JPH09172859A - 日覆を用いたサトイモ科ミズバショウの養成法 - Google Patents

日覆を用いたサトイモ科ミズバショウの養成法

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JPH09172859A
JPH09172859A JP7338424A JP33842495A JPH09172859A JP H09172859 A JPH09172859 A JP H09172859A JP 7338424 A JP7338424 A JP 7338424A JP 33842495 A JP33842495 A JP 33842495A JP H09172859 A JPH09172859 A JP H09172859A
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JP
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araceae
camtschatense
seedlings
lysichiton
growth
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Osamu Iizuka
修 飯塚
Hideho Koda
秀穂 幸田
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New Oji Paper Co Ltd
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Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 サトイモ科ミズバショウの稚苗の大量増殖法
の提供。 【解決手段】 サトイモ科ミズバショウの発芽直後の稚
苗を、基床に植え付け、更に地中部の一部又は全部を水
に浸し、且つ夏季に遮光率30〜80%の範囲の日覆を
用いて成長促進を図りながら養成するサトイモ科ミズバ
ショウの養成法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、日覆を用いたサト
イモ科の植物であるミズバショウの養成に関し、環境緑
化技術の分野に属するものである。更に詳しくは、本発
明は、湿原や湖沼周辺等、失われ行く我が国古来からの
素晴らしい日本的景観を、地域の生態系を尊重した方法
で復元する為の材料として、最も有望なミズバショウの
成長促進技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】湿原や湖沼周辺の環境条件は、過湿若し
くは浸水、冬期間の土壌凍結等、植物の生育条件として
は、最も不利な条件下に加え、開発の波にさらされる
等、ミズバショウの群落で形成される様な、我が国の代
表的な自然景観が一度損なわれた場合、養成苗の植栽等
による人為操作以外に回復の見込みはなく、放置されて
いるのが現状である。
【0003】このような場所にミズバショウを植栽する
場合、一度に大量の養成苗が必要となる。しかし、苗の
増殖、養成には長期の時間を要することから、植栽する
植物材料の不足が問題となっている。
【0004】従来、湿原、水辺等にミズバショウを植栽
する場合、材料の供給源を自生地から山取りすること
で、需要を満たしてきた。しかし、野生種の採取は自生
地の環境破壊を加速する上、自然環境を守り育てると云
う認識を大きく逸脱するものと批判も聞かれる。従っ
て、その観点からも増殖技術の開発が望まれている。
【0005】従来、サトイモ科のミズバショウについ
て、種子から増殖した稚苗を用いて養成する場合、基床
に植付けた後、自然日照(相対照度100%)の下で行
われてきた。しかし、この方法では成長に頗る時間を要
する為、供給が不足している。湿原に自生する多様な植
物の中で、特に自生地が激減したミズバショウについて
は、養成苗の成長促進技術の開発が望まれてきた。
【0006】サトイモ科ミズバショウ属の種類と分布 園芸植物大事典(小学館,1991)によると、東北ア
ジアと北アメリカにそれぞれ1種が分布する。東北アジ
アの種類は、和名ミズバショウ(漢名水芭蕉)で、わが
国にはこの種類が自生している。北アメリカの種類は、
西海岸北部に分布し、和名アメリカミズバショウであ
る。両者の違いは、形態はほぼ同様であるが、仏炎苞
(花穂を囲むボート状のもの)の色が、前者の在来種が
白色であるのに対し、後者では黄色を帯びる。
【0007】自生地での繁殖性 結論から云って、ミズバショウの野生個体が自生地で繁
殖する速度は、極めて遅い。その理由として、第一にミ
ズバショウの種子を野鼠が好んで食べる。本種が自生す
る高層湿原の環境の下では、周囲に野鼠の餌となる植物
の繁茂が極度に少ないこと。第二に、自生地の土壌水分
環境が、冠水する融雪期を除き発芽期には干上がること
が多い。そのため、成熟種子が地表に自然落下後、仮に
発芽したとしても陽に曝されることが多く、根付く前に
枯死する。その為、自生地で生育し、定着することは極
めて難しい。以上の二点が挙げられる。従って、ミズバ
