JPH09154583A - 抗グルタチオン抗体及びその製造方法 - Google Patents

抗グルタチオン抗体及びその製造方法

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JPH09154583A
JPH09154583A JP7316872A JP31687295A JPH09154583A JP H09154583 A JPH09154583 A JP H09154583A JP 7316872 A JP7316872 A JP 7316872A JP 31687295 A JP31687295 A JP 31687295A JP H09154583 A JPH09154583 A JP H09154583A
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antibody
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phage
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未果 ▲廣▼瀬
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 抗グルタチオン抗体を提供する。 【解決手段】 グルタチオン及びグルタチオンで修飾さ
れた蛋白質と結合することを特徴とする抗体蛋白質。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、抗グルタチオン抗
体及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、グルタチ
オンと特異的に結合することができ、抗グルタチオン抗
体活性を有する抗体蛋白質又はその活性なフラグメン
ト、それをコードするDNA、該DNAを含有する発現
ベクター、該発現ベクターで形質転換された宿主細胞、
並びにこれらを利用して抗グルタチオン抗体を製造する
方法、及びこのようにして製造された、抗グルタチオン
抗体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】生体は外界からの異物に対して自己を守
る防御機構をそなえている。その代表的なものが自己と
異物とを厳密に識別する免疫である。この異物を認識す
るのは免疫グロブリンあるいは抗体と呼ばれる蛋白質で
あり、異物を抗原(非自己抗原)という。利根川らによ
って免疫グロブリンの遺伝子が解明された[(Maki, R. e
t al., Proc. Natl. Acad. Sci, USA, 77, 2138 - 2142
(1980)]ことによって、その構造遺伝子や抗原に対する
多様性獲得の機構が遺伝子レベルで明らかにされた。図
1に示すように、抗体蛋白質は2本の重鎖(H鎖)と2
本の軽鎖(L鎖)からなる4量体によって形成されてい
る。L鎖の約半分とH鎖の約3/4は、抗原の種類が変
わってもそのアミノ酸配列はほとんど変わらないために
定常(C)領域と呼ばれ、L鎖、H鎖をそれぞれCL, CH
と呼ぶ。また残りの部分は抗原の種類によってアミノ酸
配列が変わるために可変(V)領域と呼ばれ、L鎖、H
鎖をそれぞれVL, VHと呼ぶ。さらにV領域の中には、抗
原によってアミノ酸配列が極めて変わり易い超可変領域
(CDR, complementarity determining region)が3箇
所あり、それぞれCDR1, CDR2, CDR3と呼ばれている。抗
体の遺伝子はDNAの再配列によって抗体の多様性、すな
わちそれぞれの異物を特異的に認識して結合する活性を
産み出している。再配列後のB細胞から得られた抗体遺
伝子では、L鎖遺伝子はV、J、Cの三つの遺伝子断片が、
またH鎖遺伝子は、V、D、J、Cの四つの別々の遺伝子断
片が寄せ集まって形成されている。すなわち、これらの
遺伝子断片の連結のされ方が変化することによって、遺
伝子がコードするアミノ酸配列に多様性が生じる。な
お、Jは接合(joining)を、Dは多様性(diversity)を意味
する。例えば、マウスのH鎖の遺伝子は約100個のV断
片、約20個のD断片、及び4個のJ断片と1個のC断片
の組み合わせから形成されているが、その再配列、すな
わち各断片からの遺伝子の選択とそれらの結合とによっ
て多くの多様性を生じる。またCDR1とCDR2はV断片によ
ってコードされ、CDR3はV断片の3’末端領域、D断片及
びJ断片の5’末端領域によってコードされている。従
って、CDRの中にあってCDR3のアミノ酸配列が一番変化
に富んでいる。
【0003】通常、1種類の抗原によって複数のリンパ
球クローンが刺激されるので、ほとんどの抗原に対する
応答はポリクローナルである。その結果得られる免疫血
清(ポリクローナル抗体という)は、抗原分子の詳細な
機能解析や抗原分子の抗原決定基地図の作成などには利
用できない。ところが、細胞融合技術が確立された[Koh
ler, G. & Milstein, C., Nature,256, 495 - 497 (197
5)]ことによって、抗原に対して特異性を持った単一の
抗体(モノクローナル抗体という)を作出するハイブリ
ドーマ技術が確立された。この技術はモノクローナル抗
体を基礎研究や診断剤として使用する多くの実際面での
応用例を生みだしてきた。その反面、抗原でマウスを免
疫するという繁雑な操作が必要であると同時に、自己の
持つ成分や低分子量の化合物に対しては、通常免疫応答
が引き起こされないために、それらに対する抗体を得る
ことができないという問題点を有している。
【0004】
【発明が解決すべき課題】最近、自己成分の認識の機構
に破綻をきたした自己免疫疾患の存在が数多く明らかに
されてきた。このような自己成分の1つにグルタチオン
がある。グルタチオンは低分子量であって、その血中や
尿中の濃度が上昇するとグルタチオン血症(glutathion
emia)などの疾患を引き起こす。また、癌細胞の耐性獲
得にも関与していることが示唆されている。グルタチオ
ンは主として小胞体に存在して小胞体の酸化還元状態を
コントロールしており、蛋白質が正しい構造を形成する
上で必須の成分である。さらには蛋白質のジスルフィド
と反応して、そのジスルフィド基を維持する機能や過酸
化水素遊離反応基と反応して解毒する機能をも有する。
従って、このようなグルタチオンあるいはグルタチオン
で修飾された蛋白質を迅速に検出しかつ定量する手法が
望まれている。そのためには抗体の利用が望ましいが、
グルタチオンは自己成分であると同時に分子量が小さい
ため、これまでの技術では抗体を取得することは不可能
であった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、グルタチ
オンに対して特異的な結合活性を有する抗体を提供する
ことを目的として鋭意、研究を重ね、ある種のファージ
ディスプレイライブラリー(phage display library)か
ら、グルタチオンと特異的に結合し得るポリペプチドを
コードするDNAを得、該DNAを用いて目的の抗グル
タチオン抗体活性を有するポリペプチドを製造すること
に成功した。即ち、本発明は、グルタチオン及びグルタ
チオンで修飾された蛋白質と結合することを特徴とする
抗体蛋白質を提供するものである。本発明の抗体蛋白質
は、グルタチオンに特異的に結合するものであればいか
なるものであってもよいが、好ましくは、CDR3領域
に、少なくとも配列番号1、2、3又は4に記載のアミ
ノ酸配列を含有する、免疫学的に活性なポリペプチド又
は1個以上のアミノ酸の欠失、挿入又は置換によるその
誘導体又はその活性フラグメントであり、さらに好まし
くは配列番号5、6、7又は8に記載のアミノ酸配列を
含む免疫学的に活性なポリペプチド又は1個以上のアミ
ノ酸の欠失、挿入又は置換によるその誘導体又はその活
性フラグメントである。本発明はまた、抗グルタチオン
抗体をコードするDNAを提供するものである。本発明
のDNAは、少なくとも、配列番号1、2、3又は4に
記載のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含有するこ
とが好ましい。本発明はまた、該DNAを含有する発現
ベクターを提供するものである。さらに、本発明は該発
現ベクターで形質転換された宿主細胞を提供するもので
ある。本発明はまた、該宿主細胞を培養し、培養物から
免疫学的に活性な生成物を分離することを含む、抗グル
タチオン抗体の製造方法を提供するものである。
【0006】本明細書中、「免疫学的に活性なポリペプ
チド」及び「免疫学的に活性な生成物」なる語句は、それ
らがin vivoで惹起される抗グルタチオン抗体と同様に
グルタチオンを認識し、特異的に結合する活性を有する
物質であることを意味する。また、本明細書では、本発
明の抗グルタチオン抗体を表すために、「蛋白質」及び
