°(c=0.50,CHC
l3)。
【0018】実施例2 (2R,4S)−(−)−N−[4−(ジメトキシホス
ホリルメチル)フェニル]−1,2,4,5−テトラヒ
ドロ−4−メチル−7,8−メチレンジオキシ−5−オ
キソ−3−ベンゾチエピン−2−カルボキサミド
【化16】 1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)(0.51
g)および1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロ
ピル)カルボジイミド塩酸塩(0.69g)を、(2
R,4S)−(−)−1,2,4,5−テトラヒドロ−
4−メチル−7,8−メチレンジオキシ−5−オキソ−
3−ベンゾチエピン−2−カルボン酸(0.84g)お
よび4−アミノベンジルホスホン酸ジメチル(0.65
g)のN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(10m
l)溶液に0℃で加えた。混合物を0℃で1時間、室温
で15時間かきまぜた後、水に注ぎ酢酸エチル−テトラ
ヒドロフラン(3:1)で抽出した。酢酸エチル層は、
1N塩酸、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽
和食塩水の順に洗浄後乾燥(MgSO4)、溶媒を留去し
た。残留固体をろ取し、エタノール−ヘキサンから再結
晶、(2R,4S)−(−)−N−[4−(ジメトキシ
ホスホリルメチル)フェニル]−1,2,4,5−テト
ラヒドロ−4−メチル−7,8−メチレンジオキシ−5
−オキソ−3−ベンゾチエピン−2−カルボキサミド
(0.92g,64%)を得た。無色針状晶。融点 1
98−199℃。施光度[α]D(23℃)-198.8°(c=
0.50,CHCl3)。
【0019】実施例3 (2R,4S)−(−)−N−[4−(テトラメチレン
ジオキシホスホリルメチル)フェニル]−1,2,4,
5−テトラヒドロ−4−メチル−7,8−メチレンジオ
キシ−5−オキソ−3−ベンゾチエピン−2−カルボキ
サミド
【化17】 実施例2と同様にして、(2R,4S)−(−)−N−
[4−(テトラメチレンジオキシホスホリルメチル)フ
ェニル]−1,2,4,5−テトラヒドロ−4−メチル
−7,8−メチレンジオキシ−5−オキソ−3−ベンゾ
チエピン−2−カルボキサミドを得た。エタノール−ヘ
キサンから再結晶、無色プリズム晶。融点 139−1
40℃。施光度[α]D(23℃)-176.2°(c=0.50,CHC
l3)。
【0020】製剤例 化合物(I)を有効成分として含有する骨形成促進剤
は、たとえば、次の様な処方によって製造することがで
きる。 1.カプセル剤 (1)(2R,4S)−(−)−N−[4−(ジエトキシホスホリルメチル)フ ェニル]−1,2,4,5−テトラヒドロ−4−メチル−7,8−メチレンジオ キシ−5−オキソ−3−ベンゾチエピン−2−カルボキサミド 10mg (2)ラクトース 90mg (3)微結晶セルロース 70mg (4)ステアリン酸マグネシウム 10mg 1カプセル 180mg (1),(2)と(3)および(4)の1/2を混和し
た後、顆粒化する。これに残りの(4)を加えて全体を
ゼラチンカプセルに封入する。 2.錠剤 (1)(2R,4S)−(−)−N−[4−(ジエトキシホスホリルメチル)フ ェニル]−1,2,4,5−テトラヒドロ−4−メチル−7,8−メチレンジオ キシ−5−オキソ−3−ベンゾチエピン−2−カルボキサミド 10mg (2)ラクトース 35mg (3)コーンスターチ 150mg (4)微結晶セルロース 30mg (5)ステアリン酸マグネシウム 5mg 1錠 230mg (1)(2),(3),(4)の2/3および(5)の1
/2を混和後、顆粒化する。残りの(4)および(5)
をこの顆粒に加えて錠剤に加圧成形する。
【0021】 3.注射剤 (1)(2R,4S)−(−)−N−[4−(ジエトキシホスホリルメチル)フ ェニル]−1,2,4,5−テトラヒドロ−4−メチル−7,8−メチレンジオ キシ−5−オキソ−3−ベンゾチエピン−2−カルボキサミド 10mg (2)イノシット 100mg (3)ベンジルアルコール 20mg 1アンプル 130mg (1),(2),(3)を全量2mlになるように、注射
