JPH09143419A - ガスバリア性塗布剤およびその製造方法 - Google Patents

ガスバリア性塗布剤およびその製造方法

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JPH09143419A
JPH09143419A JP7327990A JP32799095A JPH09143419A JP H09143419 A JPH09143419 A JP H09143419A JP 7327990 A JP7327990 A JP 7327990A JP 32799095 A JP32799095 A JP 32799095A JP H09143419 A JPH09143419 A JP H09143419A
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JP
Japan
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vinylidene chloride
gas barrier
chloride polymer
heat
coating agent
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JP7327990A
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Tei Murakami
禎 村上
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Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塩化ビニリデン系ポリマーが塗布された包装
用フィルムをヒートシールした後、熱水処理に供して
も、ヒートシール部の白化を抑制する。 【解決手段】 塩化ビニリデン系ポリマーと、カルボキ
シル基、酸無水物基、エステル基、ヒドロキシル基から
選択された官能基が導入された変性ワックスとを含む塗
布剤を基材フィルムに塗布し、ガスバリア性の高いフィ
ルムを得る。塩化ビニリデン系ポリマーには、有機溶媒
に可溶な結晶性塩化ビニリデン系ポリマーが含まれる。
変性ワックスの含有量は、塩化ビニリデン系ポリマー1
00重量部に対して、0.01〜10重量部程度であ
る。前記フィルムはヒートシール層を備えていてもよ
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガスバリア性など
に優れる塗膜を形成する上で有用なガスバリア性塗布剤
およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】包装用フィルム、特に食品包装用フィル
ムのコーティング剤として広く使用されている塩化ビニ
リデン系ポリマーは、結晶性が高い程、防湿性及びガス
バリア性が高くなる傾向を示す。そのため、塩化ビニリ
デン系ポリマーとしては、結晶性ポリマー、特に結晶化
速度を向上させるため、塩化ビニリデン含量の大きなポ
リマーが有利である。しかし、塩化ビニリデン含量の増
加に伴って、有機溶媒に対する溶解性が低下する。一
方、塩化ビニリデン含量の高いポリマーは溶媒中に分散
させることが考えられるものの、粒径によっては塗膜の
濁度(ヘーズ)が高くなる。そのため、高い透明性を維
持しつつ、溶媒に対する溶解性を高めることが困難であ
る。
【0003】特開平3−54244号公報には、塩化ビ
ニリデン系ポリマーに対する良溶媒と貧溶媒とを特定の
割合で用いることにより、塩化ビニリデン系ポリマーの
結晶化度を促進する方法が開示されている。特開平3−
53938号公報には、特定の有機溶媒を用いることに
より、高いガスバリア性を維持しつつ塩化ビニリデン系
ポリマーのヒートシール性を高めることが提案されてい
る。高いガスバリア性およびヒートシール性を備えてい
る塩化ビニリデン系ポリマーは、内容物の保存性の高い
袋製品を得る上で有用である。しかし、これらの塩化ビ
ニリデン系ポリマーをヒートシール剤として用い、ヒー
トシールした後、袋製品をボイルやレトルトして熱水処
理すると、ヒートシール部が白濁し、商品価値を損な