ショウが自生地で種子から自然繁殖する確立は数万分の
一、或いはそれ以下であると推察される。また、地中部
の根からの繁殖速度も極めて遅いことから、余り期待で
きない。
【0008】稚苗を用いた成長促進法 ミズバショウの稚苗を用いて、基床に植え付け、さらに
地中部の一部又は全部を水に浸す条件の下で、成長促進
を図る養成法である。この方法で養成する場合、予め種
子を基床に蒔付け、それによって増殖された稚苗を用い
る。植物を養成する過程で、一般的には、稚苗の成長を
早めることを目的に、新しい基床に植え替える、即ち床
替え作業を行って自然照度の下で養成管理を行う。しか
し、ミズバショウを養成する場合、この床替え作業だけ
を行っても、光条件が自然照度の下では、成長が早まる
効果は極めて少ない。
【0009】
【本発明が解決しようとする課題】本発明は、前述した
様に、成長に長い期間を要することから、短期間に大量
増殖することが困難であった。そこで、湿原や水辺等の
湿性植栽材料としてのミズバショウの稚苗を用いて、短
期間に、且つ、低コストで大量に増殖する方法を提供す
るものである。
【0010】本発明は、サトイモ科であるミズバショウ
の増殖養成には、長期間を要することから、植物材料と
しての供給量が不足していた問題を大幅に解消し、且
つ、短期間に低コストで、大量に供給することにある。
それによって、失われた我が国固有の自然景観を、復元
する技術を開発することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、サトイモ科ミ
ズバショウの発芽直後の稚苗を、基床に植え付け、更に
地中部の一部又は全部を水に浸し、且つ、夏季に遮光率
30〜80%の範囲の日覆を用いて、成長促進を図りな
がら養成することを特徴とするサトイモ科ミズバショウ
の養成法に存する。
【0012】
【発明の実施の形態】成長促進効果が認められる遮光率
の範囲は、30〜80%である。更に最も好ましい遮光
率は60%前後である。また、遮光率30%未満での効
果は極めて少ない。一方、80%を越える条件の下で
は、効果は認められないか、或いは、反対に成長が抑制
されることが確認されている。次に、遮光率30〜80
%の範囲で日覆効果が認められた理由として、本試験を
行うに当たり、予め実施した自生地での環境調査の結果
に基づいて行ったことによるもである。更に詳しくは、
野生種の種子を用いて増殖養成する場合、随伴植物の種
類と共に、土壌水分、地表照度等、自生地の環境調査観
察を基に、対象植物の特性を充分把握することが重要で
あるとの認識から、現地環境調査を行い、それを基に遮
光率範囲を決定した。サトイモ科ミズバショウの自生地
環境、特に光条件は、開花から生育期まで一貫して日差
しが冷涼な高層湿原か、或いは、低地であっても、開花
期には柔らかい自然光を受け、夏季生育期には本種と随
伴し、且つ大型草本である、例えばイネ科植物のヨシ等
によって日陰が生じる。この日陰が天然の日覆の働きを
していることが予想された。この日陰の照度が、遮光率
換算で30〜80%の範囲にあることが明らかとなり、
サトイモ科ミズバショウの日覆による成長促進比較試験
の遮光率範囲決定の基となった。また、今回行った試験
結果からも、この範囲の成長が良いことが明らかとなっ
た。
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明する。なお、次に述べる実施例は、平成7年、北海道
夕張郡栗山町に所在する、新王子製紙株式会社林木育種
研究所構内の実験圃場に於いて行った、日覆によるミズ
バショウの成長促進試験の結果である。供試材料は、当
社社有地の自生個体から採取した、種子からの発芽直後
の稚苗である。尚、試験を行った栗山町の年平均気温
は、日本気象協会北海道本部刊行の北海道の気象による
と、6.7度である。また、更に6〜8月の夏季3ヶ月
間の平均気温についてみると18.7度となっている
(統計年数27年間)。
【0013】試験を行った日覆の遮光率 ミズバショウの、日覆による成長促進比較試験に用いた
遮光資材は、ポリエチレン製黒色ネットで、遮光率は6
0%前後になるように調節した。処理は、日覆を設置し
た場合と、しない場合の2種類である。試験を行った期
間は、予め稚苗を基床に植え付けてから約半月後の、夏
季3ヶ月間で、この期間内に成長比較試験を行った。
【0014】基床に用いた用土の種類等 ミズバショウの稚苗を植え付ける為に用いた基床の用土
は、地中部の発育が良くなるように、火山性で、且つ多
孔質の粒径5mm前後の砂、及び泥炭の2種類を原土とし
て配合した。配合割合は、それぞれ1:1とし、直径1
5cm、深さ13cmのポリエチレン製ポットの中に入れ、
それを基床とした。
【0015】養成方法 試験の対象植物が湿性植物のため、常時根の一部または
全部を浸水条件下で養成する必要がある。その為、試験
は長さ10m×幅1m×深さ12cm前後の木製枠に、ビ
ニール2枚重ねとした簡易水槽を設け、その水槽内にポ
リエチレン製ポットに植え付けた供試材料を並べ、水深
7cm前後で養成管理を行った。なお、養成管理に当た
り、施肥は一切行っていない。
【0016】日覆の設置方法 日覆(遮光ネット)の設置方法は、上述した簡易水槽
