JPH09176777A - 水素吸蔵合金 - Google Patents
水素吸蔵合金Info
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- JPH09176777A JPH09176777A JP8105095A JP10509596A JPH09176777A JP H09176777 A JPH09176777 A JP H09176777A JP 8105095 A JP8105095 A JP 8105095A JP 10509596 A JP10509596 A JP 10509596A JP H09176777 A JPH09176777 A JP H09176777A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 水素吸収放出速度が速く、かつ実用に際して
すぐれた初期活性化を示す水素吸蔵合金を提供する。 【解決手段】 水素吸蔵合金が、重量%で、Zr:25
〜45%、Ti:1〜12%、Mn:10〜20%、
V:2〜12%、Laおよび/またはCeを主体とする
希土類元素:0.5〜5%、Hf:0.1〜4%、酸
素:0.2〜1.7%を含有し、残りがNi(但し、2
5%以上含有)と不可避不純物からなる全体組成、Zr
−Ni−Mn系合金の素地相に水素化酸化処理生成物相
が分散分布し、前記水素化酸化処理生成物相の主体が、
希土類元素−Ni系合金と希土類元素酸化物からなる組
織、および水素化処理時に発生した無数の亀裂が存在す
ると共に、前記亀裂内面に前記水素化酸化処理生成物相
が露出した構造を有する。
すぐれた初期活性化を示す水素吸蔵合金を提供する。 【解決手段】 水素吸蔵合金が、重量%で、Zr:25
〜45%、Ti:1〜12%、Mn:10〜20%、
V:2〜12%、Laおよび/またはCeを主体とする
希土類元素:0.5〜5%、Hf:0.1〜4%、酸
素:0.2〜1.7%を含有し、残りがNi(但し、2
5%以上含有)と不可避不純物からなる全体組成、Zr
−Ni−Mn系合金の素地相に水素化酸化処理生成物相
が分散分布し、前記水素化酸化処理生成物相の主体が、
希土類元素−Ni系合金と希土類元素酸化物からなる組
織、および水素化処理時に発生した無数の亀裂が存在す
ると共に、前記亀裂内面に前記水素化酸化処理生成物相
が露出した構造を有する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、水素吸収および
放出速度がきわめて速く、かつ例えば電池の電極などと
して実用に供するに際してはすぐれた初期活性化を発揮
する水素吸蔵合金に関するものである。
放出速度がきわめて速く、かつ例えば電池の電極などと
して実用に供するに際してはすぐれた初期活性化を発揮
する水素吸蔵合金に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、一般に水素吸蔵合金として数多く
のものが提案され、最近では1994年11月6〜11
日に富士吉田市で開催された「金属−水素システムの基
礎と応用に関する国際シンポジウム」で水素吸蔵合金が
発表されている。この水素吸蔵合金は、重量%で(以
下、%は重量%を示す)、Zr:22.1〜25.5
%、 Ti:11.6〜13.4%、Mn:23.7
〜24.6%、 Cr:22.4〜23.3%、L
a:7.5%以下、を含有し、残りがNiと不可避不純
物からなる成分組成を有し、かつ図3に代表組織を例示
する概略組織拡大模写図で示される通り、Zr−Ni−
Mn系合金の素地相と、この素地相の結晶粒界にそって
分布するLa−Ni系合金の分散相の2相組織を有する
ものである。また、上記従来水素吸蔵合金は、La−N
i系合金の分散相がこれのもつ触媒作用で雰囲気の水素
分子(H2 )を水素原子(H)に解離すると共に、解離
した水素原子をZr−Ni−Mn系合金の素地相に比し
て一段と速い速度で吸収し、したがってZr−Ni−M
n系合金の素地相の水素原子の吸収は主として前記La
−Ni系合金の分散相を介して行われる水素吸収機能を
もち、また水素放出はこの逆の機能によるものであるこ
とも知られている。さらに、上記従来水素吸蔵合金は、
上記組成の合金溶湯を調製し、インゴットに鋳造し、イ
ンゴットを真空または不活性ガスの非酸化性雰囲気中、
950〜1050℃の範囲内の所定温度に所定時間保持
の条件で均質化熱処理を施すことによって製造されるも
のである。一般に、水素吸蔵合金を、例えば電池の電極
に適用する場合には、水素吸蔵合金が組込まれた前記電
極に対して、前記電極が充分な放電容量をもつようにな
るまで、すなわち前記水素吸蔵合金によってもたらされ
る放電容量がほぼ最大になるまで、充放電を繰り返し施
す初期活性化が行なわれ、この初期活性化が行なわれた
状態で実用に供されるものである。
のものが提案され、最近では1994年11月6〜11
日に富士吉田市で開催された「金属−水素システムの基
礎と応用に関する国際シンポジウム」で水素吸蔵合金が
発表されている。この水素吸蔵合金は、重量%で(以
下、%は重量%を示す)、Zr:22.1〜25.5
%、 Ti:11.6〜13.4%、Mn:23.7
〜24.6%、 Cr:22.4〜23.3%、L
a:7.5%以下、を含有し、残りがNiと不可避不純
物からなる成分組成を有し、かつ図3に代表組織を例示
する概略組織拡大模写図で示される通り、Zr−Ni−
Mn系合金の素地相と、この素地相の結晶粒界にそって
分布するLa−Ni系合金の分散相の2相組織を有する
ものである。また、上記従来水素吸蔵合金は、La−N