用蒸留水に溶かし、アンプルに封入する。全工程は無菌
状態で行う。
【0022】参考例3 (±)−3,4−ジヒドロ−6,7−ジメチル−4−オ
キソ−1H−2−ベンゾチオピラン−1−カルボン酸
(27.5g)のクロロホルム(200ml)懸濁液に
(S)−(−)−α−メチルベンジルアミン(14.1
g)を加えた。混合物を室温で30分間かきまぜた後、
減圧下に濃縮した。残留物を酢酸エチル(200ml)
に溶かし、室温で2時間静置、析出結晶をろ取した。こ
の結晶をクロロホルム−酢酸エチルから、さらにクロロ
ホルム−ヘキサンから再結晶し、(−)−3,4−ジヒ
ドロ−6,7−ジメチル−4−オキソ−1H−2−ベン
ゾチオピラン−1−カルボン酸・(S)−(−)−α−
メチルベンジルアミン塩(15.5g,37%)を得
た。無色プリズム晶。融点 162−163℃。旋光度
[α]D(23℃)-43.0°(c=0.50,CHCl3)。
【0023】参考例4 (±)−3,4−ジヒドロ−6,7−ジメチル−4−オ
キソ−1H−2−ベンゾチオピラン−1−カルボン酸
(35.0g)のクロロホルム(300ml)懸濁液に
(R)−(+)−α−メチルベンジルアミン(17.9
g)を加えた。混合物を室温で30分間かきまぜた後、
減圧下に濃縮した。残留物を酢酸エチル(200ml)
に溶かし、室温で2時間静置、析出結晶をろ取した。こ
の結晶をクロロホルム−酢酸エチルから、さらにクロロ
ホルム−ヘキサンから再結晶し、(+)−3,4−ジヒ
ドロ−6,7−ジメチル−4−オキソ−1H−2−ベン
ゾチオピラン−1−カルボン酸・(R)−(+)−α−
メチルベンジルアミン塩(17.9g,34%)を得
た。無色プリズム晶。融点 162−163℃。旋光度
[α]D(23℃)+42.2°(c=0.51,CHCl3)。
【0024】参考例5 (−)−3,4−ジヒドロ−6,7−ジメチル−4−オ
キソ−1H−2−ベンゾチオピラン−1−カルボン酸・
(S)−(−)−α−メチルベンジルアミン塩(14.
5g)の酢酸エチル(100ml)懸濁液に2NHCl
(100ml)を加えた。混合物を室温で30分間かき
まぜた後、酢酸エチル層を分取した。酢酸エチル層は水
洗、乾燥(MgSO4)後、溶媒を留去し、(−)−3,4
−ジヒドロ−6,7−ジメチル−4−オキソ−1H−2
−ベンゾチオピラン−1−カルボン酸(9.1g,95
%)を得た。酢酸エチル−ヘキサンから再結晶した。無
色プリズム晶。融点 177−178℃。旋光度[α]
D(23℃)-135.0°(c=0.50,CHCl3)。
【0025】参考例6 (+)−3,4−ジヒドロ−6,7−ジメチル−4−オ
キソ−1H−2−ベンゾチオピラン−1−カルボン酸・
(R)−(+)−α−メチルベンジルアミン塩(8.0
g)の酢酸エチル(100ml)懸濁液に2NHCl
(50ml)を加えた。混合物を室温で30分間かきま
ぜた後、酢酸エチル層を分取した。酢酸エチル層は水
洗、乾燥(MgSO4)後、溶媒を留去し、(+)−3,4
−ジヒドロ−6,7−ジメチル−4−オキソ−1H−2
−ベンゾチオピラン−1−カルボン酸(4.55g,8
6%)を得た。酢酸エチル−ヘキサンから再結晶した。
無色プリズム晶。融点 177−178℃。旋光度
[α]D(23℃)+136.0°(c=0.50,CHCl3)。
【0026】参考例7 1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カル
ボジイミド塩酸塩(4.89g)のジクロロメタン(8
0ml)溶液を、(±)−1,2,4,5−テトラヒド
ロ−7,8−ジメトキシ−5−オキソ−3−ベンゾチエ
ピン−2−カルボン酸(6.0g)および(R)−
(+)−乳酸メチル(4.43g)のN,N−ジメチル
ホルムアミド(DMF)(80ml)溶液に0℃で滴下
し、ついで4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)(1.
