JPH09159613A - 宝石類の品質情報添付方法及び鑑定書発行装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】宝石の研磨後の鑑定から指輪等の宝飾品への加
工までの過程において宝石とその鑑定書との一致を確実
に保証すること。 【構成】鑑定により得た宝石１０の品質情報に基づいて
鑑定書を発行する鑑定書発行装置であり、鑑定した宝石
毎に照合符号を付与する照合符号発生手段１２と、鑑定
の終了した宝石の品質情報と当該宝石に対して照合符号
発生手段１２から付与された照合符号とから当該品質情
報及び照合符号が標記された鑑定書を出力する鑑定書出
力手段１４と、照合符号を符号部材２１に標記する標記
手段１６と、照合符号が標記された符号部材２１を受取
り、当該符号部材２１を袋材として使用して宝石を袋体
２３に密封する密封手段１７とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、宝石の品質情報を宝石
側に持たせるための宝石類の品質情報添付方法及び鑑定
書発行装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、研磨を終えたダイヤモンドは、
偽造防止や品質証明のため該ダイヤモンドのカット、カ
ラット、カラー、クラリティーといった品質情報を記載
した鑑定書が付けられる。従来、鑑定書を紛失したとき
の再鑑定を不要にするため、又は偽造防止対策のため、
ダイヤモンドの表面に金属、モリブデン等の物質を蒸
着、又はスパッタリングしてカット、カラット等の品質
情報を表記する方法が提案されている。

【０００３】図５は、特開昭５３−７９７８８号公報に
記載された表示入りダイヤモンドを示している。図５
（ａ）に示すように、ダイヤモンド表面の一部（Ｘ部）
に必要な情報を記入している。同図（ｂ）はＸ部の拡大
図である。

【０００４】ダイヤモンド表面にかかる表示を描画する
ための工程が図６に示されている。ダイヤモンドの表面
にフォトレジスト膜１を形成し（図６（ａ））、縮小露
光によりフォトレジスト膜１を部分的に除去して表示情
報に対応したパターン２を形成する（図６（ｂ））。真
空環境下でのスパッタリングによりモリブデンをパター
ン部分に露出したダイヤモンド表面３に付着させ（図６
（ｃ））、洗浄してフォトレジスト膜を除去し、パター
ン部のモリブデン層４のみをダイヤモンド表面上に残留
させる（図６（ｄ））。

【０００５】また、ダイヤモンドに品質情報を直接表示
するのでは無く、図８に示すようにダイヤモンドのガー
ドル部分の一面に鑑定書と符合する番号を刻印すること
によりダイヤモンドへの表示は最小限にとどめてダイヤ
モンド自体と鑑定書との一致をとることもあった。

【０００６】また、特開昭５７−１７１２４９号公報
に、宝飾品を含む宝石類を同定する技術が記載されてい
る。図７に示すように、試料宝石５の周囲を移動するビ
デオカメラ６で事前に試料宝石５を複数の角度からビデ
オ撮影しておき、そのビデオ画像と現品の画像との外観
的特徴を比較することにより同定を行う方法が提案され
ている。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上述したよ
うに宝石が流通する過程で鑑定書を紛失したり、現品の
すり替えや偽造等の事故を防ぐためにはダイヤモンド自
体に品質情報等を直接刻印することが最も確実な方法で
ある。

【０００８】しかしながら、宝石は本来表面に傷等の無
いものほど価値の高いものであることから、業者及び消
費者の抵抗感を考慮しても、宝石の表面に情報を刻印す
ることはできれば避けることが望ましい。

【０００９】また、ダイヤモンドの場合、図８に示すよ
うにガードル部に刻印を行うわけであるが、ガードル部
の厚さは理想的なプロポーション、輝きを得るために、
ガードル径の１〜２％の範囲に加工しなければならな
い。従って、小さな石の場合、刻印に必要なガードル面
の厚さを確保するのが困難である。

【００１０】さらに、宝石の表面に品質情報等を析出さ
せるためには、蒸着、スパッタリング等の専用の大掛か
りな装置を導入する必要があること、又は宝石の表面に
鑑定書番号等を刻印するためには大出力のレーザ装置が
必要であること、からコストがかかり過ぎるという問題
がある。

【００１１】また、図７に示す同定方法は、複数方向か
らのビデオ画像と現品の画像との外観的特徴を比較して
いるが、光源の演色性、照明条件、ビデオカメラの位置
決め、試料宝石の位置決めの再現性が非常に高いレベル
で要求されることから実現が困難であると共に、装置が
複雑化する。

