JP2005153125A - 特殊底刃コーティングエンドミル - Google Patents

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光由 小幡
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Abstract

【課題】工具刃長より短い厚みを有する薄板溝加工において穴あけから溝加工(通り溝加工)を連続的に高能率加工が可能な3枚刃コーティングエンドミルを提供。
【解決手段】超硬合金などを母材とし、先端に3枚の底刃2を有し、3枚の底刃3に続く溝ねじれ角をつけた外周刃3を有する3枚刃コーティングエンドミルにおいて、切れ刃部4に周期律表第4a、5a、6a族遷移金属と第3b、4b族元素の炭化物、窒化物、酸化物又は硼化物を1層又は2層以上で0.5〜5μm被覆し、各底刃2はエンドミル軸直角に対して刃先側凸方向60〜160°の先端角を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は薄板溝加工において穴あけから溝加工を連続的に行うエンドミルに関し、特に工具刃長より短い厚みを有する薄板溝加工において穴あけから溝加工(通り溝加工)を連続的加工に適した3枚刃のコーティングエンドミルに関する。
従来の工具刃長より短い厚みを有する薄板溝加工において穴あけから溝加工を連続的に行うような通り溝加工において、従来の穴あけから溝加工を連続的に通り溝加工を行うエンドミルの底刃は、刃数に関係なく底刃の角度αが図3(a)(c)に示すように軸直角面に対し刃先側凹方向 0〜5 °であった。非特許文献1では先端が球状のテーパボールエンドミルを開示するが、テーパボールエンドミルは穴あけはできない。又、非特許文献2では先端が截頭円筒形の形状のストレートシャンク面取りフライスを開示するが、ストレートシャンク面取りフライスは面取りのみで、横方向の溝加工はできない。
JISハンドブック2003 5)工具第101頁 B 0172 No.4209 JISハンドブック2003 5)工具第451頁 B 4231-1 表1
従来の工具刃長より短い厚みを有する薄板加工は加工ワークの大きさにもよるが、剛性が低くたわみやすい。よって加工時に振動が発生しやすく、従来工具を使用するとコーナー強度が小さいためコーナー刃先に欠けを生じやすい。また、切りくず詰まりによる切削スラスト増加のため折損に至るケースも多い。その対処法としては、加工したい幅より小さい径のドリルを用いて下穴加工を行い、さらにそのドリルより小さい径のエンドミルを用いてコンタリング加工により加工を行う。しかし、これでは多工程となり能率が悪い。また、従来形状のエンドミルを用いてそのまま加工を行うには上記対策のため、穴あけ速度を従来の10%程度の速度まで遅くしなければならなかった。
本発明の課題は薄板溝加工において穴あけから溝加工を連続的に行うエンドミル、特に工具刃長より短い厚みを有する薄板溝加工において穴あけから溝加工(通り溝加工)を連続的に高能率加工が可能な3枚刃のコーティングエンドミルを提供することにある。
このため本発明は、高速度工具鋼、粉末高速度工具鋼、コバルトを6〜14%含有する超硬合金、超微粒子超硬合金又は超々微粒子超硬合金を母材とし、先端に3枚の底刃を有し、前記3枚の底刃に続く溝ねじれ角をつけた外周刃を有する3枚刃コーティングエンドミルにおいて、切れ刃部に周期律表第4a、5a、6a族遷移金属と第3b、4b族元素の炭化物、窒化物、酸化物又は硼化物を1層又は2層以上で0.5〜5μm被覆し、各前記底刃はエンドミル軸直角面に対して刃先側凸方向60〜160°の先端角を有することを特徴とするコーティングエンドミルを提供することによって上述した本発明の課題を解決した。前記先端角は、60°未満ではエンドミル先端の摩耗が大きく、160°を越えると穴あけでコーナー刃先に欠けを生じやすく、また切りくずの流れが悪くなり切りくずづまりを起こすので、先端角は60〜160°に限定した。
本発明のかかる構成によって、底刃はエンドミル軸直角に対して刃先側凸方向60〜160°の先端角を有するので、穴あけでコーナー刃先に欠けを生じることがなく、また切りくずづまりを起こさず、特に工具刃長より短い厚みを有する薄板溝加工において穴あけから溝加工(通り溝加工)において、穴あけ性能が向上し穴あけ後そのまま溝加工へ連続して高能率加工が可能な3枚刃のコーティングエンドミルを提供するものとなった。
好ましくは、前記コーティングエンドミルにおいて前記各前記底刃はエンドミル軸直角に対して刃先側凸方向90〜120°の先端角付き底刃を有するものであってもよい。
図1は本発明を実施するための最良の形態の3枚刃超硬コーティングエンドミルの(a)が側面図、(b) は(a)の先端底刃形状を示す底面図である。本発明の実施の形態の3枚刃超硬コーティングエンドミル1は、外径d=φ4mm、刃溝ねじれ角β=50°で、コバルト13%超微粒子超硬合金を母材とし、先端に3枚の底刃2を有し、3枚の底刃2に続く溝ねじれ角βをつけた3枚の外周刃3を有するコーティングエンドミルにおいて、各底刃2はエンドミル軸直角面に対して刃先側凸方向角度90°の先端角θを有し、かつ切れ刃部4表面に窒化チタンアルミ系(TiAlN)硬質膜を約3μm被覆処理した。図1のものの代わりに、コバルト13%超微粒子超硬合金の代わりにコバルトを6〜14%含有する超硬合金、超微粒子超硬合金、超々微粒子超硬合金、高速度工具鋼又は粉末高速度工具鋼を母材としてもよく、刃先側凸方向角度90°の先端角θの代わりに刃先側凸方向角度60〜160°の先端角θを有してもよい。また窒化チタンアルミ系(TiAlN)硬質膜の代わりに、周期律表第4a、5a、6a族遷移金属と第3b、4b族元素の炭化物、窒化物、酸化物又は硼化物を1層又は2層以上で0.5〜5μm被覆してもよい。各底刃2の先端角θは、60°未満ではエンドミル先端の摩耗が大きく、160°を越えると穴あけでコーナー刃先に欠けを生じやすく、また切りくずの流れが悪くなり切りくずづまりを起こすので、先端角は60〜160°に限定した。