う。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、ヒートシール後に熱水処理に供してもヒートシール
部の白化を抑制できるガスバリア性塗布剤およびその製
造方法を提供することにある。本発明の他の目的は、塩
化ビニリデン系ポリマーの結晶化度を促進できるガスバ
リア性塗布剤およびその製造方法を提供することにあ
る。本発明のさらに他の目的は、ガスバリア性の高いフ
ィルムを製造する上で有用なガスバリア性塗布剤および
その製造方法を提供することにある。本発明の別の目的
は、ガスバリア性が高く、ボイルやレトルトなどの熱水
処理に供される袋製品を得る上で有用なフィルムおよび
その製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するため鋭意検討の結果、塩化ビニリデン系ポリ
マーと特定のワックスとを組み合わせると、塩化ビニリ
デン系ポリマーの結晶化を促進できるとともに、熱水処
理に供しても、ヒートシール部の白化を大きく抑制でき
ることを見いだし、本発明を完成した。
【0006】すなわち、本発明のガスバリア性塗布剤
は、塩化ビニリデン系ポリマーと変性ワックスとを含ん
でいる。このガスバリア性塗布剤において、塩化ビニリ
デン系ポリマーは、結晶性ポリマー、ヒートシール性ポ
リマー、有機溶媒に可溶なポリマーであってもよい。前
記変性ワックスには、カルボキシル基、酸無水物基、エ
ステル基、ヒドロキシル基からなる群から選択された少
なくとも一種の官能基が導入されたワックスが含まれ
る。変性ワックスは有機溶媒に可溶であってもよい。変
性ワックスの含有量は、例えば、塩化ビニリデン系ポリ
マー100重量部に対して、0.01〜10重量部程度
である。前記ガスバリア性塗布剤は、塩化ビニリデン系
ポリマーと変性ワックスとを混合することにより製造で
きる。
【0007】また、本発明のフィルムは、基材フィルム
と、この基材フィルムの少なくとも一方の面に形成され
た前記塗布剤による塗布層とで構成されている。このフ
ィルムは、基材フィルムに前記塗布剤を塗布することに
より製造できる。前記フィルムにおいて、前記塗布層上
にはヒートシール層を形成してもよい。さらに、本発明
の方法には、前記ガスバリア性フィルム、又はヒートシ
ール層を備えた前記ガスバリア性フィルムをヒートシー
ルおよび熱水処理に順次供し、ヒートシール部の白化を
抑制する方法、塩化ビニリデン系ポリマーに変性ワック
スを添加し、前記塩化ビニリデン系ポリマーの結晶化を
促進する方法も含まれる。なお、本明細書において、特
に言及する場合を除き、ヒートシール、インパルスシー
ル、高周波接合、超音波接合などを含めて、単に「ヒー
トシール」と総称する。また、ボイルおよびレトルト処
理などのように加熱水による処理を「熱水処理」と総称
する。
【0008】
【発明の実施の形態】前記塩化ビニリデン系ポリマーと
しては、塩化ビニリデンと、共重合性モノマーとの共重
合体を用いる場合が多い。共重合性モノマーには、例え
ば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシア
ン化ビニル、塩化ビニルなどのハロゲン化ビニル、酢酸
ビニルなどのビニルエステル、クロトン酸、アクリル
酸、メタクリル酸などのカルボキシル基含有モノマー、
メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルア
クリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリ
レート、イソブチルアクリレート、tert−ブチルアクリ
レート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレー
ト、2−エチルヘキシルアクリレートなどのアクリル酸
アルキルエステル、上記アクリレートに対応するメタク
リル酸アルキルエステルなどが例示される。アクリル酸
アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステル
のうち、C1-4アルキル−アクリレートを用いる場合が
多い。これらの共重合性モノマーは単独で又は二種以上
組み合わせて使用できる。
【0009】前記共重合体のうち、塩化ビニリデン−ア
