JPH09143011A - N−ベンジル−2,3−ジクロロマレイミドを含有する組成物 - Google Patents

N−ベンジル−2,3−ジクロロマレイミドを含有する組成物

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JPH09143011A
JPH09143011A JP8250728A JP25072896A JPH09143011A JP H09143011 A JPH09143011 A JP H09143011A JP 8250728 A JP8250728 A JP 8250728A JP 25072896 A JP25072896 A JP 25072896A JP H09143011 A JPH09143011 A JP H09143011A
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JP
Japan
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benzyl
dichloromaleimide
industrial
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JP8250728A
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Yasuhiro Hidaka
靖浩 日高
Katsutoshi Ishimaru
勝敏 石丸
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Welfide Corp
Original Assignee
Welfide Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 細菌、カビ、酵母など広範囲な種類の微生物
に対して有効な防黴力、防腐力、または殺菌・静菌力を
有し、かつその効果が持続する組成物を提供する。 【解決手段】 N−ベンジル−2,3−ジクロロマレイ
ミドと下記化合物等の1種以上とからなる組成物。3,
3,4,4−テトラクロロテトラヒドロチオフェン−
1,1−ジオキシド、2,2−ジブロモ−2−ニトロエ
タノール、1,4−ビス(ブロモアセトキシ)−2−ブ
テン、ジクロルグリオキシム、ジメチルジチオカルバメ
ートナトリウム塩、ビストリブロモメチルスルホン、メ
チレンビスチオシアネート、4,5−ジクロロ−1,2
−ジチオール−3−オン、2,2−ジブロモ−3−ニト
リロプロピオンアミド、1,2−ベンゾイソチアゾリン
−3−オン。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、N−ベンジル−
2,3−ジクロロマレイミドを含む組成物、該組成物を
含有する工業用防腐剤、工業用防黴剤、工業用殺菌・静
菌剤、および該組成物を用いるこれらの方法に関する。
【0002】さらに詳しくは、工業製品やその原料であ
る水性塗料、金属加工油、澱粉糊、紙用塗工液、繊維油
剤、リグニン液、ラテックスエマルジョン、皮革、電気
絶縁体、繊維製品などを微生物による変質を防止、ある
いは、紙・パルプ工場の抄紙工程水、各種工業用の冷却
水や洗浄水などの循環系工業用水などの微生物に起因し
て生ずるスライム障害防止を目的として、該組成物を使
用することに関する。
【0003】
【従来の技術】従来より、紙、パルプ、プラスチック、
燃料、油、ゴム、塗料、木材、繊維、化粧品、皮革、毛
皮などの産業において、細菌、黴類、酵母などの微生物
に起因して生ずる障害が、製品の腐敗・変質・汚染など
の品質の低下や生産性の低下の原因となっている。
【0004】たとえば、紙・パルプ工業における抄紙工
程や各種工業における冷却水系統には、原料から持ち込
まれるバレイショ澱粉やタピオカ澱粉、小麦澱粉などに
は土壌菌が付着しており、耐熱性胞子をもつBacil
lus属の細菌などが多く存在しており、微生物の栄養
源である澱粉が豊富に存在する環境下において、これら
の細菌類をはじめ、黴類、酵母類などの微生物が繁殖し
やすく、その結果、腐敗臭、目詰まりなどが生じるた
め、生産製品の品質の劣化や生産性の悪化などの障害が
生じている。
【0005】また、工業製品や工業用材料である、水性
塗料、金属加工油、澱粉糊、紙用塗工液、繊維油剤、リ
グニン液、ラテックスエマルジョンなどの各種の材料や
製品が、微生物による腐敗・変質・汚損を抑制防止し、
これらによる商品価値の低下や、資源の有効利用に対策
が求められている。
【0006】これらの微生物による障害を防止するた
め、多くの化合物が使用されてきた。古くは有機水銀化
合物、塩素化フェノール化合物やホルマリンなどが使用
されていたが、これらの薬剤は人体や魚介類に対する毒
性が強く、環境汚染をひき起こすため使用が規制される
ようになり、最近では比較的低毒性である有機窒素硫黄
系、有機ブロム系、有機硫黄系の化合物が使用されてい
る。
【0007】有機窒素硫黄系の化合物には、メチレンビ
スチオシアネート、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3
−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン
−3−オンなどが、有機ブロム系の化合物には、2,2
−ジブロモ−3−ニトロプロピオンアミド、1,2−ビ
ス(ブロモアセトキシ)エタン、1,4−ビス(ブロモ
アセトキシ)−2−ブテン、ビストリブロモメチルスル
ホンなどが、有機硫黄系の化合物には、4,5−ジクロ
ロ−1,2−ジチオール−3−オンなどが防黴、防腐、
殺菌・静菌作用をもつ化合物として汎用されている。
【0008】これらの詳細については、「防菌防黴剤辞
典」(発行:日本防菌防黴学会、昭和61年)や「防菌
防黴剤と快適環境」(発行:株式会社シーエムシー、1
992年)に記載されている。
【0009】また、特開平5−201804号公報に
は、本発明の組成物に含有される化合物であるN−ベン
ジル−2,3−ジクロロマレイミド
【化1】 が水中防汚剤の有効成分として効果を示すことが記載さ
れている。
【0010】また、以下に示す化合物も、工業用防黴
剤、工業用防腐剤、工業用殺菌・静菌剤として知られて
いるものである。
【0011】3,3,4,4−テトラクロロテトラヒド
ロチオフェン−1,1−ジオキシド
【化2】
【0012】2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノール
【化3】
【0013】1,4−ビス(ブロモアセトキシ)−2−
ブテン
【化4】
【0014】ジクロルグリオキシム
【化5】
【0015】ジメチルジチオカルバメートナトリウム塩
