JPH09143214A - 有機過酸化物の水性エマルション及び重合開始剤 - Google Patents

有機過酸化物の水性エマルション及び重合開始剤

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JPH09143214A
JPH09143214A JP30888995A JP30888995A JPH09143214A JP H09143214 A JPH09143214 A JP H09143214A JP 30888995 A JP30888995 A JP 30888995A JP 30888995 A JP30888995 A JP 30888995A JP H09143214 A JPH09143214 A JP H09143214A
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aqueous emulsion
water
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JP30888995A
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Katsuki Taura
克樹 田浦
Toru Nishikawa
徹 西川
Hideyo Ishigaki
秀世 石垣
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Nippon Oil and Fats Co Ltd
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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
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    • C08F4/00Polymerisation catalysts
    • C08F4/28Oxygen or compounds releasing free oxygen
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 室温での長期貯蔵安定性が高く、更に水で希
釈した際の安定性が高い有機過酸化物の水性エマルショ
ンを提供する。また、乳化重合を円滑に進めることがで
きるとともに、良好な乳化重合体を得ることができる重
合開始剤を提供する。 【解決手段】 有機過酸化物の水性エマルションは、1
5℃以上で液状であり10時間半減期温度が70以上の
有機過酸化物、水、安定剤及び界面活性剤よりなる。安
定剤は、K値が60〜100のポリビニルピロリドンで
ある。有機過酸化物の含有量は5〜40重量%、安定剤
の含有量は0.5〜7重量%、と界面活性剤の含有量は
0.01〜15重量%が望ましい。ビニル系単量体重合
用の重合開始剤は上記の水性エマルションよりなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ビニル系単量体
の重合などに使用される有機過酸化物の水性エマルショ
ン及びそれを用いる重合開始剤に関するものである。更
に詳しくは、この発明は低粘度で、且つ常温での長期安
定性に優れ、希釈時の安定性にも優れ、輸送及び貯蔵の
取り扱いの容易な有機過酸化物の水性エマルションに関
するものである。また、その水性エマルションを用いる
ビニル系単量体重合用の重合開始剤、特にビニル系単量
体の乳化重合における重合開始剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、各重合メーカーはビニル系重合体
を塊状重合、懸濁重合及び乳化重合によって製造するに
あたり、生産性向上を目的として、重合設備の大型化、
連続化、自動化を進めてきた。この目的に適した重合開
始剤の形態としては、従来から行われている有機溶剤に
よる希釈溶液、また最近では環境及び安全性の面から水
によるエマルション化が挙げられる。有機溶剤希釈品と
しては、その使用目的に応じて各種有機溶剤によって所
望の濃度に希釈した有機過酸化物が商品化され、各種ビ
ニル系単量体の重合分野で広く用いられている。しか
し、この有機過酸化物希釈品は、これを重合開始剤とし
て使用した場合、大量の有機溶剤が重合系内に導入さ
れ、この有機溶剤が連鎖移動剤や重合停止剤として作用
して、特に乳化重合において所望の重合が達成できない
ばかりか、微妙な乳化系を破壊し重合体物性にまで悪影
響を及ぼす。
【0003】一方、水性エマルションは、重合が水系に
限られるが、高濃度でも安全性に優れており、ポンプ送
液による自動化は勿論のこと、ローリーによるバルク輸
送や大型タンクによる貯蔵も可能となった。また、水性
エマルションの場合、有機溶剤希釈と違い水による希釈
が可能であり、送液は勿論のこと、配管或いはタンク等