i系合金の分散相がこれのもつ触媒作用で雰囲気の水素
分子(H2 )を水素原子(H)に解離すると共に、解離
した水素原子をZr−Ni−Mn系合金の素地相に比し
て一段と速い速度で吸収し、したがってZr−Ni−M
n系合金の素地相の水素原子の吸収は主として前記La
−Ni系合金の分散相を介して行われる水素吸収機能を
もち、また水素放出はこの逆の機能によるものであるこ
とも知られている。さらに、上記従来水素吸蔵合金は、
上記組成の合金溶湯を調製し、インゴットに鋳造し、イ
ンゴットを真空または不活性ガスの非酸化性雰囲気中、
950〜1050℃の範囲内の所定温度に所定時間保持
の条件で均質化熱処理を施すことによって製造されるも
のである。一般に、水素吸蔵合金を、例えば電池の電極
に適用する場合には、水素吸蔵合金が組込まれた前記電
極に対して、前記電極が充分な放電容量をもつようにな
るまで、すなわち前記水素吸蔵合金によってもたらされ
る放電容量がほぼ最大になるまで、充放電を繰り返し施
す初期活性化が行なわれ、この初期活性化が行なわれた
状態で実用に供されるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一方、近年、水素吸蔵
合金が多く適用されている電池やヒートポンプなどの高
出力化および高性能化、さらに省エネ化に対する要求は
強く、これに伴ない、水素吸蔵合金には上記従来水素吸
蔵合金における水素吸収放出速度よりも一段と速い水素
吸収放出速度と共に、より短時間での初期活性化が強く
望まれている。
合金が多く適用されている電池やヒートポンプなどの高
出力化および高性能化、さらに省エネ化に対する要求は
強く、これに伴ない、水素吸蔵合金には上記従来水素吸
蔵合金における水素吸収放出速度よりも一段と速い水素
吸収放出速度と共に、より短時間での初期活性化が強く
望まれている。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等は、
上述のような観点から、水素吸蔵合金の水素吸収放出速
度および初期活性化の向上をはかるべく研究を行なった
結果、 (a) まず、Zr:25〜45%、 Ti:1
〜12%、Mn:10〜20%、 V:2〜12
%、Laおよび/またはCeを主体とする希土類元素、
望ましくは希土類元素に占める割合で50%以上がLa
および/またはCeからなる希土類元素、さらに望まし
くは実質的にLaおよび/またはCeで構成された希土
類元素:0.5〜5%、Hf:0.1〜4%、を含有
し、残りがNi(但し、25%以上含有)と不可避不純
物からなる組成を有するNi−Zr−Mn系合金を溶製
し、鋳造した後、この合金のインゴットに、上記の従来
条件と同じ条件で均質化熱処理を施すと、上記の従来水
素吸蔵合金と同様に、Zr−Ni−Mn系合金の素地相
の結晶粒界にそって希土類元素−Ni系合金の分散相が
存在した組織を有するようになるが、さらに前記均質化
熱処理に引き続いて水素雰囲気中、400〜700℃の
範囲内の所定温度に所定時間保持後冷却の条件で水素化
処理を施すと、前記均質化熱処理で形成された希土類元
素−Ni系合金の分散相が雰囲気の水素と優先的に反応
して、主体が希土類元素の水素化物(以下、希土類元素
水素化物という)と、希土類元素−Ni系合金からなる
水素化処理生成物相となると共に、前記水素化処理生成
物相はZr−Ni−Mn系合金の素地相に比して大きな
熱膨脹を示すことから、前記素地相には前記水素化処理
生成物相を起点として無数の亀裂が発生し、この亀裂内
面には前記水素化処理生成物相が露出した状態となり、
さらに引続いて、例えば酸化性雰囲気中、400〜50
0℃の範囲内の所定温度に所定時間保持の酸化処理を施
すと、上記希土類元素水素化物が希土類元素酸化物とな
り、この結果Ni−Zr−Mn系合金は、図1に代表組
織を例示する概略組織拡大模写図で示される通りZr−
Ni−Mn系合金の素地相に水素化酸化処理生成物相が
分散分布し、前記水素化酸化処理生成物相の主体が希土
類元素−Ni系合金と希土類元素酸化物からなり、さら
に無数の亀裂が存在し、かつ前記亀裂内面には前記水素
化酸化処理生成物相が露出した組織をもつようになるこ
と。
上述のような観点から、水素吸蔵合金の水素吸収放出速
度および初期活性化の向上をはかるべく研究を行なった
結果、 (a) まず、Zr:25〜45%、 Ti:1
〜12%、Mn:10〜20%、 V:2〜12
%、Laおよび/またはCeを主体とする希土類元素、
望ましくは希土類元素に占める割合で50%以上がLa
および/またはCeからなる希土類元素、さらに望まし
くは実質的にLaおよび/またはCeで構成された希土
類元素:0.5〜5%、Hf:0.1〜4%、を含有
し、残りがNi(但し、25%以上含有)と不可避不純
物からなる組成を有するNi−Zr−Mn系合金を溶製
し、鋳造した後、この合金のインゴットに、上記の従来
条件と同じ条件で均質化熱処理を施すと、上記の従来水
素吸蔵合金と同様に、Zr−Ni−Mn系合金の素地相
の結晶粒界にそって希土類元素−Ni系合金の分散相が
存在した組織を有するようになるが、さらに前記均質化
熱処理に引き続いて水素雰囲気中、400〜700℃の
範囲内の所定温度に所定時間保持後冷却の条件で水素化
処理を施すと、前記均質化熱処理で形成された希土類元
素−Ni系合金の分散相が雰囲気の水素と優先的に反応
して、主体が希土類元素の水素化物(以下、希土類元素
水素化物という)と、希土類元素−Ni系合金からなる
水素化処理生成物相となると共に、前記水素化処理生成
物相はZr−Ni−Mn系合金の素地相に比して大きな
熱膨脹を示すことから、前記素地相には前記水素化処理
