JPH09153606A - 光電変換装置及びそれを用いた撮像装置 - Google Patents

光電変換装置及びそれを用いた撮像装置

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JPH09153606A
JPH09153606A JP8235301A JP23530196A JPH09153606A JP H09153606 A JPH09153606 A JP H09153606A JP 8235301 A JP8235301 A JP 8235301A JP 23530196 A JP23530196 A JP 23530196A JP H09153606 A JPH09153606 A JP H09153606A
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Toshio Kameshima
登志男 亀島
Tadao Endo
忠夫 遠藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大面積の光電変換装置のコストを低減し、検
査効率の向上、スループットの向上、貼り合わせにより
得られる装置のサイズの種類を増加し、駆動回路の種類
の増加がなく、接続を複雑にすることのない光電変換装
置を提供する。 【解決手段】 2次元的に配列された光電変換素子を搭
載した基板の複数枚100〜400を、それぞれの該光
電変換素子部が平面的に隣り合うように配列して貼り合
わせて構成したことを特徴とする光電変換装置。また、
前記基板は、複数の光電変換素子が平面的に配列された
光電変換素子部が形成された辺と、該光電変換素子部に
接続される回路部が形成された辺とを有し、該基板の複
数枚を、それぞれの前記光電変換素子部が平面的に隙間
なく隣り合うように配列して貼り合わせて構成したこと
を特徴とする光電変換装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光電変換装置に係
わり、特に大面積の光電変換装置、例えばファクシミ
リ、デジタル複写機あるいはX線撮像装置等に用いられ
る2次元の光電変換装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ファクシミリ、デジタル複写機等
の読み取り系としては、縮小光学系とCCD型センサを
用いた読み取り系が用いられていたが、近年、アモルフ
ァスシリコン(以下、a−Siと記す)に代表される光
電変換半導体材料の開発により、光電変換素子及び信号
処理部を大面積の基板に形成し、情報源と等倍の光学系
で読み取るいわゆる密着型センサの開発がめざましい。
特にa−Siは光電変換材料としてだけでなく、薄膜電
界効果型トランジスタ(以下TFTと記す)としても用
いることができるので光電変換半導体層とTFTの半導
体層とを同時に形成することができる利点を有してい
る。
【0003】a−Siを用いた光電変換装置は、その基
本構造が米国特許第4,376,888号明細書又は特
公昭62−23944号或は特公昭63−66117号
公報に記載されている。
【0004】a−Si光センサとa−Si TFTを一
体的に形成する為の具体例は米国特許第4,931,6
61号、第5,338,690号、第5,306,64
8号の各明細書に記載されている。
【0005】本発明者らは、これら明細書に開示の技術
を基に、画素数を大巾に増大させた2次元エリア型の光
電変換装置を試作した。その光電変換装置の概略を図
3、図2を参照して説明する。この装置はヨーロッパ特
許公開第0660421号公報に記載されている。
【0006】図3、図2に2000×2000個の画素
を持つ光電変換装置を示す平面図を示す。2000×2
000個の検出器を構成する場合、光電変換素子を縦・
横方向にそれぞれ数を増やせばよいが、この場合、制御
配線(走査線)もg1〜g2000に示すように200
0本になり信号配線(データ線)もsig1〜sig2
000に示すように2000本になる。また走査回路や
検出用集積回路(検出用IC)も2000本の制御・処
理をしなければならず大規模となる。これをそれぞれ1
チップのICで行うことは1チップが非常に大きくなり
製造時の歩留まりや価格等で不利である。そこで、図に
示すように走査回路は例えば100段のシフトレジスタ
を1個のチップに形成し、20個の走査回路チップ(S
R1−1〜SR1−20)を使用すれば良い。また検出
用集積回路も100個の処理回路を1個のチップに形成
し、20個の検出用集積回路チップ(IC1〜IC2
0)を使用する。
【0007】図3には左側(L)に20チップ(SR1
−1〜SR1−20)と下側(D)に20チップ実装
し、1チップあたり100本の制御配線、信号配線をお
のおのワイヤーボンディングでチップと接線している。
図3中破線で囲まれる部分は2次元エリア状に配列され
た光電変換素子アレイ部分に相当する。また検出用集積
回路の外部への接続は省略している。
【0008】図2には別の例が示されており、ここでは
左側(L)に10チップ(SR1−1〜SR1−10)
と右側(R)に10チップ(SR1−11〜SR1−2
0)と上側(U)に10チップ(IC1〜10)、下側
(D)に10チップ(IC11〜20)を実装してい
る。この構成は上・下・左・右側(U、D、L、R)に
それぞれ各配線を1000本ずつに振り分けているた
め、各辺の配線の密度が小さくなり、また各辺のワイヤ
ーボンディングの密度も小さく、製造歩留まりが向上す
る。配線の振り分けは左側(L)にg1,g3,g5,
…,g1999、右側(R)にg2,g4,g6,…,
g2000とし、つまり奇数番目の制御配線を左側
(L)、偶数番目の制御配線を右側(R)に振り分け
る。こうすると各配線は等間隔に引き出され配線される
ので密度の集中なく歩留まりが向上する。また、上側
(U)下側(D)への配線も同様に振り分ければよい。
【0009】また、図示していないが、別の例として、
配線の振り分けは左側(L)にg1〜g100,g20
1〜g300,…,g1801〜g1900、右側
(R)にg101〜g200,g301〜g400,
…,g1901〜g2000を振り分け、つまり、1チ
ップごと連続な制御線を振り分け、これを左・右側(L
・R)交互に振り分けることも考えられる。こうする
と、1チップ内は連続に制御でき、駆動タイミングの調
整や設定が容易で回路を複雑にしなくてよく、安価なI
Cが使用できる上・下側(U・D)についても同様で、
連続な処理が可能で安価なICが使用できる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、大面積
の光電変換装置では、製造時の微小なちり、特にアモル
ファスシリコンなどの半導体層を基板に堆積する時に薄
膜堆積装置の壁から剥れ出るゴミ、及びメタル層を基板
に堆積する時に残っているほこりを完全になくすことが
