JPH09157784A - 黒鉛鋳鋼の製造方法 - Google Patents
黒鉛鋳鋼の製造方法Info
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- JPH09157784A JPH09157784A JP31557795A JP31557795A JPH09157784A JP H09157784 A JPH09157784 A JP H09157784A JP 31557795 A JP31557795 A JP 31557795A JP 31557795 A JP31557795 A JP 31557795A JP H09157784 A JPH09157784 A JP H09157784A
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- graphite cast
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 黒鉛鋳鋼の切削性と延性を高める。
【構成】 C:0.45〜1.5%と、Si:1.0〜
5.5%と、Mg:0.01〜0.10%、Ca:0.
002〜0.02%及びREM:0.008〜0.25
%の1種又は2種以上とを含有し、残部Fe及び不可避
的不純物からなる黒鉛鋳鋼を、鋳造時に共析変態温度±
30℃の温度領域を平均冷却速度0.15℃/S以下で
制御冷却する。
5.5%と、Mg:0.01〜0.10%、Ca:0.
002〜0.02%及びREM:0.008〜0.25
%の1種又は2種以上とを含有し、残部Fe及び不可避
的不純物からなる黒鉛鋳鋼を、鋳造時に共析変態温度±
30℃の温度領域を平均冷却速度0.15℃/S以下で
制御冷却する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、被削性好ましくは被削
性と延性の両方に優れた黒鉛鋳鋼の製造方法に関し、詳
しくは、鋳造時の冷却過程における共析変態温度±30
℃の温度領域を平均冷却速度0.15℃/S以下にて冷
却されるように制御して、鋳造時の基地組織を体積割合
で80%以上のフェライトとすることによって、黒鉛鋳
鋼の被削性と延性を向上させたものである。
性と延性の両方に優れた黒鉛鋳鋼の製造方法に関し、詳
しくは、鋳造時の冷却過程における共析変態温度±30
℃の温度領域を平均冷却速度0.15℃/S以下にて冷
却されるように制御して、鋳造時の基地組織を体積割合
で80%以上のフェライトとすることによって、黒鉛鋳
鋼の被削性と延性を向上させたものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、C:0.45〜1.5%、S
i:1.0〜5.5%と残部Feからなる過共析綱にお
いて、切削加工を容易とするために内部に球状黒鉛を析
出させた黒鉛鋳鋼が知られている。内部に黒鉛を析出さ
せるには、黒鉛化熱処理もしくは溶製時にCa、Mg等
の接種処理を行うことにより可能である。
i:1.0〜5.5%と残部Feからなる過共析綱にお
いて、切削加工を容易とするために内部に球状黒鉛を析
出させた黒鉛鋳鋼が知られている。内部に黒鉛を析出さ
せるには、黒鉛化熱処理もしくは溶製時にCa、Mg等
の接種処理を行うことにより可能である。
【0003】切削性を向上するには、切削時の潤滑性を
向上すると共に切り粉の長さを短くする必要があり、短
い間隔で多数の微細な球状黒鉛が均一に分布しているこ
とが望ましいが、上記の黒鉛化熱処理を行った場合は、
析出した黒鉛が粗大化し形状が球状とならないため、ま
た、一方、溶製時にCa、Mg等の接種処理を行った場
合は、球状黒鉛の分布が均一でなく、しかも析出した黒
鉛の粒径が大きいことから、充分に満足のいく被削性が
得られていない。
向上すると共に切り粉の長さを短くする必要があり、短