【化6】
【0016】ビストリブロモメチルスルホン
【化7】
【0017】メチレンビスチオシアネート
【化8】
【0018】4,5−ジクロロ−1,2−ジチオール−
3−オン
【化9】
【0019】2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオ
ンアミド
【化10】
【0020】1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン
【化11】
【0021】1,5−ペンタンジアール
【化12】
【0022】2−ピリジンチオール−1−オキシドナト
リウム塩
【化13】
【0023】2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパ
ンジオール
【化14】
【0024】1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチ
ル)ヘキサヒドロ−s−トリアジン
【化15】
【0025】5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾ
リン−3−オン
【化16】 およびその塩化マグネシウム塩または塩化カルシウム塩
【0026】2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オ
【化17】 およびその塩化マグネシウム塩または塩化カルシウム塩
【0027】2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−
3−オン
【化18】
【0028】2,4,5,6−テトラクロロ−1,3−
イソフタロニトリル
【化19】
【0029】3−ヨード−2−プロピニル−N−ブチル
カルバメート(別名:3−ヨード−2−プロパルギル−
N−ブチルカルバメート)
【化20】
【0030】2−ピリジンチオール−1−オキシド亜鉛
【化21】
【0031】4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4
−イソチアゾリン−3−オン
【化22】
【0032】2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メ
チルスルホニル)ピリジン
【化23】
【0033】N,N−ジメチル−N’−(ジクロロフル
オロメチルチオ)−N’−フェニルスルファミド
【化24】
【0034】2−(4’−チアゾリル)ベンゾイミダゾ
ール
【化25】
【0035】2−(メトキシカルボニルアミノ)ベンゾ
イミダゾール
【化26】
【0036】2−(チオシアノメチルチオ)ベンゾチア
ゾール
【化27】
【0037】また、これらの化合物を組み合わせた組成
物が相乗効果を持つものとして使用されている。たとえ
ば、4,5−ジクロロ−1,2−ジチオール−3−オン
とアルキレンビスチオシアナートとの組合せ(特公昭6
3−60722号公報)、4,5−ジクロロ−1,2−
ジチオール−3−オンと、2,2−ジブロモ−3−ニト
リロプロピオンアミドと、メチレンビスチオシアネート
との3種の化合物の組合せ(特開平7−10716号公
報)などによる相乗効果が発揮される工業用防黴剤、工
業用防腐剤、工業用殺菌・静菌剤が提案されている。
【0038】しかしながら、本願発明の、N−ベンジル
−2,3−ジクロロマレイミドと、3,3,4,4−テ
トラクロロテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシ
ド、2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノール、1,4
−ビス(ブロモアセトキシ)−2−ブテン、ジクロルグ
リオキシム、ジメチルジチオカルバメートナトリウム
塩、ビストリブロモメチルスルホン、メチレンビスチオ
シアネート、4,5−ジクロロ−1,2−ジチオール−
3−オン、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオン
アミド、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、
1,5−ペンタンジアール、2−ピリジンチオール−1
−オキシドナトリウム塩、2−ブロモ−2−ニトロ−
1,3−プロパンジオール、1,3,5−トリス(2−
ヒドロキシエチル)ヘキサヒドロ−s−トリアジン、5
−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン
およびその塩化マグネシウム塩または塩化カルシウム
塩、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンおよび
その塩化マグネシウム塩または塩化カルシウム塩、2−
n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2,
4,5,6−テトラクロロ−1,3−イソフタロニトリ
ル、3−ヨード−2−プロピニル−N−ブチルカルバメ
ート、2−ピリジンチオール−1−オキシド亜鉛塩、
4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾ
リン−3−オン、2,3,5,6−テトラクロロ−4−
(メチルスルホニル)ピリジン、N,N−ジメチル−
N’−(ジクロロフルオロメチルチオ)−N’−フェニ
ルスルファミド、2−(4’−チアゾリル)ベンゾイミ
ダゾール、2−(メトキシカルボニルアミノ)ベンゾイ
ミダゾール、または2−(チオシアノメチルチオ)ベン
ゾチアゾールから選ばれた少なくとも1種の化合物とか
らなる組成物について、報告された例はない。
【0039】
【発明が解決しようとする課題】前述した種々の低毒性
の防黴剤、防腐剤、殺菌・静菌剤単独では、狭い範囲の
微生物にしか有効ではないため、多くの種類の微生物が
存在する環境において、満足できる防黴力、防腐力、殺
菌・静菌力が得られないという欠点とともに、有効な微
生物に対しても長時間使用すると耐性菌が出現するとい
う問題があった。また、低毒性とはいえ、その使用量を
出来るだけ低減させることが、環境保護の面からも望ま
しい。本発明は細菌、カビ、酵母など広範囲な種類の微
生物に対して有効な防黴力、防腐力、殺菌・静菌力を有
し、かつその効果が持続する組成物を提供することを目
的としている。
【0040】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、これらの
観点より鋭意研究した結果、N−ベンジル−2,3−ジ
クロロマレイミドと、3,3,4,4−テトラクロロテ
トラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド、2,2−
