JPH09170553A - 圧縮機における漏出油の回収構造 - Google Patents

圧縮機における漏出油の回収構造

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JPH09170553A
JPH09170553A JP7329197A JP32919795A JPH09170553A JP H09170553 A JPH09170553 A JP H09170553A JP 7329197 A JP7329197 A JP 7329197A JP 32919795 A JP32919795 A JP 32919795A JP H09170553 A JPH09170553 A JP H09170553A
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JP
Japan
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oil
drive shaft
housing
leaked
rotating body
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JP7329197A
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English (en)
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Kazuya Kimura
一哉 木村
Masabumi Ito
正文 伊藤
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Toyota Industries Corp
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Toyoda Automatic Loom Works Ltd
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Publication date
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    • F04B27/08Multi-cylinder pumps specially adapted for elastic fluids and characterised by number or arrangement of cylinders having cylinders coaxial with, or parallel or inclined to, main shaft axis
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F04POSITIVE - DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; PUMPS FOR LIQUIDS OR ELASTIC FLUIDS
    • F04BPOSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; PUMPS
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 部品点数を増加させることなく、簡単な構成
で駆動軸を伝わる漏出油をハウジングの内空間の所定位
置で落下させることが可能な圧縮機における漏出油の回
収構造を提供すること。 【解決手段】 せき止め部材35は、ボス部16の内周
面においてリップシール17よりボス部16の開口16
α側に固定されている。吸油部材36は、前記フロント
ハウジング11の収容部37に収容配置されている。導
油通路38は吸油部材36とボス部16の内空間とを接
続する。同導油通路38はせき止め部材35とリップシ
ール17との間で開口されている。環状溝39は、駆動
軸15の小径部位15γにおいて、リップシール17と
せき止め部材35との間に対応する位置に周設されてい
る。そして、同環状溝39を構成するリップシール17
側の段差が、段差部40をなしている。同段差部40に
より、駆動軸15の外周面を伝う漏れ潤滑油を所定の位
置で振り落とすことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、車両空調
用等に用いられる圧縮機に関し、特に、同圧縮機の内部
から漏出される油を回収するための漏出油の回収構造に
関する。
【0002】
【従来の技術】この種の圧縮機として、例えば、実開昭
55−39328号公報に開示された技術が存在する。
すなわち、図5に示すように、駆動軸51は圧縮機構を