生成物相を起点として無数の亀裂が発生し、この亀裂内
面には前記水素化処理生成物相が露出した状態となり、
さらに引続いて、例えば酸化性雰囲気中、400〜50
0℃の範囲内の所定温度に所定時間保持の酸化処理を施
すと、上記希土類元素水素化物が希土類元素酸化物とな
り、この結果Ni−Zr−Mn系合金は、図1に代表組
織を例示する概略組織拡大模写図で示される通りZr−
Ni−Mn系合金の素地相に水素化酸化処理生成物相が
分散分布し、前記水素化酸化処理生成物相の主体が希土
類元素−Ni系合金と希土類元素酸化物からなり、さら
に無数の亀裂が存在し、かつ前記亀裂内面には前記水素
化酸化処理生成物相が露出した組織をもつようになるこ
と。
【0005】(b) 上記(a)のNi−Zr−Mn系
合金においては、これを構成する水素化酸化処理生成物
相の希土類元素−Ni系合金および希土類元素酸化物
が、図3に示される従来水素吸蔵合金におけるLa−N
i系合金の分散相と同様の作用、すなわちこれのもつ触
媒作用で雰囲気中の水素分子(H2 )を水素原子(H)
に解離すると共に、解離した水素原子をZr−Ni−M
n系の素地相に比して一段と速い速度で吸収し、また放
出はこの逆の機構による作用を示すが、前記水素化酸化
処理生成物相は無数の亀裂内面に多くが露出した状態に
なっており、この結果作用面積の拡大がなされることか
ら、上記従来水素吸蔵合金における水素吸収および放出
速度に比して一段と速い速度での水素吸収および放出と
なり、さらに初期活性時における上記素地相の水素原子
の吸収割合も広い作用面積で行なわれるため著しく増大
することから、初期活性化の著しい促進がはかられるよ
うになること。 以上(a)および(b)に示される研究結果を得たので
ある。
合金においては、これを構成する水素化酸化処理生成物
相の希土類元素−Ni系合金および希土類元素酸化物
が、図3に示される従来水素吸蔵合金におけるLa−N
i系合金の分散相と同様の作用、すなわちこれのもつ触
媒作用で雰囲気中の水素分子(H2 )を水素原子(H)
に解離すると共に、解離した水素原子をZr−Ni−M
n系の素地相に比して一段と速い速度で吸収し、また放
出はこの逆の機構による作用を示すが、前記水素化酸化
処理生成物相は無数の亀裂内面に多くが露出した状態に
なっており、この結果作用面積の拡大がなされることか
ら、上記従来水素吸蔵合金における水素吸収および放出
速度に比して一段と速い速度での水素吸収および放出と
なり、さらに初期活性時における上記素地相の水素原子
の吸収割合も広い作用面積で行なわれるため著しく増大
することから、初期活性化の著しい促進がはかられるよ
うになること。 以上(a)および(b)に示される研究結果を得たので
ある。
【0006】この発明は、上記の研究結果にもとづいて
なされたものであって、Zr:25〜45%、
Ti:1〜12%、Mn:10〜20%、 V:
2〜12%、Laおよび/またはCeを主体とする希土
類元素:0.5〜5%、Hf:0.1〜4%、
酸素:0.2〜1.7%、を含有し、残りがNi(但
し、25%以上含有)と不可避不純物からなる組成、お
よびZr−Ni−Mn系合金の素地相に水素化酸化処理
生成物相が分散分布し、前記水素化酸化処理生成物相の
主体が、希土類元素酸化物と希土類元素−Ni系合金か
らなる組織、さらに水素化処理時に発生した無数の亀裂
が存在すると共に、前記亀裂内面には前記水素化酸化処
理生成物相が露出した構造を有する、水素吸収放出速度
が速く、かつ初期活性化のすぐれた水素吸蔵合金に特徴
を有するものである。
なされたものであって、Zr:25〜45%、
Ti:1〜12%、Mn:10〜20%、 V:
2〜12%、Laおよび/またはCeを主体とする希土
類元素:0.5〜5%、Hf:0.1〜4%、
酸素:0.2〜1.7%、を含有し、残りがNi(但
し、25%以上含有)と不可避不純物からなる組成、お
よびZr−Ni−Mn系合金の素地相に水素化酸化処理
生成物相が分散分布し、前記水素化酸化処理生成物相の
主体が、希土類元素酸化物と希土類元素−Ni系合金か
らなる組織、さらに水素化処理時に発生した無数の亀裂
が存在すると共に、前記亀裂内面には前記水素化酸化処
理生成物相が露出した構造を有する、水素吸収放出速度
が速く、かつ初期活性化のすぐれた水素吸蔵合金に特徴
を有するものである。
【0007】つぎに、この発明の水素吸蔵合金におい
て、これを構成するNi−Zr−Mn系合金の組成を上
記の通りに限定した理由を説明する。 (a) Zr Zr成分には、上記の通りNiおよびMnと共に素地相
を形成して水素吸蔵量の増大に寄与する作用があるが、
その割合が25%未満では、所望の水素吸蔵量を確保す
ることができず、一方その割合が45%を越えても、合
金全体の水素吸蔵量が低下するようになることから、そ
の割合を25〜45%、望ましくは32〜40%と定め
た。
て、これを構成するNi−Zr−Mn系合金の組成を上
記の通りに限定した理由を説明する。 (a) Zr Zr成分には、上記の通りNiおよびMnと共に素地相
を形成して水素吸蔵量の増大に寄与する作用があるが、
その割合が25%未満では、所望の水素吸蔵量を確保す
ることができず、一方その割合が45%を越えても、合
金全体の水素吸蔵量が低下するようになることから、そ
の割合を25〜45%、望ましくは32〜40%と定め
た。
【0008】(b) Ti Ti成分には、合金の平衡水素解離圧を、例えば室温で
大気圧以下にし、もって水素の吸収および放出の促進に
寄与する作用があるほか、素地相にあって水素吸蔵量を
増大させる作用があるが、その割合が1%未満では前記