の洗浄も水により行うことができるという利点がある。
例えば、塩化ビニル系単量体の懸濁重合分野において
は、特に0℃以下の保管の必要な有機過酸化物、水、低
級アルコール等の凝固点降下剤、界面活性剤及びポリビ
ニルアルコールあるいは水溶性セルロース類などの安定
剤から成る有機過酸化物の水性エマルションが提案さ
れ、広く用いられている(特公昭63−45405号公
報、特開昭57−28106号公報、特開昭62−86
005号公報、特開平4−117405号公報等)。こ
こでいう安定剤とは、分散剤或いは保護コロイド剤とい
った安定なエマルションを作るための助剤のことをい
う。また、常温(ここでいう常温とは25℃±10℃を
いう)で保管可能な有機過酸化物の水性エマルションと
して、特開昭56−140048号公報では、有機過酸
化物、水、HLBの異なる3種のノニオン系界面活性剤
からなる水性エマルションが開示されている。特開昭6
2−69603号公報では、スチレン懸濁重合用有機過
酸化物、水、ノニオン系界面活性剤からなる水性エマル
ションが提案され、特開昭64−87602号公報で
は、使用直前に有機過酸化物、水、各種界面活性剤及び
ポリビニルアルコールなる安定剤を混合する重合方法が
提案されている。更に、特公平5−76963号公報で
は、炭素数4以上の有機ヒドロペルオキシド、水、各種
界面活性剤からなる水性エマルションが提案されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前記の有機
過酸化物の水性エマルションは夫々以下の欠点を有し、
特にビニル系単量体の乳化重合における重合開始剤とし
ては不適当である。 すなわち、前記低温活性の有機過
酸化物の水性エマルションの場合、エマルションとはい
え品質劣化を防止するため、そのほとんどが0℃以下の
低温保管が必要である。この様な低温保管のために凝固
点降下剤として入っている多量のメタノール等の低級ア
ルコール類が重合系内に導入され、前記有機溶剤希釈品
と同様所望の乳化重合が達成できない。また、常温保管
可能な有機過酸化物の水性エマルションでは、未だ1ヶ
月以上更には2ヶ月以上の長期貯蔵安定性を満足でき、
且つ重合系及び重合体において何等悪影響を及ぼさない
ものは殆どないといってよい。一般に安定性において
は、保管温度の影響は非常に大きく、10℃以下の温度
で安定なエマルションも常温になると分子運動がさらに
活発化しその安定性を損なうことは周知のごとくであ
り、更に数百センチストークス以下という低粘度の場合
はその影響はより一層大きくなる。そのため常温におい
ての長期安定化と低粘度化の両立は極めて難しい。
【0005】前記ポリビニルアルコールあるいは水溶性
セルロース類を添加した水性エマルションは、特にゴム
成分を含んだビニル系単量体を乳化重合する際にその重
合系に添加すると、重合系の部分凝集により重合を円滑
に進めることが出来ないという問題があった。更に、水
性エマルションは、水による希釈時の安定性に優れてい
なければならない。すなわち、一般に有機過酸化物は、
重合系への添加量が少なく定量性に欠けるため通常添加
用のタンク内で有機溶剤或いは水により一旦希釈されて
数週間に渡って使用されることが多い。よって水性エマ
ルションの場合は、水による希釈時の安定性が重要とな
る。しかしその様な要求を充分満たす水性エマルション
はない。この発明は以上のような従来技術に存在する問
題に着目してなされたものである。その目的とするとこ
ろは、常温での貯蔵安定性が高く、更に水で希釈した際
の安定性が高い有機過酸化物の水性エマルションを提供
することにある。その他の目的とするところは、乳化重
合を円滑に進めることが出来るとともに、重合体が本来
有する良好な物性に何ら悪影響を及ぼさない重合開始剤
を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、第1の発明の有機過酸化物の水性エマルションは、
有機過酸化物、水、安定剤及び界面活性剤を含む有機過
酸化物の水性エマルションにおいて、前記有機過酸化物
は15℃の温度で液状で、かつ10時間半減期温度が7
0℃以上であり、安定剤はK値60〜100のポリビニ
ルピロリドンであり、かつその含有量が0.5〜7重量
%である有機過酸化物の水性エマルションである。
【0007】また、第2の発明は、第1の発明に於い
て、前記有機過酸化物は下記一般式(1)で表される化
合物及び20℃における水溶性が水100gに対して1
0g以下である第3級ヒドロペルオキシドからなる群よ
り選択される一種以上で、かつその含有量が5〜50重
量%及び界面活性剤の含有量が0.01〜15重量%で
ある。
【0008】
【化2】
【0009】(式中、R1が3〜8個の炭素原子を有す
るアルコキシ基、または1〜17個の炭素原子を有する
第1級アルキル基、またはフェニル基の場合、R2は4
〜9個の炭素原子を有する第3級アルキル基であり、R