ジブロモ−2−ニトロエタノール、1,4−ビス(ブロ
モアセトキシ)−2−ブテン、ジクロルグリオキシム、
ジメチルジチオカルバメートナトリウム塩、ビストリブ
ロモメチルスルホン、メチレンビスチオシアネート、
4,5−ジクロロ−1,2−ジチオール−3−オン、
2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド、
1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、1,5−ペ
ンタンジアール、2−ピリジンチオール−1−オキシド
ナトリウム塩、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロ
パンジオール、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエ
チル)ヘキサヒドロ−s−トリアジン、5−クロロ−2
−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンおよびその塩
化マグネシウム塩または塩化カルシウム塩、2−メチル
−4−イソチアゾリン−3−オンおよびその塩化マグネ
シウム塩または塩化カルシウム塩、2−n−オクチル−
4−イソチアゾリン−3−オン、2,4,5,6−テト
ラクロロ−1,3−イソフタロニトリル、3−ヨード−
2−プロピニル−N−ブチルカルバメート、2−ピリジ
ンチオール−1−オキシド亜鉛塩、4,5−ジクロロ−
2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、
2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニ
ル)ピリジン、N,N−ジメチル−N’−(ジクロロフ
ルオロメチルチオ)−N’−フェニルスルファミド、2
−(4’−チアゾリル)ベンゾイミダゾール、2−(メ
トキシカルボニルアミノ)ベンゾイミダゾール、または
2−(チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾールから選
ばれた少なくとも1種の化合物とを併用することによ
り、N−ベンジル−2,3−ジクロロマレイミド単独の
防黴力、防腐力、殺菌・静菌力より強力な、換言すれ
ば、単独使用時の何分の一かの使用量で同様な効果を発
揮する、実用上著しく顕著な相乗効果を見出し、この発
明を完成するに至った。
【0041】すなわち、本発明は、N−ベンジル−2,
3−ジクロロマレイミドと、(1):A群に示された化
合物群から選ばれる少なくとも1種の化合物とからなる
組成物、および(2):A群に示された化合物群から選
ばれる少なくとも1種の化合物とを含有する工業用防黴
剤、工業用防腐剤、工業用殺菌・静菌剤に関する。
【0042】ここで、A群に示された化合物群には、次
の化合物が含まれる。これらの化合物については、前記
に化学構造式が示されている。
【0043】3,3,4,4−テトラクロロテトラヒド
ロチオフェン−1,1−ジオキシド、2,2−ジブロモ
−2−ニトロエタノール、1,4−ビス(ブロモアセト
キシ)−2−ブテン、ジクロルグリオキシム、ジメチル
ジチオカルバメートナトリウム塩、ビストリブロモメチ
ルスルホン、メチレンビスチオシアネート、4,5−ジ
クロロ−1,2−ジチオール−3−オン、2,2−ジブ
ロモ−3−ニトリロプロピオンアミド、1,2−ベンゾ
イソチアゾリン−3−オン、1,5−ペンタンジアー
ル、2−ピリジンチオール−1−オキシドナトリウム
塩、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオー
ル、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)ヘキ
サヒドロ−s−トリアジン、5−クロロ−2−メチル−
4−イソチアゾリン−3−オンおよびその塩化マグネシ
ウム塩または塩化カルシウム塩、2−メチル−4−イソ
チアゾリン−3−オンおよびその塩化マグネシウム塩ま
たは塩化カルシウム塩、2−n−オクチル−4−イソチ
アゾリン−3−オン、2,4,5,6−テトラクロロ−
1,3−イソフタロニトリル、3−ヨード−2−プロピ
ニル−N−ブチルカルバメート、2−ピリジンチオール
−1−オキシド亜鉛塩、4,5−ジクロロ−2−n−オ
クチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2,3,5,
6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジ
ン、N,N−ジメチル−N’−(ジクロロフルオロメチ
ルチオ)−N’−フェニルスルファミド、2−(4’−
チアゾリル)ベンゾイミダゾール、2−(メトキシカル
ボニルアミノ)ベンゾイミダゾール、2−(チオシアノ
メチルチオ)ベンゾチアゾール。
【0044】上記A群に示された化合物群に示した化合
物は、工業用防黴剤、工業用防腐剤、工業用殺菌・静菌
剤として、入手することができる。
【0045】本発明の利用には、N−ベンジル−2,3
−ジクロロマレイミドと、A群に示された化合物群から
選ばれた少なくとも1種の化合物とを、あらかじめ混合
し同時添加しても、あらかじめ混合せず別々に添加して
も、いずれの方法であっても使用することができる。
【0046】本発明の好ましい形態としては、N−ベン
ジル−2,3−ジクロロマレイミドと、B群に示される
化合物群から選ばれた少なくとも1種の化合物とを、含
有する工業用殺菌・静菌組成物、およびこれらを同時に
または別々に、添加することを特徴とする工業用殺菌・
静菌方法が挙げられる。
【0047】B群に示される化合物群には、次の化合物
が含まれる。3,3,4,4−テトラクロロテトラヒド
ロチオフェン−1,1−ジオキシド、2,2−ジブロモ
−2−ニトロエタノール、1,4−ビス(ブロモアセト
キシ)−2−ブテン、ジクロルグリオキシム、ジメチル
ジチオカルバメートナトリウム塩、ビストリブロモメチ
ルスルホン、メチレンビスチオシアネート、4,5−ジ
クロロ−1,2−ジチオール−3−オン、2,2−ジブ
ロモ−3−ニトリロプロピオンアミド。
【0048】本発明の好ましい形態としては、N−ベン
ジル−2,3−ジクロロマレイミドと、C群に示された
化合物群から選ばれた少なくとも1種の化合物とを、含
有する工業用防黴剤、およびこれらを同時にまたは別々
に、添加することを特徴とする工業用防黴方法が挙げら
れる。
【0049】ここで、C群に示される化合物群には、次
の化合物が含まれる。5−クロロ−2−メチル−4−イ
ソチアゾリン−3−オンおよびその塩化マグネシウム塩
または塩化カルシウム塩、2−メチル−4−イソチアゾ