「ポリペプチド」を相互変換可能に用いている。このよ
うに、本発明の抗体蛋白質若しくはポリペプチド、又は
そのフラグメントは、免疫学的な意味において、抗グル
タチオン抗体と同等であることから、それらを総合的に
「抗グルタチオン抗体」とも呼称する。本発明により、
抗グルタチオン抗体をコードするDNAが開示されたの
で、それを用いて当該技術分野でそのDNAの合成もで
きるし、既知のアミノ酸の欠失、挿入及び置換の手法に
従い、抗グルタチオン抗体活性を有する誘導体も得るこ
とができる。従って、本発明はそのようにして得られる
誘導体をも包含するものである。さらに、抗体は、抗原
を認識し、結合する免疫学的な活性を保持している限
り、適当な長さの断片であってもよい。従って、本発明
は、そのような活性フラグメントをも包含するものであ
る。断片化は、当業者既知の方法で行うことができる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に本発明の抗グルタチオン抗
体の製造について説明する。本発明の抗体はファージデ
ィスプレイライブラリー(phage display library)[Wint
er, G. and Milstein, C., Nature, 349, 293 - 299 (1
991)]の1種であり、Nissimらによって作成された公知
のライブラリー[Nissim, A., et al., EMBOJ., 13, 692
- 698 (1994)]から選択された。このライブラリーは以
下に記載の方法や文献に従って当業者が作製できる。フ
ァージディスプレイライブラリーは、特に、自己及び/
又は低分子量抗原に対する抗体の選択に好都合である。
例えば、環状一重鎖DNAを持った大腸菌のファージ、例
えばファージfdを利用した場合、その表面に発現してい
るコート蛋白質、例えばg3p(gene 3 protein)のN末端
にペプチド゛や蛋白質をつないで、目的とするペプチド
や蛋白質をファージの表面に発現させ、その機能を調べ
ることができる。従って、大腸菌を用いてファージ表面
に一重鎖のFvフラグメント(VHの下流にリンカーを介し
てVLをつないだもの,scFvともいう)、あるいはFa
bフラグメント(抗体のVL,CL1とVH,CH1からなるヘテロ
二量体)(図2参照)を、表現させることができる[Hoo
genboom, H. R.et al., Nucleic Acids Res., 19, 4133
- 4137 (1991)]。後者のように、重鎖部分をファージ
表面に発現させた場合は、軽鎖部分を同時に分泌発現さ
せ、大腸菌のペリプラズム内で両者を再構築してFabと
することができる。一方、抗体フラグメントとファージ
コート蛋白質との間にアンバー変異を入れておき、かつ
宿主を使い分けることによって、フラグメントを可溶性
蛋白質として回収することもできる。従って、in vivo
[Marks, J. D.et al., J. Mol. Biol., 222, 581 - 597
(1991)]あるいはin vitro[Hoogenboom, H. R. & Winte
r, G., J. Mol. Biol., 227, 381 -388 (1992)]で再配
列させたV遺伝子を使ってより多彩な組合せを作れば、
動物を免疫する方法によらず、同一ライブラリーから異
なる結合能をもった抗体を単離できる。
【0008】このように、これらのライブラリーから外
来抗原、自己抗原を含めていろいろな抗体を選択するこ
とが可能である。なお、図2はg3pを介して抗体ペプチ
ドをファージ表面で発現させた状態を示している。図
中、(a)はFabフラグメント(抗体のVκ,CκとVH,CH1
からなるヘテロ二量体)を、(c)は一重鎖のFvフラグ
メント(VHの下流にリンカーを介してVκをつないだも
の)を、g3pを介してそれぞれファージ上で発現させた
状態を示している。様々なVH 及びVL遺伝子の組合せは
ポリメラーゼ゛鎖反応(PCR)によって増幅されたリンパ球
の数に由来しており、様々なフラグメントがランダムに
対をなすことによって形成される。このようにして作成
したライブラリーから、数回の選択を繰り返して目的と
する物質に対する結合能を有するファージが選び出され
る。即ち、既に公知の方法でヒトの末梢血リンパ球から
mRNAを抽出して相補DNAを調製し、PCR法によって人工的
に再配列させた抗体のV遺伝子を増幅してそのレパート
リーを調製する。このH鎖及びL鎖のV領域を線状ファ―シ
゛の表面に表現させたライブラリーを構築し、この多様
な組み合わせから目的とする抗体を取得できる。
【0009】既述のごとく、本発明の抗グルタチオン抗
体は、公知のライブラリー[Nissim,A., et al., EMBO
J., 13, 692 - 698 (1994)]から選択された。このライ
ブラリーは、4から12残基からなるランダムなアミノ
酸配列を導入できるようにデザインされたPCRプライマ
ーを使って人工的なCDR3を造成し、その結果得られたCD
R3領域をもつVH遺伝子[Hoogenboom, H. R. & Winter,
G., Nucleic Acids Res., 227,381 - 388 (1992)]を含
んでいる。このライブラリーは、in vitroで再配列され
た50のヒト生殖細胞VH遺伝子からなる種々の組合せ
のヒトVH遺伝子とL鎖としてヒトVλ3遺伝子とを組合
せ、これらを前述した単鎖FVフラグメント(sc FV)とし
てファージ上に発現させたものである。50の生殖細胞
VH断片の一つ一つはVHファミリーに基づくプライマーで
あるVHBACKSfiとHSLP4- HSLP12[Marks, J. D., et al.,
J. Mol. Biol., 222, 581 - 597 (1991)]を使って増幅
することができる[Hoogenboom, H. R. & Winter, G., N
ucleic Acids Res., 227, 381- 388 (1992)]。
【0010】ヒトのVH断片のCDR1、CDR2の配列多様性
は、生殖細胞由来のおよそ50のVH断片の種類によって
決められている[Tomlinson, I. M., et al., J. Mol. B
iol.,227, 776-798(1992)]。またCDR3の配列は生殖細胞
由来のVH断片の配列、及びおよそ30個のD及び6個のJ
断片の組み合わせで生成するので[Ichihara, Y., eta
l., EMBO J., 7, 4141-4150 (1988)]、極めて変化に富
んでおり、かつアミノ酸残基の数も4−25残基と異な
っている。従って、HSLPプライマーはJ断片と4から1
2個のアミノ酸からなるランダムな配列[(A/C, N, N)
n,(nは4 - 12,Nは塩基A,T,G,Cを示す)]を持つDNA
断片を導入できるようにデザインされる。さらにプライ
マーの3’末端部分は、VH断片のFR3(CDR2とCDR3をコ
ードする領域にはさまれた遺伝子上の領域)にアニール
できるようデザインする。しかるに、HSLPの配列は5'-G
AC CAG GGT ACC TTG GCC CCA[(A/C)nNN]TCT TGC ACA GT
A ATACAC GGC CGT GTCである。鋳型はそれぞれのVHセグ
メントをコードしている組換えM13ファージを感染させ
た106の大腸菌として供給されている。
【0011】最初のPCRは、例えば94℃で1分間処理して
一本鎖にしたDNAに、VHBACKSfiとHSLPのプライマーを共
存させて55℃で1分間アニーリングする。続いて4種類
のデオキシリボヌクレオチド3リン酸(dNTP)の共存下で
72℃で1.5分、DNAポリメラーゼと反応させる。この反応
を25回繰り返してDNAを増幅する。2回目のPCRでは、
JH断片の3'末端側にクローニングのために制限酵素切
断部位、例えばSalIサイトを導入する。この場合には、
プライマーとしてVHBACKSfi(既出)とJHSAL[Nissim,
A., et al., EMBO J., 13, 692 - 698 (1994)]とを使っ
て、さらに15回PCR反応を繰り返し、DNAを増幅する。
ここで、JHSALの配列は、5'-GCC TGA ACC GCC TCC ACC
AGT CGA CAC GGT GAC CAG GGT ACC TTG GCC CCA (配列
番号9)であり、下線で示した部分がSalIサイトであ
る。
【0012】450(50の生殖細胞由来のVH断片と4
から12の9種の異なる長さを持つCDR3のPCR生成物の
合計)の試料のバンドの大きさをアガロース電気泳動で
チェックした後、制限酵素NcoIとSalIで処理して得た断
片をpHEN1-Vλ3[(Hoogenboom, , H. R. & Winter, G.,
J. Mol. Biol., 227, 381 - 388 (1992)]のNcoI - X hoI