クリロニトリル共重合体、塩化ビニリデン−塩化ビニル
共重合体、塩化ビニリデン−酢酸ビニル共重合体、塩化
ビニリデン−アクリル酸共重合体、塩化ビニリデン−メ
タクリル酸共重合体、塩化ビニリデン−アクリル酸アル
キルエステル共重合体(例えば、塩化ビニリデン−アク
リル酸エチル共重合体など)および塩化ビニリデン−メ
タクリル酸アルキルエステル共重合体などが好ましい。
これらの塩化ビニリデン系ポリマーは少なくとも一種使
用される。
【0010】塩化ビニリデン系ポリマーにおける塩化ビ
ニリデン含量は、ガスバリア性、および必要に応じてヒ
ートシール性を損なわない範囲で選択でき、例えば、7
5〜99重量%、好ましくは80〜98重量%、さらに
好ましくは85〜95重量%程度である。
【0011】好ましい塩化ビニリデン系ポリマーには、
ガスバリア性などを高めるため、結晶性塩化ビニリデン
系ポリマーやヒートシール性を有する塩化ビニリデン系
ポリマーが含まれる。さらに、有機溶媒に可溶な塩化ビ
ニリデン系ポリマー、特に結晶性で有機溶媒に可溶な塩
化ビニリデン系ポリマーが好ましく、この塩化ビニリデ
ン系ポリマーはヒートシール可能であってもよい。塩化
ビニリデン系ポリマーを溶解可能な溶媒には、例えば、
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ン、シクロヘキサノンなどのケトン類、ジオキサン、ジ
エチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル
類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水
素やこれらの混合溶媒が含まれる。有機溶媒は、塩化ビ
ニリデン系ポリマーの種類に応じて選択できる。
【0012】本発明の特色は、前記塩化ビニリデン系ポ
リマーと変性ワックスとを組み合わせることにより、塩
化ビニリデン系ポリマーの結晶化速度を促進し、熱水処
理によってもヒートシール部が白化するのを顕著に抑制
する点にある。変性ワックスには、植物系ワックス、動
物系ワックス、合成ワックスなどのワックス成分に、カ
ルボキシル基、酸無水物基、エステル基、ヒドロキシル
基などの官能基が導入された変性ワックスが含まれる。
前記官能基は単独で又は二種以上組み合わせて、ワック
ス成分に導入してもよい。好ましい変性ワックスには、
カルボキシル基、酸無水物基およびエステル基からなる
群から選択された少なくとも一種の官能基がワックス成
分に導入された変性ワックスが含まれる。なお、官能基
は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ビニルエス
テルなどのエステル結合の加水分解により生成する部分
ケン化エステル基などであってもよい。
【0013】前記ワックス成分は、パラフィンワック
ス、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワッ
クスなどの炭化水素系ワックス、モンタンワックス、カ
ルナウバワックスなどのエステルワックスなどのいずれ
であってもよい。前記官能基は、重合性化合物との反応
により、ベースとしてのワックス成分に導入することが
でき、重合性化合物としては、(メタ)アクリル酸、ク
ロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、フマル
酸モノアルキルエステルなどのカルボキシル基を有する
重合性不飽和化合物、無水マレイン酸、無水イタコン酸
などの酸無水物基を有する重合性不飽和化合物、(メ
タ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、
(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブ
チル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル
酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルな
どの(メタ)アクリル酸−C1-10アルキルエステル、酢
酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステルな
