JPH09170731A - 未溶融灰流出防止装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 都市ごみ等の焼却灰をアーク炉等により溶融
処理する灰溶融炉において、未溶融灰が溶融スラグと伴
に炉外に流出するのを簡易に防止し得る装置を提供し、
未溶融灰流出による二次公害を防止する。 【解決手段】 炉本体１内に装入された焼却灰８を電極
６の放電による加熱により溶融させその溶融スラグ１０
を出滓口７よりオーバーフローさせて炉外に流出させる
灰溶融炉において、耐火物製の障壁体１２を該出滓口の
上方より炉本体１内に上下動可能に垂下し、該障壁体の
下縁部が常に溶融スラグ面に可及的に接近した高さに維
持されるように該障壁体の高さを炉外部から調節する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、都市ごみ，産業廃
棄物等の焼却灰をアーク放電，プラズマアーク放電等に
よる発熱により溶融しその溶融スラグをオーバーフロー
方式により流出せる灰溶融炉において、その溶融スラグ
に同伴して未溶融灰が流出するのを防止する装置に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】ごみ焼却場で排出される都市ごみ等の焼
却灰には周知のように重金属等の有害物質が含まれてい
るためにこれをアーク炉等の灰溶融炉に投入し電極間の
アーク放電により加熱溶融し、その灰溶融炉より流出し
た溶融スラグをさらに水砕水槽に流落させ急冷により粒
状に破砕させて固形化することにより重金属等をその固
形化スラグ中に封入させ流出を防ぐことにより無害化す
る処理がなされている。

【０００３】ところで、溶融スラグをオーバーフローに
より流出させる灰溶融炉においては、溶融スラグの表面
に未溶融灰が浮かぶために溶融スラグが出滓口から流出
するのに伴って未溶融灰が炉外に排出される可能性があ
りそのために水砕水槽を汚染するおそれがあった。とこ
ろが、未溶融灰中に含まれる鉛は、固形化スラグ中に封
入された鉛に比べて水に溶出しやすいため、未溶融灰が
溶融スラグに伴って排出されると、水砕水を通してこれ
らの有害物質を拡散することとなり、初期の汚染防止の
目的が達せられないという問題があった。

【０００４】一方、特公平３−９３９３号公報に示され
た灰溶融炉では、出滓口に炉本体の上方より垂れ壁状に
未溶融物障害板を形成し、炉内の未溶融灰が溶融スラグ
に同伴して該出滓口から流出するのを防ぐようにしてい
る。しかし、従来の係る灰溶融炉のように未溶融物障害
板を炉体の一部として一体に形成したものでは、出滓口
周りの構造が複雑になるほか、障害板自体の消耗に対す
るメンテナンスが容易ではなくなるという問題がある。
また消耗を防ぐために該障害板を冷却することも考えら
れたが、炉構造がさらに複雑化し現実的でない欠点があ
った。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は灰溶融
炉における未溶融灰の流出を簡易に防止できる装置を提
供し、上記のような従来の欠点を解消しようとするもの
である。

【０００６】

【課題を解決するための手段】そのために本発明は、炉
本体内に装入された焼却灰を電極の放電による加熱によ
り溶融させその溶融スラグを出滓口よりオーバーフロー
させて炉外に流出させる灰溶融炉において、耐火物製の
障壁体を該出滓口の上方より炉本体内に上下動可能に垂
下し、該障壁体の下縁部が常に溶融スラグ面に可及的に
接近した高さに維持されるように該障壁体の高さを炉外
部から調節するようにしたことを特徴とする。また本発
明は上記未溶融灰流出防止装置において、複数の障壁単
体を出滓口の幅方向に並設して障壁体を構成したことを
特徴とする。

【０００７】

【発明の実施の形態】次に図面に従い本発明の実施の形
態を説明する。図１に本発明に係る灰溶融炉を縦断面に
て示し、図２にはその水平断面図を示す。炉本体１は傾
動支持装置２上に支持され、支軸部３を支点として前傾
し得るように構成されている。４は炉蓋、５は該炉蓋に
開設された灰投入口、６は該炉蓋を貫通して炉内に垂下
させた電極、７は該炉本体１の前側に形成された出滓口
である。８は灰投入口５より投入された鉛，その他の金
属等の有害物質を含んだ焼却灰、９は炉底に溜った金属
溶融物、１０はその上に溜った溶融スラグで、焼却灰８
は電極６のアーク放電による発熱で溶融しこのように炉
底に溜る。