リン−3−オンおよびその塩化マグネシウム塩または塩
化カルシウム塩、2−n−オクチル−4−イソチアゾリ
ン−3−オン、2,4,5,6−テトラクロロ−1,3
−イソフタロニトリル、3−ヨード−2−プロピニル−
N−ブチルカルバメート、2−ピリジンチオール−1−
オキシド亜鉛塩、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル
−4−イソチアゾリン−3−オン、2,3,5,6−テ
トラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン、N,
N−ジメチル−N’−(ジクロロフルオロメチルチオ)
−N’−フェニルスルファミド、2−(4’−チアゾリ
ル)ベンゾイミダゾール、2−(メトキシカルボニルア
ミノ)ベンゾイミダゾール、2−(チオシアノメチルチ
オ)ベンゾチアゾール。
【0050】本発明の好ましい形態としては、N−ベン
ジル−2,3−ジクロロマレイミドと、D群に示された
化合物群から選ばれた少なくとも1種の化合物とを、含
有する工業用防腐剤、およびこれらを同時にまたは別々
に、添加することを特徴とする工業用防腐方法が挙げら
れる。
【0051】D群に示される化合物群には、次の化合物
が含まれる。メチレンビスチオシアネート、4,5−ジ
クロロ−1,2−ジチオール−3−オン、2,2−ジブ
ロモ−3−ニトリロプロピオンアミド、1,2−ベンゾ
イソチアゾリン−3−オン、1,5−ペンタンジアー
ル、2−ピリジンチオール−1−オキシドナトリウム
塩、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオー
ル、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)ヘキ
サヒドロ−s−トリアジン、5−クロロ−2−メチル−
4−イソチアゾリン−3−オンおよびその塩化マグネシ
ウム塩または塩化カルシウム塩、2−メチル−4−イソ
チアゾリン−3−オンおよびその塩化マグネシウム塩ま
たは塩化カルシウム塩、2−n−オクチル−4−イソチ
アゾリン−3−オン、2,4,5,6−テトラクロロ−
1,3−イソフタロニトリル、3−ヨード−2−プロピ
ニル−N−ブチルカルバメート、2−ピリジンチオール
−1−オキシド亜鉛塩、4,5−ジクロロ−2−n−オ
クチル−4−イソチアゾリン−3−オン。
【0052】さらに好ましい本発明の形態としては、以
下のものが挙げられる。
【0053】N−ベンジル−2,3−ジクロロマレイミ
ドと、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミ
ドとからなる組成物。N−ベンジル−2,3−ジクロロ
マレイミドと、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピ
オンアミドとを含有する工業用殺菌・静菌組成物。N−
ベンジル−2,3−ジクロロマレイミドと、2,2−ジ
ブロモ−3−ニトリロプロピオンアミドとを、同時にま
たは別々に、添加することを特徴とする工業用殺菌・静
菌方法。N−ベンジル−2,3−ジクロロマレイミド
と、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド
とを含有する工業用防腐剤。N−ベンジル−2,3−ジ
クロロマレイミドと、2,2−ジブロモ−3−ニトリロ
プロピオンアミドとを、同時にまたは別々に、添加する
ことを特徴とする工業用防腐方法。
【0054】N−ベンジル−2,3−ジクロロマレイミ
ドと、4,5−ジクロロ−1,2−ジチオール−3−オ
ンとからなる組成物。N−ベンジル−2,3−ジクロロ
マレイミドと、4,5−ジクロロ−1,2−ジチオール
−3−オンとを含有する工業用殺菌・静菌組成物。N−
ベンジル−2,3−ジクロロマレイミドと、4,5−ジ
クロロ−1,2−ジチオール−3−オンとを、同時にま
たは別々に、添加することを特徴とする工業用殺菌・静
菌方法。N−ベンジル−2,3−ジクロロマレイミド
と、4,5−ジクロロ−1,2−ジチオール−3−オン
とを含有する工業用防腐剤。N−ベンジル−2,3−ジ
クロロマレイミドと、4,5−ジクロロ−1,2−ジチ
オール−3−オンとを、同時にまたは別々に、添加する
ことを特徴とする工業用防腐方法。
【0055】N−ベンジル−2,3−ジクロロマレイミ
ドと、2−(チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾール
とからなる組成物。N−ベンジル−2,3−ジクロロマ
レイミドと、2−(チオシアノメチルチオ)ベンゾチア
ゾールとを含有する工業用防黴剤。N−ベンジル−2,
3−ジクロロマレイミドと、2−(チオシアノメチルチ
オ)ベンゾチアゾールとを、同時にまたは別々に、添加
することを特徴とする工業用防黴方法。
【0056】N−ベンジル−2,3−ジクロロマレイミ
ドと、メチレンビスチオシアネートとからなる組成物。
N−ベンジル−2,3−ジクロロマレイミドと、メチレ
ンビスチオシアネートとを含有する工業用殺菌・静菌組
成物。N−ベンジル−2,3−ジクロロマレイミドと、
メチレンビスチオシアネートとを、同時にまたは別々
に、添加することを特徴とする工業用殺菌・静菌方法。
N−ベンジル−2,3−ジクロロマレイミドと、メチレ
ンビスチオシアネートとを含有する工業用防腐剤。N−
ベンジル−2,3−ジクロロマレイミドと、メチレンビ
スチオシアネートとを、同時にまたは別々に、添加する
ことを特徴とする工業用防腐方法。
【0057】N−ベンジル−2,3−ジクロロマレイミ
ドと、3−ヨード−2−プロピニル−N−ブチルカルバ
メートとからなる組成物。N−ベンジル−2,3−ジク
ロロマレイミドと、3−ヨード−2−プロピニル−N−
ブチルカルバメートとを含有する工業用防腐剤。N−ベ
ンジル−2,3−ジクロロマレイミドと、3−ヨード−
2−プロピニル−N−ブチルカルバメートとを、同時に
または別々に、添加することを特徴とする工業用防腐方
法。N−ベンジル−2,3−ジクロロマレイミドと、3
−ヨード−2−プロピニル−N−ブチルカルバメートと
を含有する工業用防黴剤。N−ベンジル−2,3−ジク
ロロマレイミドと、3−ヨード−2−プロピニル−N−
ブチルカルバメートとを、同時にまたは別々に、添加す
ることを特徴とする工業用防黴方法。
【0058】N−ベンジル−2,3−ジクロロマレイミ
ドと、2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノールとから
なる組成物。N−ベンジル−2,3−ジクロロマレイミ
ドと、2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノールとを含