作用に所望の効果が得られず、一方その割合が12%を
越えると、再び平衡水素解離圧が、例えば室温で大気圧
以上に上昇し、水素の吸収および放出が低下するように
なることから、その割合を1〜12%、望ましくは4〜
8%と定めた。
大気圧以下にし、もって水素の吸収および放出の促進に
寄与する作用があるほか、素地相にあって水素吸蔵量を
増大させる作用があるが、その割合が1%未満では前記
作用に所望の効果が得られず、一方その割合が12%を
越えると、再び平衡水素解離圧が、例えば室温で大気圧
以上に上昇し、水素の吸収および放出が低下するように
なることから、その割合を1〜12%、望ましくは4〜
8%と定めた。
【0009】(c) Mn Mn成分には、主に素地相を形成して水素吸蔵量を増大
させる作用があるが、その割合が10%未満では前記作
用に所望の効果が得られず、一方その割合が20%を越
えると水素の吸収および放出が阻害されるようになるこ
とから、その割合を10〜20%、望ましくは14〜1
8%と定めた。
させる作用があるが、その割合が10%未満では前記作
用に所望の効果が得られず、一方その割合が20%を越
えると水素の吸収および放出が阻害されるようになるこ
とから、その割合を10〜20%、望ましくは14〜1
8%と定めた。
【0010】(d) V V成分には、合金の平衡水素解離圧を安定化し、かつ水
素吸蔵量を増大させる作用があるが、その割合が2%未
満では前記作用に所望の効果が得られず、一方その割合
が12%を越えると、平衡水素解離圧が低くなりすぎて
吸蔵された水素の放出が困難になり、この結果として水
素吸蔵量の低下が避けられなくなることから、その割合
を2〜12%、望ましくは4〜8%と定めた。
素吸蔵量を増大させる作用があるが、その割合が2%未
満では前記作用に所望の効果が得られず、一方その割合
が12%を越えると、平衡水素解離圧が低くなりすぎて
吸蔵された水素の放出が困難になり、この結果として水
素吸蔵量の低下が避けられなくなることから、その割合
を2〜12%、望ましくは4〜8%と定めた。
【0011】(e) 希土類元素 これらの成分は、上記の通り雰囲気中の水素を素地相よ
り一段と速い速度で解離吸収し、一方再結合させて雰囲
気中に放出する作用を有する希土類元素−Ni系合金お
よび希土類元素酸化物の形成に不可欠な成分であるが、
その割合が0.5%未満では前記希土類元素−Ni系合
金および希土類元素酸化物の生成割合が少なすぎて所望
の速い水素吸収放出速度を確保することができず、一方
その割合が5%を越えると、水素吸蔵量の小さい前記分
散相の割合が多くなりすぎ、合金全体の水素吸蔵量が低
下するようになることから、その割合を0.5〜5%、
望ましくは1〜4%と定めた。また、上記希土類元素−
Ni系合金および希土類元素酸化物による上記作用を十
分に発揮させるためには、希土類元素の主体をLaおよ
び/またはCeとする必要があり、この場合望ましくは
Laおよび/またはCeの割合を希土類元素に占める割
合で50%以上とするのがよく、さらに望ましくは希土
類元素を実質的にLaおよび/またはCeで構成するの
がよい。
り一段と速い速度で解離吸収し、一方再結合させて雰囲
気中に放出する作用を有する希土類元素−Ni系合金お
よび希土類元素酸化物の形成に不可欠な成分であるが、
その割合が0.5%未満では前記希土類元素−Ni系合
金および希土類元素酸化物の生成割合が少なすぎて所望
の速い水素吸収放出速度を確保することができず、一方
その割合が5%を越えると、水素吸蔵量の小さい前記分
散相の割合が多くなりすぎ、合金全体の水素吸蔵量が低
下するようになることから、その割合を0.5〜5%、
望ましくは1〜4%と定めた。また、上記希土類元素−
Ni系合金および希土類元素酸化物による上記作用を十
分に発揮させるためには、希土類元素の主体をLaおよ
び/またはCeとする必要があり、この場合望ましくは
Laおよび/またはCeの割合を希土類元素に占める割
合で50%以上とするのがよく、さらに望ましくは希土
類元素を実質的にLaおよび/またはCeで構成するの
がよい。
【0012】(f) Hf Hf成分には、Zr成分とともにZr−Ni−Mn系合
金の素地相を形成してZr成分によってもたらされる上
記の作用を十分に発揮させる作用があるが、その含有量
が0.1%未満では所望の効果を発揮することができ
ず、一方その割合が4%を越えるとZrによる上記の作
用が阻害されるようになることから、その含有量を0.
1〜4%、望ましくは1〜1.7%と定めた。
金の素地相を形成してZr成分によってもたらされる上
記の作用を十分に発揮させる作用があるが、その含有量
が0.1%未満では所望の効果を発揮することができ
ず、一方その割合が4%を越えるとZrによる上記の作
用が阻害されるようになることから、その含有量を0.
1〜4%、望ましくは1〜1.7%と定めた。
【0013】(g) 酸素 酸素は、主に水素化酸化処理生成物相を構成する希土類
元素−Ni系合金と共に、雰囲気中の水素分子(H2 )
を素地相より速い速度で水素原子(H)に解離して吸収
し、吸収した水素原子を素地相中に拡散させ、一方水素
放出にあたっては素地相からの拡散水素原子をいち速く
水素分子に再結合させる作用を有する希土類元素酸化物
の形成に不可欠な成分であるが、その割合が0.2%未
満では、希土類元素酸化物の形成が少なすぎて上記の作
用効果を十分に発揮させることができず、また亀裂の形
成も不十分となり、一方その割合が1.7%を越える
と、相対的に希土類元素酸化物の割合が多くなりすぎて
強度が低下し、微粉化傾向が促進されるようになること
から、その割合を、0.2〜1.7%、望ましくは0.