3g)を加えた。混合物を0℃で1時間、室温で15時
間かきまぜた後減圧下に濃縮した。残留物に酢酸エチル
(500ml)および水(500ml)を加え、有機層
を分取した。有機層は水洗、乾燥(MgSO4)後、溶媒を
留去し残留する固体(1)をろ取、エーテルで洗浄した。
酢酸エチル−ヘキサンから2回再結晶し、(2R)−
(−)−1,2,4,5−テトラヒドロ−7,8−ジメ
トキシ−5−オキソ−3−ベンゾチエピン−2−カルボ
ン酸 (R)−1−メトキシカルボニルエチルエステル
(2.2g,28%)を得た。無色針状晶。融点 16
1−162℃。旋光度[α]D(16℃)-194.1°(c=0.5
0,CHCl3)。上記固体(1)のろ液を濃縮し残留する結晶
をエーテル−ヘキサンでろ取、酢酸エチル−ヘキサンか
ら2回再結晶し、(2S)−(+)−1,2,4,5−
テトラヒドロ−7,8−ジメトキシ−5−オキソ−3−
ベンゾチエピン−2−カルボン酸 (R)−1−メトキ
シカルボニルエチルエステル(1.6g,20%)を得
た。無色板状晶。融点 121−122℃。旋光度
[α]D(16℃)+234.3°(c=0.50,CHCl3)。
【0027】参考例8 (2R)−(−)−1,2,4,5−テトラヒドロ−
7,8−ジメトキシ−5−オキソ−3−ベンゾチエピン
−2−カルボン酸 (R)−1−メトキシカルボニルエ
チルエステル(0.5g)、酢酸(2.5ml)および
濃塩酸(2.5ml)の混合物を還流下に30分間かき
まぜた。反応混合物を水(50ml)に注ぎ析出する結
晶をろ取し、水、エタノール、エーテルの順に洗浄して
(2R)−(−)−1,2,4,5−テトラヒドロ−
7,8−ジメトキシ−5−オキソ−3−ベンゾチエピン
−2−カルボン酸(0.2g,53%)を得た。無色粉
末。融点 223−224℃。旋光度[α]D(23℃)-
190.0°(c=0.50,DMSO)。
【0028】参考例9 (2S)−(+)−1,2,4,5−テトラヒドロ−
7,8−ジメトキシ−5−オキソ−3−ベンゾチエピン
−2−カルボン酸 (R)−1−メトキシカルボニルエ
チルエステル(0.7g)、酢酸(3.5ml)および
濃塩酸(3.5ml)の混合物を還流下に30分間かき
まぜた。反応混合物を水(70ml)に注ぎ析出する結
晶をろ取し、水、エタノール、エーテルの順に洗浄して
(2S)−(+)−1,2,4,5−テトラヒドロ−
7,8−ジメトキシ−5−オキソ−3−ベンゾチエピン
−2−カルボン酸(0.3g,56%)を得た。無色粉
末。融点 223−224℃。旋光度[α]D(22℃)+
196.7°(c=0.50,DMSO)。
【0029】参考例10 1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カル
ボジイミド塩酸塩(12.59g)のジクロロメタン
(200ml)溶液を、(±)−t−1,2,4,5−
テトラヒドロ−4−メチル−7,8−メチレンジオキシ
−5−オキソ−3−ベンゾチエピン−2−カルボン酸
