JPH09153345A - 蛍光ランプおよび照明装置 - Google Patents

蛍光ランプおよび照明装置

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Publication number
JPH09153345A
JPH09153345A JP31261095A JP31261095A JPH09153345A JP H09153345 A JPH09153345 A JP H09153345A JP 31261095 A JP31261095 A JP 31261095A JP 31261095 A JP31261095 A JP 31261095A JP H09153345 A JPH09153345 A JP H09153345A
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JP
Japan
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phosphor
fluorescent lamp
protective film
visible light
bulb
Prior art date
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Pending
Application number
JP31261095A
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English (en)
Inventor
Keiji Hatakeyama
圭司 畠山
Akira Taya
明 田屋
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Toshiba Lighting and Technology Corp
Original Assignee
Toshiba Lighting and Technology Corp
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Publication date
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  • Vessels And Coating Films For Discharge Lamps (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】微粒子金属酸化物を用いずに保護膜を形成し、
光束維持率を向上させることができ、蛍光体の使用量も
抑制することができ、コストダウンが可能となる蛍光ラ
ンプおよびこれを用いた照明装置を提供する。 【解決手段】水銀および希ガスを封入したバルブ1の内
面に、平均粒径が1.0μm以下で0.1μm以上の蛍
光体粉末からなる保護膜7を形成し、この保護膜7の上
に紫外線を可視光に変換する蛍光体被膜8を形成したこ
とを特徴とする蛍光ランプである。このような構成によ
れば、平均粒径が1.0μm以下で0.1μm以上の微
粒子蛍光体粉末によって保護膜を形成したから、水銀と
ナトリウムとの反応を抑えることができ、よって光束維
持率を高くすることができる。加えて、保護膜を蛍光体
粉末で形成したことから、蛍光体被膜をその分薄くする
ことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、バルブの内面に水
銀や紫外線の透過を遮断する保護膜を形成した蛍光ラン
プおよび照明装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に蛍光ランプは、電極を封装したガ
ラスバルブの内面に蛍光体被膜を形成してあり、このバ
ルブ内に水銀および希ガスを封入し、水銀原子から発す
る共鳴輝線である紫外線にて上記蛍光体被膜を励起して
蛍光体から可視光を発光させ、この可視光を外部に放出
するようになっている。
【0003】しかしながら、蛍光ランプは、点灯時間の
経過に伴い光束が次第に低下するという問題がある。光
束が低下する原因としては種々の理由が考えられるが、
その1つに、封入されている水銀とバルブを構成するガ
ラス材料とが化学反応して透明なガラスが着色すること
が原因といわれている。すなわち、バルブを構成するガ
ラスは、多なり少なりナトリウムNaを含有しており、
例えば蛍光ランプのバルブとして用いられる代表的なソ
ーダライムガラスの場合は15〜17重量%程度のナト
リウムNaが含まれている。このようなナトリウムはバ
ルブ温度が高くなると表面に析出する性質がある。さら