い間隔で多数の微細な球状黒鉛が均一に分布しているこ
とが望ましいが、上記の黒鉛化熱処理を行った場合は、
析出した黒鉛が粗大化し形状が球状とならないため、ま
た、一方、溶製時にCa、Mg等の接種処理を行った場
合は、球状黒鉛の分布が均一でなく、しかも析出した黒
鉛の粒径が大きいことから、充分に満足のいく被削性が
得られていない。
【0004】上述の問題を解決すべく、特開昭63−1
03049号には、溶製時に原子番号57のLaから原
子番号71のLuまでの希土類元素(REM)を添加す
ることにより鋳造のままで微細な球状黒鉛を高密度且つ
均一に分布させ、さらに被削性を向上させようとするこ
とが開示されている。また、特開昭63−179049
号には、この黒鉛鋳鋼の製品を数多く製造してきた過程
で、しばしば製品毎に、あるいは製品の部位ごとに特性
がばらつくことから、REMの効果を安定化するため
に、REMの添加に先立ってAl及び(または)Tiを
添加することにより、REM量が変化しても諸特性のば
らつきの小さい鋳鋼品が得られることが開示されてい
る。
03049号には、溶製時に原子番号57のLaから原
子番号71のLuまでの希土類元素(REM)を添加す
ることにより鋳造のままで微細な球状黒鉛を高密度且つ
均一に分布させ、さらに被削性を向上させようとするこ
とが開示されている。また、特開昭63−179049
号には、この黒鉛鋳鋼の製品を数多く製造してきた過程
で、しばしば製品毎に、あるいは製品の部位ごとに特性
がばらつくことから、REMの効果を安定化するため
に、REMの添加に先立ってAl及び(または)Tiを
添加することにより、REM量が変化しても諸特性のば
らつきの小さい鋳鋼品が得られることが開示されてい
る。
【0005】しかしながら、本発明者らは上記技術にお
ける黒鉛鋳鋼においても、鋳造時の冷却速度の大きい薄
肉部分では、硬いパーライトの基地組織の体積割合が大
きいために、いまだ満足できる被削性が得られず、ま
た、特に伸びが要求される、例えば、自動車の足廻り部
品(ナックル、ブレーキ等)を製造した場合も所望の性
能が得られないことがわかった。その後鋭意研究を行
い、黒鉛鋳鋼を被削性及び伸びの要求される製品へ適用
するためには、基地組織中のフェライトの体積割合を8
0%以上にする必要があることを発見した。
ける黒鉛鋳鋼においても、鋳造時の冷却速度の大きい薄
肉部分では、硬いパーライトの基地組織の体積割合が大
きいために、いまだ満足できる被削性が得られず、ま
た、特に伸びが要求される、例えば、自動車の足廻り部
品(ナックル、ブレーキ等)を製造した場合も所望の性
能が得られないことがわかった。その後鋭意研究を行
い、黒鉛鋳鋼を被削性及び伸びの要求される製品へ適用
するためには、基地組織中のフェライトの体積割合を8
0%以上にする必要があることを発見した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述のような従来の技
術を鑑み、本発明が解決しようとする課題は、従来の黒
鉛鋳鋼では達成できないような被削性、特に被削性及び
伸びの両方が要求される製品への適用を、基地組織中の
フェライトの体積割合を80%以上とすることにより被
削性、好ましくは被削性及び延性の両方をより一層の向
上を図り可能とするものである。
術を鑑み、本発明が解決しようとする課題は、従来の黒
鉛鋳鋼では達成できないような被削性、特に被削性及び
伸びの両方が要求される製品への適用を、基地組織中の
フェライトの体積割合を80%以上とすることにより被
削性、好ましくは被削性及び延性の両方をより一層の向
上を図り可能とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述の課題は、重量比率
で、C:0.45〜1.5%と、Si:1.0〜5.5
%と、Mg:0.01〜0.10%、Ca:0.002
〜0.02%、REM:(希土類元素):0.008〜