困難であったため、配線の不具合、即ち配線のショート
またはオープンをゼロにすることは困難であった。
【0011】また、大面積の光電変換装置では、制御配
線または信号配線がショートまたはオープンになると、
その配線に接続されている光電変換素子の全ての出力信
号が不正確なものとなり、光電変換装置としては使用不
可能となるのである。
【0012】つまり、大面積の光電変換装置を作製する
時の1枚の基板が大きくなればなるほど基板1枚あたり
の歩留まりは低くなり、同時に基板1枚あたりの不具合
による損失額も大きくなるのである。
【0013】又、一種類の基板サイズでは、それを貼り
合わせて装置を構成する場合に、貼り合わせ後の大面積
装置のサイズが元の基板サイズの2倍、4倍、6倍…と
いうように倍数に制限される。
【0014】更に、又制御配線の選択順序(走査順序)
を図2の矢印AL1に示す方向に設計しようとすると、
図2の左側Lに配される各走査回路SR1−1〜SR1
−10の出力端子の配置順序と、図2の右側Rに配され
る各走査回路SR1−11〜SR1−20の出力端子の
配列順序と、が互いに逆になる。従って、左右両側に配
される走査回路を同じ構造のICチップで作るとする
と、左又は右側いずれか一方の接続線(制御配線と走査
回路の出力端子とを接続する線)を多層配線等で構成し
なければならない。こうなると、接続線の構造が複雑且
つ高コストなものになり、又、走査回路の高密度実装を
妨げる。
【0015】又、出力端子の配置順序を変えた2種類の
ICを用意して一方を左側に、他方を右側に配すること
もできるが、基本動作が同じであるにもかかわらず2種
のICを製造することは高コスト化の原因になる。
【0016】このような問題は走査回路だけの問題では
なく読み出した信号を時系列に並べかえて出力する為の
検出用IC(IC−1〜IC−20)においても同様に
生じる。
【0017】[発明の目的]よって、本発明の第1の目
的は、大面積の光電変換装置を作製する時の基板1枚あ
たりの歩留まりを向上させ、かつ基板1枚あたりの不具
合による損失額を小さくすることにより、結果的に大面
積の光電変換装置のコストを低減することである。
【0018】また、本発明の第2の目的は、大面積の光
電変換装置を作製する時の検査工程の効率の向上および
それに伴うスループット向上および部品点数の削減に伴
う総合的なコストを低減することである。
【0019】本発明の第3の目的は、貼り合わせにより
得られる装置のサイズの種類を増大しうる光電変換装置
を提供することにある。
【0020】本発明の第4の目的は、駆動回路の種類を
増やすことなく、又、接続を複雑にすることのない光電
変換装置を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は、以下の手段を有する。
【0022】[1] 2次元的に配列された光電変換素
子を搭載した基板の複数枚を、それぞれの該光電変換素
子部が平面的に隣り合うように配列して貼り合わせて構
成したことを特徴とする光電変換装置。
【0023】[2] 前記基板は、複数の光電変換素子
が平面的に配列された光電変換素子部が形成された辺
と、該光電変換素子部に接続される回路部が形成された
辺とを有し、該基板の複数枚を、それぞれの前記光電変
換素子部が平面的に隙間なく隣り合うように配列して貼
り合わせて構成したことを特徴とする[1]記載の光電
変換装置。
【0024】[3] 前記基板は、該基板の隣り合う2
つの辺に接するように形成された前記光電変換素子部
と、他の隣り合う2つの辺の周辺に形成された前記光電
変換素子部に接続される回路部とを有し、同一構成の4
枚の前記基板を、各々平面上で90°回転させて配置
し、前記光電変換素子部が平面的に隙間なく隣り合うよ
うに縦横2枚ずつ4枚を貼り合わせて構成した[2]記
載の光電変換装置。
【0025】[4] 前記基板上には、第1の電極層、
絶縁層、光電変換半導体層、第1導電型のキャリアの注
入を阻止する半導体層、及び第2の電極層を積層した光
電変換素子を配列した光電変換素子部と、前記光電変換
半導体層に入射した信号光により発生した第1導電型の
キャリアを前記光電変換半導体層に留まらせ、前記第1
導電型と異なる第2導電型のキャリアを前記第2の電極
層に導く方向に前記光電変換素子に電界を与える光電変
換手段と、前記光電変換素子に電界を与えて、前記第1
導電型のキャリアを前記光電変換半導体層から前記第2
の電極層に導く方向に前記光電変換素子に電界を与える
リフレッシュ手段と、前記光電変換手段による光電変換
動作中に前記光電変換半導体層に蓄積された前記第1導
電型のキャリアもしくは前記第2の電極層に導かれた前
記第2導電型のキャリアを検出する為の信号検出部と、
を有する[1]〜[3]のいずれかに記載の光電変換装
置。
【0026】[5] 前記光電変換素子の上部に蛍光体
を配置し、X線レントゲン装置を構成した[1]〜
[4]のいずれかに記載の光電変換装置。
【0027】[6] 2次元に配列された光電変換素子
アレイを有する基板を隣接して配した光電変換装置にお
いて、前記基板として同一構成の基板を4枚用いて、互
いに90°回転させて縦横2枚ずつ貼り合わせたことを
特徴とする[1]記載の光電変換装置。
【0028】[7] 前記光電変換装置の4辺には駆動
回路が設けられている[6]記載の光電変換装置。
【0029】[8] 前記駆動回路は、同一構成の複数
の走査回路チップと、同一構成の複数の検出用回路チッ
プである[7]記載の光電変換装置。
【0030】[9] 前記光電変換装置の同一の辺に設
けられた駆動回路の走査方向が互いに異なる[1]又は
[6]記載の光電変換装置。
【0031】[10] 前記光電変換装置の各辺にはそ
れぞれ走査回路と検出用回路とが設けられている[1]
又は[6]記載の光電変換装置。
【0032】[11] それぞれ同一構成の複数のIC
チップで構成されている走査回路と検出用回路を有する
[1]又は[6]記載の光電変換装置。
【0033】[12] 前記4枚の基板のうち少なくと
も1枚の基板上の光電変換素子の数が他の3枚の基板の
うち少なくとも1枚と異なる[1]又は[6]記載の光
電変換装置。
【0034】[13] 前記4枚の基板のうち少なくと
も1枚の基板上の光電変換素子アレイの平面的形状が他
の3枚の基板のうち少なくとも1枚と異なる[1]又は
[6]記載の光電変換装置。
【0035】[14] 前記光電変換素子は、非単結晶
半導体の受光部を有する[1]又は[6]記載の光電変
換装置。
【0036】[15] 前記光電変換素子は光変換体を
有している[1]又は[6]記載の光電変換装置。
【0037】[16] 前記光変換体は蛍光体である
[1]又は[6]記載の光電変換装置。
【0038】[17] 前記光電変換装置の各々の辺に
は、走査回路と検出用回路とが設けられている[1]又
は[6]記載の光電変換装置。
【0039】[18] 前記光電変換装置の各々の辺に