有する工業用殺菌・静菌組成物。N−ベンジル−2,3
−ジクロロマレイミドと、2,2−ジブロモ−2−ニト
ロエタノールとを、同時にまたは別々に、添加すること
を特徴とする工業用殺菌・静菌方法。
【0059】N−ベンジル−2,3−ジクロロマレイミ
ドと、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオ
ールとからなる組成物。N−ベンジル−2,3−ジクロ
ロマレイミドと、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プ
ロパンジオールとを含有する工業用防腐剤。N−ベンジ
ル−2,3−ジクロロマレイミドと、2−ブロモ−2−
ニトロ−1,3−プロパンジオールとを、同時にまたは
別々に、添加することを特徴とする工業用防腐方法。
【0060】N−ベンジル−2,3−ジクロロマレイミ
ドと、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)ヘ
キサヒドロ−s−トリアジンとからなる組成物。N−ベ
ンジル−2,3−ジクロロマレイミドと、1,3,5−
トリス(2−ヒドロキシエチル)ヘキサヒドロ−s−ト
リアジンとを含有する工業用防腐剤。N−ベンジル−
2,3−ジクロロマレイミドと、1,3,5−トリス
(2−ヒドロキシエチル)ヘキサヒドロ−s−トリアジ
ンとを、同時にまたは別々に、添加することを特徴とす
る工業用防腐方法。
【0061】N−ベンジル−2,3−ジクロロマレイミ
ドと、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オ
ンとからなる組成物。N−ベンジル−2,3−ジクロロ
マレイミドと、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン
−3−オンとを含有する工業用防腐剤。N−ベンジル−
2,3−ジクロロマレイミドと、2−n−オクチル−4
−イソチアゾリン−3−オンとを、同時にまたは別々
に、添加することを特徴とする工業用防腐方法。N−ベ
ンジル−2,3−ジクロロマレイミドと、2−n−オク
チル−4−イソチアゾリン−3−オンとを含有する工業
用防黴剤。N−ベンジル−2,3−ジクロロマレイミド
と、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン
とを、同時にまたは別々に、添加することを特徴とする
工業用防黴方法。
【0062】N−ベンジル−2,3−ジクロロマレイミ
ドと、2−(4’−チアゾリル)ベンゾイミダゾールと
からなる組成物。N−ベンジル−2,3−ジクロロマレ
イミドと、2−(4’−チアゾリル)ベンゾイミダゾー
ルとを含有する工業用防黴剤。N−ベンジル−2,3−
ジクロロマレイミドと、2−(4’−チアゾリル)ベン
ゾイミダゾールとを、同時にまたは別々に、添加するこ
とを特徴とする工業用防黴方法。
【0063】N−ベンジル−2,3−ジクロロマレイミ
ドと、2,4,5,6−テトラクロロ−1,3−イソフ
タロニトリルとからなる組成物。N−ベンジル−2,3
−ジクロロマレイミドと、2,4,5,6−テトラクロ
ロ−1,3−イソフタロニトリルとを含有する工業用防
腐剤。N−ベンジル−2,3−ジクロロマレイミドと、
2,4,5,6−テトラクロロ−1,3−イソフタロニ
トリルとを、同時にまたは別々に、添加することを特徴
とする工業用防腐方法。N−ベンジル−2,3−ジクロ
ロマレイミドと、2,4,5,6−テトラクロロ−1,
3−イソフタロニトリルとを含有する工業用防黴剤。N
−ベンジル−2,3−ジクロロマレイミドと、2,4,
5,6−テトラクロロ−1,3−イソフタロニトリルと
を、同時にまたは別々に、添加することを特徴とする工
業用防黴方法。
【0064】
【発明の実施の形態】
【0065】相乗効果が発揮される比率(重量比)につ
いては、化合物ごとに、対象となる微生物ごとに異な
り、(1:1000)〜(1000:1)の範囲でとり
うるものであって、より好ましくは各々の製剤により適
切な範囲が存在し、いずれか一方が少なすぎても満足で
きる効果を得ることができない。
【0066】N−ベンジル−2,3−ジクロロマレイミ
ドと、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミ
ドとの組成物については、2:1〜1:63の割合にお
いて、好ましい相乗効果を得ることができる。
【0067】N−ベンジル−2,3−ジクロロマレイミ
ドと、4,5−ジクロロ−1,2−ジチオール−3−オ
ンとの組成物については、1:1〜1:4の割合におい
て、好ましい相乗効果を得ることができる。
【0068】N−ベンジル−2,3−ジクロロマレイミ
ドと、2−(チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾール
との組成物については、39:1〜1:1の割合におい
て、好ましい相乗効果を得ることができる。
【0069】N−ベンジル−2,3−ジクロロマレイミ
ドと、メチレンビスチオシアネートとの組成物について
は、156:1〜1:1の割合において、好ましい相乗
効果を得ることができる。
【0070】N−ベンジル−2,3−ジクロロマレイミ
ドと、3−ヨード−2−プロピニル−N−ブチルカルバ
メートとの組成物については、63:1〜1:16の割
合において、好ましい相乗効果を得ることができる。
【0071】N−ベンジル−2,3−ジクロロマレイミ
ドと、2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノールとの組
成物については、2:1〜1:2の割合において、好ま
しい相乗効果を得ることができる。
【0072】N−ベンジル−2,3−ジクロロマレイミ
ドと、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオ
ールとの組成物については、2:1〜1:2の割合にお
いて、好ましい相乗効果を得ることができる。
【0073】N−ベンジル−2,3−ジクロロマレイミ
ドと、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)ヘ
キサヒドロ−s−トリアジンとの組成物については、
2:1の割合において、好ましい相乗効果を得ることが
できる。
【0074】N−ベンジル−2,3−ジクロロマレイミ
ドと、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オ
ンとの組成物については、4.2:1.0〜1.7:
1.0の割合において、好ましい相乗効果を得ることが
できる。
【0075】N−ベンジル−2,3−ジクロロマレイミ
ドと、2−(4’−チアゾリル)ベンゾイミダゾールと
