JPH09141300A - 含液固形物の脱水方法および脱水装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高分子凝集剤の過剰・不足に起因する脱水ケ
ーキ含水率やＳＳ回収率の低下、および脱水濾液配管へ
のＳＳ付着を防止できるようにする。 【解決手段】 脱水機２より排出される脱水濾液中に残
存する高分子凝集剤の濃度を適宜測定し、測定された高
分子凝集剤濃度が予め設定した基準高分子凝集剤濃度よ
り大きいか小さいかによって、高分子凝集剤の添加量
や、含液固形物の供給量や、高分子凝集剤と含液固形物
との攪拌強度を制御することにより、高分子凝集剤の添
加量を適値に維持する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、下水汚泥などの含
液固形物を効率よく脱水する脱水方法および脱水装置に
関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、下水汚泥などの含液固形物は、
複雑な構造をもつ有機物および無機物の集合体であり、
適当な予備処理を行うことなく濾過や遠心分離などの操
作により脱水することは難しい。このため、高分子凝集
剤を添加して凝集フロックを形成させるなど、含液固形
物の脱水特性を改善した後に、ベルトプレス、フィルタ
ープレス、遠心脱水機などの脱水装置において脱水して
いる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記したように高分子
凝集剤を添加する際には、少量の含液固形物を採取して
その中に含まれる固形物量を測定し、測定結果から、脱
水しようとする含液固形物中の固形物を凝集させるに必
要な最小の添加量を経験に基づいて求め、それよりやや
多めの量を最適添加量として、含液固形物に添加するよ
うにしている。

【０００４】しかしながら、上記したようにして決定し
た最適添加量の高分子凝集剤を添加すると、搬入される
含液固形物の性状が変化したときなどに、高分子凝集剤
が過剰になるかあるいは不足する事態が生じ、脱水ケー
キ含水率やＳＳ回収率が低下するという問題がある。

【０００５】高分子凝集剤が過剰なときはさらに、過剰
分の高分子凝集剤が残留して脱水濾液配管へのＳＳ付着
を招き、最悪の場合、配管閉塞が生じるという問題があ
る。本発明は上記問題を解決するもので、含液固形物中
の固形物を適当量の高分子凝集剤により好適に凝集さ
せ、脱水ケーキ含水率やＳＳ回収率の低下、および過剰
分の高分子凝集剤に起因する脱水濾液配管へのＳＳ付着
を防止することを目的とするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記問題を解決するため
に、本発明の含液固形物の脱水方法は、含液固形物に高
分子凝集剤を添加し、固形物が凝集した含液固形物を脱
水機で脱水するに際し、前記脱水機より排出される脱水
濾液中に残存する高分子凝集剤の濃度を適宜測定し、測
定された高分子凝集剤濃度が予め設定した基準高分子凝
集剤濃度より大きいときには、高分子凝集剤の添加量の
減少と、含液固形物の供給量の増大と、高分子凝集剤と
含液固形物との攪拌強度の増大との少なくとも１つを行
い、測定された高分子凝集剤濃度が前記基準高分子凝集
剤濃度より小さいときには、高分子凝集剤の添加量の増
大と、含液固形物の供給量の減少との少なくとも１つを
行って、含液固形物に対する高分子凝集剤の添加量を適
値に維持するようにしたものである。

【０００７】また本発明の含液固形物の脱水装置は、含
液固形物を脱水する脱水機と、含液固形物を脱水機に向
けて送る含液固形物供給手段と、含液固形物供給手段よ
り脱水機に向けて送られる含液固形物に高分子凝集剤を
添加する高分子凝集剤供給手段と、高分子凝集剤供給手
段と脱水機との間に設けられて高分子凝集剤と含液固形
物とを攪拌混合する攪拌手段と、脱水機の後段に配置さ
れて脱水機より排出される脱水濾液中に残存する高分子
凝集剤の濃度を適宜測定する高分子凝集剤濃度測定手段
と、含液固形物供給手段と高分子凝集剤供給手段と攪拌
手段と高分子凝集剤濃度測定手段とに接続した制御手段
とを有し、制御手段によって、前記高分子凝集剤濃度測
定手段により測定された高分子凝集剤濃度データを受け
て、その高分子凝集剤濃度を予め設定した基準高分子凝
集剤濃度と比較し、前記測定された高分子凝集剤濃度が
基準高分子凝集剤濃度より小さいときには、高分子凝集
剤供給手段と含液固形物供給手段との少なくとも１つを
制御することにより、高分子凝集剤の添加量の増大と、
含液固形物の供給量の減少との少なくとも１つを行い、
前記測定された高分子凝集剤濃度が基準高分子凝集剤濃
度より大きいときには、高分子凝集剤供給手段と含液固
形物供給手段と攪拌手段との少なくとも１つを制御する
ことにより、高分子凝集剤の添加量の減少と、含液固形
物の供給量の増大と、高分子凝集剤と含液固形物との攪
拌強度の増大との少なくとも１つを行って、含液固形物
に対する高分子凝集剤の添加量を適値に維持するように
構成したものである。