は複数の走査回路チップと複数の検出用回路チップとが
設けられている[1]又は[6]記載の光電変換装置。
【0040】[19] 基板上に隣り合う2つの辺に接
するように形成された光電変換素子アレイ部と、他の隣
り合う2つの辺の周辺に形成された該光電変換素子アレ
イ部に接続される駆動回路部が配置されており、かつ、
前記光電変換素子アレイ部が平面的に隣り合うように、
前記基板を縦横2枚ずつ4枚を貼り合わせて構成した光
電変換装置において、前記基板のうち少なくとも1枚の
基板の光電変換素子の数又は光電変換素子部の平面的な
形状が、他の3枚のうちの少なくとも1枚の基板の光電
変換素子の数又は光電変換素子アレイ部の平面的な形状
と異なることを特徴とする[1]記載の光電変換装置。
【0041】[20] 前記光電変換装置の4辺には駆
動回路が設けられている[19]記載の光電変換装置。
【0042】[21] 前記駆動回路は、同一構成の複
数の走査回路チップと、同一構成の複数の検出用回路チ
ップである[20]記載の光電変換装置。
【0043】[22] 前記光電変換装置の同一の辺に
設けられた駆動回路の走査方向が互いに同じである[1
9]記載の光電変換装置。
【0044】[23] 前記光電変換素子は、非単結晶
半導体の受光部を有する[19]記載の光電変換装置。
【0045】[24] 前記光電変換素子は光変換体を
有している[19]記載の光電変換装置。
【0046】[25] 前記光変換体は蛍光体である
[19]記載の光電変換装置。
【0047】[26] 前記光電変換装置の各辺には、
走査回路と検出用回路がそれぞれ設けられている[1
9]記載の光電変換装置。
【0048】[27] 前記走査回路は複数の同一構成
の走査回路チップからなり、前記検出用回路は複数の同
一構成の検出用回路チップからなる[19]記載の光電
変換装置。
【0049】[28] [1]記載の光電変換装置と、
高エネルギー線発生装置と、を有することを特徴とする
撮像装置。
【0050】
【発明の実施の形態】
[作用]本発明によれば、作製する時の基板1枚あたり
の歩留まりを向上させ、かつ基板1枚あたりの不具合に
よる損失額は小さくすることができ、結果的に大面積の
光電変換装置のコストを低減することができるという作
用が得られる。
【0051】また、本発明によれば、検査工程の効率の
向上及びそれに伴うスループットの向上及び部品点数の
削減が可能となり、結果的に大面積の光電変換装置のコ
ストをさらに低減することができるという作用が得られ
る。
【0052】また、本発明によれば、大きさの異なる基
板を用いるので貼り合わせにより得られる装置のサイズ
の種類を増大できる。
【0053】また、本発明によれば、駆動回路の種類を
増やしたり、接続を複雑にしないですむ。
【0054】また、光電変換素子の注入阻止層が一か所
のみで光の入射量を検出することができ、プロセスの最
適化が容易で、歩留まりの向上が図れ、製造コストの低
減が可能で、SN比の高い低コストの光電変換装置を供
給することができるという作用が得られる。
【0055】また、X線撮像装置に適用すれば出力を瞬
時に写し出すことが可能となり、更に画像処理及びデー
タの保管も可能となる。又、感度もフィルムに比べて良
く、人体に影響の少ない微弱なX線で鮮明な画像を得る
ことができるという作用が得られる。
【0056】以下、本発明の実施の形態を図面に基づい
て詳細に説明する。
【0057】(第1の実施形態)図1は、本発明の第1
の実施形態に係る光電変換装置の全体平面図である。な
お、図3及び図2と同一機能の部分には同一符号を付し
てあり、説明を省略する場合がある。
【0058】図1に示す光電変換装置において特徴的な
点は、4枚の基板の上に構成されている光電変換装置1
00、200、300、400の各々4枚をすき間がで
きるだけ小さくなるように貼り合わせることによって1
つの大きな光電変換装置を構成している点である。
【0059】光電変換素子アレイを有する基板100の
上には、光電変換素子が1000×1000個配置され
(図中、斜線部)1000本の制御配線g1〜g100
0と1000本の信号配線sig1〜sig1000の
計2000本の配線と接続されている。走査回路SR1
は100段ごとに1個のチップに集積化されており、基
板100の上には、SR1−1〜SR1−10の計10
個の走査回路のチップが配置され制御配線g1〜g10
00と接続されている。
【0060】また、検出用集積回路も100個の処理回
路ごと1個のチップに集積化され、IC1〜IC10の
計10個の検出用ICチップが配置され信号配線sig
1〜sig1000と接続されている。
【0061】他の光電変換素子アレイを有する基板20
0、300、400においても基板100と同様であ
り、光電変換素子は1000×1000個配置されてお
り、1000本の制御配線と1000本の信号配線によ
り接続されている。また走査回路及び検出用集積回路も
同様に10個ずつ配置されている。これらの走査回路及
び検出用集積回路は各基板毎に異なるものを用いること
もできるが、本発明においては後述するように同一のI
Cチップを用いることが好ましい。また、4枚の光電変
換装置において同時に走査することも可能であり、その
ような場合は図3に示す例と比較すると1/4の走査時
間を短縮することが可能となる。
【0062】図1において各基板上の走査方向は、走査
回路SR1−1〜SR1−10においては矢印100S
Sに示す方向であり、検出用回路IC−1〜IC−10
においては矢印100SIに示す方向である。
【0063】図1に示す装置は、全く同じ構成の光電変
換素子アレイを有する基板が、互いに90°回転させて
配置されて構成されている。即ち、左上の基板100に
対して点PPを中心に時計回りに90°回転させると右
上の基板100の位置となり、更に90°回転させると
右下の基板100の位置になる。そして、時計回りに更
に90°回転させると左下の基板100の位置になる。
左下の基板100の位置は、換言すれば、左上の基板1
00の位置から点PPを中心に反時計回りに90°回転
させた位置となっている。
【0064】又、大面積の光電変換装置の4辺の各辺に
は走査回路SR1−1〜SR1−10と検出用回路IC
−1〜IC−10がそれぞれ設置されている。
【0065】図1の例では、各辺における走査回路の走
査方向100SSと検出用回路の走査方向100SIの
向きが反対向きであるが、いずれか一方の走査方向を逆
にすれば各辺における走査方向は走査回路及び検出用回
路共に同じ向きになる。各基板の検出用回路IC−1〜
IC−5から出力された信号は各基板に対応して設けら
れた4つのメモリ(不図示)にそれぞれ格納され、必要
に応じて座標変換等を行って図1における物理的な画素
の座標に対応させて処理すれば、入力された被写体の画
像を表示装置等に再生できる。
【0066】走査回路は単一方向にシフトするシフトレ
ジスタを有しており、そのシフトレジスタのシフト方向