4〜1.0%と定めた。
元素−Ni系合金と共に、雰囲気中の水素分子(H2 )
を素地相より速い速度で水素原子(H)に解離して吸収
し、吸収した水素原子を素地相中に拡散させ、一方水素
放出にあたっては素地相からの拡散水素原子をいち速く
水素分子に再結合させる作用を有する希土類元素酸化物
の形成に不可欠な成分であるが、その割合が0.2%未
満では、希土類元素酸化物の形成が少なすぎて上記の作
用効果を十分に発揮させることができず、また亀裂の形
成も不十分となり、一方その割合が1.7%を越える
と、相対的に希土類元素酸化物の割合が多くなりすぎて
強度が低下し、微粉化傾向が促進されるようになること
から、その割合を、0.2〜1.7%、望ましくは0.
4〜1.0%と定めた。
【0014】(h) Ni Ni成分の含有量が25%未満では、特に水素化酸化処
理生成物相を構成する希土類元素−Ni系合金の形成が
不十分で、所望の水素吸収放出速度および初期活性化を
確保することができないことから、その含有量を25%
以上と定めた。
理生成物相を構成する希土類元素−Ni系合金の形成が
不十分で、所望の水素吸収放出速度および初期活性化を
確保することができないことから、その含有量を25%
以上と定めた。
【0015】なお、この発明の水素吸蔵合金は、通常の
機械的粉砕により所定粒度の粉末とすることができるほ
か、加圧水素雰囲気中、10〜200℃の範囲内の所定
温度に加熱の水素吸収と、真空排気による水素放出の水
素化粉砕によっても粉末とすることができ、この結果の
粉末は、いずれも図2に代表組織を例示する概略組織拡
大模写図で示される通りの組織をもつものとなる。
機械的粉砕により所定粒度の粉末とすることができるほ
か、加圧水素雰囲気中、10〜200℃の範囲内の所定
温度に加熱の水素吸収と、真空排気による水素放出の水
素化粉砕によっても粉末とすることができ、この結果の
粉末は、いずれも図2に代表組織を例示する概略組織拡
大模写図で示される通りの組織をもつものとなる。
【0016】
【発明の実施の形態】つぎに、この発明の水素吸蔵合金
を実施例により具体的に説明する。通常の高周波誘導溶
解炉にて、原料としてそれぞれ99.9%以上の純度を
もったNi,Zr,Ti,Mn,V,La、およびC
e、さらにミッシュメタルを用い、Ar雰囲気中で溶解
して、それぞれ表1〜3に示される組成をもった合金溶
湯を調製し、水冷銅鋳型に鋳造してインゴットとし、こ
のインゴットに、真空雰囲気中、950〜1050℃の
範囲内の所定温度に20時間保持の条件で均質化熱処理
を施し、ついで1〜1.2気圧の範囲内の所定の圧力の
水素雰囲気中、まず室温で1時間保持した後、昇温を開
始して400〜700℃の範囲内の所定温度に加熱し、
この温度に1時間保持してから、Arガスによる強制空
冷を行なう条件で水素化処理を施し、さらに大気中、4
50に1時間保持の条件で酸化処理を施すことにより本
発明水素吸蔵合金(以下、本発明合金という)1〜41
をそれぞれ製造した。また、比較の目的で、合金溶湯の
組成を表3に示される通りとし、かつ均質化熱処理後の
水素化処理および酸化処理を行なわない以外は同一の条
件で従来水素吸蔵合金(以下、従来合金という)を製造
した。この結果得られた水素吸蔵合金について、その組
織を走査型電子顕微鏡で観察したところ、本発明合金1
〜41は、いずれも図1に示される通り無数の亀裂が存
在し、この亀裂の内面には、希土類元素−Ni系合金と
希土類元素酸化物で構成された水素化酸化処理生成物相
が露出し、この水素化酸化処理生成物がZr−Ni−M
n系合金の素地相中に分散分布した組織を示し、従来合
金は、図3に示される通りZr−Ni−Mn系合金の素
地相の結晶粒界にそってLa−Ni系合金の分散相が分
布する組織を示した。
を実施例により具体的に説明する。通常の高周波誘導溶
解炉にて、原料としてそれぞれ99.9%以上の純度を
もったNi,Zr,Ti,Mn,V,La、およびC
e、さらにミッシュメタルを用い、Ar雰囲気中で溶解
して、それぞれ表1〜3に示される組成をもった合金溶
湯を調製し、水冷銅鋳型に鋳造してインゴットとし、こ
のインゴットに、真空雰囲気中、950〜1050℃の
範囲内の所定温度に20時間保持の条件で均質化熱処理
を施し、ついで1〜1.2気圧の範囲内の所定の圧力の
水素雰囲気中、まず室温で1時間保持した後、昇温を開
始して400〜700℃の範囲内の所定温度に加熱し、
この温度に1時間保持してから、Arガスによる強制空
冷を行なう条件で水素化処理を施し、さらに大気中、4
50に1時間保持の条件で酸化処理を施すことにより本
発明水素吸蔵合金(以下、本発明合金という)1〜41
をそれぞれ製造した。また、比較の目的で、合金溶湯の
組成を表3に示される通りとし、かつ均質化熱処理後の
水素化処理および酸化処理を行なわない以外は同一の条
件で従来水素吸蔵合金(以下、従来合金という)を製造
した。この結果得られた水素吸蔵合金について、その組
織を走査型電子顕微鏡で観察したところ、本発明合金1
〜41は、いずれも図1に示される通り無数の亀裂が存
在し、この亀裂の内面には、希土類元素−Ni系合金と
希土類元素酸化物で構成された水素化酸化処理生成物相
が露出し、この水素化酸化処理生成物がZr−Ni−M
n系合金の素地相中に分散分布した組織を示し、従来合
金は、図3に示される通りZr−Ni−Mn系合金の素
地相の結晶粒界にそってLa−Ni系合金の分散相が分
布する組織を示した。
【0017】つぎに、上記の本発明合金1〜41および
従来合金について、それぞれ水素吸収速度と水素放出速
度をJIS・H7202の「水素吸蔵合金の水素化速度
試験測定法」にもとづいて測定した。なお、測定に先だ
って、本発明合金1〜41および従来合金を、圧力容器
に封入し、水素雰囲気圧力:8気圧、加熱温度:200