切断部分と連結する。このベクターにはすでにVλ3 を
コードする遺伝子が組み込まれている(図3)。なお、
図3のtagとして示される部分にc-mycペプチドの配列が
入っている。得られる抗体は図2(c)で示されるsc
Fvの型でファージ上に発現される。その結果、それぞ
れ少なくとも107の異なるクローンを含む9種のファ
ージミドライブラリーを構築できる。それぞれのライブ
ラリーはヘルパーファージVCS-M13(Stratagene社)を使
ってファージとして取り出すことができる。これらのラ
イブラリーはファージミドを大腸菌に感染させて保存す
る。
【0013】ライブラリーの増殖には、およそ108
の上述した組換え大腸菌を37℃で、例えばアンピシリ
ンを含む50mlの培地中で600nmにおける濁度(OD)が0.5に
なるまで振とう培養する。次にその10mlに例えばVCS-M1
3あるいはM13-KO7(Stratagene社)などのヘルパーファー
ジを、数として大腸菌の約20倍になるように加え、静置
したまま37℃で30分間培養する。次に、4000rpmで10分
間遠心して菌体を集め、それをアンピシリンとカナマイ
シンとを含む30mlの培地に懸濁した後、さらに培地を加
えて300mlとし、30℃で一夜振とう培養する。
【0014】pHEN1ファージミド粒子の調製にあたって
は、上述した培養液を例えば8000rpmで10分間
遠心した後、常法に従ってファージを集めればよい。す
なわち得られた上清にその1/5量のポリエチレングリ
コール溶液(20%ポリエチレングリコール6000、2.5M N
aCl)を加えてよく混合した後、4℃で1時間放置する。4
000rpmで30分間遠心して得られたペレットを40mlの水に
懸濁後、8mlの上記のポリエチレングリコール溶液を加
え、4℃で20分放置する。この溶液を4000rpmで30分遠心
して上清を除く。このようにして得られたペレットを2.
5mlの水に懸濁し、さらに4000rpmで10分遠心して残った
細胞破片を取り除いて4℃で保存する。この方法で1−5
×1013PFUのファージが得られる。
【0015】抗グルタチオン抗体の選択のために、まず
グルタチオンを、例えば牛血清アルブミン(BSA)に結
合させる。方法はPierce社の手順書に従えばよい。すな
わちスペーサーとしてSulfo-SMCC[スルホスクシニミジ
ル 4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキ
シレート]を用いてグルタチオンとBSAとを結合させる。
まずpH7.0の緩衝液にBSAとその1/4量のSulfo-SMCCを溶
解し、30℃で1.5時間振とうしながら反応させた後、例
えばPD-10のようなゲル濾過カラムを通して結合物を得
る。このようにして得られたマレイミド化されたBSA溶
液にグルタチオンを加え、撹拌しながら室温で2時間反
応させる。得られた溶液を例えばPD-10のようなゲルろ
過カラムを通してグルタチオンとBSAとが結合したもの
を選り分ける。
【0016】次にこのようにして得られたグルタチオン
と結合したBSAをチューブ(Nunc-immunotube,Nunc社)
に加え、室温で一夜放置する。次の日にチューブをPBS
(食塩を含むリン酸バッファー)で3回洗浄した後、例
えばスキムミルクを含むPBSを用いてブロッキングし、
さらにPBSで3回洗浄する。上記のチューブにスキムミル
ク入りPBSに1012から1013PFUの上記ファージを加
え、室温で反応させる。チューブは0.1%のTween-20を
含むPBSで20回、さらにはPBSで20回洗浄して界面活性剤
を除去する。結合したファージは例えば100mMのトリエ
チルアミンを加えて10分間上下に回転して溶出する、溶
出されたファージは即座に中和しなければならない。得
られたファージは4℃で保存する、このようにして得ら
れたファージは例えば大腸菌TG1に感染させて、上記ラ
イブラリーの増殖と同様の方法で増殖させることができ
る。
【0017】次に、増殖した大腸菌のコロニーをアンピ
シリンを含む100μlの培地を分注した96穴のプレートに
移植し、振とうしながら37℃で一夜増殖させる。次は20
0μlの同じ培地を含む96穴のプレートに各穴から少量移
植して37℃で1時間振とうして培養する。各穴に109PF
UのVCS-M13を加えて37℃で30分放置した後、37℃で1時
間振とうし、4000rpmで10分又は同様の条件下で遠心し
て上清を除く。ペレットをアンピシリンとカナマイシン
とを含む200μlの培地に懸濁して30℃で一夜振とう培養
する。培養液を同様に遠心分離してその上清をファージ
ELISAに使用する。
【0018】このようにして選んだファージを可溶性の
蛋白質として発現させる。まず105PFUのファージを大
腸菌HB2151に37℃で30分感染させる。これを希釈してア
ンピシリンを含む培地にまき37℃で一夜培養する。生じ
たコロニーをアンピシリンを含む100μlの培地を分注し
た96穴のプレートに移植して37℃で一夜振とう培養す
る。もう一度同じ培地を含む96穴のプレートに移植し
て、さらに37℃で600nmにおけるODがおよそ0.9になるま
で振とう培養して増殖させる。ODが目的値に到達した
ら、IPTGを加えてさらに16から24時間振とうして遺伝子
を誘発発現させる。4000rpmで10分遠心分離して、その1
00μlをELISAにかける。
【0019】単鎖FvのL鎖の後ろにはc-mycのペプチド
が連結されているので、それを認識する抗体9E10[Clack
son, T., et al., Nature, 352, 624-628(1991)]を使っ
て発現した単鎖Fvを検出することができる。まず常法に
従ってBSAに結合させたグルタチオンをプレートの穴に
コーティングする。その96穴のプレートに上述した単鎖
Fvを含む培養上清を加え吸着させた後、常法通り精製し
た9E10(9E10を生産するハイブリドーマはEuropean Col
lections of Animal Cell Culture, Centre for Applie
d Microbiology and Research(ECACC), Porton
Down, Salsbury, SP4 OJK UKから受託番号851022
02として入手できる)を加えて反応させる。次にパー
オキシダーゼを結合させた抗マウス抗体(Dakopatsある
いはICN Biomedicals Inc. UKから入手できる)を加え
て9E10に結合させて、次に洗浄する。これにABTS[2,2'-
azino bis(3-ethylbenzthiazoline-6-sulphonic acid)
diammonium salt]と過酸化水素水を加えて20ー30分放置
した後、フッ化ナトリウムを加えて405nmでの吸収を読
み、単鎖Fvの量を定量する[Nissin, A., et al., EMBO
J., 13, 692-698(1994)]。大量の蛋白質を必要とする時
は、通常の組み換え体の培養方法に従えばよい。また培
養液から単鎖Fvを精製するには、例えば上清を限外ろ過
などの方法で濃縮する。次にグルタチオン−Sートラン
スフェラーゼを精製するのに用いるグルタチオン−セフ
ァロース4Bカラムを用いて抗グルタチオン抗体を精製で
きる。またモノクローナル抗体9E10を用いても精製が可
能である。その他単鎖Fvの精製に利用できる技術はいず
れも抗グルタチオン抗体の精製に有効である。また遺伝
子を取り出して目的とするベクターにつなげば、大腸菌
に限らず酵母、枯草菌、糸状菌、昆虫細胞、動物細胞や
植物細胞など、好みに従って単鎖Fvの発現に利用でき
る。このようにして得られた抗グルタチオン抗体は、目
的通りグルタチオンの検出や定量に有用なことが判っ
た。
【0020】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく
説明する。なお以下の実施例は単なる例示に過ぎず、い
かなる意味においても、本発明を制限するものではな
い。 実施例1 ライブラリーの培養 本発明の抗グルタチオン抗体の製造には、公知のNissim
らのライブラリー[Nissim, A., et al., EMBO J., 13,
692 - 698 (1994)]を用いた。ライブラリー50μl(約10
8cells)を100μg/ml のアンピシリン( 明治製菓)及
び 1% のグルコースを含む50ml の2xTY(1l中に16g
のトリプトン、10gの酵母エキス、5gのNaClを含む)を
入れた300mlのはね付きマイヤーに加え、攪拌しなが
ら、37℃で培養した。波長600nmの吸光度が0.5に達した
とき、培養液10mlを取り、ヘルパーファージVCS―M13
(Stratagene)を大腸菌TG1株とヘルパーファージの数
比が1:20になるように加えた。
【0021】一方、残りの40mlは遠心して、沈殿を約0.