0.25%の1種又は2種以上とを含有し、残部Fe及
び不可避的不純物からなる黒鉛鋳鋼の切削部における組
織を基地に対する体積比率で80%以上のフェライトと
して、被削性をより一層向上するべく、前記切削部とな
る部分の黒鉛鋳鋼を共析変態温度±30℃の温度領域を
平均冷却速度0.15℃/S以下で制御冷却することを
特徴とする黒鉛鋳鋼の製造方法を提供することにより解
決される。さらに、被削性及び延性をより一層改良する
ためには、重量比率で、C:0.45〜1.5%と、S
i:1.0〜5.5%と、Mg:0.01〜0.10
%、Ca:0.002〜0.02%、REM:0.00
8〜0.25%の1種又は2種以上とを含有し、残部F
e及び不可避的不純物からなる黒鉛鋳鋼の実質的全体に
対する組織を基地に対する体積比率で80%以上のフェ
ライトとするべく、黒鉛鋳鋼の実質的に全体を共析変態
温度±30℃の温度領域を平均冷却速度0.15℃/S
以下で制御冷却する方法が提供される。
で、C:0.45〜1.5%と、Si:1.0〜5.5
%と、Mg:0.01〜0.10%、Ca:0.002
〜0.02%、REM:(希土類元素):0.008〜
0.25%の1種又は2種以上とを含有し、残部Fe及
び不可避的不純物からなる黒鉛鋳鋼の切削部における組
織を基地に対する体積比率で80%以上のフェライトと
して、被削性をより一層向上するべく、前記切削部とな
る部分の黒鉛鋳鋼を共析変態温度±30℃の温度領域を
平均冷却速度0.15℃/S以下で制御冷却することを
特徴とする黒鉛鋳鋼の製造方法を提供することにより解
決される。さらに、被削性及び延性をより一層改良する
ためには、重量比率で、C:0.45〜1.5%と、S
i:1.0〜5.5%と、Mg:0.01〜0.10
%、Ca:0.002〜0.02%、REM:0.00
8〜0.25%の1種又は2種以上とを含有し、残部F
e及び不可避的不純物からなる黒鉛鋳鋼の実質的全体に
対する組織を基地に対する体積比率で80%以上のフェ
ライトとするべく、黒鉛鋳鋼の実質的に全体を共析変態
温度±30℃の温度領域を平均冷却速度0.15℃/S
以下で制御冷却する方法が提供される。
【0008】
【作用】以下に本発明の作用について説明する。本発明
は、黒鉛鋳鋼の鋳造時の冷却過程における冷却速度を制
御することにより、基地組織を体積比率で80%以上の
フェライトとして黒鉛化によるよりも被削性及び延性の
より一層の向上を図るものである。
は、黒鉛鋳鋼の鋳造時の冷却過程における冷却速度を制
御することにより、基地組織を体積比率で80%以上の
フェライトとして黒鉛化によるよりも被削性及び延性の
より一層の向上を図るものである。
【0009】C:0.45%〜1.5%:Cは黒鉛生成
に不可欠な元素であり、0.45%未満では、後に述べ
るSi量との関係から黒鉛の析出が得られず、被削性向
上の効果が得られない。また、1.5%を越えると、黒
鉛の体積割合が多くなり、また粗大となるために強度が
低下する。
に不可欠な元素であり、0.45%未満では、後に述べ
るSi量との関係から黒鉛の析出が得られず、被削性向
上の効果が得られない。また、1.5%を越えると、黒
鉛の体積割合が多くなり、また粗大となるために強度が
低下する。
【0010】Si:1.0%〜5.5%:Siは、黒鉛
の生成の促進、溶湯の流動性の向上のために添加される
が、1.0%未満ではこれらの効果が極めて小さく、黒
鉛の生成が困難でありまた溶湯の流動性が著しく劣る。
また、5.5%を越えると、鋳物の硬度が増大して著し
く脆化させることから被削性及び延性が劣る。
の生成の促進、溶湯の流動性の向上のために添加される
が、1.0%未満ではこれらの効果が極めて小さく、黒
鉛の生成が困難でありまた溶湯の流動性が著しく劣る。
また、5.5%を越えると、鋳物の硬度が増大して著し
く脆化させることから被削性及び延性が劣る。