℃、保持時間:1時間の条件での水素吸収と、真空排気
による水素放出からなる水素化粉砕を行なって200me
sh以下の粒度をもった粉末とし、この粉末を用いて以下
に示す条件で測定を行なった。
従来合金について、それぞれ水素吸収速度と水素放出速
度をJIS・H7202の「水素吸蔵合金の水素化速度
試験測定法」にもとづいて測定した。なお、測定に先だ
って、本発明合金1〜41および従来合金を、圧力容器
に封入し、水素雰囲気圧力:8気圧、加熱温度:200
℃、保持時間:1時間の条件での水素吸収と、真空排気
による水素放出からなる水素化粉砕を行なって200me
sh以下の粒度をもった粉末とし、この粉末を用いて以下
に示す条件で測定を行なった。
【0018】まず、水素吸収速度については、図4に概
略説明図で示される通り、(a) 粉末を浴(油または
水)に浸漬した容器内に封入し、前記浴の温度を200
℃に保持した状態で、弁Vb:閉、弁VaおよびVc:
開として水素ボンベから加圧水素を系内に導入し、系内
を30気圧とした時点で弁Va:閉とし、系内の圧力が
一定圧力に降下する(粉末による水素吸収完了)まで放
置して粉末の初期活性化を行ない、(b) 系内の圧力
が一定圧力(約20気圧程度)に降下した時点で弁V
b:開とし、真空ポンプで系内を10-2トルの真空雰囲
気とした後、浴温を20℃とし、弁VbおよびVc:
閉、弁Va:開にして容器を除く系内に水素を導入し、
その圧力が30気圧となった時点で弁Va:閉、弁V
c:開とし、この状態で系内の時間に対する圧力降下を
測定し、この結果の圧力降下曲線から粉末の水素吸蔵量
が80%になった時点の水素吸蔵量とそれまでに要した
時間を求め、(80%吸蔵時の水素吸蔵量)÷(80%
水素吸蔵に要した時間)を算出し、この値を水素吸収速
度とした。
略説明図で示される通り、(a) 粉末を浴(油または
水)に浸漬した容器内に封入し、前記浴の温度を200
℃に保持した状態で、弁Vb:閉、弁VaおよびVc:
開として水素ボンベから加圧水素を系内に導入し、系内
を30気圧とした時点で弁Va:閉とし、系内の圧力が
一定圧力に降下する(粉末による水素吸収完了)まで放
置して粉末の初期活性化を行ない、(b) 系内の圧力
が一定圧力(約20気圧程度)に降下した時点で弁V
b:開とし、真空ポンプで系内を10-2トルの真空雰囲
気とした後、浴温を20℃とし、弁VbおよびVc:
閉、弁Va:開にして容器を除く系内に水素を導入し、
その圧力が30気圧となった時点で弁Va:閉、弁V
c:開とし、この状態で系内の時間に対する圧力降下を
測定し、この結果の圧力降下曲線から粉末の水素吸蔵量
が80%になった時点の水素吸蔵量とそれまでに要した
時間を求め、(80%吸蔵時の水素吸蔵量)÷(80%
水素吸蔵に要した時間)を算出し、この値を水素吸収速
度とした。
【0019】また、水素放出速度については、上記の水
素吸収速度測定後の状態、すなわち弁VaおよびVb:
閉、弁Vc:開であって系内の圧力が一定圧(通常20
気圧前後)となった状態で、浴温を100〜300℃の
範囲内の粉末の水素放出適正温度、例えば120℃とし
た後、弁Vb:開、弁Vc:閉として容器を除く系内を
10-2トルに排気し、ついで弁Vb:閉、弁Vc:開と
した状態で、系内の時間に対する圧力上昇を測定し、こ
の結果の圧力上昇曲線から粉末の水素放出量が80%に
なった時点の水素放出量とそれまでに要した時間を求
め、(80%放出時の水素放出量)÷(80%水素放出
に要した時間)を算出し、この値を水素放出速度とし
た。これらの結果を表4,5に示した。
素吸収速度測定後の状態、すなわち弁VaおよびVb:
閉、弁Vc:開であって系内の圧力が一定圧(通常20
気圧前後)となった状態で、浴温を100〜300℃の
範囲内の粉末の水素放出適正温度、例えば120℃とし
た後、弁Vb:開、弁Vc:閉として容器を除く系内を
10-2トルに排気し、ついで弁Vb:閉、弁Vc:開と
した状態で、系内の時間に対する圧力上昇を測定し、こ
の結果の圧力上昇曲線から粉末の水素放出量が80%に
なった時点の水素放出量とそれまでに要した時間を求
め、(80%放出時の水素放出量)÷(80%水素放出
に要した時間)を算出し、この値を水素放出速度とし
た。これらの結果を表4,5に示した。
【0020】さらに、上記本発明合金1〜41および従
来合金について、初期活性化を評価する目的で、以下に
詳述する通り、これを粉末にして電池に活物質として組
み込み、前記電池が最大放電容量を示すに至るまで、こ
れに充放電を繰り返し施し、前記最大放電容量の95%
±1%に相当する放電容量を示すまでの充放電回数を測
定した。すなわち、まず、従来合金について、ジョーク
ラッシャを用いて粗粉砕して直径:2mm以下の粗粒と
し、引続いて上記本発明合金1〜41および前記粗粉砕
した従来合金を、ボールミルを用いて微粉砕して200
メッシュ以下の粒度とし、これに結着剤としてのポリテ
トラフルオロエチレン(PTFE)と増粘剤としてのカ
ルボキシルメチルセルロース(CMC)を加えてペース
ト状とした後、95%の気孔率を有する市販の多孔質N
i焼結板に充填し、乾燥し、加圧して、平面寸法:30
mm×40mm、厚さ:0.40〜0.43mmの形状(前記
活物質粉末充填量:約1.8g)とし、これの一辺にリ
ードとなるNi薄板を溶接により取り付けて負極を形成
し、一方正極は、活物質として重量比で84:16の割
合に配合したNi(OH)2 とCoOを用い、これに結
着剤としてのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)
と増粘剤としてのカルボキシルメチルセルロース(CM
C)を加えてペースト状とし、これを上記多孔質Ni焼
結板に充填し、乾燥し、加圧して、平面寸法:30mm×