1が2〜7個の炭素原子を有する第2級アルキル基の場
合、R2は4〜6個の炭素原子を有する第3級アルキル
基である)
【0010】更に、第3の発明は、第1または第2の発
明の有機過酸化物の水性エマルションよりなるビニル系
単量体重合用の重合開始剤に関するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に、この発明の実施の形態に
ついて、詳細に説明する。有機過酸化物の水性エマルシ
ョンに用いられる有機過酸化物は、15℃で液状のもの
で、かつ10時間半減期温度が70℃以上、通常は20
0℃以下のものが使用可能である。70℃未満の場合常
温での保管において有機過酸化物自体の劣化が起こり好
ましくない。ここでいう10時間半減期温度とは、10
時間後に有機過酸化物の活性酸素の量が半分となる温度
であり、有機過酸化物以外アゾ化合物等でも採用されて
いるそれらの熱的特性を示す一つの指標である。一般
に、ベンゼンのような不活性溶媒による希薄状態での熱
分解により算出される。一般式(1)中におけるR1
3〜8個の炭素原子を有するアルコキシ基、または1〜
17個の炭素原子を有する第1級アルキル基、またはフ
ェニル基の場合、R2は4〜9個の炭素原子を有する第
3級アルキル基であり、R1が2〜7個の炭素原子を有
する第2級アルキル基の場合、R2は4〜6個の炭素原
子を有する第3級アルキル基である。
【0012】前記一般式(1)で表される化合物として
は、例えばt−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネ
ート、t−ブチルペルオキシ−n−ブチルカーボネー
ト、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキシルカーボ
ネート、t−アミルペルオキシイソプロピルカーボネー
ト、t−ヘキシルペルオキシイソプロピルカーボネー
ト、1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシイ
ソプロピルカーボネート等のペルオキシカーボネート
類、t−ブチルペルオキシベンゾエート、t−ブチルペ
ルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシラウレー
ト、t−ブチルペルオキシ−3,5,5トリメチルヘキ
サノエート、t−アミルペルオキシベンゾエート、t−
ヘキシルペルオキシベンソエート、1,1,3,3−テ
トラメチルブチルペルオキシベンゾエート、t−ブチル
ペルオキシイソブチレート、t−ブチルペルオキシ−2
−エチルヘキサネート、t−アミルペルオキシイソブチ
レート、t−ヘキシルペルオキシイソブチレート等のペ
ルオキシエステル類等が挙げられる。また20℃におけ
る水溶性が水100gに対して10g以下である第3級
ヒドロペルオキシドは、例えばt−アミルヒドロペルオ
キシド、t−ヘキシルヒドロペルオキシド、1,1,
3,3−テトラメチルブチルヒドロペルオキシド、クメ
ンヒドロペルオキシド、ジ−イソプロピルベンセンヒド
ロペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド等が
挙げられる。
【0013】有機過酸化物の水性エマルションにおい
て、通常有機過酸化物の含有量は5〜50重量%であ
り、この範囲を設定することにより、水性エマルション
の常温における安定性を維持することが出来る。この含
有量が5重量%より少ない場合は輸送や保管上コストが
かかり、実用に際して好ましくない。又50重量%を越
えると安定性が悪くなる傾向にある。実用的に好ましい
範囲は10〜40重量%である。
【0014】安定剤としてのポリビニルピロリドンは、
K値が60〜100のもの、好ましくは60〜90のも
のである。このような特定のポリビニルピロリドンを使
用することにより、常温での水性エマルションの長期安
定性と水希釈時の安定性を向上させることが出来る。こ
のK値が60未満では長期安定性が確保できず、100
を越えると粘度が高くなりすぎ、乳化が困難になる。ま
た、分子量の異なる混合物でもK値が60〜100であ
ればよい。ここでいうK値とはアメリカ、イギリス、ヨ
ーロッパ各薬局方に基づいたポリビニルピロリドンの粘
度を表す指標であり、以下の測定法に従い相対粘度が測
定され、フィッケンチャー(Fikentscher)
の式(2)
【0015】
【数1】
【0016】 Z:濃度Cの溶液の相対粘度 k:K値×10-3 C:ポリビニルピロリドンの濃度(wt/vol %) から求められる。ここで相対粘度は、ウベローデ粘度計
により25℃における1.0%水溶液のゲージ間を通過
する時間を測定し、次に同様にして水の通過時間を測定
した後に、相対粘度=(溶液の流下時間)÷(水の流下
時間)により求めることができる。また前記ポリビニル
ピロリドンの含有量は0.5〜7重量%であり、好まし
くは1〜6重量%である。ポリビニルピロリドンが0.