どのエステル基を有する重合性不飽和化合物、(メタ)
アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸
2−ヒドロキシプロピル、アリルアルコールなどのヒド
ロキシル基を有する重合性不飽和化合物などが例示でき
る。これらの重合性化合物は単独で又は二種以上組み合
わせて使用できる。
【0014】前記官能基の導入量は、特に制限されず、
例えば、前記重合性化合物換算で、0.1〜15重量
%、好ましくは0.5〜10重量%、さらに好ましくは
1〜5重量%程度である。なお、官能基の導入は、前記
ワックス成分に対する前記重合性化合物のグラフト反応
だけでなく、ワックス成分が合成ワックスである場合に
は、合成ワックスを形成するモノマーやオリゴマーと、
重合性化合物との共重合などにより行なうことができ
る。また、変性ワックスの酸価は、1〜200KOHm
g/g、好ましくは5〜170KOHmg/g程度、さ
らに好ましくは10〜150KOHmg/g程度であっ
てもよい。
【0015】ヒートシール部の白化を有効に抑制するた
めには、有機溶媒(特に前記塩化ビニリデン系ポリマー
の項で例示の溶媒と共通する有機溶媒)に対して可溶な
変性ワックスを用いるのが有利である。
【0016】変性ワックスの含有量は、ヒートシール部
の白化を抑制できる範囲で選択でき、例えば、塩化ビニ
リデン系ポリマー100重量部に対して、0.01〜1
0重量部、好ましくは0.1〜8重量部、さらに好まし
くは0.1〜5重量部程度であり、0.5〜2.5重量
部程度である場合が多い。
【0017】本発明の塗布剤は、必要に応じて、他のポ
リマー(例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチ
レン−アクリル酸エチル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポ
リ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩素
化ポリプロピレンなど)、微粉末状滑剤(例えば、シリ
カ微粉末、アルミナ微粉末、ポリエチレン微粉末、アク
リル樹脂微粉末など)などを含んでいてもよい。
【0018】前記塗布剤は液状で使用される。塗布剤
は、前記塩化ビニリデン系ポリマー及び/又は変性ワッ
クスが分散した分散体であってもよいが、塩化ビニリデ
ン系ポリマー及び/又は変性ワックス(特に双方の成
分)が有機溶媒に溶解した溶液状であるのが好ましい。
前記有機溶媒としては、前記塩化ビニリデン系ポリマー
の項で述べたのと同様の有機溶媒が使用できる。塗布剤
中の塩化ビニリデン系ポリマーの含有量は、例えば、1
〜30重量%、好ましくは5〜25重量%程度である。
【0019】前記塩化ビニリデン系ポリマーに変性ワッ
クスを添加すると、変性ワックスが塩化ビニリデン系ポ
リマーの結晶化に対する助剤として機能し、前記塩化ビ
ニリデン系ポリマーの結晶化を促進するようである。そ
のため、塩化ビニリデン系ポリマーに変性ワックスを添
加する方法は、塩化ビニリデン系ポリマーの結晶化を促
進する方法として有用である。また、結晶化の促進に伴
って、塩化ビニリデン系ポリマーによるガスバリア性が
有効かつ迅速に発現する。
【0020】そのため、塩化ビニリデン系ポリマーに変
性ワックスを添加した本発明の塗布剤は、防湿性やガス
遮断性が要求される種々の基材、例えば、壁紙、家具な
どにも適用できるとともに、ガスバリア性の高いフィル
ムを得る上でも有用である。特に、塗布剤は、高いガス
バリア性が要求される基材フィルム(特に包装用基材フ
イルム)に適用するのが好ましく、ヒートシール性を有
していてもよい。基材フィルムとしては、例えば、ポリ
エチレン、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、アイ
オノマー、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重
合体、ポリ−4−メチルペンテン−1などのオレフィン
系樹脂;ポリ塩化ビニル;ポリスチレン、スチレン−ア
クリロニトリル共重合体などのスチレン系樹脂;ポリエ
チレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、
完全芳香族ポリエステルなどのポリエステル;ナイロン
6、ナイロン11、ナイロン66などのナイロン又は脂
肪族ポリアミドや芳香族ポリアミド;ポリアクリロニト
リル;ポリカーボネート;ポリイミド;ポリビニルアル
コール;エチレン−酢酸ビニル共重合体やそのケン化
物;セロハンなどのフィルムが使用できる。基材フィル
ムは単層フィルムであってもよく、二種以上のフィルム
が積層された複合フィルムであってもよい。基材フィル
ムの厚みは、用途に応じて選択でき、例えば、1〜10
0μm、好ましくは5〜100μm程度であり、包装用
としては、厚み10〜30μm程度の基材フィルムを用
いる場合が多い。基材フィルムのうち、ポリプロピレン
フィルム、ポリアルキレンテレフタレートフィルムやポ
リアミドフィルムを用いる場合が多い。また、ポリエチ
レンテレフタレートなどのポリアルキレンテレフタレー
トフィルムやポリアミドフィルムを基材フィルムとして
用いると、ヒートシール後の熱水処理により水分が浸透
し、ヒートシール部が白化する場合が多い。
【0021】基材フィルムは、未延伸であってもよく、
一軸又は二軸延伸処理されていてもよい。さらに、基材
フィルムの表面には、例えば、コロナ放電処理、高周波
処理などの表面処理が施されていてもよい。なお、塗布
剤及び/又は基材フィルムは、添加剤(例えば、酸化防
止剤や紫外線吸収剤などの安定剤、帯電防止剤、可塑
剤、難燃剤、充填剤など)を含有していてもよい。
【0022】塗布剤による塗布層は、所望するガスバリ
ア性などに応じて適当な厚みに形成でき、例えば、厚み
0.01〜5μm、好ましくは0.1〜3μm(例え
ば、0.5〜3μm)程度であり、1〜3μm程度であ
る場合が多い。塗布層の厚みが0.01μm未満である
と高いガスバリア性を付与するのが困難であり、5μm
を越えると経済的でない。本発明のガスバリア性フィル
ムは、基材フィルムの少なくとも一方の面に前記塗布剤
を塗布し、乾燥し、塗布層を形成することにより得るこ
とができる。塗布剤は、基材フィルムの両面に塗布して
もよい。また、ガスバリア性フィルムは、塗布剤が塗布
されていない基材フィルムの他方の面、又は前記塗布層
上にヒートシール層を備えていてもよい。なお、ヒート
シールにより袋製品を得るためのガスバリア性フィルム
は、基材フィルムの一方の面に、前記塗布剤により形成
されたガスバリア層と、ヒートシール層とが順次形成さ
れている場合が多い。塗布剤は、慣用の手段、例えば、
デップコーター、ロールコーター、グラビアコーター、
エアーナイフコーター、スプレーなどを用いて行なうこ
とができる。ヒートシール層は、種々のヒートシール可
能なポリマー、例えば、ポリエチレン(低密度ポリエチ
レン、中密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン
など)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ア
クリル酸エステル共重合体、エチレン−(メタ)アクリ
ル酸共重合体、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン
共重合体などのオレフィン系ポリマー、酢酸ビニル−塩
化ビニル共重合体、合成ゴムなどで形成できる。ヒート
シール層は、前記ヒートシール可能なポリマーの塗布、
押出しラミネートなどにより形成してもよく、シーラン
トとしてのヒートシール可能なポリマーフィルム(例え
ば、無延伸ポリプロピレンフィルムなど)を接着剤で貼
合せるドライラミネートなどによっても形成できる。好
ましいシーラントには、ポリエチレンフィルム、ポリプ
ロピレンフィルム、特に無延伸ポリプロピレンフィルム
などが含まれる。ヒートシール層の厚みは、ヒートシー
ル層を形成する方法などに応じて選択でき、例えば、1
〜60μm、好ましくは3〜50μm程度の範囲から選
択できる。なお、押出しラミネートやドライラミネート
などによりシーラントを貼合せる場合、シーラント(ヒ
ートシール層)の厚みは、例えば、10〜60μm、好
ましくは20〜60μm程度である場合が多い。
【0023】本発明のガスバリア性フィルムは、前記塗