により走査方向が定められる。
【0067】検出用回路も単一方向にシフトするシフト
レジスタを有しており、そのシフトレジスタのシフト方
向により、信号の取り込み順序又は取り込んだ信号の出
力順序(走査方向)が定められる。
【0068】本実施例によれば、走査回路及び検出用回
路共にそれぞれ一種類のICチップさえあれば光電変換
装置の駆動回路を構成できるので、駆動回路のコストが
高くならない。
【0069】又、多層配線等を用いて、走査回路や検出
用回路と、光電変換素子アレイの制御配線及び信号配線
と、を接続する必要もなく、単純な結線により接続で
き、コスト上昇が生じない。
【0070】各ICチップは、4つの基板を貼り合わせ
た後に、異方性導電性接着剤等で各基板と接続する方が
各基板と接続してから各基板を貼り合わせる方法より望
ましい。
【0071】4枚の光電変換素子アレイの基板をすき間
なく貼り合わせて大面積の光電変換装置を構成すること
により、基板1枚あたりの歩留まりは高くなり、同時に
基板1枚あたりの不具合による損失額を小さくすること
ができる。
【0072】具体的には、図1の大面積光電変換装置に
おける光電変換素子が配置してある面積と図3の光電変
換装置における光電変換素子が配置してある面積が同じ
場合、図1に示す各基板内のすべての制御配線とすべて
の信号配線の合計の長さは図3に示す光電変換装置内の
すべての制御配線とすべての信号配線の合計の長さの約
1/4となる。このような光電変換装置において制御配
線及び信号配線のショートまたはオープンはその配線に
接続されている光電変換素子のすべての出力信号が不正
確なものとなるため、光電変換装置としては使用不可能
となってしまう。そのため、すべての信号配線及びすべ
ての信号配線の合計の長さにほぼ比例して上記のような
不具合が生じ、歩留まりを下げるのである。
【0073】よって、図1に示す基板1枚あたりの配線
の不具合による歩留まりは、図3に示す光電変換装置の
約4倍となる。また、図1に示す基板1枚が不具合とな
り、使用不可能になった場合の損失額は、基板の面積に
ほぼ比例するため、図3に示す光電変換装置において不
具合を発生し使用不可能になった場合の損失額の約1/
4となるのである。
【0074】また、光電変換素子の基板上には、図4
(a)、図4(b)に示すように、第1の電極層2、絶
縁層7、光電変換を行いうる半導体層4、第1導電型の
キャリアの注入を阻止する半導体層5、及び第2の電極
層6を積層した光電変換素子が設けられている。そし
て、この光電変換装置は前記半導体層5に入射した信号
光により発生した第1導電型のキャリアを前記半導体層
5に蓄積させ、前記第1導電型と異なる第2導電型のキ
ャリアを前記第2の電極層6に導く方向に前記受光素子
に電界を与える光電変換手段と、前記受光素子に電界を
与えて、前記第1導電型のキャリアを前記半導体層から
前記第2の電極層に導く方向に前記光電変換素子に電界
を与えるリフレッシュ手段と、前記光電変換手段による
光電変換動作中に前記半導体層に蓄積された前記第1導
電型のキャリアもしくは前記第2の電極層に導かれた前
記第2導電型のキャリアを検出する為の信号検出部と、
を有している。
【0075】図4(a)、図4(b)において、S11
は受光素子、T11はTFT、C11はコンデンサ、お
よびSIGは信号配線である。コンデンサC11と受光
素子S11とを分離せず、受光素子S11とコンデンサ
C11とを一体的に形成している。これは受光素子とコ
ンデンサとTFTとがほぼ同じ層構成であるから可能な
ことである。また、画素上部にはパッシベーション膜と
して窒化シリコン膜SiNが形成されている。上方より
光が光電変換素子に入射すると電気信号(蓄積電荷量)
に変換される。
【0076】(第2の実施形態)本発明の第2の実施形
態に係る光電変換装置は図1に示すものと同じである。
【0077】本実施形態の光電変換装置において特徴的
な点は、図1で説明した4枚の基板上の光電変換素子ア
レイ100がすべて同一の光電変換素子アレイ100で
構成されており、かつ各々の光電変換素子アレイを有す
る基板4枚を同一平面内において90°ずつ回転させす
き間なく貼り合わせることによって1つの大きな光電変
換装置を構成している点である。同一構成のアレイは、
同じ製造プロセスによって作製される。
【0078】基板100の上には、光電変換素子が10
00×1000個配置され、1000本の制御配線g1
〜g1000と1000本の信号配線sig1〜sig
1000の計2000本の配線と接続されている。走査
回路SR1は100段ごとに1個のチップに集積化され
ており、基板100の上には、SR1−1〜SR1−1
0の計10個のチップが配置され制御配線g1〜g10
00と接続されている。
【0079】また、検出用集積回路も100個の処理回
路ごと1個のチップに集積化され、IC1〜IC10の
計10個のチップが配置され信号配線sig1〜sig
1000と接続されている。これらの走査回路及び検出
用集積回路は各基板毎に同じものを用いる。また、4枚
の光電変換装置において同時に走査することも可能であ
り、そのような場合は図8に示す例と比較すると1/4
の走査時間に短縮できる。
【0080】基板上に所定のパターンの光電変換素子及
び配線を形成したものを4つ用意し、同一のシフトレジ
スタ及び検出用集積回路を実装し、その4枚の基板を各
々90°ずつ回転させすき間なく貼り合わせて大面積の
光電変換装置を構成することにより、部品点数の大幅な
削減が可能となる。また、検査工程も1種類の装置で行
うことが可能となり、検査工程の効率の向上及びそれに
伴うスループットの向上が可能となる。その結果大面積
の光電変換装置のコストを低減することが可能となる。
【0081】(第3の実施形態)図5は、本発明の第3
の実施形態に係る光電変換装置の全体平面図である。な
お図3乃至図1と同一機能の部分には同一符号を付して
あり、説明を省略する場合がある。
【0082】図5に示す光電変換装置において特徴的な
点は、4つの光電変換素子アレイの基板の各々の光電変
換素子部の光電変換素子数及び/又は光電変換素子部の
平面的な形状が互いに異なっていることである。
【0083】具体的には図1の右上の基板と図5の右上
の基板220の相違点は光電変換素子数が1000個×
1000個から700個×1000個になった点であ
り、それに伴ない信号配線が1000本から700本へ
減少し、検出用集積回路が10個から7個へ減少してい
る。
【0084】同様に図1の左下の基板と図5の左下の基
板440の相違点は光電変換素子数が1000個×10
00個から1000個×700個になった点であり、そ
れに伴ない制御配線が、1000本から700本へ減少
し、走査回路が10個から7個へ減少している。
【0085】同様に図1の右下の基板と図5の右下の基
板330の相違点は、光電変換素子数が1000個×1
000個から700個×700個になった点であり、そ
