JPH091415A - 表面被覆エンドミル - Google Patents
表面被覆エンドミルInfo
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- JPH091415A JPH091415A JP15193495A JP15193495A JPH091415A JP H091415 A JPH091415 A JP H091415A JP 15193495 A JP15193495 A JP 15193495A JP 15193495 A JP15193495 A JP 15193495A JP H091415 A JPH091415 A JP H091415A
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- Japan
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- end mill
- hardness
- outer peripheral
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 本発明は、耐摩耗性が向上し、長寿命化が達
成できる表面被覆エンドミルを提供することを目的とす
る。 【構成】 表面被覆エンドミルの底刃及び外周刃上に周
期律表4a、5a、6a族元素及びAlのうち少なくと
も2種以上からなる炭化物、窒化物、炭窒化物からなる
1種以上の硬質層を、外周刃の硬質層の硬さが底刃の硬
質層の硬さよりも高くなるように、または底刃の硬質層
の硬さが外周刃の硬さよりも高くなるように被覆してな
る。
成できる表面被覆エンドミルを提供することを目的とす
る。 【構成】 表面被覆エンドミルの底刃及び外周刃上に周
期律表4a、5a、6a族元素及びAlのうち少なくと
も2種以上からなる炭化物、窒化物、炭窒化物からなる
1種以上の硬質層を、外周刃の硬質層の硬さが底刃の硬
質層の硬さよりも高くなるように、または底刃の硬質層
の硬さが外周刃の硬さよりも高くなるように被覆してな
る。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、表面に特定の硬質被覆
層を設けて耐摩耗性を向上させた表面被覆エンドミルに
関する。
層を設けて耐摩耗性を向上させた表面被覆エンドミルに
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、WC基超硬合金等からなるエンド
ミルの表面にTiの炭化物のうちの1種の単層または2
種以上の複合層からなる硬質層をCVD法やPVD法を
用いて形成した表面被覆エンドミルが実用化されてい
る。特にPVD法による被覆では、母材強度の劣化を招
かずに耐摩耗性を高め得るという利点があることから、
ドリル、エンドミル、フライス用スローアウェイチップ
等、強度の要求される切削工具に、かかる被覆が多用さ
れている。
ミルの表面にTiの炭化物のうちの1種の単層または2
種以上の複合層からなる硬質層をCVD法やPVD法を
用いて形成した表面被覆エンドミルが実用化されてい
る。特にPVD法による被覆では、母材強度の劣化を招
かずに耐摩耗性を高め得るという利点があることから、
ドリル、エンドミル、フライス用スローアウェイチップ
等、強度の要求される切削工具に、かかる被覆が多用さ
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一方、近年の切削工具
の使用条件が高速、高能率化しつつあることから、より
長寿命の切削工具の開発が求められている。
の使用条件が高速、高能率化しつつあることから、より
長寿命の切削工具の開発が求められている。
【0004】しかし、この目的のためには、従来のTi
の炭化物、窒化物、炭窒化物を表面に被覆したエンドミ
ルはもちろん、最近になって実用化されたTiAl合金
の窒化物、炭窒化物を表面に被覆したエンドミルでさえ
も耐摩耗性が不十分であるという欠点があり、これらの
要求を満足するものではなく、耐摩耗性の優れた表面被
覆エンドミルの開発がのぞまれている。
の炭化物、窒化物、炭窒化物を表面に被覆したエンドミ
ルはもちろん、最近になって実用化されたTiAl合金
の窒化物、炭窒化物を表面に被覆したエンドミルでさえ
も耐摩耗性が不十分であるという欠点があり、これらの
要求を満足するものではなく、耐摩耗性の優れた表面被
覆エンドミルの開発がのぞまれている。