にバルブに紫外線(波長400nm以下)が照射された場
合はその析出が助長される傾向がある。一方、バルブ内
に封入された水銀は蛍光体被膜を通って拡散し、バルブ
の表面に達することがある。したがって、上記析出され
たナトリウムNaと、上記蛍光体被膜を通過した水銀と
が接触し、相互に化学反応を生じ、この結果、ナトリウ
ムアマルガムが形成されてバルブが黒化したり、変色し
て光束が低下すると考えられている。
【0004】このような不具合を解消する手段として、
バルブ内面と蛍光体被膜との間に水銀および紫外線の透
過を遮断する保護膜を形成する提案がなされている。す
なわち、バルブと蛍光体被膜との間に、水銀および紫外
線遮断機能をもつ微粒子金属酸化物、例えば酸化亜鉛Z
nO、酸化チタンTiO2 、酸化珪素SiO2 および酸
化アルミニウムAl23 の少なくとも1種からなる被
膜を形成すると、この被膜が、水銀から放出される紫外
線を吸収してバルブに達するのを抑止する作用を奏する
とともに、蛍光体被膜を透過した水銀がバルブの表面に
達するのを阻止する作用があり、このため、ガラス製の
バルブからナトリウムが析出するのが抑えられ、よって
水銀とナトリウムとの反応を抑えることができる。この
結果バルブの黒化や変色を抑止することができるもので
ある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような保護膜を設けた従来の蛍光ランプは、その保護膜
が、主として酸化亜鉛ZnO、酸化チタンTiO2 、酸
化珪素SiO2 および酸化アルミニウムAl23 の少
なくとも1種からなる微粒子金属酸化物で形成されてい
た。この種の微粒子金属酸化物は水銀や紫外線の遮断機
能に優れているが、これら微粒子金属酸化物は蛍光体と
異なった材料であるため蛍光体とは別個にこれら微粒子
金属酸化物を多量に使用する必要がある。そして、この
種の微粒子金属酸化物や蛍光体粉末は高価であることか
ら、これらの使用量が増えるとランプのコストアップを
招くといった不具合がある。
【0006】また、上記酸化亜鉛ZnO、酸化チタンT
iO2 、酸化珪素SiO2 および酸化アルミニウムAl
23 などからなる微粒子金属酸化物は保護膜を設けな
いランプに比べて若干可視光を吸収する作用があり、こ
のため初期光束が保護膜を設けないランプに比べて若干
低下するという不具合もある。
【0007】したがって、本発明の目的とするところ
は、微粒子金属酸化物を用いずに保護膜を形成して光束
維持率を向上させることができるとともに、蛍光体の使
用量も抑制することができ、コストダウンが可能となる
蛍光ランプおよびこれを用いた照明装置を提供しようと
するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、両端
部に電極が配置されるとともに、内部に水銀および希ガ
スが封入されたバルブと;上記バルブの内面に形成さ
れ、平均粒径が1.0μm以下で0.1μm以上の蛍光
体粉末からなる保護膜と;上記保護膜の上に形成された
紫外線を可視光に変換する蛍光体被膜と;を具備したこ
とを特徴とする蛍光ランプである。
【0009】請求項1の発明によると、保護膜を平均粒
径が1.0μm以下で0.1μm以上の微粒子蛍光体粉
末によって構成したから、この保護膜は平均粒径が小さ
いことから水銀の透過を阻止し、水銀とナトリウムとの
反応を抑えることができ、よってバルブの黒化や変色を
抑止する。また、上記保護膜は蛍光体粉末で形成したの
で紫外線を可視光に変換し、よってバルブ壁に紫外線を
到達させず、しかも紫外線を可視光に変換するから可視
光の増加に寄与する。このため、初期光束の低下を招く
ことはない。
【0010】加えて、保護膜を蛍光体粉末で形成したこ
とから、紫外線を可視光に変換する本来の蛍光体被膜
は、その分薄くしても可視光変換能力の低下を招くこと
が防止できる。よって蛍光体被膜および保護膜の蛍光体
使用総量は、従来の保護膜を形成しないランプと同等程
度の抑えることができる。このことから、光束維持率を
改善し、しかし蛍光体粉末の使用量は大幅に増えず、ま
た酸化亜鉛ZnOや酸化チタンTiO2 などの格別な微
粒子金属酸化物を使用する必要もないから、コストアッ
プを回避することができる。
【0011】請求項2の発明は、保護膜を形成する蛍光
体は希土類蛍光体であることを特徴とする蛍光ランプで
ある。請求項2の発明によれば、希土類蛍光体であれ
ば、平均粒径が1.0μm以下で0.1μm以上の蛍光
体粉末として有効である。
【0012】請求項3の発明は、保護膜の平均膜厚は、
0.5μm以上で5.0μm以下に形成されていること
を特徴とする蛍光ランプである。請求項3の発明による