5重量%より少ないと長期安定性を確保できず、また7
重量%を越すと粘度が高くなりすぎ、乳化が困難となり
好ましくない。
【0017】次に、界面活性剤はいずれの種類のもので
も良いが、アニオン系及びノニオン系界面活性剤が好ま
しい。カチオン系界面活性剤の場合、一般の乳化重合用
界面活性剤がアニオン系界面活性剤であるため活性剤同
士の相互作用が問題となることがある。アニオン系界面
活性剤としては、例えば脂肪酸石鹸類、アルキルサルフ
ェート類、アルキルベンセンスルホン酸ソーダ類及びジ
アルキルスルホコハク酸ソーダ類等が挙げられる。ノニ
オン系界面活性剤としては、例えば脂肪酸ソルビタンエ
ステル類、脂肪酸ポリグリコールエーテル類及び脂肪酸
ポリグリコールエステル類等が挙げられる。界面活性剤
の種類は有機過酸化物の種類によって適宜選ばれるが、
特に前記一般式(1)で表される化合物の場合は、ノニ
オン系界面活性剤が好ましく、また第3級ヒドロペルオ
キシドの場合は、アニオン系界面活性剤が好ましい。こ
れらの界面活性剤は二種以上の混合物で使用してもよ
い。また、界面活性剤の含有量は通常0.01〜15重
量%であり、好ましくは0.1〜10重量%である。
0.01重量%未満では長期にわたる安定性は勿論のこ
と、水による希釈時の安定性の確保が困難で、また15
重量%を越えると乳化重合系或いは重合体物性に於いて
悪影響を及ぼす傾向がある。
【0018】本発明の有機過酸化物の水性エマルション
の製造方法としては、通常の水性エマルションの製造方
法と同様な方法が採用される。一般的には、水相に予め
界面活性剤及び安定剤を溶解或いは分散させておき、こ
れに有機過酸化物を混合し、均質分散機でエマルション
化する。但し、界面活性剤に油溶性のものがある場合
は、直接有機過酸化物に混合しておいてもよい。この時
使用できる装置としては例えば、かい型、プロペラ型、
タービン型の器械回転式の攪拌機等の一般の攪拌機であ
れば特に限定されず使用できるが、乳化時間の短縮のた
めホモミキサー、ホモジナイザー、高速せん断装置、ラ
インミキサー、超音波ホモジナイザー等が特に好適に使
用される。
【0019】重合開始剤として用いる場合は、前述した
水性エマルションをそのまま使用することが出来るが、
連鎖移動的作用或いは乳化重合系破壊等の重合異常を起
こさない程度の有機溶剤或いは他の安定剤を水性エマル
ション中に含有させることができる。有機過酸化物の水
性エマルションは、乳化重合又は乳化共重合系において
好適に使用できる。例えば、酢酸ビニル、(メタ)アク
リル酸エステル、ブタジエン、スチレン/ブタジエン、
スチレン/ブタジエン/アクリロニトリル、スチレン/
ブタジエン/(メタ)アクリル酸エステル、塩化ビニリ
デン等の乳化重合又は乳化共重合において好適に使用さ
れる。
【0020】以上詳述した様に、実施形態によれば、次
のような利点を有する。 (1)界面活性剤に加え、安定剤としての所定粘度のポ
リビニルピロリドンを使用したことから、水性エマルシ
ョンの常温での長期貯蔵安定性が優れている。 (2)界面活性剤と安定剤としての所定のポリビニルピ
ロリドンの相互作用により、水性エマルションの水によ
る希釈時の貯蔵安定性も優れている。 (3)水性エマルションをビニル単量体の乳化重合の際
に重合系に添加したとき安定性が良く、重合を円滑に進
めることが出来るとともに、良好な物性を有する重合体
を得ることが出来る。 (4)水性エマルションの粘度が低いためポンプ移送が
容易である。 (5)低粘度の水性エマルションであるため、貯蔵タン
ク或いは配管内を大量の水で洗浄することができ、溶剤
洗浄の必要がない。