れに伴ない信号配線及び制御配線が1000本から70
0本へ共に減少し、検出用集積回路及び走査回路が共に
10個から7個へ減少している。
【0086】このように4枚の基板のうちの一部の基板
の光電変換素子アレイ部の光電変換素子数及び/又は光
電変換素子アレイ部の平面的な形状を変更することによ
り、4枚貼り合わせて構成した光電変換装置の全体的な
光電変換素子部の面積又は形状を変更する事が可能とな
る。
【0087】即ち、4枚貼り合わせて光電変換装置を構
成する場合、通常は標準的な大きさの光電変換素子アレ
イを有する基板を4枚作製し、それらを貼り合わせるの
であるが、4枚貼り合わせた時の全体的な光電変換部の
大きさが小さいものや大きいもの、又は全体的な光電変
換部の形状が異なるものが必要な時は、4枚の基板のう
ち1枚又は2枚又は3枚だけを新たに作製し、それを標
準的な光電変換素子アレイを有する基板と入れ替えるこ
とで、所望の4枚貼り合わせの光電変換装置を構成する
ことが可能になる。
【0088】具体的な例として、図1に示した光電変換
装置を標準的な成人用のX線装置の読み取り部として用
いる事が考えられるが、そういう場合、図5の小型化し
た装置を小児用のX線装置の読み取り部として用いる事
ができる。
【0089】以上のように、4枚貼り合わせた場合の全
体的な光電変換部の形状が異なった光電変換装置を形成
する場合、4枚の光電変換装置全てを新たに作製するこ
となく、一部の光電変換装置を新たに作製することによ
り所望とする光電変換装置を構成することができる。
【0090】これにより、各光電変換装置の設計及び部
品コスト及び検査コストを低減する事が可能になり、総
合的な製品コストを下げる事が可能になる。
【0091】(第4の実施形態)第4の実施形態として
は、上記した第1乃至第3の各実施形態の光電変換素子
の上部に蛍光体を配置し、X線レントゲン装置を構成し
たものである。
【0092】基板上の構成は、前述した図4(b)の光
入射側にX線等の高エネルギー線を吸収し可視光を発生
する発光体の層を設けたものである。それを図6に示
す。パッシベーション膜SiN上に発光体としての蛍光
体を配している。この蛍光体としてはヨウ化セシウム
(CsI)が挙げられ、X線を受光すると蛍光を発生す
る。この蛍光を受光素子S11で光電変換する。例えば
縦横1mmあたり5×5個の画素を2000×2000
個の画素として2次元的に配置すれば40cm×40c
mのX線検出器が得られる。
【0093】これをX線フィルムの代わりにX線発生器
と組み合わせX線レントゲン装置を構成すれば胸部レン
トゲン検診や乳ガン検診に使用できる。するとフィルム
と異なり瞬時にその出力をCRTで写し出すことが可能
で、さらに出力をディジタルに変換しコンピュータで画
像処理して目的に合わせた出力に変換することも可能で
ある。また光磁気ディスクに保管もでき、過去の画像を
瞬時に検索することもできる。また感度もフィルムより
良く人体に影響の少ない微弱なX線で鮮明な画像を得る
こともできる。
【0094】次に、図7、図8を参照して本発明に用い
られる光電変換素子アレイの駆動法について説明する。
ここでは1チップの走査回路による走査線数を3、1チ
ップの検出用ICによるデータ線数を3として3×3マ
トリクスの光電変換素子アレイを駆動する場合を例に挙
げるが、走査回路ICと検出用ICとを10個づつ用い
走査線を1000本、データ線を1000本、光電変換
素子を1000×1000マトリクスとすれば、図1の
1つの基板の走査・検出が行えることは明らかである。
【0095】図7は、本発明の光電変換装置の駆動方法
を説明する為の回路図である。各光電変換素子(画素)
の構成としては図4(a)、図4(b)、図6に示した
ものと同じ構造を採用できる。
【0096】図7において、S11〜S33は受光素子
で下部電極側をG、上部電極側をDで示している。C1
1〜C33は蓄積用コンデンサ、T11〜T33は転送
用TFTである。Vsは読み出し用電源、Vgはリフレ
ッシュ用電源であり、それぞれスイッチSWs、SWg
を介して全光電変換素子S11〜S33のG電極に接続
されている。スイッチSWsはインバータを介して、ス
イッチSWgは直接にリフレッシュ制御回路RFに接続
されており、リフレッシュ期間はスイッチSWgがon
するよう制御されている。1画素は1個の受光素子とコ
ンデンサ、およびTFTで構成され、その出力信号は信
号配線SIGを介して検出用集積回路ICに出力され
る。
【0097】図7中の破線で囲んだ部分は大面積の同一
絶縁基板上に形成されている。
【0098】図8は図7の動作を示すタイミングチャー
トである。
【0099】はじめに走査回路SR1およびSR2によ
り制御配線g1〜g3、s1〜s2にハイレベルのパル
スが印加される。すると転送用TFT・T11〜T33
とスイッチM1〜M3がオンし導通し、全受光素子S1
1〜S33のD電極は基準電位としてのGND電位にな
る(積分検出器Ampの入力端子はGND電位に設計さ
れているため)。同時にリフレッシュ制御回路RFがハ
イレベルのパルスを出力しスイッチSWgがオンし全受
光素子S11〜S33のG電極はリフレッシュ用電源V
gにより正電位になる。すると全受光素子S11〜S3
3はリフレッシュモードになりリフレッシュされる。つ
ぎにリフレッシュ制御回路RFがローレベルのパルスを
出力しスイッチSWsがオンし全受光素子S11〜S3
3のG電極は読み取り用電源Vsにより負電位になる。
すると全受光素子S11〜S33は光電変換モードにな
り同時にコンデンサC11〜C33は初期化される。こ
の状態で走査回路SR1およびSR2により制御回路g
1〜g3、s1〜s2にローレベルのパルスが印加され
る。すると転送用TFT・T11〜T33のスイッチM
1〜M3がオフし、全受光素子S11〜S33のD電極
はDC的にはオープンになるがコンデンサC11〜C3
3によって電位は保持される。
【0100】しかし、この時点では光線は入射されてい
ないため、全受光素子S11〜S33には光は入射され
ず光電流は流れない。この状態で光線がパルス的に出射
され被写体を介して受光素子S11〜S33に入射す
る。この光により流れた光電流は電荷としてそれぞれの
コンデンサC11〜C33に蓄積され光線の入射終了後
も保持される。
【0101】つぎに、走査回路SR1により制御配線g
1にハイレベルの制御パルスが印加され、走査回路SR
2の制御配線s1〜s3への制御パルス印加によって転
送用TFT・T11〜T33のスイッチM1〜M3を通
してv1〜v3が順次出力される。同様に走査回路SR
1、SR2の制御により他の光信号も順次出力される。
2次元の光情報が電気信号に変換されてv1〜v9とし
て得られる。静止画像を得る場合はここまでの動作であ
るが動画像を得る場合はここまでの動作を繰り返す。
【0102】この光電変換装置では受光素子のG電極が
共通に接続され、この共通の配線をスイッチSWgとス
イッチSWsを介してリフレッシュ用電源Vgと読み取