(15.34g)および(S)−(+)−マンデル酸メ
チル(18.19g)のN,N−ジメチルホルムアミド
(DMF)(200ml)溶液に0℃で滴下し、ついで4
−ジメチルアミノピリジン(DMAP)(3.34g)を加
えた。混合物を0℃で1時間、室温で15時間かきまぜ
た後、水に注ぎ酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層は
水洗、乾燥(MgSO4)後、溶媒を留去し残留する結晶を
ろ取、エーテル−ヘキサンで洗浄した。酢酸エチル−ヘ
キサンから2回再結晶し、(2S,4R)−(+)−
1,2,4,5−テトラヒドロ−4−メチル−7,8−
メチレンジオキシ−5−オキソ−3−ベンゾチエピン−
2−カルボン酸 (S)−α−メトキシカルボニルベン
ジルエステル(4.57g,19%)を得た。無色針状
晶。融点 141−142℃。旋光度[α]D(23℃)+
239.7°(c=0.50,CHCl3)。
【0030】参考例11 (2S,4R)−(+)−1,2,4,5−テトラヒド
ロ−4−メチル−7,8−メチレンジオキシ−5−オキ
ソ−3−ベンゾチエピン−2−カルボン酸 (S)−α
−メトキシカルボニルベンジルエステル(4.37
g)、酢酸(45ml)および濃塩酸(30ml)の混
合物を還流下に30分間かきまぜた。反応混合物を水
(800ml)に注ぎ析出する結晶をろ取し、酢酸エチ
ル(150ml)に溶解した。酢酸エチル層は水洗、乾
燥(MgSO4)後、溶媒を留去し残留する結晶をろ取、ヘ
キサンで洗浄した。酢酸エチル−ヘキサンから再結晶
し、(2S,4R)−(+)−1,2,4,5−テトラ
ヒドロ−4−メチル−7,8−メチレンジオキシ−5−
オキソ−3−ベンゾチエピン−2−カルボン酸(1.3
8g,48%)を得た。無色針状晶。融点 192−1
93℃。旋光度[α]D(23℃)+212.9°(c=0.50,CH3
OH)。
【0031】参考例12 (−)−3,4−ジヒドロ−6,7−ジメチル−4−オ
キソ−1H−2−ベンゾチオピラン−1−カルボン酸
(8.6g)をテトラヒドロフラン(100ml)に溶
かし、塩化オキサリル(5.0g)、ついでN,N−ジ
メチルホルムアミド(1滴)を加え室温で3時間かきま
ぜた。反応混合物を減圧下に濃縮し、残留物をジクロロ
メタン(30ml)に溶解した。この溶液を4−アミノ
ベンジルホスホン酸ジエチル(8.8g)、炭酸水素ナ
トリウム(10.0g)およびジクロロメタン(100
ml)の混合物に氷冷下に滴下した。混合物は氷冷下に
30分間かきまぜた後水洗、乾燥(MgSO4)後溶媒を留
去し、(−)−N−[4−(ジエトキシホスホリルメチ
ル)フェニル]−3,4−ジヒドロ−6,7−ジメチル
−4−オキソ−1H−2−ベンゾチオピラン−1−カル
ボキサミド(15.4g,92%)を得た。クロロホル
ム−ヘキサンから再結晶した。無色針状晶。融点 17
5−176℃。旋光度[α]D(23℃)-152.0°(c=1.