40mm、厚さ:0.71〜0.73mmの形状とし、同じ
くこれの一辺にNi薄板を取り付けることにより形成
し、ついで、上記負極の両側に、それぞれポリプロピレ
ンポリエチレン共重合体のセパレータ板を介して上記正
極を配置し、さらに前記正極のそれぞれの外面から活物
質の脱落を防止する目的で塩化ビニール製の保護板では
さんで一体化し、これを塩化ビニール製のセルに装入
し、前記セルに電解液として30%KOH水溶液を装入
することにより電池を製造した。ついで、上記電池に、
充電速度:0.15C、放電速度:0.15C、充電電
気量:負極容量の135%の条件で充放電を行ない、前
記充電と放電を充放電1回と数え、前記電池が最大放電
容量を示すに至るまで前記充放電を繰り返し行なった。
表4,5に、この結果測定された最大放電容量を示すと
共に、前記最大放電容量の95%の放電容量を示すに要
した充放電回数を示し、これによって初期活性化を評価
した。
来合金について、初期活性化を評価する目的で、以下に
詳述する通り、これを粉末にして電池に活物質として組
み込み、前記電池が最大放電容量を示すに至るまで、こ
れに充放電を繰り返し施し、前記最大放電容量の95%
±1%に相当する放電容量を示すまでの充放電回数を測
定した。すなわち、まず、従来合金について、ジョーク
ラッシャを用いて粗粉砕して直径:2mm以下の粗粒と
し、引続いて上記本発明合金1〜41および前記粗粉砕
した従来合金を、ボールミルを用いて微粉砕して200
メッシュ以下の粒度とし、これに結着剤としてのポリテ
トラフルオロエチレン(PTFE)と増粘剤としてのカ
ルボキシルメチルセルロース(CMC)を加えてペース
ト状とした後、95%の気孔率を有する市販の多孔質N
i焼結板に充填し、乾燥し、加圧して、平面寸法:30
mm×40mm、厚さ:0.40〜0.43mmの形状(前記
活物質粉末充填量:約1.8g)とし、これの一辺にリ
ードとなるNi薄板を溶接により取り付けて負極を形成
し、一方正極は、活物質として重量比で84:16の割
合に配合したNi(OH)2 とCoOを用い、これに結
着剤としてのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)
と増粘剤としてのカルボキシルメチルセルロース(CM
C)を加えてペースト状とし、これを上記多孔質Ni焼
結板に充填し、乾燥し、加圧して、平面寸法:30mm×
40mm、厚さ:0.71〜0.73mmの形状とし、同じ
くこれの一辺にNi薄板を取り付けることにより形成
し、ついで、上記負極の両側に、それぞれポリプロピレ
ンポリエチレン共重合体のセパレータ板を介して上記正
極を配置し、さらに前記正極のそれぞれの外面から活物
質の脱落を防止する目的で塩化ビニール製の保護板では
さんで一体化し、これを塩化ビニール製のセルに装入
し、前記セルに電解液として30%KOH水溶液を装入
することにより電池を製造した。ついで、上記電池に、
充電速度:0.15C、放電速度:0.15C、充電電
気量:負極容量の135%の条件で充放電を行ない、前
記充電と放電を充放電1回と数え、前記電池が最大放電
容量を示すに至るまで前記充放電を繰り返し行なった。
表4,5に、この結果測定された最大放電容量を示すと
共に、前記最大放電容量の95%の放電容量を示すに要
した充放電回数を示し、これによって初期活性化を評価
した。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】
【表3】
【0024】
【表4】
【0025】
【表5】
【0026】
【発明の効果】表4,5に示される結果から、本発明合
金1〜41においては、表面および無数の亀裂内面に露
出し、これによって全体的に広い表面積で雰囲気中に露
出した状態にある水素化酸化処理生成物相の希土類元素
−Ni系合金および希土類元素酸化物を通して、雰囲気
中の水素が水素原子に解離されて吸収され、この吸収水
素がZr−Ni−Mn系合金の素地相に拡散して水素吸
蔵が行なわれるが、上記の通りきわめて速い水素吸収能
を有する希土類元素−Ni系合金および希土類元素酸化
物が全体的に広い表面積で分布するので、水素吸収速度
は相対的にきわめて速いものとなり、かつ初期活性化も
著しく促進されるようになり、また水素放出もこの逆の
機構によるものであるため速い速度での水素放出が行な
われるのに対して、従来合金においては、水素の吸収お
よび放出が主として上記希土類元素−Ni系合金および
希土類元素酸化物と同じ性能を有するLa−Ni系合金
の分散相によって行なわれるが、この分散相の水素雰囲
気に対する露出面積は、水素化処理による積極的亀裂形
成が行なわれない分だけ相対的に小さく、この結果水素
吸収および放出速度は遅くならざるを得ず、かつ初期活
性化も遅いものとなることが明らかである。上述のよう
に、この発明の水素吸蔵合金においては、水素吸収およ
び放出速度がきわめて速く、かつ実用に際してはすぐれ
た初期活性化を示すので、水素吸蔵合金が適用されてい
る各種機械装置の高出力化および高性能化、さらに省エ
ネ化に大いに寄与するものである。
金1〜41においては、表面および無数の亀裂内面に露
出し、これによって全体的に広い表面積で雰囲気中に露
出した状態にある水素化酸化処理生成物相の希土類元素
−Ni系合金および希土類元素酸化物を通して、雰囲気
中の水素が水素原子に解離されて吸収され、この吸収水
素がZr−Ni−Mn系合金の素地相に拡散して水素吸
蔵が行なわれるが、上記の通りきわめて速い水素吸収能
を有する希土類元素−Ni系合金および希土類元素酸化
物が全体的に広い表面積で分布するので、水素吸収速度
は相対的にきわめて速いものとなり、かつ初期活性化も
著しく促進されるようになり、また水素放出もこの逆の