5mlの2xTYに懸濁した後、100mg/ml のアンピシリン
及び 1% のグルコースを含むTYE(1l中に10gのトリプ
トン、5gの酵母エキス、8gのNaCl、15gのバクトアガー
を含む)プレートにまき、37℃で一晩培養して、そのす
べてを適量の2xTY(2〜5ml)に懸濁し、最終濃度が20
%になるようにグリセロールを加えて―80℃凍結保存用
とした。ヘルパーファージを加えた培養液は37℃の水浴
中で30分間培養した後、2500rpmで15分間遠心分離して
上清を除いた。沈殿を100μg/ml のアンピシリンと25μ
g/ml のカナマイシン(和光純薬)を含む30mlの2xTY
に懸濁し、あらかじめ30℃に保温した100μg/ml のアン
ピシリンと25μg/ml のカナマイシンを含む270mlの2x
TYに加えた後、攪拌しながら30℃で一晩培養した。
【0022】実施例2 ファージの調製 実施例1に従って、一晩培養した液を8000rpmで10分間
遠心分離して沈殿を除去した後、培養上清にPEG/NaCl溶
液(20%のポリエチレングリコール6000と2.5MのNaClを
含む)を1/5容量加え、よく攪拌した後4℃で1時間放
置した。その後、8000rpmで30分間4℃で遠心分離し
て、上清を取り除き、沈殿を40mlの滅菌水に懸濁して、
8mlの上記のPEG/NaCl溶液を加えた後、攪拌し4℃で20
分間静置した。4000rpmで30分間遠心分離して、上清を
デカンテーションで取り除いた後、PEG/NaCl溶液を完全
に取り除くために、再度、4000rpmで10分間遠心分離し
て、上清をアスピレーターで取り除いた。その後、沈殿
を2.5mlの滅菌水に懸濁して、4000rpmで10分間遠心分離
した後、上清を新しいチューブに移し、ファージ溶液を
得た。このファージ溶液はEsch erichia coli TG1株を宿
主としてファージのtiterを測ったところ、1x1013PFU
であった。
【0023】実施例3 グルタチオンとキャリアータン
パク質との連結 [スルホスクシニミジル 4-(N-マレイミドメチル)シクロ
ヘキサン-1-カルボキシレート(sulfo-succinimidyl 4-
(N-maleimidomethyl) cyclohexane-1-carboxylate);
以下、sulfo―SMCCと略す]1.5mg を 1ml の100mM リン
酸ナトリウム緩衝液、0.9M NaCl、0.1M EDTAを含むpH7.
0のコンジュゲート用緩衝液(以下conjugation buffer
という) に溶解させ、キャリアータンパク質として牛
血清アルブミン(以下BSAと略す)(Sigma) もしくは
Keyhole limpet ヘモシアニン(以下KLHと略す)(CALB
IOCHEM)4mgを加え30℃で2時間攪拌した後、conjugatio
n buffer で平衡化したPD―10カラム(Pharmacia)にか
け、1mlずつ分取した。波長 280nmで各フラクションの
吸光度を測定し、一番初めに現われたピークの前後4本
を集めた。次に、グルタチオン 4mg をconjugation buf
fer 0.5ml に加え、その中から、50μlを取っておき、
残りをsulfo―SMCCとキャリアータンパク質をコンジュ
ゲートした溶液に加えた。4℃で一晩もしくは室温で2時
間反応させた後、100mM リン酸ナトリウム、0.9M NaCl
を含むpH7.0の精製用緩衝液(以下purification buffer
という) で平衡化したPD―10ゲル濾過カラムにかけ、
0.5ml ずつ分取し、波長 280nmにおける吸光度を測定し
て、一番大きいピークを集めた。なお、コンジュゲート
した蛋白質中のグルタチオン濃度は、Elleman's反応に
て測定した(Ellman, G. L. Arch. Biochem. Biophys.
94, 75-81(1958))。BSA−グルタチオン溶液は、グル
タチオンの濃度が約50μg/mlになるように1l中に5.84g
のNaCl、4.72gのNa2HPO4、2.64gのNaH2PO4.2H2Oを含むp
H7.2に調製した緩衝液(以下PBSと略す)で希釈してパ
ニングのコーティング用として、また10μg/mlもしくは
1μg/ml になるように同様にPBSで希釈してELISAのコ
ーティングに用いた。
【0024】実施例4 抗グルタチオン抗体をディスプ
レイするファージの選択 約50μg/mlのBSA−グルタチオンを含むPBS溶液を 高
蛋白結合能を持つチューブ(Nunc)もしくはマイクロタ
イタープレート(Coastar)に2mlもしくは200μlずつ加
え、室温で一晩放置した。次の日、グルタチオン溶液を
除いた後、PBSを噴射びんで注ぎ、デカンテーションで
洗液を除く方法で3回洗浄した。次に、2%のスキムミル
クを含むPBS(以下2%MPBSと略す)をふちまでいっぱい
に満たし、ふたをして37℃で2時間放置した後、PBSで3
回洗浄した。これに実施例2で調製した1012PFUのファ
ージを含む2%MPBS溶液を加え、室温で2時間放置し
た。その後、0.1%Tween―20を含むPBSで15回洗浄し、
次に、PBSで15回洗浄した。ファージ溶液を溶出するた
めに100mMのトリエチルアミンを、チューブの場合には1
ml、プレートの場合には100μlずつ加え10分間放置し
た。10分間経過した後、溶出されたファージ溶液を先に
用意したトリエチルアミンの半分量の1M Tris-HCl、pH
7.4の入ったチューブに加え、直ちに中和した。
【0025】次に、あらかじめ波長600nmの吸光度が0.5
になる迄培養した大腸菌TG1株9mlにファージ液1mlを加
え、37℃で30分間培養した。その後、101から107までの
希釈系列をそれぞれ200μlずつ調製し、そのうちの100
μlずつを100μg/ml のアンピシリン 及び 1% のグル
コースを含むTYEプレートにプレーティングした。ま
た、残りの培養液は、2500rpmで20分間遠心分離した
後、沈殿を1mlの2xTYに懸濁し、100μg/ml のアンピ
シリン 及び 1% のグルコースを含むTYEのプレートに
プレーティングした。得られた大腸菌は抗グルタチオン
抗体をディスプレイするファージを含むものとして、す
べてのプレートを37℃で一晩培養した。
【0026】実施例5 アフィニティークロマトグラフ
ィーによる抗グルタチオン抗体をディスプレイするファ
ージの選択 まず、Glutathione―Sepharose 4B (Pharmacia) をPB
Sで膨潤し、1mlの担体としカラムにつめPBSで洗浄し
た。10mlの2%MPBSでブロッキングした後、実施例2で
得た1012PFUのファージを含む2%MPBS溶液をこのカラム
にかけた。その後、10ml のPBS、10ml の2%MPBS、10ml
の0.5MNaCl―50mMTris―HCl、pH7.5、 10mlの0.5MNaCl
―50mMTris―HCl、pH8.5、 10ml の0.5MNaCl―50mMTris
―HCl、pH9.5で順にカラムを洗浄した後、5ml の100mM
トリエチルアミン を用いてファージを溶出した。その
際、溶出されたファージをすぐに中和するために、実施
例4と同様にして溶出液を採取するチューブに前もっ
て、2.5ml の1.0M Tris―HCl、pH7.4を加えておいた。こ
のファージ溶液を2ml取って前もって600nmに於ける吸光
度が0.5になるように培養しておいた大腸菌宿主TG1
の培養液10mlに加えた。37℃で30分間培養した後、100
μlを取って100μg/ml のアンピシリン 及び 1% のグ
ルコースを含むTYEプレートにまき、次の日、プレート
に出てきたコロニー数を数えた。また、残りの培養液