収容するハウジング52に支持されている。同駆動軸5
1は圧縮機構に連結されるとともに、その一部が同ハウ
ジング52内から突出されている。ボス部53はハウジ
ング52の外壁面に設けられ、駆動軸51の突出端部を
取り囲んでいる。軸封装置54はボス部53と駆動軸5
1との間に介在され、ハウジング52内部をシールして
いる。電磁クラッチ55のロータ56はボス部53によ
って回転可能に支持されている。同電磁クラッチ55の
アーマチャ57はハブ58を介して駆動軸51の突出端
部に固定されている。
【0003】従って、ロータ56側に配置されたコア5
9の励磁により、同ロータ56にアーマチャ57が吸着
されて、車両エンジンからの駆動力が駆動軸51に入力
される。そして、同駆動軸51の回転により圧縮機構が
動作されて、冷媒ガスの圧縮がなされる。
【0004】ところで、前記構成の圧縮機においては、
連続回転される駆動軸51と軸封装置54のシール部材
との間の摩擦熱により同シール部材が硬化したり、シー
ル部材が経時劣化したり、シール部分に異物が噛み込ま
れたりして軸封装置54のシール機能が低下される。従
って、ハウジング52内部の潤滑油がボス部53の開口
53αを介してハウジング52外部に漏出される。この
漏れ潤滑油は、例えば、電磁クラッチ55の吸着面に付
着される。このため、ロータ56とアーマチャ57との
間に滑りが生じて、動力伝達効率が低下されていた。
【0005】そこで、前記公報の技術においては、リン
グ状のせき止め部材60が、ボス部53内周面において
軸封装置54よりボス部53の開口53α側に配置され
ている。同せき止め部材60により、ボス部53の内周
面を伝って開口53α側へ移動されようとする漏れ潤滑
油がせき止められる。また、吸油部材61はハウジング
52に保持されており、同吸油部材61と前記ボス部5
3の内空間とは導油通路62を介して接続されている。
同導油通路62はボス部53内周面において前記せき止
め部材60と軸封装置54との間で開口されている。従
って、せき止め部材60によりせき止められた漏れ潤滑
油は、導油通路62を介して吸油部材61に導かれ、同
吸油部材61によって吸収保持される。
【0006】ところが、漏れ潤滑油の中には、膜状をな
して駆動軸51の表面を伝うものもある。また、前記せ
き止め部材60が駆動軸51の摺接抵抗とならないよう
に、両部材51、60の間には間隙が確保されている。
従って、前記公報の技術では、駆動軸51の表面を伝わ
る漏れ潤滑油を吸油部材61に導くこと、つまり、せき
止め部材60より軸封装置54側において漏れ潤滑油を
駆動軸51から落下させることができなかった。
【0007】このような問題を解決するために、例え
ば、実開平1−124394号公報に開示された技術が
存在する。同公報の技術においては、図5において二点
鎖線で示すように、リング部材63が駆動軸51の外周
面において、せき止め部材60と軸封装置54との間に
対応する部位に嵌合されている。そして、駆動軸51の
外表面を伝う潤滑油は、遠心力によってリング部材63
からせき止め部材60の軸封装置54側に振り落とされ
るようになっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前記実開平
1−124394号公報の技術においては、次のような
問題が生じていた。
【0009】(1)駆動軸51とは別体のリング部材6
3を必要とし、圧縮機を構成する部品点数が多くなる。 (2)圧縮機の組み立て時において、駆動軸51に対し
てリング部材63を嵌合する工程が必要であり、工程数
が増えるし、組み立て順序に自由度がない。つまり、リ
ング部材63を駆動軸51に装着した後では、同リング
部材63が障害となって軸封装置54を駆動軸51とボ
ス部53との間の所定位置に配置することができない。
言い換えれば、予めリング部材63を駆動軸51に固定
して、同駆動軸51をハウジング52に挿入する手順を
採ることができない。従って、リング部材63の組付は
狭いボス部53の内空間で行わなければならず、面倒な
作業となっていた。
【0010】(3)ボス部53の内空間に突出するリン
グ部材63は、軸封装置54とハウジング52外部との
間の遮蔽性を高め、同軸封装置54の熱的環境が厳しく
なる。これは、同軸封装置54のシール部材を熱劣化さ
せる要因となる。
【0011】本発明は、上記従来技術に存在する問題点
に着目してなされたものであって、その目的は、部品点
数を増加させることなく、簡単な構成で駆動軸を伝わる
漏出油をハウジングの内空間の所定位置で落下させるこ
とが可能な圧縮機における漏出油の回収構造を提供する
ことにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項1の発明では、ハウジングの内空間において、