【0011】Mgは黒鉛生成を促進させるために溶解終
了後、取り鍋にて添加されるが、0.01%未満では黒
鉛の生成がほとんど無く、また0.1%を超えると黒鉛
の形状が粗大となり、その分散形態も不均一となり、切
削性、強度、のびが著しく劣る。CaはMg及びREM
の黒鉛の生成促進の効果を助けるが、0.002%未満
ではその効果が見られず、また0.02%を超えて添加
しても効果が飽和して黒鉛の生成量に影響を与えない。
REMは黒鉛の生成を促進させるために溶解終了後、取
り鍋にて添加されるが、0.008%未満では黒鉛の生
成はほとんどなく、また0.25%を超えると黒鉛の分
散形態が不均一となり、また鎖状黒鉛を生成し、切削
性、強度、伸びが著しく劣る。
了後、取り鍋にて添加されるが、0.01%未満では黒
鉛の生成がほとんど無く、また0.1%を超えると黒鉛
の形状が粗大となり、その分散形態も不均一となり、切
削性、強度、のびが著しく劣る。CaはMg及びREM
の黒鉛の生成促進の効果を助けるが、0.002%未満
ではその効果が見られず、また0.02%を超えて添加
しても効果が飽和して黒鉛の生成量に影響を与えない。
REMは黒鉛の生成を促進させるために溶解終了後、取
り鍋にて添加されるが、0.008%未満では黒鉛の生
成はほとんどなく、また0.25%を超えると黒鉛の分
散形態が不均一となり、また鎖状黒鉛を生成し、切削
性、強度、伸びが著しく劣る。
【0012】次に、冷却過程における共析変態温度±3
0℃の温度領域の平均冷却速度は、0.15℃/S
(秒)より大きいと、黒鉛の生成量が少なくなると共に
パーライトの生成が促進されフェライトの基地(すなわ
ち黒鉛を除いた組織)組織中の体積割合が80%未満と
なるために0.15℃/S以下とした。なお、共析変態
温度とは、オーステナイトが黒鉛とフェライト及び(ま
たは)パーライトに変態する温度であり、合金成分及び
冷却速度によって異なるが780℃〜720℃の範囲に
ある。
0℃の温度領域の平均冷却速度は、0.15℃/S
(秒)より大きいと、黒鉛の生成量が少なくなると共に
パーライトの生成が促進されフェライトの基地(すなわ
ち黒鉛を除いた組織)組織中の体積割合が80%未満と
なるために0.15℃/S以下とした。なお、共析変態
温度とは、オーステナイトが黒鉛とフェライト及び(ま
たは)パーライトに変態する温度であり、合金成分及び
冷却速度によって異なるが780℃〜720℃の範囲に
ある。
【0013】鋳造時の冷却過程における共析変態温度±
30℃の温度領域の平均冷却速度を0.15℃/S以下
に制御する目的は鋳鋼の基地組織におけるフェライト量
を多くして切削性を向上することにあるので、切削予定
面を製品毎に確定しそしてその部位における鋳型の厚み
を調節する。厚みの大小がある鋳鋼製品については冷却
速度が早い薄肉部について鋳型の厚みが0.15℃/S
以下になるように設定し、厚肉部についてはこの厚み又
はそれ以上の鋳型厚とする。次にドリル孔を開けその他
の部位では鋳肌のまま使用する鋳鋼製品については、ド
リルが当る表面の冷却速度が0.15℃/S以下になる
ように鋳型厚みを設定すると、ドリル先端では当然に
0.15℃/S以下の冷却速度となる。さらに鋳鋼の実
質的全体の冷却速度を0.15℃/S以下とすると伸び
が高くなることは以上の説明から明らかであろう。
30℃の温度領域の平均冷却速度を0.15℃/S以下
に制御する目的は鋳鋼の基地組織におけるフェライト量
を多くして切削性を向上することにあるので、切削予定
面を製品毎に確定しそしてその部位における鋳型の厚み
を調節する。厚みの大小がある鋳鋼製品については冷却
速度が早い薄肉部について鋳型の厚みが0.15℃/S
以下になるように設定し、厚肉部についてはこの厚み又
はそれ以上の鋳型厚とする。次にドリル孔を開けその他
の部位では鋳肌のまま使用する鋳鋼製品については、ド
リルが当る表面の冷却速度が0.15℃/S以下になる