【0005】また上記の従来工具の被覆はどの部分でも
硬さが同じであり、硬さを変えるためには膜質を変える
必要があり、例えばエンドミルの外周刃、底刃にTiC
N等を別々にコーティングする必要があるという欠点が
あった。
硬さが同じであり、硬さを変えるためには膜質を変える
必要があり、例えばエンドミルの外周刃、底刃にTiC
N等を別々にコーティングする必要があるという欠点が
あった。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は以上の問題
に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、外周刃または底刃面
に、ある1種類の膜を同時にコーティングし、かつ積層
周期を最適化することにより、任意の膜の硬さを任意に
設定することができることを見出した。すなわち周期律
表4a,5a,6a族元素及びAlのうち少なくとも2
種以上からなる炭化物、窒化物、炭窒化物からなる1種
以上の硬質層を表面に被覆したエンドミルにおいて、外
周刃及び底刃に該膜を同時にコーティングし、かつ任意
の部分の硬さを制御することによりエンドミル切削工具
の耐摩耗性を向上し、長寿命化が達成できることを見い
だし本発明を完成するにいたった。
に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、外周刃または底刃面
に、ある1種類の膜を同時にコーティングし、かつ積層
周期を最適化することにより、任意の膜の硬さを任意に
設定することができることを見出した。すなわち周期律
表4a,5a,6a族元素及びAlのうち少なくとも2
種以上からなる炭化物、窒化物、炭窒化物からなる1種
以上の硬質層を表面に被覆したエンドミルにおいて、外
周刃及び底刃に該膜を同時にコーティングし、かつ任意
の部分の硬さを制御することによりエンドミル切削工具
の耐摩耗性を向上し、長寿命化が達成できることを見い
だし本発明を完成するにいたった。
【0007】より詳しくは、本発明は、周期律表4a、
5a、6a族元素及びAlのうち少なくとも2種以上か
らなる炭化物、窒化物、炭窒化物からなる1種以上の硬
質層を表面に被覆したエンドミルにおいて、外周刃の硬
質層の硬さが底刃の硬質層の硬さよりも高い、または底
刃の硬質層の硬さが外周刃の硬さよりも高いことを特徴
とする表面被覆エンドミルに関するものである。
5a、6a族元素及びAlのうち少なくとも2種以上か
らなる炭化物、窒化物、炭窒化物からなる1種以上の硬
質層を表面に被覆したエンドミルにおいて、外周刃の硬
質層の硬さが底刃の硬質層の硬さよりも高い、または底
刃の硬質層の硬さが外周刃の硬さよりも高いことを特徴
とする表面被覆エンドミルに関するものである。
【0008】さらに本発明は、周期律表4a、5a、6
a族元素及びAlのうち少なくとも2種以上からなる炭
化物、窒化物、炭窒化物からなる1種以上の硬質層を表
面に被覆したエンドミルにおいて、外周刃の硬質層の硬
さが底刃の硬質層の硬さよりも高い、または底刃の硬質
層の硬さが外周刃の硬さよりも高い表面被覆エンドミル
であって、硬質層の厚さが0.1〜10μmである表面
被覆エンドミルに関するものである。
a族元素及びAlのうち少なくとも2種以上からなる炭
化物、窒化物、炭窒化物からなる1種以上の硬質層を表
面に被覆したエンドミルにおいて、外周刃の硬質層の硬
さが底刃の硬質層の硬さよりも高い、または底刃の硬質
層の硬さが外周刃の硬さよりも高い表面被覆エンドミル
であって、硬質層の厚さが0.1〜10μmである表面
被覆エンドミルに関するものである。
【0009】以下本発明をより詳しく説明する。
【0010】(エンドミル母材)本発明においては、エ
ンドミル母材については特に制限はない。組成が例えば
JIS規格のP30グレード超硬合金等であれば好適に
使用可能である。
ンドミル母材については特に制限はない。組成が例えば
JIS規格のP30グレード超硬合金等であれば好適に
使用可能である。
【0011】さらに形状についても本発明では特に制限
はない。
はない。
【0012】(硬質層)本発明において好適に使用可能
な周期律表4a、5a、6a族元素に特に制限はない
が、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Moお
よびWが使用可能である。これらの金属の炭化物等を使
用することにより、切削工具のコーティング材質として