【０００８】しかして本発明では、出滓口７の上方に昇
降支持装置１１を設け、炉本体１と同様の耐火物によっ
て製作された板状の障壁体１２を該昇降支持装置１１に
支持することにより該障壁体１２を該炉本体１内に上下
動可能に垂下する。該障壁体１２は図２，図３に例示し
たように例えば３個の障壁単体１２ａ，１２ｂ，１２ｃ
を夫々吊下棒１３ａ，１３ｂ，１３ｃの下端に支持する
ことによって出滓口７の幅方向に並設され、該各吊下棒
１３ａ，１３ｂ，１３ｃはそのラック部１４をピニオン
１５に噛合させ、該各ピニオン１５を回転させる減速モ
ータ１６ａ，１６ｂ，１６ｃを備えた昇降支持装置１１
により炉外部から高さ調節可能なるように支持されてい
る。

【０００９】このため減速モータ１６ａ，１６ｂ，１６
ｃを回転調節し、該障壁体１２の下縁部が炉本体１内の
溶融スラグ１０面に常に可及的に接近する高さとなるよ
うに維持し、該溶融スラグ１０面上の未溶融灰を該障壁
体１２に衝止させることにより流出を防止する。なお溶
融スラグ１０の高さ水準は溶融灰量の変動により上下す
るので、本発明では常にその高さ水準を監視し障壁体１
２を高さ調節するものである。この場合障壁体１２が溶
融スラグ１０中に浸漬してしまうと該障壁体１２自体が
消耗することになるので、障壁体１２は溶融スラグ１０
に接することなく可及的に接近させるのが望ましい。ま
たこのように障壁体１２を溶融スラグ１０面上に極く接
近させることにより溶融スラグ１０面上に浮ぶＮａＣ
ｌ，ＫＣｌ等の塩分溶融層の流出を防止することもでき
る。

【００１０】また、出滓量が少ない場合等に出滓口７の
内壁面に溶融スラグの固形物が堆積することにより、溶
融スラグ１０が流出する該出滓口７の実質上の内幅が狭
くなることがあるが、この障壁体１２は複数の障壁単体
１２ａ，１２ｂ，１２ｃからなるので、そのときの溶融
スラグ１０の流出幅に応じて必要数の障壁単体を下降さ
せれば運転状況に側した流出防止ができる。なお、この
実施形態は出滓口７に補助電極を有しないものについて
説明したが、補助電極を設けたものについても適用でき
ることは勿論である。また、この実施形態では炉本体１
を傾動可能に支持したものについて説明したが、炉本体
１が定置されている灰溶融炉にも適用できる。また昇降
支持装置１１として、ラックピニオンのものについて説
明したが、これ以外の昇降方法でも適用できる。また障
壁単体１２ａ，１２ｂ，１２ｃとして３体のものについ
て説明したが、出滓口７の巾寸法や形状によりこれ以外
の数のものでも適用できる。また、出滓口７の形状によ
っては斜め上から障壁体１２を昇降させるようにしても
よい。

【００１１】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、簡
便に未溶融灰の流出を防止でき鉛等の流出による二次公
害発生のおそれをなくす有益な効果があると共に、障壁
体は炉本体と別体であるので容易に脱着でき出滓口のメ
ンテナンスにも対応し易いなど種々の利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る灰溶融炉の縦断面図。

【図２】図１の灰溶融炉の出滓口の水平断面図。

【図３】図１のＡ−Ａ線断面拡大図。

【符号の説明】

１ 炉本体 ６ 電極 ７ 出滓口 ８ 焼却灰 １０ 溶融スラグ １１ 昇降支持装置 １２ 障壁体 １２ａ，１２ｂ，１２ｃ 障壁単体 １３ａ，１３ｂ，１３ｃ 吊下棒 １６ａ，１６ｂ，１６ｃ 減速モータ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 炉本体内に装入された焼却灰を電極の放
   電による加熱により溶融させその溶融スラグを出滓口よ
   りオーバーフローさせて炉外に流出させる灰溶融炉にお
   いて、耐火物製の障壁体を該出滓口の上方より炉本体内
   に上下動可能に垂下し、該障壁体の下縁部が常に溶融ス
   ラグ面に可及的に接近した高さに維持されるように該障
   壁体の高さを炉外部から調節するようにしたことを特徴
   とする未溶融灰流出防止装置。
2. 【請求項２】 複数の障壁単体を出滓口の幅方向に並設
   して障壁体を構成した請求項１に記載の未溶融灰流出防
   止装置。