【００１２】例えば、代表的なカットであるラウンドブ
リリアントカットのダイヤモンドは、５８面体であり、
各々の面（ファセット）が分光効果による色変化（ディ
スパージョン）や、観察角度や、照明条件の僅かな変化
による輝度変化（シンチレーション）が、比較観察の障
害となる可能性が高い。即ち、同一の宝石であっても肉
眼で判別できる程度の大きな傷、内包物を除けば、再現
性良く比較観察することは困難である。

【００１３】本発明は、以上のような実情に鑑みてなさ
れたもので、宝石の研磨後の鑑定から指輪等の宝飾品へ
の加工までの過程において宝石とその鑑定書との一致を
確実に保証できる宝石類の品質情報添付方法及び鑑定書
発行装置を提供することを目的とする。

【００１４】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために以下のような手段を講じた。請求項１に対
応する本発明は、鑑定により得た宝石の品質に関する情
報を宝石側に添付するための宝石類の品質情報添付方法
において、鑑定の終了した宝石の鑑定書作成時に鑑定書
の一部に照合符号を標記し、前記鑑定の終了した宝石を
袋体の中に密封すると共に前記鑑定書と符合する照合符
号を前記袋体に付け、前記袋体に付けた照合符号と前記
鑑定書に表記した照合符号とから宝石と鑑定書との一致
をとるようにする。

【００１５】請求項２に対応する本発明は、鑑定により
得た宝石の品質情報に基づいて鑑定書を発行する鑑定書
発行装置において、鑑定した宝石毎に照合符号を付与す
る照合符号発生手段と、鑑定の終了した宝石の品質情報
と当該宝石に対して前記照合符号発生手段から付与され
た照合符号とから当該品質情報及び照合符号が標記され
た鑑定書を出力する鑑定書出力手段と、前記照合符号発
生手段から与えられる照合符号を符号部材に標記する標
記手段と、前記標記手段から照合符号が標記された符号
部材を受取り、当該符号部材を袋材として使用して宝石
を袋体に密封し、又は当該符号部材を宝石と共に袋体に
入れて密封する密封手段とを備える。

【００１６】請求項３に対応する本発明は、上記構成の
鑑定書発行装置において、宝石の品質情報及び照合符号
を含んだ鑑定書データを保存する記憶装置を備え、照合
符号に基づいて鑑定書データを再生可能にした。

【００１７】

【作用】本発明は、以上のような手段を講じたことによ
り次のような作用を奏する。請求項１に対応する本発明
によれば、鑑定書に標記した照合符号と符合する照合符
号を宝石が密封されている袋体に付けているので、鑑定
作業の終了から加工等のために宝石を袋体から出すまで
の間は、現品と鑑定書に記載されている品質情報との一
致を保証できる。

【００１８】請求項２に対応する本発明によれば、鑑定
した宝石毎に照合符号発生手段から照合符号が付与され
る。鑑定の終了した宝石の品質情報と当該宝石に対して
付与された照合符号とから当該品質情報及び照合符号が
標記された鑑定書が鑑定書出力手段からプリントアウト
される。一方、標記手段が照合符号発生手段から与えら
れた照合符号を符号部材に標記すると、密封手段により
宝石が照合符号の標記した符号部材を袋材として使用し
て袋体に密封され、又は当該符号部材と宝石とを共に袋
体に入れて密封される。従って、鑑定作業の終了から加
工等のために宝石を袋体から出すまでの間は、現品と鑑
定書に記載されている品質情報との一致を保証できる。

【００１９】請求項３に対応する本発明によれば、宝石
の品質情報及び照合符号を含んだ鑑定書データが記憶装
置に保存される。鑑定書を紛失した場合は、袋体に付さ
れた照合符号に基づいて記憶装置から同じ鑑定書データ
を読出すことができ、再鑑定すること無く簡単に再発行
することができる。

【００２０】

【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。図
１及び図２は本発明の一実施例を示しており、図１は実
施例の機能ブロック図、図２は実施例の概念図を示して
いる。

【００２１】ＣＣＤカメラ等で構成される画像入力装置
１１が、鑑定対象の宝石１０に関する画像情報及び輝度
情報を取り込んで、宝石鑑定装置１２へ入力する。宝石
鑑定装置１２は、宝石鑑定用のアプリケーションソフト
がインストールされており、宝石１０の画像情報及び輝
度情報からカット、カラー等の品質情報を算出する機能
を備えている。