硬度や耐酸化性または反応性の点で優れたものとなる。
特に本発明においてはTi、Hf、Zr等が好ましく使
用可能である。
な周期律表4a、5a、6a族元素に特に制限はない
が、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Moお
よびWが使用可能である。これらの金属の炭化物等を使
用することにより、切削工具のコーティング材質として
硬度や耐酸化性または反応性の点で優れたものとなる。
特に本発明においてはTi、Hf、Zr等が好ましく使
用可能である。
【0013】さらに本発明においては上記金属の組合せ
は特に制限はなく、また炭化物、窒化物または炭窒化物
の選択においても特に制限はないが、本発明においては
特に、TiとAlの窒化物、TiとAlの炭窒化物、H
fとAlの窒化物、TiとZrの窒化物、TiとZrの
炭化物等が好適に使用可能な組合せである。
は特に制限はなく、また炭化物、窒化物または炭窒化物
の選択においても特に制限はないが、本発明においては
特に、TiとAlの窒化物、TiとAlの炭窒化物、H
fとAlの窒化物、TiとZrの窒化物、TiとZrの
炭化物等が好適に使用可能な組合せである。
【0014】さらに本発明において、硬質被覆層を形成
する上記金属の炭化物層等の数には特に制限はないが、
2以上の金属の炭化物、窒化物、炭窒化物からなる1種
以上の硬質層であることが好ましい。
する上記金属の炭化物層等の数には特に制限はないが、
2以上の金属の炭化物、窒化物、炭窒化物からなる1種
以上の硬質層であることが好ましい。
【0015】該硬質層の形成方法については、本発明に
おいては特に制限はなく、一般的な方法、例えばPV
D、CVD等が好適に使用可能である。
おいては特に制限はなく、一般的な方法、例えばPV
D、CVD等が好適に使用可能である。
【0016】さらに、該硬質層の膜厚は、上記方法にお
いては、反応時間、反応圧力、反応ガスの流量等で調節
可能である。
いては、反応時間、反応圧力、反応ガスの流量等で調節
可能である。
【0017】本発明においては、外周刃または底刃上
に、同時にまたは別々に硬質層を望ましい厚さで形成す
ることが可能であり、さらに複数の硬質層を同時に形成
可能である。従って、外周刃または底刃の硬さを望まし
い高さに制御可能となる。
に、同時にまたは別々に硬質層を望ましい厚さで形成す
ることが可能であり、さらに複数の硬質層を同時に形成
可能である。従って、外周刃または底刃の硬さを望まし
い高さに制御可能となる。
【0018】例えば通常のイオンプレーティング装置を
使用することにより、それらの両面上への硬質層形成を
同時に制御可能となる。すなわち、真空容器内に、2種
類の金属材料を蒸発源(ターゲット)として対向させて
設置し、両ターゲット間の中間点を中心として回転する
リング状の母材保持具の中心を通る直径上の2点に、母
材である上記エンドミル試料をそれぞれ装着する。この
状態で、該エンドミル試料を回転させながら、成膜装置
内に適当な反応ガスを導入し、真空アーク放電により該
両ターゲットを共に蒸発、イオン化させることにより、
該エンドミル試料が一方の金属ターゲット近くを通過す
るとき、及び他の金属ターゲット近くを通過するときに
該エンドミルの両刃上に形成させ得る。さらに、同様に
して、各エンドミル表面に両層を交互に積層させ得る。
使用することにより、それらの両面上への硬質層形成を
同時に制御可能となる。すなわち、真空容器内に、2種
類の金属材料を蒸発源(ターゲット)として対向させて
設置し、両ターゲット間の中間点を中心として回転する
リング状の母材保持具の中心を通る直径上の2点に、母
材である上記エンドミル試料をそれぞれ装着する。この
状態で、該エンドミル試料を回転させながら、成膜装置
内に適当な反応ガスを導入し、真空アーク放電により該
両ターゲットを共に蒸発、イオン化させることにより、
該エンドミル試料が一方の金属ターゲット近くを通過す
るとき、及び他の金属ターゲット近くを通過するときに
該エンドミルの両刃上に形成させ得る。さらに、同様に
して、各エンドミル表面に両層を交互に積層させ得る。
【0019】さらに、反応時間、反応圧力等を調節する
ことにより、またエンドミル試料の接地位置を調節する
ことにより、該エンドミルの底刃及び外周刃のそれぞれ
の表面上に形成される膜の厚みを望ましい範囲に制御す
ることが可能となる。それぞれの硬質層の膜厚みは、例
えば透過型電子顕微鏡等で測定可能である。従って、本