布層やヒートシール層のヒートシール性を利用して、容
器の開口部を密封するための蓋材などの種々の用途に利
用できるが、ヒートシール及び熱水処理に供する包装用
フィルム、特にボイルやレトルト処理される袋製品用の
包装フィルムとして有用である。前記ヒートシールは、
熱接合の種類に応じた慣用の方法、例えば、加熱板や加
熱ローラなどを用いるヒートシール法(例えば、温度1
50〜220℃、好ましくは160〜200℃程度でヒ
ートシールする方法など)などで行なうことができ、熱
水処理は、温度50〜130℃程度の熱水を用い、常圧
又は加圧下で行ってもよい。なお、レトルト処理は、例
えば、温度100〜130℃程度の熱水を用いて行なう
場合が多い。
【0024】前記ヒートシール後(特にヒートシールし
た後直ちに)熱水処理すると、通常、ヒートシール部が
白化する。ヒートシール部の白化の原因は明確ではない
が、次のように考えられる。すなわち、製袋などにおけ
るシール温度は、通常、塩化ビニリデン系ポリマーの融
点(例えば、約150℃程度)よりも高温である。ま
た、シール時間が一般に短時間であるため、塩化ビニリ
デン系ポリマーはヒートシール過程で完全に溶融するこ
となく、塩化ビニリデン系ポリマーの結晶構造が乱れる
ものと思われる。そして、結晶構造が乱れた塩化ビニリ
デン系ポリマーは、そのまま長時間放置すれば所定の結
晶配列に回復するものの、結晶配列が乱れたまま熱水処
理に供すると、結晶構造が乱れた部位に加熱水が侵入
し、結晶配列が回復することなく再結晶化する。そのた
め、熱水処理後に侵入した水が蒸発しても、結晶配列の
乱れにより光散乱が生じ、ヒートシール部が白化するも
のと思われる。これに対して、前記変性ワックスを含む
塩化ビニリデン系ポリマーは、変性ワックスが塩化ビニ
リデン系ポリマーの結晶化を促進するためか、ヒートシ
ールした後、直ちに熱水処理に供しても、ヒートシール
部の白化の程度を大幅に低減できる。そのため、本発明
の方法は、塩化ビニリデン系ポリマーの結晶構造を迅速
に回復でき、短時間内にガスバリア性を向上する方法と
してだけでなく、ヒートシール部の白化を抑制する方法
としても有用である。本発明の塗布剤及びガスバリア性
フィルムは、ボイル、レトルト処理に供される食品用包
装材料に好適に適用される。
【0025】
【発明の効果】本発明のガスバリア性塗布剤は、塩化ビ
ニリデン系ポリマーと変性ワックスとを組み合わせてい
るため、ヒートシール後に熱水処理に供してもヒートシ
ール部の白化を抑制する上で有用である。また、塩化ビ
ニリデン系ポリマーの結晶化度を促進できる。そのた
め、前記塗布剤は、ガスバリア性の高いフィルムを製造
する上で有用である。本発明のガスバリア性フィルム
は、ガスバリア性が高く、ヒートシール後に熱水処理に
供しても、ヒートシール部の白化を抑制できる。そのた
め、ボイルやレトルトなどの熱水処理に供される袋製品
を得る上で有用である。さらに、本発明の製造方法で
は、塗布という簡単な操作で前記の如き優れた特性を有
するガスバリア性フィルムを得ることができる。
【0026】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定
されるものではない。
【0027】実施例1〜3および比較例1 塩化ビニリデン(90重量%)−アクリル酸エステル
(10重量%)共重合体(融点145℃)100重量
部、および下記の変性ワックス1重量部を、テトラヒド
ロフラン/トルエン=70/30(重量比)の混合溶媒
に溶解し、塗布液(濃度20重量%)を調製した。
【0028】実施例1:ヘキスト社製,酸変性ワックス
S,融点85℃,酸価140KOHmg/g 実施例2:ヘキスト社製,エステル変性ワックスE,融
点80℃,酸価17KOHmg/g 実施例3:ヘキスト社製,部分ケン化エステル変性ワッ
クスOP,融点100℃,酸価13KOHmg/g 比較例1:日本製ろう(株)製,パラフィンワックス1
15,融点47℃ この塗布液を、厚み15μmの二軸延伸ナイロンフィル
ム66の一方の面に、乾燥後の塗布量2.0g/m2
なるように塗布し、乾燥することにより塗膜を形成し、
(1)ガスバリア性フィルムを得た。また、ヒートシー
ル層の有無による影響を調べるため、前記塗膜上に無延
伸ポリプロピレンフィルム(厚み40μm)を接着剤を