り用電源Vsに接続して、G電極の電位に制御している
為、全光電変換素子を同時にリフレッシュモードと光電
変換モードとに切り換えることができる。このため複雑
な制御なくして1画素あたり1個のTFTで光出力を得
ることができる。
【0103】従来のX線レントゲン装置におけるX線フ
ィルムに代えて本発明の光電変換装置をX線発生器と組
み合わせ用いれば新規なX線レントゲン装置となる。
【0104】これは胸部レントゲン検診や乳ガン検診に
使用できる。するとフィルムと異なり瞬時にその出力を
CRTで映し出すことが可能で、さらに出力をディジタ
ルに変換しコンピュータで画像処理して目的に合わせた
出力に変換することも可能である。また光磁気ディスク
に保管もでき、過去の画像を瞬時に検索することもでき
る。また感度もフィルムより良く人体に影響の少ない微
弱なX線で鮮明な画像を得ることもできる。
【0105】又、本発明の光電変換装置に用いられる受
光素子としては、光導電素子や光起電力素子が用いられ
るが、以下に述べる理由により、図4(a)、図4
(b)、図6に示したような光電変換素子が好ましく用
いられる。
【0106】図9(a)〜(c)は受光素子としての光
センサの構成を示す図であり、図9(a),(b)は二
種類の光センサの層構成を示し、図9(c)は共通した
代表的な駆動方法を示している。図9(a),(b)共
にフォト・ダイオード型の光センサであり、図9(a)
はPIN型、図9(b)はショットキー型と称されてい
る。
【0107】図9(a),(b)中、1は絶縁基板、2
は下部電極、3はp型半導体層(以下p層と記す)、4
は真性半導体層(以下i層と記す)、5はn型半導体層
(以下n層と記す)6は透明電極である。図9(b)の
ショットキー型では下部電極2の材料を適当に選び、下
部電極2からi層4に電子が注入されないようショット
キーバリア層が形成されている。図9(c)において、
10は上記光センサを記号化して表わした光センサを示
し、11は電源、12は電流アンプ等の検出部を示して
いる。光センサ10中Cで示された方向は図9(a),
(b)中の透明電極6側、Aで示された方向が下部電極
2側であり、電源11はA側に対しC側に正の電圧が加
わる様に設定されている。
【0108】ここで動作を簡単に説明する。図9
(a),(b)に示されるように、矢印で示された方向
から光が入射され、i層4に達すると、光は吸収され電
子とホールが発生する。i層4には電源11により電界
が印加されているため電子はC側、つまりn層5を通過
して透明電極6に移動し、ホールはA側つまり下部電極
2に移動する。よって、光センサ10に光電流が流れた
ことになる。また、光が入射しない場合i層4で電子も
ホールも発生せず、また、透明電極内6のホールはn層
5がホールの注入阻止層として働き、下部電極2内の電
子は図9(a)のPIN型ではp層3が、図9(b)の
ショットキー型ではショットキーバリア層が、電子の注
入阻止層として働き、電子、ホール共に移動できず、電
流は流れない。したがって光の入射の有無で電流が変化
し、これを図9(c)の検出部12で検出すれば光セン
サとして動作する。
【0109】しかしながら、上記光センサでSN比が高
く、低コストの光電変換装置を生産するのは困難であっ
た。以下その理由について説明する。
【0110】第1の理由は、図9(a)のPIN型、図
9(b)のショットキー型は共に2ヵ所に注入阻止層が
必要なところにある。図9(a)のPIN型において注
入阻止層であるn層5は電子を透明電極6に導くと同時
にホールがi層4に注入するのを阻止する特性が必要で
ある。どちらかの特性を逸すれば光電流が低下したり、
光が入射しない時の電流(以下暗電流と記す)が発生、
増加することになりSNの低下の原因になる。この暗電
流はそれ自身がノイズと考えられると同時にショットノ
イズと呼ばれるゆらぎ、いわゆる量子ノイズを含んでお
り、たとえ検出部12で暗電流を差し引く処理をして
も、暗電流に伴う量子ノイズを小さくすることはできな
い。通常この特性を向上させるためi層4やn層5の成
膜の条件や、作成後のアニールの条件の最適化を図る必
要がある。しかし、もう一つの注入阻止層であるp層3
についても電子、ホールが逆ではあるが同等の特性が必
要であり、同様に各条件の最適化が必要である。通常、
前者n層の最適化と後者p層の最適化の条件は同一でな
く、両者の条件を同時に満足させるのは困難である。つ
まり、同一光センサ内に二ヵ所の注入阻止層が必要なこ
とは高SN比の光センサの形成を困難にする。
【0111】これは図9(b)のショットキー型におい
ても同様である。また図9(b)のショットキー型にお
いては片方の注入阻止層にショットキーバリア層を用い
ているが、これは下部電極2とi層4の仕事関数の差を
利用するもので、下部電極2の材料が限定されたり、界
面の局在準位の影響が特性に大きく影響し、条件を満足
させるのはさらに困難である。また、さらにショットキ
ーバリア層の特性を向上させるために、下部電極2とi
層4の間に100オングストローム前後の薄いシリコン
や金属の酸化膜、窒化膜を形成することも報告されてい
るが、これはトンネル効果を利用し、ホールを下部電極
2に導き、電子のi層4への注入を阻止する効果を向上
させるもので、やはり仕事関数の差を利用しているため
下部電極2の材料の限定は必要であるし、電子の注入の
阻止とトンネル効果によるホールの移動という逆の性質
を利用するため酸化膜や窒化膜は100オングストロー
ム前後と非常に薄いところに限定され、かつ、厚さや膜
質の制御は難しく生産性を低下させられる。
【0112】また、注入阻止層が2ヵ所必要なことは生
産性を低下させコストもアップする。これは注入阻止層
が特性上需要な為2ヵ所中1ヵ所でもゴミ等で欠陥が生
じた場合、光センサとしての特性が得られないからであ
る。
【0113】図2の理由を図10を用いて説明する。図
10は薄膜の半導体膜で形成した電界効果型トランジス
タ(TFT)の層構成を示している。TFTは光電変換
装置を形成するうえで制御部の一部として利用すること
がある。図中図9と同一なものは同番号で示してある。
図10において、7はゲート絶縁膜であり、60は上部
電極である。形成法を順を追って説明する。絶縁基板1
上にゲート電極(G)として働く下部電極2、ゲート絶
縁膜7、i層4、n層5、ソース、ドレイン電極(S、
D)として働く上部電極60を順次成膜し、上部電極6
0をエッチングしてソース、ドレイン電極を形成し、そ
の後n層5をエッチングしてチャネル部を構成してい
る。TFTの特性はゲート絶縁膜7とi層4の界面の状
態に敏感で通常その汚染を防ぐために同一真空内で連続
に堆積する。
【0114】従来の光センサをこのTFTと同一基板上
に形成する場合、この層構成が問題となりコストアップ
や特性の低下を招く。この理由は図9に示した光センサ
の構成が、図9(a)のPIN型が電極/p層/i層/