発明においては、外周刃、及び底刃の被覆層を望ましい
厚さに制御可能となる。
ことにより、またエンドミル試料の接地位置を調節する
ことにより、該エンドミルの底刃及び外周刃のそれぞれ
の表面上に形成される膜の厚みを望ましい範囲に制御す
ることが可能となる。それぞれの硬質層の膜厚みは、例
えば透過型電子顕微鏡等で測定可能である。従って、本
発明においては、外周刃、及び底刃の被覆層を望ましい
厚さに制御可能となる。
【0020】本発明においては、上記硬質層をさらに複
数積層して硬質被覆層を形成することも可能である。
数積層して硬質被覆層を形成することも可能である。
【0021】本発明においては上記の複数被覆層を形成
する方法に特に制限はないが、一工程の周期で、望まし
い金属と望ましい厚みの硬質層を積層可能とすることが
特に望ましい。例えば、1つのチャンバ内に、複数のタ
ーゲットと、必要なガス供給装置を設け、母材が回転す
ることにより、順次硬質層が表面に形成されるようにす
ることにより可能となる。またそれぞれの硬質層の膜厚
みは、例えば透過型電子顕微鏡等で測定可能である。従
って、本発明においては、外周刃、及び底刃の被覆層を
望ましい厚さに制御可能である。
する方法に特に制限はないが、一工程の周期で、望まし
い金属と望ましい厚みの硬質層を積層可能とすることが
特に望ましい。例えば、1つのチャンバ内に、複数のタ
ーゲットと、必要なガス供給装置を設け、母材が回転す
ることにより、順次硬質層が表面に形成されるようにす
ることにより可能となる。またそれぞれの硬質層の膜厚
みは、例えば透過型電子顕微鏡等で測定可能である。従
って、本発明においては、外周刃、及び底刃の被覆層を
望ましい厚さに制御可能である。
【0022】本発明においては、エンドミル試料の外周
刃及び底刃の上記硬質層の厚さの比については特に制限
はない。さらに本発明においては、外周刃または底刃の
一方の硬さが他方の硬さより高いことが好ましい。例え
ば、エンドミルの外周刃の硬質層厚みλS を底刃の硬質
層厚みλB とした際に0.3λB ≦λS ≦0.9λBな
いしは、1.1λB ≦λS ≦3.5λB の関係を満たす
ことが耐摩耗性の向上に特に好ましい範囲である。
刃及び底刃の上記硬質層の厚さの比については特に制限
はない。さらに本発明においては、外周刃または底刃の
一方の硬さが他方の硬さより高いことが好ましい。例え
ば、エンドミルの外周刃の硬質層厚みλS を底刃の硬質
層厚みλB とした際に0.3λB ≦λS ≦0.9λBな
いしは、1.1λB ≦λS ≦3.5λB の関係を満たす
ことが耐摩耗性の向上に特に好ましい範囲である。
【0023】さらに本発明においては、上記厚みλB に
ついては特に制限はないが、0.5nm≦λB ≦40n
mの関係を満たすことが特に望ましい。すなわち0.5
nm未満では外周刃または底刃での高硬度化がはかれず
また40nmを越えると底刃または外周刃の耐摩耗性が
低下するためである。
ついては特に制限はないが、0.5nm≦λB ≦40n
mの関係を満たすことが特に望ましい。すなわち0.5
nm未満では外周刃または底刃での高硬度化がはかれず
また40nmを越えると底刃または外周刃の耐摩耗性が
低下するためである。
【0024】本発明に係る表面被覆エンドミルにおいて
は、表面被覆層の厚さは特に制限はないが、0.1〜1
0μmであることが特に望ましい。すなわち、該厚みが
0.1未満では耐摩耗性向上が図れず、また10μmを
越えると靭性が低下し切刃部分にチッピング等が発生し
やすくなると推定される。
は、表面被覆層の厚さは特に制限はないが、0.1〜1
0μmであることが特に望ましい。すなわち、該厚みが
0.1未満では耐摩耗性向上が図れず、また10μmを
越えると靭性が低下し切刃部分にチッピング等が発生し
やすくなると推定される。
【0025】従って、従来は被膜は工具のどの部分でも
同じ硬さであり、硬さを変えるためには膜質を変える必
要があり、同時にそれぞれの面に別々にコーティングす
ることが困難であったが、本発明により、同時にそれぞ
れの面に別々にコーティングすることにより別々の硬さ
を設けることが可能となった。
同じ硬さであり、硬さを変えるためには膜質を変える必
要があり、同時にそれぞれの面に別々にコーティングす
ることが困難であったが、本発明により、同時にそれぞ
れの面に別々にコーティングすることにより別々の硬さ
を設けることが可能となった。
【0026】(硬さ)本発明においては、説明したよう
に上記硬質層の金属元素の種類、層厚さ、積層周期等を