と、保護膜の平均膜厚を、0.5μm以上で5.0μm
以下にしたから、紫外線の透過および水銀のすり抜けを
抑え、かつ紫外線を可視光に変換する。この保護膜の平
均膜厚が0.5μm未満であると、紫外線の透過および
水銀のすり抜けを抑え切れず、かつ紫外線を可視光に変
換する能力が弱くなり、保護膜を設けないランプと遜色
ない特性となる。また、保護膜の平均膜厚が5.0μm
を越えると、メインの蛍光体被膜で変換された可視光を
遮り、可視光の光量が低下する。そして、蛍光体粉末か
らなる保護膜の平均膜厚が0.5μm以上で5.0μm
以下の範囲であれば、メインの蛍光体被膜の膜厚を従来
より薄くすることができ、蛍光体粉末の全体の使用量を
節約することができる。
【0013】請求項4の発明は、紫外線を可視光に変換
するメインの蛍光体被膜の平均膜厚は、10μm以上で
30μm以下であることを特徴とする蛍光ランプであ
る。請求項4の発明によると、メインの蛍光体被膜の平
均膜厚を10μm以上で30μm以下にしたから、蛍光
体の使用量を軽減することができ、コストダウンを可能
にする。この蛍光体被膜の平均膜厚が10μm未満であ
ると、紫外線を可視光に変換する能力が低くなり、紫外
線および水銀の透過量も増す。また、この蛍光体被膜の
平均膜厚が30μmを越えると、蛍光体の使用量が必要
以上に増え、コストアップを招く。
【0014】請求項5の発明は、紫外線を可視光に変換
するメインの蛍光体被膜は、3波長発光形蛍光体により
形成されていることを特徴とする蛍光ランプである。請
求項5の発明によれば、メインの蛍光体被膜が3波長発
光形蛍光体により形成されているから、赤、緑および青
色の領域の光を発し、演色性が向上する。
【0015】請求項6の発明は、請求項5に記載の蛍光
ランプにおいて、保護膜は、赤、緑または青系の少なく
とも1つの発光色を呈する蛍光体により形成されている
ことを特徴とする。
【0016】請求項6の発明によれば、メインの蛍光体
被膜が3波長発光形蛍光体により形成されている場合、
保護膜を赤、緑または青系の少なくとも1つの発光色を
呈する蛍光体により形成すれば、保護膜から発する可視
光がメインの蛍光体被膜から発せられる光色の不足分を
補色することができる。
【0017】請求項7の発明は、紫外線を可視光に変換
するメインの蛍光体被膜は、ハロリン酸カルシウム蛍光
体により形成されていることを特徴とする蛍光ランプで
ある。
【0018】請求項7の発明によれば、メインの蛍光体
被膜がハロリン酸カルシウム蛍光体により形成されてい
るから、広い可視光域に光を発し、しかも安価である。
請求項8の発明は、請求項7に記載の蛍光ランプにおい
て、保護膜は、少なくとも赤系の発光色を呈する蛍光体
により形成されていることを特徴とする。
【0019】請求項8の発明によれば、メインの蛍光体
被膜がハロリン酸カルシウム蛍光体で形成されている場
合、このハロリン酸カルシウム蛍光体は赤色光がやや弱
い傾向があるが、上記保護膜を少なくとも赤系の発光色
を呈する蛍光体により形成すれば、赤色光を補色するこ
とになり、演色性が向上する。
【0020】請求項9の発明は、請求項1ないし請求項
8のいずれか一に記載の蛍光ランプと;このランプを装
着した器具本体と;この器具本体に設けられ上記ランプ
を点灯させる点灯回路部品と;を具備したことを特徴と
する照明装置である。
【0021】請求項9の発明によれば、光源として用い
る蛍光ランプが、光束維持率が改善されるとともに初期
光束の低下が抑制されているから、照明装置として光束
の低下を防止し、寿命特性を向上させることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下本発明について、図面に示す
一実施例にもとづき説明する。図1は直管形蛍光ランプ
10を示すもので、図中1はソーダライムガラスからな
るバルブである。バルブ1の端部はステム2、2により
閉塞されており、これらステム2、2には内部リード線
3…を介してタングステンフィラメントからなる電極
4、4が取着されている。電極4、4には、図示しない
BaO、SrO、CaOなどからなる電子放射性物質
(エミッタ)が塗布されている。
【0023】バルブ1の端部には、口金5、5が被着さ
れており、これら口金5、5には上記内部リード線3…
に接続された口金ピン6…が突設されている。上記バル
ブ1の内面には、水銀および紫外線の透過を遮断する保
護膜7が形成されている。この保護膜7は微粒子蛍光体
粉末により形成されている。この微粒子蛍光体として
は、平均粒径が1.0μm以下で0.1μm以上の蛍光
体粉末、例えば希土類蛍光体が有効であり、3価のEu