の組成物については、1.0:1.7〜1.0:1.2
の割合において、好ましい相乗効果を得ることができ
る。
【0076】N−ベンジル−2,3−ジクロロマレイミ
ドと、2,4,5,6−テトラクロロ−1,3−イソフ
タロニトリルとの組成物については、2:1の割合にお
いて、好ましい相乗効果を得ることができる。
【0077】本発明の組成物の添加量は、組成物および
対象となる微生物の種類やその濃度によっても異なる
が、一般的に、紙・パルプ工業などの用水系に添加する
場合は、0.1〜1000mg/l程度が、水性塗料、
糊、皮革などの使用材料に添加する場合は、1〜100
00mg/kg程度で良好な効果が得られる。
【0078】さらに好ましくは、用水系に添加する場合
は、1〜100mg/l程度が、水性塗料、糊、皮革な
どの使用材料に添加する場合は、10〜1000mg/
kg程度特に好ましい効果が得られる。
【0079】本発明の組成物は、基本的には2成分ある
いは2成分以上の化合物を均一に混合することにより調
製され、水溶液、溶剤溶液、乳化分散液などとして希釈
した製剤として使用に供される。また、粉剤、顆粒剤、
徐放化剤、練り状製剤など各種の形態に製剤化して用い
ることもでき、浸漬、塗布、加圧注入などの方法によっ
て使用することもできる。一般的には、希釈して使用さ
れるが、希釈せず直接対象物に添加するなど使用形態に
は特に制限がなく種々の方法を採用することができる。
【0080】また、これらの化合物は、純品でなくとも
よく、市販の工業用防黴剤、工業用防腐剤、工業用殺菌
・静菌剤を用いることもできる。これらの製剤化に際し
ては、溶媒、界面活性剤、担体、補助剤などを種々の薬
剤を使用することができる。
【0081】たとえば、紙・パルプ工業の抄紙工程や各
種産業の工業用冷却水などの水系に、また、エマルジョ
ン塗料、樹脂エマルジョン、金属加工油、糊料、コーテ
ィングカラーなどの水系製品に、添加する場合には、有
効成分の溶解、分散性を考慮して、希釈剤として水、親
水性有機溶媒、界面活性剤あるいは分散剤を用いた液剤
とするのが好ましい。
【0082】この親水性溶媒として、メタノール、エタ
ノール、プロパノール、イソプロパノール、ベンジルア
ルコールなどのアルコール類、エチレングリコール、プ
ロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピ
レングリコール、テトラメチレングリコール、ポリエチ
レングリコール、ポリプロピレングリコールなどのグリ
コール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジ
エチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレン
グリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコ
ールモノメチルエーテル、2−フェノキシエタノールな
どのグリコールエーテル類、メチルアセテート、エチル
アセテート、ブチルアセテート、3−メトキシブチルア
セテート、2−エトキシメチルアセテート、2−エトキ
シエチルアセテート、プロピレンカーボネート、グルタ
ル酸ジメチルなどのエステル類、ジオキサン、ジメチル
スルホキシド、N,N’−ジメチルホルムアミド、N−
メチルピロリドン類、および水などをあげることができ
る。
【0083】分散剤としては、カチオン性界面活性剤、
アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤または両
性界面活性剤が適当であり、製剤としての安定性および
泡立ちが少ない点でノニオン性界面活性剤が好ましい。
【0084】また、殺菌対象系が木材、油性塗料などの
油系の場合には、親油性溶媒を用いることが望ましい。
親油性溶媒には、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの
芳香族系溶媒、リグロイン、灯油、軽油、スピンドル
油、ナフサ、ケロシンなどの石油系溶媒など用いること
ができ、上記界面活性剤を添加してもよい。
【0085】また、壁紙、シャワーカーテンなどの軟質
塩化ビニル製品に添加するときは、ジオクチルフタレー
トなどの可塑剤を溶媒として使用することができる。さ
らに、本発明の組成物は、固体希釈剤や担体と混合し、
微粉状、顆粒状、練り状の製剤としてもよく、これらの
固体希釈剤には、タルク、粘土、クレー、ベントナイ
ト、CMC、珪藻土、カオリン、炭酸カルシウム、ゼオ
ライト、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウムなどを用い
ることができ、さらに、上記界面活性剤を添加してもよ
い。
【0086】本発明の組成物は、エアルギノーサ(ae
ruginosa)、フルオレッセンス(fluore
scens)、シュトゥツェリ(stutzeri)な
どのシュードモナス属(Pseudomonas sp
ecies)のバクテリア、エアロバクター・エアロゲ
ネス(Aerobacter aerogenes)な
どのバクテリア、およびエシェリキア コリ(Esch
erichia Coli)などのバクテリアを阻害す
るのに有効であることが知られている。
【0087】また、ペニシリウム(Penicilli
um)属、サッカロマイセス(Saccharomyc
es)属、カンジダ(Candida)属、フザリウム
(Fusarium)属、アスペルギルス(Asper
gillus)属、セファロスポリウム(Cephal
osporium)属などの真菌(黴)類にも有効であ
ることが知られている。
【0088】また、クロレラ・ピレノイドサ(C.py
renoidosa)などのクロレラ属(Chlore
lla species)のような藻類の繁茂を抑制す
るためにも使用することが出来る。
【実施例】以下に、本発明の組成物の実施例を示した。
【0089】効果試験例1(相乗効果確認試験) 本発明の組成物の標準菌に対する相乗効果を、二元希釈
法により測定した。二元希釈法とは、特開平2−420
07号明細書中に記載されているように、二成分を所定
の濃度になるよう希釈し、培地にそれぞれ一定量添加す
る。これに微生物を接種し、一定条件で培養したのち、
微生物の発育が認められない両成分濃度を二元希釈法に
よる最小発育阻止濃度とする。図1は、普通目盛座標を
用いて、それぞれの成分の最小発育阻止濃度を両軸上と
ったグラフである。このグラフの曲線よりも上側の領域
は増殖阻止域を示し、下側の領域は増殖域を示す。ま
た、対角線よりも上側に曲線があると拮抗作用、対角線
より下側に曲線があると相乗効果を表すものである。
【0090】また、相乗効果の程度を表す指標として、