に、幅110cm、水面上方90cmと共に、側面も同様の
日覆をし、この内側の相対照度が、外側の自然光に対
し、遮光率が60%前後となる様に設置した。
【0017】試験項目 上記の条件で、日覆の効果を確認するため、生存率、健
全指数、葉の枚数、葉の伸長量、葉の幅等の生育状況に
ついて、試験開始から3ヶ月後、日覆をしない場合と対
比して、個体別に調査を行った。試験に供した、ミズバ
ショウの個体数は、日覆をした処理、日覆をしない処理
共に、それぞれ20個体、計40個体である。1.生存率: 試験開始時の個体数に対する生存個体数
を、日覆の有無別に調査を行い、それを基に生存率を算
出した。2.健全指数: 健全指数は、植物が元気に生育している
か否かを判定するための、極めて重要な項目である。そ
こで、それぞれの供試材料が、正常な生育をしているか
否かを数値で表現するため、予め表1に示す、最高値を
10とした判定基準を作成し、それに基づいて、日覆の
有無別、個体別に調査した。3.葉の枚数: ミズバショウには地上茎や枝が無いた
め、葉は直接地際から出る。これを根出葉と云い、日覆
処理、無処理間の差異を明らかにするため、この葉の枚
数を調査した。4.葉の伸長量: 養成に長期間を要することから、供給
が不足している本種の伸長量を把握することは、極めて
重要である。そこで、試験前後の葉の長さを測定し、そ
れによって伸長量を算出した。5.葉の幅: 日覆効果を、葉の幅の面からも確認するた
め、試験開始から3ヶ月後に調査を行った。 上記実施例の、日覆による成長促進比較試験について、
日覆の有無別にまとめた結果を表2に示す。
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
【0020】
【試験結果の項目別詳細】次に、実施例で行った試験結
果の詳細を、別表の平均値を用いて、項目別に述べると
以下の通りである。1.生存率: 試験開始時の供試個体数に対する生存率
は、日覆の有無に関わらず生存率100%で、日覆処理
間の差異は認められない。2.健全指数: 別表に示す通り、日覆処理の健全指数
が、最高値の10に近い9.69と高い値を示したのに
対し、日覆をしない処理では4.87と極めて低い結果
となった。このことは、日覆をした処理のミズバショウ
が極めて正常に生育していたことを示している。前述し
た様に、この項目は植物が元気に生育しているか否かを
判定する、極めて重要な項目である。従って、この数値
が高いか低いかは、養成期間の長短に大きく影響する。3.葉の枚数: 葉の枚数を20個体平均でみると、試験
開始時点では、日覆処理、無処理共に1葉であった。こ
れに対し、3ヶ月後には日覆処理の5.8枚に対し、日
覆をしない処理では3.5枚で、日覆処理の方が平均値
で2.3枚上回る結果となった。4.葉の伸長量: 次に、試験開始から3ヶ月間の、葉長
の伸長量についてみると、日覆を用いた処理が試験開始
時点の葉長に対し、約7.6倍の15.8cmに成長し、
日覆をしない対象区では僅か約1.5倍の1.2cmの伸
長量に留まる結果を示した。このことからも、日覆の効
果は歴然としていると云える。5.葉の幅: 日覆処理の3.0cmに対し、日覆をしない
対象区では僅か0.9cmの葉幅に留まり、上記葉長同
様、日覆効果が極めて高いことが確認された。
【0021】以上の結果から、サトイモ科であるミズバ
ショウの苗を養成する場合、日覆を用いて行うことが、
成長促進を図る上で、極めて有効であることが明らかと
なった。
【0022】
【発明の効果】ミズバショウの移植に適する規格は、1
個体当たりの葉の枚数が少なくても3枚以上で、且つ葉
長15cmは必要である。その場合、従来5〜6年を要し
た養成期間が、2〜3年で生産可能となり、大幅に短縮
された。これによって、慢性的に供給が不足していた問
題を解決し、短期間に大量に供給することが可能となっ
た。本発明によって、従来短期間に養成することが困難
であったサトイモ科のミズバショウを、短期間に且つ大
量に養成することが可能となった。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 サトイモ科ミズバショウの発芽直後の稚
    苗を、基床に植え付け、更に地中部の一部又は全部を水
    に浸し、且つ、夏季に遮光率30〜80%の範囲の日覆
    を用いて、成長促進を図りながら養成することを特徴と
    するサトイモ科ミズバショウの養成法。
JP7338424A 1995-12-26 1995-12-26 日覆を用いたサトイモ科ミズバショウの養成法 Pending JPH09172859A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100372949B1 (ko) * 2000-02-10 2003-03-08 대한민국 (경상대학교 총장) 원예작물의 재배방법
CN105981608A (zh) * 2016-01-29 2016-10-05 马鞍山绿丰种业有限公司 一种提高白菜幼苗抗逆性的育苗方法

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