機構によるものであるため速い速度での水素放出が行な
われるのに対して、従来合金においては、水素の吸収お
よび放出が主として上記希土類元素−Ni系合金および
希土類元素酸化物と同じ性能を有するLa−Ni系合金
の分散相によって行なわれるが、この分散相の水素雰囲
気に対する露出面積は、水素化処理による積極的亀裂形
成が行なわれない分だけ相対的に小さく、この結果水素
吸収および放出速度は遅くならざるを得ず、かつ初期活
性化も遅いものとなることが明らかである。上述のよう
に、この発明の水素吸蔵合金においては、水素吸収およ
び放出速度がきわめて速く、かつ実用に際してはすぐれ
た初期活性化を示すので、水素吸蔵合金が適用されてい
る各種機械装置の高出力化および高性能化、さらに省エ
ネ化に大いに寄与するものである。
【図1】この発明の水素吸蔵合金の代表組織を例示する
概略組織拡大模写図である。
概略組織拡大模写図である。
【図2】この発明の水素吸蔵合金粉砕粉末の代表組織を
例示する概略組織拡大模写図である。
例示する概略組織拡大模写図である。
【図3】従来水素吸蔵合金の代表組織を例示する概略組
織拡大模写図である。
織拡大模写図である。
【図4】水素吸蔵合金の水素吸収放出速度を測定するの
に用いた装置の概略説明図である。
に用いた装置の概略説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 玉生 良孝 埼玉県大宮市北袋町1−297 三菱マテリ アル株式会社総合研究所内
Claims (1)
- 【請求項1】 重量%で、 Zr:25〜45%、 Ti:1〜12%、 Mn:10〜20%、 V:2〜12%、 Laおよび/またはCeを主体とする希土類元素:0.
5〜5%、 Hf:0.1〜4%、 酸素:0.2〜1.7
%、 を含有し、残りがNi(但し、25%以上含有)と不可
避不純物からなる全体組成を有し、 かつZr−Ni−Mn系合金の素地相に水素化酸化処理
生成物相が分散分布し、前記水素化酸化処理生成物相の
主体が、希土類元素の酸化物と、希土類元素−Ni系合
金で構成された組織を有し、 さらに水素化処理時に発生した無数の亀裂が存在すると
共に、前記亀裂内面には前記水素化酸化処理生成物相が
露出した構造を有すること、を特徴とする水素吸蔵合
金。
Priority Applications (6)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8105095A JPH09176777A (ja) | 1995-10-25 | 1996-04-25 | 水素吸蔵合金 |
US08/678,048 US5885378A (en) | 1995-07-12 | 1996-07-10 | Hydrogen occluding alloy and electrode made of the alloy |
DE69601605T DE69601605T2 (de) | 1995-07-12 | 1996-07-11 | Wasserstoffeinlagerungslegierung und daraus hergestellte Elektrode |
EP96111138A EP0753590B1 (en) | 1995-07-12 | 1996-07-11 | Hydrogen occluding alloy and electrode made of the alloy |
CN96112266A CN1149769A (zh) | 1995-07-12 | 1996-07-12 | 储氢合金及其制造的电极 |
KR1019960028234A KR970072537A (ko) | 1995-07-12 | 1996-07-12 | 수소흡장합금 및 상기 합금으로 만들어진 전극 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7-277545 | 1995-10-25 | ||
JP27754595 | 1995-10-25 | ||
JP8105095A JPH09176777A (ja) | 1995-10-25 | 1996-04-25 | 水素吸蔵合金 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09176777A true JPH09176777A (ja) | 1997-07-08 |
Family
ID=26445446
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8105095A Withdrawn JPH09176777A (ja) | 1995-07-12 | 1996-04-25 | 水素吸蔵合金 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09176777A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003533854A (ja) * | 2000-05-17 | 2003-11-11 | ホガナス アクチボラゲット | NiMH電池用の合金粉末の特性を改善する方法 |
-
1996
- 1996-04-25 JP JP8105095A patent/JPH09176777A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003533854A (ja) * | 2000-05-17 | 2003-11-11 | ホガナス アクチボラゲット | NiMH電池用の合金粉末の特性を改善する方法 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20030701 |