【0021】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例により、更
に具体的に説明する。 有機過酸化物水性エマルションの製造 実施例 1〜10 表1に示す各種組成の本発明の有機過酸化物の水性エマ
ルションを次に示す方法で製造した。300mlのビー
カーに表1で示す割合でイオン交換水、安定剤としてポ
リビニルピロリドンと界面活性剤を混合した後、有機過
酸化物を加え合計200gになるように調製した。そし
て、内温を20〜25℃に保ちながらホモミキサー(特
殊機化工業(株)製)を用いて10000rpmで10
分間攪拌し、有機過酸化物の水性エマルションを得た。
【0022】
【表1】
【0023】比較例 1〜7 表2に示すこの発明の範囲外の各種組成の水性エマルシ
ョンを実施例と同様の方法で製造した。
【0024】
【表2】
【0025】次に、実施例及び比較例に示されている有
機過酸化物の水性エマルションを用いて粘度を測定し、
更に貯蔵安定性及び水に対する希釈安定性試験を以下の
方法で行った。 粘度測定 20℃における水性エマルションの粘度は、逆流型キャ
ノンフェンスケ粘度計(柴田科学器械工業(株)製)を
用いて測定した。 貯蔵安定性試験 水性エマルション100gを35mmφ×100mmの
ガラス容器に入れ、20℃の恒温槽中に貯蔵して目視に
よって相分離の有無をみると共に、エマルションの上層
及び下層の有機過酸化物の濃度をヨードメトリー法によ
る活性酸素量を測定して算出した。そして、その差の有
無から貯蔵安定性を下記基準により判定した。夫々の結
果を表3に示す。 ○:2ヶ月以上、△:1ヶ月以上2ヶ月未満、×:1週
間以上1ヶ月未満、××:1週間未満
【0026】希釈安定性試験 水性エマルションを有機過酸化物濃度5%になるまでイ
オン交換水を加えて希釈した後、通常の攪拌機により1
0分間攪拌したもの100gを35mmφ×100mm
のガラス容器に入れた。そして、20℃の恒温槽中に貯
蔵して目視によって相分離の有無をみると共に、エマル
ションの上層及び下層の有機過酸化物の濃度をヨードメ
トリー法で測定した。その差の有無から貯蔵安定性を下
記基準により判定した。夫々の結果を表3に示す。 ○:2週間以上、△:1週間以上2週間未満、×:3日
以上1週間未満、××:3日未満
【0027】
【表3】
【0028】表3に示したように、実施例1〜9の水性
エマルションは、いずれも粘度が低くポンプ移送が容易
で、常温での貯蔵安定性に優れるとともに、水希釈安定
性も良好である。また、有機過酸化物の含有量が高い場
合(実施例10)、水希釈安定性がやや劣るが、粘度は
低く、貯蔵安定性に優れているため、問題は生じない。
一方、安定性としてのポリビニルピロリドンのK値が
60未満の場合(比較例3)、或いはポリビニルピロリ
ドンの含有量の少ない場合(比較例5)、貯蔵安定性、
水希釈安定性の両方がやや不良となる。また、ポリビニ
ルピロリドンを使用しない場合(比較例1、2)、貯蔵
安定性、水希釈安定性とも不良である。また、ポリビニ
ルピロリドンのK値が100を越える場合(比較例
4)、或いはポリビニルピロリドンの含有量の多い場合
(比較例6)、粘度が高すぎて乳化困難となった。更
に、20℃における水溶性が水100gに対して10g
以上であるt−ブチルヒドロペルオキシドの場合(比較
例7)、貯蔵安定性、水希釈安定性とも不良であった。
【0029】重合例1 窒素置換した5リットルのオートクレーブにイオン交換
水2510g、脂肪酸カリ石鹸66.7gを仕込み石鹸
を攪拌溶解した。その後、ブタジェン1000g、スチ
レン333g、t−ドデシルメルカプタン66.7g及
び実施例4の有機過酸化物の水性エマルションを22.