付活赤色蛍光体、2価のEu付活青色蛍光体、Ce,T
b付活緑色蛍光体の少なくとも1つが好適する。具体的
には、赤色系蛍光体として、3価の酸化イットリウム蛍
光体Y23 :Eu、青色系蛍光体として、2価のユー
ロピウム付活アルカリ土類ハロ燐酸塩蛍光体(Sr,C
a,Ba)10(PO46 Cl2 :Euまたは2価のユ
ーロピウム付活アルカリ土類アルミン酸塩蛍光体BaM
2 Al1627:Eu、緑色蛍光体としてセリウムCe
を含有するテリビウムTb付活けい・りん酸塩蛍光体
(La,Ce,Tb)・(P,Si)O4 などが有効で
あり、これら3色の蛍光体を混合して用いたり、または
1色もしくは2色の蛍光体を用いてもよい。
【0024】上記保護膜7として蛍光体粉末を用いる理
由は、蛍光体粉末であっても平均粒径が小さければ水銀
の透過を阻止する作用があり、しかも紫外線を可視光に
変換する作用があるから紫外線の透過も防止する。そし
て、このような作用を奏するのに有効な蛍光体の粉末
は、平均粒径が1.0μm以下で0.1μm以上であ
り、具体的にこれらの条件に適合する蛍光体としては希
土類蛍光体である。
【0025】上記のような保護膜7の内面には、紫外線
を可視光に変換するメインの蛍光体被膜8が形成されて
いる。この光体被膜8は、特に蛍光体の種類を特定する
ものではないが、本実施例の場合、希土類蛍光体からな
る3波長発光蛍光体を使用している。3波長発光蛍光体
は、赤、青、緑の各波長域に発光する3種類の希土類蛍
光体を混合して用いたものであり、上記の保護膜7の蛍
光体と同様に、例えば赤色系蛍光体には3価の酸化イッ
トリウム蛍光体Y23 :Eu、青色系蛍光体には2価
のユーロピウム付活アルカリ土類ハロ燐酸塩蛍光体(S
r,Ca,Ba)10(PO46 Cl2 :Euまたは2
価のユーロピウム付活アルカリ土類アルミン酸塩蛍光体
BaMg2 Al1627:Eu、および緑色蛍光体として
はセリウムCeを含有するテリビウムTb付活けい・り
ん酸塩蛍光体(La,Ce,Tb)・(P,Si)O4
などが用いられている。
【0026】上記紫外線を可視光に変換するメインの蛍
光体被膜7は、平均膜厚が10μm以上で30μm以下
に形成されている。このようなバルブ1の内部には、所
定量の水銀と、アルゴンなどの希ガスが封入されてい
る。
【0027】このような構成の蛍光ランプ10において
は、点灯中に水銀から発せられる紫外線が蛍光体被膜8
を照射するとこの蛍光体被膜8は可視光を発し、この可
視光は保護膜7およびガラスバルブ1を透過して外部に
放射される。
【0028】このような作動中、放電空間内の水銀の一
部は蛍光体被膜8を透過してバルブ1壁に達しようとす
るが、蛍光体被膜8とバルブ1の間には保護膜7が形成
されているからこの保護膜7が水銀の透過を阻止する。
すなわち、保護膜7は平均粒径が1.0μm以下で0.
1μm以上の蛍光体微粉末により形成されているので、
微粉末相互間の隙間が緻密になっており、このような緻
密な隙間であると水銀のすり抜ける余地が少なくなり、
よって水銀の透過が阻止される。
【0029】また、水銀から発せられた紫外線の一部は
蛍光体被膜8を透過してバルブ1壁に達しようとする
が、蛍光体被膜8とバルブ1の間に設けた上記保護膜7
が紫外線の透過を阻止する。すなわち、保護膜7は蛍光
体微粉末により形成されているので、紫外線を受けると
可視光に変換するようになり、よって紫外線の通り抜け
を抑制する。
【0030】このようなことから、紫外線がバルブの表
面に達するのを阻止することができ、ゆえにガラス製の
バルブからナトリウムが析出するのが抑えられる。そし
て、一方で、水銀がバルブに達するのが抑止されるか
ら、水銀とナトリウムの反応が抑えられ、この結果バル
ブの黒化や変色を防止することができる。よって、光束
維持率の低下を抑止することができる。
【0031】一方、上記保護膜7は蛍光体粉末にて形成
したから紫外線を可視光に変換する作用を奏する。この
ことは、保護膜7でも上記メインの蛍光体被膜8の可視
光変換機能と同様な作用を奏することになり、結果とし
て可視光を増加させることになる。したがって、メイン
の蛍光体被膜8の膜厚が従来と同様であれば、この蛍光
体被膜8から発せられる可視光に保護膜7から発せられ
る可視光が加味され、よって初期光束が増加し、光出力
も増強することになる。
【0032】そして、初期光束および光出力を従来と同
等レベルに保つ場合は、保護膜7が蛍光体粉末で形成さ
れているため可視光を発するから、メインの蛍光体被膜
8から発する可視光の出力はその分少なくてもよいこと
になる。このことは、メインの蛍光体被膜8の膜厚を薄
くし、蛍光体の使用量を少なくしても従来と同等レベル