0,CHCl3)。
【0032】参考例13 (+)−3,4−ジヒドロ−6,7−ジメチル−4−オ
キソ−1H−2−ベンゾチオピラン−1−カルボン酸
(8.4g)をテトラヒドロフラン(100ml)に溶
かし、塩化オキサリル(5.0g)、ついでN,N−ジ
メチルホルムアミド(1滴)を加え室温で3時間かきま
ぜた。反応混合物を減圧下に濃縮し、残留物をジクロロ
メタン(30ml)に溶解した。この溶液を4−アミノ
ベンジルホスホン酸ジエチル(8.6g)、炭酸水素ナ
トリウム(8.0g)およびジクロロメタン(100m
l)の混合物に氷冷下に滴下した。混合物は氷冷下に3
0分間かきまぜた後水洗、乾燥(MgSO4)後溶媒を留去
し、(+)−N−[4−(ジエトキシホスホリルメチ
ル)フェニル]−3,4−ジヒドロ−6,7−ジメチル
−4−オキソ−1H−2−ベンゾチオピラン−1−カル
ボキサミド(15.8g,96%)を得た。クロロホル
ム−ヘキサンから再結晶した。無色針状晶。融点175
−176℃。旋光度[α]D(23℃)+155.0°(c=1.0,
CHCl3)。
【0033】参考例14 1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カル
ボジイミド塩酸塩(0.149g)のジクロロメタン
(3ml)溶液を、(R)−(−)−1,2,4,5−
テトラヒドロ−7,8−ジメトキシ−5−オキソ−3−
ベンゾチエピン−2−カルボン酸(0.183g)およ
び4−アミノベンジルホスホン酸ジエチル(0.158
g)のN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(3m
l)溶液に0℃で滴下し、ついで1−ヒドロキシベンゾ
トリアゾール(HOBt)(0.109g)を加えた。混合
物を0℃で1時間、室温で15時間かきまぜた後水に注
ぎ酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層は水洗、乾燥
(MgSO4)後、溶媒を留去し残留物をエタノール−イソ
プロピルエーテルで処理し固体をろ別した。ろ液は濃縮
し、残留物をシリカゲル カラムクロマトグラフィーに
付した。酢酸エチル−クロロホルム−メタノール(1
5:15:1,v/v)で溶出する部分より(2R)−
(−)−N−[4−(ジエトキシホスホリルメチル)フ
ェニル]−1,2,4,5−テトラヒドロ−7,8−ジ
メトキシ−5−オキソ−3−ベンゾチエピン−2−カル
ボキサミド(0.136g,41%)を得た。無色非晶
質粉末。融点96−98℃。旋光度[α]D(23℃)-15
5.0°(c=0.50,CHCl3)。
【0034】参考例15 1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カル
ボジイミド塩酸塩(0.228g)のジクロロメタン
(5ml)溶液を、(S)−(+)−1,2,4,5−
テトラヒドロ−7,8−ジメトキシ−5−オキソ−3−
ベンゾチエピン−2−カルボン酸(0.28g)および
4−アミノベンジルホスホン酸ジエチル(0.241
g)のN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(5m
l)溶液に0℃で滴下し、ついで1−ヒドロキシベンゾ
トリアゾール(HOBt)(0.167g)を加えた。混合
物を0℃で1時間、室温で15時間かきまぜた後水に注
ぎ酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層は水洗、乾燥
(MgSO4)後、溶媒を留去し残留物をエタノール−イソ
プロピルエーテルで処理し固体をろ別した。ろ液は濃縮
し、残留物をシリカゲル カラムクロマトグラフィーに
付した。酢酸エチル−クロロホルム−メタノール(1
5:15:1,v/v)で溶出する部分より(2S)−
(+)−N−[4−(ジエトキシホスホリルメチル)フ
ェニル]−1,2,4,5−テトラヒドロ−7,8−ジ
メトキシ−5−オキソ−3−ベンゾチエピン−2−カル
ボキサミド(0.202g,40%)を得た。無色非晶
質粉末。融点 97−99℃。旋光度[α]D(23℃)+
155.3°(c=0.50,CHCl3)。
【0035】参考例16 1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カル