は、遠心して菌体を沈殿させた後、200μlの2xTYで懸
濁し100μg/ml のアンピシリン 及び 1% のグルコース
を含むTYEプレートにまいた。選択されたコロニーは、
実施例6のELISAに供した。
【0027】実施例6 ELISAによる抗グルタチオン抗
体をディスプレイするファージの検出 実施例4または5で選択した抗グルタチオン抗体をディ
スプレイするファージによって生じたコロニー570個
を、100μg/ml のアンピシリン 及び 1% のグルコース
を含む100μlの2xTYの入った96ウェルのマイクロタイ
タープレート(Corning)に接種し、攪拌しながら37℃
で一晩培養した。次の日、培養液の30μlを取って100μ
g/ml のアンピシリン 及び 1% のグルコースを含む200
μlの2xTYの入った96ウェルのマイクロタイタープレ
ートに移し、攪拌しながら37℃で1時間培養した。その
後、各ウェルに109PFUのVCS―M13ヘルパーファージと10
0μg/ml のアンピシリン 及び 1% のグルコースを含む
25μlの2xTYを加えて、37℃で30分間静置し、さらに1
時間攪拌した後、2000rpmで30分間遠心分離して、上清
を除去した。沈殿を100μg/ml のアンピシリン 及び50
μg/ml のカナマイシンを含む200μlの2xTYに懸濁
し、攪拌しながら30℃で一晩培養した後、2000rpmで30
分間遠心分離して、この上清をファージ液として以下の
ELISAに用いた。
【0028】96ウェルのマイクロタイタープレート(Co
astar)に10μg/mlのBSA―グルタチオンを50μlずつ加
え、室温で一晩静置した後、PBSで1回プレートを洗っ
てから、200μlの2%MPBSを各ウェルに加え、室温で2時
間放置し、ブロッキングした。その後、各ウェルにすで
に調製したファージ溶液を50μlずつ加え、2時間室温で
放置した後、0.05%Tween20を含むPBSで1回、PBSで2回
洗浄した。このウェルにホースラディッシュパーオキシ
ダーゼ(以下HRPと略す)コンジュゲート抗M13ファージ
抗体(Pharmacia)を50μlずつ加え、室温で1時間放置し
た。その間に、2,2'-アジノビス(3-エチルベンゾチアゾ
リン)-6 スルホン酸 ジアンモニウム塩(2,2'-Azino bi
s (3-ethylbenzothiazoline)-6 sulfonic acid diammon
ium salt;以下ABTSと略す)10mgを20mlの50mMのクエン
酸、pH4.5に加え、発色液とした。プレートを0.05%Twe
en20を含むPBSで2回、PBSで2回洗った後、上記の発色液
に36μlのH2O2を加え、よく混ぜた後、各ウェルに50μl
ずつ加えた。20〜60分室温で放置した後、マイクロプレ
ートイムノリーダーを用いて、波長405nmの吸光度の値
を測定し、グルタチオン−キャリアー蛋白質に対する結
合能を調べた。その結果、570コロニー中、波長405nmの
吸光度の値が0.5以上のものが24コロニー、0.1〜0.5ま
でのものが57コロニー得られた。これらのコロニーをKL
Hーグルタチオンを抗原としたELISAを行なったところ、
すべてのコロニーで結合活性が認められた。また、BSA
を抗原としてELISAを行なったところ、42個のクローン
で結合活性が認められなかった。この結果に基づいて、
グルタチオン−キャリアー蛋白質に特異的に結合する抗
体をディスプレイするファージとしてこれらの42個のク
ローンを選択した。
【0029】実施例7 抗グルタチオン抗体単鎖Fv (sc
Fv)フラグメントの検出 1) 抗体sc Fvフラグメントの調製 これまで述べた過程で、グルタチオンとの結合能を持つ
ことが確認されたクローンを、抗体フラグメントとして
働くことができるかどうかを調べた。調製されたファー
ジを一部とって、大腸菌宿主HB2151に接種した。37℃で
30分間水浴中で培養した後、100μg/ml のアンピシリン
及び 1% のグルコースを含むTYEプレートにまいて、
一晩37℃で培養して生じたコロニーをプレートからとっ
て100μg/ml のアンピシリン 及び 1% のグルコースを
含む2.5ml の2xTYに移し、攪拌しながら一晩37℃で培
養した。次の日、培養液50μlをとって100μg/ml のア
ンピシリン 及び 0.1% のグルコースを含む30mlの2x
TY を入れた200mlのマイヤーに加え、37℃で培養し、波
長600nmの吸光度の値が0.9になったら、最終濃度が1mM
になるようにイソプロピルチオ-β-D-ガラクトシド(Is
opropylthio-β-D-galactoside;以下IPTGと略す)を加
え、攪拌しながら30℃で16〜24時間培養した。その後、
遠心分離して菌体を除去し、上清を濾過して別の容器に
移し、10倍程度に濃縮して抗体フラグメント溶液とし
た。残りの培養液の一部は、等量の80%グリセロールを
加えて、―80℃で保存した。
【0030】2)抗 c-myc 抗体 の調製 本発明の抗体は、図3にtagとして示すように、c-my
cペプチドは抗体のC末端に結合した形で発現されるの
で、該ペプチドに対する抗体を用いて検出することがで
きる。そこで、抗体scFvフラグメントの検出に必要であ
る抗 c-myc モノクローナル抗体をハイブリドーマを用
いて調製した。まず、抗 c-myc 抗体を産生するハイブ
リドーマMycl 9E10 (ECACCより85102202として
入手可能)を10% のウシ胎児血清(以下FCSという)を
含むRPMI 1640培地(Gibco)10mlで一晩37℃、5%CO2で培
養した。次の日、細胞数を数え、105/mlになるように希
釈した後、一晩37℃、5%CO2で培養した。5日間、細胞
数のカウントと希釈を繰り返した後、細胞を十分に増や
すため1週間37℃、5%CO2で培養した。次に、培養液を
濾過し、上清をFPLCシステム(Pharmacia製)を用いて5
0mM クエン酸が12.8%、100mMリン酸水素二ナトリウム
が87.2%の緩衝液で平衡化したsuper protein Gカラム
(Pharmacia製)にかけた。同じ緩衝液で洗浄した後、5
0mM クエン酸が89.2%、100mM リン酸水素二ナトリウム
が10.8%の緩衝液で溶出し、溶出液を中和するために、
1mlあたり150μlの1.0M Tris−HCl緩衝液を加えた。そ
の後、この溶出液を50mM クエン酸が12.8%、100mM リ
ン酸水素二ナトリウムが87.2%の緩衝液で平衡化したpr
otein Gカラム(Pharmacia製)にかけ、洗浄後、50mM ク
エン酸が89.2%、100mM リン酸水素二ナトリウムが10.8
%の緩衝液で溶出した。1mlあたり150μlの1.0M Tris−
HCl緩衝液を加えて中和した後、PBSにバッファー交換し
て2mg/mlに調製して抗体溶液とした。
【0031】3) 抗体sc Fv フラグメントのELISAに
よる検出 実施例6のファージ溶液を用いたELISAによる検出の場
合と同様に、BSAーグルタチオンを用いたコーティング
及びブロッキングを行なった。その後、各ウェルに2%
のスキムミルクを含む50μlの抗体フラグメント溶液を
加えた。2時間室温で放置した後、ウェルを0.05%Tween
20を含むPBSで1回、PBSで2回洗い、上記2)で調製した
4μg/ml の9E10 抗体 (抗マウス c-myc 抗体)を50μlず
つ加え、90分間室温で放置した。ウェルを0.05%Tween2
0を含むPBSで2回、PBSで2回洗い、次にHRP コンジュゲ
ート抗マウス抗体(Sigma)を 50μlずつ加え、90分間
室温で放置した。その間に、10mgのABTSを20mlの50mM