選択することにより硬質被覆層の硬さを任意に制御する
ことが可能となり、さらに該層の硬さの測定方法には特
には制限されず、一般的な硬度測定手段が使用可能であ
る。例えば微小硬度計が好適に使用可能である。この場
合上記微小硬度計により、各層の硬さを荷重50gの測
定条件でおこない、結果をmHvとして表すことが可能
である。
に上記硬質層の金属元素の種類、層厚さ、積層周期等を
選択することにより硬質被覆層の硬さを任意に制御する
ことが可能となり、さらに該層の硬さの測定方法には特
には制限されず、一般的な硬度測定手段が使用可能であ
る。例えば微小硬度計が好適に使用可能である。この場
合上記微小硬度計により、各層の硬さを荷重50gの測
定条件でおこない、結果をmHvとして表すことが可能
である。
【0027】さらに外周刃の上記硬さと底刃の上記硬さ
の比を、(外周刃の硬さ)/(底刃の硬さ)で計算する
ことが可能である。
の比を、(外周刃の硬さ)/(底刃の硬さ)で計算する
ことが可能である。
【0028】従って、本発明において、目的により外周
刃または底刃のどちらかの硬さを任意に設定することが
可能であり、任意にどちらかの刃の硬さを他の刃の硬さ
より高くすることが可能となる。
刃または底刃のどちらかの硬さを任意に設定することが
可能であり、任意にどちらかの刃の硬さを他の刃の硬さ
より高くすることが可能となる。
【0029】例えば、エンドミルの外周刃を底刃より硬
くすることは側面加工に特に有効となり、またエンドミ
ルの底刃を外周刃より硬くすることは溝加工に特に有効
となる。
くすることは側面加工に特に有効となり、またエンドミ
ルの底刃を外周刃より硬くすることは溝加工に特に有効
となる。
【0030】(摩耗量または切削長さの測定)本発明に
おいては、摩耗量及び切削長さを測定する方法に特に制
限はなく、使用目的に適合する測定評価方法が使用可能
である。ここで適当な試験条件下で側面切削における切
削長(m)及び溝切削における切削長(m)と、例えば
外周刃の摩耗量とを測定することが可能である。
おいては、摩耗量及び切削長さを測定する方法に特に制
限はなく、使用目的に適合する測定評価方法が使用可能
である。ここで適当な試験条件下で側面切削における切
削長(m)及び溝切削における切削長(m)と、例えば
外周刃の摩耗量とを測定することが可能である。
【0031】ここで切削長さとは、切削速度(V)×試
験時間(t)となり、切削速度(V)とは、V=π×D
×N/1000で表される(Dはエンドミルの直径(m
m)、Nはエンドミルの回転数(rpm)を表す)。試
験時間tは、外周刃逃げ面摩耗量が0.2mmにいたる
までの時間である。摩耗量は試験前後において直接測定
することが可能である。
験時間(t)となり、切削速度(V)とは、V=π×D
×N/1000で表される(Dはエンドミルの直径(m
m)、Nはエンドミルの回転数(rpm)を表す)。試
験時間tは、外周刃逃げ面摩耗量が0.2mmにいたる
までの時間である。摩耗量は試験前後において直接測定
することが可能である。
【0032】
【作用】図1を参照して本発明の作用を説明する。
【0033】本発明に係る硬質層による被覆は、表面被
覆エンドミルの少なくとも底刃及び外周刃上(図1
(A))に行うものであり、従って、高速かつ高能率で
の該エンドミルの切削加工部具としての使用が可能とな
る。
覆エンドミルの少なくとも底刃及び外周刃上(図1
(A))に行うものであり、従って、高速かつ高能率で
の該エンドミルの切削加工部具としての使用が可能とな
る。
【0034】表面被覆エンドミルの少なくとも底刃及び
外周刃上表面に被覆層2を、図1(C)に示すような層
構成で形成する場合、複数の周期層3a〜3iを構成す
る層4a〜4i、および5a〜5iとして、周期律表4
a,5a,6a及びAlからなる金属元素の炭化物、窒
化物、または炭窒化物を用いることにより、該被覆層の
耐摩耗性が図れる。特に該耐摩耗性向上には、Alを上
記金属として含む硬質層、AlとTi、AlとHf、T
iとZrの組合わせを含む硬質層が有効となる。
外周刃上表面に被覆層2を、図1(C)に示すような層
構成で形成する場合、複数の周期層3a〜3iを構成す
る層4a〜4i、および5a〜5iとして、周期律表4
a,5a,6a及びAlからなる金属元素の炭化物、窒
化物、または炭窒化物を用いることにより、該被覆層の
耐摩耗性が図れる。特に該耐摩耗性向上には、Alを上
記金属として含む硬質層、AlとTi、AlとHf、T