ように鋳型厚みを設定すると、ドリル先端では当然に
0.15℃/S以下の冷却速度となる。さらに鋳鋼の実
質的全体の冷却速度を0.15℃/S以下とすると伸び
が高くなることは以上の説明から明らかであろう。
【0014】
【実施例】以下に、添付図面に基づいて、本発明の実施
例について説明する。まず、図1(表1)に示されるよ
うに、それぞれ異なる合金成分からなる組成の鋳鋼を5
0kg高周波溶解炉にて溶製し、ついで、所定の温度に
加熱したベータセット鋳型に鋳込んだ。このうち、N
o.1〜12が本発明に対する比較鋼であり、A〜Dが
本発明鋼である。なお、REMとしてはミッシュメタル
を使用した。
例について説明する。まず、図1(表1)に示されるよ
うに、それぞれ異なる合金成分からなる組成の鋳鋼を5
0kg高周波溶解炉にて溶製し、ついで、所定の温度に
加熱したベータセット鋳型に鋳込んだ。このうち、N
o.1〜12が本発明に対する比較鋼であり、A〜Dが
本発明鋼である。なお、REMとしてはミッシュメタル
を使用した。
【0015】鋳型は、図2に模式的に示すように5、1
0、20、30、40mmの肉厚の異なる部位を有する
階段状試験片が得られるもので、それぞれの部位にて鋳
造時の冷却曲線が測定できるように、中央部分に熱電対
を挿入してあるものと、JIS4号引張試験片及び切削
試験片(幅50mm、長200mm、高12mm)を直
接に採取できるものであり、これらに連続して鋳込ん
だ。
0、20、30、40mmの肉厚の異なる部位を有する
階段状試験片が得られるもので、それぞれの部位にて鋳
造時の冷却曲線が測定できるように、中央部分に熱電対
を挿入してあるものと、JIS4号引張試験片及び切削
試験片(幅50mm、長200mm、高12mm)を直
接に採取できるものであり、これらに連続して鋳込ん
だ。
【0016】そして、得られた階段状試験片について、
それぞれの肉厚において冷却曲線からえられた共析変態
温度±30℃の温度領域の平均冷却速度(℃/S)と画
像解析装置により測定した基地組織中のフェライトの体
積割合を図3(表2)に示す。表2からは、階段状試験
片の肉厚の減少にともなって共析変態領域の平均冷却速
度が大きくなる一方、基地組織中のフェライトの体積割
合が小さくなっていることが、表1との対比から明らか
になる。このように、本発明鋼A〜Dにおいては230
℃以上に加熱した鋳型を用いることにより薄肉部分の肉
厚5mmの部分でも共析変態温度±30℃の温度領域の
平均冷却速度が0.15℃/S以下に制御されており基
地組織中のフェライトの体積割合が80%以上となって
いる。
それぞれの肉厚において冷却曲線からえられた共析変態
温度±30℃の温度領域の平均冷却速度(℃/S)と画
像解析装置により測定した基地組織中のフェライトの体
積割合を図3(表2)に示す。表2からは、階段状試験
片の肉厚の減少にともなって共析変態領域の平均冷却速
度が大きくなる一方、基地組織中のフェライトの体積割
合が小さくなっていることが、表1との対比から明らか
になる。このように、本発明鋼A〜Dにおいては230
℃以上に加熱した鋳型を用いることにより薄肉部分の肉
厚5mmの部分でも共析変態温度±30℃の温度領域の
平均冷却速度が0.15℃/S以下に制御されており基
地組織中のフェライトの体積割合が80%以上となって
いる。
【0017】また、図4(表3)に引張り試験及び切削
性評価試験を行った結果について示す。フェライトの体
積割合は、引張試験片の中央部にて測定したものであ
る。また、切削性評価試験は、切削試験片の健全部にお
いて、ドリル寿命試験(深さ10mm、送り;75mm
/min)にて、ドリル寿命と切削速度との関係を求め
て、比較鋼No.1のドリル寿命が1000mmとなる
切削速度を基準(100)として、それに対する他のN
o.2〜12及びNo.A〜Dのドリル寿命が1000
mmとなる切削速度の比を、切削能率とした。