クエン酸、pH4.5に溶解し、ABTS溶液を調製した。0.05%
Tween20を含むPBSで2回、PBSで2回ウェルを洗った後、
上記のABTS溶液に36μlのH2O2を加えた溶液を各ウェル
に50μlずつ加えた。20〜60分間室温で放置した後、波
長405nmの吸光度の値を測定し、抗体フラグメントのBSA
−グルタチオンとの結合能を測定して以下の結果を得
た。
【0032】95個のクローンについて測定を行なったと
ころ、波長405nmの吸光度の値が0.5以上のものが10コロ
ニー、0.2から0.5までのものが19コロニー得られた。ま
た、これらの29個のコロニーについてBSAを抗原としてE
LISAを行なったところ、BSAに対する結合活性がほとん
ど認められなかったものが14コロニー、少し活性があっ
たものが11コロニー、波長405nmの吸光度の値が0.1以上
あったものが、4コロニー得られた。そこで、BSAに対す
る結合活性がほとんど認められなかったものと少し活性
が認められたものをBSA−グルタチオンに特異的に結合
する抗体として選択した。
【0033】実施例8 イムノブロッティングによる抗
グルタチオン抗体の検出 1)ドットブロッティングによる検出 実施例6のELISAによって結合活性が認められたクロー
ンについて、結合特異性を調べるためにドットブロッテ
ィングを行った。適当な大きさのPVDF膜(Milipore)を
メタノールとPBSで洗った後、BSAーグルタチオン、KLH
ーグルタチオン、BSAを1ドットにつき、約2μgずつPVD
F膜に結合させて、10%MPBSで室温で1時間ブロッキング
を行なった。0.2%Tween20を含むPBSでメンブレンを5分
間, 2回洗浄し、0.2%Tween20と2%スキムミルクを含
む、実施例6で得たファージ溶液(1011PFU/ml)1ml
を、メンブレンを入れたハイブリバッグに加えた。4℃
で一晩振盪した後、0.2%Tween20を含むPBSで5分, 2回
洗い、0.2%Tween20を含む2%MPBSで5000倍に希釈したH
RPとコンジュゲートしたヒツジ抗M13抗体(Pharmacia)
を1ml加え,室温で2時間振盪した。その後、0.2%Tween
20を含むPBSで5分, 2回、PBSで5分, 2回洗い、ジアミノ
ベンチジン溶液(0.5mg/ml)30mlを染色用容器に移し、
使用直前にH2O2を10ml加え、メンブレンを入れた。室温
で約15分 から30分程度(染色の度合いによって変え
る)振盪した後、メンブレンを蒸留水に移し反応を止め
た。蒸留水でよく洗った後、風乾してドットを観察した
ところ、6D5、11C12、11D10、11F12、17B8、17H8、18B1
0及び18C2のクローンに、BSAに対する結合活性は見られ
なかったが、BSAーグルタチオン及びKLHーグルタチオン
への結合活性が認められた。従って、これらのクローン
がグルタチオンを認識すること、及びグルタチオンで修
飾された蛋白質の検出に有効であることが明らかになっ
た。
【0034】2) ウェスタンブロッティングによる検
出 上記1)のELISAによって結合活性が見られた18B10、18
C2のクローンについて、さらに結合活性について調べる
ためにウェスタンブロッティングを行った。BSAーグル
タチオンを1ウェルにつき約5μgのせ、Laemmliらの方
法(Laemmli, U., Nature, 227, 680−685(1970)) に従
い、10%のSDSポリアクリルアミドゲルでSDS―PAGEを行
なった。その後、HyBond-ECL膜(Amersham) にセミドラ
イ法によって電圧7V、90分のエレクトロブロッティング
を行ない、10%MPBSで室温で2時間ブロッキングを行な
い、0.2%Tween20を含むPBSでメンブレンを5分, 2回洗
い、0.2%Tween20及び2%スキムミルクを含む実施例6
で得たファージ溶液(1011PFU/ml)1mlをメンブレンを
入れたハイブリバッグに加えた。4℃で一晩振盪した
後、メンブレンを0.2%Tween20を含むPBSで5分, 2回洗
った後、HRPとコンジュゲートしたヒツジ抗M13抗体を0.
2%Tween20を含む2%MPBSで5000倍希釈して加え、室温
で2時間振盪した。その後、0.2%Tween20を含むPBSで15
分, 2回、PBSで5分, 2回洗い、余分な水分を除去した
後、化学発光によりハイブリダイズした抗体の検出が可
能であるECL kit (Amersham)の1液と2液を等量加え、
1分間緩く振盪した。その後サランラップで覆い、オー
トラジオグラフィーしたところ、18B10及び18C2におい
てBSA−グルタチオンへの結合活性が認められた。
【0035】実施例9 抗グルタチオン抗体をディスプ
レィしたファージのグルタチオンによる競合阻害 実施例6で抗グルタチオン抗体をディスプレィすること
が確認されたクローンについて、キャリヤータンパク質
とコンジュゲートしたグルタチオンのみでなく、グルタ
チオンそのものに対する結合活性があるかどうかを調べ
るために還元型グルタチオンを用いたELISA法による競
合阻害実験を行った。実施例6及び8で確認された抗グ
ルタチオン抗体をディスプレィする11F12、18B10、18C2
及び6D5の各クローンについて競合阻害実験を行った。
還元型グルタチオンをPBSに溶解し、1〜10-5mg/mlまで
の希釈系列を100μlずつ調製した。96ウェルのマイクロ
タイタープレートに必要なウェルの分だけ10μg/mlのBS
A―グルタチオンを50μlずつ加え、室温で一晩静置した
後、PBSで1回プレートを洗ってから、200μlの2%MPBS
を各ウェルに加え、室温で2時間放置し、ブロッキング
した。その後、各ウェルに4%MPBSを25μlずつ加えた。
続いて、各ウェル当たり1010PFU/50μlを含むように調
製したファージ溶液20μlと、調製した還元型グルタチ
オン5μlを含むように調製したPBS溶液を25μlずつ加え
た。また、ポジティブコントロールとして、グルタチオ
ンを加えないウェルにはPBSを5μlずつ加えた。
【0036】3時間室温で放置した後、0.05%Tween20を
含むPBSで1回、PBSで2回洗浄した。このウェルにHRPコ
ンジュゲート抗M13ファージ抗体(Pharmacia)を50μlず
つ加え、室温で1時間放置した。その間に、ABTS 10mgを
20mlの50mMのクエン酸、pH4.5に加え、発色液とした。
プレートを0.05%Tween20を含むPBSで2回、PBSで2回洗
った後、上記の発色液に36μlのH2O2を加え、よく混ぜ
た後、各ウェルに50μlずつ加えた。20〜60分室温で放
置した後、マイクロプレートイムノリーダーを用いて、
波長405nmの吸光度の値を測定し、グルタチオンーキャ
リアー蛋白質に対する結合能を調べた。クローン11F1
2、18B10、18C2及び6D5による競合阻害実験の結果を、
それぞれ、図4〜7に示す。図中、縦軸は波長405nmの
吸光度、横軸は還元型グルタチオンの量を表す。これら
の図から明らかなように、11F12、18B10、18C2及び6D5
のそれぞれのクローンのグルタチオンとの結合活性は、
還元型グルタチオンを加えると、グルタチオンの量に依
存して減少しており、これは、本発明のクローンが抗グ
ルタチオン抗体であることを示すものである。
【0037】実施例10 抗グルタチオン抗体の塩基配
列の決定 ELISAで活性が認められたクローンの内、11F12、18B10、
18C2及び6D5について塩基配列を決定し、CDR3領域と生
殖系列(germ line)を調べた。塩基配列決定は、Sange
rらの方法(Sanger,F., Nicklen,S. and Coulson, A. R.