軸封装置よりボス部の開口側に位置する回転部分の外周
面に、前記回収手段と対向するように段差部を凹設した
圧縮機における漏出油の回収構造である。
【0013】請求項2の発明では、前記段差部の壁面は
駆動軸の軸線に対して略直角をなしている。請求項3の
発明では、前記段差部は、回転部分の外周面に環状溝を
形成することにより構成されている。
【0014】請求項4の発明では、前記回収手段は、前
記ハウジングの外部に配置された吸油部材と、同ハウジ
ングの内周面に段差部よりボス部の開口側に配置された
リング状のせき止め部材と、前記吸油部材とハウジング
の内空間とを接続し、せき止め部材と軸封装置との間に
開口された導油通路とにより構成されている。
【0015】請求項5の発明では、前記回転体には、同
回転体とボス部とにより囲まれた空間内が負圧とならな
いようにするための圧力調整手段が設けられている。請
求項6の発明では、前記圧力調整手段は、回転体に穿設
されて同回転体とボス部との間の空間を圧縮機の外方に
開放する透孔である。
【0016】請求項7の発明では、前記回転体には、同
回転体とボス部とにより囲まれた空間内に外気を積極的
に導入するための送風手段が設けられている。 (作用)上記構成の請求項1の発明においては、軸封装
置のシール機能低下による漏出油のうち、ボス部の内周
面を伝うものについては回収手段により回収される。従
って、漏出油がボス部の開口を介して回転体側へ飛散さ
れることはない。
【0017】また、駆動軸を膜状をなして伝う漏出油
は、駆動軸或いは回転体等の回転部分に形成された段差
部において停留され、遠心力によりボス部の内周面に向
けて振り落とされて、前記と同様に回収手段により回収
される。
【0018】請求項2の発明においては、回転部分の表
面を伝う漏出油は、駆動軸の軸線に対して略直角をなす
段差部の壁面によって、ボス部の開口側への移動がより
効果的に阻止される。
【0019】請求項3の発明においては、回転部分の外
周面において環状に溝を穿設するのみの簡単な加工で、
前記段差部を形成することができる。請求項4の発明に
おいては、漏出油はせき止め部材によって、それ以上の
ボス部の開口側への移動が阻止される。このせき止め部
材と軸封装置との間で停留された漏出油は、導油通路を
介して吸油部材へ導かれる。従って、漏出油は、同吸油
部材によって吸収保持されることにより回収される。
【0020】請求項5の発明においては、回転体に設け
られた圧力調整手段により、同回転体とボス部で囲まれ
た空間内が負圧となることはない。従って、せき止め部
材の内方から外部へ漏出される油の量を少なくできると
ともに、導油通路内の漏出油の流れを良好とすることが
可能となる。
【0021】つまり、図5に示す従来の圧縮機において
は、特に、駆動軸51が高速で回転される時、電磁クラ
ッチ55とボス部53とにより囲まれた空間Aが負圧と
なる。これはコア59の励磁による電磁クラッチ55の
アーマチャ57とロータ56との吸着状態において、吸
着面の僅かな間隙から空間A内の空気が外側へ遠心力に
よって吸い出されるためと考えられる。この現象によ
り、導油通路62内の漏れ潤滑油の流動性が悪化される
とともに、漏れ潤滑油がせき止め部材60を越え易くな
る。従って、漏れ潤滑油がせき止め部材60を越えてボ
ス部53の開口53α側へ流出されてしまうのである。
【0022】そこで、本明細書において「回転体とボス
部とにより囲まれた空間内が負圧となる」とは、せき止
め部材60と軸封装置54との間に停留された漏出油
が、せき止め部材60を越えるような状況を言う。
【0023】請求項6の発明においては、透孔が回転体
に穿設されて同回転体とボス部との間の空間が圧縮機の
外方に開放され、同空間内が負圧となることが防止され
る。請求項7の発明においては、送風手段により空間内
に外気が導入され、回転体の放熱効果が高められる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明を車両空調用圧縮機
において具体化した実施形態について説明する。なお、
第2及び第3実施形態において第1実施形態と同一部材
には同じ番号が付してある。
【0025】(第1実施形態)図1に示すように、フロ
ントハウジング11はシリンダブロック12の前部に接
合固定されている。リヤハウジング13は、前記シリン
ダブロック12の後部にバルブプレート34を介して接
合固定されている。クランク室14は、前記シリンダブ
ロック12とフロントハウジング11とにより囲まれた
空間によって構成されている。駆動軸15は、同クラン
ク室14内を通るようにフロントハウジング11とシリ
ンダブロック12との間に回転可能に架設支持されてい
る。同駆動軸15の前端部はフロントハウジング11か
ら外方へ突出されている。ボス部16は前記フロントハ