iとZrの組合わせを含む硬質層が有効となる。
【0035】さらに、相異なる金属元素による複数の周
期層3a〜3iを積層することによる被覆層を形成する
こと(例えば図1(C))により、各刃上の被覆層の硬
さと靭性をバランス良く最適化可能とし、望ましい性
質、例えば耐摩耗性、耐溶着性、耐欠損性を兼ね備えた
エンドミル切削加工具を作製可能とする。さらに該エン
ドミルの使用時での耐摩耗性が向上する結果、長寿命化
が達成可能となる。さらに被覆層全体の厚みを制御可能
とすることにより、被覆層の耐摩耗性と、残留応力によ
る密着強度の最適化が可能となる。
期層3a〜3iを積層することによる被覆層を形成する
こと(例えば図1(C))により、各刃上の被覆層の硬
さと靭性をバランス良く最適化可能とし、望ましい性
質、例えば耐摩耗性、耐溶着性、耐欠損性を兼ね備えた
エンドミル切削加工具を作製可能とする。さらに該エン
ドミルの使用時での耐摩耗性が向上する結果、長寿命化
が達成可能となる。さらに被覆層全体の厚みを制御可能
とすることにより、被覆層の耐摩耗性と、残留応力によ
る密着強度の最適化が可能となる。
【0036】さらに公知のコーティング装置等を使用す
ることにより該エンドミルの底刃と外周刃面を同時に同
じ膜材質で被覆し、かつ、底刃面上の被覆層の硬さを外
周刃面の硬さより所望量大きくすること、または外周刃
面上の被覆層の硬さを底刃面の硬さより所望量大きくす
ることが可能となり、従って、該エンドミル使用に対し
て各面の被覆層の硬さ及び靭性のバランスを最適化する
ことが可能となる。例えば図2に示されるようなイオン
プレーティング装置11内の試料保持台12に設置する
該エンドミル試料の位置を調節することで底刃面および
外周刃面を同時に被覆し、かつ該被覆の硬さをそれぞれ
所望の高さに制御して被覆することが可能となる。
ることにより該エンドミルの底刃と外周刃面を同時に同
じ膜材質で被覆し、かつ、底刃面上の被覆層の硬さを外
周刃面の硬さより所望量大きくすること、または外周刃
面上の被覆層の硬さを底刃面の硬さより所望量大きくす
ることが可能となり、従って、該エンドミル使用に対し
て各面の被覆層の硬さ及び靭性のバランスを最適化する
ことが可能となる。例えば図2に示されるようなイオン
プレーティング装置11内の試料保持台12に設置する
該エンドミル試料の位置を調節することで底刃面および
外周刃面を同時に被覆し、かつ該被覆の硬さをそれぞれ
所望の高さに制御して被覆することが可能となる。
【0037】
【実施例】以下、添付図面を参照して本発明の実施例を
詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素
には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素
には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0038】図2に示される真空アーク放電を用いたイ
オンプレーティング装置11を用いて、エンドミル母材
として、組成がJIS規格P30(具体的にはWC−2
0wt%TiC−10wt%Co)、直径6mm、長さ
60mmの2枚刃のエンドミル12を用意し、その表面
に図2の14a、bで示される電極による真空アーク放
電を用いたイオンプレーティング法により、下記表に示
す被覆層を形成して本発明の表面被覆エンドミル試料と
した。
オンプレーティング装置11を用いて、エンドミル母材
として、組成がJIS規格P30(具体的にはWC−2
0wt%TiC−10wt%Co)、直径6mm、長さ
60mmの2枚刃のエンドミル12を用意し、その表面
に図2の14a、bで示される電極による真空アーク放
電を用いたイオンプレーティング法により、下記表に示
す被覆層を形成して本発明の表面被覆エンドミル試料と
した。
【0039】すなわち、イオンプレーティング装置11
内の真空容器内に、2種類の金属材料、Ti及びAlの
蒸発源(ターゲット)14a,14bを対向させて設置
し、両ターゲット間の中間点を中心として回転するリン
グ状の母材保持具16の中心を通る直径上の2点に、母
材である上記エンドミル試料12をそれぞれ装着した。
内の真空容器内に、2種類の金属材料、Ti及びAlの
蒸発源(ターゲット)14a,14bを対向させて設置
し、両ターゲット間の中間点を中心として回転するリン
グ状の母材保持具16の中心を通る直径上の2点に、母