Fractinal concentration i
ndexともいわれる指標がある。これは、(供試状態
における化合物1の濃度)÷(化合物1単独の最小発育
阻止濃度)に、(供試状態における化合物2の濃度)÷
(化合物2単独の最小発育阻止濃度)を加えたものを評
価値とした。評価値が1より少なくなる場合に相乗効果
を表し、数値が少ないほど相乗効果の程度が大きいもの
を表す。この評価値は、相加作用を示す場合は1.0
に、相乗効果を示す場合には1.0未満となる。
【0091】予め、ブイヨン培地により前培養した供試
菌の菌液を、生菌数が106個/ml以上となるように
10倍希釈したpH7のブイヨン培地(細菌の場合)ま
たは麦芽培地(酵母、黴の場合)に加え、これに処方実
施例に示した本発明組成物を、添加後の培地の該化合物
の濃度が実施例に示した濃度(ppm単位)となるよう
添加し、一定温度で、一定時間振とう培養した後、培地
の濁りが認められない濃度を求め、二元希釈法による最
小発育阻止濃度とした。また、単独の化合物の発育阻止
濃度も併せて求めた。
【0092】供試微生物の略号は、次のとおりである。 黴 Aspergillus niger(以下、A
spと示す) 黴 Penicillium citrinum(以
下、Penと示す) 酵母 Rhodotorula rubra(以下、R
hoと示す) 細菌 Staphylococcus aureus
(以下、Staと示す) 細菌 Bacillus subtilis(以下、B
acと示す) 細菌 Pseudomonas aeruginosa
(Pseと示す。)
【0093】<相乗効果確認試験1>N−ベンジル−
2,3−ジクロロマレイミドと、2,2−ジブロモ−3
−ニトリロプロピオンアミドとの組成物について、As
pergillus nigerに対する相乗効果試験
結果を表1に示した。
【表1】
【0094】<相乗効果確認試験2>N−ベンジル−
2,3−ジクロロマレイミドと、2,2−ジブロモ−3
−ニトリロプロピオンアミドとの組成物について、Pe
nicillium citrinumに対する相乗効
果試験結果を表2に示した。
【表2】
【0095】<相乗効果確認試験3>N−ベンジル−
2,3−ジクロロマレイミドと、2,2−ジブロモ−3
−ニトリロプロピオンアミドとの組成物について、Rh
odotorula rubraに対する相乗効果試験
結果を表3に示した。
【表3】
【0096】<相乗効果確認試験4>N−ベンジル−
2,3−ジクロロマレイミドと、2,2−ジブロモ−3
−ニトリロプロピオンアミドとの組成物について、Pe
nicillium citrinumに対する相乗効
果試験結果を表4に示した。
【表4】
【0097】<相乗効果確認試験5>N−ベンジル−
2,3−ジクロロマレイミドと、4,5−ジクロロ−
1,2−ジチオール−3−オンとの組成物について、R
hodotorula rubraに対する相乗効果試
験結果を表5に示した。
【表5】
【0098】<相乗効果確認試験6>N−ベンジル−
2,3−ジクロロマレイミドと、2−(チオシアノメチ
ルチオ)ベンゾチアゾールとの組成物について、Asp
ergillus nigerに対する相乗効果試験結
果を表6に示した。
【表6】
【0099】<相乗効果確認試験7>N−ベンジル−
2,3−ジクロロマレイミドと、2−(チオシアノメチ
ルチオ)ベンゾチアゾールとの組成物について、Pen
icillium citrinumに対する相乗効果
試験結果を表7に示した。
【表7】
【0100】<相乗効果確認試験8>N−ベンジル−
2,3−ジクロロマレイミドと、2−(チオシアノメチ
ルチオ)ベンゾチアゾールとの組成物について、Sta
phylococcus aureusに対する相乗効
果試験結果を表8に示した。
【表8】
【0101】<相乗効果確認試験9>N−ベンジル−
2,3−ジクロロマレイミドと、2−(チオシアノメチ
ルチオ)ベンゾチアゾールとの組成物について、Bac
illus subtilisに対する相乗効果試験結
果を表9に示した。
【表9】
【0102】<相乗効果確認試験10>N−ベンジル−
2,3−ジクロロマレイミドと、メチレンビスチオシア
ネートとの組成物について、Aspergillus
nigerに対する相乗効果試験結果を表10に示し
た。
【表10】
【0103】<相乗効果確認試験11>N−ベンジル−
2,3−ジクロロマレイミドと、メチレンビスチオシア
ネートとの組成物について、Penicillium
citrinumに対する相乗効果試験結果を表11に
示した。
【表11】
【0104】<相乗効果確認試験12>N−ベンジル−
2,3−ジクロロマレイミドと、メチレンビスチオシア
ネートとの組成物について、Bacillus sub
tilisに対する相乗効果試験結果を表12に示し
た。
【表12】
【0105】<相乗効果確認試験13>N−ベンジル−
2,3−ジクロロマレイミドと、3−ヨード−2−プロ
ピニル−N−ブチルカルバメートとの組成物について、
Penicillium citrinum対する相乗
効果試験結果を表13に示した。
【表13】
【0106】<相乗効果確認試験14>N−ベンジル−
2,3−ジクロロマレイミドと、3−ヨード−2−プロ
ピニル−N−ブチルカルバメートとの組成物について、
Staphylococcusaureus対する相乗
効果試験結果を表14に示した。
【表14】
【0107】<相乗効果確認試験15>N−ベンジル−
2,3−ジクロロマレイミドと、3−ヨード−2−プロ
ピニル−N−ブチルカルバメートとの組成物について、
Bacillus subtilis)に対する相乗効
果試験を表15に示した。
【表15】
【0108】<相乗効果確認試験16>N−ベンジル−
2,3−ジクロロマレイミドと、2,2−ジブロモ−2
−ニトロエタノールとの組成物について、Pseudo
monas aeruginosaに対する相乗効果試
験を表16に示した。
【表16】
【0109】<相乗効果確認試験17>N−ベンジル−
2,3−ジクロロマレイミドと、2−ブロモ−2−ニト
ロ−1,3−プロパンジオールとの組成物について、S
taphylococcus aureusに対する相
乗効果試験を表17に示した。
【表17】
【0110】<相乗効果確認試験18>N−ベンジル−
2,3−ジクロロマレイミドと、2−ブロモ−2−ニト
ロ−1,3−プロパンジオールとの組成物について、P
seudomonas aeruginosaに対する
相乗効果試験を表18に示した。
【表18】
【0111】<相乗効果確認試験19>N−ベンジル−
2,3−ジクロロマレイミドと、1,3,5−トリス
(2−ヒドロキシエチル)ヘキサヒドロ−s−トリアジ
ンとの組成物について、Pseudomonas ae