ウジング11の外壁面において、前記駆動軸15の突出
端部を取り囲むようにして一体形成されている。
【0026】図2に示すように、軸封装置としてのリッ
プシール17はボス部16の内空間に配置され、同リッ
プシール17が有するリップリング17αがクランク室
14内の圧力により駆動軸15に圧接されて、クランク
室14がシールされる。
【0027】回転体としての電磁クラッチ18は、外部
駆動原としての図示しない車両エンジンと駆動軸15と
の間に介在されている。すなわち、同電磁クラッチ18
を構成するロータ19は、ボス部16の外周面にアンギ
ュラベアリング20を介して回転可能に支持されてい
る。同ロータ19の外周には、車両エンジンに連結され
たベルト42が巻き掛けられている。ハブ21はその中
央部に一体形成されたブッシュ21αを以て駆動軸15
の突出端部に止着されている。アーマチャ22は同ハブ
21に円環状をなす緩衝ゴム23を介して固定されてい
る。同緩衝ゴム23は、前記ハブ21とアーマチャ22
との間の動力伝達経路上に位置され、その弾性力によっ
てロータ19を介してベルト42に伝達される駆動トル
クの周期的な変動を抑える。
【0028】そして、前記ロータ19内に収容配置され
たコア24が励磁されることにより、アーマチャ22が
それを支持する緩衝ゴム23のバネ力に抗してロータ1
9と圧接される。従って、車両エンジンの駆動力が駆動
軸15に伝達される。また、コア24が消磁されること
により、アーマチャ22が緩衝ゴム23のバネ力により
ロータ19から離間されて駆動力の伝達が遮断される。
【0029】次に、前記クランク室14内に収容された
圧縮機構について説明する。図1に示すように、ラグプ
レート25は前記駆動軸15に圧入固定されており、同
ラグプレート25の支持アーム25αにはガイド孔25
βが形成されている。斜板26は前記駆動軸15に対し
て傾動可能かつスライド移動可能に支持されている。ガ
イドピン26αは斜板26に止着され、前記ガイド孔2
5βに係合されている。従って、斜板26は軸線L方向
へ揺動可能であり、また、駆動軸15と一体回転可能で
ある。
【0030】シリンダボア12αは前記シリンダブロッ
ク12に形成され、クランク室14、リヤハウジング1
3内の吸入室13α及び吐出室13βを互いに接続して
いる。片頭ピストン27はシリンダボア12α内に収容
されている。そして、前記斜板26は片頭ピストン27
に形成された凹部27α内に進入した状態で、一対のシ
ュー28を介して片頭ピストン27を係留している。従
って、斜板26の回転運動がシュー28を介して片頭ピ
ストン27の前後往復運動に変換される。これにより、
吸入室13αから冷媒ガスが、バルブプレート34の吸
入バルブ34αを介してシリンダボア12α内へ吸入さ
れ、この吸入された冷媒ガスは圧縮されつつ、吐出バル
ブ34βを介して吐出室13βへ吐出される。
【0031】圧力供給通路29は吐出室13βとクラン
ク室14とを接続し、電磁バルブ30は同圧力供給通路
29上に介在されている。同電磁バルブ30のソレノイ
ド30αが励磁或いは消励されることにより、スプール
30βがポート30γを閉鎖或いは開放、つまり、圧力
供給通路29が閉鎖或いは開放される。
【0032】そして、前記圧力供給通路29の開閉によ
り、前記片頭ピストン27の前後に作用されるクランク
室14内の圧力とシリンダボア12α内の圧力との差圧
が調整されて、斜板26の傾斜角が制御される。
【0033】つまり、圧力供給通路29が閉鎖された状
態においてクランク室14内の圧力は、放圧孔31及び
放圧通路32を介して吸入室13αに放圧されるのみ
で、同吸入室13αの低圧力に近づいていく。よって、
斜板26の傾角が最大傾角に保持されてピストンストロ
ークが大きくなり、吐出容量が大きくなる。また、圧力
供給通路29が開放された状態においては、吐出室13
β内の高圧力がクランク室14に導入され、同クランク
室14内の圧力上昇により斜板26の傾角が最小傾角に
移行される。従って、吐出容量は小さくなる。
【0034】なお、上記斜板26の最大傾角は、同斜板
26に設けられたストッパ26βとラグプレート25と
の当接により規定される。また、最小傾角は、斜板26
と駆動軸15に装着されたリング33との当接により規
定される。
【0035】次に、本実施形態の特徴点について説明す
る。図2(a)及び図2(b)に示すように、リング状
をなすせき止め部材35は、前記ボス部16の内周面に
おいてリップシール17よりボス部16の開口16α側
に固定されている。フエルト製の吸油部材36は、前記
フロントハウジング11の外壁面下部に凹設された収容
部37内に収容配置されている。導油通路38はボス部
16の周壁からフロントハウジング11の外壁面にかけ
て貫設され、同導油通路38により吸油部材36とボス