【００２２】尚、本出願人は、ＣＣＤカメラ等で取り込
んだ宝石の画像情報及び輝度情報からカット、カラー等
の品質情報を算出する技術を特願平５−３５１１１４号
として出願済みであり、現在確立された技術である。

【００２３】宝石鑑定装置１２には、宝石１０の入力画
像及び図４に示すような鑑定書画像を表示するモニタ１
３と、鑑定書画像をプリントアウトするビデオプリンタ
ー１４、鑑定書画像データを記憶する記憶装置１５がそ
れぞれ接続されている。

【００２４】ここで、本実施例では宝石毎に鑑定書と宝
石との一致を確認するための照合符号を付与している。
照合符号を鑑定書画像データに含ませてビデオプリンタ
ー１４へ与えて鑑定書２０の一部に表示されるようにし
ている。

【００２５】宝石鑑定装置１２には、バーコードプリン
タ１６と密封装置１７が接続されている。バーコードプ
リンタ１６がラミネート用フィルム２１に宝石鑑定装置
１２から与えられる照合符号をバーコード２２に変換し
てプリントし、密封装置１７がバーコード２２のプリン
トされたラミネート用フィルム２１で宝石１０を密封す
るように連携している。

【００２６】尚、宝石鑑定装置１２、ビデオプリンター
１４、バーコードプリンタ１６、密封装置１７から鑑定
書発行装置を構成している。図３は、宝石鑑定装置１２
の鑑定書発行時の動作内容を示している。同図に示すよ
うに、外部からの鑑定要求を受けて鑑定対象となる宝石
１０の画像の取り込みを実行する。入力した宝石画像を
メモリに格納してから、宝石鑑定用のアプリケーション
ソフトを起動させて宝石１０の画像情報及び輝度情報か
らカット、カラー等の品質情報を算出する。このとき
に、宝石１０の画像情報及び輝度情報から得ることので
きないカラット等の情報、及び鑑定書作成の上で必要に
なるその他の形式的事項をキーボード等から入力する。

【００２７】上記算出結果及び入力情報から当該宝石の
評価を決定して、図４に示すような鑑定書のレイアウト
に編集した鑑定書データフォーマットの該当箇所に品質
情報を登録し、鑑定書データフォーマットの該当箇所に
宝石画像を割り付ける。このようにして鑑定書データが
確定したところで今回鑑定した宝石１０に対する照合符
号を決定する。照合符号は、鑑定対象となった宝石とそ
の鑑定書との対応が取れるものであれば、数字列、文字
列、バーコード、その他のいずれの表現形式であっても
良い。

【００２８】宝石鑑定装置１２で宝石鑑定書データの作
成が完了して照合符号を付与したならば、照合符号デー
タ及び宝石鑑定書データをビデオプリンタ１４へ転送す
ると共に、同一照合符号データをバーコードプリンタ１
６へ転送する。そして、転送前にコピーしておいた宝石
鑑定書データを付属のＩＣカード記憶装置１５へ保存す
る。

【００２９】ビデオプリンタ１４において宝石鑑定書デ
ータが鑑定書用紙上に印字及び印画出力されて図４に示
す鑑定書の形でプリントアウトされる。このとき、その
鑑定書の所定位置に照合符号データを変換したバーコー
ド２０−３が同時に描画される。一方、バーコードプリ
ンタ１６においては照合符号データをバーコードに変換
してラミネート用フィルム２１に印字する。照合符号の
バーコード２２が印字されたラミネート用フィルム２１
がバーコードプリンタ１６から密封装置１７へ渡され
る。密封装置１７は、ラミネート用フィルム２１上に載
せられた鑑定を終えた宝石１０を包むようにしてラミネ
ート用フィルム２１の周囲を密封する。この結果、鑑定
を終了した宝石１０が当該宝石の鑑定に対して付与した
照合符号をのバーコード２２を表示した密封包袋２３の
中に入れられると共に、当該宝石の鑑定書１０に同じ照
合符号を示すバーコード２０−３が表示されたことな
る。

【００３０】密封包袋２３の中に入れられた宝石１０を
指輪等の宝飾品へ加工するために該密封包袋２３を開封
するまでの間は、流通の過程においてバーコード２０−
３，２２とを照合することにより常に密封包袋２３に入
れられた現品と鑑定書との一致を確認することができ
る。

【００３１】また、鑑定書を紛失した場合は、宝石１０
が密封されている密封包袋２３に表示されているバーコ
ード２２を利用してＩＣカード記憶装置１５から該当す
る鑑定書データを読出してビデオプリンター２０に与え
て同一の鑑定書を再生する。