(1977) Proc.Natl. Acad. Sci. USA, 74巻, 5463頁-54
67頁)に従い、ABIの373A DNA シークェンサーを使用し
て蛍光色素が結合したダイデオキシNTPによるターミネ
ーター法で塩基配列を決定できるPRISM ready terminat
or kit を用いて行なった。ウェスタンブロッティング
などのために、大量に調製したファージの中から、一部
をとって、単鎖(ss)のファージDNAを調製し、テンプレ
ートとした。プライマーには、CDR3領域の直後の18mer
の配列(CAGGTACCTTGGCCCCA:配列番号10)と軽鎖の可
変領域のなかの18merの配列(GGCCACAGACACAGCAGG:配列
番号11)を用いた。テンプレートがssDNAなので、0.8p
molのプライマー(二重鎖(ds)DNAの場合には、3.2pmo
l)を用いた。プライマーとテンプレート及びプレミッ
クス(ABI社)をSangerらの方法に従って、混合し、
96℃で30sec., 50℃で15sec., 60℃で4min.、サイクル
シークェンス反応を行なった。サイクルシークェンス反
応が終了した後、プロトコールに従って、CTAB沈殿法を
用いて、DNAの精製を行なった。
【0038】まず2.5mlの5% CTAB-0.5M NaCl を加え、
軽く攪拌した後、10,000rpmで5分間遠心分離して得た沈
殿を1.2M NaCl 50mlに懸濁した後、125mlの100% エタ
ノールを加え、激しく攪拌し、10,000rpmで5分間遠心し
た。上清を取り除き、沈殿に500mlの70%エタノールを
加え、30秒間激しく攪拌した後、10,000rpmで5分間遠心
して上清を取り除いた。その後、沈殿を風乾してサンプ
ルバッファー(脱イオン化ホルムアミド+EDTA+ブルー
デキストラン)4mlを加え、サンプル溶液とした。サン
プル溶液をDNAシークェンサーにかけ、塩基配列を決定
した。これらクローンの特徴は以下の表に示す通りであ
る。
【0039】
【表1】 クローン VH family CDR3(アミノ酸配列) 6D5 VH1; DP-25 CWEDL(配列番号4) 11F12 VH1; DP-25 LTRNKFKSRGH(配列番号1) 18B10 VH3; DP-47 TQYHHVRYRHYL(配列番号2) 18C2 V H3; DP-45 AWDVRTER(配列番号3) クローン11F12をコードする塩基配列及びそれから推定
されるアミノ酸配列を配列番号5に示す。配列番号5に
おいて、アミノ酸番号31−35はCDR1領域、アミノ酸
番号50−66はCDR2領域、アミノ酸番号99−109
はCDR3領域に相当する。また、クローン18B10をコード
する塩基配列及びそれから推定されるアミノ酸配列を配
列番号6に示す。配列番号6において、アミノ酸番号3
1−35はCDR1領域、アミノ酸番号50−66はCDR2領
域、アミノ酸番号99−110はCDR3領域に相当する。
クローン18C2をコードする塩基配列及びそれから推定さ
れるアミノ酸配列を配列番号7に示す。配列番号7にお
いて、アミノ酸番号31−35はCDR1領域、アミノ酸番
号50−65はCDR2領域、アミノ酸番号98−105は
CDR3領域に相当する。但し、18C2のCDR3領域のアミノ酸
のうち、No.104グルタミン酸は、アンバーコドンで
ある。クローン6D5をコードする塩基配列及びそれか
ら推定されるアミノ酸配列を配列番号8に示す。配列番
号8において、アミノ酸番号31−35はCDR1領
域、アミノ酸番号50−66はCDR2領域、アミノ酸
番号99−103はCDR3領域に相当する。また、EL
ISAで活性のあった他のクローン(11C12、11D10、17B
8、17H8、18B10)についてもシークェンスを行なった
が、上記の4つのクローンのいずれかと同じ塩基配列を
持つことがわかった。
【0040】配列番号:1 配列の長さ:11 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 起源 直接の起源 ライブラリー名:Nissimライブラリー クローン名:11F12
【0041】配列番号:2 配列の長さ:12 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 起源 直接の起源 ライブラリー名:Nissimライブラリー クローン名:18B10
【0042】配列番号:3 配列の長さ:8 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 起源 直接の起源 ライブラリー名:Nissimライブラリー クローン名:18C2
【0043】配列番号:4 配列の長さ:5 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 起源 直接の起源 ライブラリー名:Nissimライブラリー クローン名:6D5
【0044】配列番号:5 配列の長さ:109 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 起源 直接の起源 ライブラリー名:Nissimライブラリー クローン名:11F12 配列: CAG GTG CAG CTG TTG CAG TCT GGG GCT GAG GTG AAG AAG CCT GGG CCC 48 Gln Val Gln Leu Leu Gln Ser Gly Ala Glu Val Lys Lys Pro Gly Pro 5 10 15 TCA GTG AAG GTT TCC TGC AAG GCT TCT GGA TAC ACC TTC ACT AGC TAT 96 Ser Val Arg Val Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Thr Phe Thr Ser Tyr 20 25 30 GCT ATG CAT TGG GTG CGC CAG GCC CCC GGA CAA AGG CTT GAG TGG ATG 144 Ala Met His Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Gln Arg Leu Glu Trp Met 35 40 45 GGA TGG ATC AAC GCT GGC AAT GGT AAC ACA AAA TAT TCA CAG AAG TTC 192 Gly Trp Ile Asn Ala Gly Asn Gly Asn Thr Lys Tyr Ser Gln Lys Phe 50 55 60 CAG GGC AGA GTC ACC ATT ACC AGG GAC ACA TCC GCG AGC ACA GCC TAC 240 Gln Gly Arg Val Thr Ile Thr Arg Asp Thr Ser Ala Ser Thr Ala Tyr 65 70 75 80 ATG GAG CTG AGC AGC CTG AGA TCT GAA GAC ACG GCC GTG TAT TAC TGT 288 Met Glu Leu Ser Ser Leu Arg Ser Glu Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys 85 90 95 GCA AGG TTG ACG CGT AAT AAG TTT AAG TCG CGT GGT CAT 327 Ala Arg Leu Thr Arg Asn Lys Phe Lys Ser Arg Gly His 100 105 109
【0045】配列番号:6 配列の長さ:110 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 起源 直接の起源:Nissimライブラリー クローン名:18B10 配列: GAG GTG CAG CTG GTG GAG TCT GGG GGA
GGC TTG GTA CAA CCT GGG GGG 48 Glu Val Gln Leu Val Glu Ser Gly Gly
Gly Leu Val Gln Pro Gly Gly 5
10 15 TCC CTG AGA CTC TCC TGT GCA GCC TCT
GGA TTC ACC TTT AGC AGC AAT 96 Ser Leu Arg Leu Ser Cys Ala Ala Ser
Gly Phe Thr Phe Ser Ser Asn 20 25
30 GCC ATG AGC TGG GTC CGC CAG ACT CCA
GGG AAG GGG CTG GAG TGG GTC 144 Ala Met Ser Trp Val Arg Gln Thr Pro
Gly Lys Gly Leu Glu Trp Val 35 40
45 TCA GCT ATT AGT GGT AGT GGT GGT AGC
ACA TAC TAC GCA GAC TCC GTG 192 Ser Ala Ile Ser Gly Ser Gly Gly Ser
Thr Tyr Tyr Ala Asp Ser Val 50 55
60 AAG GGC CGG TTC ACC ATC TCC AGA GAC
AAT TCC AAG AAC ACG CTG TAT 240 Lys Gly Arg Phe Thr Ile Ser Arg Asp
Asn Ser Lys Asn Thr Leu Tyr 65 70
75 80 CTG CAA ATG AAC AGC CTG AGA GCC GAG
GAC ACG ACC GTG TAT TAC TGT 288 Leu Gln Met Asn Ser Leu Arg Ala Glu
Asp Thr Thr Val Tyr Tyr Cys 85