材である上記エンドミル試料12をそれぞれ装着した。
【0040】この状態で、該エンドミル試料を20rp
mで回転させながら、成膜装置内を真空度1×10-2t
orrのArガス雰囲気に保ち、両エンドミル試料に−
2000Vの電圧をかけて洗浄を行い、500℃まで加
熱した後、Arガスを排気した。
mで回転させながら、成膜装置内を真空度1×10-2t
orrのArガス雰囲気に保ち、両エンドミル試料に−
2000Vの電圧をかけて洗浄を行い、500℃まで加
熱した後、Arガスを排気した。
【0041】その後、該エンドミル試料の回転を続けた
まま該装置11内にN2 ガスあるいはN2 とCH4 から
なる反応ガスを300cc/分の割合で導入し、真空ア
ーク放電によりTiターゲットとAlターゲットを共に
蒸発、イオン化させることにより、該エンドミル試料が
Tiターゲット近くを通過するときにTiNを及びAl
近くを通過するときにAlNをそれぞれ該エンドミルの
両刃上に形成させるようにして、各エンドミル表面にT
iN層と、AlN層あるいはTiCN層、AlCN層を
交互に積層させた表1に示す本発明の表面被覆エンドミ
ルを作成した。
まま該装置11内にN2 ガスあるいはN2 とCH4 から
なる反応ガスを300cc/分の割合で導入し、真空ア
ーク放電によりTiターゲットとAlターゲットを共に
蒸発、イオン化させることにより、該エンドミル試料が
Tiターゲット近くを通過するときにTiNを及びAl
近くを通過するときにAlNをそれぞれ該エンドミルの
両刃上に形成させるようにして、各エンドミル表面にT
iN層と、AlN層あるいはTiCN層、AlCN層を
交互に積層させた表1に示す本発明の表面被覆エンドミ
ルを作成した。
【0042】この場合、反応時間、反応圧力を調節する
ことにより、該エンドミルの底刃及び外周刃の表面上に
形成される膜の厚みを望ましい範囲に制御することがで
きる。
ことにより、該エンドミルの底刃及び外周刃の表面上に
形成される膜の厚みを望ましい範囲に制御することがで
きる。
【0043】同様に、蒸発源としてHfとAl、反応ガ
スとしてN2 を使用してHfNとAlNを交互に積層し
た表2に示す本発明の表面被覆エンドミルを作製した。
スとしてN2 を使用してHfNとAlNを交互に積層し
た表2に示す本発明の表面被覆エンドミルを作製した。
【0044】同様に蒸発源として、TiとZr、反応ガ
スとしてN2 あるいはCH4 を使用してTiNとZr
N、あるいはTiCとZrCを交互に積層した表3に示
す本発明の表面被覆エンドミルを作製した。
スとしてN2 あるいはCH4 を使用してTiNとZr
N、あるいはTiCとZrCを交互に積層した表3に示
す本発明の表面被覆エンドミルを作製した。
【0045】さらに比較のため、TiAl、HfAl、
TiZr合金及びTiを蒸発源として表面被覆エンドミ
ルを作成した。
TiZr合金及びTiを蒸発源として表面被覆エンドミ
ルを作成した。
【0046】得られた各種試料について以下の条件での
切削試験の結果を表1〜4にまとめた。
切削試験の結果を表1〜4にまとめた。
【0047】ここで該試験条件を次に示す。
【0048】 側面切削における切削長(m)測定:被削材:S45C(HRC25) 切削速度:50m/分 送り:0.05mm/刃 切込み:1.5mm 溝切削における切削長(m)測定: 被削材:S45C(HRC25) 切削速度:50m/分 送り:0.03mm/刃 切込み:6mm 上記切削条件で切削試験を行い、外周刃逃げ面摩耗量が
0.2mmに至るまでの切削長(m)で評価した。
0.2mmに至るまでの切削長(m)で評価した。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】
【発明の効果】本発明により、周期律表4a,5a,6
a族元素及びAlのうち少なくとも2種以上からなる炭
化物、窒化物、炭窒化物からなる1種以上の硬質層を表
面に複数積層して硬質層とし、かつその硬質多層を必要
な厚みになるように積層することにより被覆層を形成す
ることにより、側面切削及び溝切削長からともに効果が
認められ、エンドミル切削工具として耐摩耗性、及び耐
溶着性、耐欠損性を兼ね備えた、使用寿命の長い表面被
覆エンドミルを提供可能とする。
a族元素及びAlのうち少なくとも2種以上からなる炭
化物、窒化物、炭窒化物からなる1種以上の硬質層を表
面に複数積層して硬質層とし、かつその硬質多層を必要
な厚みになるように積層することにより被覆層を形成す