の光出力が得られることになる。このようにすれば、メ
インの蛍光体被膜8の蛍光体使用量を少なくすることが
でき、その分保護膜7で蛍光体を使用するとしても、ラ
ンプ全体での蛍光体使用量は、従来の保護膜を設けない
ランプと同様な量に抑えることができる。
【0033】よって、上記のような構成によれば、蛍光
体被膜8とは別に保護膜7を形成したことから水銀とバ
ルブ材料の反応を防止して光束維持率を向上させること
ができ、しかも、従来のような格別な微粒子金属酸化物
を使用する必要がなく、加えて蛍光体粉末の使用量は従
来と遜色ないから、蛍光体粉末の増加によるコストアッ
プを防止することができる。
【0034】さらにまた、保護膜7に用いる蛍光体の種
類を選択し、例えば3波長発光形蛍光体のなかから赤、
緑、青のいずれかの蛍光体を選択して使用すれば、この
色の光が増強され、よってメインの蛍光体被膜8から発
光される光で不足する光色の補強が可能になる。3波長
発光形蛍光体は、赤系、緑系および青系の蛍光体粉末を
混合して形成されており、本来は演色性に優れるもので
あるが、例えばさらに赤系を強調したいなどの要請があ
れば、保護膜7にY23 :Euなどのような赤系の蛍
光体粉末を用いるなどにより対応することができる。
【0035】さらに、例えば、メインの蛍光体被膜8と
して、赤および緑系の発光色を出す蛍光体を使用し、保
護膜7には残りの青系の発光色を出す蛍光体を用いれ
ば、全体として3波長発光形蛍光体を用いたのと同様な
ミックス色の光を発することもできる。
【0036】但し、これらいずれの場合も、保護膜7に
用いる蛍光体は平均粒径が1.0μm以下で0.1μm
以上であり、これにより水銀の透過を防止する役割を果
たす。
【0037】また、保護膜7の膜厚は0.5μm以上で
5.0μm以下がよい、保護膜7の平均膜厚が0.5μ
m未満であると、紫外線の透過および水銀のすり抜けを
抑え切れず、かつ紫外線を可視光に変換する能力が弱く
なり、保護膜を設けないランプと遜色ない特性となる。
また、保護膜7の平均膜厚が5.0μmを越えると、メ
インの蛍光体被膜8で変換された可視光を遮るようにな
り、可視光の光量が低下する。
【0038】さらに、メインの蛍光体被膜8の平均膜厚
は10μm以上で30μm以下にするのがよいる。蛍光
体被膜8の平均膜厚が10μm未満であると、紫外線を
可視光に変換する能力が低くなり、紫外線および水銀の
透過量も増す。また、この蛍光体被膜の平均膜厚が30
μmを越えると、蛍光体粉末の使用量が必要以上に増
え、コストアップを招く。
【0039】下記表1は、FL20SS・EX−N/1
8の蛍光ランプにおいて、本実施例を適用した場合の各
特性を測定した結果を示す。実験に使用したFL20S
S・EX−N/18蛍光ランプは、メインの蛍光体被膜
8として、Y23 :Eu、(Sr,Ca,Ba)
10(PO46 Cl2 :Eu、および(La,Ce,T
b)・(P,Si)O4 を用いた。また、保護膜7とし
てはY23 :Euを用いた。
【0040】
【表1】
【0041】上記表1の結果からも理解できる通り、本
実施例の蛍光ランプは、従来の保護膜のない蛍光ランプ
に比べて、光束維持率の向上が明らかに認められる。そ
して、全光束、つまり初期光束においては本実施例と従
来は遜色なく、しかも蛍光体被膜の膜厚は従来30μm
であってのに対し、本実施例の場合は蛍光体被膜8と保
護膜7のトータルで30μm以下に抑えられており、こ
の分蛍光体粉末の使用量が少なくなるから、コストダウ
ンが可能になった。
【0042】図3は、図1および図2に示す直管形蛍光
ランプ10を照明器具に取り付けて構成した照明装置の
例を示す。すなわち、図において30は天井直付け形照
明器具の本体であり、この器具本体30の長手方向両端
にはランプソケット31、31が相互に対向して配置さ
れている。これらソケット31、31間には、図1に示
す蛍光ランプ10がその口金ピン6、6を係合させて取
り付けられている。器具本体30にはランプの安定点灯
を維持するための点灯回路部品として、安定器32が収
容されている。上記蛍光ランプ10は上記安定器32を
介して図示しない電源に接続されている。
【0043】このような照明装置によれば、上記ランプ
10が光束維持率の点で優れているので光束維持率に優
れた照明装置を提供することができる。なお、上記実施
例の場合、蛍光体被膜8として3波長発光形蛍光体を用
い、保護膜7として3波長発光形蛍光体のいずれかに該
当する希土類蛍光体を用いた例を説明したが、本発明は
これに限らず、種々の変形が可能である。
【0044】例えば、蛍光体被膜8として、アンチモン
またはマンガン付活ハロりん酸塩蛍光体(Ca5 (PO