部16の内空間とが接続されている。同導油通路38は
ボス部16の内周面において前記せき止め部材35とリ
ップシール17との間で開口されている。本実施形態に
おいて回収手段は、前記せき止め部材35、吸油部材3
6、導油通路38等により構成されている。なお、前記
収容部37の形成位置は、駆動軸15の軸線Lを含む水
平面(本圧縮機は軸線Lが略水平となるようにエンジン
ルーム内に配設される)より下方位置が望ましい。
【0036】前記駆動軸15は、リップシール17が摺
接される部位15αとハブ21のブッシュ21αが止着
される部位15βとの間の外径が、両部位15α,15
βと比較して小径となっている。そして、環状溝39
は、この駆動軸15の小径部位15γにおいて、リップ
シール17と回収手段の一部を構成するせき止め部材3
5との間の部分に対応する位置に形成されている。同環
状溝39の内底面と壁面40αとを接続するコーナ部分
は曲面状に構成されている。そして、同環状溝39を構
成するリップシール17側の段差が、本実施形態におけ
る段差部40をなしている。同段差部40の内壁面40
αは軸線Lに対して略直角をなしている。
【0037】圧力調整手段としての透孔41は、前記電
磁クラッチ18のハブ21において、前記ボス部16の
開口16αと対向する位置に複数が形成されている。同
透孔41により、アーマチャ22がロータ19に圧接さ
れた状態においても電磁クラッチ18とボス部16とに
より囲まれた空間Aが圧縮機の外方に開放される。
【0038】さて、リップシール17のシール機能が低
下すると、クランク室14内の潤滑油がリップシール1
7を越えて漏出される。この漏れ潤滑油はボス部16の
内周面を伝って開口16α側に移動されようとするが、
この漏れ潤滑油の流動にせき止め部材35が対向される
ため、それ以上の移動が阻止される。従って、漏れ潤滑
油は、ボス部16内空間の下部においてせき止め部材3
5とリップシール17との間で停留される。この停留さ
れた漏れ潤滑油は、同停留部分に開口された導油通路3
8を介して吸油部材36に導かれ、同吸油部材36によ
って吸収保持される。
【0039】ここで、漏れ潤滑油の一部は駆動軸15の
外表面において膜状をなし、同駆動軸15の外表面を伝
ってボス部16の開口16α側へ移動されようとする。
しかし、この漏れ潤滑油は、環状溝39の段差部40に
おいてそれ以上の開口16α側への移動が阻止される。
つまり、この段差部40の壁面40αは軸線Lに対して
略直角をなすため、駆動軸15の表面を伝わる漏れ潤滑
油は、駆動軸15の回転にともなう遠心力に抗してまで
この壁面40αを軸線L側に移動されることはない。
【0040】従って、漏れ潤滑油は段差部40の外縁エ
ッジ部分において停留され、遠心力によって軸線Lと直
交する放射方向に振り飛ばされる。振り飛ばされた漏れ
潤滑油は、その自重により導油通路38を介して吸油部
材36に導かれ、同吸油部材36によって吸収保持され
る。
【0041】また、本実施形態においては、電磁クラッ
チ18のハブ21に形成された透孔41により、電磁ク
ラッチ18とボス部16とにより囲まれた空間Aが圧縮
機の外方に開放されている。従って、常に、同空間A内
が負圧となることはなく、漏れ潤滑油がせき止め部材3
5から溢れ出たりすることを防止できる。
【0042】以上のように、リップシール17から漏れ
た潤滑油の略全部を吸油部材36にて回収することがで
き、同漏れ潤滑油がボス部16の開口16αを介して飛
散されることによる、例えば、電磁クラッチ18の滑り
等を防止できる。
【0043】上記構成の本実施形態においては、次のよ
うな効果を奏する。 (1-1)駆動軸15の外周面に環状溝39を凹設するの
みの簡単な構成で、駆動軸15の外表面を伝わる漏れ潤
滑油をせき止め部材35に対してリップシール17側に
確実に落下させることができる。しかも、この構成を実
施するのに部品点数の増加は伴わず、従って、本圧縮機
の組み立て工程増等を防止できる。
【0044】(1-2)環状溝39は、当然ながらボス部
16の内空間に突出されない。従って、同環状溝39を
形成することによりリップシール17側が密閉状態とな
ってその熱的環境が厳しくなることはなく、同環状溝3
9がリップシール17の熱劣化の要因とはならない。
【0045】(1-3)段差部40の壁面40αは垂直壁
である。このため、駆動軸15の表面を伝わる漏れ潤滑
油の同段差部40における振り落としが効果的になされ
るし、駆動軸15に対する切削加工も容易となる。
【0046】(1-4)環状溝39の底面と壁面との接続
部分は円曲面をなしている。従って、駆動軸15に作用
する応力が同接続部分に集中することはなく、同環状溝
39を設けることによる駆動軸15の強度低下を防止で
きる。
【0047】(1-5)電磁クラッチ18とボス部16と