【０００８】上記した脱水方法および装置によれば、脱
水機より排出される脱水濾液中に残存する高分子凝集剤
の濃度が測定され、測定された高分子凝集剤濃度が予め
設定した基準高分子凝集剤濃度より大きいか小さいかに
よって、高分子凝集剤の添加量や、含液固形物の供給量
や、高分子凝集剤と含液固形物との攪拌強度が制御さ
れ、含液固形物に対する高分子凝集剤の添加量が適値に
維持される結果、含液固形物中の固形物が好適に凝集さ
れ、含液固形物の脱水特性が改善される。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づき説明する。図１は、含液固形物に高分子凝集剤
を添加し、固形物が凝集した含液固形物を脱水機で脱水
するフローを示し、含液固形物供給管１は含液固形物を
脱水機２に向けて送るものであり、高分子凝集剤供給管
３は含液固形物供給管１により脱水機２に向けて送られ
る含液固形物に高分子凝集剤を添加するものである。含
液固形物供給管１および凝集剤供給管３はそれぞれ含液
固形物供給ポンプ４および凝集剤供給ポンプ５を介装し
ている。

【００１０】含液固形物供給管１の管路途中における高
分子凝集剤供給管３の開口位置より下流には、内部に高
分子凝集剤と含液固形物とを導入してモータ６の駆動に
より攪拌混合する凝集混和機７が設けられている。

【００１１】脱水機２には、脱水ケーキを排出するケー
キ排出手段８と、脱水濾液を排出する排水管９が設けら
れており、排水管９の下流に、排水管９を通じて排出さ
れる脱水濾液の一部を採取して高分子凝集剤の濃度を測
定する高分子凝集剤濃度測定装置１０が設けられてい
る。

【００１２】そして、高分子凝集剤濃度測定装置１０，
含液固形物供給ポンプ４，凝集剤供給ポンプ５，モータ
６にそれぞれ信号ライン１１，制御ライン１２，１３，
１４により接続して、制御装置１５が設けられている。

【００１３】制御装置１５は、高分子凝集剤濃度測定装
置１０により測定された高分子凝集剤濃度データを受け
て、そのデータを、予め設定した基準高分子凝集剤濃度
と比較し、比較した結果に応じて高分子凝集剤の添加量
と含液固形物の供給量と高分子凝集剤と含液固形物との
攪拌強度のいずれかを調節するように、対応する凝集剤
供給ポンプ５と含液固形物供給ポンプ４とモータ６のい
ずれかの回転数を制御するように構成されている。

【００１４】上記したような構成において、含液固形物
供給ポンプ４および凝集剤供給ポンプ５を駆動すると、
含液固形物供給管１により含液固形物が脱水機２に向け
て送られ、その管路途中で凝集剤供給管３により高分子
凝集剤が添加される。含液固形物は凝集混和機７の内部
に流入してモータ６の駆動により攪拌混合され、その間
に、含液固形物中の固形物が高分子凝集剤の作用により
凝集する。固形物が凝集した含液固形物は脱水機２に送
られて脱水され、脱水ケーキはケーキ排出装置８により
排出され、脱水濾液は排水管９より排出される。

【００１５】排出された脱水濾液は、高分子凝集剤濃度
測定装置１０において少量採取されて、残存する高分子
凝集剤の濃度が測定され、その高分子凝集剤濃度データ
が信号ライン１１により制御装置１５に送られる。

【００１６】そして、制御装置１５において、測定され
た高分子凝集剤濃度と基準高分子凝集剤濃度との比較が
行われ、測定された高分子凝集剤濃度が基準高分子凝集
剤濃度より小さいときには、高分子凝集剤の添加量の増
大と、含液固形物の供給量の減少との少なくとも１つが
行われるように、対応する制御ライン１２，１３を通じ
て、凝集剤供給ポンプ５の回転数の増大と含液固形物供
給ポンプ４の回転数の減少のいずれかが行われる。

【００１７】測定された高分子凝集剤濃度が基準高分子
凝集剤濃度より大きいときには、高分子凝集剤の添加量
の減少と、含液固形物の供給量の増大と、高分子凝集剤
と含液固形物との攪拌強度の増大との少なくとも１つが
行われるように、対応する制御ライン１２，１３，１４
を通じて、凝集剤供給ポンプ５の回転数の減少と含液固
形物供給ポンプ４の回転数の増大とモータ６の回転数の
増大のいずれかが行われる。