用いてドライラミネートし、(2)ヒートシール層を備
えたフィルムも得た。次いで、フィルムの塗膜面又はヒ
ートシール層同士を、温度180℃、圧着時間1秒でヒ
ートシールし、120℃の熱水で30分間レトルト処理
した。そして、熱水処理後のヒートシール部の白化の程
度を下記の基準で目視で判定するとともに、ヘーズ値を
測定した。なお、(1)ガスバリア性フィルムにおい
て、レトルト処理前のヒートシール部のヘーズ値は12
%であり、(2)ヒートシール層を備えたフィルムにお
いて、レトルト処理前のヒートシール部のヘーズ値は約
20%であった。 優:ヒートシール部が殆ど白化しない 良:ヒートシール部が僅かに白化する 不可:ヒートシール部が著しく白化する 結果を表に示す。
【0029】比較例2 ワックスを添加することなく実施例の塩化ビニリデン系
ポリマーを含む塗布液を用いる以外、実施例1と同様に
してヒートシール部の白化の程度を評価した。結果を表
に示す。
【0030】
【表1】 表より明らかなように、変性ワックスを用いることによ
り、ヒートシール部の白化の程度が顕著に低減する。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化ビニリデン系ポリマーと変性ワック
    スとを含むガスバリア性塗布剤。
  2. 【請求項2】 塩化ビニリデン系ポリマーが結晶性塩化
    ビニリデン系ポリマーである請求項1記載のガスバリア
    性塗布剤。
  3. 【請求項3】 変性ワックスが、カルボキシル基、酸無
    水物基、エステル基、ヒドロキシル基からなる群から選
    択された少なくとも一種の官能基が導入されたワックス
    である請求項1記載のガスバリア性塗布剤。
  4. 【請求項4】 変性ワックスの含有量が、塩化ビニリデ
    ン系ポリマー100重量部に対して、0.01〜10重
    量部である請求項1記載のガスバリア性塗布剤。
  5. 【請求項5】 有機溶媒に可溶な結晶性塩化ビニリデン
    系ポリマーと、カルボキシル基、酸無水物基およびエス
    テル基からなる群から選択された少なくとも一種の官能
    基が導入され、かつ有機溶媒に可溶なワックスとを含
    み、前記塩化ビニリデン系ポリマー100重量部に対す
    るワックスの割合が0.1〜5重量部であるガスバリア
    性塗布剤。
  6. 【請求項6】 塩化ビニリデン系ポリマーと変性ワック
    スとを混合するガスバリア性塗布剤の製造方法。
  7. 【請求項7】 基材フィルムの少なくとも一方の面に請
    求項1又は5記載の塗布剤による塗布層が形成されてい
    るガスバリア性フィルム。
  8. 【請求項8】 塗布層上にヒートシール層が形成されて
    いる請求項7記載のガスバリア性フィルム。
  9. 【請求項9】 基材フィルムに請求項1又は5記載の塗
    布剤を塗布するガスバリア性フィルムの製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項7記載のガスバリア性フィル
    ム、又はヒートシール層を備えた請求項7記載のガスバ
    リア性フィルムをヒートシールおよび熱水処理に順次供
    し、ヒートシール部の白化を抑制する方法。
  11. 【請求項11】 塩化ビニリデン系ポリマーに変性ワッ
    クスを添加し、前記塩化ビニリデン系ポリマーの結晶化
    を促進する方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7211307B2 (en) * 2002-07-11 2007-05-01 Visteon Global Techologies, Inc. Low permeation polymer fuel tank
CN105073278A (zh) * 2013-02-19 2015-11-18 太阳化学公司 可印刷辐射固化隔离涂层
JP2020157245A (ja) * 2019-03-27 2020-10-01 三井化学東セロ株式会社 バリア性フィルムの製造方法、バリア性フィルムおよびバリア性包装体

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