n層/電極、図9(b)のショットキー型が電極/i層
/n層/電極という構成であるのに対し、TFTは電極
/絶縁膜/i層/n層/電極という構成で両者が異なる
からである。これは同一プロセスで形成できないことを
示し、プロセスの複雑化による歩留まりの低下、コスト
アップを招く。また、i層/n層を共通化するにはゲー
ト絶縁膜7やp層3のエッチング工程が必要となり、先
に述べた光センサの重要な層である注入阻止層のp層3
とi層4が同一真空内で成膜できなかったり、TFTの
重要なゲート絶縁膜7とi層4の界面がゲート絶縁膜の
エッチングにより汚染され、特性の劣化やSN比の低下
の原因になる。
【0115】また、前述した図9(b)のショットキー
型の特性を改善するため下部電極2とi層4の間に酸化
膜や窒化膜を形成したものは膜構成の順は同一であるが
先に述べたように酸化膜や窒化膜は100オングストロ
ーム前後である必要がありゲート絶縁膜と共用すること
は困難である。
【0116】図11に、ゲート絶縁膜とTFTの歩留ま
りについて、我々が実験した結果を示す。ゲート絶縁膜
厚が1000オングストローム以下で歩留まりは急激に
低下し、800オングストロームで歩留まりは約30
%、500オングストロームで歩留まりは0%、250
オングストロームではTFTの動作すら確認できなかっ
た。トンネル効果を利用した光センサの酸化膜や窒化膜
と、電子やホールを絶縁しなければならないTFTのゲ
ート絶縁膜を共用化することは明らかに困難であり、こ
れをデータが示している。
【0117】またさらに、図示していないが電荷や電流
の積分値を得るのに必要となる素子である容量素子(以
下コンデンサと記す)を光センサと同一の構成でリーク
が少ない良好な特性のものを作るのは難しい。コンデン
サは2つの電極間に電荷を蓄積するのが目的なため電極
間の中間層には必ず電子とホールの移動を阻止する層が
必要であるのに対し、従来の光センサは電極間に半導体
層のみ利用しているため熱的にリークの少ない良好な特
性の中間層を得るのは難しいからである。
【0118】このように光電変換装置を構成するうえで
重要な素子であるTFTやコンデンサとプロセス的にま
たは特性的にマッチングが良くないことは複数の光セン
サを2次元に多数配置し、この光信号を順次検出するよ
うなシステム全体を構成するうえで工程が多くかつ複雑
になるため歩留まりが非常に悪く、低コストで高性能多
機能な装置を作るうえで問題になる。
【0119】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明によれ
ば、作製する時の基板1枚あたりの歩留まりを向上さ
せ、かつ基板1枚あたりの不具合による損失額は小さく
することができ、結果的に大面積の光電変換装置のコス
トを低減することができるという効果が得られる。
【0120】また、本発明によれば、検査工程の効率の
向上及びそれに伴うスループットの向上及び部品点数の
削減が可能となり、結果的に大面積の光電変換装置のコ
ストをさらに低減することができるという効果が得られ
る。
【0121】また、本発明によれば、大きさの異なる基
板を用いるので貼り合わせにより得られる装置のサイズ
の種類を増大できるという効果が得られる。
【0122】また、本発明によれば、駆動回路の種類を
増やしたり、接続を複雑にしないですむという効果が得
られる。
【0123】また、本発明によれば、光電変換素子の注
入阻止層が一か所のみで光の入射量を検出することがで
き、プロセスの最適化が容易で、歩留まりの向上が図
れ、製造コストの低減が可能で、SN比の高い低コスト
の光電変換装置を供給することができるという効果が得
られる。
【0124】また、本発明によれば、本発明の光電変換
装置をX線撮像装置に適用すれば、出力を瞬時に写し出
すことが可能となり、更に画像処理及びデータの保管も
可能となる。又、感度もフィルムに比べて良く、人体に
影響の少ない微弱なX線で鮮明な画像を得ることができ
るという効果が得られる。
【0125】また、本発明によれば、走査回路及び検出
用回路共にそれぞれ一種類のICチップさえあれば光電
変換装置の駆動回路を構成できるので、駆動回路のコス
トが高くならないという効果が得られる。
【0126】また、本発明によれば、多層配線等を用い
て、走査回路や検出用回路と、光電変換素子アレイの制
御配線及び信号配線と、を接続する必要もなく、単純な
結線により接続でき、コスト上昇が生じないという効果
が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る光電変換装置の
全体平面図である。
【図2】2000×2000個の画素を持つ光電変換装
置を示す平面図である。
【図3】2000×2000個の画素を持つ光電変換装
置を示す平面図である。
【図4】光電変換素子の基板上の構成を示す平面図
(a)及び断面図(b)である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る光電変換装置の
全体平面図である。
【図6】本発明の第4の実施形態として、第1乃至第3
の各実施形態の光電変換素子の上部に蛍光体を配置し、
X線レントゲン装置を構成した例を示す断面模式図であ
る。
【図7】本発明の光電変換装置の駆動方法を説明する為
の回路図である。
【図8】図7の動作を示すタイミングチャートである。
【図9】光センサの層構成と、代表的な駆動方法を示す
図である。
【図10】薄膜の半導体膜で形成した電界効果型トラン
ジスタ(TFT)の層構成を示す図である。
【図11】ゲート絶縁膜とTFTの歩留まりの実験結果
を示す図である。
【符号の説明】
100、200、300、400 光電変換装置(基
板) g1〜g1000 制御配線 sig1〜sig1000 信号配線 SR1−1〜SR1−10 走査回路チップ IC1〜IC10 検出用ICチップ 100SI、100SS 走査方向
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H04N 1/028 H01L 27/14 K 31/02 B 5/335 31/10 A (72)発明者 亀島 登志男 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 遠藤 忠夫 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 竹田 慎市 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (28)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2次元的に配列された光電変換素子を搭
    載した基板の複数枚を、それぞれの該光電変換素子部が
    平面的に隣り合うように配列して貼り合わせて構成した
    ことを特徴とする光電変換装置。
  2. 【請求項2】 前記基板は、複数の光電変換素子が平面