性評価試験を行った結果について示す。フェライトの体
積割合は、引張試験片の中央部にて測定したものであ
る。また、切削性評価試験は、切削試験片の健全部にお
いて、ドリル寿命試験(深さ10mm、送り;75mm
/min)にて、ドリル寿命と切削速度との関係を求め
て、比較鋼No.1のドリル寿命が1000mmとなる
切削速度を基準(100)として、それに対する他のN
o.2〜12及びNo.A〜Dのドリル寿命が1000
mmとなる切削速度の比を、切削能率とした。
【0018】表3からは、比較鋼No.1〜12に比べ
て、本発明鋼A〜Dにあっては、基地組織中のフェライ
トの体積割合が80%以上となっているとともに、伸び
と切削能率が著しく向上されていることがわかる。
て、本発明鋼A〜Dにあっては、基地組織中のフェライ
トの体積割合が80%以上となっているとともに、伸び
と切削能率が著しく向上されていることがわかる。
【0019】また、上述の表3に示した基地組織中のフ
ェライトの体積割合と伸び及び切削能率の関係を図5に
示す。基地組織中のフェライトの体積割合の増加にとも
なって伸び及び切削能率が高くなっているが80%を越
えると、双方ともにほぼ一定となり、基地組織中のフェ
ライトの体積割合が80%以上で十分に延性及び被削性
が向上できることがわかる。フェライトの体積割合が1
00%の鋳鋼では組織全体が黒鉛とフェライトのみから
構成された。
ェライトの体積割合と伸び及び切削能率の関係を図5に
示す。基地組織中のフェライトの体積割合の増加にとも
なって伸び及び切削能率が高くなっているが80%を越
えると、双方ともにほぼ一定となり、基地組織中のフェ
ライトの体積割合が80%以上で十分に延性及び被削性
が向上できることがわかる。フェライトの体積割合が1
00%の鋳鋼では組織全体が黒鉛とフェライトのみから
構成された。
【0020】以上の実施例ではベータセット鋳型を用い
て具体的に記述したが、本発明は、鋳型の種類に何等の
制約を受けるものではなく、例えば、CO2 鋳型では、
400℃以上の加熱により階段状試験片の肉厚5mmの
部位にて共析変態領域の平均冷却速度が0.15℃/S
以下となり基地組織中のフェライトの体積割合80%以
上を得ることが可能となる。
て具体的に記述したが、本発明は、鋳型の種類に何等の
制約を受けるものではなく、例えば、CO2 鋳型では、
400℃以上の加熱により階段状試験片の肉厚5mmの
部位にて共析変態領域の平均冷却速度が0.15℃/S
以下となり基地組織中のフェライトの体積割合80%以
上を得ることが可能となる。
【0021】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明に係る黒鉛
鋳鋼の製造方法は、黒鉛鋳鋼を鋳造時の冷却過程におけ
る共析変態領域の平均冷却速度を0.15℃/S以下に
制御して、基地組織を80%以上のフェライトとするこ
とにより鋳造のままで被削性及び延性のより一層の向上
を図ることが達成でき、換言すれば、従来の黒鉛鋳鋼で
は困難であった被削性及び伸びの要求される製品への適
用を可能にするものである。
鋳鋼の製造方法は、黒鉛鋳鋼を鋳造時の冷却過程におけ
る共析変態領域の平均冷却速度を0.15℃/S以下に
制御して、基地組織を80%以上のフェライトとするこ
とにより鋳造のままで被削性及び延性のより一層の向上
を図ることが達成でき、換言すれば、従来の黒鉛鋳鋼で
は困難であった被削性及び伸びの要求される製品への適
用を可能にするものである。
【図1】 実施例及び比較例の合金成分、共析温度及び
ベータセット鋳型温度を示す図表(表1)である。な
お、表中共析温度は階段状試験片肉厚20mm部位のも
のである。
ベータセット鋳型温度を示す図表(表1)である。な
お、表中共析温度は階段状試験片肉厚20mm部位のも
のである。
【図2】 階段状試験片を得る鋳型の模式図である。