ボジイミド塩酸塩(0.69g)のジクロロメタン(1
2ml)溶液を、(2S,4R)−(+)−1,2,
4,5−テトラヒドロ−4−メチル−7,8−メチレン
ジオキシ−5−オキソ−3−ベンゾチエピン−2−カル
ボン酸(0.84g)および4−アミノベンジルホスホ
ン酸ジエチル(0.73g)のN,N−ジメチルホルム
アミド(DMF)(12ml)溶液に0℃で滴下し、つい
で1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)(0.5
1g)を加えた。混合物を0℃で1時間、室温で15時
間かきまぜた後水に注ぎ酢酸エチルで抽出した。酢酸エ
チル層は水洗、乾燥(MgSO4)後、溶媒を留去し残留す
る結晶をろ取した。酢酸エチル−ヘキサンから、ついで
メタノール−ヘキサンから再結晶し、(2S,4R)−
(+)−N−[4−(ジエトキシホスホリルメチル)フ
ェニル]−1,2,4,5−テトラヒドロ−4−メチル
−7,8−メチレンジオキシ−5−オキソ−3−ベンゾ
チエピン−2−カルボキサミド(0.62g,41%)
を得た。無色プリズム晶。融点 183−184℃。旋
光度[α]D(23℃)+190.5°(c=0.50,CHCl3)。
【0036】
【発明の効果】本発明の化合物(I)は、優れた骨形成
促進作用を有し、骨疾患(骨粗鬆症を含む代謝性骨疾
患、整形外科領域における骨折、骨欠損および変形性関
節症などの骨疾患)の予防、治療薬として有用であり、
さらに、歯科領域における歯周組織欠損の修復、人工歯
根の安定化、顎堤形成および口蓋裂の修復にも有用であ
る。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式(I) 【化1】 〔式中、 Rは低級アルキル基を示し、R1およびR2はそ
    れぞれ低級アルキル基を示すか、または一緒に低級アル
    キレン基を示す。〕で表される光学活性ベンゾチエピン
    誘導体〔但し、(2R,4S)−(−)−N−[4−
    (ジエトキシホスホリルメチル)フェニル]−1,2,
    4,5−テトラヒドロ−4−メチル−7,8−メチレン
    ジオキシ−5−オキソ−3−ベンゾチエピン−2−カル
    ボキサミドを除く〕。
  2. 【請求項2】R,R1およびR2がそれぞれC1-4アルキ
    ル基を示す請求項1記載の光学活性ベンゾチエピン誘導
    体。
  3. 【請求項3】式(II) 【化2】 〔式中、 Rは低級アルキル基を示す。〕で表される光学
    活性体またはそのカルボキシル基における反応性誘導体
    もしくは塩と式(III) 【化3】 〔式中、 R1およびR2はそれぞれ低級アルキル基を示す
    か、または一緒に低級アルキレン基を示す。〕で表され
    る化合物またはそのアミノ基における反応性誘導体もし
    くはその塩とを反応させることを特徴とする式(I) 【化4】 〔式中、 各記号は前記と同意義を示す。〕で表される光
    学活性ベンゾチエピン誘導体の製造法。
  4. 【請求項4】式(II) 【化5】 〔式中、 Rは低級アルキル基を示す。〕で表される光学
    活性体またはそのカルボキシル基における反応性誘導体
    もしくは塩。
  5. 【請求項5】式(I) 【化6】 〔式中、 Rは低級アルキル基を示し、R1およびR2はそ
    れぞれ低級アルキル基を示すか、または一緒に低級アル
    キレン基を示す。〕で表される光学活性ベンゾチエピン
    誘導体を含有する骨形成促進剤。
  6. 【請求項6】経口吸収性である請求項5記載の骨形成促
    進剤。
  7. 【請求項7】式(I) 【化7】 〔式中、 Rは低級アルキル基を示し、R1およびR2はそ
    れぞれ低級アルキル基を示すか、または一緒に低級アル
    キレン基を示す。〕で表される光学活性ベンゾチエピン
    誘導体を含有する骨疾患予防または治療剤。
  8. 【請求項8】式(I) 【化8】 〔式中、 Rは低級アルキル基を示し、R1およびR2はそ
    れぞれ低級アルキル基を示すか、または一緒に低級アル
    キレン基を示す。〕で表される光学活性ベンゾチエピン
    誘導体を含有する骨折治癒促進剤。
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