43 (F,Cl):Sn,Mn)、所謂ハロりん酸塩
蛍光体を用いてもよい。
【0045】但し、ハロりん酸塩蛍光体は一般に発光色
が青白系ないし白系に近いため、暖色に欠けるという要
請があり、これを補うために保護膜7に赤系の発光を呈
する希土類蛍光体を用いることもできる。赤系の発光を
呈する希土類蛍光体としては、前記Y23 :Euなど
が有効である。
【0046】下記表2は、FL20SS・N/18の蛍
光ランプにおいて、本実施例を適用した場合の各特性を
測定した結果を示す。実験に使用したFL20SSN/
18蛍光ランプは、メインの蛍光体被膜8として、(C
5 (PO43 (F,Cl):Sn,Mn)を用い、
保護膜7としてY23 :Euを用いた。
【0047】
【表2】
【0048】上記表2の結果からも理解できる通り、本
実施例の蛍光ランプも、従来の保護膜のない蛍光ランプ
に比べて、光束維持率の向上が明らかに認められる。そ
して、全光束、つまり初期光束においては本実施例と従
来は遜色なく、しかも蛍光体被膜の膜厚は従来30μm
であってのに対し、本実施例の場合は蛍光体被膜8と保
護膜7のトータルで30μm以下に抑えられており、こ
の分蛍光体粉末の使用量が少なくなるから、コストダウ
ンが可能になった。
【0049】そしてまた、保護膜7としてY23 :E
uを用いたことから、特殊演色評価数R9 の赤系の色が
強化され、赤みが強くなった。なお、上記実施例では、
直管形蛍光ランプについて説明したが、本発明はこれに
限らず、環形やU字形、その他コンパクト形蛍光ランプ
などであっても実施可能である。
【0050】また、本発明はラピッドスタート形蛍光ラ
ンプにも適用可能である。ラピッドスタート形蛍光ラン
プは、バルブ1の内面に透明導電膜(EC膜)が形成さ
れており、この透明導電膜(EC膜)の上に保護膜7を
形成すれば透明導電膜(EC膜)の劣化を防止すること
ができる。
【0051】
【発明の効果】以上述べたように請求項1の発明によれ
ば、平均粒径が1.0μm以下で0.1μm以上の微粒
子蛍光体粉末によって保護膜を形成したから、水銀の透
過を阻止し、水銀とナトリウムとの反応を抑えることが
でき、よってバルブの黒化や変色を抑止して光束維持率
を高くすることができる。
【0052】しかも、保護膜は蛍光体粉末で形成されて
いることから、紫外線を可視光に変換する本来の蛍光体
被膜は、その分薄くすることができ、よって蛍光体被膜
および保護膜の蛍光体使用総量を、従来の保護膜を形成
しないランプと同等程度の抑えることができる。このこ
とから、蛍光体粉末の使用量を抑えてコストアップを回
避することができる。
【0053】請求項2の発明によれば、希土類蛍光体で
あれば、平均粒径が1.0μm以下で0.1μm以上の
蛍光体粉末として有効である。請求項3の発明によれ
ば、保護膜の平均膜厚を、0.5μm以上で5.0μm
以下にしたから、紫外線の透過および水銀のすり抜けを
抑え、かつ紫外線を可視光に変換する。
【0054】請求項4の発明によれば、メインの蛍光体
被膜の平均膜厚を10μm以上で30μm以下にしたか
ら、蛍光体の使用量を軽減することができ、コストダウ
ンを可能にする。
【0055】請求項5の発明によれば、メインの蛍光体
被膜が3波長発光形蛍光体により形成されているから、
赤、緑および青色の領域の光を発し、演色性が向上す
る。請求項6の発明によれば、メインの蛍光体被膜が3
波長発光形蛍光体により形成されている場合、保護膜を
赤、緑または青系の少なくとも1つの発光色を呈する蛍
光体により形成すれば、保護膜から発する可視光がメイ
ンの蛍光体被膜から発せられる光色の不足分を補色する
ことができる。
【0056】請求項7の発明によれば、メインの蛍光体
被膜がハロリン酸カルシウム蛍光体により形成されてい
るから、広い可視光域に光を発し、しかも安価である。
請求項8の発明によれば、メインの蛍光体被膜がハロリ
ン酸カルシウム蛍光体で形成されている場合、このハロ
リン酸カルシウム蛍光体は赤色光がやや弱い傾向がある
が、上記保護膜を少なくとも赤系の発光色を呈する蛍光
体により形成すれば、赤色光を補色することになり、演
色性が向上する。
【0057】請求項9の発明によれば、光源として用い
る蛍光ランプが、光束維持率が改善されるとともに初期
光束の低下が抑制されているから、照明装置として光束
の低下を防止し、寿命特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の直管形蛍光ランプを示し、
(A)図はランプ全体の構成図、(B)図は(A)図の
B部分を拡大して断面した図。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図。