    的に配列された光電変換素子部が形成された辺と、該光
    電変換素子部に接続される回路部が形成された辺とを有
    し、該基板の複数枚を、それぞれの前記光電変換素子部
    が平面的に隙間なく隣り合うように配列して貼り合わせ
    て構成したことを特徴とする請求項1記載の光電変換装
    置。
  3. 【請求項3】 前記基板は、該基板の隣り合う2つの辺
    に接するように形成された前記光電変換素子部と、他の
    隣り合う2つの辺の周辺に形成された前記光電変換素子
    部に接続される回路部とを有し、 同一構成の4枚の前記基板を、各々平面上で90°回転
    させて配置し、前記光電変換素子部が平面的に隙間なく
    隣り合うように縦横2枚ずつ4枚を貼り合わせて構成し
    た請求項2記載の光電変換装置。
  4. 【請求項4】 前記基板上には、 第1の電極層、絶縁層、光電変換半導体層、第1導電型
    のキャリアの注入を阻止する半導体層、及び第2の電極
    層を積層した光電変換素子を配列した光電変換素子部
    と、 前記光電変換半導体層に入射した信号光により発生した
    第1導電型のキャリアを前記光電変換半導体層に留まら
    せ、前記第1導電型と異なる第2導電型のキャリアを前
    記第2の電極層に導く方向に前記光電変換素子に電界を
    与える光電変換手段と、 前記光電変換素子に電界を与えて、前記第1導電型のキ
    ャリアを前記光電変換半導体層から前記第2の電極層に
    導く方向に前記光電変換素子に電界を与えるリフレッシ
    ュ手段と、 前記光電変換手段による光電変換動作中に前記光電変換
    半導体層に蓄積された前記第1導電型のキャリアもしく
    は前記第2の電極層に導かれた前記第2導電型のキャリ
    アを検出する為の信号検出部と、 を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の光電変換
    装置。
  5. 【請求項5】 前記光電変換素子の上部に蛍光体を配置
    し、X線レントゲン装置を構成した請求項1〜4のいず
    れか1項に記載の光電変換装置。
  6. 【請求項6】 2次元に配列された光電変換素子アレイ
    を有する基板を隣接して配した光電変換装置において、 前記基板として同一構成の基板を4枚用いて、互いに9
    0°回転させて縦横2枚ずつ貼り合わせたことを特徴と
    する請求項1記載の光電変換装置。
  7. 【請求項7】 前記光電変換装置の4辺には駆動回路が
    設けられている請求項6に記載の光電変換装置。
  8. 【請求項8】 前記駆動回路は、同一構成の複数の走査
    回路チップと、同一構成の複数の検出用回路チップであ
    る請求項7に記載の光電変換装置。
  9. 【請求項9】 前記光電変換装置の同一の辺に設けられ
    た駆動回路の走査方向が互いに異なる請求項1又は6に
    記載の光電変換装置。
  10. 【請求項10】 前記光電変換装置の各辺にはそれぞれ
    走査回路と検出用回路とが設けられている請求項1又は
    6に記載の光電変換装置。
  11. 【請求項11】 それぞれ同一構成の複数のICチップ
    で構成されている走査回路と検出用回路を有する請求項
    1又は6に記載の光電変換装置。
  12. 【請求項12】 前記4枚の基板のうち少なくとも1枚
    の基板上の光電変換素子の数が他の3枚の基板のうち少
    なくとも1枚と異なる請求項1又は6に記載の光電変換
    装置。
  13. 【請求項13】 前記4枚の基板のうち少なくとも1枚
    の基板上の光電変換素子アレイの平面的形状が他の3枚
    の基板のうち少なくとも1枚と異なる請求項1又は6に
    記載の光電変換装置。
  14. 【請求項14】 前記光電変換素子は、非単結晶半導体
    の受光部を有する請求項1又は6に記載の光電変換装
    置。
  15. 【請求項15】 前記光電変換素子は光変換体を有して
    いる請求項1又は6に記載の光電変換装置。
  16. 【請求項16】 前記光変換体は蛍光体である請求項1
    又は6に記載の光電変換装置。
  17. 【請求項17】 前記光電変換装置の各々の辺には、走
    査回路と検出用回路とが設けられている請求項1又は6
    記載の光電変換装置。
  18. 【請求項18】 前記光電変換装置の各々の辺には複数
    の走査回路チップと複数の検出用回路チップとが設けら
    れている請求項1又は6記載の光電変換装置。
  19. 【請求項19】 基板上に隣り合う2つの辺に接するよ
    うに形成された光電変換素子アレイ部と、他の隣り合う
    2つの辺の周辺に形成された該光電変換素子アレイ部に
    接続される駆動回路部が配置されており、かつ、前記光
    電変換素子アレイ部が平面的に隣り合うように、前記基
    板を縦横2枚ずつ4枚を貼り合わせて構成した光電変換
    装置において、 前記基板のうち少なくとも1枚の基板の光電変換素子の
    数又は光電変換素子部の平面的な形状が、他の3枚のう
    ちの少なくとも1枚の基板の光電変換素子の数又は光電
    変換素子アレイ部の平面的な形状と異なることを特徴と
    する請求項1記載の光電変換装置。
  20. 【請求項20】 前記光電変換装置の4辺には駆動回路
    が設けられている請求項19に記載の光電変換装置。
  21. 【請求項21】 前記駆動回路は、同一構成の複数の走
    査回路チップと、同一構成の複数の検出用回路チップで
    ある請求項20に記載の光電変換装置。
  22. 【請求項22】 前記光電変換装置の同一の辺に設けら
    れた駆動回路の走査方向が互いに同じである請求項19
    に記載の光電変換装置。
  23. 【請求項23】 前記光電変換素子は、非単結晶半導体
    の受光部を有する請求項19に記載の光電変換装置。
  24. 【請求項24】 前記光電変換素子は光変換体を有して
    いる請求項19に記載の光電変換装置。
  25. 【請求項25】 前記光変換体は蛍光体である請求項1
    9に記載の光電変換装置。
  26. 【請求項26】 前記光電変換装置の各辺には、走査回
    路と検出用回路がそれぞれ設けられている請求項19記
    載の光電変換装置。
  27. 【請求項27】 前記走査回路は複数の同一構成の走査
    回路チップからなり、前記検出用回路は複数の同一構成
    の検出用回路チップからなる請求項19記載の光電変換
    装置。
  28. 【請求項28】 請求項1記載の光電変換装置と、高エ
    ネルギー線発生装置と、を有することを特徴とする撮像
    装置。
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