【００３２】このように本実施例によれば、宝石鑑定装
置１２にて実施した宝石鑑定毎に宝石鑑定書データを作
成すると共に照合符号を付与し、宝石鑑定書に照合符号
を表示すると共に、鑑定した宝石を密封する密封包袋２
３に同じ照合符号を表示するようにしたので、密封包袋
２３を開封するまでの間、即ち、鑑定作業終了から指輪
などの宝飾品へ加工されるまでの間は、鑑定書と密封包
袋２３内の現品との一致を保証することができ、宝石現
品のすり替えや偽造を防止することができる。

【００３３】本実施例によれば、宝石の表面に直接品質
情報などの加工を施さないので、宝石の商品価値を損な
うことがない利点がある。本実施例によれば、鑑定書デ
ータを照合符号データを付加して記憶装置に記憶してお
くので、鑑定書を紛失した場合でも密封包袋に表示した
照合符号を基にして記憶装置から該当する鑑定書データ
を読み出すことにより簡単に鑑定書を再生することがで
きる。従って、鑑定書を紛失しても再鑑定の必要がな
く、時間、費用の節約が可能である。

【００３４】なお、上記した実施例では鑑定の終了した
宝石をラミネートシートに包んで密封したが、透明のビ
ニール袋を使用して開口部を加熱密封しても良い。ま
た、密封包袋に表示する照合符号を、紙片又は粘着テー
プ上に印字して宝石と共に密封包袋の中に入れても良
い。本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本
発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変形実施可能であ
る。

【００３５】

【発明の効果】以上詳記したように本発明によれば、宝
石の研磨後の鑑定から指輪等の宝飾品への加工までの過
程において宝石とその鑑定書との一致を確実に保証でき
る宝石類の品質情報添付方法及び鑑定書発行装置を提供
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の機能ブロック図である。

【図２】図１に示す実施例の概念図である。

【図３】図１の実施例に備えた宝石鑑定装置の動作内容
を示すフローチャートである。

【図４】鑑定書の平面図である。

【図５】品質情報を直接表示したダイヤモンドを示す図
である。

【図６】ダイヤモンドに品質情報を直接表示するための
処理を表す工程図である。

【図７】従来の同定装置の概念図である。

【図８】ガードル部に情報を表示したダイヤモンドの側
面図である。

【符号の説明】 １０…宝石、１１…画像入力装置、１２…宝石鑑定装
置、１３…モニタ、１４…ビデオプリンター、１５…記
憶装置、１６…バーコードプリンタ、１７…密封装置、
２０…鑑定書、２０−３，２２…バーコード、２１…ラ
ミネート用フィルム、２３…密封包袋。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 林 信太郎 東京都杉並区浜田山１丁目24番３号 (72)発明者 日吉 奈美 静岡県富士宮市青木1897−459

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 鑑定により得た宝石の品質に関する情報
   を宝石側に添付するための宝石類の品質情報添付方法に
   おいて、 鑑定の終了した宝石の鑑定書作成時に鑑定書の一部に照
   合符号を標記し、前記鑑定の終了した宝石を袋体の中に
   密封すると共に前記鑑定書と符合する照合符号を前記袋
   体に付け、前記袋体に付けた照合符号と前記鑑定書に表
   記した照合符号とから宝石と鑑定書との一致をとる宝石
   類の品質情報添付方法。
2. 【請求項２】 鑑定により得た宝石の品質情報に基づい
   て鑑定書を発行する鑑定書発行装置において、 鑑定の終了した宝石毎に照合符号を付与する照合符号発
   生手段と、 鑑定の終了した宝石の品質情報と当該宝石に対して前記
   照合符号発生手段から付与された照合符号とから当該品
   質情報及び照合符号が標記された鑑定書を出力する鑑定
   書出力手段と、 前記照合符号発生手段から与えられる照合符号を符号部
   材に標記する標記手段と、 前記標記手段から照合符号が標記された符号部材を受取
   り、当該符号部材を袋材として使用して宝石を袋体に密
   封し、又は当該符号部材を宝石と共に袋体に入れて密封
   する密封手段とを具備したことを特徴とする鑑定書発行
   装置。
3. 【請求項３】 宝石の品質情報及び照合符号を含んだ鑑
   定書データを保存する記憶装置を備え、照合符号に基づ
   いて鑑定書データを再生可能にしたことを特徴とする請
   求項２記載の鑑定書発行装置。