図1に示す本発明を実施するための最良の形態の外径d=φ4mm、刃長11mm、先端角θが90°の3枚刃超硬コーティングエンドミルと、図3(c)(d)に示す従来品の外径d=φ4mm、刃長11mm、底刃の角度αが軸直角面に対し刃先側凹方向 0〜5 °の3枚刃超硬エンドミルとの比較テストを行った。被削材炭素鋼S45C(230HB) で厚さ 5mmを、切削速度 83m/min(回転数 6,600 m/min -1 )、穴あけ送り速度 250mm/min(f=0.038 mm/rev)、溝加工送り速度 600 mm/min (f=0.03 mm/t )、仕上げ送り速度F= 460 mm/min で穴あけ〜溝加工〜仕上げ加工を連続で加工したときの切削抵抗グラフを、比較テスト結果として図2に示す。(a)の本発明品では、グラフではそれぞれ、Fx: 黒線、エンドミルにx軸方向でかかる切削抵抗で、溝加工で大きく立ち上がって観察され、Fy: 薄黒色線、エンドミルにy軸方向でかかる切削抵抗で、全工程で低く出ており、Fz: 白色線、エンドミルにz軸方向にかかるスラスト切削抵抗で、穴あけで大きく立ち上がって観察される。(b)の従来品は、穴あけ時に折損したことが観察される。図2に示すように、従来品は、穴あけ時に折損したのに対し、本発明品は穴あけ性能が向上したため、折損することなく高能率で薄板溝加工が可能となり、穴あけ性能を飛躍的に向上させたコーティングエンドミルとなった。
図1に示す本発明の外径d=φ4mm、刃長11mm、ただし先端角θが120°の3枚刃超硬コーティングエンドミルについても、実施例1と同じ条件で比較テストを行った。得られた切削抵抗グラフは図2(a)とほぼ同じ結果を示した。
〔本発明の最良の実施形態の効果〕
以上述べたように、本発明の最良の実施形態のかかる構成によって、外周に3枚の刃溝ねじれ角を有するコーティングエンドミルにおいて、高速度工具鋼、粉末高速度工具鋼、コバルトを6〜14%含有する超微粒子超硬合金又は超々微粒子超硬合金をを母材とし、切れ刃部に周期律表第4a、5a、6a族遷移金属と第3b、4b族元素の炭化物、窒化物、酸化物又は硼化物を1層又は2層以上で0.5〜5μm被覆し、底刃はエンドミル軸直角に対して刃先側凸方向60〜160°の先端角付き底刃を有するので、穴あけでコーナー刃先に欠けを生じることがなく、また切りくずづまりを起こさず、特に工具刃長より短い厚みを有する薄板溝加工において穴あけから溝加工(通り溝加工)において、穴あけ性能を飛躍的に向上させ、穴あけ後そのまま溝加工(通り溝加工)へ連続して高能率加工が可能な3枚刃のコーティングエンドミルを提供するものとなった。
好ましくは、前記コーティングエンドミルにおいて前記各前記底刃はエンドミル軸直角に対して刃先側凸方向90〜120°の先端角付き底刃を有するものであってもよい。
本発明を実施するための最良の形態の3枚刃超硬コーティングエンドミルの(a)が側面図、(b) は(a)の先端底刃形状を示す底面図である。 図1に示す本発明品のφ4mm3枚刃超硬コーティングエンドミルと、図3(c)(d)に示す従来品のφ4mm3枚刃超硬エンドミルとの比較テストを行った結果を示す穴あけ〜溝加工〜仕上げ加工時の各エンドミルの切削抵抗グラフである。 (a) は従来の2枚刃エンドミルの側面図、(b) は(a) の先端底刃形状を示す底面図、(c) は従来の3枚刃エンドミルの側面図、(d) は(c) の先端底刃形状を示す底面図、をそれぞれ示す。
符号の説明
1:3枚刃超硬コーティングエンドミル
2:底刃
3:外周刃
4:切れ刃部
Fx: 黒線、エンドミルにx軸方向でかかる切削抵抗
Fy: 薄黒色線、エンドミルにy軸方向でかかる切削抵抗
Fz: 白色線、エンドミルにz軸方向でかかる切削抵抗
α:軸直角に対する底刃の刃先凹方向角度
β:刃溝ねじれ角
θ:先端角

Claims (2)

  1. 高速度工具鋼、粉末高速度工具鋼、コバルトを6〜14%含有する超硬合金、超微粒子超硬合金又は超々微粒子超硬合金を母材とし、先端に3枚の底刃を有し、前記3枚の底刃に続く溝ねじれ角をつけた外周刃を有する3枚刃コーティングエンドミルにおいて、切れ刃部に周期律表第4a、5a、6a族遷移金属と第3b、4b族元素の炭化物、窒化物、酸化物又は硼化物を1層又は2層以上で0.5〜5μm被覆し、各前記底刃はエンドミル軸直角面に対して刃先側凸方向60〜160°の先端角を有することを特徴とするコーティングエンドミル。
  2. 前記コーティングエンドミルにおいて、前記各前記底刃はエンドミル軸直角に対して刃先側凸方向90〜120°の先端角付き底刃を有することを特徴とする請求項1記載のコーティングエンドミル。
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