により囲まれた空間Aは、ハブ21に形成された透孔4
1により、圧縮機の外方に開放されている。このため、
空間A内が負圧となることを防止でき、リップシール1
7からの潤滑油の漏れを少なくできる。また、漏れ潤滑
油を導油通路38を介して吸油部材36にスムーズに送
ることができる。この構成を前記段差部40構成と併設
することにより、漏れ潤滑油の回収効果が高められる。
【0048】(第2実施形態)図3(a)及び図3
(b)においては第2実施形態を示す。本実施形態にお
いては、透孔45の外側の開口45αが、内側の開口4
5βよりハブ21の半径方向に対して内側に配置されて
いる。従って、同透孔45はハブ21の半径方向に対し
て傾斜され、遠心ファン構成をなしている。その結果、
ハブ21の回転により同透孔45を介して空間A内に外
気が積極的に取り入れられる。
【0049】本実施形態においては、次のような効果を
奏する。 (2-1)空間A内を正圧とすることができ、上記第1実
施形態の(1-5)の効果が相乗的に奏される。
【0050】(2-2)外気を空間A内に導入するのに、
送風フィン等の部材を透孔45と別個に必要としない。
このため、部品点数を抑えて送風構成を簡単にできる。 (第3実施形態)図4(a)及び図4(b)においては
第3実施形態を示す。本実施形態においては、上記第2
実施形態の構成に加え、緩衝ゴム46のアーマチャ22
との対向面に、複数の通気溝46αが放射方向に穿設さ
れている。
【0051】従って、ハブ21の回転により前記透孔4
5及び緩衝ゴム46が遠心ファン構成をなし、透孔45
→空間A→通気溝46αを流動される外気流が形成され
る。この外気流により、ハブ21やアーマチャ22の放
熱効果が高められ、ひいては電磁クラッチ18全体の温
度が低下される。これは、電磁クラッチ18に隣接する
リップシール17の温度低下に効果的となり、同リップ
シール17の熱劣化にともなうシール機能の低下を抑制
できる。
【0052】しかも、透孔45からの外気流の一部が空
間A内に導入されるため、同空間A内を正圧に維持する
ことができる。なお、本発明の趣旨から逸脱しない範囲
で、以下の態様でも実施できる。
【0053】(1)段差部40の壁面40αの軸線Lに
対する傾斜度合いを、直角から若干だけ緩やかとするこ
と。或いは逆に外縁エッジが鋭角をなすようにオーバー
ハングとすること。
【0054】(2)吸油部材36をボス部16の内空間
において、段差部40の径方向位置に固定配置するこ
と。 (3)吸油部材36を省略し、漏れ潤滑油を溜めるドレ
ンタンクをハウジング(11〜13)に設けること。
【0055】(4)導油通路38を、ハウジング(11
〜13)とは別体の管体により構成すること。このよう
にすれば、導油通路38内に異物が詰まった際の除去等
のメンテナンスを、管体を取り外すのみで簡単に行い得
る。
【0056】(5)せき止め部材35を廃止し、ボス部
16の内周面を導油通路38の開口側に傾斜させるこ
と。 (6)上記第2及び第3実施形態において透孔45は、
ハブ21の径方向に傾斜されていたが、これを変更し、
ハブ21の回転方向に傾斜させること。
【0057】(7)上記実施形態において回転体は電磁
クラッチ18であったが、これを変更し、動力の断続構
成を有しないプーリとしても良い。つまり、本発明をク
ラッチレス圧縮機において具体化しても良い。
【0058】(8)ハブ21のブッシュ21α(回転部
分)の外周面に環状溝39を形成し、段差部40を形成
すること。この場合、せき止め部材35を図2に示す位
置からボス部16の開口16α側に移動させる。
【0059】(9)上記実施形態において圧縮機は、可
変容量型斜板式圧縮機であったが、他の圧縮機として、
固定容量型斜板式圧縮機、スクロール型圧縮機、ウエー
ブカム型圧縮機等において具体化しても良い。
【0060】(10)ハブ21において透孔41の近傍
に送風フィンを取着し、同送風フィンにより空間A内に
外気を導入すること。 上記実施形態から把握できる技術的思想について記載す
る。
【0061】送風手段は、透孔45が斜め孔をなすこと
により構成されている請求項7に記載の圧縮機における
漏出油の回収構造。このようにすれば、部品点数を増加
させることなく、送風手段を構成できる。
【0062】
【発明の効果】上記構成の請求項1の発明によれば、漏
出油による悪影響を確実に防止できるばかりでなく、部
品点数を低減して圧縮機の組付工程数を減らすことがで
き、圧縮機の組付を容易に行い得る。しかも、軸封装置
の熱的環境を改善することができる。
【0063】請求項2の発明によれば、前記漏出油を効
果的に振り落とすことができる。請求項3の発明によれ
ば、簡単に段差部を形成できる。請求項4の発明によれ
ば、殆ど全部の漏出油を吸油部材によって回収すること
ができる。