ることにより、側面切削及び溝切削長からともに効果が
認められ、エンドミル切削工具として耐摩耗性、及び耐
溶着性、耐欠損性を兼ね備えた、使用寿命の長い表面被
覆エンドミルを提供可能とする。
【図1】エンドミル母材の底刃および外周刃上に形成さ
れた被覆層の一態様を示す模式断面図である。
れた被覆層の一態様を示す模式断面図である。
【図2】本発明に使用可能なコーティング(イオンプレ
ーティング)装置を示す模式断面図である。
ーティング)装置を示す模式断面図である。
1…エンドミル母材、2…被覆層、3…周期層、4、5
…硬質層、11…イオンプレーティング装置、12…試
料保持器、13…基板電極、14…アーク電極、15…
アーク電源、16…試料保持台。
…硬質層、11…イオンプレーティング装置、12…試
料保持器、13…基板電極、14…アーク電極、15…
アーク電源、16…試料保持台。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 瀬戸山 誠 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住友 電気工業株式会社伊丹製作所内
Claims (2)
- 【請求項1】 周期律表4a、5a、6a族元素及びA
lのうち少なくとも2種以上からなる炭化物、窒化物、
炭窒化物からなる1種以上の硬質層を表面に被覆したエ
ンドミルにおいて、外周刃の硬質層の硬さが底刃の硬質
層の硬さよりも高い、または底刃の硬質層の硬さが外周
刃の硬さよりも高いことを特徴とする表面被覆エンドミ
ル。 - 【請求項2】 前記硬質層の厚さが、0.1〜10μm
である請求項1記載の表面被覆エンドミル。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15193495A JPH091415A (ja) | 1995-06-19 | 1995-06-19 | 表面被覆エンドミル |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15193495A JPH091415A (ja) | 1995-06-19 | 1995-06-19 | 表面被覆エンドミル |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH091415A true JPH091415A (ja) | 1997-01-07 |
Family
ID=15529403
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP15193495A Pending JPH091415A (ja) | 1995-06-19 | 1995-06-19 | 表面被覆エンドミル |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH091415A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005153125A (ja) * | 2003-11-28 | 2005-06-16 | Nachi Fujikoshi Corp | 特殊底刃コーティングエンドミル |
JP2005219176A (ja) * | 2004-02-09 | 2005-08-18 | Nachi Fujikoshi Corp | エンドミル |
JP2009066673A (ja) * | 2007-09-11 | 2009-04-02 | Kyocera Corp | エンドミル |
-
1995
- 1995-06-19 JP JP15193495A patent/JPH091415A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005153125A (ja) * | 2003-11-28 | 2005-06-16 | Nachi Fujikoshi Corp | 特殊底刃コーティングエンドミル |
JP2005219176A (ja) * | 2004-02-09 | 2005-08-18 | Nachi Fujikoshi Corp | エンドミル |
JP2009066673A (ja) * | 2007-09-11 | 2009-04-02 | Kyocera Corp | エンドミル |
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