【図3】 実施例及び比較例の肉厚ごとの冷却速度を示
す図表(表2)である。
す図表(表2)である。
【図4】 実施例及び比較例の引張試験及び切削性評価
試験結果を示す図表(表3)である。
試験結果を示す図表(表3)である。
【図5】 表3に基づき基地組織中のフェライトの体積
割合と伸び及び切削能率の関係を示したグラフである。
割合と伸び及び切削能率の関係を示したグラフである。
Claims (2)
- 【請求項1】 重量比率で、C:0.45〜1.5%
と、Si:1.0〜5.5%と、Mg:0.01〜0.
10%、Ca:0.002〜0.02%、及びREM:
0.008〜0.25%の1種又は2種以上とを含有
し、残部Fe及び不可避的不純物からなる黒鉛鋳鋼の切
削予定部位を、鋳造時に共析変態温度±30℃の温度領
域を平均冷却速度0.15℃/S以下で制御冷却して、
鋳鋼製品の切削部における組織を基地に対する体積割合
で80%以上のフェライトとしたことを特徴とする黒鉛
鋳鋼の製造方法。 - 【請求項2】 重量比率で、C:0.45〜1.5%
と、Si:1.0〜5.5%と、Mg:0.01〜0.
10%、Ca:0.002〜0.02%、及びREM:
0.008〜0.25%の1種又は2種以上とを含有
し、残部Fe及び不可避的不純物からなる黒鉛鋳鋼の実
質的に全体を、鋳造時に共析変態温度±30℃の温度領
域を平均冷却速度0.15℃/S以下で制御冷却して、
鋳鋼製品の実質的全体の組織を基地に対する体積割合で
80%以上のフェライトとしたことを特徴とする黒鉛鋳
鋼の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31557795A JPH09157784A (ja) | 1995-12-04 | 1995-12-04 | 黒鉛鋳鋼の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31557795A JPH09157784A (ja) | 1995-12-04 | 1995-12-04 | 黒鉛鋳鋼の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09157784A true JPH09157784A (ja) | 1997-06-17 |
Family
ID=18067029
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP31557795A Pending JPH09157784A (ja) | 1995-12-04 | 1995-12-04 | 黒鉛鋳鋼の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JPH09157784A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2017017989A1 (ja) * | 2015-07-30 | 2017-02-02 | 株式会社リケン | 鋳鋼部材 |
-
1995
- 1995-12-04 JP JP31557795A patent/JPH09157784A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2017017989A1 (ja) * | 2015-07-30 | 2017-02-02 | 株式会社リケン | 鋳鋼部材 |
JP2017031451A (ja) * | 2015-07-30 | 2017-02-09 | 株式会社リケン | 鋳鋼部材 |
EP3330397A4 (en) * | 2015-07-30 | 2019-04-17 | Kabushiki Kaisha Riken | CAST IRON STEEL MATERIAL |
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