3g仕込み、攪拌しながら70℃で10時間、90℃で
3時間重合させた。次いで、未反応モノマーを除去し、
目的とするSBRラテックスを得た。得られたSBRラ
テックスの平均粒子径、重合転化率、残留スチレン量、
及び重合体のムーニー粘度はt−ブチルペルオキシイソ
プロピルカーボネートのみを重合系に添加した場合と比
較して変化はなかった。
【0030】重合例2 重合例1で用いたオートクレーブにイオン交換水240
0g、不均化ロジン酸石鹸40g、ピロリン酸ソーダ
3.2g、苛性ソーダ1.6g、メチレンビスナフタリ
ンスルホン酸ソーダ3.2gを仕込み攪拌溶解した。そ
の後、ポリブタジエンラテックス(固形分)960g
(480g)、スチレン355g、アクリロニトリル1
25g、t−ドデシルメルカプタン4.8g、硫酸第1
鉄0.05g、デキストローズ8g、実施例6の有機過
酸化物の水性エマルションを17.6gを仕込み、攪拌
しながら70℃で3時間重合させた。次いで未反応モノ
マーを除去し、目的とするABSラテックスを得た。得
られたABSラテックスの平均粒子径、重合転化率はク
メンヒドロペルオキシドのみを重合系に添加した場合と
比較して変化はなかった。
【0031】尚、前記実施形態より把握される技術的思
想について以下に記載する。 (1)界面活性剤はアニオン系又はノニオン系界面活性
剤である請求項1に記載の有機過酸化物の水性エマルシ
ョン。この様に構成すれば、水性エマルションの常温で
の長期に渡る安定性と水による希釈時の安定性を確保す
ることが出来る。 (2)界面活性剤は、有機過酸化物が前記一般式(1)
で表される化合物の場合にはノニオン界面活性剤である
第一の発明に記載の有機過酸化物の水性エマルション。
この様に構成すれば、水性エマルションの粘度を低粘度
に安定して維持する事が出来る。 (3)界面活性剤は、有機過酸化物が第3級ヒドロペル
オキシドの場合にはアニオン界面活性剤である第一の発
明に記載の有機過酸化物の水性エマルション。この様に
構成によれば、低粘度の水性エマルションの安定性を向
上させることが出来る。 (4)水に界面活性剤と安定剤として、K値が60〜1
00のポリビニルピロリドンを溶解又は分散させた後、
有機過酸化物を混合し、攪拌して分散させる水性エマル
ションの製造方法。この方法によれば、低粘度で常温で
の貯蔵安定性の良い水性エマルションを効率よく得るこ
とが出来る。
【0032】
【発明の効果】以上詳述した様に、この発明は以下の様
な優れた効果を奏する。第1の発明の有機過酸化物の水
性エマルションによれば、特定の安定剤を特定の含有量
使用することにより、低粘度で、常温での貯蔵安定性を
高めることができ、しかも水で希釈した際の安定性を高
めることができる。第2の発明によれば、有機過酸化物
の種類、含有量、界面活性剤の含有量の組み合わせによ
り、第1の発明の効果を相乗的に高めることができる。
第3の発明のビニル系単量体重合用の重合開始剤によれ
ば、乳化重合を円滑に進めることができるとともに、重
合体が本来有する良好な物性に何ら悪影響を及ぼさな
い。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機過酸化物、水、安定剤及び界面活性
    剤を含む有機過酸化物の水性エマルションにおいて、前
    記有機過酸化物は15℃の温度で液状で、かつ10時間
    半減期温度が70℃以上であり、安定剤はK値60〜1
    00のポリビニルピロリドンで、かつその含有量が0.
    5〜7重量%である有機過酸化物の水性エマルション。
  2. 【請求項2】 前記有機過酸化物は下記一般式(1)で
    表される化合物及び20℃における水溶性が水100g
    に対して10g以下である第3級ヒドロペルオキシドか
    らなる群より選択される一種又は2種以上で、かつその
    含有量が5〜50重量%及び界面活性剤の含有量が0.
    01〜15重量%である請求項1に記載の有機過酸化物
    の水性エマルション。 【化1】 (式中、R1が3〜8個の炭素原子を有するアルコキシ
    基、または1〜17個の炭素原子を有する第1級アルキ
    ル基、またはフェニル基の場合、R2は4〜9個の炭素
    原子を有する第3級アルキル基であり、R1が2〜7個
    の炭素原子を有する第2級アルキル基の場合、R2は4
    〜6個の炭素原子を有する第3級アルキル基である)
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の有機過
    酸化物の水性エマルションよりなるビニル系単量体重合
    用の重合開始剤。
JP30888995A 1995-11-28 1995-11-28 有機過酸化物の水性エマルション及び重合開始剤 Pending JPH09143214A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113993907A (zh) * 2019-07-22 2022-01-28 阿科玛法国公司 有机过氧化物含水乳液

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