90 95 GCA AGA ACG CAG TAT CAT CAT GTG AGG
TAT CGT CAT TAT TTG 330 Ala Arg Thr Gln Tyr His His Val Arg
Tyr Arg His Tyr Leu 100 105
110
【0046】配列番号:7 配列の長さ:105 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 起源 直接の起源:Nissimライブラリー クローン名:18C2 配列: GAG GTT CAG CTG GTG GAG TCT GGG GGA GGC TTG GTA CAG CCT GGG GGG 48 Glu Val Gln Leu Val Glu Ser Gly Gly Gly Leu Val Gln Pro Gly Gly 5 10 15 TCC CTG AGA CTC TCC TGT GCA GGC TCT GGA TTC ACC TTC AGT AGC TAT 96 Ser Leu Arg Leu Ser Cys Ala Gly Ser Gly Phe Thr Phe Ser Ser Tyr 20 25 30 GCT ATG CAC TGG GTT CGC CAG GCT CCA GGA AAA GGT CTG GAG TGG GTA 144 Ala Met His Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Lys Gly Leu Glu Trp Val 35 40 45 TCA GCT ATT GGT ACT GGT GGT GGC ACA TAC TAT GCA GAC TCC GTG AAG 192 Ser Ala Ile Gly Thr Gly Gly Gly Thr Tyr Tyr Ala Asp Ser Val Lys 50 55 60 GGC CGA TTC ACC ATC TCC AGA GAC AAT GCC AAG AAC TCC TTG TAT CTT 240 Gly Arg Phe Thr Ile Ser Arg Asp Asn Ala Lys Asn Ser Leu Tyr Leu 65 70 75 80 CAA ATG AAC AGC CTG AGA GCC GAG GAC ACG GCC GTG TAT TAC TGT GCA 288 Gln Met Asn Ser Leu Arg Ala Glu Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys Ala 85 90 95 AGA GCT TGG GAT GTT CGT ACG TAG AGG 315 Arg Ala Trp Asp Val Arg Thr Glu Arg 100 105
【0047】配列番号:8 配列の長さ:102 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 起源 直接の起源:Nissimライブラリー クローン名:6D5 配列: CAG GTC CAG CTT GTG CAG TCT GGG GCT GAG GTG AAG AAG CCT GGG GCC 48 Gln Val Gln Leu Val Gln Ser Gly Arg Glu Val Lys Lys Pro Gly Ara 5 10 15 TCA GTG AAG GTT TCC TGC AAG GCT TCT GGA TAC ACC TTC ACT AGC TAT 96 Ser Val Lys Val Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Thr Phe Thr Ser Tyr 20 25 30 GCT ATG CAT TGG GTG CGA CAG GCC CCT GGA CAA GGA CTT GAG TGG ATG 144 Ala Met His Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Gln Gly Leu Glu Trp Met 35 40 45 GGA TGG ATC AAT GCT GGC AAT GGT AAC ACA GCA TAT GCA CAG AAG TTC 192 Gly Trp Ile Asn Ala Gly Asn Gly Asn Thr Ala Tyr Ala Gln Lys Phe 50 55 60 CAG GGC AGA GTC ACC ATA ACC AGG GAC ACG TCC ATG AGC ACA GCC TAC 240 Gln Gly Arg Val Thr Ile Thr Arg Asp Thr Ser Met Ser Thr Ala Tyr 65 70 75 80 ACG GAG CTG AGC AGC CTG AGA TCT GAG GAC ACG GCC GTG TAT TAC TGT 288 Thr Glu Leu Ser Ser Leu Arg Ser Glu Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys 85 90 95 GCA AGA TGT AGG GAG GAT TTG 309 Ala Arg Cys Arg Glu Asp Leu 100 103
【0048】配列番号:9 配列の長さ:51 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:合成DNA 配列: GCCTGAACCG CCTCCACCAG TCGACACGGT GACCAGGGTA CCTTGGCCCC A 51
【0049】配列番号:10 配列の長さ:17 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:合成DNA 配列: CAGGTACCTT GGCCCCA 17
【0050】配列番号:11 配列の長さ:18 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:合成DNA 配列: GGCCACAGAC ACAGCAGG
18
【図面の簡単な説明】
【図1】 抗体を示す模式図である。
【図2】 抗体ペプチドのg3pを介するファージ表面
での発現の状態を示す模式図であり、図中、(a)はFa
bフラグメント(抗体のVκ,CκとVH,CH1からなるヘテロ
二量体)、(b)はファージの模式図、(c)は一重鎖
のFvフラグメント(VHの下流にリンカーを介してVκを
つないだもの)の、g3pを介するファージ上での発現の
状態を示している。
【図3】 プラスミドpHEN1-Vλ3の模式図。
【図4】 クローン11F12を用いた競合阻害実験の結果
を示すグラフ。
【図5】 クローン18B10を用いた競合阻害実験の結果
を示すグラフ。
【図6】 クローン18C2を用いた競合阻害実験の結果を
示すグラフ。
【図7】 クローン6D5を用いた競合阻害実験の結果を
示すグラフ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G01N 33/53 G01N 33/53 D 33/531 33/531 A // A61K 39/395 A61K 39/395 D (C12N 1/21 C12R 1:19) (C12P 21/02 C12R 1:19)

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 グルタチオン及びグルタチオンで修飾さ
    れた蛋白質と結合することを特徴とする抗体蛋白質。
  2. 【請求項2】 CDR3領域に、少なくとも配列番号
    1、2、3又は4に記載のアミノ酸配列を含有する、免
    疫学的に活性なポリペプチド又は1個以上のアミノ酸の
    欠失、挿入又は置換によるその誘導体又はその活性フラ
    グメントである請求項1記載の抗体蛋白質。
  3. 【請求項3】 配列番号5、6、7又は8に記載のアミ
    ノ酸配列を含む免疫学的に活性なポリペプチド又は1個
    以上のアミノ酸の欠失、挿入又は置換によるその誘導体
    又はその活性フラグメントである請求項1記載の抗体蛋
    白質。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の抗体蛋
    白質をコードするDNA。
  5. 【請求項5】 配列番号1、2、3又は4に記載のアミ
    ノ酸配列をコードする塩基配列を含有する請求項4記載
    のDNA。
  6. 【請求項6】 請求項4又は5記載のDNAを含有する
    発現ベクター。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の発現ベクターで形質転換
    された宿主細胞。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の宿主細胞を培養し、培養
    物から免疫学的に活性な生成物を分離することを含む、
    抗グルタチオン抗体の製造方法。
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JP2006506634A (ja) * 2002-11-18 2006-02-23 ヴァルション テクニリネン ツッキムスケスクス 小さな分析物のための非競合的な免疫アッセイ法
JP2010195798A (ja) * 1997-10-20 2010-09-09 Domantis Ltd 種々のリガンドによるファージ提示ライブラリーのスクリーニング方法

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