ruginosa)に対する相乗効果試験を表19に示
した。
【表19】
【0112】<相乗効果確認試験20>N−ベンジル−
2,3−ジクロロマレイミドと、2−n−オクチル−4
−イソチアゾリン−3−オンとの組成物について、As
pergillus nigerに対する相乗効果試験
を表20に示した。
【表20】
【0113】<相乗効果確認試験21>N−ベンジル−
2,3−ジクロロマレイミドと、2−(4’−チアゾリ
ル)ベンゾイミダゾールとの組成物について、Aspe
rgillus nigerに対する相乗効果試験を表
21に示した。
【表21】
【0114】<相乗効果確認試験22>N−ベンジル−
2,3−ジクロロマレイミドと、2−n−オクチル−4
−イソチアゾリン−3−オンとの組成物について、Pe
nicillium citrinumに対する相乗効
果試験を表22に示した。
【表22】
【0115】<相乗効果確認試験23>N−ベンジル−
2,3−ジクロロマレイミドと、2−(4’−チアゾリ
ル)ベンゾイミダゾールとの組成物について、Peni
cillium citrinumに対する相乗効果試
験を表23に示した。
【表23】
【0116】<相乗効果確認試験24>N−ベンジル−
2,3−ジクロロマレイミドと、2,4,5,6−テト
ラクロロ−1,3−イソフタロニトリルとの組成物につ
いて、Penicilliumcitrinumに対す
る相乗効果試験を表24に示した。
【表24】
【0117】<相乗効果確認試験25>N−ベンジル−
2,3−ジクロロマレイミドと、3−ヨード−2−プロ
ピニル−N−ブチルカルバメートとの組成物について、
Penicillium citrinumに対する相
乗効果試験を表25に示した。
【表25】
【0118】微生物の生育を完全に抑制した2成分の相
乗効果は、たとえば、Rhodotorula rub
raによる実施例3−3の場合、すなわち、化合物N−
ベンジル−2,3−ジクロロマレイミドの濃度が2.0
ppmで、化合物2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロ
ピオンアミドの濃度が31.2ppmの場合に、示され
ている。化合物N−ベンジル−2,3−ジクロロマレイ
ミド単独では7.9ppm、化合物2,2−ジブロモ−
3−ニトリロプロピオンアミド単独では、125ppm
の濃度が必要であるのに対し、本発明の実施例3−3の
組成物の場合、N−ベンジル−2,3−ジクロロマレイ
ミド単独使用量の約1/4の量で、また、2,2−ジブ
ロモ−3−ニトリロプロピオンアミド単独使用量の約1
/4の量で有効であり、強い相乗作用を有していること
が示された。その他の実施例に示した場合についても相
乗効果が認められた。
【0119】
【発明の効果】本発明のN−ベンジル−2,3−ジクロ
ロマレイミドを含有する組成物は、広範な種類の微生物
に対し、相乗効果により優れた防黴力、防腐力、殺菌・
静菌力を示す。その結果、工業用有用な防黴剤、防腐
剤、殺菌・静菌剤を得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 二次元希釈法による微生物に対する相乗効果
の評価方法を説明する図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A01N 37:34 37:18 43:80 43:64 43:40 43:78)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 N−ベンジル−2,3−ジクロロマレイ
    ミドと、下記A群から選ばれた化合物の少なくとも1種
    とからなる組成物。A群には、次の化合物が含まれる。
    3,3,4,4−テトラクロロテトラヒドロチオフェン
    −1,1−ジオキシド、2,2−ジブロモ−2−ニトロ
    エタノール、1,4−ビス(ブロモアセトキシ)−2−
    ブテン、ジクロルグリオキシム、ジメチルジチオカルバ
    メートナトリウム塩、ビストリブロモメチルスルホン、
    メチレンビスチオシアネート、4,5−ジクロロ−1,
    2−ジチオール−3−オン、2,2−ジブロモ−3−ニ
    トリロプロピオンアミド、1,2−ベンゾイソチアゾリ
    ン−3−オン、1,5−ペンタンジアール、2−ピリジ
    ンチオール−1−オキシドナトリウム塩、2−ブロモ−
    2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、1,3,5−
    トリス(2−ヒドロキシエチル)ヘキサヒドロ−s−ト
    リアジン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリ
    ン−3−オンおよびその塩化マグネシウム塩または塩化
    カルシウム塩、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−
    オンおよびその塩化マグネシウム塩または塩化カルシウ
    ム塩、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オ
    ン、2,4,5,6−テトラクロロ−1,3−イソフタ
    ロニトリル、3−ヨード−2−プロピニル−N−ブチル
    カルバメート、2−ピリジンチオール−1−オキシド亜
    鉛塩、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソ
    チアゾリン−3−オン、2,3,5,6−テトラクロロ
    −4−(メチルスルホニル)ピリジン、N,N−ジメチ
    ル−N’−(ジクロロフルオロメチルチオ)−N’−フ
    ェニルスルファミド、2−(4’−チアゾリル)ベンゾ
    イミダゾール、2−(メトキシカルボニルアミノ)ベン
    ゾイミダゾール、2−(チオシアノメチルチオ)ベンゾ
    チアゾール。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載された組成物を含有する
    工業用防黴剤、工業用防腐剤、工業用殺菌・静菌剤。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013206624A (ja) * 2012-03-27 2013-10-07 Nippon A&L Inc 電池電極用組成物及び電池電極用バインダー組成物
JP2016213203A (ja) * 2016-08-26 2016-12-15 日本エイアンドエル株式会社 電池電極用組成物及び電池電極用バインダー組成物

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