【0064】請求項5の発明によれば、導油通路内の漏
出油の流れを良好とすることが可能となり、漏出油の回
収効果が高められる。請求項6の発明によれば、回転体
に透孔を穿設するのみの簡単な加工で、回転体とボス部
とにより囲まれた空間内が負圧となることを防止でき
る。
【0065】請求項7の発明によれば、回転体の放熱効
果が高められ、ひいては、軸封装置の温度低下にも貢献
される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 圧縮機の縦断面図。
【図2】 (a)は図1の要部拡大図、(b)は(a)
の要部拡大図。
【図3】 第2実施形態を示す図であり、(a)は圧縮
機の要部拡大断面図、(b)はハブの正面部分図。
【図4】 第3実施形態を示す図であり、(a)は圧縮
機の要部拡大断面図、(b)は緩衝ゴムの背面部分図。
【図5】 従来の圧縮機を示す図であり、要部拡大断面
図。
【符号の説明】
11…ハウジングを構成するフロントハウジング、12
…同じくシリンダブロック、13…同じくリヤハウジン
グ、15…駆動軸、16…ボス部、16α…開口、17
…軸封装置としてのリップシール、18…回転体として
の電磁クラッチ、35…回収手段としてのせき止め部
材、36…同じく吸油部材、38…同じく導油通路、4
0…段差部。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧縮機構を収容するハウジングと、同ハ
    ウジングに支持され、圧縮機構に連結された駆動軸と、
    前記ハウジングの外壁面に設けられ、駆動軸のハウジン
    グからの突出部分を取り囲むボス部と、前記駆動軸に連
    結され、外部駆動源からの動力を駆動軸に伝達する回転
    体と、前記ハウジングの内空間に配置され、同ハウジン
    グの内周面と駆動軸との間をシールする軸封装置と、軸
    封装置からの漏出油を回収するための回収手段とを備え
    た圧縮機において、 前記ハウジングの内空間において、軸封装置よりボス部
    の開口側に位置する回転部分の外周面に、前記回収手段
    と対向するように段差部を凹設した圧縮機における漏出
    油の回収構造。
  2. 【請求項2】 前記段差部の壁面は駆動軸の軸線に対し
    て略直角をなす請求項1に記載の漏出油の回収構造。
  3. 【請求項3】 前記段差部は、回転部分の外周面に環状
    溝を形成することにより構成されている請求項1又は2
    に記載の漏出油の回収構造。
  4. 【請求項4】 前記回収手段は、前記ハウジングの外部
    に配置された吸油部材と、同ハウジングの内周面に段差
    部よりボス部の開口側に配置されたリング状のせき止め
    部材と、前記吸油部材とハウジングの内空間とを接続
    し、せき止め部材と軸封装置との間に開口された導油通
    路とにより構成された請求項1〜3のいずれかに記載の
    漏出油の回収構造。
  5. 【請求項5】 前記回転体には、同回転体とボス部とに
    より囲まれた空間内が負圧とならないようにするための
    圧力調整手段が設けられた請求項4に記載の漏出油の回
    収構造。
  6. 【請求項6】 前記圧力調整手段は、回転体に穿設され
    て同回転体とボス部との間の空間を圧縮機の外方に開放
    する透孔である請求項5に記載の漏出油の回収構造。
  7. 【請求項7】 前記回転体には、同回転体とボス部とに
    より囲まれた空間内に外気を積極的に導入するための送
    風手段が設けられた請求項6に記載の漏出油の回収構
    造。
JP7329197A 1995-12-18 1995-12-18 圧縮機における漏出油の回収構造 Pending JPH09170553A (ja)

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PCT/JP1996/003823 WO1998029660A1 (fr) 1995-12-18 1996-12-26 Structure pour recuperer l'huile qui fuit dans un compresseur
US09/117,425 US6112639A (en) 1995-12-18 1998-07-29 Structure for collecting leaking oil in compressor

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2017221835A1 (ja) * 2016-06-24 2017-12-28 三菱重工サーマルシステムズ株式会社 開放型圧縮機

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