【図3】同実施例の蛍光ランプを照明器具に取り付けた
照明装置の図。
【符号の説明】
1…バルブ 4…電極 7…保護膜 8…蛍光体被膜 30…器具本体 32…安定器

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 両端部に電極が配置されるとともに、内
    部に水銀および希ガスが封入されたバルブと;上記バル
    ブの内面に形成され、平均粒径が1.0μm以下で0.
    1μm以上の蛍光体粉末からなる保護膜と;上記保護膜
    の上に形成された紫外線を可視光に変換する蛍光体被膜
    と;を具備したことを特徴とする蛍光ランプ。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の蛍光ランプにおいて、
    保護膜を形成する蛍光体は希土類蛍光体であることを特
    徴とする蛍光ランプ。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の蛍光ラ
    ンプにおいて、保護膜の平均膜厚は、0.5μm以上で
    5.0μm以下に形成されていることを特徴とする蛍光
    ランプ。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし請求項3のいずれか一に
    記載の蛍光ランプにおいて、紫外線を可視光に変換する
    蛍光体被膜の平均膜厚は、10μm以上で30μm以下
    であることを特徴とする蛍光ランプ。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし請求項4のいずれか一に
    記載の蛍光ランプにおいて、紫外線を可視光に変換する
    蛍光体被膜は、3波長発光形蛍光体により形成されてい
    ることを特徴とする蛍光ランプ。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の蛍光ランプにおいて、
    保護膜は、赤、緑または青系の少なくとも1つの発光色
    を呈する蛍光体により形成されていることを特徴とする
    蛍光ランプ。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし請求項4のいずれか一に
    記載の蛍光ランプにおいて、紫外線を可視光に変換する
    蛍光体被膜は、ハロリン酸カルシウム蛍光体により形成
    されていることを特徴とする蛍光ランプ。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の蛍光ランプにおいて、
    保護膜は、少なくとも赤系の発光色を呈する蛍光体によ
    り形成されていることを特徴とする蛍光ランプ。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし請求項7のいずれか一に
    記載の蛍光ランプと;このランプを装着した器具本体
    と;この器具本体に設けられ上記ランプを点灯させる点
    灯回路部品と;を具備したことを特徴とする照明装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007311302A (ja) * 2006-05-22 2007-11-29 Stanley Electric Co Ltd 放電ランプ
US7986082B2 (en) 2005-05-31 2011-07-26 Panasonic Corporation Fluorescent lamp with glass tube and protective layer, method for producing the same, and lighting system

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US7986082B2 (en) 2005-05-31 2011-07-26 Panasonic Corporation Fluorescent lamp with glass tube and protective layer, method for producing the same, and lighting system
JP2007311302A (ja) * 2006-05-22 2007-11-29 Stanley Electric Co Ltd 放電ランプ

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