【００１８】このようにして、脱水機２から排出される
高分子凝集剤の濃度に基づき、脱水機２の前工程で含液
固形物に添加される高分子凝集剤の量が適値に維持され
る。したがって、搬入される含液固形物の性状が変化し
ても、含液固形物中の固形物は適当量添加される高分子
凝集剤により好適に凝集されることになり、従来のよう
な高分子凝集剤の過剰・不足を原因とする脱水ケーキ含
水率やＳＳ回収率の低下は防止され、残留高分子凝集剤
に起因する脱水濾液配管へのＳＳ付着も減少する。ま
た、薬品コストが低減され、脱水処理率が向上する。

【００１９】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、高分子凝
集剤により含液固形物中の固形物を凝集させるに際し、
脱水機から排出される高分子凝集剤の濃度を測定して脱
水機の前工程にフィードバックするようにしたので、搬
入される含液固形物の性状が変化しても常に適当量の高
分子凝集剤を添加して固形物を好適に凝集させることが
できる。この結果、高分子凝集剤の使用量を節約できる
とともに、脱水ケーキ含水率やＳＳ回収率を向上させる
ことができ、残留高分子凝集剤に起因する脱水濾液配管
へのＳＳ付着および脱水濾液配管の閉塞を防止できる。
薬品コストの低減や脱水処理率の向上も図れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の含液固形物の脱水方法および脱水装置
の一実施形態を説明するフローチャートである。

【符号の説明】

１ 含液固形物供給管 ２ 脱水機 ３ 凝集剤供給管 ４ 含液固形物供給ポンプ ５ 凝集剤供給ポンプ ６ モータ ７ 凝集混和機 10 高分子凝集剤濃度測定装置 15 制御装置

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 含液固形物に高分子凝集剤を添加し、固
   形物が凝集した含液固形物を脱水機で脱水するに際し、
   前記脱水機より排出される脱水濾液中に残存する高分子
   凝集剤の濃度を適宜測定し、測定された高分子凝集剤濃
   度が予め設定した基準高分子凝集剤濃度より大きいとき
   には、高分子凝集剤の添加量の減少と、含液固形物の供
   給量の増大と、高分子凝集剤と含液固形物との攪拌強度
   の増大との少なくとも１つを行い、測定された高分子凝
   集剤濃度が前記基準高分子凝集剤濃度より小さいときに
   は、高分子凝集剤の添加量の増大と、含液固形物の供給
   量の減少との少なくとも１つを行って、含液固形物に対
   する高分子凝集剤の添加量を適値に維持することを特徴
   とする含液固形物の脱水方法。
2. 【請求項２】 含液固形物を脱水する脱水機と、含液固
   形物を脱水機に向けて送る含液固形物供給手段と、含液
   固形物供給手段より脱水機に向けて送られる含液固形物
   に高分子凝集剤を添加する高分子凝集剤供給手段と、高
   分子凝集剤供給手段と脱水機との間に設けられて高分子
   凝集剤と含液固形物とを攪拌混合する攪拌手段と、脱水
   機の後段に配置されて脱水機より排出される脱水濾液中
   に残存する高分子凝集剤の濃度を適宜測定する高分子凝
   集剤濃度測定手段と、含液固形物供給手段と高分子凝集
   剤供給手段と攪拌手段と高分子凝集剤濃度測定手段とに
   接続した制御手段とを有し、制御手段によって、前記高
   分子凝集剤濃度測定手段により測定された高分子凝集剤
   濃度データを受けて、その高分子凝集剤濃度を予め設定
   した基準高分子凝集剤濃度と比較し、前記測定された高
   分子凝集剤濃度が基準高分子凝集剤濃度より小さいとき
   には、高分子凝集剤供給手段と含液固形物供給手段との
   少なくとも１つを制御することにより、高分子凝集剤の
   添加量の増大と、含液固形物の供給量の減少との少なく
   とも１つを行い、前記測定された高分子凝集剤濃度が基
   準高分子凝集剤濃度より大きいときには、高分子凝集剤
   供給手段と含液固形物供給手段と攪拌手段との少なくと
   も１つを制御することにより、高分子凝集剤の添加量の
   減少と、含液固形物の供給量の増大と、高分子凝集剤と
   含液固形物との攪拌強度の増大との少なくとも１つを行
   って、含液固形物に対する高分子凝集剤の添加量を適値
   に維持するように構成したことを特徴とする含液固形物
   の脱水装置。